ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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◆前話
  はんりゅうむすめちゃん の だいばくはつ !!
 なお、【竜胞(ドラゴンセル)】の術(水属性と分解属性以外の魔法攻撃を吸収)と、【相転・水(スピリットフォーム)】による水精霊化(物理攻撃無効&水属性攻撃無効)によって耐性パズルを埋めることで、分解属性の攻撃手段を持たない相手には負けなくできますので、自爆までしなくても半竜娘ちゃんは勝てたとは思います。

 


48/n 霧降る霊(アラウンド・ザ・ミス)峰を迂回して(ティマウンテンズ) -1(到着、ヴィーキングの港街)

 

 はいどーも! 海魔を倒して交易に向かう、そんな実況はーじまーるよー。

 

 前回は爆発オチで鋼鉄巨大蛸鮫(メタル・ギガ・シャークトパス)爆・砕 ☆ したところまででしたね。

 というわけで今回は、まずはその決着を見守っていた仲間たちの視点からです。

 

 

 

 爆心地から離れたところでは、臨戦態勢の海竜曳航船(ドラゴン・トゥ・シップ)が、なんとか転覆せずに浮いていました。

 文庫神官が請願した【聖壁(プロテクション)】の奇跡と、呼び出した風と水の精霊たちによる加護が、仕事をしてくれたおかげです。

 

「えぇ……? 急に嵐が止んで晴れたかと思えば、空から雷がいっぺんに落ちて、そんで海が持ち上がって海魔が落ちて、やべー光が空に走って、直ぐ後になんか海の中が光って……えぇぇ???」

 

 甲板の上では森人船長さんが目まぐるしい展開についていけず、頭上に疑問符を浮かべて混乱しています。

 まあ、さもありなん。

 

 ちなみに、海竜曳航船は海竜曳航船で、いくつかメタル・ギガ・シャークトパスの触手を撃破しています。

 衝角にも、貫かれ引きちぎられた触腕の残骸が刺さったままです。

 なかなかやりますね!

 

 

 

「終わったみたいね………うぷっ……オロロロロロロ」(嘔吐)

 

「しにそう。おいタンクこうはい、ふぇいく(影写)のじゅつ、やっぱむちゃだったじゃネーか」(半死)

 

「あぁ、さすがですぅ、おねえさまぁ………」(鼻血)

 

 一党の面子は、こう、死屍累々って感じですねぇ………。

 

 まず、いよいよ船酔いが限界を超えたせいかゲーゲー吐いてる森人探検家さん。

 半竜娘ちゃんが水精霊と合体したあたりで、「勝ったな……」となった(処刑用BGMが流れ始めた)ので、いまは甲板まで戻ってきて、もう巨大化も解除してあります。

 ただ、気が抜けたのが原因か、不調が一気に来たようです。青い顔で手近な桶に顔を突っ込んでいます。

 それでも絵になる風情なのはさすがエルフ。顔面(ツラ)が良い。

 

 その隣で顔中の穴から血を流して倒れてピクピク痙攣しているのはTS圃人斥候。

 文庫神官に〈いいくるめ〉られて無茶な魔術の使い方をしたせいで鼻血と耳血を出して倒れています。

 専業のマジックユーザーでもないのに、影の魔術で幾つも、船の残骸みたいな巨大なものを複製した反動ですね。流石に無理があった模様。

 この中ではTS圃人斥候のダメージが最も深刻です。超過詠唱(オーバーキャスト)のせいで魂が疲弊しています。死ぬほど疲れてる。

 

 最後に文庫神官ですが、彼女は半竜娘ちゃんの勇姿を見て、テンションアゲアゲのガンギマリになっています。

 他の2人に比べればまだ元気そうに見えますね、……見た目だけなら。

 表面上は通常運転に見えなくもありませんが、実際は、【聖壁】(プロテクション)の奇跡で海竜曳航船を囲って、衝角突撃時に触腕からの反撃を受け止めたり、周囲の船の残骸が衝突しそうになるのを遠ざけたり、半竜娘ちゃんの戦いの余波から守ったりしていましたので、今は単にアドレナリン全開なせいで大丈夫そうに見えてるだけで疲労はかなり蓄積してますねコレ。

