ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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●前話:
遠征終わってみんなめっちゃ成長した!
受付嬢「みなさん面構えが違いますね」


二周目レギュRTA 目指せ【辺境四天王】~竜の巫女編~
23/n 塔を登れ!-1(青玉昇級)


 はいどーも!

 収穫祭編なので頑張って習俗とか描写したり、キャラを深堀りしていく実況(にしたい(願望))、はーじまぁるよー!

 

 前回は、迷いの森に封じられていた、かつての魔神王の残影である蜘蛛の化け物を『成敗!』したところまででしたね。

 目的だった『手』の呪物も手に入れられて万々歳ってところです。

 

 あと、遠征で十分な経験を積んだとギルドからみなされたのか、半竜娘ちゃんが昇級しました。

 上がったのは半竜娘ちゃんだけですが、これで森人探検家と同じ青玉等級、第七位の等級の冒険者になりました。

 いよいよ中堅の仲間入りです(なお登録後まだ半年)。

 

「いーなー、リーダーは昇級できてよぉー。オイラはまだ第九位の黒曜だぜ」

「春から真面目にやってきたおかげじゃて。そう羨むなら、お主もゴブリン退治とか塩漬け依頼の消化に協力せんか」

「おっと、急用を思い出したゼ!☆」

「……まったく、そういうとこじゃよ!」

「きこえなーいね!」

 

 夏の季節も終わりに近づき、辺境の街は収穫祭に向けての準備が進んでいます。

 冒険者たちも、収穫祭を楽しむために、片付けられる冒険は片付けて後顧の憂いをなくし、また祭りのための軍資金を積み上げるのに余念がありません。

 半竜娘たちも、大冒険とは言えないまでも、日々の仕事としての依頼をこなしたり、そのほかの副業をやったり、修行したり、まったりと日々を過ごしたりしています。

 

 いまは、ギルドの酒場でこれまでのことをまとめたり、冒険報告書を作ったり、収支の帳面をつけたりしているところです。

 

「えーと、報酬と経費と……副業のうち共有資金に入れるのが……」

 

 副業と言えば、半竜娘ちゃんの場合は、主な副業として、巨大化した上で土木の知識を生かして、周辺の村や街道の整備をしたりしています。

 人間重機は伊達じゃない!

 大抵は、ゴブリン退治に行った先の村で、そこの野菜やなんかと引き換えにちょちょいと工事することが多いです。

 

――「おぉ、こないだの雨で崩れた堤が、あっという間に……」

――「まー、こんなの手前(てまえ)にかかればちょいぱっぱじゃて! ハッハッハ!」

 

 なんなら空間拡張された鞄を活用し、塩だとかの必需品を売るほど持ち歩き、あるいは村の特産を買い付けて、行商の真似事もしています。

 麒麟竜馬に曳かせた快速馬車を持っているので、新鮮なうちに運べるのが売りです。

 

――「野菜だの買ってくれるのはありがたいけんども、街に運ぶまでに痛んじまわねえか?」

――「問題ないのじゃ! 魔法の鞄に竜の馬車! 街まではすぐじゃて!」

 

 ちなみに、会計担当として文庫神官が同道することが多いみたいです。

 大商いのときは、交易神の信徒である森人探検家もついて来ます。お金は大事なので。あと半竜娘だけに任せるとおおざっぱなので。

 神官というのは、この時代はインテリ扱いですし、やはり只人や森人の神官を連れていると、村人の当たりも柔らかになります。

 蜥蜴人の竜司祭だと、どうしても田舎だと警戒されがちですからね。

 

「……ふぅ。冒険より、行商の方が安定して稼げるかもしれませんね」

「でも遺跡探検は浪漫じゃよ! あと戦いのない日々など耐えられんのじゃ……。血祭り、焼き討ち、大粉砕……そしてゴブリン退治」

「行商で稼いだお金を冒険のためにパーッと使うのが良いんじゃない! 採算度外視で遺跡に潜るのって憧れてたのよね~」

「道楽冒険者じゃないですか……」

 

