ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
●前話:
TS圃人斥候「妙だな……。マンティコアの納品がないのに、出来上がったキマイラには人間のような首がある……。妙だな……」
はいどーも!
峠の魔獣討伐のために、荷馬車に乗って運ばれております。
がたごと荷馬車に乗って村に向かっておりますが、何も無策で向かっているのではありません。
事前にかなりの情報を冒険者ギルドで集められましたからね。
敵となるキマイラは、おそらくは象の巨体を持ち、巨鳥の翼で空を飛び、飛竜の首で火を吐き、蛇王の首はその眼と牙で石化効果をばらまき、尻尾は大毒蛇になっていてそれを毒牙付きの大綱の鞭のように振り回して攻撃してくるでしょう。
しかも、おそらく、そのすべての攻撃を一度に繰り出してくると思われ。
また、製作者だという老齢の魔術師も、かなりの凄腕のようです。経験を積んだ魔術師ほど厄介なものはありません。攻撃の魔法もですが、【
キマイラも一匹だけとは限りません。
石化の魔眼や呪文への対策としては『精神上昇の秘薬』を、また、石化の嘴や毒の牙への対策として『体力上昇の秘薬』や『解毒剤』、『気付け薬』を準備しています。
精神への影響がある呪文については、TS圃人斥候の新装備『鼓舞の革鎧(+3)』で無効化できるので、TS圃人斥候がより多くの解毒剤や気付け薬を持つことにしています。
森の中で行動するために、
矢弾が【矢避】の呪文で逸らされた時のために、
その投石紐で投げられる催涙弾や煙玉、火炎瓶も用意しています。特に煙玉は、バジリスクの視界を遮るためにも必要です。
煙玉や火炎瓶にすぐに火をつけられるように、火のついた火縄を仕舞っておける木の細工を、TS圃人斥候に、この移動中に作ってもらっています。マッチやライターの開発が必要ですかね……。
「火がついたままの火種を持ち歩くのって面倒だよな。木筒に空気穴開けて火のついた火縄を詰めて、ってさ。なあ、点火の魔道具あったら今度買おうぜー」
「“
「え、なにそのテク、オイラ初耳」
ああそうか、この一党は全員魔術師の
まあ、半竜娘ちゃんはともかく、他は練習したこともないので今回の冒険では無理ですね。魔術師レベルが低いと安定しないかもですし。
祈祷で呪文使用回数を回復したり、周辺警戒しつつ火種維持用の木筒を作ったりしているうちにも、馬車は進んでいきます。
行商人からすれば不気味な冒険者でしょうね、黙々と祈祷し続けているのって。
でも、出発するときに精霊術の【追風】を掛けてもらっているので、あんまり文句も言えない模様(分身ちゃん呪文使用回数6→5(祈祷による回復込み))。まあ神への祈りを邪魔するとか天罰ものですからね。
はい、では
旅路に付き物なやつですねー。
2D6で、出目が5~9なら何事もなかったことにします。
さて……14で合計5でしたので、なんとか何事もありませんでした。セーフ。
失敗してたら、山賊の類か、ゴブリンでも出てきたかもしれませんね。逆に出目が高かったら、何か有用なアイテムや情報をくれる人にでも会えたかも。
警戒しているTS圃人斥候は、周囲を【観察】することでキマイラなどの痕跡を見つけられました。
達成値に応じて得られる情報が変わります。計算式は「知力集中5+斥候Lv7+観察技能習熟2+加速ボーナス4+2D622」で、合計22となりました。
観察判定達成値10以上で、「森が何か非常に大きな動物に荒らされたようになっている(太い枝が折れたり、木の高いところに傷がついているなど)」ことに気づけます。
15以上で、「石化した小動物」と「焼け焦げた鹿の一部(食べ残し?)」が落ちていることにも気づけます。
20以上で、「非常に大きな動物の痕跡とはまた別の動物(とはいっても牛程度はあるでしょう)の痕跡(足跡や糞など)」にも気づけました。
冒険者ギルドで情報収集しなかった場合でも、ここで気づける可能性があるわけですね。
それ以上のこと、例えば、最後の情報である、巨大なやつとは別の動物たちが何匹いるのかまでは分かりませんでした。
これらの痕跡が、どのような動物によるものなのか、怪物知識判定です。
