ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風)   作:舞 麻浦

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●前話:
零落したTASさん(ティーアース)の破片「むーしゃ むーしゃ しあわせー♪」
しほうせかいの へいわは まもられた!

 零落したTASさん(ティーアース)の破片は、少し力を取り戻した!
 零落したTASさん(ティーアース)の破片を触媒にした場合の、【力球(パワーボール)】への補正に+1!(補正値+10 → +11)


30/n 裏(たまご騒動・後始末。夏、エルフの森へ)

 

1.影を走っていた人たち

 

 

 辺境の街の歓楽街周辺では、血走った眼をした人間たちが「たまご!」 「たまご!?」と声に出してまで探していた。

 (どぶ)まで(さら)わんという勢いだ。

 彼ら群衆(暴徒一歩手前)が探しているのは、“【辺境最大】が産んだ『初卵』”だ。

 銀貨5万枚という懸賞は、人を狂わせるに足るものだ。

 

「狙い通り、ってとこだな」

 

仕掛(ラン)のオーダーは、“卵を狙う勢力の邪魔をしろ”……だけどね。それなのに情報をばらまいちゃって……」

 

 優雅にカフェで会話しているのは、仕掛人のペアである。

 圃人・少女趣味でマゾヒズムを患ったダメ兄貴分と、それを支える苦労性の相棒である弟分(()とは言ってない)だ。*1

 

 【辺境最大】が産んだという『初卵』の取得依頼は、銀貨5万枚という破格を提示した謎の死人占い師(フォールン)の他にも、美食家(グルメ)だの蒐集家(コレクター)だの育種家(ブリーダー)だの、多くの依頼人から出されている。産み落とされたその日に依頼が出された、ということは、彼らは【予見(プレコグ)】の術でも使っていたのだろうか。

 そして取得依頼が出される一方で、お互いの競合相手への妨害依頼も出されていた。

 つまり、自分のものにならないにしても、『あいつにだけは、絶対に渡すな』、という依頼だ。

 

「流石に取得依頼の掛け持ちは良くねえが、妨害依頼の掛け持ちなら大丈夫だろ」

 

「まあね、そりゃ四方八方から“あいつに渡すな”って依頼を受けても、“誰の手にも渡らない”ようにしちゃえば、達成できちゃうけどさ」

 

 彼らは複数の依頼人から妨害依頼を受託して、半竜娘の『初卵』が誰の手にも渡らないように、騒乱をわざと拡大させているのだ。

 一般人にまで『初卵』の懸賞金の情報を流したのは、彼らの策略であった。

 

「こんだけの数の素人が、しっちゃかめっちゃかにかき回しちまえば、プロは手を引くんじゃねえかな」

 

「だといいけど」

 

「ま、そうでなくても、狙われてる方も警戒を強めるだろ。新進気鋭の冒険者一党なんだから、ヘボい仕掛人の手に掛かることもあるめー」

 

「……だといいけどね、ホントに。でもまあ、前金も多重に受け取ってるから、赤字ってこともないし、いっか」

 

「そうそう、こんだけやったら十分十分。あとは、情報に踊らされたやつらを高みの見物と行こうぜ」

 

 どうやら彼らは、なかなか依頼の選別が上手い、強かでやり手な仕掛人(ランナー)のようだ。

 

 

<『1.多重依頼を無事に達成したから、そりゃもうガッポガッポですよ』 了>

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

2.ひっひっふー

 

 

 堕落した魂の持ち主(フォールン)が、この四方世界それ自体の法則を塗り替えようと、その企みの中核となる強力な個体を生み出す器にするべく、半竜娘の穢れなき『初卵』を狙った事件から、数日。

 

「うぅうううう……んっ」

 

「お姉さま! 頑張ってください!」

 

「うぅん。……んあっ!」

 

「ひっひっふー、ひっひっふー、です!」

 

「ぅぅぅんんんあっ! ぅあっ、あん!」

 

「がんばれ♡ がんばれ♡」

 

「ふっ……んあっっ!!」

 

 すぽーん!