 一党の帳面をつけている文庫神官が呆れています。

 でもまあ、竜を族滅させたなら、冒険者としてはほぼ上がりみたいなものですからね。

 それでも続けているのは、半竜娘ちゃんの場合は、道楽……というよりは、竜になるための求道の意味合いが強いですが。竜素材の資産を共同管理している魔女さんの場合も、引退しないのは魔術の研鑽のためですし。

 

「道楽ではなく求道じゃよー」

「お金で大半のことは片付くけど、結局お金ってのは手段や選択肢を増やしてくれるだけで、本当に欲しいものはお金と直接は交換できなかったりするのよねえ。近道はさせてくれるけど」

「お、いいこと言うのう! 流石は交易神の神官といったところかや?」

「クソ師匠の教えでもあるわ。いつから生きてるか分からない――ひょっとしたら私より年上なのかも――そういう妖怪みたいな圃人だったけど、教わったことは役に立ってるのよねえ……癪だけど」

 

 森人探検家は、自分の師匠――ゴブリンスレイヤーの師匠でもある圃人――を思い浮かべて、愁いを顔に載せた。

 森人は愁眉も絵になる。

 

「いつかそのお師匠とやらにも手合わせを願いたいものじゃな!」

「その時は一緒にやりましょう」(迫真)

「あの伝説の『忍び』だろ、エルフパイセンの師匠って。オイラも会いたいなあ……指輪の物語を本人から直接聞いたなんてなったら、子孫に自慢できるぜ」

「……ほんとに本人なんですか? 指輪って言うと、あのおとぎ話のことですよね?」

 

 文庫神官が首をかしげていますが、それに対してTS圃人斥候が目を輝かせて答えます。

 

「圃人界隈ではもうまさしく生きる伝説だぜ!」

仕掛人(ランナー)なんかの裏稼業でもそうよ」

「いやー、会える日が来るといいなあ! 楽しみだぜ!」

「幻滅しなきゃいいけど」

 

 和気藹々と、時に脱線しながら一党会議は続きます。

 

 大冒険がない時にやることといえば、あとは、火吹き山の闘技場で最上級闘士として興行したりですね。

 これはファイトマネーが美味しいです。

 あと、闘技場は、他の最上級闘士のビルドを見るのも参考になりますしね。

 

 そして街の冒険者たちも連れて、闘技場に転移し、試合後はそこの図書館やエステを使わせてもらったり、一緒に観光したり、買い物したり。さすがの福利厚生。

 特に図書館はやはり次元渡り(プレインズウォーカー)の蔵書だけあって、貴重な資料が目白押しですし、買い物も最上級闘士としての優遇を受けているので魔法のアイテムが買えちゃいますし。資金源はまだ、登録初日に竜の素材で稼いだ分のストックがありますし。

 

「この あいだは、図書館に、誘ってくれ て、ありがと、ね?」

「おう魔女殿! こちらこそ研究を手伝ってもらって助かったのじゃ! また誘うから良しなになのじゃ!」

「ええ、 楽しみに、してる、わ」

 

 後衛職を誘うならデート先にも最適! ちょうどギルドの卓の横を通りすがった魔女さんに声を掛けられたので、さらっと次のお誘いの約束をします。

 こうやって魔女さんを誘って時々図書館デートしています。

 今はアストラル界関係の技術を研究して磨いているところです。

 もちろん、継続して肉体改造とか肉体変容系の技術についても共同で調べていますし、他にもスクロール作成系の技術も魔女さんから教わろうとしています。

 

「そうじゃ、これを貰ったのじゃった。じゃじゃーん」

「リーダー、何それ?」

「カタログじゃよー。道具で済ませられる魔法は、自前で覚えずとも良いかと思ってのう。火吹き山の購買部で貰ってきたのじゃ」

「確かにねー、真言も奇跡もいくつも覚えられるわけじゃないしねえ」

 

 ギルドで分厚い冊子を取り出すと、森人探検家がひょいと覗き込んできました。

 取り出したのは、火吹き山で扱っている魔道具のカタログです。

 

