ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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◆前話
・北の入り江の民(ヴィーキング)との交易のために、軽銀商会の交易船事業に協力することにした半竜娘一党。
・びゅーんと飛竜形態で女商人さん(元 令嬢剣士さん)の実家の領地の一角にある元 漁村/現 造成中の港湾にやって来た一党は、先遣隊となる船の船長らと顔合わせをした(なお離陸シークエンスでは集まった蜥蜴人から拝まれた)。
・ただ、くだんの北方への航路には、どうやら化け物が居座っているようで……?


 


46/n 北辺へ -3(海竜曳航船 ドラゴン・トウ・シップの実現へ向けて)

 

 はいどーも!

 内政ターンは楽しいぞい! な実況、はーじまーるよー。

 

 前回は北方への船団を沈められて残りは旗艦1隻それ以外は素寒貧になったところを女商人さんに金貨袋でビンタされて(比喩表現)軽銀商会に就職した森人船長さんや、新しく交易のための港湾造成や倉庫街建築その他のために雇われた鉱人親方さん、そして将来的に軽銀商会の重要な港になるだろうこの地の差配を任せられた只人代官さんら、現地の重要人物たちと顔合わせしたところまででしたね。

 

 北方への航路はどうやら船団を沈めるばけものが居座って封鎖しているらしく、それをどうにかこじ開けて、停滞している北方との交易に一番槍で風穴を開けるのが、軽銀商会会頭の女商人さんの目論見のようです。

 かつて自分の船団を沈められた森人船長さんも、そのリベンジに燃えています。

 

 さて、半竜娘ちゃんたち一党はといえば、その北方航路の再打通のための戦力兼、竜が曳く船の牽引動力としても期待されています。

 また、その巨体と真言呪文【分身】などの高等魔法を生かして、港湾施設の造成を加速させることもその業務に含まれています。

 

 竜が曳く船なんて、あまり参考にできる例がありませんので、必要な索具(さくぐ)の試行錯誤から始めなければなりません。

 索具が形になればそれを使っての試験航海も必要ですし、それに半竜娘ちゃんら一党が海に慣れる時間も必要です。海上戦闘が予想されますからなおさらですね。

 冒険とは、日々の訓練と準備の集大成。その基本に忠実に、積み重ねていきましょう。

 

 その間に同時並行で、半竜娘ちゃんは【分身】を駆使して港の造成に携わる予定です。

 主に精霊術奥義【相 転 (スピリットフォーム )・ 水( オブ ウンディーネ)】を併用して、海底の浚渫や、突堤の基礎の造成などの、重機が必要なレベルの水中作業のお鉢が回ってくるのだと思われます。

 この辺は鉱人親方さんともすり合わせしつつ、半竜娘ちゃんが 〝何ができるか〟 を見極めていく感じですね。

 

 

 というわけで港街に滞在して航海日和を選んで待つこと幾日か。

 さっそく、通常の航海の様子を見てみるために、森人船長さんの船に乗せてもらって、訓練がてら近海をクルージングです。

 

 川船には幾分か馴染みがある半竜娘ちゃんたちですが、外海用の船に乗るのは初めてです。

 なお半竜娘ちゃん本体は、飛行用の祖竜術【竜翼(ワイドウィング)】で空から見ています。

 

 同時に、真言呪文【分身(アザーセルフ)】の派生で作成した縮小分身体も船の上に乗せています。*1

 分身の方の半竜娘ちゃんは、甲板の上で水夫たちの動きを見ながら、隣を歩くTS圃人斥候と会話しているところです。

 

「そういやー、卓越した術者は分身の数を増やせるって聞いたことあるけどよー、リーダーはできねーのか?」

 腕を頭の後ろに組んでTS圃人斥候が、自分の倍の背丈はある半竜娘ちゃん(身の丈11尺版の分身体)に問いかけます。

 

「ふぅむ、白金等級一党の賢者どのや、ひょっとしたら辺境最強の片割れたる魔女どのなら出来るかも知れん*2し、牙の街の牙の塔で見た記録でもそういったことが出来た術者は過去にもいたようじゃが」

 半竜娘ちゃん(分身体)が潮風を浴びて目を細めながら、自分の腰ほどの背丈もないTS圃人斥候へ、屈みながら言葉を返します。

「術者の魔術的な技量のみならず、そういった並列思考への適性のようなものも必要なようじゃな。手前も、竜の巨体を得て、腰や首のような(かなめ)の節でもある程度の脳の補助ができるようになってきておるから、もう少しでコツを掴めそうなのじゃがな」*3

 

「もし分身増やせるよーなら便利そうだなー」

 

