ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
●前話:
モブ
TS圃人斥候「(無敵か、こいつ……!?)」(どん引き)
なお衛兵に引き渡される前に、隙を見て逃げた模様。
たぶん、バックアップの
モブ
相棒
……こっちの実績にペケは付かない」
モブ
相棒
おかげでこっちは依頼人からの前金と、その白塗りエルフの上乗せ分で儲けたけど……でもしばらく大人しくしとこう、依頼人をやったっていう凄腕三人組に目を付けられたくもないし」
モブ
超勇者ちゃんRTA走者「空き時間にイベントサーチして陰謀を色々と挫いて人助けすることで
……うーん、なぁんか思ったより介入できるプチイベントが多いですが、ここで貯めたフレアは、後のチャートの安定化とタイム短縮に繋がるので、積極的にカチコミします。うまあじ、うまあじ」
※相棒仕掛人について:あなたは、巨乳美人(片恋慕)な相棒仕掛人を想像してもいいし、女顔の弟(苦労人)を想像してもいい。
はいどーも!
そーれそれそれ、お祭りだーー!! な四方世界実況、はじまるよ!
前回は、街の西に儀式場を築いたのと、超勇者ちゃん一行をやり過ごしたところまでですね。
そして明くる日。
収穫祭当日です。
半竜娘ちゃんは、いつものように就寝前に【
本体と分身で16回も呪文使えるのはヤバいですね、マジで。
本体は分身を出すのに専念し、分身をオーバーキャストで使い潰しつつ、『黒蓮花弁のカード』の補助ありの瞑想で呪文使用回数を回復させながら運用すれば、さらに呪文使用回数が増えてえらいことになります。
「魔女殿は――」「――おめかし中のようじゃの」
半竜娘ちゃん
朝早くから起きて、うきうきとおめかしする綺麗なおねーさん、尊い。尊くない?
半竜娘ちゃんは、分身と本体でまったく同じ動作で同じタイミングで、ぅん、と伸びをして、暖気のために朝日の入る窓辺の好位置を取り合いつつ、鏡合わせのように顔を見合わせます。
「手前らも手早く朝の日課をこなして」*1
「そんで準備して出かけるとするかの」
「そうするのじゃ」
そういうことになった。
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そして待ち合わせの街の広場。
ぼちぼち祭りの屋台も始まっています。まあ、そういう早くから開けてるのは朝食の屋台も兼ねてるようなところですが。
約束の時刻の鐘が鳴るまではまだしばし時間があります。
一党のうち何人先に来ているか、1D4-1で(一番乗り~重役出勤)ダイスロールです。
◆先に来ていた人数:1D42-1。
ということで、1人先に来ています。
さて、誰が先に来てたか……1D3振って、1~3の加入順に従って判定します。
◆誰が来ていた?:1D31。
……どうやら、加入順1の森人探検家ちゃんが先に来てたようです!
待ち合わせ場所の広場にあるベンチに座って、朝食のつもりか肉串を食べています。
「あら、あなたも案外早かったわね」
「まあ、これでも僧の端くれじゃし。朝は早い方じゃよ。そっちこそ早いのう」 そう言いながら、半竜娘ちゃん
「実は寝てない」 キメ顔で妄言を宣う森人探検家。
「ふはっ、祭りが楽しみで寝られん
仲間の意外な側面を見たような気になって、半竜娘は愉快に笑います。
森人探検家は、それに対してむくれるでもなく、手元の肉の串を食べながら、据わった目と不敵な笑みで答えます。
「前夜祭って言葉、知ってる?」
「知っとるが、夜通しはせんものじゃろ」
「普段と違って夜通しやってる店も多くなるってことよ。いろいろとローグギルドで情報収集した後に、ばったり旧友と会ってね。ほら、あなたも知ってるでしょ? 緑の髪の森人で、魔術師の」*2
「おお、森の砦を一緒に焼いた! そうじゃそうじゃ、お主を紹介してもらった森人じゃな」
「そうそいつよ。で、まあ、最近の冒険のことを話してたら、いつの間にか夜明けだったってわけ」
だめな大人じゃん。
いや、そりゃ森人は常に全盛期の肉体だから、徹夜程度は問題ないんだろうけどさ?
