優花本妻ルートの続きである…。
サブタイトル通り(?)、ライセン大迷宮のお話です。
え?ミレディ、ウザく無くなるの?
……って思われた方、ご安心を(笑
彼女のウザさは、簡単に消えて無くなる業(カルマ)ではありません。
というよりウザくないミレディ=サブタイトル通り。
というありふれたヒロインキャラの一人にしかなりえない。
…没個性ですよ。…というかもはやそれはミレディなのか(ォィ
アンケート集計結果次第だと、
ミレディ同行がおよそ6割、奈々と愛子が入るんだからいらない子扱いが4割。
…2番目の選択肢と3番目の選択肢って「ハジメハーレム変化なし」とタグで宣言している以上、愛ちゃんは確実にとなると…。
同じ意味だよね?って事に今更気付いた訳です。
大変悩みました。
…ミレディを同行させる場合、
神子であるユエと解放者のミレディが同道しているのにエヒトがちょっかいかけない事があり得るのか等。
…同行しない場合は、
原作通りの展開になるため描写は楽ですが…ありふれたストーリーで終わっちゃう気がします。優花と香織と雫とアルテナという4人が居ることでちょっとは変わりますけれども。
と、悩んだ結果がこのストーリーです。
※
また、また風音鈴鹿様、誤字報告有難うございました。
※※
お気に入り300件突破、UA50,000超え。
大変ありがたく思います。これからも頑張ろうと思える数字へとなりました。
ここに感謝の言葉を記載させていただくことを、応援のお礼とさせて頂きます。
並びに、多くの感想や評価を頂けてることを光栄に思います。
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原作通り、ブルックの街で様々なトラブルに巻き込まれたハジメ達一行。
その辺りの詳細(キャサリン~クリスタベル等の出逢い等)はそのままなのでカット。
シアの暴走に乗じてアルテナも便乗したりしたんでしょう、きっと。
そして数日、ライセン大峡谷を探し回る旅へと。
原作通りシアが「お花摘み」に行った事でライセン大迷宮を発見します。
※ここで、原作との相違はアルテナも一緒について行ったという事です。
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「ハ、ハジメさ~ん!皆さん!大変ですぅ!こっちに来てくださぁ~い!」
「ハ、ハジメ様!皆様!こちらですよ、こちらに急いで来てください!」
お花摘みに行ったはずの二人が、魔物を呼ぶ可能性を忘れた様に大声で叫ぶ。
「何だよ、いったい…。」
「一体何なのよ…目覚めちゃったじゃない。」
「シアだけじゃなくアルテナまで、どうしたのよ?」
「二人共、何かあったの?」
「…うるさい」
一部を除き、非難轟々な意見しか出ていないが…それにも構わず二人は叫んでいる。
「こっちです!こっちですよぅ!見つけたんですぅ!」
「はい!見つかったんですよ!本当にあったんですよ!」
そんな声のする方へハジメ達が向かって目にしたものを見て口にした言葉。
「「「「「……は!?」」」」」
そこには、こう書いてあった。
〝おいでませ!ミレディ・ライセンのドキワク大迷宮へ♪〟
「…なんだこれ。」
「何なの、これは?」
「わざわざ、壁ほって色まで分けるとか…芸が細かいわね。」
「本物…なのかなぁ?でもちょっと楽しそうかも。」
「…うざったい。」
「大迷宮の入り口ですよね!ハジメさん達が、樹海で「ミレディ・ライセン」って言ってましたし。まさかお花を摘みに来て見つけてしまうとは。ホントにあったんですね?大迷宮の入り口。」
「そうですわ!ミレディ様というファーストネームが一致してますし、本物ですわ!」
興奮が覚めないままの二人をよそに、残りの五人は会議を始めた。
「これ、本物だと思うか?」
「「間違いない。オスカーの手記にあった通りウザい感じが。」」
「アルテナさんも言ってたけどファーストネームは知れ渡って無いはずだよ。」
「…ミレディ、ウザい。」
会議するまでもなく、結論は一つだったようだ。
「「「「「…チャラすぎる…。」」」」」
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ここから先は、シアがドジって大迷宮の入り口だって確定したのは良いものの乙女として大切なナニカを失ったり。
ミレディの煽り文で煽るだけ煽られまくりで、全員のストレスが限界突破したり。
(アルテナと香織も含みます。)
ここで、ミレディの煽り文の一部を抜粋していこう。
〝ビビった?ねぇ、ビビっちゃった?チビってたりして、ニヤニヤ〟
〝それとも怪我した?もしかして誰か死んじゃった?……ぶふっ〟
〝残念♪この石板は一定時間経つと自動修復するよぉ~プークスクス!!〟
原作通り、コレでシアの怒りとストレスが限界突破します。
〝残念♪魔法使いはこの迷宮ではほぼ無力化するのでしたぁ~♪クスクス〟
〝あらら♪一人だけ小さくて大変そうだねぇ?何処がとは言わないケド!〟
〝このトラップは一定身長以下しか発動しないよ♪大きくなろうよ人として〟
こんな感じの煽りでユエの「ミレディ殺す」オーラは天元突破します。
〝そのナイフで何を切るのかな♪自分を切らない様気をつけなよ!クスクス〟
〝目つき悪いって言われない?彼にもそう思われてるかもね。ニヤニヤ〟
〝残念♪それはハズレ♪貴女はハズレかな?当たりかな?どっちでもいいけど〟
優花のストレスと殺意はこれでミレディへと全て向けられます。
〝ぷぷぷ♪その剣は何のために持ってるのかな?おもちゃですか?プークス〟
〝残念♪それは斬れない素材で出来てます♪幾らやっても無駄だよ、ニヤニヤ〟
〝その無駄にデカイのは邪魔にしかならないでしょ?もいであげるよ♪〟
こんな感じで雫すら、ミレディ許すまじモードへと突入します。
〝ぷぷ♪優しい治癒師だね♪きっと好きな人も優しいだけとか思ってるよ♪〟
〝好きな人の事何でも知りたいってストーカーですかぁ?お巡りさんここです〟
〝貴女は何番目なんだろうね♪きっと最後かもね、何がとは言わないケド♪〟
ハジメへの思いへ対する煽りで香織も背中のアレが顕現します。
〝あれ♪貴女、この中で一番役に立って無いんじゃ?有り難いけど。ニヤニヤ〟
〝ですわ!ってリューちゃんみたいだね♪何処かのサイズは大きく違うけど!〟
