ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
●前話:
半竜娘「そうだ、火吹き山行こう!」
19/n “水晶の森”亭 殺人事件-1(飛竜釣り&温泉)
旅先、美女、湯煙……何も起こらないはずもなく……な冒険、はーじまーるよー!
火山のそばに造られた“火吹き山の闘技場”へ近づくにつれ、温泉を売りにした宿が増えていきます。
火吹き山は、山頂付近に、炎のようにも見える沢山の赤い花が咲くから“火吹き山”と呼ばれ始めたそうですが、今では本当に火山として活動しているようなのです。温泉はその副産物ですね。
地熱は地脈とも関係が深く、火吹き山へ近づくに従って増えていく温泉は、実は火吹き山から溢れた魔術師の力が地脈を通って吹き出たものなのかもしれません。
そんな中で半竜娘ちゃんたちは、速度に飽かせて街道を爆走し(【加速】【旅人】【追風】の全部載せにより、馬車のベース移動力は113(切り上げ)*1。軍馬の単騎駆けの倍以上の速度です)、辺境の街から離れた火吹き山の近くまでやってきました。
「あっという間ね。これはこれで風情がないかも」
「そうかや? 早い方が良かろうさ」
「そーそー。こちとら定命なんだから、生き急ぐくらいがちょうどいいのさー」
まあ途中の宿場町はほぼスキップしてやってきてますからね。
かつて遺跡を巡って旅から旅へと流浪していた森人探検家からすれば、随分と味気ないものでしょう。
「だいたい、足が遅ければそれだけ金がかかるのじゃよ~」
「……うん、そうね! お金は大事よね!」
旅支度として、旅銀はかさばらない宝石などに替えていますし、そこそこの財産を持ってきているとはいえ、節約するに越したことはありません。
森人探検家は、貧乏で苦労したせいで交易神信仰に転んだという経緯もありますし、あっさり
「しかしまあ、年長者の言うことにも一理ある。ちょうど水場も近いし、小休止といこうかの」
「そーよ、
「エルフのねーさんは、マジで馬が好きなのなー」
街道から少し離れた小川のほとりに馬車を停め、ハーネスを外して、馬たちに水を呑ませます。
「ふふふ、馬には憧れがあったのよ! あの緑衣の勇者*2の隣には、彼を助けてどんな戦場でも駆け抜けた伝説の駿馬がいたという話よ!」
「だから最近熱心に乗馬の練習してたのな。まあ確かに馬に乗ったエルフに、
「もううちの一党で一番馬の扱いが上手じゃものな。
自前で揃えたブラシを手に、森人探検家は、うきうきと馬たちの方へと向かいます。
結構上等なブラシだとか。
「うふふ~、きれーに磨いてあげるわー、砂埃がついちゃってるものねー」
使い魔として、半竜娘の意識をうっすら移しているので、大人しいものです。
「そーいえば、さっきすれ違ったサムライ風のやつが、こっちの馬を見てなんか言ってたな」
「ああ、あれはじゃのう、『
「よく覚えてるなー、オイラは聞こえはしたけど覚えてねーや。で、キリンってなんなんだ?」*3
「あの
「なるほど、だからあのサムライは拝んでたのか」
確かに、呼び表すなら麒麟(または馬偏で騏驎)の方がドラゴンホースよりは格好いいかもしれませんね。
ま、麒麟と言っても雷を操れたりはしませんけど。
「次の街まで行ったら今日はそれ以上はもう進めないかのー、半端に進んで野宿もイヤじゃし。飼い葉の補充はそこでやるとして……、じゃあ、肉を捕るかのー」
「! ま、まさかまたアレをやるのかよ……?」
「うむ」
戦慄するTS圃人斥候に、半竜娘がギザ歯を見せてニヤリと笑いかけます。
「
説明しよう!
大禿鷹狩りとは、精霊術【
大禿鷹は眼が良いし、空を飛べるので相当遠くからでも寄ってくるぞ!
でも、ときどき飛竜が釣れるのはご愛嬌だぞ!