「お姉さま、何か欲しいものでもあるんですか?」

「ふむ、『【支配(コントロールアニマル)】の手綱』が気になるのじゃ。ほれ、飛竜をおびき寄せてこの手綱をかけて乗れば、偵察や強襲に便利じゃろ? 竜挺降下(ドラボーン)じゃ!」

「……墜落怖い墜落怖い墜落怖い」(ガタガタ)

「あっ、トラウマじゃったな……。ま、まあ、乗るのは手前(てまえ)か斥候じゃろうから安心せい」

 

 文庫神官ちゃんは、流石にまだ空は怖い様子。

 まあ、空が怖いから、連れ去られないように重装備に方針転換するくらいですからね。

 その間にも、TS圃人斥候や森人探検家はカタログを見ています。

 

「この『【粘糸(スパイダーウェブ)】のロッド』とか、あると便利そうじゃね? ロープの持ち歩きも減りそうだし。ロープって意外とかさばるんだよなあ」

「今は空間拡張鞄(アイテムボックス)あるからいいでしょ。でも、あると便利そうねえ、カギヅメを引っかけるところがないような場所へも、粘着糸を飛ばせば張れるし」

「あっ、使い捨てだけど『【分影(セルフビジョン)】のかんしゃく玉』ってのも良いな。足元の地面にたたきつけたら、一瞬で本人の幻影が五つ、閃光と煙とともに現れる、と」

「緊急避難の手管は、いくらあっても良いわよねえ」

 

 そんな半竜娘たちに対して、周りの冒険者――特に駆け出し――は、「この金満冒険者どもがっ!」と思ってる気がしますね。

 嫉妬のオーラが渦巻いているような……。

 まあ、そんな彼らのヘイトを逸らすために、半竜娘もよく酒をおごったり、自身の契約精霊である水蜥蜴の水精霊や、酒場に居ついた羽衣の水精霊を【使役(コントロールスピリット)】の魔法で呼び出して、生命力や疲労を回復させる【命水(アクアビット)】の精霊術をふるまったりしているわけですが。

 

「あ、半竜の! こないだは【聖餐(エウカリスト)】の魔道具貸してくれてありがとう! ほら、アンタもお礼!」

「ああ、マジで助かったぜ、ありがとうな!」

「よかよか、どうせその日は使わない予定じゃったんじゃからの」

 

 通りがかった見習聖女と新米剣士が、半竜娘たちに頭を下げます。

 半竜娘たちは、病気を予防する祝福された食事を生み出す奇跡【聖餐】が込められたランチョンマットを複数所持しているのですが、自分たちで使わない日は、ギルドで他の冒険者に格安で貸し出して使わせています。

 特に、下水道で不潔な大鼠や大黒蟲を相手にする駆け出しと、ちょっと体にガタが出始めた中年冒険者には好評です。

 病気を治すのもお金かかりますし、寝込んでる期間働けないのは致命的ですからね……。

 

 このあたりの気前の良さもあって、ギルドの信用もうなぎのぼり。

 きっと、青玉の次の、翠玉等級(第六位階)への昇格にもつながっていくでしょう。

 銀等級になって【辺境四天王】を目指すRTAっぽくてイイゾ~、これ。

 

 なお、【聖餐】は地母神の奇跡なので、女神官ちゃんは微妙な顔していましたが。

 『奇跡の安売りはちょっと……、でも、《守り、癒し、救え》の地母神の中心教義三原則(セントラルドグマ)的には正しい行いですし……』みたいな複雑な表情でした。

 本当は【聖餐】の魔道具によるふるまい飯も、地母神の寺院の場所を借りておこなった方が、神への敬意を捧げることに繋がっていいんでしょうけど……。まあ、地母神寺院から何か言われたら考えましょう。

 

 

「えーと、それで。そろそろ収穫祭も近いんじゃから、遠出はやめた方がいいかのう。手前(てまえ)も儀式のために、潔斎したりだの、身を整える時間が必要じゃし」

「といっても、私たちは快速馬車があるから、他の冒険者の何倍も遠くまで行っても、まだ日帰り圏内だけどね」

「まー、結構働いたし、収穫祭終わるまでは休暇で良いだろ?」(本音:歓楽街いきてえ)