TS圃人斥候の怪物知識判定の計算式は「知力集中5+魔術師Lv1+加速ボーナス4+2D632」なので、達成値15です。半竜娘たちから冒険者ギルドでの調査結果を聞いているので、非常に大きな動物の痕跡についてはさらに+3していいでしょう。比較的小さいほうの痕跡については何も情報がないので逆に-3のペナルティとします。
TS圃人斥候は、大きな方の痕跡は、象や飛竜、蛇王が混ざったキマイラによるものであろうことが推測できますが、比較的小さな痕跡については何によるものか皆目見当もつきませんでした。
…………。
……。
大型動物の縄張りになってしまっている峠の道を、怯える馬車馬を宥めながら抜けていき、目的の村に到着。
日は傾いてきたものの、まだ高い位置にあります。
【追風】の精霊術のおかげで、予定よりも早く着けました。
しかし、どうも様子が変です。
村は騒然としています。
依頼を受けてきた冒険者だと告げると、村の代表らしき人物が、大変焦った様子で近寄ってきました。村長ですかね。
いやーな予感がします……。
「ああ! 君たちが討伐依頼を受けてくれた冒険者か!」
「そうじゃが、これは一体何事じゃ?」
「村の若い娘たちが、化け物に攫われたんだ!!」
知ってた(白目)。
少し事情を聞くと、二人の村娘が、大きな翼で空を飛ぶ三ツ首の化け物に攫われたとのこと。
一人は羊飼いで、もう一人は薬師だとか。長い尾に巻き取られて連れ去られたらしいです。
幸いにも、火炎を吹きかけられたり、石化させられたりした村人は居ないようですね。
「頼む、女たちを助けてくれ」
「ふむ、本来なら追加料金を、というところじゃが、それは無しにしておこうかの」
「その代わりに、怪我してたり、手遅れになってても、文句は言わないでよね」
「……わかった、それで頼む」
その条件で、村長は頷きました。
異種族だらけのパーティなので、若干村長が引き気味な気もします。
では早速追跡に……ではなく、村人に聞き込みです。
山に入るにしても、地元民から要注意地形や要注意の動物なんかのことを聞いておかないと危ないですからね。
緊急事態ですから、村人たちも積極的に情報を出してくれます。
整理すると以下のようなことが分かります。
今回の冒険に関係ないこともありますが、網羅します。
・山にはいくつか洞窟がある。
・少し行くと谷になっているところもある。そこに野生動物が集まる泉も湧いている。
・小鬼が住み着いている場所もある。
・別口で依頼を出していた小鬼退治の冒険者が昨日村に来て、夜明けからそちらを潰して回っている。
・化け物に人が攫われたのは今回が初めて。つい一時間ほど前の出来事。
・キマイラ研究の老齢の魔術師は、ときどき村へ来て食べ物を買っていた。
・魔術師本人ではなくて、木でできた人形がお遣いに来ることもあった。
・魔術師の工房と、さっきの化け物が飛んで行った方向は、同じ方向。
・魔術師の工房までは村人の足で歩いて2時間かかる山の中腹にある。
・大きな化け物の取り巻きに、羽があって顔が人間みたいな化け物が3匹いたのを見かけた。
・羊飼いが攫われた場所には、匂いの強いハーブが群生していた。薬師は薬の材料にもなるそれを採りにいった帰りに攫われた。
だいたいこんなもんです。
あれ、ゴブリン絶対殺すマンも来てます?
まあいいや、こっちにゴブリンが居ないならニアミスで終わるでしょ。
そのハーブとやらを使っておびき出すこともできるかもしれませんが、押し込んだ方が良いでしょう。もし食べるために村娘を攫ったなら、首尾良くおびき出せたとしても、村娘たちは食べられた後でしょうし。
また、半竜娘が怪物知識判定に成功した(固定値だけで自動成功)ので、お遣いの木の人形は『
迷彩や虫よけ、臭い消しの準備をして、魔術師の工房の方へと向かいます。
【加速】のおかげで倍速で移動できるので、1時間もあれば魔術師の工房に到着できるでしょう。
時間的にはちょうど日が沈み始めるくらいに到着する計算です。
「戸締りはしっかりするんじゃぞ、これ以上誰も攫われないようにするんじゃ」
「こっちはやるだけやってみるわ」
「まっ、大船に乗ったつもりで待っててくれよな!」
「頼んだ……! よろしくお願いする!」
村長に別れを言って、出陣です!