そして今回は
「きてるきてるきてるきてるって~、リーダー! 飛竜が来てる!!」
「ふん、射程に捉えれば、重力加算でも突風でも活動停滞でも、なんとでもやりようはあるわい!」
「やばいやばい、ブレスが来る!」
「ハッ、安心せい、そこはもう【突風】の射程じゃ!
『GGGRRRRAAAAARRRR!??』
空中で身を晒す半竜娘とTS圃人斥候に、寄ってきた飛竜が火炎を吹きかけようとしますが、叩き落とすような突風の呪文によってコントロールを失い、地面へと墜ちていきます!
「墜落対策もせんと空を飛ぶ方がアホじゃわな!」
「ひえ~、しっかし毎度心臓に悪いぜ~」
「でもコレが一番早いのじゃ!」
「そーかもしれねーけどよー!!」
ズズン、という腹に響くような地響きとともに、飛竜が地面に墜ちました。
少しの間だけピクピク動いていましたが、すぐに動かなくなります。死亡確認!
この哀れな飛竜の死体は、街へと引きずって行けばそれなりの値段になるでしょう。
墜死したため骨が飛び出し、内臓は破裂し……と、状態が悪いので、あくまでそれなりにしかなりませんが。
まあ、
麒麟竜馬たちは、実は雑食なのです。飼い葉は副菜。
半竜娘たちが空から降りる間に、地上にいた森人探検家が早くも麒麟竜馬たちを獲物に食らいつかせています。
生肉だと寄生虫が心配なんですが、【解毒】やなんかで駆虫できるんですかね。
最悪、強めの毒を飲ませてダメージ覚悟で駆虫して、麒麟竜馬本体には【解毒】をかけるとかいう荒療治をする必要があるかも知れません。
あ、流れ落ちる血も、回収してくれていますね。
馬車の中で瞑想していた分身ちゃんも出てきて手伝っています。
結構な量があるので、薬の材料として売り払うもよし、ブラッドソーセージの材料にしてもよし、です。
「では
「心臓のおどり食いはしねーの?」
「? するぞ?」
「あ、するんだ……」
街まではそう遠くもないので、ソリでも作れば、問題なく牽いていけるでしょう。
それなり、とはいえ、飛竜を丸ごと売り払えば、路銀の足しには十分。
ソリ作りは【手仕事】技能が高いTS圃人斥候を中心に行えばいいでしょう。
…………。
……。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
威風堂々、飛竜の死体をソリに載せて、半竜娘たちは街の門をくぐりました。
向かう先はこの温泉街の冒険者ギルドです。
その後、無事、半竜娘たちは、冒険者ギルドの紹介で飛竜素材を扱える商会に渡りをつけることができました。
商会との交渉は軽く流す感じでしたが、飛竜はそこそこの値段で売れました。具体的にはみんなで良い宿に泊まってもお釣りが来るくらい。
半竜娘たちが選んだのは、2頭の麒麟竜馬を預けられる馬房がある宿です。
もちろん、立派な温泉露天風呂もついています。
「ここはねー! その昔に名を馳せた自由騎士が、殺人事件を解決したっていうとこなのよ! 王族を殺そうと計画する邪教徒がワイン商人に化けててね、それを阻止するために国の密偵が邪教徒を殺そうとして返り討ちに……」
どうやら歴史と由来のある宿らしく、歴史マニアな
“水晶の森亭”という名前のようです。
「事故物件なのじゃ?」
「刃傷沙汰なんかありふれてるから、事故物件ってーことはないだろ」
「もー、英雄の
幸いにも3人+分身1で泊まれる大部屋が空いていました。
ちなみに分身ちゃんの分の料金は、一党の共通経費からではなく、半竜娘が自腹を切っています。
「あやかろうというてもなあ」
「まさか殺人事件が起きるわけでもねーでしょーよ、大先輩」
「そーいうんじゃなくて、こう風情をね——」
いやまさか、ここでまたそんな殺人事件が起こるはずが、ははは。
…………。
……。
宿帳に記帳して、
麒麟竜馬を馬丁に預けて、
部屋に荷物を置いて、
外した装備は見張りの分身ちゃんと一緒に部屋に残して、
貴重品だけを持って、
露天風呂にやってきまし……あれ、お土産屋コーナーで引っかかってますね。
っていうか、お土産屋の売店が併設? この時代に?