 鼻血が出てるのも、請願した【聖壁】(プロテクション)の奇跡を維持した反動でしょうし。船一隻分丸ごとや、海の波の質量を受け止めるバリアを個人で張り続けて、無事で済むわけもないので……。

 

 まあ、彼女たちの介抱は、船に残っていた幼竜娘三姉妹&白梟使徒がやってくれるでしょう。

 ポーションとか【賦活(バイタリティ)】のスクロールを使えば、なんとでもなるハズです。

 

 

 そんでもって、半竜娘ちゃんの方はと言えば。

 三叉分身(トリアス)を消費して、海魔メタル・ギガ・シャークトパスを撃破した彼女ですが、いまだ高位精霊術【相転(スピリットフォーム・オ)・水】(ブ・ウンディーネ)による十倍(全長300m)水化龍人モードは継続中です。海上空中で浮遊しています。

 当然、彼女の眼下、海を固めた水盆の上では、鋼鉄巨大蛸鮫(メタル・ギガ・シャークトパス)の死骸も掌握(ホールド)されたままです。

 

「ふぅむ。こいつは戦利品としてどうにか持ち帰りたいのぅ」

 

 戦利品(トロフィー)を持ち帰るのは、蜥蜴人のたしなみというもの。

 爆発を収束した衝撃波によって、まるで素手で解体した魚みたいなぐちゃぐちゃの三枚おろしになっているコレですが、それでも貴重な素材には違いありません。

 そもそも生命の輪廻を信じる彼ら蜥蜴人の価値観からすれば、この鋼鉄巨大蛸鮫(メタル・ギガ・シャークトパス)でさえも、狩りの獲物として食すなりなんなり利用し尽くすべき対象です。

 

 とはいえ、鋼鉄巨大蛸鮫(メタル・ギガ・シャークトパス)の身体は、文字通りに鋼鉄というか、外宇宙を行く宇宙船の謎合金でできていますから、このまま半竜娘ちゃんが海域の制御を手放せば、沈んでしまうでしょう。

 沈まぬように海水を固めて支えている半竜娘ちゃんの水化龍人モードも、永続するわけでもございませんし。

 

「となれば、今のうちに目的地の方へと、行けるところまで行ってしまうのが吉かの」

 

 逆に言えば、水化龍人モードが保つうちに、ガンガン進んでしまえばいいわけです。

 海そのものとなったいまの半竜娘ちゃんであれば、鋼鉄巨大蛸鮫(メタル・ギガ・シャークトパス)の死骸も、海竜曳航船も、まとめて運んでしまえるでしょうからね。

 

「今の手前(てまえ)であれば、相当な速さで進めるはずじゃしな!」

 

 ちなみに。

 津波の速さは水深が深いほど速くなるそうで、その速度は「(水深×重力加速度)の平方根」という計算式で表されるらしいです。

 自然現象そのものとなっている今の半竜娘ちゃんであれば、同じく自然現象である津波と同速度も出せるというのが道理です。

 

 それではいざゆかん! 怒濤のごとく!

 

「それでは皆の衆、しっかり掴まっておれよ! ─── 蒼濤疾駆(アズール・トレント)!!

 

 半竜娘ちゃんは海に飛び込んで同化すると、周囲の海水をまるで手や爪のように操って、鋼鉄巨大蛸鮫(メタル・ギガ・シャークトパス)の死骸と、海竜曳航船(ドラゴン・トゥ・シップ)を把持固定しました。ロック完了!