「そうじゃな。ただ、安易に頼ると酷いことになる。一つ間違うと、ほれ、このあいだの太歳星君(ジュピターゴースト)の二の舞じゃ」

 

「そりゃヤべえー」

 

 天気晴朗、波高し。

 冬の海の風は強く、甲板には波を割る舳先からの飛沫が流れて吹き付けてくる。

 

「お姉さま」

「うむ、うちの金庫番の具合はどうかの」

 

 潮風を嫌っていつもの鎧ではなく、風の司(かぜのつかさ) ── 風の精霊術や、天候操作の真言呪文、あるいは交易神の奇跡を使って船の運航を助ける術者の総称──のような術師風のローブに身を包んだ文庫神官が船室の方からやってきました。

 

「ちょっと厳しそうでしたね。船に慣れてもらうまではしばらくかかりそうです」

 

 文庫神官ちゃんは、さきほどまで、船酔いと寒さにやられてしまった森人探検家さんの看病をしていました。

 ほら、森人探検家さん、体力点が1で持久度が0しかないから、いくら体力強化の指輪で補助していたとしても、船酔いとかの【体力持久】の値で判定するやつには弱くてですね……。

 

「うぅむ、北の外海では、揺れはこんなものではないと聞くが、本当に大丈夫かのう」

 

「航海は何日かかかるし、いざとなりゃーリーダーが天候操作の術で嵐は退けられるとはいえ、なあ」

 

「何か船酔いに効く薬が手に入らないか、探してみますね」

 

「そうじゃな。もし調合が分かれば手前が調合しても良いしな」

 

「冬の寒さや潮風は、まあ、着こんで対策するしかないですね。雪山に行った時の装備が使えるといいのですが」

 

「だなー」

 

 やはり訓練航海はやってよかったですね。

 いきなり航海本番では、たぶん森人探検家さんの身体が持たなかったでしょうし、当然、化け物退治どころではありません。

 遠隔攻撃の要である森人探検家さんに無理をさせられないなら、すこし戦術も練り直さなければなりませんし。

 

 

 

「おかーさんおかーさん!」 「見て見て!」 「ねずみ捕まえたー!!」

 船倉につながる階段から駆けあがってきたのは、愛らしい幼竜娘三姉妹です。

 それぞれの両手に何匹もの鼠を捕まえて、その尻尾を束ねて持ってぶんぶん振り回しています。

 

 はい。

 この時代の船は、鼠の被害と切っても切り離せません。

 

 重心を安定化させるためのバラストとして石が船底の空間に敷き詰められているのですが、そこには船の汚水やゴミやらなんやらがすべて流れ込み、下水道もかくやの鼠と蟲の温床になるのです。

 鼠としては積み荷の袋をかじって穴を空ければいつでも食料にありつけますし、バラストの石くれが組み合わさってできた空間は巣穴に最適。

 まこと不衛生極まりない……。

 

「おー、はしこいのによぅ捕まえられたのう」

 

「簡単簡単!」 「たくさん居たので」 「捕り放題!」

 

 狩りをしてはしゃいでいる幼竜娘三姉妹が言ったことを聞いて、文庫神官の顔が引きつります。

 そして彼女は半竜娘ちゃん(縮小分身体)に目配せ。

 唇の動きだけで会話します。

 

「(絶対に綺麗に一掃しましょう……!)」

 

「(そうじゃの。毒のブレスでも船底に吹き込んで一網打尽にしてやれば良いかの)」

 

「(そのあと出る死体もどうにかしませんと!)」

 

「(死霊術の巻物(スクロール)でも手配して粘菌(ウーズ)の類でも作成して使役すれば良いかのう。全部食わせれば綺麗になろう)」

 

「(ぜひそうしましょう!!)」

 

 はい、ということで船底の浄化作戦が行われることが決まりました。

 船の上で病気になるのは避けたいですからね。

 特に抵抗力(体力持久値)が低い森人探検家さんの健康のためにも、感染源は減らしておくべきでしょう。

 

 

 

 そして、半竜娘ちゃんと文庫神官ちゃんが目配せと読唇術と身振り手振りで会話している間に、幼竜娘三姉妹はTS圃人斥候に纏わりついています。

 自分と同じくらいの背丈の3人に詰め寄られてしまえば、TS圃人斥候とてなかなか逃げ出すこともできません。

 

「じゃあ斥候のおししょー様!」 「影の術でデッカイ釣竿を出してください!」 「(コレ)を餌にして大物を釣ります!!」

 

「おいまてその鼠をオイラに近づけるなわかったわかった釣竿は出すから……!」

 

「わーい!」 「やったー!」 「早速行きましょうー!」

 

「まてこらおい担ぐんじゃねえちょっとまておい降ろせー!」

 

「「「 わっしょい! わっしょい! 」」」

 

 そのまま幼竜娘三姉妹に担ぎ上げられて船尾の方へと連れられて行ってしまいました。張り巡らされている操帆用のロープを器用に避けながら上手に後ろに向かうさまは、熟練の水夫にも引けを取らないように見えます。半竜娘ちゃんのエリートな遺伝子がもたらす才能の暴力!