 

「わあ、産まれましたよ! お疲れ様です!」

 

「ひぃ、ひぃ、で、出たのじゃ~?」

 

 半竜娘は第2卵を産卵していた。

 蜥蜴人は、族長の一粒種である『王卵』は1つとすることに決まっているが、それ以外の一般蜥蜴人は、複数の卵を産んで温めるのが通例である。*2

 

 (パイプ)のような細長い、拳から肘までとほぼ同じ大きさの卵は、粘液を吸収しながら徐々に膨らんできている。

 しかし、それだけでは水分が足りなさそうだ。

 

「ここに知識神様の御力で【浄化】した水がありますので、()けちゃいますね!」

 

「おーう、頼んだのじゃ~」

 

「はい!」

 

 元気に返事をした文庫神官の心のうちは次のようなものだ。

 

―― 最初の卵は、地母神様の【聖餐】の奇跡で作り出した純水に()けざるを得ませんでしたが、今回は準備万端。知識神様が【浄化】なさった水で洗礼すれば……これはもはや、知識信徒たる私の子供ともいえるのでは???

 

 わりと重めの欲望にまみれていた。

 

 

「最初の時は全然、なんてことはなかったのにのう。むしろ寝てたら終わっておったし……」

 半竜娘は、初卵と第2卵の違いに不思議そうだ。

 

「むしろ力んだのが良くなかったんじゃないの?」

 産卵が終わったのを察知して、部屋に入ってきた森人探検家。

 助産は、過去に暮らしていた文庫で手伝った経験もあるという文庫神官に任せていたのだ。

 まあ、非定命たる森人が、お産についての造詣が深いはずもなし。

 

「そーだぜ、リーダー。りらーっくす、りらーっくす、ってな。緩急が大事なんじゃねーかな、知らんけど」

 もちろん、TS圃人斥候もお産の詳しい知識を持つわけもなし。だって元は男だし。

 

「そういうもんかのう……?」

 若い半竜娘(14歳)も、特に産卵について詳しいわけでもなく。

 実際のところはおそらく、初卵の方は卵詰まり状態になって久しくて、腹圧がすでに十分高まっていたから、比較的すぐに産まれたということなのだろう。

 

只人(ヒューム)のお産に比べたらなんてことはありませんよ! 血も出ませんし!」

 水分を吸い込んで丸丸と膨らんだ第2卵を抱えて、テンションが高い文庫神官。

 

「……只人(ヒューム)は出産もだけど、毎月大変よね」

 森人(エルフ)の身体は、そんなぽんぽこ毎月着床準備を整えたりしないので、ある意味安定している。

 

「んで、リーダーはこれで卵はおしまいか?」

 TS圃人斥候が半竜娘に尋ねる。

 

「うーむ、わからん。普通は2つか3つ。多くても5つは超えないはずじゃが」

 

「結構多いのね」

 

「残念ながら確実に全ての卵が(かえ)る訳でもないしのう。まあ、きっちり世話をしておれば、王卵のように1つだけ残しておっても、必ず(かえ)すことができるらしいが。詳しくは知らんのじゃ」

 

「それならお任せください!

 火蜥蜴(サラマンダー)蛟龍(コウリュウ)の精霊様の助力を、お姉さまがた(半竜娘と森人探検家)に願っていただいたおかげで完成した加湿恒温室!

 それに加えて、専用に調整した樫人形(ウッドゴーレム)による無人転卵!

 このように、もう完璧に準備を整えています!」*3

 

「それは楽で良いのう」

 半竜娘は、至れり尽くせりな状況に感嘆した。

 

「こういうとき、家建てて良かったと思うよな。誰に伺い立てることもなく改築増築できるし」

 TS圃人斥候の言うとおり、それは持ち家の利点の一つである。

 

「それで、卵が(かえ)るまで、どのくらいかかるのよ?」

 森人探検家の問いも、当然のもの。

 