〝物理も魔法も中途半端。貴女は一体何が得意なのかな?プークスクス〟
承知の上の実力不足やリューティリスとのある部分を比較されたりでキレるアルテナ。
〝白髪に眼帯って♪それはもう病気だよ!こんなトコじゃなく病院いきなよ♪〟
〝女の子ばっか連れて迷宮来るとか、おかしいんじゃないの?あ、おかしいからこんなトコに来てるんだね♪ニヤニヤ〟
〝その鉄球はおかわり自由です♪壊して満足したならオッツー!プークスクス〟
異世界人であるミレディにすら厨二病患者扱いされた事に、マジギレするハジメ。
こんな感じで煽りに煽られた挙げ句に、スタート地点に戻される。
そして、トドメのアレ。
〝ねぇ、今、どんな気持ち?〟
〝苦労して進んだのに、行き着いた先がスタート地点と知った時って、どんな気持ち?〟
〝ねぇ、ねぇ、どんな気持ち?どんな気持ちなの?ねぇ、ねぇ〟
これを見た全員は能面のようになり。
「「「「「「「…………………」」」」」」」
更に煽りに煽るミレディクオリティ。
〝あっ、言い忘れてたけど、この迷宮は一定時間ごとに変化します〟
〝いつでも、新鮮な気持ちで迷宮を楽しんでもらおうというミレディちゃんの心遣いです〟
〝嬉しい?嬉しいよね?お礼なんていいよぉ!好きでやってるだけだからぁ!〟
〝ちなみに、常に変化するのでマッピングは無駄です〟
〝ひょっとして作っちゃった?苦労しちゃった?残念!プギャァー〟
「は、はははははは…」
「ふっ、ふふふふふふふふふ」
「ふふふふふふふふふふふふふふ」
「うふふ、うふふふふふふふ」
「フフフフフフフ」
「フヒ、フヒヒヒヒ」
「あは、あははははははは」
7人それぞれの乾いた壊れた笑いが出た後は、
「「「「「「「ミレディーー!!!」」」」」」」
そんな声が、迷宮内部に響いたとか何とか。
この後の迷宮攻略。ミレディの間到達まではほぼほぼ原作通りなのでカットです。
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ハジメ達が入ったこの場所は直径二キロメートル以上ありそうな超巨大な球状の空間だった。
そんな空間には、様々な形、大きさの鉱石で出来たブロックが浮遊してスィーと不規則に移動をしているのだ。完全に重力を無視した空間である。
だが、不思議なことにハジメ達はしっかりと重力を感じている。おそらく、この部屋の特定の物質だけが重力の制限を受けないのだろう。
そんな空間をゴーレム騎士達が縦横無尽に飛び回っていた。
やはり落下方向を調節しているのか、方向転換が急激である。
この空間に近づくにつれて細やかな動きが可能になっていった事を考えると、おそらく……
「ここに、ゴーレムを操っているヤツがいるな。」
ハジメの確定意見に優花達全員が賛同するように表情を引き締めた。
ゴーレム騎士達は何故かハジメ達の周囲を旋回するだけで襲っては来ない。
ここが終着点なのか、まだ続きがあるのか分からない。
だが、間違いなく深奥に近い場所ではあるはずだ。
ハジメは〝遠見〟で、この巨大な球状空間を調べようと目を凝らした。
と、次の瞬間、シアの焦燥に満ちた声が響く。
「逃げてぇ!」
「「「「「「!?」」」」」」」
ハジメ達は何が?と問い返すこともなく、シアの警告に瞬時に反応し弾かれた様に飛び退いた。
数メートル先に他のブロックが通りかかったので、それを目指して今いるブロックを離脱する。
優花がユエを、雫がアルテナを、香織がシアを庇うように抱きかかえながら。
その直後、
ズゥガガガン!!
隕石が落下してきたかのような衝撃が今までハジメ達がいたブロックを直撃し木っ端微塵に爆砕した。隕石というのはあながち間違った表現ではないだろう。赤熱化する巨大な何かが落下してきて、ブロックを破壊すると勢いそのままに通り過ぎていったのだ。
ハジメ達の頬に冷や汗が流れる。シアが警告を発してくれなければ確実に直撃を受けていた。
〝金剛〟の能力が低下している今、もしかしたら即死していたかもしれない。
感知出来なかった訳ではなかった。シアが警告をした直後、確かに気配を感じた。
だが、落下速度が早すぎて感知してからの回避が間に合ったとは思えなかった。
「シア、助かったぜ。ありがとよ」
「助かったわ、シア」
「シア、ありがとう。危なかったかもしれないわ。」
「シアさん、助かったよ!」
「シアさん、ありがとうございますですわ!」
「……ん、お手柄」
「えへへ、〝未来視〟が発動して良かったです。魔力をごっそり持って行かれましたけど…。」
ハジメ達の感知より早く気がついたのはシアの固有魔法〝未来視〟が発したからのようだ。
〝未来視〟は、シア自身が任意に発動する場合、シアが仮定した選択の結果としての未来が見えるというものだが、もう一つ、自動発動する場合がある。
今回のように死を伴うような大きな危険に対しては直接・間接を問わず見えるのだ。
つまり、直撃を受けていれば少なくともシアは死んでいた可能性があるということだ。
そうしてる間に、下の方で何かが動いたかと思うと猛烈な勢いで上昇してきた。
一瞬の間にハジメ達の頭上に出ると、その場に留まりギンッと光る眼光でハジメ達を睥睨した。
「おいおい、マジかよ」
「何なの、このサイズ…大きすぎじゃない?」
「ラスボス登場…ってトコ?今までのゴーレムのサイズの比じゃないわね。」
「わぁ…。なんかもうビルぐらいの大きさだよね…。」
「あんな大きな物体がどうやって浮いているんでしょう?」
「……すごく……大きい」
「お、親玉って感じですね」
ハジメ達の目の前に現れたのは、宙に浮く超巨大なゴーレム騎士だった。
巨体ゴーレムに身構えていると、周囲のゴーレム騎士達がヒュンヒュンと音を立てながら飛来し、ハジメ達の周囲を囲むように並びだした。
整列したゴーレム達は胸の前で大剣を立てて構える。まるで王を前にして敬礼しているようだ。
包囲されハジメ達の間にも緊張感が高まる。辺りに静寂が満ち、まさに一触即発の状況。
動いた瞬間、殺し合いが始まる。そんな予感をさせるほど張り詰めた空気を破ったのは……
……巨体ゴーレムのふざけた挨拶だった。
「やほ~、はじめまして~、みんな大好きミレディ・ライセンだよぉ~♪」
「「「「「「「「……は?」」」」」」」
凶悪な装備と全身甲冑に身を固めた眼光鋭い巨体ゴーレムから、やたらと軽い挨拶をされた。
頭がどうにかなる前に現実逃避しそうだった。
