ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
1.緑髪の
わたしは今では鋼鉄等級となった一党の一員で、森人の魔術師だ。
この一党は、女ばかりで結成して、実績を積み、ようやく駆け出しの時期も終わりというところだ。
仲間の自由騎士、圃人の斥候、只人の神官とも気が合って、種族も寿命も違うけど、わたしたちはしっかりとした絆で結ばれた一党だと自負している。
そろそろ中堅である青玉等級への昇格も見えて来ようというところで、ギルドから依頼されたのが、ある冒険者の白磁から黒曜への昇級審査の手伝いだった。
やってきたのは、ここいらでは珍しい蜥蜴人ハーフの冒険者の女。
見上げるほどの巨躯。
整った顔立ち。
朝日にきらめく深い黒緑の鱗。
その瞳はぎらぎらと燃えるようでもいて、また、深い信仰に沈んで凪いでいるようでもあった。
竜や魔神を屠る蛮人。
凄腕の
そして最近では地下遺跡の怪物を吹き飛ばして武道家としての腕も証明した。
加えて近頃は精霊術にも手を伸ばしたのか、街中の酒場なのに結構高位の水精霊を呼び出して、【命水】のお酌をさせている……いや、あの羽衣を浮かせた水精霊は、高位どころではなく最上位の気配もするが……。
まあ、多彩な才能を持つ少女だと。
偉大なる竜殺しだと、モノが違うのだと。
半竜娘について知っているのはそのくらいだった。
実のところ、一党の圃人の女斥候など、その成果について疑ってもいたのだ。
話半分に聞いておいたほうが良い、と。
ああ、圃人の斥候は、手紙の配達だかで、あの竜が墜ちた日は辺境の街を離れていたのだったか。
だが、わたしは見ていた。
森人の長い寿命の中でも、一度すらお目にかかれないような竜たちが、成す術もなく墜とされていくのを。
いや、一度すら、というのは語弊があるか。
一度でもお目にかかれば、人生がそこで終わってしまうような、そういうレベルの怪物たちだった。
たとえ、幸運を使い果たして、一生分の
それほどの偉業だった。
被害らしい被害が直接出なかったことが逆に
それでもわたしは覚えているだろう。
森人は、忘れない生き物だから。
まあ、そういうわけで、わたしは結構、蜥蜴人の彼女の面倒を見るのを楽しみにしていたのだ。
あれほど見ていて飽きないものも、そうはないだろうと確信して。
そしてそれは正解だった。
その半竜の術士の彼女は、実に色々な面を見せてくれた。
襲ってくる追剥や山賊をその爪にかけて引き裂く、戦士の相。
その躯に祈りを捧げ、魂の輪廻を語る、僧侶の相。
理知的な計算で呪文を、そして戦場を組み立てる、魔術師の相。
そして未熟なれど楽しそうに、お付きの小さな水蜥蜴の精霊と戯れる、精霊使いの相。
この一党に出会う前なら、一緒に一党を組んでいたかもしれない、というくらいには気に入った。
きっと、森から出るような好奇心旺盛な森人なら、同意してくれるだろう。
もちろん、黒曜等級の昇格審査としては、文句なしだ。
こちらの指示にも従うし、納得いかないことは論理だてて疑義を示し、分からないことはちゃんと訊く。
依頼人をだましたりとか、自分だけ得しようとしたりだとか、味方を見捨てようとしたりだとか、そういう人倫に
まあ、黒曜等級への昇格試験など、その程度の最低限のことを見るだけだ。
……何か勘違いしているのか、この最低限ができない冒険者もいるので困りものだが。
幸いにも、半竜娘は、最低限のことはできていた。もちろんそれ以上も。
商人の護衛依頼が何事もなく終わり(山賊だのに会うのは普通のことだ、何か起こった内には入らない。何のために冒険者を雇っているか、という話だ。)、問題があったのは帰り道のことだった。
帰り道のついでで済ませられるような都合のいい依頼もなく、少々弛緩したような心持ちで村に立ち寄ったその日。
わたしたちは、小鬼禍の話を聞いた。
小鬼。
あの汚らしい混沌の者ども。
特に森人にとっては不倶戴天の敵だ。
やつらはわたしたちの美しさを、長寿を、精霊の寵愛を、何もかもを
――自分たちは醜く哀れで恵まれない、だから、全てを寄こせ。
――それは本当は俺たちのもののはずだ、だからお前たちは奪われて当然だ。
被害者意識に凝り固まって、自分こそ正義だと信じて疑わないようなやつらと、相容れることはできない。