「それじゃと、術を使うのに支障が出るじゃろ。お主も、緑髪の友人も」
「そーなのよね。まあ、ちょくちょく寝落ちしたりウトウトしてたりしたから、あと2・3時間寝れば
「それなら、いま暫く寝たほうがよかろ」
それを聞いて、悪童のようにニヤリと笑う森人探検家。
食べかけの肉の串を半竜娘の分身の口に押し込みます。
「むぐ?!」
「言質はとったわよ。じゃあ、よろしく~」
「んむ、おおっと?」
そのままベンチで横に座ってきた半竜娘の分身の方にトサっと身を預けて、あっという間に寝入ってしまいました。
いつでもどこでも、スイッチを切り替えるように寝られるように、そういう技能でも会得しているのかもしれません。
種族特性か、個人の資質か、あるいは、クソマンチ師匠の特訓の賜物かまでは分かりませんが。
「すぅ、すぅ……」
「寝ておる……しかしまあ、やはり美しいものじゃのう」
朝日に照らされる森人の美しさに目を奪われること暫し。
「あ、そういえば肉は食わんつもりじゃったのに」
「【
「食ったのが分身の手前の方で良かったと思おう」
「
本当は潔斎中で肉を食べる気はなかったのですが、つい肉を口にしてしまったので、分身体の方は【
本体の方の術は解けてないので、決定的な失敗というわけではないですが。
それも見越して、本体と分身を見分けた上で、分身の方に食べさせたのだとしたら、森人探検家は、半竜娘のことをよく分かっています。
さすが、一番つき合いが古いだけありますね。
「……他の者が来るまでは寝かせてやるかの」
「そうじゃの。さて、【
「であれば、
分身体は肉串を食べ終えると、阿吽の呼吸で本体の方へ、残った串を差し出しました。
半竜娘ちゃん本体は、ベンチで挟まれて寝ている森人探検家の頭上経由で、肉串の串だけ受け取ると、バリバリと噛み砕きます。
……エ、エコですね……。
「んじゃあ、
「骨付き肉でもあれば、肉は
「あんまり食べ過ぎると、そのあとの食べ歩きで食えんようになるぞ」
「大丈夫じゃろ。あ、チーズ付きのがいいのじゃ」
「はいはい、分かったのじゃ。味覚は共有してくりゃれよ?」
森人探検家に寄りかかられている方(分身体)を置いて、半竜娘ちゃん本体は屋台を物色しに立ちました。
残された半竜娘の分身体の方は、思わず寄りかかって寝ている森人探検家の髪を撫でてしまいます。
酒を飲んでの徹夜明けなら身体から悪い匂いがしそうなものですが、森人探検家の身体からは、まるで早朝の森の中のような清冽な匂いがします。
金色の長い睫毛は、朝日の中でまるで細かなガラス細工のようにきらめいています。
「……煩悩が湧くから、瞑想でもしながら待つかの……」
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◆次に来たのは誰?(森人探検家のあとの加入順):1D21。
ダイスロールしたら、順当にTS圃人斥候がやってきたので、寝ている森人探検家を挟んでベンチに座ってもらいます。
半竜娘(本体)は、その隣に立って文庫神官を待っています。文庫神官がやってきたら、そのまま祭りに繰り出すつもりです。
「聞いてくれよー、リーダー。昨日さー、歓楽街で用心棒してたらよー」
「用心棒なんぞしとったのか、お主」
「あれ、言ってなかったか。まあ、馴染みの店から頼まれてさ。そしたらなんか知らねーが、お店の子を攫おうと
森人探検家を起こさないように、小声でやり取りする半竜娘(分身)とTS圃人斥候。
しばらく話し込んでいるうちに、本体の方の半竜娘ちゃんは居なくなっていますね。
たぶん、文庫神官と合流して、そっと静かに出かけたのでしょう。
「うぅん……」 森人探検家が、悩まし気な声とともに目をあけました。
「あ、起きたのじゃ」
「パイセン、おっはよー!」
くぁ、と伸びをして、森人探検家はパチクリと眠気を覚まします。
「ああ、おはよぅ。あら、あの子は?」
「新入りなら、リーダーの本体をおめかしさせに、自分の泊まってる宿に引っ張ってったぜ」
「結構かっこいい服を持って来ておっての! 王都の方の流行りだとかで。髪も結ってくれるそうじゃ」
「へえ、起こしてくれても良かったのに。わたしもその服、見たかったわ」
「いくらでも機会はあるじゃろうさ。何なら祭り中にすれ違うやもしれんし」
「そうね、楽しみは後に取っとく」
森人探検家は、ふぁ、と
それじゃあ行きましょうか、と立ち上がり、半竜娘とTS圃人斥候を引き連れて歩き出した。
「2人はどこか行きたいところはあるかしら?」
「オイラは掘り出し物が無いか、ガラクタ市を見たいぜ。【鑑定】の手袋もせっかく買ったんだし、有効活用してやらねぇとな」
「
「牧場の品を使った甘味とか、あなたの武勲詩を歌う吟遊詩人を冷やかしたりとか、どうかしら」
まあ、大まかにやりたいことを決めておけば良いでしょう。
ぶらつくうちに、見たいものも、食べたいものも、飲みたいものも出てくるでしょうから。
なんてったって、年に一度の収穫祭ですからね!