全員が、包囲されているということも忘れてポカンと口を開けている。
そんな硬直するハジメ達に、巨体ゴーレムは不機嫌そうな声を出した。声質は女性のものだ。
「あのねぇ~、挨拶したんだから何か返そうよ。最低限の礼儀だよ?全く、これだから最近の若者は……もっと常識的になりたまえよ」
実にイラっとする話し方である。
しかも、巨体ゴーレムは、燃え盛る右手と刺付き鉄球を付けた左手を肩まで待ち上げると、やたらと人間臭い動きで「やれやれだぜ」と言う様に肩を竦める仕草までした。
普通にイラっとするハジメ達。道中散々見てきたウザイ文を彷彿とさせる。
〝ミレディ・ライセン〟と名乗っていることから本人である可能性もあるが、
彼女は既に死んでいるはずであるし、人間族だったはずだ。寿命をとっくに迎えているはずだ。
ハジメは取り敢えず、その辺りのことを探ってみる事にした。
「そいつは悪かったな。だが、ミレディ・ライセンは人間で故人のはずだろ?まして、自我を持つゴーレム何て聞いたことないんでな……目論見通り驚いてやったんだから許せ。そして、お前が何者か説明しろ。簡潔にな」
「あれぇ~、こんな状況なのに物凄く偉そうなんですけど、こいつぅ」
流石に、この反応は予想外だったのかミレディを名乗る巨体ゴーレムは若干戸惑ったような様子を見せるが、直ぐに持ち直して、人間なら絶対にニヤニヤしているであろうと容易に想像付くような声音でハジメ達に話しかけた。
「ん~?ミレディさんは初めからゴーレムさんですよぉ~何を持って人間だなんて…」
「オスカーの手記にお前のことも少し書いてあった。きちんと人間の女として出てきてたぞ?というか阿呆な問答をする気はない。簡潔にと言っただろう。どうせ立ち塞がる気なんだろうからやることは変わらん。お前をスクラップにして先に進む。だから、その前にガタガタ騒いでないで、吐くもん吐け」
「お、おおう。久しぶりの会話に内心、狂喜乱舞している私に何たる言い様。っていうかオスカーって言った?もしかして、オーちゃんの迷宮の攻略者?」
「ああ、オスカー・オルクスの迷宮なら攻略した。というか質問しているのはこちらだ。答える気がないなら、戦闘に入るぞ?別にどうしても知りたい事ってわけじゃない。俺達の目的は神代魔法だけだからな」
ハジメがドンナーを巨体ゴーレムに向ける。ユエはすまし顔だが、シアの方は「うわ~、ブレないなぁ~」と感心半分呆れ半分でハジメを見ていた。
優花達はいつもの事だ…そんな表情になっている。アルテナは何故か興奮しているようだ。
「…神代魔法ねぇ、それってやっぱり、神殺しのためかな?あのクソ野郎共を滅殺してくれるのかな?オーちゃんの迷宮攻略者なら事情は理解してるよね?」
「質問しているのはこちらだと言ったはずだ。答えて欲しけりゃ、先にこちらの質問に答えろ。」
「こいつぅ~ホントに偉そうだなぁ~、まぁ、いいけどぉ~、えっと何だっけ……ああ、私の正体だったね。うぅ~ん」
「簡潔にな。オスカーみたいにダラダラした説明はいらないぞ」
「あはは、確かに、オーちゃんは話が長かったねぇ~、理屈屋だったしねぇ~」
巨体ゴーレムは懐かしんでいるのか遠い目をするかのように天を仰いだ。
本当に人間臭い動きをするゴーレムである。優花達は何かに気づいたような表情に。
ユエは相変わらず無表情で巨体ゴーレムを眺め、シアは周囲のゴーレム騎士達を気にしてそわそわしている。アルテナはもう何かを悟ったようだ(汗
「うん、要望通りに簡潔に言うとね。私は、確かにミレディ・ライセンだよ。
ゴーレムの不思議は全て神代魔法で解決!もっと詳しく知りたければ見事、私を倒してみよ!って感じかな」
「結局、説明になってねぇ……」
「ははは、そりゃ、攻略する前に情報なんて貰えるわけないじゃん?迷宮の意味ないでしょ?」
今度は巨大なゴーレムの指でメッ!をするミレディ・ゴーレム。
中身がミレディ・ライセンというのは頂けないが、それを除けば愛嬌があるように思えてきた。
ユエが「…中身だけが問題」とボソリと呟いていることからハジメと同じ感想のようだ。
そしてその中身について、殆ど何もわからなかったに等しいが、ミレディ本人だというなら…
残留思念などを定着させたものなのかもしれないと推測するハジメ。ハジメは、確かクラスメイトの中村恵里が降霊術という残留思念を扱う天職を持っていたっけと朧げな記憶を掘り起こす。
しかし、彼女の降霊術は、こんなにはっきりと意思を持った残留思念を残せるようなものではなかったはずだ。
つまりその辺とその故人の意思?なんかをゴーレムに定着させたのが神代魔法ということだろう。
いずれにしろ、自分が探す世界を超える魔法ではなさそうだと、ハジメは少し落胆した様子で巨体ゴーレム改めミレディ・ゴーレムに問い掛けた。
「お前の神代魔法は、残留思念に関わるものなのか?だとしたら、ここには用がないんだがなぁ」
「ん~?その様子じゃ、何か目当ての神代魔法があるのかな?ちなみに、私の神代魔法は別物だよぉ~、魂の定着の方はラーくんに手伝ってもらっただけだしぃ~」
ハジメ達の目的は世界を超えて故郷に帰ること。
そう思って質問したのだが、返ってきたミレディの答えはハジメの推測とは異なるものだった。
ラーくんというのはラウス=バーンの事だろう。
彼が、ミレディ・ゴーレムに死んだはずの本人の意思を持たせ、ゴーレムに定着させたようだ。
「じゃあ、お前の神代魔法は何なんだ?返答次第では、このまま帰ることになるが……」
「ん~ん~、知りたい?そんなに知りたいのかなぁ?」
再びニヤついた声音で話しかけるミレディに、イラっとしつつ返答を待つハジメ。
「知りたいならぁ~、その前に今度はこっちの質問に答えなよ」
最後の言葉だけ、いきなり声音が変わった。今までの軽薄な雰囲気がなりを潜め真剣さを帯びる。その雰囲気の変化に少し驚くハジメ達。表情には出さずにハジメが問い返す。
「なんだ?」
「目的は何?何のために神代魔法を求める?」
嘘偽りは許さないという意思が込められた声音で、ふざけた雰囲気など微塵もなく問いかけるミレディ。もしかすると、本来の彼女はこちらの方なのかもしれない。
思えば、彼女も大衆のために神に挑んだ者。自らが託した魔法で何を為す気なのか知らないわけにはいかないのだろう。
