アンケート結果で唯一まだエピソードとして書いていなかった・・・(時間がなくて
リリアーナ本妻ルートとなります。
基本は原作設定のままですが、召喚後からが完全に原作破壊となります。
・・・無理やり感あっても仕方ないですよね?
えぇい!とりあえず書いて見るんじゃあ!とヤケになったストーリーとなります。
※書き上げた後に、思わぬ高評価の嵐と日間ランキング入りしていたという事実に震えが止まりません。
(2020/08/14の11時の段階で、です。)
そんなに皆さん、檜山君の断罪がお好き…って違いますね(゚∀゚)
リリアーナ本妻ルートの人気?の勢いに著者も呆然とした状態と化してます。
case8 「無能と才媛の姫の恋」
ハイリヒ王国での晩餐会。
クラスメイト達はなんだかんだ言って食事や貴族に褒められたりで悪い気はしていないみたいだ。
「そんな場合じゃないと思うんだけどな。」と呟きながらハジメは一人になるためテラスの方へと向かった。
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テラスから見えるハイリヒ王国の街並みはとても綺麗だった。
人工的な明かりが少なく、月とほんの少しの明かりのみで照らされる景色。
地球の田舎での風景と何ら変わらないんだなぁ・・・そんな事をハジメは考えていた。
「お一人でどうされました?食事がお口に合いませんでしたか?」
そんな風に一人佇んでいたハジメに声をかけてきたのは、リリアーナ・S・B・ハイリヒ。
この国の第一王女だった。晩餐会前に謁見の間で一度皆に自己紹介をされていたのでハジメも覚えていた。
頭の上にちょこんと乗ったティアラ、月の光に照らされ輝くような金髪、決して派手ではないが地味でもないドレス姿。
この世界の10人が見れば10人共、彼女を王女と間違わないであろう容姿。
「リリアーナ王女様。いいえ、食事は美味しかったですよ。ただ一人になりたかっただけです。」
香織や雫という美少女達を見ていたハジメですら少し照れてしまいながらの返答。
「私、お邪魔してしまいましたか?」とちょっと悲しそうな顔で言うリリアーナ姫。
「邪魔だなんてとんでもない!考え事とあの空気に馴染めなかったのです。」と焦るハジメ。
「考え事・・・ですか?」とリリアーナ姫が疑問顔で聞いてくる。カワイイ。
「ええ。ここは僕達がいた世界とはやっぱり違うんだと実感したり・・・そんな所です。」
「・・・大変申し訳無いとは思っています。少しお話を聞いただけですが皆様と私の年齢は殆ど変わらないとか。」と何処か苦しそうに、悔しそうに言うリリアーナ姫。
「リリアーナ王女様が謝られる事では・・・いえ、ありがとうございます。王女様は優しい方なのですね。」
「ぇ?」(ちょっぴり頬を赤く染めたリリアーナ姫。)
「僕達は異世界から戦う為に呼び出された。そう説明を受けてます。そんな僕達の為にそんな表情をされ、心を痛めた言葉をかけて頂ける。優しい方だから心苦しく思われている。違いますか?」
「・・・私、王女として人を見る目はあるつもりです。でも初めてです。そこまで心を読まれる様な言葉を返して頂いたのは。」
「あ、大変失礼な事をして申し訳ありません!王女様。」と不敬な態度だったかと焦り始めるハジメ。
「怒っているわけじゃありませんよ?そうですね、王女様と呼ばれ続けるのもあれですし”リリィ”と呼んで頂く事にしましょうか?」と微笑むリリアーナ姫。
「え!それはちょっと不味いのでは!?せめてリリアーナ姫様とかであればまだしも・・・。」
「私の要望に答えては頂けないのですか?・・・悲しいです。あと貴方のお名前もこの機会に教えて下さいね?」と更に微笑むリリアーナ姫。
「僕は南雲ハジメです。・・・わかりました。公の場でない時は"リリィ"で公の場や他の人がいる時は"リリアーナ姫"で。これでいいですか?」
とやっぱり泣きそうな子と権力(?)には敵わないなとハジメは思った。
「はい!それで構いませんよ、南雲ハジメ様。これからよろしくお願いしますね?」と満面の笑みで言うリリアーナ姫。
「僕に様はいりませんし!ハジメでも南雲でも構いませんから!そこの所はお願いします、リリィ。」と半分土下座しそうなハジメ。
「皆様方は神の使徒ですし・・・わかりました。ハジメ様。これでいいですよね?」
「ありがとうございます、リリィ。そろそろ晩餐会も終わるみたいなので僕は中に戻りますね?」
「ハジメ様。今度は時間をとってゆっくり色々なお話を出来る機会を作りますので、その時はよろしくお願いしますね?」
そんなこんなで晩餐会から各自の部屋へと案内されて行く。
その裏でそんな一場面があったとは、二人以外誰も知らなかった。
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そして翌日。
訓練と座学が始まる前に全員にステータスプレートが配られた。
メルド団長や騎士団の中に・・・変装したリリアーナ姫と専従侍女のヘリーナがいた事は誰も気づいていなかった。
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ここからステータスプレートの説明。
