ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
●前話:
塔を登ろう!(登るとは言ってない)
(なんならまともに登るとも思われてない)
はいどーも!
いくらどんがたべたかったな~、いやでもそうでもないかな~?
固定目標とか【攻城兵器】の称号持ちにはカモでしかないんだよなあ……な実況、はじまってる!
「『俊敏なりし
ドドドドドドドドドドドドドドドド……
はい、今は初手でとりあえず
今回は、さらに森人探検家の【
【
大精霊を複数呼び出して【統率】したので、呪文行使達成値も底上げされて、巨大化倍率も10倍を達成。
現時点の最大威力を叩き出せるようにしています。
ドドドドドドドドドドドドドドドド……
野外なので、初手は【力場】によるサーキットバンクは作ってません。十分な距離が取れますからね。
突撃開始距離は、最大助走距離の半分ほどです。二撃目以降の往復前提です。
半分といっても、およそ1500mは離れてますけどね。
口から漏れる怪鳥音を引き延ばしながら*1ものすごい速さで遠く離れた塔の方へと突撃していきます。
ドドドドドドドドドドドドドドドド……
あ、激突しますね。
はいどーん!!
「おお、行った行った」 愉快そうに
「さぁて、これで倒れてくれりゃ楽なんだが」 重戦士は濛々と立ち上る土煙を見透かそうと目を細めています。
「そうだな」 いつも端的な言葉なのはゴブリンスレイヤーです。
彼らが立つのは、問題の塔から少し離れた丘の上。
その後ろでは、森人探検家、TS圃人斥候、文庫神官が野営の準備をしています。
彼女たちはこんな状況でも平常心です。まあ慣れっこですからね。
「私たちの出番残るかしらね」 馬車から空調機能付きの天幕を取り出す森人探検家。「これだと残敵の掃討とかだけやる感じかしら、面倒よね」
「あーあ、塔のお宝をかっぱぐの楽しみにしてたんだけどなー」 手早く火を起こしているTS圃人斥候。「オイラたち来る意味あったかぁ?」
「……わぁ……【辺境最大】ってこういうことだったんですねぇ……」 何気に、土木工事する半竜娘は見慣れていても、最大威力の突撃を見るのは初めてな文庫神官。「さすがお姉さまです!」
馬車の傍らは空です。今は、いつも曳いてくれている2頭の麒麟竜馬は居ません。
ここに居ない半竜娘とその分身が、離れた突撃開始地点へと移動するときに、それぞれで麒麟竜馬に跨っていったからです。
発進地点から野営地が割り出されないようにという配慮で移動したわけですね。
まあ、ここに至る経緯なんて言わなくても、壊していい塔があるんだから、半竜娘ちゃんなら絶対、巨大化突撃するよねって感じですが……はい、回想スタートです。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
▼△▼△▼△▼△▼△▼
「
力を込めて半竜娘が宣言します。
速き風よ光とともに解放されよ! ティルトウェイト!
「いいえ! それは通しません!
文庫神官がその攻撃を通さないように、対抗呪文を宣言!
「ふん、お主じゃパワーが足りんじゃろう! これで
「あ、私も【抗魔】」
「オイラも」
「なんじゃと! 同期詠唱で効力増加!? これでは手前の【
森人探検家とTS圃人斥候も便乗し、半竜娘の全体攻撃を封じ込めます!
