ゴブリンスレイヤーTAS 半竜娘チャート(RTA実況風) 作:舞 麻浦
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●前話:
蟹パーティーならぬ、ヤゴパーティ!
女神官「虫って意外と美味しいんですね、あれだけ大きければあんまり虫って感じもしませんし」
鉱人道士「そうじゃのう。あれは甘酢と合わせれば、いい酒の
妖精弓手「ふふん♪ これぞ森の恵みってやつよ!」
蜥蜴僧侶(そこの水路から獲ったのであれば、餌として恐らく小鬼に殺された者たちや転落した小鬼そのものも食っておりましょうが……ま、言わぬが花でございましょうな)
小鬼殺し「…………」
半竜娘ちゃんと蜥蜴僧侶さんは、分かってて食べてます。
森人探検家ちゃんたち半竜娘一党の仲間たちは、最初は遠慮してたけど、メッチャいい匂いしてたから屈しました。フロア丸ごとの呪いや瘴気を【浄化】したときに実は一緒に清めているのでまあいいか、という判断も。(流石に瘴気で変異した魔物をそのままは食べないはず)
ゴブスレさんは何となく察してるけど、もとから小鬼退治中にはあんまり物を食べるつもりはなかったし、言うとまた面倒くさくなりそうだったからスルー。
女神官ちゃん、妖精弓手さん、鉱人道士さんは、知らぬが仏。
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◆森人の里にて、留守番チーム
幼竜娘三姉妹「わたしたちが!
牛飼娘「はーい、よろしくね、おチビちゃんたち」
受付嬢「あはは……(この子たちをこちらに残させるための方便のような、でも半竜の術士さんの娘なら実際にそれだけの戦闘力があっても不思議じゃないような)」
幼竜娘三姉妹「「「 ふんすふんす! 」」」
はいどーも!
なかなかコネクションが育たない実況、はーじまーるよー!
前回はダイスを振ってみたらまさかのファンブルで、結婚式への招待フラグが立ちませんでした。
ちくしょうめぇ……。
ま、まあ?
なんてったって、森を守った立役者なんですからね! そのくらいはありうるでしょう!
このあと、砦の修繕とかまで手伝ってから帰るつもりですし、三ツ首のモケーレ・ムベンベとはコネクション結べてますし、機会も伝手もあります。
まあそれも……
―― この目の前のサイバネ化した大悪魔をぶっ倒してからの話ですッ!!
立ち塞がるは巨大な、半機械の悪魔!
悪魔として生まれ持った力を限界まで科学に捧げて、サイボーグの
さらに相手は地獄の門からポルターガイスト系の悪魔を呼び出して周辺に散らばっていた鉄の鎧兜や剣に憑依させると、
恐らくはここにあるゴブリン用の武装は、無機物に宿る悪魔がこうやって自ら動かしてここまで運び込んだのでしょう。
「物質憑依系! 鎧4、剣が……」
「12です!」
素早く陣形を組む半竜娘ちゃんたち。
わらわらと宙を舞う剣の群れを素早く数えたのは、知識神寺院秘伝の測量術を口伝されている文庫神官です。
雑魚敵が合わせて16、ボスが1。
魔法はなさそうですが、ボスの火砲は強力です。
「……相手の火砲に敵を巻き込んだりできんかのう」
「ちっ、精神属性の攻撃でトドメ刺さねーと、雑魚は延々と依り代変えて復活するみてーだぞ!?」*1
早速飛んできた
依り代となっている剣を砕いた直後に、離れた場所に転がっていた剣がまた浮かび上がるのが見えました。
憑依して動かしている依り代の武装は乗り換え可能なようです。
「砕いた剣や武装は遠くに蹴っ飛ばすのじゃ! 壊したからってまた憑依できんとは限らん!」
「確かに油断したところを伏兵が、ってのはありうるわね!」
半竜娘の注意を受けた森人探検家が砕けた剣を遠くに蹴飛ばします。
『CYYBBEEEEERRRR!!』
その間にも
ろくに狙いをつけていないようにも見えますが……。
「こ、こやつ……施設の破壊を優先しておるのか!!?」
「眼中にもないってことかしら……」
「逆にこちらの脅威を見て取ったがゆえの死ぬ前の悪あがきなのかも知れませんよ!」
言っている間にも、周りの設備にサイバーデーモンの左腕の火砲から放たれた火球が炸裂し破壊していきます。
「いや封印を緩めて援軍を呼ぶつもりじゃ!!」
「なるほど、呆れるくらいに冷静……頭の中まで機械になってるってわけかしら!」
どうやらサイバーデーモンの狙いは、常にこのゲートの拡充に向けられているようです。
半竜娘ちゃんたちを脅威に思っているのは確かでしょうが、召喚した雑魚に足止めを任せておけばそれで十分という判断でしょう。
「であれば!!」
文庫神官が気合とともに全速前進。
放たれた3つの火球すべてに対して迎撃態勢を取ります!