 さて、きっと連れられて行ったTS圃人斥候も、なんだかんだ幼竜娘三姉妹には甘いので、たぶん真言呪文【影写(フェイク)】の術で、南の奇跡の島でも釣りに使っていた大きな釣竿のコピー品でも出してあげることでしょう。

 でもネズミを餌にとのことですが、この辺でそんなのを食うような大物、何が釣れるんでしょうね……。サメとかでしょうか、それともシーサーペント?

 

 そういえば、森人船長さんたちから聞いた、北航路に居座る怪物、というのも、いまいち確定しきれないのですよね。

 クラーケンみたいな触手に船ごと引きずり込まれたとか、いいや巨大なサメに齧られてごっそり船体がえぐれたとか、鉄でできたクジラみたいなドでかいのにぶつかられて竜骨が折れたとか……。*4

 

 

「魚のエサと言えばですが……」

 

「ああ。アレもどうにかせねばじゃな」

 

「ですね……」

 

 残された文庫神官ちゃんと半竜娘ちゃんが遠い目をしています。

 彼女たち二人が見る方向は、船首……つまり風を受けて進む船ではもっとも風下の方向です。

 そこでは一人の船員が、桶の中身を船首方向の(げん)から捨てているところでした。

 

 (バケツ)の中身は……はい、まあ、あれです。ウン○ですね。船にはトイレがなく、全員がボトラーならぬバケツァーなわけです。ある程度溜まったら、まるごと中身を海にポイってわけですね。ある意味では魚のエサにもなります。

 船首の方で片手でロープを掴んで直接ブーラブラさせながら小用をたしている船員も居ますね。

 なんなら同乗している見目麗しい乙女たちである半竜娘ちゃんたちに見せつけているつもりなのかもしれません。セクハラ野郎がよ、ペッ!

 

「手前が船を曳くとしたら、アレがそのまま曳いておる手前に掛かることになるのじゃよなあ、このままじゃと」

 

「許せません。ダメです。絶対に、絶対に、ぜーったいに、許されません……!!」

 

「手前も嫌じゃよ。何が悲しぅて糞尿まみれにならねばならんのか」

 

 ため息も出ようというものです。

 

「あとは、索具も工夫せんと、なにか怪物に襲われた時に手前が素早く迎撃に出られん可能性があるのう」

 

「下手したら縄が絡まってどうしようもなくなる可能性もありますよね、おねえさま」

 

「そもそも普通に繋いで曳いたら下向きにも多少の力が掛かるじゃろ? その向きの力に耐えられる構造なんじゃろか、船というものは」

 転覆するのは嫌じゃぞ、と半竜娘ちゃんは心配しています。

 

「まあ曳く力を船体に対して水平に加えるのが一番無駄(ロス)がないですが」

 

「陸に戻ったら親方に相談してみるかの」

 

「それが良さそうですね」

 

 

 というわけで、森人探検家さんの船酔い問題に、竜が曳くにあたってのトイレ処理問題、そして竜曳航船としての工夫の仕方の問題など、いろいろと気付きがあって有意義な航海訓練でした。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

陸地に戻って

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

 遠洋航海する船の衛生環境に打ちのめされた半竜娘ちゃんたちは、森人船長さんにお願いして毒の竜息(ブレス)による燻蒸の日取りを調整すると、今度は陸地に戻って鉱人親方と打ち合わせです。

 訓練航海日和を待っている間に、半竜娘ちゃんが使える術と使用回数、そして、それぞれの術でできることを伝えてあったので、それをどのように港湾づくりに生かすか、親方が考えてくれたようです。

 

 軽銀商会の大規模商館(現在まだ作りかけのため使える部屋は限られていますが)の一室。

 その部屋のテーブルの上には、港近くの海の海図に重ねて、港湾の設計図が広げられています。

 

 テーブルを囲むのは、鉱人親方と、半竜娘ちゃんの縮小分身体、そして文庫神官ちゃんです。

 半竜娘ちゃんの本体(身の丈5丈(15m))は、港の方の工事現場で重機代わりに活動中です。

 

 ここに居ない森人探検家さんは、温かい部屋で横になっています。本当は、軽銀商会として積んでいく交易品の吟味に立ち会ったり、交易神の聖堂を誘致するための場所の確保に只人代官さんを相手に丁々発止のやり取りを繰り広げる予定だったそうですが、体調不良(グロッキー)なら致し方ありません。