「“お前にできることなんか、みんな私が簡単に打ち消せることばかりだ” です!」*2
「“残念ながら、そうはいかないね” ってやつだな」*3
「“どうせお粗末な呪文だったんだろうさ”……私も言ってみたかったのよね~」*4
「ぐぬぬ……!」
みんなして苛められて半竜娘ちゃんがぐぬぬしてますねー。
「……ただのカードだよな?」 熱くなっている女性陣を尻目に、重戦士が呆れています。
「……そのはずだが」 生返事で装備の点検をしているのはゴブスレさん。
「ぐぬぬ……」 槍使いはゲームに参加中ですが、コンボに参加できなかったので点数が稼げず唸っています。
そう、カードです。
半竜娘・文庫神官・森人探検家・TS圃人斥候の手元には、バラバラの真言が書かれたカードが。
手札から役を揃えて真言呪文を構成し、それによってダメージなのか点数なのかなんかそういうのを計算する雰囲気です。
手軽なルールだと、早く手札がなくなった方が勝ちとかいうそういう感じのようですが、半竜娘たちはもう少し複雑なルールで遊んでいるようです。*5
塔へ半竜娘の分身が突撃をかました時より少し時間はさかのぼって、移動中の馬車の中。
麒麟竜馬の曳く快速馬車に乗って、3人の
暇なので、と、呪文に造詣のある5人――半竜娘、森人探検家、TS圃人斥候、文庫神官、槍使い――でカードゲームを始めたのです。
ちなみに御者は、半竜娘の【分身】が務めていますので、メインメンバーは全員馬車の中ですし、移動に当たっては【
「しかしまあ、いい馬車だな」 重戦士がしみじみ呟きます。「緊急の依頼の時は手間賃弾んで運んでもらうのもいいな」
「揺れが少ないのは助かる」 ゴブスレさんはぶれないですね。「ふむ、貸馬車をやるなら俺も頼みたいものだ」
実際、通常の馬車の何倍もの速度が出ていますし、いざとなったら
移動時間短縮のために頑丈で揺れない車体を調達しているのですから、いかに半竜娘ちゃん一党が『速さ』あるいは『早さ』に固執しているか伺えようというものです。
冒険なんて、移動時間が8割9割を占めるといっても過言ではない……みたいですからね。
案外、上級冒険者向けに冒険者タクシーなんかやれば、小遣い稼ぎになるかもしれません。
「おーい、見えてきたのじゃ! あの真っ白い塔じゃと思うのじゃ!」
外で御者を務めていた半竜娘(分身)が、馬車の中に呼びかけます。
「お、本当か?」
「やっと着いたのね」
どやどやと進行方向の覗き窓を開けて、あるいは扉を半開きにして首や身を出して、中のメンバーが外を見ます。
「うわぁ、めちゃくちゃ高い塔じゃのう」
「最大限巨大化したリーダーよりも10倍はデカそうだぜ」
TS圃人斥候が、つい斥候らしい癖で、腕を伸ばして指を立ててざっと目算を立てます。
「60階はあるな、こりゃ」
「しかも魔術師の塔ってんなら、中は罠と怪物がわんさかと、じゃろ?」
「その分、宝物も期待が持てるってもんじゃないかしら」
やがて野営にちょうどよさそうな場所に差し掛かったので、馬車を止めます。
作戦会議です。
「さて、竜の馬車に乗せてもらったから、時間的には随分と余裕ができたが」
「このメンツなら真正面から行ってもいいと思うが、どうすっかねえ。流石に60階は面倒だ」
「ふむ」
ゴブスレさんが半竜娘を見やります。
今回は銀等級のHFO三人衆がメインパーティなので、発言を控えていますが、目がキラキラして尻尾がうずうずしています。
わかるよ、何を期待しているか。
「崩せるか?」
「!」
うわあ、すっごい嬉しそう。
「やる! やるのじゃ!」
「ひゅ~、【辺境最大】の大突撃ってわけか」
ぴょんと跳ねて両手をぎゅっと握った半竜娘ちゃんに、槍使いが口笛吹いてはやし立てました。
「まあ、それで済むなら話は早いがな」 重戦士も特に否定はしません。「だが、善後策は必要だぞ」
失敗した時のことを考えるのもリーダーの務め。
「とりあえず、今日使える呪文を使い切って、【
「……まあ、確かにな。もともと挑むなら万全にしてからって予定だったし、それなら今日の分の呪文の残りを有効活用するだけか」
重戦士も納得したようです。
「では
うきうきと飛び出していく半竜娘。
「あ、リーダー! 私たちは?」 森人探検家が麒麟竜馬にひらりと跨った半竜娘とその分身の背中に声を投げます。
「うむ、野営の準備を頼むのじゃ! そっちの【辺境最高】殿の采配に任せる!」 半竜娘×2は、自身がいない間の指揮を重戦士に委ね、あっという間に木立の間に消えていきます。
半竜娘×2が離れたことで、【狩場】の結界も解除されます。
「さあて、どうなるかねえ」 思案気に重戦士。
「ま、お手並み拝見といこうじゃねえか」 槍を肩に載せながらニヤニヤと槍使い。
「ゴブリンが出るやもしれん。俺は警戒をする」 ゴブスレさんは周囲を一回り見て来るようです。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
▼△▼△▼△▼△▼△▼
というわけで現在。
半竜娘の巨大化加速【突撃】が、白亜の巨塔に炸裂しました!