『DEEEEMMMMNNN!!?』
熟達の域に達した【護衛】の技能と巧みな【盾】捌きが、全ての火球を受け止めます!*2
そして――
「悪鬼! 凶器! 天魔外道! しからばこの退魔の剣の輝きを見るがいい! 一死、一生、そして祈り! 灯明の守り手よ! 地獄の暗黒を照らす光明を!」
退魔の剣を抜いて、この場のすべての悪鬼の注目を集めます!
聖なる剣の威光に本能的な恐怖を覚えた
「『蝋燭の番人よ、知の防人よ! 行く先に待つ陥穽をどうか我らにお教えください! ――【
さらに一瞬先の未来を見通す先見の閃きを与えるという、知識神の【
さらに、施設破壊を優先するサイバーデーモンには【挑発】!*5
「さあ! 来なさい!!」
『YYYEEDDEEEEE!!!』
四方八方から飛来する剣軍、四方から斬りかかる
「もはや私に
しかし文庫神官はそのすべてを受け止めて捌いていきます!*6
剣軍は
爆風の中からかすり傷で現れるこの娘を、誰がつい一年ほど前までは専業の神官だったと思うでしょうか!
なんとも頼もしいタンクに成長したものです!
「引き付けご苦労! 一塊になっておればまとめて吹き飛ばせるのじゃ! ティーアースよ、力を貸せ――【
そしてそこに叩き込まれる、空間を歪ませる精霊術の範囲攻撃!
半竜娘(分身体)が放ったそれは、時空の精霊であるティーアースの破片を媒介に威力を飛躍的に高め、雑魚悪魔たちをひしゃげさせます!*7
「お姉さま!」
「うむ! 一網打尽というものよ!」
不可視の力は味方の文庫神官を避けて炸裂したため彼女は無事です。
雑魚悪魔の精神体も、触媒として使用されたティーアースが自らの糧として吸収したため再憑依による復活はしないでしょう。
『DDEEEMMMOOONNNN!!!』
「怒り心頭ってわけね。でもあんた気づいてる? その火砲で狙いを定めるとき、あんたの顔も眼も動かず固定されるってことをさ」
―― つまり狙うのは
涼やかな声とともに、森人探検家が連続で放った弓矢が発射体勢を取った機械化大悪魔の両目を貫きます!*8
『YYYYYYIIIIICCCC!!???』
「無駄です!」
苦し紛れに発射された火砲は、文庫神官の盾が全て受け止めました。*9
「へへっ、さすがエルフパイセンの弓矢! こうなりゃあとはこっちのもんだぜ!」
視界を失って苦しむサイバーデーモンに、【死角移動】でこっそり近づいていたTS圃人斥候が何かを投げました。
「その手の火砲ってのは目詰まり・暴発・御用心、ってな! 盾で蓋して鍵かけて――
投げられたのは辺りに転がっていた、小鬼の装備として用意されていた盾。
TS圃人斥候はそれを何枚か拾って大悪魔の砲口へと蓋をするように投げ込んだのです。
続けて発現したのは【施錠】の呪文。
盾はまさしく堅固な蓋となって、敵の砲口を塞ぎました。*10
『YYYEEEEMMONNN!!???』
「ハッ、莫迦め! 自分の力で吹っ飛びやがれ!」
『DDEEEEDDAAAA??!!!』
砲口を魔法の力で塞がれた大砲を、それでもなお撃とうとするなら末路はひとつだけ。
――KABOOM!!!!!