 その姿は、水で形造られた巨大な長い竜の背に、船や荷物(怪物の死骸)が乗せられているかのようです。

 海流そのものを竜として具象化したような姿── 蛇のように長い身体は、ドラゴンというよりナーガ、あるいはオルムですが── になった半竜娘ちゃんは、まるで津波のように、あるいは大雨の後の急な川のように、はたまた離岸流のように、ひたすらに加速し始めました。

 半竜娘ちゃんという名の海流に乗る船だけ見れば超速ベルトコンベアじみた光景です。見方を変えれば、蟻の行列に運ばれる獲物のようなというか、素早い百足の甲羅に乗ったようなというか、大蛇の背に貼り付けられたようなというか……。

 

「「「 のわぁああああ?!?! 」」」

 

 水夫たちの野太い悲鳴を引きずりながら、一筋の水流と化した半竜娘ちゃんの背に乗せられた海竜曳航船は、あっという間に、嵐が消えて凪いだ冬の海のさざ波の向こうへと遠ざかっていきました………。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 一方そのころ────。

 

 それでは今度は、海上特急『半竜娘ちゃん号』が運ぶ、軽銀商会の交易船である海竜曳航船(ドラゴン・トゥ・シップ)の、そのそもそもの行く先(もくてきち)の方を見てみましょう。

 

 そこは、王国の北の霧降る霊峰(ミスティマウンテンズ)を越えた先にある、暗い太陽の地。

 鋼の秘密を知る民にして、恐るべき蛮人たる、入り江の民(ヴィーキング)の住まう土地。

 また、王国の騎士にして王の親族── 現王の叔父:先王が娶った北の蛮地出身の側妃の弟── が入り婿して頭領(ゴジ)として治める街であり、小鬼殺し(ゴブリンスレイヤー)一党が視察のために派遣された街でもあります。

 

 王国に編入されたならば、国営機関である冒険者ギルドを置く必要があるのですが、〝文化がちがーう〟 ので、この地の人々は、冒険者に馴染みはありません。

 冒険者、と名乗ったとしても、「ああ、ならず者か」とか「盗人だろ」とか言われるのがオチです。

 そういった認識を覆すためには、実物を派遣するのが一番です。

 

 まずは国営ギルドに管理されたまっとうな冒険者(アドベンチャラー)見本(サンプル)に触れてもらおうということもあり、そして水の街のアークビショップである剣の乙女の推薦もあり、先遣隊として白羽の矢が立ったのが、ゴブスレさん一党だったのです。

 

 ……いえ、でも、()()()()な冒険者……?? ゴブスレさんが……?? 最近は少しマトモになってきているとはいえ……。

 

 ま、まあ、品行方正で多種族混成パーティで、辺境最優との異名を持つ冒険者ですから、ええ、はい、真っ当な冒険者と言えるでしょう。

 まあゴブスレさんはともかくとして、女神官ちゃんなんかは、どこに出しても恥ずかしくない王道的な冒険者ですし。

 

 それに少なくとも、きっと彼らなら、悪いことにはならないでしょうからね。

 いろんな意味で。ええ、たとえ、その派遣先に混沌の気配が蠢いていたりしたとしても、です。なにせ立派な冒険者ですもの。

 そういう不確定事象に備える判断もあっての信頼のおける人選というわけです。

 

 閑話休題。

 

 それでその北の蛮地の港街とその近隣の村々ですが、そこもまた、北狄(ほくてき)たる混沌の軍勢── 今回の場合の主敵は海魔── による被害に悩まされていました。

 海魔に押し出されるようにしてやってくるゴブリンをはじめとする他の怪物たちとの戦いで、徐々にですが戦士は傷つき、物資だって減るばかり。

 

 商い(あるいは略奪遠征)に出した船も、海魔の仕業か、一隻も戻ってはこない……。

 

 しかもどうやら状況証拠的に、半竜娘ちゃんが戦った海魔メタル・ギガ・シャークトパスではなく。

 また別の、しかし似たように蛸神の系譜にある混沌の大駒(ウォーロード)による海上封鎖なのだと思われるとのこと。

 

 〝あれが最後の一匹とは思えない〟 とは誰のセリフだったか……。

 その言葉が示す通り、どうやら今年はこの海魔といい、メタル・ギガ・シャークトパスといい、蛸の()()()()だったようですね。

 