 その間は、全員では遠出する冒険には行けないということになるのだから。

 まあ、卵連れで冒険に行くことも不可能ではないが……激しく振り回したり、割ったりする可能性もあってリスキーだろう。

 もちろん、卵だけ家に残しておき、ウッドゴーレムに半竜娘の分身の残影を宿らせて柔軟な対応ができるようにして、世話をさせても良いわけだが……それだと戦力的に、外部の者に狙われた時が不安だ。先日も、卵を巡って騒乱になったばかりであるし。

 

「んー、まあ、夏の盛りまでには、かの?」*4

 半竜娘が自分の知識から、孵化する(おおむ)ねの時期を答える。

 

「あら、そんなものなのね」

 森人探検家は拍子抜けしたみたいに呟いた。

 只人みたいに、もっと丸一年くらいかかるかと思っていたのだ。

 

「……とはいえ、来年またこうなるのは嫌じゃから、あとで故郷から産卵抑制の薬と、そのレシピを取り寄せておくのじゃ……」

 産卵により幾分消耗した半竜娘は、そう決意した。

 流石にこの年で子持ちになるというのは、人生設計にはなかったのだろう。

 次の年のために、故郷の呪術医(ウィッチドクター)に手紙を送り、ホルモンバランス調整用の薬とその調剤法を送ってもらうことにしたようだ。

 

 

<『2.ちなみに後日、第3卵まで産まれました』 了>

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

3.たいむふろしき~~

 

 

 半竜娘が第2卵を産んで数日して、またひぃひぃ言いながら第3卵を産んで、さらに数日。

 もう体調の変化もなく、さすがに第4卵はなさそうだと半竜娘を筆頭に関係者が安堵したその日。

 

 孵卵室(ふらんしつ)でゴソゴソする、つぶれまんじゅうの姿が。

 

「                     
 ゆっくゆゆゆーん! ゆくゆゆゆんゆー!」

 

 はやくうまれてねー! 【風化(ウェザリング)】×3! 

 精霊にまで零落したTASさん(ティーアース)の破片だ。

 こいつは、元の権能の関係もあり、時間や空間を司る精霊となっており、それゆえ、時間の流れを進める【風化(ウェザリング)】の術を使えるのだ。

 そして、その術を、柔らかい布を敷き詰めた3つの箱の中にそれぞれ入れられた、半竜娘の産んだ卵に対して、掛けている。

 

 【風化】の術は、本来は生き物には効果のない術のはずだが……。

 しかし、卵という生命になりかけの状態のものは、物質でもあり、生物でもあるという、中間のものなのだろう。その証拠に、【風化】の術は効果を発揮しているようだ。

 加速する時間の中で、卵の中身を偏らせないために、ハイペースで転卵するように樫人形(ウッドゴーレム)に指示しながら、つぶれまんじゅうは、卵の時間を加速させ続ける。

 

 湿度が常に100%で、さらに人肌の気温に保たれた孵卵室なら、時間を加速させても、卵が乾いたり、冷えたりして、中身が死んだりはしないので、安心だ。

 

 そしてやがて、卵の中で発生が進み、物質よりも生命としての属性へと傾いていけば、自然と【風化】の術の対象からも外れる。

 そういう術の仕様上、時間加速のやりすぎはないため、実際安心である。

 ……逆に発生不全で死卵となった場合は、中身がミイラ化していってしまうということでもあるのだが……。

 

「                     
 ゆゆっくゆく、ゆゆゆんゆゆゆんゆん!」

 

 いいこ いいこ、はやいのは よいこと! 

 無事に、3つ全ての卵が正常に発生したようだ。

 発生が進んだことで、【風化】の術は全て、卵の中の雛蜥蜴(ひなとかげ)によって抵抗(レジスト)されて、解除された。

 卵の中では、意思らしきものが宿るまでに育った雛蜥蜴(ひなとかげ)がしきりに動いているのか、たびたび、カタコトと跳ねるように揺れている。

 

「                     
 ゆゆゆんゆゆんゆー!」

 

 いいしごと したぜー! 

