ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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◆前話
・西方辺境新名所! 眠れる巨竜の乙女の『拝竜殿』!
・女商人「儲け話があるのですが、一口乗りませんか」

 


46/n 北辺へ -2(これが軽銀商会の新しい港だ!)

 

 はいどーも。

 辺境の街の新名所、巨竜の乙女の拝竜殿は今日も盛況です。

 

 前回は身のたけ五丈(15m)の大仏サイズにまで成長した半竜娘ちゃんが、自分のために屍霊術で己の骨を触媒にして卵の殻のようにも繭のようにも見える巨大なお堂を作り出して、そこが辺境の新名所になったところまででしたね。

 

 冬にもかかわらず、いま祖竜に最も近いと目されている【辺境最大】(半竜娘ちゃん)にあやかろうと蜥蜴人たちが参拝しに集まるおかげで、まるで毎日お祭り騒ぎな拝竜殿周り。

 そこを取り仕切っていたのは、軽銀商会の会頭でもある女商人さんでした。

 雷電の精霊を従えて軽銀の剣を携えた彼女は、周囲を騒がせないように幽体離脱してこっそり様子を見に来た半竜娘ちゃんに対して、儲け話に一枚嚙まないかと誘いをかけたのでした。

 

『交易船、のう』

 

「絶対に今がねらい目なんですよ」

 

 具体的には、北の入り江の民(ヴィーキング)との交易に手を出さないかというお誘いです。

 なんでも近頃は王国の肝いりで、北の民との関係を強化する動きがあるとのこと。

 一方で、北へ向かう船がよく沈み、流通交易が滞ってもいるとか。

 

 であればこそ、女商人さんはそこに商機を見出したのです。

 

 航路に怪物か何かが居座っているのか知りませんが、船の沈没が相次ぎ、それで他の商人たちが及び腰である今がチャンス。

 なにせこちらには銀等級冒険者にして【辺境最大】、【鮮血竜姫】、【死封竜】の呼び名も高い半竜娘ちゃんが率いる一党がついています。

 怪物妖魔のなにするものぞ。相手にとって不足なし。いけいけどんどん船を出せー、ってなもんです。

 

「というわけで、是非とも貴女の武力を頼りにさせていただきたいのです」

 

『そうまで請われて受けぬは戦士の名折れじゃ。この手前に任せるがよいのじゃ!』

 

 

 

 

 

 

 というわけで。

 あれよあれよと話は転がり、ところも変わって王国のとある港町上空。

 

 祖竜術【竜翼(ワイドウィング)】によって翼竜形態となった半竜娘ちゃん&その背の上に乗る森人探検家・TS圃人斥候・文庫神官+幼竜娘三姉妹。

 白梟使徒はいつもの定位置、文庫神官の肩の上。契約魔神の闇竜娘ちゃんは竜牙のアクセサリ(半竜娘ちゃんの巨竜化に伴い、首飾りから手首の紐飾り(ミサンガ)に仕立て直し済み)の封具の中で休んでいます。

 麒麟竜馬たちは、お留守番。まあ、牛飼娘さんとこの牧場で、レンタル馬として活躍中ですよ。並の軍馬より強靭な馬体は結構な人気とのこと。

 

「やっぱり空を行くと早えーなー」

 のんきに空の旅を楽しむTS圃人斥候。風の精霊術【追風(テイルウィンド)】と風や天候をつかさどる交易神の奇跡【旅人(トラベラー)】の作用によりこの冬の上空でも寒くはありません。

 

「というよりお姉さまのこのお体の大きさですと空からでないと騒ぎになってしまいますし」 

 文庫神官ちゃんの言う通り、今の半竜娘ちゃん(身長5丈(15m)が地上を行こうものなら、大騒ぎ間違いなしです。陸路だと無駄に時間もかかりますしね。

 

「出てくるときもすごい騒ぎだったもんねー」 「みんな拝んでたね」 「さすがお母さま、誉れ高い」

 拝竜殿からの発進シークエンスを思い出してはしゃぐのは、幼竜娘三姉妹。単為生殖の処女産卵で生まれた半竜娘ちゃんの娘たちです。

 卵の殻のような御堂から半竜娘ちゃんがズシンズシンと進み出て、腕を翼に変えて轟ッと飛び立つシーンなど、参拝に集まっていた蜥蜴人たちの憧憬のまなざしがすごかったです。蜥蜴人のあのキロキロとした眼がまん丸になってキラキラと幼子じみた憧れに染まるのは、何とも言えない可愛さがありました。

 

 あ、ちなみに半竜娘ちゃんの装備ですが、司教服や大籠手(ガントレット)は、魔法強化された布や鎧片をかき集めてなんとか従来の性能と同等品をでっち上げてあります。だから裸じゃないですよ! ご安心ください。あと能力値強化系の腕輪や真言呪文の発動体は、大籠手に格納して組み込んでありますね。

 火吹き山の訓練施設(シミュレータ)でレアドロップを狙ったり、市場に流れている装備を買ってバラしたりして素材を集めたのですが、規格が整っておらず不揃いです。そのため色味はモザイク風味というか迷彩風というか、間に合わせ感がものすごいですが、これはこれで味があるとして半竜娘ちゃん的にはオッケーなようです。

 

 

 火吹き山の闘技場の訓練施設周回により素材を集め、経験を積んだ!