冒険者ギルドを通した依頼ではないが、当然わたしたちは、受けるつもりでいた。
ゴブリン退治の経験は多いわけではない。
大した報酬が出ないのもあるが、汚く、厄介で、見たくないものを見るハメになるし、何より、失敗すれば死んだ方がマシな目にあうと決まっているから。
だけど、目の前で困っている人が居るのに、それを助けずして、何が冒険者か。
しかも、今は白磁の後輩――明らかに階級不相応に高い実力だが後輩は後輩だ――も連れている。
冒険者の何たるかを見せるためにも、受けないという選択肢はない。
村娘を助けようと気炎を上げる仲間たちを、魔術師である私は、一党の参謀役として一歩引いた視点で見ていた。
だから気づいた。
半竜の彼女の目が爛々と、炯々と燃えているのを。
ゴブリンが住み着いているのが山砦だと聞いて、竜のごとく裂け上がった口の端を。
殺戮の期待を、破壊の衝動を、そして焼却の熱狂を想って上気した頬を。
だが、そのような狂態痴態を一瞬でかき消して、いかにも冷静な風で、彼女はゴブリン退治の算段を――いや、攻城破壊の算段を披露した。
だから、一瞬漏れ出た表情に気づいたのは私だけだっただろう。
半竜の術士の作戦はこうだ。
風の精霊で偵察し、捕虜が生きていれば、一党を祖竜術で不可視化し、感知と拒絶の結界を纏って侵入する。
陽動に、【
そして火の精霊で燃やす。
古木でできた山砦だというから、森人である私にも意見を求められた。
そもそも山砦は燃えるか、火除けの加護は消えているか、森への延焼は抑えられるか、雨を呼べるか……。
視点が違うと思った。
わたしは、いかにゴブリンから見つからないように隠れ、あるいは見つかったとしてもどう逃げ出し、そして村娘を救出すべきか考えていた。
しかし、半竜の術士は、「いかに戦わずに殺すか」を考えていたのだ。
そのゴブリンへの殺意に唾を飲んだ。
さっき一瞬見えた狂態が嘘のように、頭の芯まで冷え切った、透徹した殺意。
いや、あるいは、殺意ですらないのかもしれない。
ただただそれだけの、自然の摂理を実行しているだけのつもりなのかもしれない。
何にせよ、
きっと、この蜥蜴人の女は、一編の叙事詩のような人生を送るのだ。
業火と破壊と血煙で記された叙事詩だろう。
一党を組んでもいいと思った、と言ったが、撤回する。
巻き込まれたいとは露とも思わない。
……思わないが、同じ時代を生きるものとして、逐一知っておきたいくらいの興味はすでに抱いてしまっている。
ほら見ろ、今も血の
この半竜の術士は、自分の分身が魂を削って地に伏せたのを何にも気にしていない。
だが、それがどれほどあり得ないことか!
魔術師である自分は知っているが、分身は本体と遜色ない思考をし、記憶をフィードバックする。操っているのは、本体の精神なのだから。
つまり、半竜の術士は、自分の魂が削れる感覚を、同じく味わっているはずなのだ。
それなのに、顔色の一つも変えない。
感じていないのか?
いいや、違うね。
慣れているのさ。
この蛮人の女にとって、分身が超過祈祷で倒れ伏す程度のフィードバックは、
信じられない。
しかし成程。
痛みに慣れる、疲労の中で動き続けるのに慣れる、それは有り得るだろう。
ならば、同じく、魂の摩耗にも慣れられるのではないか。そう考えておかしくはない。
それは魔術師ではなく、武道家の思考だ。
稽古、修行。
世界をゆがめる魔術は軽々しく使えるものではないが、【分身】を使いこなせばそうでもないということか。
魂を削るほどの消耗でも、例えば4回の呪文を使えるというのであれば、1日に4回も分身を使い潰しても、自分は死なずに死の淵を分身を通じて味わうことができる。
生身の自分ではできないような、無茶も、無謀も、分身を通じて経験を積める。
武道家にして魔術師。
あるいは蜥蜴人だからこそ、なのだろうか。
まったく感嘆する思いだ。
真似できるとも、真似したいとも思わないが。
そしてやはり、見ていて飽きないものだ、この蜥蜴人のハーフは。
古木の砦を粉砕した突撃の術は見事だったし、もはや人間攻城兵器だね、こいつは。
それにただぶつかるだけしか能がないわけでなく、技の冴えもある。ちらりと見えた巨漢の小鬼相手の立ち回りも素晴らしかった。
そして、強力な結界と隠蔽の祖竜術。
罠を強引に切り抜ける身体センス。
これで白磁なんて詐欺だろう?