あ、いや、宿泊客の行商人が店を広げてるだけか。ここの宿の売店じゃないのね。
なんか気を引くものでもあったかな。
「見ろよこれ! 色んな火付け道具があるんだぜ! おー、へー、この竜の角でできた筒に棒を勢い良く押し込むと中のモグサに火がつくのか! はは、すげーすげー!」
断熱圧縮によって発火点まで昇温した空気で、筒の中に入れた、ほぐした繊維など燃えやすいものに火をつけるのです。
「こっちは……回転するヤスリが火打ち石に当たって火花が散って……芯線から気化した
シュボッと、手のひらに収まるくらいの小さな金属の箱に火を点けては、シュカッと蓋を閉じて消して、点けて、消して……と繰り返しています。
オイルライターですね。ガソリンだと爆発しそうなものですが、大丈夫なのか? ガソリンといいつつ、精製度が低くてほぼ灯油みたいになっちゃってるやつでしょうか。
「んで、こっちは擦るだけで火がつくのか! 一瞬じゃん! すっげー!」
あー、マッチですね。
この辺で作ってるのでしょうか。
温泉が近いから、硫黄がよく採れるのかな。
TS圃人斥候は大はしゃぎです。
既に自分の分は買っているみたいですね。
「便利なものがあるのじゃのう」
「火付けって面倒だものね」
「湿気ったらダメになりそうなものもあるがのう」
「その筒のやつなら、雨の日でも使えそうかも」
使い勝手は、
・ファイアーピストン:湿気○、手間そこそこ、安全性○
・オイルライター:維持費それなり、すぐ点く、事故注意
・マッチ:消耗品、湿気×、すぐ点く、事故注意
って感じですかね。
場面によって使い分けるのが良さそう。
「なあなあ! これ絶対に“買い”だぜ! いっそ標準装備にすべき!」
「いいんじゃない? まあ、リーダーには点火の真言があるから要らないかもだけど」
「あって損するもんでもなかろう。そう嵩張るものでもないし、全種類買って、それぞれで持つことにするのじゃ。もう買った分も共通経費から落としてよいぞ」
「やった~!! ありがとうリーダー!」
遠方の品なせいか稀少品なせいか分かりませんが、そこそこ値の張ったそれらを買い(それでも魔法の道具に比べれば安いものですが)、一旦、部屋に置きに戻り、今度こそ露天風呂へと向かいます。
…………。
……。
「露天風呂じゃ!」
「源泉掛け流しの温泉ね、効能は“疲労回復、健康増進、美肌など”かあ」
「お湯につかるのなんか初めてだぜ!」(本音:うひょー、女湯だー!)
三人娘が露天風呂に入ってきます。
「ほほー、かなり広いのじゃな! 泳げそうじゃ!」
半竜娘はスパーンと全裸です。髪を結い上げている姿はいつもと違っていてなんか新鮮ですね。
黒光りする鱗に覆われた手足に尻尾はいかにも蜥蜴人ですが、大きく丸い胸や尻は、成人したてには思えないほど豊満です。メロンかな?
ていうか、背が高いからか、何もかもデカい。スイカかも?
溌剌とした若さの中に、確かに垣間見える女の片鱗。
将来がさらに楽しみな、そんな体つきです。
「泳ぐなって書いてあったでしょ、やめてよね」
森人探検家は、エルフだけあって完成した美という感じです。
抜けるように白い肌。
巻き上げられた金糸のような髪。
細く長いすらりとした手足に指。
胸は大きすぎず小さすぎず、林檎のような森の恵みを感じる佇まい。
思わず見入ってしまうような、彫刻のような美しさです。
「あ、先客がいるみたいだな」(本音:今はオイラも女だから女湯に入っても合法、うひょー!)