 

 ですが、その蛸神の系譜に連なる海魔による海上封鎖に悩まされていたのも、先ほどまでのこと。

 

 つい数刻前に、雷光(トールの力)を宿す頭領(ゆうしゃ)の剣と、冒険者(ゴブスレさん)プロデュースの聖なる火船突撃によって、海魔は退けられたのです!*1

 

 ………蛸の化け物には巨船(タンカー)の突撃が特効ですからね。

 

 ついでに小鬼(ゴブリン)の類もいたようですが、まあ、あいつらは何処にでもいるのでそういうこともございましょう。

 

 

 ともあれ、大物を屠った(いくさのしょうりの)あとに北の海の民たちがやることといえば、当然、(ドレッカ)です!

 

 酒! ごちそう! 酒! 武勲歌(サガ)! 酒! ついでに殴り合い!

 そういうあれですね。

 

 というわけで、宴です。ドレッカドレッカ。

 

 栄えている港町ですので、連日の宴であっても、酒も食べ物が尽きることなどありません。

 燻製ニシン、干しタラ、ガチョウのロースト、カブのシチュー、蜂蜜酒(ミード)山羊の発酵乳(スキュル)麦の酒(エール)、焼き立てのライムギ平パン、自家製発酵バター……。

 

 傷を負った戦士たちも、包帯に血を滲ませたままに宴に出ています。

 嗜虐神の信仰が篤いこの地では、戦士の傷は神への捧げものでもあるのです。

 あえて治さないのも粋とされます。

 

 なかなかやはり文化が違いますねえ。

 王国では混沌側に傾いた神格と解釈されがちな嗜虐神ですが、闇人(ダークエルフ)の地下都市であったり、この北辺の厳しい土地であったりでは、地母神の権能を持つ苛烈にして慈悲深い神格として崇められています。

 そのへんは環境の違いによるものではあると思うのですが、文化の違いを考察するのも面白いですよね。

 

 

 さて、海魔退治の功労者であるゴブリンスレイヤーさんたち一党も上座で歓待を受けています。

 客人として歓迎された1回目の宴に比べると、戦場を共にしてさらに武勲を上げた後のこの2回目の宴では、北方の戦士たちとの距離もさらに近づいているように見受けられます。

 

 やはり暴力こそが蛮地での存在証明。

 

 名誉ある戦を制したゴブスレさんたちは、名実ともに、客人ではなく彼らの戦友となったのです。

 

 頭領(ゴジ)たる王国騎士と、その妻である隻眼の美しい奥方(フースフレイヤ)── 嗜虐神に仕える神官戦士でもあります── が、酒杯(さかずき)を掲げます。

 

「同胞と、戦友と、勝利に!!」

 

 御託をくどくどしく並べないのが北方の流儀です。

 短く端的に発された頭領(ゴジ)の言葉に応えて、戦士たちが、動物の角をくりぬいて作られた角杯を勢いよく掲げました。

 

「勝利に!」

「ヴァルハラに!」

「海魔の最期に!」

「頭領の雷の剣に!」

「平和に!」

「夜の母たる神の加護に!」

 

 そして彼らは上座に座り同じく角杯を掲げる、粗末な鎧の戦士(ゴブリンスレイヤー)に率いられた一党── 女神官、妖精弓手、鉱人道士、蜥蜴僧侶(換羽ポーションでモフ化済み)── にも杯を向けます。

 

「「「 冒険者に!! 」」」

 

 当然、一党もそれに答えます。

 

「「「 勇敢なる北方の戦士に!! 」」」 

 

 ──── 乾 杯 ! !