 時空の精霊(ティーアース)は満足げにフンスと鼻(?)から息を出すと、位相をずらしてその場から消えた。

 

 

 …………。

 ……。

 

 

「お、お姉さま! 大変です!! もう生まれます! 殻に(ヒビ)が!!」

 

「な、なんじゃとっ!!??」

 

 

 

<『3.14歳の母(処女産卵にして3児持ち)』 了>

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

4.大叔父様ー!!

 

 

 空も青く高くなり、夏も近づく辺境の街の、冒険者ギルドの昼下がり。

 

「「「 おおおじさまーー!! 」」」

 

 ギルドの中では、キャッキャと、はしゃいで蜥蜴僧侶に登っていく3人の幼い蜥蜴人の女児の姿があった。

 その3人の女児は、まるで半竜娘の時間を(さかのぼ)らせて、そのまま幼くしたような姿形(すがた かたち)をしている。背の高さは、只人(ヒューム)の3歳児くらいだろうか。

 半竜娘との、サイズ以外での明確な違いは、その半袖短衣の裾から除く手足と尻尾の模様が、烏の濡れ羽色ではなくて、もっと鮮やかな夏草色の縞々で、草原の草むらのような模様になっている点だろうか。おそらくは、保護色なのだろうと思われる。影になるところは明るい色で、逆に、出っ張り部分は暗い色でと、輪郭をぼやけさせるような陰影の濃淡(カウンターシェイディング)でもあるようだ。

 

「おお、これこれ、上に登ると(あぶ)のうございまするぞ?」

 

「だいじょうぶ!」 「おちても うけみ とる」 「それでしぬなら そういうさだめ」

 

 幼いくせに、すでにその価値観は、蜥蜴人流に染まっているようだ。

 おそらくは、半竜娘の分身体の残影が、守護霊か背後霊のように四六時中付き従って、英才教育をしているのだろう。*5

 

「……あれ、なに?」

 妖精弓手が首をかしげた。

 

「ええと、慈母龍の巫女さんが産んだ卵から、生まれたのかと?」

 女神官が補足するが、彼女も半信半疑だ。

 

「ぇえ……? いやだって、卵が産まれたのだって、ついこないだでしょ? まあ、相手もいないのに子供ができるってのは、樹の挿し木(クローン)みたいなものだってので、納得はしたわよ。それはいいとして、生まれてすぐなのに、あんなに(おっ)きくなるぅ?」

 いくら森人の―― 特に上の森人(ハイエルフ)の―― 時間感覚が大雑把とはいえ、流石にこれは奇異に映ったようだ。いや、エルフだからこそか。エルフの子供はそんな直ぐに大きくならない。

 

「そうおかしくもございませぬぞ、お二方。確かに卵が孵るのは随分と早かったようでありますが、殻から出た後の成長はこんなもの、こんなもの」

 ―― まさかこんなに早く又姪(まためい)姪孫(てっそん)ともいう)ができるとは、思いも寄りませんでしたがなあ。*6

 幼竜娘(ロリりゅうむすめ)三姉妹に登られながら、しみじみと呟く蜥蜴僧侶。

 蜥蜴人の成人年齢が13歳であることや、3歳からスパルタ式教練に放り込まれることを考えれば、生まれて数か月で只人の幼児ほどに成長していてもおかしくはない。

 

「拙僧らは、産まれたそのときから立ち、歩き、肉を()むのでしてな。十分な栄養があれば、その分だけ、食べれば食べるほどに、早く、大きくなるのですとも。―― この街には、小鬼殺し殿の居る牧場の、良質なチーズもありますでな」

 

 “チーズ”と聞いた幼竜娘三姉妹が、目を輝かせます。

 

「ちーず?」 「ちーず!」 「ちーず!!」

 

「おお、又姪(まためい)()らも好物ですかな?」

 

「すき!」 「おいしい!」 「かんろ!!」

 

「然り、然り! まさに甘露! どれ、この大叔父が、おやつに(おご)って進ぜよう」

 

「「「 わーい!! 」」」

 

 獣人女給に注文を投げる蜥蜴僧侶と、その近くの椅子に並んで座って目を輝かせる幼竜娘三姉妹。

 周囲の冒険者も、微笑(ほほえ)まし気に見守っている。

 