オスカーが記録映像を遺言として残したのと違い、何百年もの間、意思を持った状態で迷宮の奥深くで挑戦者を待ち続けるというのは、ある意味拷問ではないだろうか。軽薄な態度はブラフで、本当の彼女は凄まじい程の忍耐と意志、そして責任感を持っている人なのかもしれない。
優花達も同じことを思ったのか、先程までとは違う眼差しでミレディ・ゴーレムを見ている。
深い闇の底でたった一人という苦しみはユエもよく知っている。だからこそ、ユエはミレディが意思を残したまま闇の底に留まったという決断に、共感以上の何かを感じたようだ。
ハジメ達は、ミレディ・ゴーレムの眼光を真っ直ぐに見返しながら嘘偽りない言葉を返した。
「俺達の目的は故郷に帰ることだ。お前等のいう狂った神とやらに無理やりこの世界に連れてこられたんでな。世界を超えて転移できる神代魔法を探している…お前等の代わりに神の討伐を目的としているわけじゃない。この世界のために命を賭けるつもりはない。無論邪魔するなら殺すが」
「この世界にそこまでの思い入れはないわ。でも、ハジメの邪魔をするならなんでもする。」
「私達の目的の邪魔をするなら、神だってなんだって切り倒してみせるわ。」
「地球にみんなで帰る。そのためならなんだってやってみせるよ!」
「……ん。」
「わ、わたしはこの世界の存在ですけど、ハジメさん達の側に居るためなら…。」
「私もシアさんと同じですわ。ハジメ様達の側にいるためなら、何だって苦になりませんわ!」
ミレディ・ゴーレムは、ジッとハジメ達を見つめた後、何かに納得したのか小さく頷いた。
そしてただ一言「そっか」とだけ呟いた。
と、次の瞬間には、真剣な雰囲気が幻のように霧散し、軽薄な雰囲気が戻る。
「ん~、そっかそっか。なるほどねぇ~、別の世界からねぇ~。うんうん。それは大変だよねぇ~よし、ならば戦争だ!見事、この私を打ち破って、神代魔法を手にするがいい!」
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ミレディとの戦闘描写、カットです。
台詞回しとキャラが増えた事とか含めて、案外簡単にいけるんじゃ?と思ってしまったのもあります。難易度はミレディ本人が試練をしている以上、原作よりは上げてそうですが。
単純に、一話分ぐらいになりそうなんですよね。戦闘の書き起こしで。
原作でもそんな感じですし…。なので、カットです。許してくださいm(_ _)m
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「やったじゃねぇかシア。最後のは凄い気迫だった。見直したぞ?」
「シア、ナイスファイトよ。アルテナもよく頑張ったわ。」
「頑張ったじゃないシア、アルテナ。特訓の成果はあったわね。」
「シアさん、アルテナさん。二人共初めての大迷宮攻略なのに凄かったよ!」
「私、お役に立てたのでしょうか?シアさんのようにトドメをさせた訳では無いですし…。」
「……ん、二人共頑張った」
「えへへ、有難うございます。でもハジメさん、そこは〝惚れ直した〟でもいいんですよ?」
「直すも何も元から惚れてねぇよ…。アルテナは十分役に立ってるぞ。」
疲れた表情を見せながらも、ハジメ達の称賛にはにかむシアとアルテナ。
実際、つい最近まで争いとは無縁だったとは思えない活躍だった。
それはひとえに、ハジメ達と同じステージに立ちたい。
ずっと一緒にいたいというシアの願いあってのことだろう。
深く強いその願いが、シアとアルテナの潜在能力と相まって七大迷宮最大の試練と正面から渡り合わせ、これ以上ない成果を生み出した。
凄まじい気迫と共に繰り出された最後の一撃は正直、見惚れるほど見事なものだった。
シアの想いの強さが衝撃波となって届いたのかと思うほどに。
だからと言って、シアが求める感情をハジメが持つに至ったわけではないが。
その頑張りに、根性につい絆されてしまうのは仕方ないことだろう。
ハジメのシアを見つめる眼差しが柔らかいものになる。
「ふぇ?な、なんだか…ハジメさんが凄く優しい目をしている気が…ゆ、夢?」
「お前な…いや、まぁ、日頃の扱いを考えると仕方ないと言えば仕方ない反応なんだが…。」
そんなハジメの眼差しに、信じられないものを見たと言う様に、シアは自分の頬を抓る。
その反応に思わず文句を言いたくなったハジメだが、今までの雑な扱いから考えると、ある意味当然の反応なので言葉を濁した。
未だ頬を抓っているシアのもとへ優花達が歩み寄っていく。そして、おもむろにシアの頭を撫でた。乱れた髪を直すように、ゆっくり丁寧に。
「え、えっと、優花さん?雫さん?香織さん?ユエさん?」
「「「「…ハジメ(君)は撫でないだろうから、代わりに。よく頑張りました」」」」
「皆さぁ~ん。うぅ、あれ、何だろ?何だか泣けてぎまじだぁ、ふぇええ」
「……よしよし」
「私は…撫でてもらえないのでしょうか?…ふぁっ!ハジメ様っ!?」
優花達がシアを撫でている間に拗ねかけていたアルテナをハジメが撫でる。
シアを見ていたような優しい眼差しで。思わずアルテナの頬が赤くなる。
「あっ!アルテナさんだけずるいですぅ~私もお願いしますぅ!」
こう調子に乗るのがわかっていたからか、ハジメはシアを撫でることはなかった。
だが、優花達に頭を撫でられているをシアを見る目を見れば…。
何となく未来は予測できるというものだろう。
優花達に甘えるシア、それを何とも言えない表情で見つめながらアルテナを撫でるハジメ。
そんな七人に、突如、声が掛けられた。
「あのぉ~、いい雰囲気で悪いんだけどぉ~、そろそろヤバイんで、ちょっといいかなぁ~?」
物凄く聞き覚えのある声。ハジメ達がハッとしてミレディ・ゴーレムを見ると、消えたはずの眼の光がいつの間にか戻っていることに気がついた。咄嗟に、飛び退り距離を置くハジメ達。確かに核は砕いたはずなのにと警戒心もあらわに身構える。
「ちょっと、ちょっと、大丈夫だってぇ~。試練はクリア!あんたたちの勝ち!核の欠片に残った力で少しだけ話す時間をとっただけだよぉ~、もう数分も持たないから」
その言葉を証明するように、ミレディ・ゴーレムはピクリとも動かず、眼に宿った光は儚げに明滅を繰り返している。今にも消えてしまいそうだ。数分しかもたないというのは本当らしい。
「で?何の話だ?死にぞこない。死してなお空気も読めんとは……残念さでは随一の解放者ってことで後世に伝えてやろうか」
