ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
●前話:
闘技場で50連勝!
半竜娘「やりきったのじゃ……(立ったまま気絶)」
火吹き山の魔術師「ブラヴォー! おお……ブラヴォー!」
はいどーも! 冒険者よりも闘技場の闘士の方が向いてる疑惑のゴブスレRTA実況、はーじまるよー。
前回は半竜娘ちゃんの連勝大記録に、観衆のみなさん
ちなみに画面外では森人探検家ちゃんとTS圃人斥候ちゃんが、闘券(馬券の闘士版)を大当たりさせて、かーなーり稼いだようです。
火吹き山の街は、魔法技術の開発や魔道具の売買も盛んなので、この払戻を軍資金にすれば、相当いい魔法のアイテムが買えるかもしれません。
空間圧縮鞄だの、読むことで能力値が永続的に増強される魔導書だのも、ひょっとしたら売っているかもしれません。店売りはなくても、オークションとか?
さて一方、50連勝を果たした半竜娘ちゃんは、その健闘に感心した闘技場オーナーの魔術師の指示により手厚く看護され、無事一命をとりとめました。
かなり危ないところでしたが、なんとかなって良かったです。
呪文も使い果たして、疲労によって死ぬ直前まで戦い続けるという、蜥蜴人の
というわけで、今回は、
「見知らぬ天井じゃ……」
からの、火吹き山の魔術師との会食です。
出される食事も一級品でしょうし、お土産も期待できます。
半竜娘ちゃんは、闘技場お抱えの治癒術士から【
まー、血まみれのドロドロでしたからねえ。生の心臓をおどり食いしまくったらそうもなります。
「ふんふふ~ん、ふふ~ん♪ “えすて”とやらは初めてなのじゃ♪ 楽しみじゃのう」
「はいお客様、お任せください。オーナーの前に出るにふさわしいように磨き上げさせていただきますわ」
というわけで、ちょうどご機嫌で入浴&エステティシャンの女性から手技と術を受けているところですね。
男女両相を持つ“浴槽神”の信徒であるというこのエステティシャンから、浴槽神の授ける奇跡を併用したエステを受けるという、超絶贅沢体験です。*1
貴族でもそうそう体験できないことですが、ここは闘技場、強さこそがすべての空間です。勝者たる半竜娘ちゃんは、当然これを受けるだけの権利があります。
小一時間ですが施術を受けると、そこにはすっかり美しくなった半竜娘ちゃんの姿が!
「こちら、お鏡をどうぞ。お若いのであまり施術の効果を体感できないかもしれませんが、精一杯努めさせていただきましたわ」
「ほう、これは……体の歪みや氣の滞りまで解消されておる。それにこの鱗の輝き! うむうむ、素晴らしいのう!」
「恐悦至極にございます」
鱗も爪も磨き上げられ、髪も肌も輝かんばかりです。
そのあとも、化粧師によって
また、黒い鱗に映える紅いドレスを贈られたのでそれに袖を通したり……って、これチャイナドレスやないかい!?
尻尾が出せるように後ろは工夫してありますが、あれ、これって、
でもかわいいのでOK!
胸の谷間が見えるようにチラッとハート型に開けられたデザインもGOOD!
闘技場のスタイリストさんGJ!!
「これで準備は整ったかの? 空腹が限界じゃし、あまりオーナーを待たせてもいかんのではないかの?」
「参りましょう。でも、オーナーは女性の身だしなみを急かすほど狭量ではありませんから、ご心配は無用ですわ」
「それを聞いて安心したのじゃ。さて、食事もじゃが、かの高名な“火吹き山の魔術師”殿にお会いできるとは光栄なことじゃ!」
ある意味で完全武装になりましたので、これから交渉フェイズです。
……女魔術師ちゃんたちを救出する約束とか忘れてなければいいんですが。
「いやあ、世界の角に至った
「きっとオーナーは、話が尽きぬようでしたら明日以降もお時間をお取りくださいますよ。何せ、貴女は50連勝もしたのですもの。10連勝を5回よりも、格段に困難なことを成し遂げたのですから」
「であれば、ありがたいがのう、非礼にならぬようなら是非お願いしたいところじゃ」
うーん、救出依頼、覚えてくれてるかなあ、どうかなあ。
……忘れてないといいんですけども。
…………。
……。
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「おお、よくぞ参った!」
晩餐室へと通された半竜娘を迎えたのは、非常に上機嫌の“火吹き山の魔術師”でした。
闘技場のオーナーであり、また興行のプロデューサーでもある彼は、このあたりでは見ない様式の装束を身に着けており、席から立ち上がって自ら半竜娘を迎え入れます。
熱烈な歓迎に半竜娘ちゃんが恐縮してますが、まあ、さもあらん。
(いやあ、これはすごい、かなわんのう……。戦闘用の装備でもないのに、この圧倒的なオーラ! 一体どれほどの研鑽を積めば……いや、ここで頂きの高みを確認できたのは僥倖じゃて!