 

 

 とまあ、こんな調子で(ドレッカ)は始まり──── そのままこんな調子で終われば良かったのですがね。

 

 

 

 

 宴が始まってからしばらくして、港からけたたましくカンカンと鳴り響く警鐘の音が、祝いの席の空気を切り裂きました。

 

 外から飛び込んできた、蒼白な顔の伝令らしき兎人が頭領(ゴジ)に駆け寄り、彼に何事かを囁きます。

 

「それで、そこな伝令はなんと?」

 ぐるりと眼を回して巡らせた蜥蜴僧侶が、妖精弓手に問いました。

 妖精弓手の笹穂耳であれば、たとえ囁き声の伝令でも、同じ上座にいれば聞き取れることを知っているからです。

 

「なんか海の方で潮干時(しおひどき)でもないのに一気に潮が引いたとか、ニシンが浜に押し寄せてきてるとか、鯨が上がったとか。〝何かに追われてきてるみたいに〟 だそうよ」

 ぴこぴこと笹穂耳を動かして音を拾った妖精弓手さんによれば、海で異変が起きているようです。

 

「水が引いた後は大波が来ると聞いたことがございまするぞ」

 祖竜を滅ぼしたあの憎むべき隕石衝突により生じる現象の研究成果の一つとして、蜥蜴人には津波の知識も伝承されているようです。

 そう、海の水が急に引くのは死亡フラグです。津波てんでんこ。すぐに逃げるべきことです。

 

「え、それなら逃げないと危ないんじゃないですか?!」

 女神官ちゃんの懸念ももっともです。

 彼女は寡聞にして海がそのまま襲ってくるような現象に心当たりはありませんが、一党一番の知恵者である蜥蜴僧侶の言葉であれば信じるに値します。

 

「とりあえず高台に移動するべきじゃろうの。水の精霊もざわめいておるようでな」

 鉱人道士がポンと腹を叩いて立ち上がります。

 精霊術師としての彼の感覚も、海の異変を感じているようです。

 

 

 ─── おそらく頭領(ゴジ)も避難するように判断するだろうと思われるものの、津波を知らないようであれば助言の一つもするべきか。

 ─── いや、王国育ちの頭領(ゴジ)とは違い、奥方(フースフレイヤ)は海に親しいこの北方の出自なのだから、津波の伝承も承知のはずであろうし、よそ者が出しゃばるのも。

 

 そのようにいくらか見解を交わしながら、一党の面々が議論するのをゴブスレさんはじっくり聞いています。

 一党の意見を汲み、最終的に判断するのが頭目(リーダー)の役目ですからね。

 

 

 と、次の瞬間、外からどたどたと大勢の駆ける音が聞こえたかと思えば、酒宴会場の広間の戸が大きな音とともに開け放たれました。

 奥方(フースフレイヤ)が、柳眉を逆立てて飛び込んできた戦士の不調法を咎めます。

 

そんなに慌てで(さように慌てて)みっともねぇ(みっともないですね)おめらも戦士の男だば(あなたたちも戦士の男でしょうに)でんろとしてろ(堂々となさい)

 

「お妃様! んなごと言っでる(そんなことを申しておる)場合でねぇ(場合ではありませぬ)(オルム)(です)港さ(みなとに)手向(たむけ)もねぇ(手に負えないほどとんでもない)大きな竜(ミキル・オルムル)出ただんだ(が現れたのですよ)!」

 

 ※なお、北方の言葉は皆様にお届けするにあたり都合により庄内弁風に翻訳しておりますのであしからず。

 姫騎士やブリュンヒルデもかくやの美しい奥方(フースフレイヤ)が訛りで話すのはギャップ萌えというやつでしょうか。

 

 閑話休題。

 

 竜と聞いて、一瞬、宴に空白が生まれます。

 真偽をいぶかしむもの、戦機にいきり立つもの、笑い飛ばそうとするもの。

 戦士たちの反応は様々です。

 

「ほう! 竜と申しましたかな!」

 たまらず立ち上がったのは蜥蜴僧侶。

 蜥蜴人として、竜と聞いては黙っていられません。

 山羊の発酵乳(スキュル)の注がれた角杯を景気づけとばかりに飲み干します。

「して、その竜とやらはどのような? 赤き竜か、白き竜か、はたまた祖竜の生き残りか………」

 

