ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
◆前話
はんりゅうむすめちゃん の だいばくはつ !!
なお、【
はいどーも! 海魔を倒して交易に向かう、そんな実況はーじまーるよー。
前回は爆発オチで
というわけで今回は、まずはその決着を見守っていた仲間たちの視点からです。
爆心地から離れたところでは、臨戦態勢の
文庫神官が請願した【
「えぇ……? 急に嵐が止んで晴れたかと思えば、空から雷がいっぺんに落ちて、そんで海が持ち上がって海魔が落ちて、やべー光が空に走って、直ぐ後になんか海の中が光って……えぇぇ???」
甲板の上では森人船長さんが目まぐるしい展開についていけず、頭上に疑問符を浮かべて混乱しています。
まあ、さもありなん。
ちなみに、海竜曳航船は海竜曳航船で、いくつかメタル・ギガ・シャークトパスの触手を撃破しています。
衝角にも、貫かれ引きちぎられた触腕の残骸が刺さったままです。
なかなかやりますね!
「終わったみたいね………うぷっ……オロロロロロロ」(嘔吐)
「しにそう。おいタンクこうはい、
「あぁ、さすがですぅ、おねえさまぁ………」(鼻血)
一党の面子は、こう、死屍累々って感じですねぇ………。
まず、いよいよ船酔いが限界を超えたせいかゲーゲー吐いてる森人探検家さん。
半竜娘ちゃんが水精霊と合体したあたりで、
ただ、気が抜けたのが原因か、不調が一気に来たようです。青い顔で手近な桶に顔を突っ込んでいます。
それでも絵になる風情なのはさすがエルフ。
その隣で顔中の穴から血を流して倒れてピクピク痙攣しているのはTS圃人斥候。
文庫神官に〈いいくるめ〉られて無茶な魔術の使い方をしたせいで鼻血と耳血を出して倒れています。
専業のマジックユーザーでもないのに、影の魔術で幾つも、船の残骸みたいな巨大なものを複製した反動ですね。流石に無理があった模様。
この中ではTS圃人斥候のダメージが最も深刻です。
最後に文庫神官ですが、彼女は半竜娘ちゃんの勇姿を見て、テンションアゲアゲのガンギマリになっています。
他の2人に比べればまだ元気そうに見えますね、……見た目だけなら。
表面上は通常運転に見えなくもありませんが、実際は、
鼻血が出てるのも、請願した
まあ、彼女たちの介抱は、船に残っていた幼竜娘三姉妹&白梟使徒がやってくれるでしょう。
ポーションとか【
そんでもって、半竜娘ちゃんの方はと言えば。
当然、彼女の眼下、海を固めた水盆の上では、
「ふぅむ。こいつは戦利品としてどうにか持ち帰りたいのぅ」
爆発を収束した衝撃波によって、まるで素手で解体した魚みたいなぐちゃぐちゃの三枚おろしになっているコレですが、それでも貴重な素材には違いありません。
そもそも生命の輪廻を信じる彼ら蜥蜴人の価値観からすれば、この
とはいえ、
沈まぬように海水を固めて支えている半竜娘ちゃんの水化龍人モードも、永続するわけでもございませんし。
「となれば、今のうちに目的地の方へと、行けるところまで行ってしまうのが吉かの」
逆に言えば、水化龍人モードが保つうちに、ガンガン進んでしまえばいいわけです。
海そのものとなったいまの半竜娘ちゃんであれば、
「今の
ちなみに。
津波の速さは水深が深いほど速くなるそうで、その速度は「(水深×重力加速度)の平方根」という計算式で表されるらしいです。
自然現象そのものとなっている今の半竜娘ちゃんであれば、同じく自然現象である津波と同速度も出せるというのが道理です。
それではいざゆかん! 怒濤のごとく!