 半竜娘一党は、経験点1000点獲得! 成長点3点獲得!

 

 

 さすがにミスリルの鎖帷子は用意できませんでしたが、まあ、仕方ありません。自前の鱗があるので大丈夫でしょう。あと白亜の塔で手に入れたジェットブーツ(移動力+15)のアンクレットは、ミスリルの鎖帷子をリサイクルした鎖の帯で足首に巻いています。

 ただ、投射系の武器(南洋投げナイフ(フンガムンガ)投げ分銅(ボーラ))は、巨大化加工できませんでしたので装備していません。こればかりは仕方ありませんね。

 

 そんな具合で装備の更新というか、修復というか、拡大というかにお金を使ったので、稼がなければなりません。若干、軽銀商会から借財もしてしまっていますしね……(女商人さんがこれまでの出資の恩返しにと押し付けた面もなきにしもあらず)

 

 そのための北への交易船事業への協力です。

 まあ、他にも軽銀商会会頭である女商人さんから港町での諸々について依頼を受けていますが、それは追々。

 

 

「見えてきたわね。あれが軽銀商会が差配しているという港町かしら」

 エルフ視力で行く先を見定めるのは、森人探検家さん。

 彼女の言う通り、眼下にはきらめく海面と、波に揺れる船、その陸との境に広がるいくらかの建物が見えてきています。

 ついでに言えば、人面飛竜が飛んできたのに気付いた港町の人々が、こちらを(ゆび)さしているのも。

 

「そこまで大きな町ではなさそうじゃの」

 ぐるる、と喉を鳴らして応じたのは、飛竜形態で飛ぶ半竜娘ちゃん。

 彼女もまた、自身が身に着けた上級種族技能【竜の炯眼】により、はるか先に小さく見える港町の様子を捉えていました。

 遠くに捉えたそれは、港町というよりも、漁村に毛が生えたくらいな感じにも見えます。

 

「まだこれから発展させるところって、会頭さんが言ってたでしょう」

 

「分かっとる分かっとる。そのために湾内の整備やらなんやらを引き受けたのじゃからな」

 

「しっかしあの会頭も結構なギャンブラーだよなー。これまでの王国の大港とは違う場所に、自前で港町を作ろうってんだから」

 

「まあここらは会頭さんのご実家の領地ということですし、軽銀商会としても原材料の輸入や、製品の運び出しに大きな港が必要だったというお話ですし、ギャンブルというほどのことでもないのではないでしょうか」

 

「勝算はー」 「十分あるってー」 「言ってたー!」

 

 どうやら女商人さんは、軽銀商会の事業拡大を見越して自前の港湾を整備することにしたようですね。

 実家の伯爵家も巻き込んでの一大事業というわけです。

 

 今回の北との交易も、その一環のようです。

 それにしたって冬の荒れた海に、しかも怪物(モンスター)が航路を塞いでいると思われるそこに突っ込むのは賭けな気がしますが。

 

「まあ、それはやはり、手前が居ればこそじゃの!!」

 

「それは……そうね」

「確かになー」

「お姉さまが居れば何も問題ありませんね!」

 

 まあ一党の面々が同意するとおり【辺境最大】たる半竜娘ちゃんが居れば、暴力で片が付く問題は物の数ではありません。大船に乗った気で任せてもらいましょう。

 

 

「………ご主人がた、港町(した)の方も、着陸受け入れの準備ができたようなのです」

 文庫神官の肩にとまった白梟使徒が、地上の様子を見てホゥホゥと囁きました。

 知識神から下賜された使徒である彼女も、この北行きを楽しみにしている一人(一匹?)です。

 

 白梟使徒の言葉とおり、眼下の港町では、職人や人夫たちの混乱がおさめられ、着陸してもよさそうな広い空間ができています。

 

 そしてそこには、軽銀商会の会頭である女商人さんの姿もありました。

 一足先に別ルートで彼女は乗り込んでおり、諸々の手配をしていたのです。

 

「それじゃあ降りるとしようかの」

 

 どよめきと歓声に迎えられながら、半竜娘ちゃんが港に降り立ちます。

 辺境最大、推参! ってなもんです。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「よく来てくれました、歓迎いたしますわ」

 

 港の一角に降り立てば、冬の潮風を遮るための温かげな装いに身を包んだ女商人さんが出迎えてくれました。

 潮の匂い、建造中の建物や船の部材にするための木材の匂い、防水用のピッチタールの匂い。港町特有のこれらの匂いもお出迎えです。

 