「ちょっ、やめてよぉ~、何その地味な嫌がらせ。ジワジワきそうなところが凄く嫌らしい」
「で? 〝クソ野郎共〟を殺してくれっていう話なら聞く気ないぞ?」
ハジメの機先を制するような言葉に、何となく苦笑いめいた雰囲気を出すミレディ・ゴーレム。
「言わないよ。言う必要もないからね。話したい…というより忠告だね。訪れた迷宮で目当ての神代魔法がなくても、必ず私達全員の神代魔法を手に入れること。君達の望みのために必要だから…」
ミレディの力が尽きかけているのか、次第に言葉が不鮮明に途切れ途切れになってゆく。だが、そんなことは気にした様子もなくハジメが疑問を口にする。
「全部ね…なら他の迷宮の場所を教えろ。失伝していて、ほとんどわかってねぇんだよ」
「あぁ、そうなんだ…そっか、迷宮の場所がわからなくなるほど…長い時が経ったんだね…うん、場所…場所はね…」
いよいよ、ミレディ・ゴーレムの声が力を失い始める。どこか感傷的な響きすら含まれた声に、ユエやシアが神妙な表情をする。長い時を、使命、あるいは願いのために意志が宿る器を入れ替えてまで生きた者への敬意を瞳に宿した。
ミレディは、残りの七大迷宮の所在を語っていく。中には驚くような場所にあるようだ。
「以上だよ……頑張ってね」
「…随分としおらしいじゃねぇの。あのウザったい口調やらセリフはどうした?」
ハジメの言う通り、今のミレディは、迷宮内のウザイ文を用意したり、あの人の神経を逆なでする口調とは無縁の誠実さや真面目さを感じさせた。
戦闘前にハジメの目的を聞いたときに垣間見せた、おそらく彼女の素顔が出ているのだろう。
消滅を前にして取り繕う必要がなくなったということなのかもしれない。
「あはは、ごめんね~。でもさ…あのクソ野郎共って…ホントに嫌なヤツらでさ…嫌らしいことばっかりしてくるんだよね…だから、少しでも慣れておいて欲しくてね…」
「おい、こら。狂った神のことなんざ興味ないって言っただろうが。なに、勝手に戦うこと前提で話してんだよ」
ハジメの不機嫌そうな声に、ミレディは意外なほど真剣さと確信を宿した言葉で返した。
「…戦うよ。君が君である限り……必ず……君は、神殺しを為す」
「…意味がわかんねぇよ。そりゃあ、俺の道を阻むなら殺るかもしれないが……」
若干、困惑するハジメ。ミレディは、その様子に楽しげな笑い声を漏らす。
「ふふ…それでいい…君は君の思った通りに生きればいい…………君達の選択が……きっとこの世界にとっての……最良だから……」
いつしか、ミレディ・ゴーレムの体は燐光のような青白い光に包まれていた。
その光が蛍火の如く、淡い小さな光となって天へと登っていく。
死した魂が天へと召されていくようだ。とても、とても神秘的な光景である。
その時、おもむろにユエがミレディ・ゴーレムの傍へと寄って行った。
既に、ほとんど光を失っている眼をジッと見つめる。
「何かな?」囁くようなミレディの声。
それに同じく囁くようにユエが一言、消えゆく偉大な〝解放者〟に言葉を贈った。
「…お疲れ様。よく頑張りました」
「……」
それは労いの言葉。たった一人、深い闇の底で希望を待ち続けた偉大な存在への、今を生きる者からのささやかな贈り物。本来なら、遥かに年下の者からの言葉としては不適切かもしれない。
だが、やはり、これ以外の言葉を、ユエは思いつかなかった。
ミレディにとっても意外な言葉だったのだろう。言葉もなく呆然とした雰囲気を漂わせている。
やがて、穏やかな声でミレディがポツリと呟く。
「……ありがとね」
「……ん」
ちなみに、ユエとミレディが最後の言葉をかわすその後ろで、知った風な口を聞かれてイラっとしたハジメが「もういいから、さっさと逝けよ」と口にしそうになり、
それを敏感に察したシアやアルテナに「空気読めてないのはどっちですか!ちょっと黙ってて下さい!」と後ろから羽交い絞めにされて口を塞がれモゴモゴさせていたのだが、
幸いなことに二人は気がついておらず、厳かな雰囲気は保たれていた。
優花達はそれを苦笑いしながら見ていた…。
「…さて、時間のようだね……君達のこれからが……自由な意志の下に……あらんことを……」
オスカーと同じ言葉をハジメ達に贈り、ゴーレムは淡い光となって天へと消えていった。
辺りを静寂が包み、余韻に浸るようにユエとシアとアルテナが光の軌跡を追って天を見上げる。
「……最初は、性根が捻じ曲がった最悪の人だと思っていたんですけどね。ただ、一生懸命なだけだったんですね」
「……ん」
「…長い間お一人で待っているなんて、どれだけの思いがあったのでしょうか?」
どこかしんみりとした雰囲気で言葉を交わすユエとシアとアルテナ。
だが、ミレディに対して思うところが皆無の男、ハジメはうんざりした様子で三人に話しかけた。
「はぁ、もういいだろ?さっさと先に行くぞ。それと、断言するがアイツの根性の悪さも素だと思うぞ?あの意地の悪さは、演技ってレベルじゃねぇよ」
「ちょっと、ハジメさん。そんな死人にムチ打つようなことを。ヒドイですよ。まったく空気読めないのはハジメさんの方ですよ」
「……ハジメ、KY?」
「ハジメ様…流石にそれはひどいと思いますわ。こう労ってあげても…。」
「お前らなぁ…はぁ、まぁいいけどよ。念の為言っておくが、俺は空気が読めないんじゃないぞ。読まないだけだ。」
「…………」もうネタは分かってるのよと優花達は苦笑いしたまま沈黙している。
そんな雑談をしていると、いつの間にか壁の一角が光を放っていることに気がついたハジメ達。
気を取り直してその場所に向かう。上方の壁にあるので浮遊ブロックを足場に跳んでいこうと、ブロックの一つに七人で跳び乗った。
と、その途端、足場の浮遊ブロックがスィーと動き出し、光る壁までハジメ達を運んでいく。
「「「「……」」」」
「わわっ、勝手に動いてますよ、これ。便利ですねぇ」
「……サービス?」
「凄いですわ!これも神代の技術なのでしょうか!?」
勝手にハジメ達を運んでくれる浮遊ブロックにシアは驚き、ユエは首をかしげ、アルテナは喜ぶ。
ハジメは何故か嫌そうな表情だ。優花達は相変わらず苦笑いを浮かべている。
十秒もかからず光る壁の前まで進むと、その手前五メートル程の場所でピタリと動きを止めた。