「ありゃ水の精霊竜だ。王様の竜船(ドレカ)ば縦さ三つ並べたより、えっだらでけぇぞ!」

 

 竜船というのは、大型軍用ロングシップのことですね。その全長は40mほど。

 つまり、120mを超える背丈の竜だと、この戦士は言っているのです。

 

「水の精霊竜……。なるほどのう、水精が騒いでおったのはそのせいじゃな」

 鉱人道士が納得の声を漏らします。

 

「………私、猛烈にいやな予感がしてきました」

 何かを悟った女神官ちゃんが、思わず手を組んで祈りを捧げます。

 何故かと言えば、彼女の知り合いに、精霊術の奥義により水の精霊と合体できる術師がいるからです。しかも竜の系譜たる蜥蜴人の。

 文通している友人の女商人からの手紙にも、そういえばその術師と組んで北と交易するとかなんとか書いてあった気がします。

 I have a bad feeling(アイ ハブ ア バッド フィーリング) about this. (アバウト ディス)そう呟いてしまっても無理はないでしょう。

 

「私もよ……ていうか、もう聞こえてるし……。ああ、この声は、間違いないわね、あの娘よ」

 妖精弓手も額に手を当て天を仰ぎます。

 彼女の笹穂耳(エルフイヤー)には、港の方から微かに響く、聞き覚えのある同業の蜥蜴人少女の声がすでに聞こえているのです。

 

 

 

「どうやらさっそく次の冒険者が来たようだ」

 

 

 

 ゴブリンスレイヤーさんが重々しく── しかしどこかわくわくした様子で── 発言しました。

 頭領(ゴジ)から戦果の褒美を問われた彼が答えたのが、「次以降に来る冒険者を、冒険者として遇すること」。早速その約定が果たされる時が来たというわけです。

 (ひょっとしたら 〝竜と蛮族戦士、果たしてどちらが強いのか〟 などと多少不謹慎なことを思っているのかもしれませんが。まあそれでも、ゴブスレさんは北方の戦士たちの勝利は疑ってはいないのでしょうけれど)

 

 

 そして次の瞬間、頭領(ゴジ)の屋敷を揺らすほどの大音量で、目的地への到着に歓喜する竜の吼え声が、港に響いたのでした。

 

GGGRRRWWWOOOOWWW(おお、ようやく到着じゃ)!!!」

 

 

 

 リザルト!

 半竜娘一党は、北海航路の再打通を成し遂げた!

 半竜娘一党は、経験点4000点獲得! 成長点10点獲得!

 TS圃人斥候は冒険者レベル8→9に上昇! 技能を伝説級まで習得可能になった! ボーナス成長点を30点追加獲得!

 

 

 というところで本日はここまで。

 半竜娘ちゃんたちの成長詳細(レベルアップ)や、一緒に運んできた鋼鉄巨大蛸鮫(メタル・ギガ・シャークトパス)の死骸の処遇なんかは今度の機会に。

 それではまた次回!

 

*1
◆ゴブリンスレイヤーさんの北方探訪:原作小説14巻参照。北方の蛮人戦士(コナン・ザ・グレート)の伝承に薫陶を受けているゴブスレさんがファンボーイしているキュートな姿が見られるのでお勧め!




 
 霧の山は、ミスティ・マウンテン。ミィスティック・マウンテンだと神秘的な山。実際間違わないようにご注意重点な(一敗)。
 また、いつもみなさま閲覧、お気に入り登録、評価、感想、ここすき、誤字訂正などありがとうございます。評価まだの方がいらっしゃれば、励みになりますので良ければぜひ評価付けていただけるとありがたく存じます。よろしくお願いいたします! なにとぞ!
 
 なお、ゴブスレさんが北の国を訪ねる原作小説第14巻はこちら。試し読みもあります。そして今さらですが当SSには原作小説14巻のネタバレがございますのでご注意ください(遅)
 ◆ゴブリンスレイヤー14 : https://www.sbcr.jp/product/4815608125/

 
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