とっとと銅でも銀でも上げてやるべきさ。
冒険報告の時にギルドにもそう
さてさて燃える砦にもがく小鬼、それを的にして射撃練習。
いやはや、森人でもこんな“粋”な練習はしないだろうさ。
しかも、弓を握ったのは初めてだというのに、とても筋が良い。
おもしろいなあ。
近くで見るには身が持たないだろうけど、たまに活躍を聞くくらいの距離感なら歓迎だ。
何かうまい手がないものかと考えていたら、天の配剤。
森人の射手を探しているのだという。
――ああ、それなら心当たりがあるよ。紹介しようか?
ニヤリ、と笑って、わたしは遺跡巡りに精を出す
○●〇●〇●〇
2.森人の
――ぞくりと首筋から耳の先に、悪寒が走った。
得体の知れない怖気に身を震わせたのは、大弓を背負って狩人装束の外套を纏った、森人の女だった。
トレジャーハンター、財宝狩人、遺跡狩人、呼ばれ方はいろいろあろうが、本人の名乗りとしては探検家というのを気に入っている彼女は、森人の冒険者だ。
等級は鋼鉄等級だが、そろそろ青玉等級への昇級を打診されている、とまあ、そのくらいの実力だ。
「なあんか、変な感じ。運気の風が悪いのかなあ」
そう呟いて己の耳を撫でる森人探検家は、気ままに遺跡巡りをするのを主な生業としている。
冒険者になろうと思ったのは、あの弓の連射の名手でもあった緑衣の勇者*1に憧れて里を出たのがきっかけだ。
そしてその勇者が、遺跡を巡ってアーティファクトを得て自由自在に使いこなしたという伝説にあやかろうと、遺跡巡りを始めたのだった。
今回も、古い時代(只人にとってだが)の遺跡の見取り図を手に入れて、いっちょトレジャーハントに行くかと辺境の街を経由してやって来ていたのだった。
目的の遺跡は、辺境の街からさらに森人の領域の方へ、森人の足で2日ばかり向かったところにある。疲労を避けるなら、馬車にでも乗るべきだろう。
目的の遺跡には、ゴブリンくらいは住み着いているかもしれないが、森人の耳で気配をとらえ、遠間から狙撃で削れば怖くもない。
罠だってあるかもしれないが、鋭敏な森人にとっては、ゴブリンの罠程度、見破れぬほどのものでもない。
いつも通りにやるだけだ。
「うー、良い財宝とか、歴史的な資料とかがあるといいなあ。薬とか買うのにお金使い切っちゃったし。何もなかったら大赤字なんだけど」
森人探検家は、森人にしては珍しいことに、金銭に気を使って生きているようだった。
森の恵みで生きて、お腹が空けば周りの木にお願いして果物がすぐ食べられるような環境で育つ森人が、経済観念を身に着けるのは相当珍しいことだ。
……つまりは、金銭感覚を身につけざるを得ないくらいに、お金で苦労したということでもあるが。
腰のベルトから吊り下がるのは、風車を彫り込んだ『交易神』の聖印だ。
森人には、この神の信仰者は極めて稀である。
しかし、貧乏を経験し、根無し草の旅暮らしであれば、旅路の安全と商売繁盛を司る交易神信仰に転んでも不思議ではない。
「交易神様、どうか、良い風を運んでくださいなっと。《巡り巡りて風なる我が神、気の流れをも裏返し、賽子の天地返しに目こぼしを》【
弓の道の片手間の信仰の割に、彼女は神から奇跡をも賜っているらしく。
【逆転】の奇跡は、1日1回だけ、あらかじめ唱えておけば、不運の目を幸運の目にひっくり返せるのだという。
たった一度、されど一度。
蛇の目さえ、ひっくり返せば、
信仰のしがいもあろうというもの。
そして、目的地まであと少々というところか。
さて、道行き進みて。
宵の口、目的の遺跡まで後少し、遺跡の様子を一目見てから野営して明日に備えるため、野営場所を探さねば……、というところで、森人探検家は、周辺の異常に気づいた。
ぴくぴくと、長い耳が動き、周囲を探る。
(なんだろ、いやに静か……そしてこれは……)
静寂。
しかしそれを裂く者がいる。
足音だ!