すると、光る壁はまるで見計らったようなタイミングで発光を薄れさせていき、スっと音も立てずに発光部分の壁だけが手前に抜き取られた。奥には光沢のある白い壁で出来た通路が続いている。
ハジメ達の乗る浮遊ブロックは、そのまま通路を滑るように移動していく。
どうやら、ミレディ・ライセンの住処まで乗せて行ってくれるようだ。そうして進んだ先には、オルクス大迷宮にあったオスカーの住処へと続く扉に刻まれていた七つの文様と同じものが描かれた壁があった。
ハジメ達が近づくと、やはりタイミングよく壁が横にスライドし奥へと誘う。浮遊ブロックは止まることなく壁の向こう側へと進んでいった。
くぐり抜けた壁の向こうには……
「やっほー、さっきぶり!ミレディちゃんだよ!」
ちっこいミレディ・ゴーレムがいた。
「「「……」」」
「ほれみろ。こんなこったろうと思ったよ」
「「「だろうとは、思ってた」」」
言葉もないユエとシアとアルテナ。ハジメ達の方は予想がついていたようでウンザリした表情をしている。ハジメが、この状況を予想できたのは、単にふざけたミレディも真面目なミレディもどっちも彼女であることに変わりはないということを看破していたからだ。
ウザイ文のウザさやトラップの嫌らしさは、本当に真面目な人間には発想できないレベルだった。
ミレディは、意思を残して自ら挑戦者を選定する方法をとっている。だとしたら、一度の挑戦者が現れ撃破されたらそれっきり等という事は有り得ない。
それでは、一度のクリアで最終試練がなくなってしまうからだ。
なので、ハジメは、ミレディ・ゴーレムを破壊してもミレディ自身は消滅しないと予想していた。
それは浮遊ブロックがハジメ達を乗せて案内するように動き出した時点で確信に変わっていた。
浮遊ブロックを意図的に動かせるのはミレディだけだからだ。
黙り込んで顔を俯かせるユエとシアとアルテナに、ミレディが非常に軽い感じで話しかける。
「あれぇ?あれぇ?テンション低いよぉ~?もっと驚いてもいいんだよぉ~?あっ、それとも驚きすぎても言葉が出ないとか?だったら、ドッキリ大成功ぉ~だね☆」
ちっこいミレディ・ゴーレムは、巨体版と異なり人間らしいデザインだ。
華奢なボディに乳白色の長いローブを身に纏い白い仮面を付けている。
ニコちゃんマークなところが微妙に腹立たしい。
そんなミニ・ミレディは、語尾にキラッ!と星が瞬かせながら、ハジメ達の眼前までやってくる。
ユエとシアとアルテナの表情は俯き、垂れ下がった髪に隠れてわからない。
もっとも先の展開は読めるので、ハジメ達は一歩距離をとった。
ユエがシアがアルテナがぼそりと呟くように質問する。
「……さっきのは?」
「ん~?さっき?あぁ、もしかして消えちゃったと思った?ないな~い!そんなことあるわけないよぉ~!」
「でも、光が昇って消えていきましたよね?」
「ふふふ、中々よかったでしょう?あの〝演出〟!やだ、ミレディちゃん役者の才能まであるなんて!恐ろしい子!」
「あんな神妙な感じだったのは…?」
「え?だから〝演出〟だよ!見事だったでしょ?騙されちゃったでしょ?ミレディちゃん凄い♪」
テンション上がりまくりのミニ・ミレディ。比例してウザさまでうなぎ上りだ。
そんなミニ・ミレディを前にして、ユエは手を前に突き出し、シアはドリュッケンを構えた。
アルテナはハジメ謹製の銃を取り出したのを見て、流石に、あれ?やりすぎた?と動きを止めるミニ・ミレディ。
「え、え~と……」
ゆらゆら揺れながら迫ってくるユエとシアとアルテナに、
ミニ・ミレディは頭をカクカクと動かし言葉に迷う素振りを見せると意を決したように言った。
「テヘ、ペロ☆」
「……死ね」
「死んで下さい」
「…安らかな眠りにつかせてあげますわ!」
「ま、待って!ちょっと待って!このボディは貧弱なのぉ!これ壊れたら本気でマズイからぁ!落ち着いてぇ!謝るからぁ!」
しばらくの間、ドタバタ、ドカンバキッ、バキュン。いやぁーなど悲鳴やら破壊音が聞こえていたが、ハジメは一切を無視して、部屋の観察に努めた。
部屋自体は全てが白く、中央の床に刻まれた魔法陣以外には何もなかった。
唯一、壁の一部に扉らしきものがあり、おそらくそこがミニ・ミレディの住処になっているのだろうとハジメは推測する。
ハジメは、おもむろに魔法陣に歩み寄ると勝手に調べ始めた。
それを見たミニ・ミレディが慌ててハジメのもとへやって来る。
後ろからは、無表情の吸血姫とウサミミとエルフがドドドドッと音を立てながら迫って来ている。
「君ぃ~勝手にいじっちゃダメよぉ。ていうか、お仲間でしょ!無視してないで止めようよぉ!」
そんな文句を言いながらミニ・ミレディはハジメの背後に回り、三人の悪鬼に対する盾にしようとする。
「…ハジメどいて、そいつ殺せない」
「退いて下さい。ハジメさん。そいつは殺ります。今、ここで」
「ハジメ様。その汚物はここで処理しないといけませんわ!」
「お前ら、落ち着け。まさか、そのネタをこのタイミングで聞くとは思わなかった。っていうかいい加減遊んでないでやる事やるぞ」
ハジメは、若干呆れた表情でユエとシアとアルテナに軽い注意をする。
背後のミニ・ミレディが「そうだ、そうだ、真面目にやれぇ!」とか言ってはやし立てたので顔面を義手でアイアンクローしてやる。
ニコちゃんマークが微妙に歪み悲痛な表情になっているが気にしない。
そのまま力を入れていきミニ・ミレディの頭部からメキメキという音が響きだした。
「このまま愉快なデザインになりたくなきゃ、さっさとお前の神代魔法をよこせ」
「あのぉ~、言動が完全に悪役だと気づいてッ『メキメキメキ』了解であります!直ぐに渡すであります!だからストップー!これ以上は、ホントに壊れちゃう!」
ジタバタともがくミニ・ミレディに取り敢えず溜飲を下げたのか三人共落ち着きを取り戻し、
これ以上ふざけると本気で壊されかねないと理解したのかミニ・ミレディもようやく魔法陣を起動させ始めた。
魔法陣の中に入るハジメ達。
今回は、試練をクリアしたことをミレディ本人が知っているので、オルクス大迷宮の時のような記憶を探るプロセスは無く、直接脳に神代魔法の知識や使用方法が刻まれていく。
ハジメと優花達は経験済みなので無反応だったが、シアとアルテナは初めての経験にビクンッと体を跳ねさせた。
ものの数秒で刻み込みは終了し、ハジメ達はミレディ・ライセンの神代魔法を手に入れる。
「これは……やっぱり重力操作の魔法か」