…………。
……。
道中で軽く作戦会議です。
「何のために娘を攫ったんじゃ?」
「そりゃ、食うためじゃねーの」
「ベースの象は草食でしょ、ヤツは肉を食べるのかしら?」
キマイラが食べるものは、やはり胴体の食性に左右されるのでしょうかね。
「来る途中に食べ残しっぽい鹿の残骸があったぞ」
「配下のマンティコアが食べたのかもよ」
「それなら娘らではなく牧草地の羊を襲えばよかろうし、娘を襲うにしてもその場で食べるんじゃないのかの?」
できるだけ音を立てず、枝を折らずに進む。
「怪物が娘を攫うんじゃから、食べるためでなければ、嫁にするためかの?」
「嫁って。ゴブリンじゃないんだから」
「……ゴブリンの生殖能力を持ったキマイラだってことはねえか?」
ははは。いや、まさかあ。
「…………そんなのあり得る?」
「オイラも自分で言ってて無いと思うけどよー。でも、強いキマイラを作れたからって、それで“戦争を変える”とまではいかねーだろ。白金等級のレベルなら別だけど」
「質が足りねば、数で補う……。キマイラはどうあがいても一代一種じゃ、特にハイエンドになればなるほどに。で、それを補うためにゴブリンの性質に目を付けたと?」
あー、能力吸収して成長していく系の主人公で、ゴブリンやオークから、【絶倫】とか【異種交配】スキルを奪うのって確かによくあるよね?
「……まあ、ちょっと心に留めておきましょう」
「一気に危険度が上がった気がするんだが! 貞操的な意味で!」
「かかか、うちのメンバーは種族様々じゃから交配実験には持ってこいかもしれんのう、ははは」
「笑い事じゃねーっての!!」
飛んで火に入るなんとやら、にならないようにしないとね!!
「方針をもう一度確認するのじゃよ。まず、依頼の達成はもちろんじゃが、今回はキマイラ関係の技術やサンプル、研究成果を奪取するために来ておる」
「つまり、工房はできるだけ破壊したくないってわけね。いつもの巨大化突撃は使えない、と。まあ村娘たちのこともあるしね」
「あとは魔術師が生きてたら、そっちもできるだけ確保するんだろ? まあ本人に教えを請うのが早いもんな」
そろそろ、その魔術師の工房の近辺です。
木々は象のキマイラに食べられたのか丸裸だし、飛び立つためのスペースとしてか大きく開けている場所も増えてきたし、残っている木々の間隔も広い。
3人(+分身1)も声を抑えます。
「そうじゃ。
「この騒動がその魔術師の本意でなければ、まあ救出? 死んでたら研究成果とか根こそぎ接収ね」
「いやいや、でもこれさぁ……」
あ、TS圃人斥候ちゃん、ついにそれ言っちゃいます?
「絶対、魔術師のやつが自分をキマイラにしてるパターンだろ……」
彼女たち3人(+分身1)の視線の先には、魔術師の工房らしき石造りの建物と、台に括り付けられた2人の乙女と、3匹のマンティコア、何体かのウッドゴーレム、そして……
『ふっははははははは!
娘らよ!
我が至高の作品の母胎となる栄誉を与えようぞ!!
ふはははははは!!』
『GRRRROOOO!!』
『CKOOOKKEEE!!』
『PAOOONNN!!』
『SHHARRRR!!』
飛竜の首、
蛇王の首、
象の首、
象の身体、
巨鳥の翼、
大毒蛇の尾、
そして、哄笑する男の上半身が、象の背の上から、まるで騎士のように生えています。
ちなみに下からはどんなサイズの母胎にも対応できるようにか、伸縮したりいろんな太さに枝分かれしたりして蠢いている逸物が……。
「「「うわあ」」」
戦闘開始です!
半竜娘「まずは不意打ちの南洋投げナイフで、逸物を切断するべきでは?」
高位の術者が作ったキマイラは、完成後は『そういう一個の生命体』になるものと考えます。単なる
この場合にゴブリン的性質を取り込んだキマイラが人族を苗床にした場合は、キマイラの子供が生まれることにします。