「か、かわいい……」

 

「……慈母龍の巫女さんにも、あんな時代があったんでしょうか」

 

 ほっこりして見守る妖精弓手と女神官。

 手のかからない幼児ほど、可愛いものはない。

 

「それで、母親の方は、冒険者ギルド(こっち)に子供預けてどこ行ったのよ?」

 

「さあ……。慈母龍への御祈りに、魔術の研鑽に、武術の鍛錬に、錬金研究、死者の弔い、精霊と戯れての瞑想……やることが多いみたいですし……」

 

「……ちょっと生き急ぎすぎじゃない? 半竜の娘(あのこ)

 

 

<『4.ギルドに納品に来た牛飼娘「子供かぁ……(チラチラ)」 小鬼殺し(ゴブスレさん)「…………」』 了>

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

5.水源を探れ!

 

 

 夕方、半竜娘たちが冒険者ギルドに戻ってきた。

 

「ははじゃ!」 「ままうえ!」 「かあさま!」

 

「おーう、相変わらず呼び名が適当じゃのう。まあ、良いが」

 

 すかさず、ピョンピョンと小鳥が跳ねるようにして、幼竜娘三姉妹が、戻ってきた半竜娘の巨体に駆け寄り、登っていく。

 そして、一緒に入ってきた森人探検家ら、一党のメンバーにも撫でられ、ご満悦だ。

 

「どこに行ってらしたんですか?」

 女神官が尋ねる。ちなみに、女神官はこの日は午前中は寺院の葡萄園の手伝いで、午後はオフだった。

 なお、妖精弓手は昼まで寝て、午後から起きてきたらしい。

 

 半竜娘は、女神官の問いを受けつつ、幼竜娘三姉妹を仲間に預け、ギルドの受付へと進む。

 

「前に納品した樫人形(ウッドゴーレム)を作る魔道具のメンテナンス依頼じゃよ」

 

「ああ、あの街道から少し離れた文庫(ふみくら)の……」

 

「そう、それじゃ。先日、小鬼どもに襲われたのを撃退できたはいいが、念のために不具合がないか見てほしいと言われての」

 

「ゴブリンに……!」

 小鬼と聞いて、女神官の眉根が寄った。確実に、小鬼殺しの影響だ。

 

「幸い、犠牲者もなく(みな)無事で、魔道具も特に異常なしでな。じゃが、襲ってきた小鬼は撃退しただけで、全滅させたわけではないようじゃから、小鬼退治の依頼を出すつもりじゃと。こっちの書簡がそうじゃな」

 

 そうなれば、きっとゴブリンスレイヤーが依頼を受けるだろう。もちろん、女神官も同行することになるはずだ。

 

「そうですか……」

 

「あとは、その文庫からもう一つ書簡を預かってきておってな。水の街の至高神の神殿宛てじゃと。なんでも、古代の文献―― 粘土板の研究で、中央に知らせるべきことが記されておったのを解読できたとか」

 

「!! ひょっとして、大司教(アークビショップ)様宛てに……?」

 

「そういうことじゃな」

 

 もう一つ、結構重要な書簡を預かってきているようだ。

 

「というわけで、受付殿。あの文庫から、ゴブリン退治の依頼と、水の街への配達依頼じゃ」

 

「はーい、承りましたー」

 

 話しながら受付に辿り着いた半竜娘から、受付嬢が書簡と金貨袋を預かった。

 

 

 …………。

 ……。

 

 

 受付へのメンテナンス依頼の報告を済ませた半竜娘。

 仲間たち(&幼竜娘三姉妹)が座る卓へと近づくと、すっかりギルドの酒場に棲み着いてしまった羽衣の水精霊が、同じ卓を囲ってグチグチと言っていた。

 

「だからさー、ここ最近、川の水が濁ってるのよー。ニンゲンには分かんないかもしれないけどー、精霊的にはこう、べとーって感じで――」

 