本人はもとより、晩餐室に置かれた家具や食器にも全て魔法が込められているようです。
食事用のナイフやフォークは、最新の流儀なのか個々人の手元に用意されており、しかも【解毒】の魔法が込められているようです。
机や椅子、置かれた調度品は、部屋の中の者の体調を整え、気分を上向かせ、食欲を増進するための魔法が掛けられているようです。
そして、もしものときにオーナーと客人を守るための守護結界を張るための細工も。
「ほう、これらの魔法の品を看破できるか。蜥蜴人らしい英傑かと思いきや、なかなか魔導にも精通しておるようだな」
「……いえ、
「ふふふ、そう堅くならずともよい。よほど不作法でなければ咎めることもないし、君は十分な礼法を持っている。気楽にな」
「では、そうさせてもらうのじゃ!」
半竜娘ちゃんは【礼儀作法】スキルを持ってるからな!
ちなみに、蜥蜴人は上に立つ将軍級は力だけでも抜擢されますが(もちろん軍師は別に付けられる)、
蜥蜴人は同胞が汚い手で殺されても『死んだ方が弱かった、仕方ない』で済ませますが、人喰鬼は名誉ある戦いを重視しますのでそういうときは係累が仇討ちに来たりしますし。やっぱり蛮族より蛮族してるよなあ、蜥蜴人は。
だから、“火吹き山の魔術師”も、半竜娘ちゃんが魔術師としても確かな研鑽を積んでいることに感心したんですね。単なる魔術使いとしてではなく、その深淵を覗き、やがては盤外に至らんとする求道者の心意気を感じたわけです。
「あれだけ血を浴びて大暴れしておいて、君の本流は、武の道ではなく、魔導……いや、蜥蜴人ならば自らを高める信仰の道かな? そちらにあるようだ。存外、どうにも深い思慮を持っているのだな」
「やがては祖竜のごとき竜になるつもりじゃからの! 【
ゴジラかな?
半竜娘ちゃんは、素質は十分なので、あとは修行して、核融合なりのエネルギーを取り出して生きていけるようにならないとですね。
マグロ食ってるようなのはダメです。
乾杯の合図でグラスを傾け、食前酒を飲んで口を滑らかにしつつ、話題はやはり闘技場での戦いぶりについてのものになります。
「【加速】を切らさずに【分身】とともに畳み掛けるやり方は見事だった。連勝記録を伸ばせたのは、分身による【賦活】の術の運用がものを言った面もあろう」
「褒めてもらってありがたいのじゃ! これは故郷の軍で検討されておった運用案の1つなのじゃが、本来は四人一組で、前衛で【竜爪】を使える武道家、【加速】使いの魔術師、【回復】担当の竜司祭、そして後衛を守る盾役で運用するはずのものなのじゃ!」
「それを一人で賄ったわけか。……いや、しかしそのような運用をしているとは寡聞にして聞かぬが……」
「あー、みんな前衛の攻撃役に志願するせいで企画倒れになったのじゃ……。【加速】の術は難易度が高く、維持し続けるのは困難じゃし、手前も最近漸く安定するようになったくらいじゃからのう」
「そうか、【加速】で一人の手数を二倍にするよりも、軍としての運用なら三倍四倍の人員を用意した方が早いのだな」
「そういうわけじゃて。まあ、闘技場ならかなり有効なスタイルじゃがのう!」
「今後は君の