 あ、TS圃人斥候は、幼竜娘三姉妹の子守で彼女らに引きずられていきました。子供のバイタリティに付き合うのはしんどいですが、まあがんばれ。

 

 閑話休題。

 では色々と鉱人親方と打ち合わせして参りましょう。

 

「ここからここまで浚渫したいんだが、精霊転化の術でいけそうか」

 

「水精霊変化の術であれば容易いことよ」

 

「おお、さすがだ。頼もしいぜ」

 

 まず半竜娘ちゃんにしか出来ないこととして、港湾造成業務の候補になっているのは、港までの船の通り道や、港内の海底の土砂を深く掘り下げる浚渫(しゅんせつ)の作業です。

 精霊術奥義【相 転 (スピリットフォーム )・ 水( オブ ウンディーネ)】は、半竜娘ちゃんが自らの契約精霊である蛟竜の水精霊【ミズチヒメ】と同調し、水の精霊そのものへと転化し、自然の化身として力を揮うというヤバい級の術です。

 荒ぶる大海、その潮流そのものと同化すれば、海底を抉り取るくらいは容易いこと。浚渫もきっと出来るはずです。

 

「そのために、ここ数日でここいら一帯の精霊とも対話しておったところじゃ。余計な横やりや、精霊のいたずらが入らんようにのう」

 

「ああ、なんか森人(エルフ)の連中が騒いでたな……。精霊の声がー、とかなんとか」

 

 まあ当然、既存の精霊のナワバリの関係もあるので、スムーズに事を進めるためには筋を通さなければなりません。

 訓練航海のために日和を選んで待機していたこの数日で、半竜娘ちゃん(本体)は、深く瞑想しつつ周囲の精霊へ働きかけを行い、工事のための説得(じもとじゅうみんせつめい)をしていたようですね。

 あ、その際の供物(てみやげ)は軽銀商会持ちですよ、もちろん。どうも調子に乗って人柱を要求するような邪精霊もいたらしいですが、それは半竜娘ちゃんが調伏したそうで。

 

「あとは浚渫した(けずってほった)場所が崩れんように岩に変えて補強したりとかが必要かの」

 

「そうだな、そこまで出来れば助かるが……」

 

「真言呪文【石壁(ストーンウォール)】や精霊術【石弾(ストーンブラスト)】なんかの応用で何とかなるかもしれん。他の方法もあるかもしれんし、試行錯誤してみようかの」

 

 あるいは放射熱線で海底の泥を加熱しつつ、風化を含む自然作用を加速させる祖竜術【腐食(ラスト)】を作用させることによって、疑似的に造岩過程を再現してやるのも有効かもしれません。堆積岩を人工的に作ってやるわけですね。

 【石壁】とかの術で作った石を使ってると、いくら永続化させたとしても、何かの拍子に【解呪(ディスペル)】されて消え去りかねませんから、むしろ加熱と時間加速による造岩過程再現の方が有効な可能性もあります。

 

 他にも訓練航海で気づいたことや、索具のアイディアなどについて話し合っていきます。

 

 北辺の入り江の民(ヴィーキング)の度肝を抜いてやるための『海竜曳航船』……ドラゴン(Dragon)トウ(Tow)シップ(Ship)が実現する日は、そう遠くないでしょう。

 

 

 というところで今回はここまで!

 ではまた次回!

 

 

*1
◆縮小分身体:マナで構成された分身体なので比較的大きさの自由が利く。なお作成方法は、本体の半竜娘ちゃんが両手で包むようにした狭小空間内に分身を作成し、それ以上大きくならないように物理で押さえ込む手法を取っている。作成時に肉がひしゃげて骨が連続して折れるような音が聞こえるのはご愛嬌。

*2
◆分身体の複数運用:少なくとも勇者一行の賢者ちゃんはできることが、原作小説第13巻で明らかになっている。さらに個別に変装呪文をかけて、影武者に仕立てているので、賢者ちゃんの脳の処理能力はヤバイ級。

*3
◆複数の脳:東宝映画「ゴジラvsメカゴジラ」において、ゴジラは「第二の脳」を持つとされている。また、一部の恐竜でも仙椎の神経節が発達して「腰の脳」の役割を果たしていたといわれている。

*4
◆北航路の化け物:タコ(オクトパス)サメ(シャーク)の特徴を持ってて鋼鉄(メタル)で構成された巨大(ギガ)な化け物……。そういえば、昔、半竜娘ちゃんたちが海底のお宝を探索して【動力炉心(パワーコア)】を得たときに、半竜娘ちゃんたちですら逃げ出すしかなかった化 け 物(メタルギガシャークトパス)が居ましたね?

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