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屋台で肉を挟んだパンを買い食いしたり、牧場主の出店の“あいすくりん”を食べたり、春先の古竜殺しにあやかったのかドラゴンの意匠の小物がやたらと売られているのを冷やかしたり、吟遊詩人が歌う半竜娘ちゃんの武勲詩を後方出資者面しながら聞き入っておひねりを投げたり。
「で、歩いてるうちに、オイラの用心棒先のやってる店というか、出し物のとこまで来ちまったわけだが、寄ってくかあ」
「へえ、無難に飲み物と休憩スペースを提供してるのね」
「さすがに綺麗どころが多いのう!」
とか言って適当に果実水を注文して手に取り、設えられた席に着くと、どうやら店員の女の子たちがTS圃人斥候に気づいたようです。
「ちっちゃ先生来た」「ちっちゃ先生だ」「一緒にいるのはお仲間?」「森人と蜥蜴人、どっちも綺麗ー」「大丈夫かな、うちら負けてない?」「大丈夫、私らもイケてる」
店員の女の子たちは、ひそひそざわざわと小声で話をしてます。
「あんた、“ちっちゃ先生”って呼ばれてるの?」
エルフの長耳にはバッチリ聞こえてたみたいですが。
「あー、まあ、只人や獣人に比べりゃ背はちっせーし、どこの詩で覚えたんだか用心棒なら“先生”って呼ぶんだとか言い出して……」
威厳がない呼び名だと思ってるのか、苦虫を噛み潰したような表情のTS圃人斥候。
「慕われておるようじゃのぅ。良きかな良きかな。一時期は人でも殺さんと思い詰めてた者には思えんのじゃ」
仲間が街に根付いていることを嬉しく思う半竜娘ちゃんは、リーダー的な視点が身に付いてきたようです。
「昔のこと混ぜっ返すなよ~。今はもう、きちんと心を入れ替えたんだって……」
TS圃人斥候は、叱られた子供のように、少し拗ねた顔で果実水を啜ります。
そこに店員の女の子の一人、おそらくは牛の獣人でしょうか、頭の角と大きな身体とその体に比してもなお大きな胸を備えた女給が、TS圃人斥候を後ろから抱きかかえました。
特に害意は感じられなかったのか、TS圃人斥候もなすがままですし、半竜娘ちゃんたちも止めはしませんでした。
「おん? 何すんだよいきなり」
「ちっちゃ先生、せっかくのハレの日に、いつもと同じ服装は頂けませんわ」
「は?」
「こんなこともあろうかと、ちっちゃ先生のために、お似合いになるだろう服を用意しておりますの」
「は?」
「お連れ様方、ちっちゃ先生を暫くお借りしても?」
「構わんぞー」「期待してるわ、思う存分やっちゃって」
「は?」
「ありがとうございます。では、ビフォーアフターに乞うご期待でございます」
「は? いや待て、抱え上げるな、足がつかねーだろおい待てって!」
まだなんか事態がつかめていないTS圃人斥候の脇に手を入れて抱え上げたまま、牛人女給は出店の奥の店舗の方へ。
…………。
……。
待つこと数分。
「くっ、屈辱だ……!」
「おー、おー、おー」「わぁ、いいじゃないの!」
そこにはフワフワ甘ロリ風衣装に包まれたTS圃人斥候の姿が!!