ソロでの戦いにおける、【分身】・【加速】・【竜爪】・【賦活】の有効性は半竜娘ちゃんの50連勝が証明しています。
というか、呪文行使の難易度が高いとはいえ【分身】がぶっ壊れなんですよね。
低レベルのうちは運用が難しいけど、高レベルだと人権レベルで必須ですよね、【分身】の呪文。特に呪文使用回数が3回を超えると猛威を奮います。
さすがTASさんのお墨付き。
あと、1ラウンド二回行動可能にする上、クロックアップで全判定にボーナス与える【加速】も大概ぶっ壊れです。
まあ、育ちきるまでは器用貧乏になっちゃいますけどねー。
「君の相手をさせるなら、怪物の数はもっと増やしてやっても良かったな」
「確かに雑魚であっても敵が増える方が辛かったじゃろうのう。今回は相手が2体だけに固定されておったから楽じゃった」
「分身を出せぬ者には倍の数相手にするのも辛いはずなのだがな。まあ、次の興行には期待してくれたまえよ、強敵を用意しよう」
火吹き山の魔術師……いやもう“火吹き山P”でいいか。火吹き山Pは、食前酒で口を湿らせながら次の興行のプランを考えているようです。
「おお、是非ともお願いするのじゃ! チャンピオンになって凱旋すると決めておるのでな!」
「うむ、期待しよう」
もぐもぐ。
半竜娘ちゃんは大きな食卓に並べられる料理を次々と平らげていきます。
いい食べっぷりです。
火吹き山Pは全く食べませんが、孫を見守る祖父母みたいな感じで微笑ましく見守っている雰囲気です。なんかほっこりしてるなあ。
「オーナーは食べないのじゃ?」
「ああ、済まないが、飲食を要しない身体なのでね。食べられないことはないが、少し味をみる程度でいいのさ」
「……あっ、核の力を活力にしておるとか!? 父祖の伝説で聞いたことがあるのじゃ!」
「まあ似たようなものさ。君もやがては似たようなことが出来るようになるだろう」
火吹き山Pは本当に少しだけ料理を口に運びます。
んー、多分《死》の魔力を運用しているところからすると、アンデッドとか魔神とかの可能性が高いですし、あるいは人間だったとしも、かなりアストラルサイドに昇華して半神的存在になってるのかもしれませんね。
それか、無限動力を備えたサイボーグだったりとか、異空間に巨大炉心を納めた巨大ロボから動力供給受けてる端末だったりとかかもしれませんが。
その後も穏やかに会食は進み、次のようなことが通達されました。
・今回の戦績を以て、最上級の闘士として登録すること。
・闘技場が組む対戦カードにあと2勝したら“火吹き山のチャンピオン”(新人王)を名乗ってよいこと。
・その場合は、今後の興行と、冒険者稼業と両立できるように、運営からの連絡を受けることができ、かつ闘技場への転移門を開くマーカーともなる魔法の指輪を贈呈すること。
・火吹き山Pが集めた蔵書を納めた闘技場内大図書館への立ち入り許可を与えること。
・魔法の武具装備、道具を取り扱う売店における、高ランクアイテムの購入制限を緩和すること。
・闘士用の鍛冶屋の利用許可を与えること。
・その他、エステなどの福利厚生施設の利用許可を与えることなどなど。
……もうここの子になっちゃっても良いのでは?
