ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
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嬉しみゆえの更新。書けたところまでなので短いです。あ、アニメ1期のBlu-ray BOXの初回生産限定版も予約受付中らしいですよ(ダイマ)。
●前話:
大怪獣
===
※AIさん(DALL・E3)に出力してもらった挿絵あり
はいどーも(小声)
いま、“堰の砦”へ潜入中です。
「
ごぼり、と、半竜娘ちゃんの口からこぼれた言葉が、空気の泡とともに、地下排水路の急流を流れていきます。
半竜娘ちゃんは、“闇の奥”へと向かって、光源もない排水路の壁に爪を突き立ながら、少しずつ、強い流れに逆らって、進んでいきます。
今現在、河川要塞から大河へ繋がる排水路のうち一つを、流れに逆らって進んでいるところです。
もちろん、水の中を行くというので、指輪のうち一つを『水中呼吸の指輪』に付け替えています。
そうしないと溺れちゃいますからね。それでもまともに発話できないあたり、相当な急流であることが伺えます、地上換算で台風の中を風に逆らって進むようなものでしょうか。
「(うむ、次の枝分かれは、こちらじゃったな)」
長い年月で水や樹々に侵食された影響か、排水路は複雑に枝分かれして入り組んでいます。
あるいは、この地下排水路自体が、魔法陣の役目を果たしているのかもしれません。
通常であれば、このような迷路化した水路を
光源もなく、
水流は急で、
地図もない……。
基本的には、流れの逆へ逆へと行けばいいのですが、半竜娘ちゃんの巨体を考えると、きちんとルート取りしないと、途中でつっかえて、戻っている間に体力を消耗し尽くして詰みます。
ですが、勝算もなく、潜行している訳ではありません。
まず、前提が違えばどうでしょう。
例えば、地図があるとしたら?
そうです、既に、
「(
半竜娘は、地下排水路の地図を会得した経緯について回想します。
…………。
……。
―― モケーレ・ムベンベは、その3つの首の下顎を地面に着けて、トントンと振動を響かせると、地面を通して返ってきた振動波による反響定位によって、一帯の立体的な地下地図を脳内に構築しました。
―― さらに、その立体的知覚を、モケーレ・ムベンベは、【
―― 『『『 少し気分が悪くなるかもしれんが、まあ、冒険者であれば……耐えられるだろう 』』』
脳☆直! インストール!!*1
一党各位の魂魄抵抗判定:目標値30
・半竜娘本体:魂魄反射12+加速5+冒険者Lv9+沈着冷静1+2D653=35 ○抵抗成功!
・半竜娘分身:魂魄反射12+加速5+冒険者Lv9+沈着冷静1+2D624=33 ○抵抗成功!
・森人探検家:魂魄反射5+加速5+冒険者Lv7+2D661=24 ×抵抗失敗。
・TS圃人斥候:魂魄反射9+加速5+冒険者Lv7+2D652=28 ×抵抗失敗。
・文庫神官:魂魄反射8+加速5+冒険者Lv6+2D644=27 ×抵抗失敗
その結果、半竜娘ちゃん&分身ちゃんは耐えましたが、森人探検家・TS圃人斥候・文庫神官は、耐えられませんでしたので、消耗1点追加、鼻血噴出……。
―― 「うぅううう」 「あばばばば」 「しびびびび」 パタリ
そしてその3名は気絶。抵抗判定失敗したので精神属性攻撃扱いされたのかもしれません。
魂が耐えられなかったのです……。
まあね、神獣と直接意識を繋げばそうもなるよね。
とまあ、そんな死屍累々な状況になってしまったので、半竜娘ちゃんの呪文使用回数も減っていたこともあり、その日はもう【
…………。
……。
そして翌日。
場面は冒頭にもどりまして、地下排水路の闇の中です。
あ、三ツ首のモケーレ・ムベンベは、いつの間にか戻ってきていた弟の一ツ首くんと合流して、上流へと帰っていきました。
あと、現在、侵入に当たって、5体の暴君竜牙兵には、堰の砦の巨大な扉を攻撃させたり、城壁をよじ登らせたりして、小鬼たちへの陽動をしてもらっています。ダムそのものじゃなくて、その
竜牙兵が陽動している間に、本命が水路から潜入します。
排水路の流れが急なので、『筋力上昇の秘薬』を飲んだ半竜娘ちゃんズが、本体の方は文庫神官(鎧あり)を、分身体の方は森人探検家&TS圃人斥候を縄で背中に括りつけて、進んでいっているところです。
「(お姉さま、鎧重くないですかー?)」
「(軽いもんじゃよー)」
空気を介してではなく、頭同士をくっつけて、骨導音で、文庫神官ちゃんと半竜娘ちゃんが会話しています。轟轟と流れる水音が大きすぎ、また声も流されるためです。
あたりは真っ暗闇です。
只人や圃人だと、全く闇を見通せませんが、実際に手足を動かして進む者は半竜娘ちゃんズだけなので、蜥蜴人としての暗視により、光源がなくとも視界を得られています。
「
いざとなれば【燦光】の精霊術で光を纏うこともできますが、それよりは一言真言で『
あと光といえば【
『NNYYYMMMPHYYYYY……』
「(モンスター……、これは、巨大ヤゴじゃな)」
―― メシリ。
『NNYYYGGGYYYAAA!!!??』
巨大なカゲロウの幼虫や巨大ヤゴといった水生幼虫型モンスター ―― ジャイアント・ニンフ―― が水路の途中でたびたび出てきますが、文字通りに