「そうだよ~ん。ミレディちゃんの魔法は重力魔法。上手く使ってね…って言いたいところだけど、君とウサギちゃんと剣士ちゃんは適性ないねぇ~もうびっくりするレベルでないね!」
「やかましいわ。それくらい想定済みだ」
ミニ・ミレディの言う通り、ハジメとシアは重力魔法の知識等を刻まれてもまともに使える気がしなかった。
ユエが生成魔法をきちんと使えないのと同じく、適性がないのだろう。
「金髪ちゃんは適正ばっちり。修練すれば使いこなせるようになるね。ナイフ使いの子と治癒師の子は…金髪ちゃん程じゃないけど適正はあるよ。リューちゃんそっくりの子は…私ぐらいに適正があるね…どゆこと?」
「ウサギちゃんは体重の増減くらいなら使えるんじゃないかな。君は…生成魔法使えるんだから、それで何とかしなよ。剣士ちゃんも、剣の重力を調整したり、ウサギちゃんと同じぐらいは出来ると思うよ」
ミニ・ミレディの幾分真面目な解説にハジメは肩を竦め、ユエは頷き、シアは打ちひしがれた。
優花と香織は、一応の適性がある事にびっくりしていた。生成魔法のときは無かったので。
雫はちょっとガッカリしていた。刀に重力魔法付与はハジメにしてもらえれば…と考えていたのでどうすれば使いこなせるか、既に脳内で試行錯誤しているようだ。
アルテナはミレディ程の適正があると言われ、一番驚いているようだ。
未だ得意魔法や固有魔法が判明していないのに…と。
落ち込むシアを尻目に、ハジメは更に要求を突きつける。遠慮、容赦は一切ない。
「おい、ミレディ。さっさと攻略の証を渡せ。感応石みたいな珍しい鉱物類も全部よこせ」
「……君、セリフが完全に強盗と同じだからね?自覚ある?」
ミニ・ミレディは、ごそごそと懐を探ると一つの指輪を取り出し、それをハジメに向かって放り投げた。パシッと音をさせて受け取るハジメ。
ライセンの指輪は、上下の楕円を一本の杭が貫いているデザインだ。
更に虚空に大量の鉱石類を出現させる。おそらく〝宝物庫〟を持っているのだろう。
そこから保管していた鉱石類を取り出したようだ。
やけに素直に取り出したところを見ると、元々渡す気だったのかもしれない。
何故か、ミレディはハジメが狂った神連中と戦うことを確信しているようであるし、このくらいの協力は惜しまないつもりだったのだろう。
「おい、それh「「「ハジメ(君)、待って!」」」」
「何だよ?攻略報酬として他にも貰おうと思っただけなのに。」
「それ以上は、強盗の所業よ?流石に見逃せないわよ。婚約者として。」
「…ハジメ君、樹海でシア達を守った時は優しさが残ってると思ってたけど…。」
「ハジメ君。ミレディさんに聞きたい話があるのに、そんな態度とっちゃ駄目だよ!」
「うわぁ~ん。この娘達なんていい子なんだろう!この白髪眼帯君とは違うねっ♪」
※原作通り本当に根こそぎ奪っていこうと続けていたら、あの放出され方で迷宮から出る羽目になってました。優花達のナイスプレーという所でしょうか。
「さっきの戦闘前に、魂の定着の方はラーくんに手伝ってもらったって言ってたわよね。」
「ラーくんって、多分。ラウス=バーンさんの事でしょ。ということは神山の神代魔法は魂とかに関するものじゃないかしら?」
「その詳細は分からないけど、その〝宝物庫〟の中にミレディさんの本当の身体入ってるんじゃないかな?」
「…ん。ウザくて忘れてたけど、一人で何百年も一人でここで待ってたのなら凄い…。」
「本当ウザくてまだムカついてますけど、優花さん達に免じてここは許してやるですぅ」
「私も我慢いたしますわ!リューティリス様の事とか、もっとお話聞きたいですわ!」
「はぁ。仕方ねぇな…全員にそこまで言われちゃあな。」
「ありがとう~♪危うく本当に天に召されるトコだったよ…。」
「で、なんでラーくん名前の事とか。私の本当の身体の事とかそう思ったりしたの?」
「ハジメが戦闘前に言った、オスカーさんの手記に色々書いてあったのよ。」
「"解放者"達の名前。性格とか試練の大まかな場所とか、貴方のウザさとか…ね。」
「で、"解放者"のリーダーだったミレディさん本人が試練をしているなら、いつか平和になった時のために本当の身体に戻れる様…準備はしてあるんじゃないかな?とか思ったの。」
「オーちゃん…。うん。本当の身体はあるよ?皆が協力してくれたお陰でいつでも戻ろうと思えば戻れる様にしてくれたんだ…。」
感慨深く呟くミレディ。ゴーレムなので表情はわからないが、人間の体なら察せただろう。
「で、ミレディの本当の身体があったとして…優花、雫、香織。どうしたいんだ?」
察しているものの、あえて三人に尋ねるハジメ。ミレディも同様の様で頷いている。
「ユエがオルクスの深層で一人で数百年閉じ込められてたのを、私達は助けたわけでしょ?」
「なら、ミレディも助けてあげてもいいんじゃない?試練の攻略って面では無理だとしても。」
「ミレディさんが望んでるなら、私達と一緒に来てほしいなって思ってるよ。この迷宮の試練もミレディさんがいなければ成り立たないとかじゃなければ、是非にって。」
「…ん。私もそうだったけど魔法の使い手としてもミレディは見事。教授して貰いたい。」
「ハジメさんが樹海の中で語ってくれた話通りなら、多種族が協力しあって神に挑もうとしたって事ですよね?強い人は歓迎ですよぅ!」
「ハジメ様が私やシアさんを救ってくれた様に。ミレディさんも一人でずっと辛い思いをしてたなら、私達の様に助けてあげてほしいですわ。」
ユエやシア、アルテナまでもがミレディに対して、優しい目を向けている。
「はぁ…。俺の仲間達はこういってるが、どうするんだ?ミレディ。」
「ううっ。グスッ。なんていい子たちなんだろう。…でも…。」
「あぁ、エヒトとかっていう糞神の事か?戦闘前はああ言ったが、お前の言う通り必ず殺すさ。じゃないと、また俺達の世界や他の世界に干渉するかもしれないだろ?」
ハジメは決意のこもった目でミレディを見ながら話しかけた。優花達もそれに頷いている。
「わかったよ。このミレディちゃんも、貴方達と一緒に行ってあげる!なんてったって美少女天才魔法使いだからねっ!奥の部屋で元の身体に戻ってくるけど覗かないでよ?チラチラ☆」
そう言いながら、奥の隠し部屋へと入っていった。
「相変わらず、ウザいなぁ…アイツ。」ハジメは溜息をつきながらそう言った。