「おお!? 崩れるぞ!!」
槍使いの声のとおり、遠くに見える白亜の塔は、下層が半竜娘の突撃により崩れたのか、傾いで崩落していくように見えます。
……ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
「二撃目だな」
重戦士の冷静な声。
土煙の中から飛び出した10倍巨大化半竜娘(分身)が、もとの発射地点へと魔力の光を纏って【突撃】してきます。
その行く先には、半竜娘本体が設置したのだろう【力場】による反転用のサーキットバンクが設置してあります。
斜めに傾いだ細い魔力の足場を半周し、進行方向を転換。
再びの突撃!
しかも今度は往復により、助走距離を最大まで積んでいますから、1回目の突撃の2倍の威力です!
――――CRRAAAAASSH!!!!
今度は明確に、白亜の塔の上階層が落ちていくのが見えます。
下部は土煙で見えませんが、おそらくは達磨落としのように、幾つかの階層がまとめてスコンと抜けたのでしょう。
……ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……
「三撃目……?」
ゴブリンスレイヤーが首をかしげています。
もはや塔は完全に崩壊しつつありますし、これ以上は
いえ、まあ念を入れることは悪くないですし、以前にゴブリン殺しの教導をしたときも、嬉々として洞窟ごと潰していたので、そういう趣味かと思えばそうなのかもしれませんが……。
――――KABOOOOMMM!!!!
半竜娘の突撃は、落下しつつあった白亜の塔上層部をさらに掬い上げるように吹き飛ばします。
支えを失って落下する上層部が、空中で重心を中心に緩く回転します。
この調子で落下すれば、塔の最上階は、回転と自然落下により、猛烈に地面にたたきつけられるでしょう。
……
『この、痴れ者がああああああ!!!!』
突如として、かすれた風洞を抜ける風のような、不気味な声音の大声が響き渡りました。
「土煙が、消えていく……?」
そして声とともに、崩壊していたはずの塔の動きが止まります。
まるで見えない糸に吊られたかのように。
土煙も、まるで逆回しするように、吸い込まれて消えていきます。
『我が思索を妨げるとは!! 万死に値する!!』
突撃を終えた半竜娘の分身体(10倍巨大化)は、塔のあった場所から少し離れて、腰を落として構えを取っています。
彼女の顔に油断はなく――いえ、戦いの予感で歓喜に震え、口の端を釣り上げています。
『このワシが、竜への備えをしておらんと思ったか!!』
おそらくは魔術師のものだろう声は、勝ち誇るもの。
『起動せよ、対竜形態! 白亜巨龍兵【ガルガンチュア】よ!!』
白亜の塔は崩れたのではない!
戦闘形態になるための自切!
分かたれたパーツが変形し、組み合わさり――長い尾を持った巨大な二足歩行の人竜の形態を作り上げる!
『ファファファ……しねい!』
まさしく塔のごとき長大な尾による薙ぎ払いが、半竜娘(巨大化分身)を打ち据えんと唸りをあげた!
白いゴジラ。それかデビルガンダム。またはシンカリオン劇場版のヴァルドル(シンカリオンは良い文明だからみんな見よう!)。そんな感じの人竜形態、白亜巨龍兵【ガルガンチュア】。
目立つ塔を作ったら戯れに古竜に壊される、四方世界はたぶんそんな世界。
だからその備えも要るわけですよ!(ぐるぐるおめめ)
ちなみにこいつはイベントオブジェクトなので、キャラクターとしての
なお、塔を壊そうとしない限りは起動しません。楔打って壁登りは許容範囲。
GM「“塔を登れ!”つってんだろ!」(破壊行為に反応して塔を破壊不能ロボットに変形)
PL「OK。ちょっと『ワンダと巨像』復習してフィールを高めてくるわ」
GM「ちがうそうじゃない、おいばかやめろ」