TS圃人斥候は、森人探検家とは違った意味で人形のようです。
レーアは縮尺が違う感じでちんまりしていますが、性転換魔法の副作用なのか、スタイル良しです。
大人の女性を縮小した感じで、決して幼児体型ではないのですが、手足の細さは只人の子供と同じくらいに見えてしまいます。
手足を見て子供かな、と思えば、しかし確かに存在を主張する胸元、そのギャップ。体積的にはスモモって感じですが、比率的には結構なモノをお持ちで。
……邪念が顔から漏れ出てなければなお良かったのですが。
そして、TS圃人斥候の言うとおり、露天風呂の中には先客がいました。
ハニーブロンドに碧眼、細くくびれた腰つきの、成人したくらいの只人の女の子です。
傷ひとつない身体や手先を見るに、貴族か、裕福な商人の娘なのかも知れません。
…………ていうか、なんか見覚えが……。
あ。
この子あれですね。
原作の冬山ゴブリンパラディン編の“令嬢剣士”じゃないですか? のちの“女商人”の。
マジモンの貴族じゃないですか。
ていうか、何でこんなとこに居るの?
「あら、あなたがたもここにお泊まりですか?」
「その通りじゃ! 良い宿じゃのう!」
「よろしくなー、お嬢さん」
「見たところ結構なイイトコの子みたいだけど、不調法は許してね。こいつら冒険者だから礼儀がなってなくて」
旅垢を流し落として、半竜娘たちが湯に浸かると、先客の少女(推定:令嬢剣士)が話しかけてきます。
「まあ! 皆さんは冒険者なのね! 私も冒険には憧れているのよ! ここの宿にも、自由騎士のお話を聞いて昔から憧れていて。そうだ、いろいろと皆さんのお話も聞かせてくださる?」
このあとめちゃめちゃ武勇伝を披露した。
推定:令嬢剣士ちゃんの目が輝いて……、ああ、これってこの子の冒険者への憧れの最後の一押しした感じです? ひょっとして。
うーん、ままえやろ!
ただ、ゴブリンの怖さはよーく言い聞かせましょうね。
「ゴブリンなんかより、竜やオーガの話の方がいいですわ!」
「いやいや、ゴブリンをナメちゃいかんぞー。統計は取っておらんが、まあ何割かの駆け出しは最初のゴブリン退治でやられてしまうからの」大きな身体を湯に横たえながら半竜娘。でっかいのが浮いてますねえ。
「ん~。中堅でも油断ならないわよ。そこそこの確率で、ゴブリンの巣穴には冒険者が捕まってることがあるし」腕を伸ばしながら話すのは森人探検家。ぷるんとしてますねー。
「こないだなんか、ゴブリンの
「まあ、400のゴブリンの群れですか!?」
「そうなんじゃよ、そこで
その後も令嬢剣士が聞き上手なのか、すっかり話し込んでしまいました。
結局、半竜娘がのぼせてしまうまで、風呂に入っていました。(消耗2点)
途中、他の女性客も入ってきたような気もしますが、特に話したりはしませんでした。
令嬢剣士とは夕食をともにし、また明日、出発するまでの間に武勇伝を聞かせる約束をしました。
そうそう、令嬢剣士は、貴族の娘というのは隠して、“ワイン商の娘”という設定でここには泊まっているとか。
…………。
……。
その夜更けのこと。
「キャアアアアアアアッ!」
絹を裂くような女の悲鳴!
「なんじゃ!?」
「襲撃!?」
「悲鳴以外にもなんか音がしてたぞ!」
半竜娘たちは、臨戦態勢で飛び起きると、手早く持てる分の装備を取り、押っ取り刀で部屋の外に飛び出します。
いったい、何があったというのでしょう……?
大部屋から飛び出した彼女たちが見たのは————
今回はここまで、最後にサブタイをコールして、
ではまた次回!
温泉回でした!
原作キャラ誰も出さないのもなあ、というので、冒険者になる前の令嬢剣士さんを、ワイン商人の娘役で配役しました。
被害者は誰かとか、他の宿泊客の事情とか、誰が犯人かとか、被害者と犯人の因縁とか、その辺の聞き込みは次の話から。
呪文リソースが回復しきってない夜中からのスタートなので、結構ピンチかもですよ?