「でしょ! やっぱりおめかししてナンボよね、女の子だもの!」
豊満な胸を反らす牛人女給。
「あの【辺境最高】の大剣使いのとこのドルイドと似た格好じゃの。
「少なくとも、オイラの庄の文化じゃねえ……」
どうやら圃人巫術士とTS圃人斥候は、出身地が違うようです。
「まあまあ。似合ってるからいいじゃない! それに暗器とかいろいろ隠せそうだし、
「そのニヤケ面を引っ込めてから言えば少しは説得力もあったかもな!!」
できるなら頭につけられたレースで作られた大きな花飾りを叩きつけていたのに、というくらいにジト目で森人探検家を睨むTS圃人斥候。
「似合ってる似合ってる」「おう、愛らしいのじゃ」
ニヤニヤしながら
「“そんなことよりお腹がすいたよ”、だ! これで何か適当に買ってきてくれよ!」*3
TS圃人斥候が銀貨を何枚か投げると、店員の娘はそれを受け取って「はぁ~い、ちっちゃ先生~」と甘ったるく返事をして、近くの屋台へと向かいます。
そんなTS圃人斥候の様子にますます笑みを深める仲間の2人でした。
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さて、引き続いてやってきましたのは、中心からちょっと離れて、街門のそばの広場で催されているガラクタ市。
要は、フリーマーケットみたいなものですかね。
周辺の村からの出品もあり、街の住人からの出品もあり、こういった祭りの場を梯子して店を広げる行商人の出品もあり。
あるいは、引退した冒険者が広げた店なんかには、意外な出物もあるとかなんとか。
「というわけでやってきたのじゃガラクタ市」
「掘り出し物って響きがいいわよね」
「いい……」
ざっと見渡すだけで、多種多様な出品者、商品が目に入ります。
「やはり多いのは毛皮や保存食の類かのう」
「これから冬になるから鉄板よね」
「あとは内職で作ったらしき木工品の食器とかだな」
「あ、あっちは刺繍したタペストリーがあるわ」
あちこちと目移りしてしまいますね。
他にも門の傍ということで、流しの蹄鉄屋が店を広げて火を熾しています。
蹄鉄を外して歪みを叩いて直し、伸びた蹄を削ってまた蹄鉄を再装着。
店を出しに馬車を曳かせてきた行商人もそれなりに居て、蹄鉄屋に診てもらおうと順番待ちに並ぶ者もいます。
「とはいえ、狙うならやっぱり魔法の武器とか、いわくつきの呪具とか、そういうやつがいいのう」
「いやいや、そうそう並ぶもんじゃないでしょ、そういうのは」
「そうだぜリーダー、なかなか見つからないから掘り出し物ってんだしな」
まあそうですよね――
「「 だから見つけるために【加速】の真言呪文ちょうだい 」」
――ファッ!?
お宝探しで目星の達成値を底上げするために呪文使わせる気や!
ガチやん!!
「……あー、分かったのじゃ。
半竜娘ちゃんがネックレスの発動体に触れながら呪文を唱えます。なお、今日は
◆半竜娘(分身)【加速】行使×2
For 森人探検家 :基礎値20+付与呪文熟達3+2D645=達成値33
For TS圃人斥候:基礎値20+付与呪文熟達3+2D613=達成値28
・加速ボーナス:森人探検家+4、TS圃人斥候+3
・半竜娘(分身)呪文使用回数8→6回
「ありがとう、これなら良いものを見つけられる気がするわ……!」
「オイラもそんな気がしてきた……!!」
「あー、いや? そもそも掘り出し物自体がない可能性もあるじゃろ? 当たりのない籤箱からは当たりは出らんのじゃよ?」
「夢を持とうぜ!」 「冒険者でしょ!」
お、おう。
そんな感じで、2倍機敏に動けるようになったTS圃人斥候と森人探検家に連れられて、さかさかと市場を練り歩きます。
「毛皮か……冬の冒険はどうする? 冒険行くなら防寒具の準備は必須だぜ?」
「いろんな村から食料救援の予約が入っとるからのう、冬も村々をめぐって山野を駆けずり回るつもりじゃよ」 半竜娘が、手を動かして、だだだーって感じの馬車を走らせる身振りを示します。「……そもそもこの辺はどのくらい寒くなるのじゃ?」