というのも、【
殺した怪物の死体が、急流に流されていきました。
「(……地獄の瘴気の影響もあるのかのう? 妙に
そうかもしれませんし、そうではないのかもしれません。
「(まだ、水路は半分までも来てないところかや。今しばらく、この闇の奥へと進む必要があるようじゃな)」
ぬめる水路を滑らないように、発達した両手足の爪・蹴爪を引っかけながら、半竜娘ちゃんズは、仲間を背負い、闇の奥へ奥へと、進んでいきます。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
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河川城砦の最下層。
轟轟と流れる水の音がこだまする空間。
内部が螺旋階段の吹き抜けになった高い塔の最下層。
水がさらに地下へ落ちることによって生まれる渦を囲んで造られた石造りの水汲み場。
おそらくは、砦が生きていた時は、水場や洗濯場としても使われていたのかもしれない。
そこで、鉄の鎧兜で武装した6体の小鬼たちが、下卑た相談をしていた。
虜囚にした冒険者2人の前で、ゴブゴブと。
「……姉さん……!」
「だいじょうぶ、だいじょうぶよ、ぜったい」
青玉等級の戦士と、翠玉等級の女軽戦士が、体のあちこちを青あざで腫らして、手枷足枷で拘束されて。
引き離されて、身を寄せ合うことも出来ずに、転がされている。
小鬼たちは知っている。
仲の良い男と女がいたとして、それが恋人か兄弟姉妹か友人か知らないが、男の方を、女の前で殺せば、惨たらしく殺せば、
『GGOOOOBOGOBOGB!!!!』
『GOBBB!!!!』
『GOBOGGOO!!!!』
『GGOOBB!!!!』
『BOGO!!!!』
『BOGOBOGB!!!!』
「ちくしょう、こんな、ところで」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ……」
―― ちゃぽん。
『GOB!!!!』
『GGOO!!!!』
『GGOBBGOBBBGOBB!!!!』
『BOGOGGG!!!!』
『GBGBGOOO!!!!』
小鬼たちは、自分の近くに置かれた、巨大なネジ式の“圧搾機”に目をやって笑っている。
ブドウを搾るように、菜種を搾るように。
人間を搾ってやろう、と。
上の階でふんぞり返っているやつの指示で動いているこの状況は気に入らないが、この呪いの趣向は気に入っている。
なんて間抜けな奴らなんだろう!! 呪われた水を使って生活しているとも知らないで!!
―― ちゃぽん。
『GOBBBBBB!!!!』
『GGOOBRUUUU!!!!』
『GGOBABAARARARA!!!!』
『BOGBBURRRAAUU!!!!』
「……姉ちゃん、あれ……」
「しっ。だいじょうぶ、だいじょうぶ、静かに、しましょう、ね……」
じゃあ、まずは男の方からだ。
誰が一番大きな悲鳴を上げさせられるか試してやってもいいだろう。
ゴブリンの一匹が、拘束された男の戦士の方へと近づいていく。
『GGOOOOBOGOBOGB!!!!』
ゲラゲラと笑いながら。
―― ちゃぽん。ちゃぽん。ちゃぽん。
『GGOBB!!』
「うぐっ!」
『GGBUBUBUBU!!』
男の顔を蹴っ飛ばし、小鬼がその醜態に笑う。
―― ざばぁっ!!
そのとき、後ろで大きな水音がした。
時々あるのだ、上階から間抜けな同胞が足を滑らせて落ちてくることが。
どうせ、そのたぐいだろう。
そういう時は、仲間たちとその間抜けな同胞を嘲笑ってやるのが常なのだが、今日は妙に静かだ。
それはいいが、まったく、この男を“搾る”のにも移動させねばならないのに、手伝いにも来ないとは、気の利かないやつらだ。
『GOOOBGOBRRUUAHH!!!』
他の同胞に悪態をつくべく振り返ったとき、6体のうち最後に残った小鬼の目に大きく映ったのは――
跳躍する女圃人と、その手に閃く小剣の鋭いひと振りであった。
そして、それが最後の光景になった。
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「助かったわ。もう、諦めそうになっていたもの」
「ああ、恩に着るぜ!」
捕まっていた姉弟*2の手枷や足枷を【手仕事】技能で外してやっているのは、TS圃人斥候です。
「間に合ってよかったぜー。感謝しろよー?」
半竜娘ちゃんたちは、排水路を遡って、ついに“堰の砦”内部へと侵入を果たしたのです。
そして、水路からの上がり口の様子を見るため、TS圃人斥候が先行し―― クリアリングしたのです。
「いやー、あれは小気味良かったわね!」
「えー、いや怖かっただろ、あれ」
―― だって、小鬼どもが1匹また1匹って水路に引きずり込まれて消えてくんだぜ?
どこのホラーだって話ですよね。
「ひひひ、良い趣向だったろ。やってみたかったんだよ」
と、悪戯げに笑うTS圃人斥候の後ろから、さらに水音。
きっと、TS圃人斥候の仲間なのでしょうが、生きていたゴブリンが上ってきたなら大変です。
虜囚だった2人が念のため身構え―― そして顔を盛大に引き攣らせます。
見遣った先には、それぞれ人を1人背負った、非常に巨大な2匹の蜥蜴人が、水から顔を出して水汲み場へと登ろうとしている姿が――。