大きな何者かが動く足音が聞こえる!
森人探検家は感覚をさらに研ぎ澄ませて周囲を探るとともに、自然と同一化して、この足音の主をやり過ごそうと試みた。
念のため、大弓に矢をつがえておく。
(いったい何が……、二足の巨体が3つ、かな、この感じだと。……トロルか何かかしら)
トロルは手強い怪物だ。
しかし、
エルフの身軽さを生かして、木々から木々へと飛び移りながら引き撃ちしてやれば、やがては力尽きるに違いない。
森の中なら周りの植物が矢を造ってくれるから矢の心配もないことだし。植物は森人探検家の味方なのだ。
(う、この臭いは、ゴブリンもいるのか……)
風下に陣取るためにジワジワと移動していた森人探検家の鼻が、すえたような酷い臭いをとらえた。
不潔で矮小で相容れない、緑の小鬼ども。
(トロルだけじゃなくて、ゴブリンも? まさか、混沌の勢力の軍勢じゃないでしょうね?)
不意に遠くの気配が騒がしくなる。
(げえ、残り香に気付かれた……!)
小鬼どもは、森人や女の匂いに、特に敏感なのだ。
気持ち悪い生態であることこの上ない。
(どうする、今なら多分逃げられる)
早く離れる必要があるだろう。
あまりに多勢に無勢が過ぎる。
見つからないと楽観するほど、森人探検家の運は良くない。
日に一度の【逆転】の出番が必ずあるほどなのだ。
あるいは、この不運さに、交易神が慈悲を垂れたのかもしれない。
運気を巡らし廻すことも、かの神の司る領域なのだろう。
(賽の目は、期待しない。何もせずに見つからない方に賭けるのは、危険。世の中すべて、“やるか、やらないか”、よ。賽の目も神の奇跡もオマケよ、オマケ!)
矢を天へと。
(森人なめんなっ!)
狙い澄まされて放たれた矢は、木の葉の隙間を掠りもせずに抜けて、ほぼ垂直に落ち、一匹のゴブリンの脳天から顎までを貫いた。
無音暗殺術。
さらに九つ、矢を放つ。
同じく天頂を経由して、ゴブリンたちの脳天に。
小鬼どもが事態に気づいたのは、頭を串刺しにされた十の同胞が一斉に崩れ落ちてからだった。
「GOOBBBBRRRR!!!??」「RIOOBBBG!?」
どうせ森人がどうのと罵っているのだろう。
でも、何処にいるのか分かりはしないだろう。
怒りにまかせて散り散りになる、それでも良いが。
(出来れば、違う方向に誘導する)
空の矢筒に、周りの木から矢をもらい、さらに2回、矢を放つ。
狙う先は、自分から離れた場所。
真逆の位置はあからさま。
ならば、やつらの風下で、自分とは離れたところ。いかにも
今度は天から曲げて落とすときに
思い通り、ゴブリンどもは誘導した方向へと猪突猛進。
だが、相手は愚劣なゴブリンどもだけでなく、まして愚鈍なトロルが率いているのでもなかった。
怪物たちの方から、低く落ち着いた声が響く。
「風向きはこちらから。逆の場所を狙うはあからさま。そもそもこれほどの上手が、身を翻すのに音などさせるものかよ。自然を装い、かつ自分から離したいとなれば……つまり、そこかあ!」
率いていたのは、実は、
並みの化け物ではなかった。
こいつは森人探検家の狙いを、完全に読み切っていた。
いまようやく、森人探検家の目にも、巨大な3つの足音の正体が明らかになった。
頭目と見られる
オーガと見紛う巨大な緑の
(ちくしょうめ!
