モブAから主人公へ   作:どごちゃん

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何だか調子がいいぜ!
オリ話です。


第三話――乾、人間やめるってよ

ISが登場してから、この世界は大きく変わってしまった。

しかし、ISが登場する以前と全く変わらぬところもある。ここ、SMART BRAINはそんな変わらないもの筆頭だ。

なぜ俺がそんな紹介をしてるかって? それは俺が質屋で携帯を買った次の日にまで遡る。

 

 

 

 

 

 

「乾幸馬様ですね?」

 

朝、目が覚めるなり黒服のマッチョにそう問われた。

皆ならどうするだろうか。無言で首を縦に振った俺はチキンじゃないと言いたい。

そんな俺を見た黒服は俺を担ぐと豪華な車に乗せ、どこかへと車を走らせた。

 

「あ、あの。どこに向かっているんですか……?」

 

勇気を振り絞った割に情けない声だったが、黒服は

 

「ええ、何も言わずに連れ去ってしまって申し訳ございません」

 

と、俺の質問には答えてくれなかった。

ポケットを弄るとあの謎の光の出る携帯があったので、取りあえずは安心といったところだ。

 

 

車内に重苦しい空気が漂い、耐えられなくなってきた頃、ようやく車が止まった。

 

「降りて下さい。社長がお待ちです」

 

そこは食品からISまで取り扱う大企業、SMART BRAINだった。

やはり大企業なだけあってとてつもなく大きいな。一体このビルだけで何億かけてるんだ? なんて考える俺は田舎者の平民です。

 

 

黒服に釣れられエレベータに乗り込む。どうやら強引なのはあの時だけで、今は打って変わって大人しくなっている。

 

どういう事だ、もしや俺とISの契約をしたいってことか? 企業のお抱えパイロットなんてよくある話だし……

 

と、そこでチン! と音がなり強制的に意識を現実に向けさせれた。

 

数歩歩いた先にあったのは豪華絢爛という言葉がぴったしな大きな扉だった。

黒服に連れられ、中に入ると、

 

「ふむ。中の中、と言ったところでしょうか。つまり普通って事です」

 

開口一発目に何やら小馬鹿にされた。

 

「ええと、どなたでしょうか?」

 

こういう時は丁寧に、が世の常識だ。間違っても食って掛かってはいけない。

 

「私の名前は村上峡児これから宜しく。ファイズ君」

 

なんだその名前は、

 

「俺の名前は乾幸馬ですよ。ふぁいず? ではありません」

 

と言うとわざとらしく落胆し

 

「まだベルトの力を知らない?いやまさか……」

「ベルトの力ってのは謎の赤い光ですか?」

「君、今ベルトを持ってるかい?」

「持ってませんよ。あるのは携帯だけです」

 

と、黒服がトレーに何かを載せて持ってきた。

 

「あっ! 俺の!」

「ではそれを腰にまいてください」

 

村上に言われるまま腰に巻く。

 

「ではそのファイズフォンの5を三回、そしてエンターキーを押してください」

 

特徴的な電子音が三回響き、エンターキーを押すと

 

――STANDING BY

 

「は?」

 

携帯から警告音のようなものが鳴り響いた。

 

「ではそれをベルトにはめてください」

 

若干大きな声でそう指示する村上。恐らく今の俺はかなり滑稽だ。見知らぬ人に連れ去られ、社長室でまるで特撮のヒーローの様な事を大真面目にやる。

なんの罰ゲームだよ。これ

とにかくベルトに……って、かなり入れづらいな。これ

お、出来た。

 

――COMPLETE

 

またその声か。今度は何――

 

「おお!成功した」

 

妙に嬉しそうな村上に向こうと向きを変えるとガラスに俺の姿が映った。

うん?何アレ

俺の立っているところに黒くて赤い何かがいた。

 

「まじで特撮ヒーローかよ」

「変身おめでとう。ファイズ君」

 

どうやら、このヒーローはファイズと言うらしい。何だ? ギリシャ人リスペクトか?

 

「さて、では次のステップだ。ついて来なさい」

 

と言われてホイホイついて行った先にあったのは公衆トイレ……では無く、一面金属で覆われた、そうまるで ――

 

「ここは闘技場だよ」

 

ほらねやっぱり。どうせ闘うんでしょ?

 

「君にはここでテスト受けてもらう。そのファイズギアを持つ資格があるかどうかのね」

 

言うが早いか村上は上に上がって行ってしまった。おい待て俺を置いてくな。

 

その時、何か怪物の様なものが俺の前に降ってきた。

 

「おい待て!村上!マジで特撮かよ!どうするの!?倒すの!?」

『君はそのオルフェノクを倒せばいい。倒し方は問わない』

「ああそうかいコンチクショウ」

丁寧にするのが常識? 知るかそんなもん。こちとら現在進行形で非常識だよ。

 

「ともかく倒しますかねぇ!」

 

そう言って勇ましく目の前のアレ――オルフェノクに駆け寄りパンチを繰り出すもいかんせんこの前まで一般人だった俺の攻撃はいとも簡単に避けられてしまう。

 

「ガッッッ!」

 

突如腹を襲う激痛。そして怒涛のラッシュ。

一般人相手にムキになりやがって! 俺はお前みたいな生まれた時から闘ってる様な奴とは違うんだよ!

けど

 

「このままサンドバックになるのも癪だ! 一発殴らせろ!」

 

どうする? このまま突っ走って殴ってもさっきと同じ、なら!

 

「うぉぉぉおぉおおおらぁ!」

 

わざと声を荒らげ、自らを鼓舞する。

大丈夫、いける。倒せる。

なぜだか分からないけど、一撃でも入れられたら勝てる気がした。

 

拳を大きく振りかぶって!

よし、そのまま身構えろ! からだを固めてくれたらこっちのもんだ!

 

大きく振りかぶったその手は宙を舞った。

だが、それでいい。

どうやら余裕そうなオルフェノク。

 

「でも! 本命は!」

 

全体重をかけた蹴りが炸裂! よし、作戦通りだ。

 

と、そこでブザーがなる。

 

『ファイズ君。初めてにしては、まぁ、中の上といったところでしょう。そのファイズギアは君に差し上げます』

 

どうやら本当に試験だったようだ。俺の拙い蹴りが決まったのも手加減されていたからなのだろう。

 

「そいつはどうも。ありがたくいただきますよ」

 

正式にこの携帯、ファイズフォンを手に入れた俺は家に帰った。

 

「あ、そう言えばあの赤い光使えばよかった!」

 

 

 




ファイズギアを使えたってことは乾さんは……
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