ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
◆前話
しゃーくねーど しょうかん ! そして ばくは !!
はいどーも!
戦ってるのは半竜娘ちゃんだけじゃない、だって仲間がいるもんね! そんな実況、はーじまーるよー。
前回はメタル・ギガ・シャークトパスと邂逅し、海中戦闘を始めた半竜娘ちゃんが、メタルギガシャークトパスが吐き出した半生体魚雷子鮫たちの織りなす海中シャークネードに包囲され、それらが起爆したことによる大爆発に巻き込まれたところまででしたね。
事前に【力場】の魔術でバリアを張り、海面方向の爆裂子鮫たちを放射熱線で排除しつつ浮上していたところでしたが、果たして無事なのかどうか……。
というところですが、今回は海上の様子をご覧いただきます。
時間軸的には、半竜娘ちゃんが爆裂シャークネードされる少し前くらいです。
少し離れていたところで転覆しないように頑張って船を操作している森人船長たちですが、
夜のように思えるほどに光を遮る、分厚い嵐雲。
ビカビカと落ちる雷と幕電。
うねる高波。
矢弾のように吹き付ける雨。
その嵐の外に広がる不気味なオーロラが時折垣間見えますが、それすらも、まるで空にヒビが入ったかのようです。
そんな、世界の終わりのようなその光景は、豪胆な歴戦の船乗りたちをもってしても、心胆を寒からしめるに十分です。
恐ろしい嵐の海。
海魔が巣食う死の海域。
「だからなんだってんだ! 船団の仇を取ってくれようと竜の嬢ちゃんが頑張ってるってのに、日和ってるやつなんか居ねえよなあ!!?」
「「「 もちろんです、船長!! 」」」
しかしこの
もちろん、彼が率いる船員たちにも。
周囲には、かつて自分たちが乗っていた船の残骸が、黒々とした海流に浮き沈みしているのが見えます。
海魔に屠られ、命からがら逃げかえるしかなかった、かつての後悔。
そんな中で、海魔に立ち向かっている竜が居るのです。
船を曳いてくれた、あの美しい蜥蜴人の
その覚悟を見て奮い立たなくては、海の男とは言えません。
神掛かり的な海流の読みと卓越した操船で、それらの残骸を避け、波を乗り越えながら、森人船長たちは機会をうかがっています。
竜の助けとなる機会を。
軽銀商会に拾われて得た、リベンジの機会。
しかも、玉砕覚悟の特攻というわけではなく、まともに勝機のある戦いだというのですから、これで燃えなければ海の男ではありません。
海魔討伐・航路開放の主役はもちろん半竜娘ちゃんですが、それは、森人船長らが何もせずにいるということではないのです。
例えば、この海竜曳航船は、牽引のために前方の構造を強化してある特殊な船です。
「つまり、
風を読み、海面下での巨影の動きを計算に入れ、虎視眈々と援護の機会を窺う。
嵐の中でこれを為すことがどれほどの難事でしょうか。
ですが、やらないという選択肢はありません。
たとえ海魔本体は相手にできずとも、その眷属の、あの海面からそそり立つ蛇のような、あるいは蠕虫のような怪物たちを惹き付け、轢き潰すことは出来るはずです。
「機会を逃すなよ! 気合入れていけ!!」
「「「 アイアイサー!!! 」」」
一方同じ船上では、半竜娘ちゃんの一党の仲間たちもまた、
雨の勢いは強く、ほぼほぼ水中にいるような状況ですが、【水中呼吸の指輪】のおかげで、水属性由来のデバフは無効化できているので、何ほどのことはありません。
まあ、揺れは無効化できないのですが。
「……エルフパイセン、だいじょぶそ?」
「うっっぷ……、ま、まあ、なんとか……」
「こーれはダメみたいですね」
「いえ、っぷ、ぅぇ、……いけるわよ、
おかげで若干一名グロッキーです。
嵐でグワングワン揺れる上に、波と波の間を突き上げられては落ちてと上へ下への大騒ぎですからね。
そりゃ酔います。歴戦の船乗りでも酔うでしょう。ましてや体力のない森人探検家さんは、もう現時点で息も絶え絶えです。
一方で、斥候として身体バランスに優れるTS圃人斥候はこの揺れでも平気ですし、体力お化けの
こんな本職の船乗りでも酔いかねない大揺れの中で、さすがですね。
あ、幼竜娘三姉妹たちは、甲板の下の船室で補助のためにスクロールを消費して精霊術を発動してもらっています。
あらかじめ呼び出しておいた水精霊や風精霊に指示を与えて、船を守る役割ですね。なにげに重要な役目です。
白梟使徒はそちらのお目付けで残っています。この冬の嵐の中で、小さな体を雨に晒させるのは酷ですからね。
と、そのとき、離れた水面が俄かに白く染まり、とてつもない轟音とともに吹き上がりました!