「それでは皆の衆、しっかり掴まっておれよ! ───
半竜娘ちゃんは海に飛び込んで同化すると、周囲の海水をまるで手や爪のように操って、
その姿は、水で形造られた巨大な長い竜の背に、船や荷物(怪物の死骸)が乗せられているかのようです。
海流そのものを竜として具象化したような姿── 蛇のように長い身体は、ドラゴンというよりナーガ、あるいはオルムですが── になった半竜娘ちゃんは、まるで津波のように、あるいは大雨の後の急な川のように、はたまた離岸流のように、ひたすらに加速し始めました。
半竜娘ちゃんという名の海流に乗る船だけ見れば超速ベルトコンベアじみた光景です。見方を変えれば、蟻の行列に運ばれる獲物のようなというか、素早い百足の甲羅に乗ったようなというか、大蛇の背に貼り付けられたようなというか……。
「「「 のわぁああああ?!?! 」」」
水夫たちの野太い悲鳴を引きずりながら、一筋の水流と化した半竜娘ちゃんの背に乗せられた海竜曳航船は、あっという間に、嵐が消えて凪いだ冬の海のさざ波の向こうへと遠ざかっていきました………。
▼△▼△▼△▼△▼△▼
一方そのころ────。
それでは今度は、海上特急『半竜娘ちゃん号』が運ぶ、軽銀商会の交易船である
そこは、王国の北の
鋼の秘密を知る民にして、恐るべき蛮人たる、
また、王国の騎士にして王の親族── 現王の叔父:先王が娶った北の蛮地出身の側妃の弟── が入り婿して
王国に編入されたならば、国営機関である冒険者ギルドを置く必要があるのですが、〝文化がちがーう〟 ので、この地の人々は、冒険者に馴染みはありません。
冒険者、と名乗ったとしても、「ああ、ならず者か」とか「盗人だろ」とか言われるのがオチです。
そういった認識を覆すためには、実物を派遣するのが一番です。
まずは国営ギルドに管理されたまっとうな
……いえ、でも、
ま、まあ、品行方正で多種族混成パーティで、辺境最優との異名を持つ冒険者ですから、ええ、はい、真っ当な冒険者と言えるでしょう。
まあゴブスレさんはともかくとして、女神官ちゃんなんかは、どこに出しても恥ずかしくない王道的な冒険者ですし。
それに少なくとも、きっと彼らなら、悪いことにはならないでしょうからね。
いろんな意味で。ええ、たとえ、その派遣先に混沌の気配が蠢いていたりしたとしても、です。なにせ立派な冒険者ですもの。
そういう不確定事象に備える判断もあっての信頼のおける人選というわけです。
閑話休題。
それでその北の蛮地の港街とその近隣の村々ですが、そこもまた、
海魔に押し出されるようにしてやってくるゴブリンをはじめとする他の怪物たちとの戦いで、徐々にですが戦士は傷つき、物資だって減るばかり。
商い(あるいは略奪遠征)に出した船も、海魔の仕業か、一隻も戻ってはこない……。
しかもどうやら状況証拠的に、半竜娘ちゃんが戦った海魔メタル・ギガ・シャークトパスではなく。
また別の、しかし似たように蛸神の系譜にある混沌の
〝あれが最後の一匹とは思えない〟 とは誰のセリフだったか……。
その言葉が示す通り、どうやら今年はこの海魔といい、メタル・ギガ・シャークトパスといい、蛸の
ですが、その蛸神の系譜に連なる海魔による海上封鎖に悩まされていたのも、先ほどまでのこと。
つい数刻前に、
………蛸の化け物には
ついでに
ともあれ、
酒! ごちそう! 酒!
そういうあれですね。
というわけで、宴です。ドレッカドレッカ。
栄えている港町ですので、連日の宴であっても、酒も食べ物が尽きることなどありません。
燻製ニシン、干しタラ、ガチョウのロースト、カブのシチュー、
傷を負った戦士たちも、包帯に血を滲ませたままに宴に出ています。
嗜虐神の信仰が篤いこの地では、戦士の傷は神への捧げものでもあるのです。
あえて治さないのも粋とされます。
なかなかやはり文化が違いますねえ。
王国では混沌側に傾いた神格と解釈されがちな嗜虐神ですが、
そのへんは環境の違いによるものではあると思うのですが、文化の違いを考察するのも面白いですよね。
さて、海魔退治の功労者であるゴブリンスレイヤーさんたち一党も上座で歓待を受けています。
客人として歓迎された1回目の宴に比べると、戦場を共にしてさらに武勲を上げた後のこの2回目の宴では、北方の戦士たちとの距離もさらに近づいているように見受けられます。
やはり暴力こそが蛮地での存在証明。
名誉ある戦を制したゴブスレさんたちは、名実ともに、客人ではなく彼らの戦友となったのです。
「同胞と、戦友と、勝利に!!」
御託をくどくどしく並べないのが北方の流儀です。
短く端的に発された
「勝利に!」
「ヴァルハラに!」
「海魔の最期に!」
「頭領の雷の剣に!」
「平和に!」
「夜の母たる神の加護に!」
そして彼らは上座に座り同じく角杯を掲げる、
「「「 冒険者に!! 」」」
当然、一党もそれに答えます。
「「「 勇敢なる北方の戦士に!! 」」」
──── 乾 杯 ! !