「うむ、良しなに頼むのじゃ」

 

「こちらこそ。では早速ですが、宿泊施設へのご案内と、これからの仕事について打ち合わせを。………と、その前に、この港の責任者と、工事責任者と、曳いていただく船の船長からもご挨拶を」

 

 紹介されたのは三人の男性。

 代官っぽい只人(ヒューム)の男性と、日に焼けた親方っぽい鉱人(ドワーフ)と、同じく日に焼けて髪が潮風で傷んだ風の海賊っぽい森人(エルフ)

 

「森人の船乗り……?」

 

「珍しいですわよね」

 

「そうかな? 西の国に行くためには航海術をおさめることは必要だろう? 森人が森から離れられないなんてのは偏見さ。そう、大海原の先、未知の大地が我らを待っている!」

 森人船長はきざったらしくそう言います。

 

「実際は船団の過半が沈んで沈んだ船の船員を拾ってその分の荷を捨ててで、残った船すら売らなければならないくらいの借金漬けになってたところを金貨袋で殴りつけて丸ごと軽銀商会の傘下に収めたのですが」

 

「………ふふふ、まあその通り。面倒な金勘定や契約関係の事務を商会の方に投げられるのと、あの北方航路の化け物をやっつけられるってのも魅力的だったものでね」

 

「こちらとしても熟練の船長に船乗りが丸ごと手に入るのはありがたいことでしたし。多少の出費はありましたが、彼らの知識と経験には金銭では代えられない価値があります」

 

「しかも北方航路も熟知して、件の怪物に遭ったこともあるとなれば、申し分ないのう」

 

「そしてこちらこそ話に乗った甲斐はあったと思っているぞ、【辺境最大】の竜の乙女よ。君ならきっと、あのばけものを討ち果たし、我らの船の仇をとってくれると、そう確信できる!」

 

 実際に半竜娘ちゃんたちを目の前にして、その威容を見れば、森人船長も、その配下の船乗りたちも、女商人の誘い文句が嘘ではなかったと納得できたのでしょう。

 沈んだ船の仇が取れると気炎を上げています。

 

「まあ、まずは近場の航海をして練習しなければならないが。竜に船を曳かせるのは初めてなもんでね」

 

 祖竜術【竜翼(ワイドウィング)】の応用で、ペンギンのように翼が変形したヒレを構成できる半竜娘ちゃんが船を曳航する計画があるのです。

 これにより、風向きや日取りにかかわらずに海を進むことが出来るという計画です。

 水精霊と融合できる半竜娘ちゃんは、蜥蜴人の弱点である冬の海の凍える寒さも克服していますしね。

 

 とはいえ、実際に試してみないと、どんな問題が起こるかわかりません。

 試験航海は必要です。

 索具の工夫のための検討や、半竜娘ちゃんたち一党が船に慣れたりするための時間も要ります。

 

「手前らとしても準備は大事じゃと思っておる。よしなに頼む」

 

「一応念のために言っておくが、船では船長たる私がルールだ。指示には従ってもらうぞ」

 

「心得ておるとも、船長殿」

 

 にやりと笑って合意した森人船長と半竜娘ちゃん。

 どうやら相性は悪くなさそうです。

 

 

 

 

 そこに港の工事の責任者である鉱人が割って入ります。

 

「待て待て、そちらの竜の御仁には、こっちの工事も手伝ってもらわにゃならん。そのあたりの日取りの調整はさせてもらうぞ」

 

「うむ、そちらも任せよ!」

 

 水精霊との融合により水の化身となることが出来る半竜娘ちゃんは、港の予定地の浚渫はもちろん、そのパワーで突堤の造成でもなんでも土木工事全般に、人間重機としての威力を発揮します。

 これもまた女商人さんとの契約のうちです。

 

 しかも真言呪文【分身(アザーセルフ)】によって、人手は二倍にできます。

 そのことを説明すれば、半竜娘ちゃんの取り合いで一瞬険悪になりかけた鉱人親方と、森人船長もにっこり。

 

「その図体で、よっぽど強力な魔術師でもあるんだなあ。まさか分身まで出せるたぁ」

 

「そもここまで竜として完成されつつある蜥蜴人がただ者であるわけもなし、か。なるほどねえ」

 

 なお港町の代官の只人はといえば、こちらのパーティの森人探検家さんから、交易神の聖堂の誘致について話を持ち掛けられているご様子。

 まあ港町と交易神の教えの親和性は高いですからね。

 風もつかさどる交易神の、その神官が使う奇跡も、航海や商売には欠かせないものが多いですし悪いことにはならないんじゃないでしょうか。たぶん。

 

 

 森人船長が自慢する交易船と、それをキラキラ見上げる幼竜娘三姉妹を背景に、今回はここまで。

 ではまた次回!

 




 
前回からたいへんお待たせしましたぁ……
 
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