シャークネードの爆発です!
「あれは……おねえさま?!」
吹き上がった海水の中から、真っ先に、
雷光に照らされる頭目の姿は、見る限りは五体満足に見えます。
魔法による防御が上手くいったのでしょう。
まあ、爆発の勢いできりもみ回転しながら飛ばされていましたが、それも猫のようにしなやかに身体をひねって、すぐに安定させたようです。
「あ、何か言ってらっしゃいます……『え』『ん』『ご』……援護?」
見れば、半竜娘ちゃんは空中に浮かびながら── 全長が300メートル相当なのであまり高く飛んでいないように見えますが、実際は百数十メートルは上空です── 一緒に吹き飛ばされた船の残骸たちを蹴り落して、それを弾丸代わりにし、下から伸びてくるメタル・ギガ・シャークトパスの触腕を迎撃しています。
ですが蹴とばせる残骸の数には限りがあり、身動きできない空中では不利があります。
「ぅぷ。やるわよ……斥候のあんたは、影の魔術で足場になるものを出しなさい……」
「足場ぁ? 板切れでも出せってのかよー?」
「違うわ。とにかくでっかいやつ、船か何かの残骸よ。私も魔法で巨大化して、あの海魔に矢を叩き込むわ。そのとき、飛び移っても、耐えられる、やつ、よ」
「あー、なるほど? でも、いけるか? そんなデッカイやつ……?」
森人探検家が青い顔のまま、TS圃人斥候に要求したのは、影の魔術【
「大丈夫だと思いますよ」
そこに文庫神官が補足します。
彼女は知識神の神官として、一党でも、半竜娘ちゃんと同等以上に呪文に造詣が深いのです。
「確か、【
「まあな」
「究極のところ、術は行使者の認識次第です。例えば……そうですね、そこらに浮かんでいる船の残骸……銀貨百枚払ってでも引き取りたいと思いますか?」
「いや、思わねえな。ゴミだろ」
「そういうことです。それに、ここは暗い海です。材料になる影も、
「ふむふむ……。確かに……。うん、それなら、なんかいける気がしてきたぜ!」
いいくるめ成功!
これで森人探検家さんが巨大化したときの足場は確保できそうですね。
重量超過で、この海竜曳航船が沈む心配はとりあえずしなくて済みそうです。
「じゃあ、行くわよ!」
森人探検家が真言呪文【
「足場は任せろ……!
TS圃人斥候の影の魔術が、船の残骸をコピーして増殖させます。
海中から次々と浮かび上がる、真っ黒い影でできた、船の残骸たち。
森人探検家は、スクロールの力を開放して巨大化しながら、風と水の精霊の助けを借りて、その残骸の上に危なげなく飛び乗りました。
嵐の海面で浮き沈みしているというのに器用なものですね……。とても船酔いしているとは思えません。武技【
「では私はおねえさまに【
──── 闇よ、落ちるなかれ!!」
今回は海上ということで錆びるのを避けるため金属鎧は脱いで楚々とした司祭服に身を包んでいる文庫神官ちゃんが、知識神へと祈りを捧げ、奇跡を
次の瞬間、嵐の空中を落ちながら戦っている半竜娘ちゃんへと、一筋の天啓が落ち、彼女に未来予知じみた閃きを与えました(※ 運命の揺らぎを局限し、2D6の判定ダイスの片方を固定値にする効果)。固定値を称えよ!
そしてさらに、輝く神の力が壁となり、海竜曳航船を包んだのでした。【聖壁】の奇跡によりこれで防御も万全です。
「さぁて、それじゃあこちらも仕事をすることとしましょう!」
ぎりりと引き絞られる大弓。
凛とした森人探検家さん(巨大化済み)が、いまだに滞空する半竜娘ちゃんを襲おうと空に伸びるメタルな触手に狙いを定めます。
「シッ!」
次の瞬間、達人の技量で放たれたのは、目にもとまらぬ三連射!!
『『『 OOOCCCTTTOOO!!!?? 』』』
命中!
遠く嵐と荒波の音を越えて聞こえたのは、海魔の悲鳴!
正確無比な射撃が、海面にそそり立つ海魔の巨大な触腕を射抜いたのです。
一本一本が、船一隻に巻き付いて海中に引きずり込むのに十分な大きさのそれが、次々と槍のように太い矢で貫かれていきます。
揺れる海面の残骸の上から、遠くで蠢くタコの触腕を射抜くとは、まさに神業!!
筋肉かサーボモーターか神経節か、おそらく触腕の動きを支えるどこかの急所を射抜いたのでしょうか、貫かれた触腕は、動きを鈍らせます。
「援護はこれで十分かしら? ……早めに決着するといいんだけど……ぅっぷ」
森人探検家さんの尊厳が守られているうちに決着がつくことを祈って……。
それでは今回はここまで、また次回!!
ちかいうち(有言実行)