「収穫祭までの準備もありますし……注文してたデート用の服の受け取りとかありますし

 

 ――じゃ、各自、自由行動ということで。

 と、そういうことになりました。

 

「私はいつもみたいに次の遺跡の情報を集めようかしら」

「オイラは適当に羽を伸ばしてくるつもりだぜ~」

 

 森人探検家とTS圃人斥候は、それぞれに過ごす当てがあるようです。

 半竜娘と文庫神官ですが……。

 

「そういえば近くの知識神の文庫に、写本を納めに行くとか言うとらんかったかの?」

「あ、お姉さま、覚えていてくれたんですね! はい、闘技場の図書館の蔵書で写す許可をいただけたものを写本してきたので、それを納めようかと。結構な稀覯本も許可されたので」

「文庫の場所は、たしか前に何処だかの村からの依頼の帰り道に見かけたところじゃよな? そちらの蔵書も気になるから、一緒に行くかの。それでいいかや?」

「是非是非! よろしくお願いいたしますわ、お姉さま!」

 

 ということで、辺境の街の近くの、知識神の文庫へと向かうことにしたようですね。

 文庫神官の故郷はもっと遠くなので、迷いの森の攻略の時に宿坊を借りたところとは全く別のところになります。

 麒麟竜馬の馬車ならすぐの距離です。

 

「あの、すみません。今、良いでしょうか?」

 

 と、出掛けようとしたところで、受付嬢の方から声がかかります。

 

「なんじゃろか?」

「実は、邪悪な魔術師の塔が見つかったということで……」

 

 話を聞くと、ちょうど文庫神官を助けたあたりに、突如として白亜の塔が現れたのだとか。

 さらにその近辺でガーゴイルが街道で人攫いを繰り返しており、生贄かなにかにされているものと目されているとのこと。

 国王陛下も憂慮し、しかし、軍を動かす案件は他にもあり。

 であれば、冒険者の出番というわけです。

 

「他の面子は?」と半竜娘が受付嬢の後ろを見やれば、そこには辺境三勇士の姿が。「ほう、錚々たるメンバーじゃの。ゴブリンスレイヤーがおるなら、ゴブリン案件かや?」

 

「まあ、見れば分かると思うが、戦士ばかりではな」やれやれと重戦士。

「あと今回はゴブリンは出ねーよ」そんなつまらない案件なら自分は出張らないとばかりに槍使い。

「依頼がなかったからな」ゴブリン退治の依頼がなかった(=あったらそっちに行ってた)と告げるゴブスレさん。

 

「そっちは呪文が充実してるだろ? 信用も置けるしな」

 

 重戦士が、斥候や魔術師、神官が足りない旨を告げます。

 確かに、半竜娘一党なら、メンバー的にうってつけです。

 

「とはいえ、こっちの一党を合わせて7人だと多くはないかや?」

「ああ、だから2パーティで攻略したらどうかって話だ。こっちには、半竜の嬢ちゃんの分身を付けてくれれば助かる」

「なるほどのう」

 

 後ろで槍使いが「それなら俺はそっちの嬢ちゃんたちの方に加わりたいぜ」とか言ってますね。

 半竜娘ちゃんたちは見目麗しいし、守ってカッコつけようって腹でしょうか。

 重戦士が「お前はこっちだ」と首根っこ掴んでますが。

 

 半竜娘たちはお互いに目配せして意志疎通。

 受けることに異議はなさそうです。

 

「それなら、ぜひお願いするのじゃ。辺境三勇士と冒険できるとは光栄じゃし、こっちも勉強させてもらうのじゃ。こちらも他に急ぎの用があるという訳ではないしの」

「よし、決まりだな!」

 

 というわけで、収穫祭前に、60階くらいありそうな邪悪な魔術師の塔(ドル○ーガの塔)を攻略することになりました。

 

 今回はここまで!

 それではまた次回!

 

 

 

 




原作小説3巻の前に、ブランニュー・デイの塔の話を。

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