暴発あるのみ!
何物をも薙ぎ払う火砲の威力が内部で炸裂し、大悪魔の左腕は裂けて弾け飛びました。
当然その半身も無事では済みません。機械のパーツがひしゃげ、内部からは潤滑液のようなものが滴り落ち、無事なところがないくらいにズタズタに引き裂かれてしまっています。
「トドメじゃ!」
【竜翼】のポーションで腕を翼に変えた半竜娘(本体)が、遥か後方より羽ばたきながら助走をつけます。
このために彼女は戦闘に参加せず、実は後ろに下がっていたのです。
「『俊敏なりし
祖竜の加護により、超自然の力が半竜娘(本体)の道行きを後押しします。
そして翼の加護により彼女は宙を駆け味方の頭を飛び越し、空中で飛び蹴りの構えを取ります!
「喰らえ! 鳥人直伝、
『DDEEEEAAAADDDD??!!!』
流星のごとく宙を駆けた半竜娘の飛び蹴りが、
火吹き山で恐鳥系の鳥人から学び取った必殺の蹴りです!
そのまま突き抜けて胸に大穴を開けた勢いで向こう側の壁まで飛んでいき、壁に着地。
「勝利じゃ!!」
どぉっっ、と
彼女たちの勝利です!!
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲
▼△▼△▼△▼△▼△▼
強敵を倒してひと段落。
「最後にこやつが爆発せんで済んで良かったのう」
「確かになー。でもリーダーも気をつけろよ、まだいきなりドカンってなる可能性はあるからなー」
「そのために分身体の手前が検分しとるのじゃろーに」
半竜娘(分身体)が機械化大悪魔の死体を調べています。
未知の技術の塊ですから、かなり破損しているとはいえ、資料的価値は高いはずです。
ドワーフのところにでも持ち込めば、ひと財産にはなるでしょうし、そちらとコネがある女商人の軽銀商会に引き渡してもいいでしょう。
「……うむ霊的エネルギーを変換しておったようじゃから別積みの動力炉心はなかったみたいじゃの」
「へー。なら、もうそいつは死んでるから、エネルギーは空っぽってことね」
「おそらくの」
半竜娘(分身体)の見立てでは、もう危険はないようです。
「じゃあ、あとはバラす前にスケッチしてから、幾つかのパーツに分解していく感じですね!」
「まあ待て、お主は敵を全部引き付けて袋叩きにされとったんじゃから、もうしばらく休んどれ」
腰を浮かせた文庫神官に対して、半竜娘(分身)は座っているようにジェスチャーします。
「それより先に地獄への門を塞がねばなるまい」
そうでした。
この場の最優先事項は、地獄へ繋がってしまった門―― というより“穴”ですが―― を塞いでおくことです。
またさっきみたいな強敵が出てきてはかないませんし、そうでなくても雑魚悪魔の波状攻撃なんてのも勘弁です。
「早くここの封印をやる人員が来てくれないかしらね」
そうやって森人探検家が呟いたのが良かったのか悪かったのか。
地獄門である闇色の粒子の流砂のような穴に【
「お姉さま!」
「んん? 何が――ってなんじゃこりゃ!? 空間断裂!?」
文庫神官の声で異常を察知した半竜娘(本体)がぐるりと首を巡らせれば、その空中の亀裂を見つけて驚愕します。
そして空中に生まれたその亀裂が開くと――
「とうちゃーく!」
「転移門なしで任意の空間に転移できるとは、貴女も大概になりましたよね」
「でも助かる。今回はまだ術は温存したかったから」
その内から現れたのは、輝く物の具に包まれ煌びやかな大剣を携えた黒髪の少女。そして質実剛健な女剣士に、フードを被って大きな杖を持った魔法使い。
昨年の収穫祭前夜で見覚えのある彼女らは、まさしく
「む、そちらの蜥蜴人はいつぞやの。随分と見違えたというか、大きくなったのですね。そういえば稽古をつける約束でしたが……また後ほどですね」