弾かれるように、森人探検家は木の枝から飛び出した。大弓を短弓に持ち替え、逃げながら矢を撒く。
だが、既に魔術師らしい方のオーガが、【矢避】の真言呪文を唱えていた。
「ふうむ、矢避けをしても、なかなかヒヤリとする良い矢を放つ。
落ち着いた声音のオーガメイジは、自分よりさらに大きな
頭目のオーガは、それに答える。
「ジィよ、この程度の弓手なら何処にでも居るだろう。森人の豪傑の話を聞かせてくれたのはジィではないか」
嘲るように、『三ノ若』と呼ばれた頭目らしき巨躯のオーガが笑う。
「せっかく、一ノ兄者を迎えに来たのに、仮初めとは言え一ノ兄者の配下めらへの手土産のひとつもないのも、いかんと思っておったところ。ちょうどよかろうさ」
「むしろ上等すぎるやもですなあ。まあ、小鬼めらに価値が分かるとも思えませぬが」
「かまわぬさ。小鬼のためではない、一ノ兄者と、己が矜持のためゆえにな」
「成る程、成る程、流石に御座いまするな」
爺ぃと呼ばれるオーガメイジと、三ノ若と呼ばれた頭目のオーガ。
三ノ若というオーガジェネラルは、ゴツンと緑の
「この木偶を一ノ兄者の代わりに、ここらの頭目に据えるにしても、手土産があった方が良かろうしな」
「GOOB……」
「然り、然り」
その間も、森人探検家は逃げていた。
逃げながら鋭敏な聴覚で会話を拾えば、どうやら、ここにはあの頭目のオーガの兄がまとめる小鬼の群れがあり、しかし、その兄オーガを帰還させ、替わりの群れの頭に巨大ゴブリンを置いてくる、という段取りのようだ。
森人探検家はまだ知らぬことだが、既に魔神王は勇者の太陽の刃に倒れ、混沌の勢力は戦力の再編を図るために動いている。
主攻が潰えた戦争の助攻などに、一族の中でも指折りの鬼を出しておくなど、許されることではない。
だが、いきなり魔神王や魔神将が倒れたと言っても、信じられるわけもない。虚言と思われるのが関の山。
ゆえに、一族でも面識があり、信任も厚い
そこまで深い事情が、森人探検家に分かったわけではないが、混沌の策謀が動いていることは確信できた。
であれば、ここに至っては、戦うことなど考えずに、必ず逃げなくてはならない!
森人の領域のすぐそばで、このようなオーガが関わる計略が進みつつあったのだ。
必ずや、里に、あるいは冒険者ギルドに知らせなければならない。
だが、それを許す相手ではなかった。
「なかなかにすばしっこい者よ。しかし無駄な足掻きだ。
「くっ、加速の魔術ですって!?」
森人に森の中で追いつけるものなど、滅多にいない。
オーガジェネラルも、常のままでは、追いつけはしないだろう。
しかし、二倍ほどにも速さが違うわけでもなかった。加速の魔術はその差を埋める。
逃げながら短弓で牽制するも、大した痛痒にはならず、足を鈍らせるにはいたらない。
足の親指を狙って吹き飛ばしたが、間を置かずに回復したし、ここまで理不尽だとどうしようもない。
追いつかれる時は、刻一刻と迫っていた。
そしてついに。
「ぐあっ!」
「捕まえたぞ、耳長め。手こずらせおって」
絶対絶命だ。
「くそっ、離せっ! 離せよ! 離しなさい! ぐぅううううっ」
「諦めろ。絶望しろ。貴様はこれから小鬼の玩具だ」
オーガジェネラルが森人探検家を掴み締め付けて言う。
「ここで貴様の冒険は、お終いだ」
「くっ、助けて! 誰かー!」
「無駄だ。お前を助ける仲間など、一人もいやしない」
その時であった。
双つの月を背に高らかに、抗うように叫ぶ者が居た。
「おるのじゃっ、ここにひとりな!!」
Q.こいつやっつけたらゴブスレさんはオーガと戦わなくて済むの?