「そうねえ、山の方は、太ももや腰のあたりまで雪が積もるらしいわ」 森人探検家が腰や太もものあたりに手を上げ下げして示します。「まあ、わたしはあんまり雪山の依頼は受けないけどね、寒いし、弓矢の補充に植物も力貸してくれなくなるし。冬はもっと雪の少ないとこの遺跡を探索することが多かったわ」
「雪……雪自体初めて見るのじゃよなあ。楽しみでもあり、恐ろしくもあり」
「ふーん、ならやっぱりしっかり毛皮の準備した方がいいぜ。羊毛編んだやつでもいいが。どっちにせよリーダーの背丈身幅だと、古着じゃ揃わねーだろうから特注になるだろうし」
半竜娘ちゃんは縦も横も奥行きもでっかいですからね、筋肉とお胸で。
「いや、
森人探検家が言っているのは、火吹き山の闘技場で、炎の悪鬼バル□グと戦うために買った装備のことですね。
「おお! なるほど!」
「余分にあるに越したことはねえさ。幾つか毛皮も買っちまおう。なんかリーダーは寒さに弱そーだしな」
冬支度大事ですよねってことで、「リーダーは冬眠はしねーの?」「恒温動物じゃからな、手前は」「むしろわたしが冬眠したいわ、森のリスみたいに」などとやり取りしながら毛皮を買ったり。
「ほうほう、石屋もあるのか! ちょうど知識神の文庫に納めた樫人形に組み込む【幻影】の魔道具用の触媒が必要なんじゃった」
「小粒な宝石だけど、こんなんでいいのか?」
「どうせ何度か試しに作るんじゃから、試作に上物使ってもしょうがなかろ」
「そりゃ確かに」
魔道具作りに必要な道具を買ったり。
「……さっきから何をそんなゴミみたいなの買い集めてるのよ……?」
「どっかのガキがおままごとで出店してるやつだっただろ、絶対。あのガキ、銀貨見て、めーっちゃびっくりしてたぜ?」
「ああ、これは精霊術の触媒にするんじゃよ。森人は精霊に愛されまくっておるからあんまり触媒とか気にせんじゃろうけど」
精霊術の触媒を買い足したり。
「おっ、お主の前のパーティの妖術師のおなごじゃな。こんなガラクタ市で何を……」
半竜娘の視線の先には、フード付きローブに身を包んで髪を垂らして片目を隠した陰気な、いかにも妖術使いといった風情の女の姿が。
「んー? あら、ガラクタ市なのに本なんか売ってるのね。本って高級品なのに。あの子、それを買うかどうか迷ってるのかしら?」
妖術師が並んでいるのは、雑貨を適当に並べたような露店の前で、その商品の一つのしっかりした装丁の本を穴が開くほど見つめています。
「あー、なるほど。あいつの術に使う秘本を買うかどうか迷ってるんだよ、あれ。普通は市場に出回らないらしいしな。遠くの国の軍で使ってるもんらしくて管理が厳しーんだと」
「なら機会を逃さずすぐ買えばよかろうに」
「こんな場末で売ってるのが、はたして本物かってことだろ? 偽物つかまされたら大損だ」
「確かにねー」
「オイラが追放されたのに向こうは昇級したらしいとは聞いてるけど、術系の道具って天井知らずらしいからなあ。青玉程度じゃまだ火の車だよなあ」
斥候が居ないと宝箱とかの副収入の実入りも少ねえだろうしなあ……。よし、一肌脱いでやるかあ。などと言って、TS圃人斥候は【鑑定】が付与された手袋を手に嵌め、不確定名:妖術の秘本(?)を置いている露天商の前に立ってさりげなく【鑑定】します。
……ファンブルではなかったので、鑑定成功です。
TS圃人斥候は手持ちから即金で支払うと、妖術師の女の方に買ったばかりの秘本を手渡して押し付けます。
「わっ、えっ?」
「兄が前にお世話になっていた一党の方ですよね! 買ったんですけど私では読めなさそうなので、プレゼントです!」
「あっ! 斥候の妹? 服装が違うからわからなかった……って、い、いやいやいや! 結構値段したでしょコレ!? 貰えないわよ!」
「いえいえいえ、兄がお世話になったので!! それで納得いかなかったら、貸しってことにしといてください!! では!! そのうち返してくれたらいいんで!」
「あ、ちょっと!!」
ぴゅーっと半竜娘たちの方に戻ってきたTS圃人斥候。