「冒険者を辞めてこちらの専業になる気はないかね?」
「お誘いはありがたく、しかし、世には混沌が
「で、あるか。まあ、四方世界の冒険者とはそういうものであるものな。私の闘技場からも、やはりそう言って巣立って行くものは多い」
火吹き山Pは誘いを断られても気分を害すこともなく穏やかに笑っているようです。
「さて、では名残惜しいが、今日はここまでとしよう。いくつかさっき言った土産を持たせてやろう」
「かたじけない。次にまた、病と黒い油の次元界との戦いの話の続きを聞かせてほしいのじゃ!」
「ああもちろんだとも。まあ、さっきの闘士の引き抜き・身請けの話には応じられないが、彼らには幾らか便宜を図ってはやろうさ」
「よろしく頼むのじゃ。あの青年剣士らが光るものを持っているのは確かじゃし、闘技場の興行主として手放し難いのも理解したのじゃ。死なぬようにチャンスを与えてやってくれればそれでよいのじゃ」
あー、一応、女魔術師ちゃんたちのことは忘れてなかったみたいですが……。
これは逆に【
プロデューサー相手に口先で勝てる訳ないだろ! ってことですかねー。
青年剣士くんたちは、火吹き山Pも目を付けてた期待の闘士みたいなので尚更無理です。
「しかし、褒美はこれでいいのか? 呪文使用の負担を肩代わりする『カートリッジ』*2や、斬った相手をウサギに変える剣*3だとかもあるが?」
「まあ、そのあたりはまたの機会にするのじゃ。今回はこれだけ頂ければ十分じゃ! これによって次はきっと連勝記録を伸ばして見せようともさ!」
「さて、そう簡単にいくかな? 次はレートを上げさせてもらうし、もっと敵を増やしたりもするぞ? 君も最上級闘士になったのだからな!」
半竜娘と火吹き山Pは、互いに不敵に笑い合います。
ちなみにお土産は次のようなものです。
10連勝記念:図書館の蔵書閲覧における知人同伴許可(銀等級の魔女さんを連れてくること想定)
20連勝記念:青年剣士・女武闘家・女魔術師の蘇生権付与(この闘技場では《死》の迷宮と同様に魂の輪廻を阻害しており、蘇生権を認められた闘士は、完全な死からも蘇生可能。半竜娘ちゃんが自らのファイトマネーから2回分(=6人分)の蘇生代金を先払い済み)
30連勝記念:内部空間拡張鞄×3(いわゆる四次元ポケットやアイテムボックス、インベントリ。一党全員分。一つの鞄に馬車一つ分の荷物が入る高級品)
40連勝記念:黒い蓮の花びらのカード(所持者の瞑想時における呪文使用回数の回復数にプラス1(重ね掛け不可。一日あたりの回数制限なし)、または瞑想時間短縮:-1時間(重ね掛け不可。一日あたりの回数制限なし)、または高速詠唱技能付与(1ラウンドに主行動で2回詠唱。回数制限1日1度))*4
50連勝記念:鮮血呪紋(両手)(生命・スタミナ吸収の呪紋。素手攻撃の与ダメージの20%(切り捨て)の負傷点回復、または与ダメージの5%(切り捨て)の消耗カウンター回復。無機物系には無効だが、アンデッドや精霊相手のときは、構成するマナを抉って生命力に変換可能。相手に20点以上のダメージを与える限りはほぼ無限に戦え……継戦カウンターが嵩むと1ラウンドあたりの消耗カウンター蓄積が2点、3点になるから無限には無理だわ。)(後日施術予定。興行はそれが馴染んだあと。)*5
「では、次の興行の日程は追って伝えるのでな。生命吸収の鮮血呪紋の施術は明日、ここの受付を訪ねると良い。そして是非とも、次も観客を沸かせる戦いを頼むぞ!」
「任せてほしいのじゃ!」
と、そこですんなり別れられれば良かったんですけどねえ。
晩餐室から出たとき、廊下に控えていた従者が、火吹き山Pの方に何事か囁きます。
それを聞いた火吹き山Pは、いかにも嬉しそうな雰囲気になります。
「ふふふ、やはり彼らは英雄の器だな」
「彼ら、というと、あの
「そうだとも。ひさびさの脱走者とのことだ。君も見にくるかね?」
おっと、早速、蘇生権の出番が来そうですね……。
青年剣士「脱走する!」
女武闘家「えくそだす!」
女魔術師「自力救済!」
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森人探検家「わー、すっごいお金もちになったわ。交易神さま、ありがとうございます。お布施奮発します、きっと必ず」
TS圃人斥候「装備とか魔法の道具とか見に行こうぜー。辺境の街より品揃え良いだろうしさー」
森人探検家「それよりまずはご飯にしましょ。リーダーは闘技場に招待されて戻らないみたいだし」
TS圃人斥候「さんせーい」
森人探検家「邪魔」 TS圃人斥候「おことわりー」
ガッシ!ボカッ!
森人探検家「これ面倒ねえ。もう5人目?」
TS圃人斥候「まあそのうち止むっしょ」
森人探検家「交易神の神殿にお布施して、界隈に話つけてもらうかしら」
TS圃人斥候「じゃあオイラはここの圃人租界の顔役にでも会ってくるかなあ」
森人探検家「ま、何にせよご飯が先よ。いい肉食べましょ」
TS圃人斥候「破戒エルフなんだよなあ……」