 羽衣の水精霊は、近づく半竜娘に気づくと、矛先をそちらに変えた。

 

「―― あっ! いいところに来たわね! これは絶対、川の上流で何か良からぬことをやってる輩が居ると思うのよね! というわけで! 冒険者の出番だと思わな~い?」

 

 

<『5.半竜娘「すまんがそういうわけで冒険に行くのじゃ」 幼竜娘三姉妹「「「 そっかぁ…… 」」」』 了>

 

 

  ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

  ▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

6.前回までのリザルト

 

 

 半竜娘一党は、堕魂術士を討伐したことにより、それぞれ経験点1000点、成長点3点獲得!

 

 

<『6.成長は次回以降』 了>

 

*1
仕掛人バディ:オリキャラ。過去話『24/n 裏』の「3.ちんまい用心棒」に登場のEL(エル)変態と、過去話『25/n 収穫祭-1(with 森人探検家+TS圃人斥候)』の前書きの補足に登場したそのEL変態なモブ仕掛人の相棒な仕掛人の再利用。過去話『28/n 裏(歓楽街での後始末。そして春に向けて)』で、ロマの侯爵を逃がす仕掛(ラン)を請け負っていたのもコイツらという想定。

*2
王卵はひとつ:王子の卵と同時期に妾腹から生まれた卵であっても破棄され、叩き割られる定めだという。しかし、一方で、蜥蜴人の伝説には、その破棄される定めの卵が砕かれたところから這い出でて、やがて青き熱線を吐くまでに長じた黒き鱗の勇者《嵐呼ぶ者》の逸話があるという。ある種の貴種流離譚に分類されるであろうと思われる。1100年ほど前の話で、メタ的にモチーフの一つは怪獣王ゴジラだろうか? あるいは、名前的にはエルリックサーガのストームブリンガー?

*3
卵の扱い:鳥は転卵させなければいけないが、他の多くの爬虫類は、産み付けられた状態から動かしてはならないとされる。親鳥が温める(恒温なので親が温められる=転がす前提)か、環境熱(地熱、太陽光、枯草の発酵熱)で温める(変温なので親が温められない=産みっぱなし前提)かの違い。蜥蜴人は、恒温動物であることから、鳥に近い抱卵形態だと想定し、転卵させるものとした。転卵可能かどうかは、卵の中に()()()があるかどうか(カラザが卵黄の向きを一定に保つ)によるという。

*4
孵化までの期間:恐竜は3か月~9か月と比較的長期間かかったとされる研究もあれば、鳥類と同系統なので、もっと短く半月~3か月と推定される場合もあるという。蜥蜴人については、60日程度と考えた。ちなみにダチョウが41日程度。

*5
分身残影の守護霊化:半ば憑依するようにして、知識や技能を教授している。ただし、取って代わることはしない……というかできない。内包する魂の質量が、一個の生命体である幼竜娘三姉妹と、分身体の残影では、話にならないくらいに差があるので。むしろ逆に、分身残影の方の(うっす)い霊体が吸収される始末である。またそれは、蜥蜴人の宗教観的にも正しい。死者は、生者の糧になるべきなのだ。

*6
又姪・姪孫:姪や甥から生まれた娘。




 
半竜娘ちゃんたちが現在使用可能な経験点、成長点は以下のとおり。
 経験点成長点
半竜娘4500点14点
森人探検家6750点15点
TS圃人斥候5750点11点
文庫神官3500点 7点

あと、半竜娘ちゃんが、もう少しで冒険者Lv10(MAX)になります。すごい。

次回から、原作小説7巻『森姫婚姻』編ですが、半竜娘ちゃんたちは、行く先のエルフの領域でそんなめでたいイベントがあるとは知らずに、上流に向かっちゃってます。果たして結婚式に参列できるフラグは立つのか?!

感想評価&コメをいつもありがとうございます! 今後ともよろしくお願いいたします!

◆◆◆ダイマ重点◆◆◆

原作最新14巻の書影が更新されています! 海賊(バイキング)スタイルの女神官ちゃんかわいい、かわいくない?
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