とまあ、こんな調子で
宴が始まってからしばらくして、港からけたたましくカンカンと鳴り響く半鐘の音が、祝いの席の空気を切り裂きました。
外から飛び込んできた、蒼白な顔の伝令らしき兎人が
「それで、そこな伝令はなんと?」
ぐるりと眼を回して巡らせた蜥蜴僧侶が、妖精弓手に問いました。
妖精弓手の笹穂耳であれば、たとえ囁き声の伝令でも、同じ上座にいれば聞き取れることを知っているからです。
「なんか海の方で
ぴこぴこと笹穂耳を動かして音を拾った妖精弓手さんによれば、海で異変が起きているようです。
「水が引いた後は大波が来ると聞いたことがございまするぞ」
祖竜を滅ぼしたあの憎むべき隕石衝突により生じる現象の研究成果の一つとして、蜥蜴人には津波の知識も伝承されているようです。
そう、海の水が急に引くのは死亡フラグです。津波てんでんこ。すぐに逃げるべきことです。
「え、それなら逃げないと危ないんじゃないですか?!」
女神官ちゃんの懸念ももっともです。
彼女は寡聞にして海がそのまま襲ってくるような現象に心当たりはありませんが、一党一番の知恵者である蜥蜴僧侶の言葉であれば信じるに値します。
「とりあえず高台に移動するべきじゃろうの。水の精霊もざわめいておるようでな」
鉱人道士がポンと腹を叩いて立ち上がります。
精霊術師としての彼の感覚も、海の異変を感じているようです。
─── おそらく
─── いや、王国育ちの
そのようにいくらか見解を交わしながら、一党の面々が議論するのをゴブスレさんはじっくり聞いています。
一党の意見を汲み、最終的に判断するのが
と、次の瞬間、外からどたどたと大勢の駆ける音が聞こえたかと思えば、酒宴会場の広間の戸が大きな音とともに開け放たれました。
「
「お妃様!
※なお、北方の言葉は皆様にお届けするにあたり都合により庄内弁に翻訳しておりますのであしからず。
姫騎士やブリュンヒルデもかくやの美しい
閑話休題。
竜と聞いて、一瞬、宴に空白が生まれます。
真偽をいぶかしむもの、戦機にいきり立つもの、笑い飛ばそうとするもの。
戦士たちの反応は様々です。
「ほう! 竜と申しましたかな!」
たまらず立ち上がったのは蜥蜴僧侶。
蜥蜴人として、竜と聞いては黙っていられません。
「して、その竜とやらはどのような? 赤き竜か、白き竜か、はたまた祖竜の生き残りか………」
「ありゃ水の精霊竜だ。王様の
竜船というのは、大型軍用ロングシップのことですね。その全長は40mほど。
つまり、120mを超える背丈の竜だと、この戦士は言っているのです。
「水の精霊竜……。なるほどのう、水精が騒いでおったのはそのせいじゃな」
鉱人道士が納得の声を漏らします。
「………私、猛烈にいやな予感がしてきました」
何かを悟った女神官ちゃんが、思わず手を組んで祈りを捧げます。
何故かと言えば、彼女の知り合いに、精霊術の奥義により水の精霊と合体できる術師がいるからです。しかも竜の系譜たる蜥蜴人の。
文通している友人の女商人からの手紙にも、そういえばその術師と組んで北と交易するとかなんとか書いてあった気がします。
「私もよ……ていうか、もう聞こえてるし……。ああ、この声は、間違いないわね、あの娘よ」
妖精弓手も額に手を当て天を仰ぎます。
彼女の
「どうやらさっそく次の冒険者が来たようだ」
ゴブリンスレイヤーさんが重々しく── しかしどこかわくわくした様子で── 発言しました。
(ひょっとしたら 〝竜と蛮族戦士、果たしてどちらが強いのか〟 などと多少不謹慎なことを思っているのかもしれませんが。まあそれでも、ゴブスレさんは北方の戦士たちの勝利は疑ってはいないのでしょうけれど)
そして次の瞬間、
「
リザルト!
半竜娘一党は、北海航路の再打通を成し遂げた!
半竜娘一党は、経験点4000点獲得! 成長点10点獲得!
TS圃人斥候は冒険者レベル8→9に上昇! 技能を伝説級まで習得可能になった! ボーナス成長点を30点追加獲得!
というところで本日はここまで。
半竜娘ちゃんたちの
それではまた次回!
霧の山は、ミスティ・マウンテン。ミィスティック・マウンテンだと神秘的な山。実際間違わないようにご注意重点な(一敗)。
また、いつもみなさま閲覧、お気に入り登録、評価、感想、ここすき、誤字訂正などありがとうございます。評価まだの方がいらっしゃれば、励みになりますので良ければぜひ評価付けていただけるとありがたく存じます。よろしくお願いいたします! なにとぞ!
なお、ゴブスレさんが北の国を訪ねる原作小説第14巻はこちら。試し読みもあります。そして今さらですが当SSには原作小説14巻のネタバレがございますのでご注意ください(遅)
◆ゴブリンスレイヤー14 : https://www.sbcr.jp/product/4815608125/