「約束を覚えておいてくれたのかや。こっちも悪魔を倒したばかりじゃからなぁ、またの機会かのう」
収穫祭前夜に遭遇した時の稽古の約束は、剣聖ちゃんも半竜娘ちゃんも、お互い覚えていたようですね。
……後で会う機会があれば良いんですけど。勇者ちゃんたち忙しそうですからねぇ。
「へぇっ! 君たちがその悪魔を倒してくれてたんだ! ありがとうねっ!」
太陽のような少女がお礼を言ってきます。
「……“見た”ところ、この遺跡の封印補助機能はまだ生きているみたい。申し訳ないけれど、あなたたちには、それを再稼働させてもらいたい」
フードの魔法使い―― 賢者ちゃんは、しばらく目を閉じて集中していたかと思うと、懐から取り出した何枚かの紙にさらさらと何か書き付けて、さらに印を押して、半竜娘ちゃんに手渡してきました。
「これは、遺跡の作動手順かの? それと手紙?」
「そう。このタイプの遺跡は前にも見たことあるから、合っているはず。私たちの方で向こう側から門の主封印をするから、補助封印が動いてると助かる。主封印が終わったら、補助封印は一旦止めても大丈夫だから、あとでメンテナンスするように森人の里と都にこの手紙を渡して伝えてくれればさらに助かる」
―― 森人の方には都から話が通ってるはずだから、里にもすんなり入れてもらえるはず。
そう付け加えた賢者ちゃんの渡してきたアンチョコと手紙を受け取り、半竜娘ちゃんは頷きました。
「任せておくのじゃ。しかしお主らはどうするのじゃ? 本当に門の向こう側……その穴の中へ?」
「その通り!」
太陽の少女が肯定します。
「ちょっと世界を救ってくるよっ! じゃあまたね!」
そして、とあーーっ! っと闇色の流砂が落ちる門の先へと飛び込んでいきました。
「ああっ、待ちなさい! ……それでは、私は彼女を追いかけないといけないのでここで失礼します! きっとまた会いましょう!」
「後詰めをお願い。こっちの帰りは別口で大丈夫だから、もうここの部屋は水で埋めても構わない。伝言も必ず」
そしてそのあとを、剣聖ちゃんと賢者ちゃんが追いかけて飛び込んでいきました。
地獄を平らげに
「もしかして」
「……彼女たち」
「ひょっとして」
「「「 勇者一行!!? 」」」
あ、さすがに半竜娘ちゃん以外のメンバーも気づきましたね。
そうです! 彼女こそが、四方世界を救う当代の白金等級冒険者! 超勇者ちゃんなのです!!
そして森人の長への伝言を預かったので、森人の里への自然な入場―― ひいては花冠の森姫と輝ける兜の森人の結婚式に参列するフラグが立ちました!!
ひゅー! さっすがー! いよっ、賢者さま!! ありがとう!!
というところで今回はここまで!
ではまた次回!
半竜娘「しまった! これでは心臓が喰えん!?」(胸板ぶち抜きライダーキック)
狙うなら顔にしな、顔に。
次回は『裏』編です。ゴブスレさんたちの遺跡攻略の〆の様子とか、森人の結婚式に参加できた半竜娘一党の様子とか、その他の後始末とか。そして海編への導入まで行けるかな……?
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◆ファンブルのしわ寄せ(森人の里にて合流)
半竜娘「おお。お主らも来とったのか! 着飾らせてもらって良かったのう!」
幼竜娘三姉妹「ははじゃどのー!」 「えへへー 」 「いいでしょー!」
蜥蜴僧侶「はて、こっちに連れてきておるのは言うておりませんでしたかな」
半竜娘「聞いた覚えはないが、まあ手前も、叔父貴殿がこちらに来ておったのにこの子らの居場所のひとつも尋ねんかったしのう」
蜥蜴僧侶「いやはや、これはしたり。幼子が居る生活というのも慣れませぬなあ、お互い」
半竜娘「じゃのう」
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