「元の性格もあるのかもしれないけど、案外素では寂しかったのかもよ?」と優花は言う。
「ユエより前からずっと一人でここに居たんだとしたら…」雫は感慨深そうに言った。
「ミレディさん、どんな感じなんだろうね?」香織は本当の身体がどうなのか興味津々のようだ。
「…ん。私もハジメ達に助けられるまで辛かった。」ユエは孤独の辛さを共感しているよう。
「ハジメさん達が、あの時、私の見た未来通り助けてもらえてなかったら、私は今ここにはいないんですよね…。」シアは自分に置き換えて頑張って変えた未来を思い出しているようだ。
「私も、ハジメ様達が来ていなければ…ずっと一人で樹海の中で居たのかもしれませんわね…。」
アルテナも自分で決意してついてくるまでの決意を思い出しているようだ。
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その頃。壁の中のミレディの個室の中では。ミレディが元の身体へと戻ろうとしていた。
その前に、壁に飾られた数枚の写真に向かって囁くように話しかけていた。
「みんな、私。彼らについていくね。皆と誓った『あのクソ神を殺して、自由な意志の元に生きていける世界を…。』ってそう、その約束を守るためにずっと一人で頑張ってきたけど。」
「私がついていく事で、あのクソ神も何らかのアクションを起こしてくるかもしれない。でも、もう決めたんだ。あの時、私が皆を誘って…世界を救おうって着いてきてくれたように。
今度は私が誘われる側だったけど、必要とされてるみたいだから。だから行くね。
オーくん。ラーくん。ナーくん。バンくん。メル姉。リューちゃん。そしてベル…。」
「行ってくるよ。そしてきっと皆との約束を叶えてみせるから!」
そう言いながら、元の身体が封印されていたアーティファクトを起動した。
※ミレディの他の解放者への呼び方は適当です。ありふれ零をちゃんと読んでないのもありますが、全員分の呼称がまだ出きってない?とは思いますので。出ててももう変える気もありません。
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ハジメ達がミレディを見送ってから数分後。再び、壁が開いた。
「遅かったじゃねぇ………か…」ハジメは驚愕している!
「「「本当に美少女だった!」」」優花達も驚愕している!
「…ん。私とどっこいどっこい。」ユエは何処かを比較しながら頷いている!
「あのゴーレムがこの子だったんですぅ!?」シアは驚きのあまり開いた口が塞がらないようだ!
「まぁ!流石は偉大な解放者様ですわね!美しく可愛らしいですわ!」アルテナは褒め称えた!
「じゃっじゃ~ん♪偉大なる解放者がリーダー、天才美少女魔法使い、ミレディ・ライセンちゃん、麗しく元の身体で見参!キラッ☆」
ユエのような金髪。シアの髪の色の様な蒼穹の目。顔つきも美少女と自分で言うのも否定できないレベル。体つきもスラッとしていて…一部のボリュームは無いようだが。
とても美少女じゃないとは言えない15~18歳ぐらいに見えるミレディ…らしき女の子がポーズをとっている!微妙にキマってるのがウザったらしい。
「「「「「「「………。」」」」」」」ハジメ達は驚愕で沈黙している!
「なんだよぅ!ノーリアクションですかぁ?せっかくミレディちゃんが数百年ぶりに元の身体に戻ったっていうのに…。シクシクチラチラってしちゃうぞ♪」
「「「「「「「あ、ミレディ(さん)だ!(だわ、ですぅ、ですわ。)」」」」」」」
こうして、旅の仲間にミレディが加わった。
うーん、自分の中では上手く纏めれた…?って感じになりました…が。
アンケート集計結果通り、「ミレディ同行」で書き上げました。
この展開だと、ハジメに対する好感度より優花達の方が高い。
ハジメハーレムに入ることは…あるのだろうか。
取り敢えず、要所要所以外はカット及び原文を参考にしています。
最後の方に書きましたが、ありふれ零を私はきちんと読んでません。
ミレディの性格設定や喋り方。容姿や風貌についても原作からの推察がメインです。
やっぱり、ライセン大迷宮話書いたら…ハジメ達の会話より
設定解説や地の文含めて10,000字をゆうに超えたですよ…。
本当なら、最後のミレディ合流後の各キャラとの会話ぐらいまでは書きたかった。
ですが、流石に20,000字超えとか…もう気力的に無理です。
この後は、普通にブルックに戻ってからフューレンへ。
まぁ、原作通りトラブルに巻き込まれて…ウルへ。
そこで愛子達と合流して…VSティオ戦と蹂躙劇まででこのお話は…終わりかな?
無理すれば書けないことはないですが、原作では居ないキャラ多数。
ミレディが居ることで原作は既に完全崩壊。
予告通り、ウルでは更に「奈々・妙子」もハジメ達と合流します。
…最早、ハジメハーレム増加の旅。そんなストーリーになります。
で、何度も言うようにオリジナル展開になりすぎるという点で。
絶対的な最終終着点(これ以上は無理)は、ホルアドに戻った場合の…
勇者達のパーティー救出のとこまでで、檜山・天之川・小悪党組の断罪。
(檜山はまぁ…何度も書いてる通り処されます。)
ってトコ以降は書き上げるのは不可能です。
その際は、新規小説として一から書き組み立て直した方が早いでしょう。
あ、最後になりますが。
アンケートに回答有り難うございました。250件近い回答を参考にさせて頂きました。
次の構想はまだ定まってないので、大分時間がかかるかもしれません。
期待せずにお待ちくださいませ。
優花本妻ルートのハジメヒロイン枠についてですが、原作通りに進んだら……ユエしかひんぬー枠がいないのです(笑) なのでひんぬー枠ヒロイン追加は必要かのアンケートとなります。一応次のライセン大迷宮攻略話を書くだろう期間までとなります。(いつ頃かは未定)
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ミレディもひんぬー枠ヒロインに入れよう!
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奈々っていうひんぬー枠が入るからいらない
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愛ちゃんと奈々も入るからもう良くない?