半竜娘と森人探検家は、TS圃人斥候と妖術師のやり取りを見てニヤニヤと笑っています。
「なんだよ!?」
「うむうむ、すっかり改心したようで手前も安心じゃよ」(・∀・)ニヤニヤ
「粋な計らいじゃないの! 感心したわ! 一日一回の【鑑定】の手袋の効果まで使うなんてね!」(・∀・)ニヤニヤ
「あ~、もう! 貸しを作っただけだって! そんだけ! 以上! 閉廷!」
顔を真っ赤にしてたら説得力ないぞー。
で、結局本物だったのかしら。
「目当てのものっぽかったから、それを使いこなして冒険続ければ、あっちの等級も上がるだろうさ! そしたら等級が上がったときに貸しを返してもらうんだっつーの!」
あ、秘本は本物だったみたいですね。
TS圃人斥候の元のパーティでもある妖術師・斧士・僧侶の一党は、原作小説ではちょくちょく描写があるんですよね。
順当に行けば、それなりに出世するはずです。
貸しを返してもらうというのも、荒唐無稽ではありません。
では最後に、ガラクタ市で何か掘り出し物を見つけられたか判定します。
幸運判定を行い掘り出し物があるかどうかを判定。
さらにそれを見つけられたかどうかを、第六感判定や観察判定で判定します。
◆掘り出し物はある?(幸運判定 加速ボーナス適用ナシ。1D100に対抗判定)
半竜娘(分身):魂魄持久11+2D653=達成値19 < 目標値1D100【24】
森人探検家 :魂魄持久 3+2D626=達成値11 ≧ 目標値1D100【11】
TS圃人斥候 :魂魄持久 6+2D635+幸運1=達成値15 < 目標値1D100【83】
おっ、森人探検家が判定成功しました!
何か、森人探検家が欲しがるような掘り出し物があるようです。
掘り出し物判定に失敗していても、次の判定に成功すれば、市場価格が銀貨(さっきの幸運判定×10)枚までの品を、市価の3割の値段で手に入れられることにします。
◆掘り出し物や他にお買い得品を見つけられた?(第六感判定or観察判定)
半竜娘(分身):(第六感)知力反射9+精霊使いLv5+2D626=達成値22
森人探検家 :(第六感)知力反射10+野伏Lv8+加速4+2D614=達成値27
TS圃人斥候 :(第六感)知力反射8+斥候Lv7+第六感2+加速3+2D651=達成値26
森人探検家の達成値が25を超えたので、掘り出し物を見つけることができました。
半竜娘ちゃんとTS圃人斥候も達成値が20を超えたので、それぞれ銀貨190枚まで、銀貨150枚までの品を7割引きで手に入れられます。
「……なんじゃ、この怪しい店は……
半竜娘ちゃんたちが見つけたのは、巻物や古びた羊皮紙、何か書きつけられているパピルス、布切れなどをまとめて置いている露店でした。
「巻物だけじゃなくて、なんかメモだの古地図だのもあるみたいだけどよー……」
TS圃人斥候は、胡散臭そうな目で見ています。
「宝の地図がないかしら!? わたしこういうお店って大好きなのよね~!!」
森人探検家が目を輝かせています。
あー、そうか、探検家ですからね、そりゃあ探検家が求める掘り出し物と言えば、宝の地図とか、遺跡の地図ですよね。
…………。
……。
森人探検家は、【宝の地図(大特価セット)】を手に入れた!
真贋不明だが、一個くらいは当たりがあるはずだ!
半竜娘(分身)は、魔法の布+1を手に入れた。*4
TS圃人斥候は、魔法の布+1を手に入れた。
投石紐にしてもよし、打布槍や拳帯にしてもよし、魔法の防具の修繕に使ってもよしだ!
では今回はここまで。
次回は、別方面にデートに行った文庫神官ちゃんの方の様子を見ましょう。
それではまた次回~!
分量的に前後編に分けても良かったけど話を進めたいので分けませんでした。
森人探検家が上手い具合に掘り出し物を当ててくれたので、この機会に【宝の地図】を与えちゃいました。
これで、原作のイベントに介入する理由付けがうまく考え付かなくても、
森人探検家「宝探しに行くわよ!!」
で、現地で鉢合わせて介入する理由付けができるようになりましたね。
なんて便利な導入なんだぁ……!