A.新たにオリ設定として生えてきた三男でございますので、オー/ガにされる長男も、水に沈められる次男も、今のところ健在です。
森人探検家のステータスと出自は、以下のとおりとします。特に見る必要はないですが、作者備忘のため掲載します。
実際にダイス振って決めましたら、なんと邂逅が「
ギルドランクは鋼鉄等級ですが、実際は青玉等級の実力。たぶん昇級間近。
コンセプトはシンプルな後衛専門の弓使い。移動力を生かして引き撃ちでやっつける。
もちろんこれらキャラシの内容は独自設定になります。
◆名前:森人探検家
年齢200歳(後で変更するかも)。金の髪。
緑衣の勇者は弓の速射の達人でもあり、彼の英雄に憧れて冒険者になろうと出てきた。
しかし何やかんやあって貧乏暮らしをして、飢え死にしそうになった時に師匠に拾われる。(来歴:貧困、邂逅:師匠)
師匠として、「忍び」「先生」と呼ばれる圃人を持つ。つまりゴブリンスレイヤーの姉弟子にあたる。(この子は原作でも後々森人の国の宮廷侍女としての出番があったけど、この出自なら、その原作7巻の流れの後にでも、ヨーダ師匠が現れて「やるか、やらないかだ」と発破かけるシーンもあったりするかもね?)。
俊敏ではあるが、体力はない(体力値1、持久度0)。
貧乏暮らしの時にお金の大切さが身に染みたため、エルフでも珍しく交易神の信仰に目覚める。覚えている奇跡は、今のところ、運命をひっくり返す『逆転』の奇跡。
ちなみに、交易神は旅の神であり、信徒に、旅人の
◆累積経験点 16500点/ 残り経験点0点
◆残り成長点 0点
◆能力値
能力値 | 体力点 1 | 魂魄点 3 | 技量点 5 | 知力点 4 |
集中度 2 | 3 | 5 | 7 | 6 |
持久度 0 | 1 | 3 | 5 | 4 |
反射度 2 | 3 | 5 | 7 | 6 |
生命力:【 20(15+5) 】
移動力:【 44 】
呪文使用回数:【 01 】
呪文抵抗基準値(魂魄反射+冒険者LV+呪文抵抗):【 10 】
◆冒険者レベル:【 5 】 (技能を熟練まで習得可能)
職業レベル:【野伏:7】【神官(交易神):1】
◆冒険者等級:鋼鉄等級
◆冒険者技能 初歩/習熟/熟練/達人/伝説
【武器:弩弓】 ● ● ● ○ ○
【魔法の才】 ● ○ ○ ○ ○
【怪物知識】 ● ○ ○ ○ ○
【速射】 ● ● ● ○ ○
【狙撃】 ● ○ ○ ○ ○
【曲射】 ● ○ ○ ○ ○
【刺突攻撃】 ● ● ● ○ ○
【手仕事】 ● ○ ○ ○ ○
【機先】 ● ○ ○ ○ ○
【頑健】 ● ○ ○ ○ ○
◆一般技能 初歩/習熟/熟練
【暗視】 ● ○ ○
【精霊の愛し子】● 〇 〇
【生存術】 ● 〇 〇
【工作】 ● 〇 〇
◆呪文
呪文行使基準値(魂魄集中):【 5 】
職業:神官(交易神):1
技能:特になし
装備:聖印(奇跡行使+1)
真言:【 0 】 奇跡:【 7 】 祖竜:【 0 】 精霊:【 0 】
◎習得呪文:
《 逆転 》 難易度:10 (奇跡 付与呪文(属性なし))
◆攻撃
命中基準値(技量集中):【 7 】
職業:【野伏:7】
技能:【武器(弩弓):熟練(+3)】
近接:【 7 】 弩弓:【 17 】 投擲:【 14 】
◎武器:【 大弓 】
用途/属性:【 両手弓重/刺 】
命中値合計:【 17-2 】 射程:120m
威力:2d6+2
効果:長大(狭所で2D6が4以下でファンブル)、刺突(+2)、速射(-8)、
「矢」を消費
◎武器:【 短弓 】
用途/属性:【 両手弓軽/刺 】
命中値合計:【 17 】 射程:60m
威力:1d6
効果:刺突(+1)、速射(-4)、「矢」を消費
◎武器:【 短槍 】
用途/属性:【 片手槍軽/刺 】
命中値合計:【 7 】
威力:1d6
効果:投擲適用、刺突(+1)
◆防御
回避基準値(技量反射+体術スキル):【 7 】
◎鎧:【 軽鎧 】
鎧:狩人の外套(装甲2、回避修正+1)
鋲付き鎧下(装甲2、移動力修正-4)
属性:【 軽鎧(革)/軽 】 回避値合計:【 8 】
移動力合計:【 38 】 装甲値合計:【 4 】
隠密性:【普通】
盾受け基準値(技量反射):【 7 】
◎盾:なし
◆所持金
銀貨:2枚(出立前に物資を整えたためお金がない)
◆その他の所持品
冒険者ツール(鈎縄,楔x10,小槌,火口箱,背負い袋,水袋,携帯用食器,白墨,小刀,松明x6)
携帯食×7日分、衣類
聖印(交易神) ×1(装備中:ベルトに吊るしている)
鍵開け道具 ×1
罠師道具 ×5
矢筒 ×1(移動力修正-2)
矢 ×30
煙玉 ×1
治癒の水薬 ×1
強壮の水薬 ×1
解毒薬 ×1
防毒面 ×1
臭い消し ×1
◆出自/来歴/邂逅/動機
猟師/貧困/師匠/英傑憧憬