天之川光輝が勇者でチートだったり、ハジメと愛子以外が戦闘職だったり。
メルドが色々焦ったりしつつハジメの天職について説明し始めて、
檜山達がバカにし始めて、それに流されるようにクラスメイト達の一部が便乗。
香織や雫や一部の生徒等が不快な顔をして今にも飛び出しそうな所までは原作通り変わりません。
そして、愛子先生がハジメにトドメをさすあたりまでも。
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「そこまでです!!!!」その場に響き渡る様な声に全員が驚いた。
その声をあげたのはちょっと離れた所にいた騎士甲冑を着た騎士の2人の1人だったのだから。
「見たこと無い騎士だな。所属は?」とメルドが顔を顰めながら言う。
するともう一人の騎士甲冑を着た騎士がサラリと言う。
「見たことが無い?ハイリヒ王国、王国騎士団メルド団長殿。不敬罪ですよ?」と甲冑を脱ぐ。
「ヘ、ヘリーナ?ということはまさか・・・?」と焦った声で言う。
この間、愛子先生やクラスメイト達は何が起こっているのかわかっていなかった。それはヘリーナと呼ばれた女性のメイド姿を見ても。
騎士団員達はもしや・・・と全身から冷や汗を流し始めていたのだが、それに気づいたものはいなかった。
「メルド。貴方を責める訳ではありませんが、教育係としては及第点以下ですね。」
そんな声を上げながら、もう一人の騎士も甲冑を脱ぐ。
そこにはドレスを着た金髪の女性・・・リリアーナ姫がいた。
「「「リリアーナ姫!!(王女様!?)」」」
「まだ、本格的な訓練が始まっている訳では無いですが。あまりにも醜く、常識知らずな発言が多いため口を挟ませてもらいました。」と怒りの表情を浮かべたリリアーナ姫がそこにいた。
「天之川光輝様。貴方は勇者となる立場のお方。では何故、錬成師である南雲ハジメ様への誹謗中傷を止めなかったのですか?」
「それは、南雲が非戦闘職で・・・。」何故自分が責められているか分からない光輝はそれ以上何も言えなかった。
「そして軽戦士、炎術師、風術師、槍術師である、檜山様・中野様・斎藤様・近藤様。貴方方は南雲ハジメ様を戦闘で何の役にも立たない肉壁だ、子供にも敵わない等と仰っておられましたが。本来、非戦闘職である南雲ハジメ様が戦闘に参加しなければならない理由はありません。その上「肉壁?」でしたか。非戦闘職を守るべきはずの貴方方が何故壁を必要とするのでしょうか?教えて頂けませんか?」
「「「「・・・・・。」」」」あまりにも的確な言葉と王女に対し批判的な態度を取るわけにもいかず何も言えない4人組。
「そしてそれを一部を除いて誰も止めようともしない始末。メルド、騎士団員貴方方もです。彼・彼女らは「エヒト神が召喚した使徒」であろうと訓練中は部下に変わりありません。」
「畑山愛子様から少しですが伺った限りでは、貴方方の世界にも戦争はあったのですよね?当事者ではなくても。」と冷静に怒るリリアーナ姫。
「であれば、非戦闘職・後方支援(職)が戦争をする上で「ある意味」戦闘職より大事な存在であることを学んでいるはずでは?にも関わらずあの暴言。」
「先程、南雲ハジメ様を笑っていた方々。畑山愛子様を同様に非戦闘職だと笑い飛ばして下さい。それが出来もしないなら、私の権限で命じます。笑いなさい!」
「「「「「・・・・・・・・」」」」」何も言えず、笑えもしないクラスメイト達。
「メルド!非戦闘職であるお二人をこの時点で「神の使徒」からの離脱。南雲ハジメ様は王国錬成師の下での訓練。畑山愛子様は騎士護衛の元、各地の農地周りの巡回に切り替えなさい!許可は私が取ります。並びに、檜山様達や男子生徒付き予定のメイドを男性騎士に変えなさい!これ以上問題を起こされても困ります!」と怒り心頭なリリアーナ姫が言う。
「リリアーナ様、教会の方の交渉は私がしてまいります。メルド殿、そちらもきちんと納得させて下さいね。」そう言いながらヘリーナは離れていった。
「早急に動きなさい!聞こえませんでしたか!?」とリリアーナ姫が言い放つと。
「り、了解しました!」と騎士団員達は焦った様に準備を整えていくためその場を離れていった。
「南雲ハジメ様と畑山愛子様は私と共に。メルド、きちんと教育するのですよ?」と言いながら、ハジメと愛子を連れて去っていった。
その後、香織が特に反対していたらしいが・・・あとは何故か納得の上で話は進んだ。
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それから2週間の間に、ハジメは王国錬成師の元で訓練をしつつ
ヘリーナ経由で何度か(2日に1回は)リリアーナ姫と会話の場を持ち、
召喚前からオタクだったハジメは、異世界の王女様に完全に惹かれていた。
リリアーナ自身も自分が王女という立場である以上「自由恋愛」が許されない事は理解している。
それでも14歳の女の子。ハジメと色々話しているうちに、ハジメの在り方がとても好ましく。
ハジメの母親が「少女漫画」なるものを書いていると聞いた時には、
ヘリーナが止めに入るまで、ハジメから聞き出そうと迫る始末。
傍から見ても、完全に両思いな二人だった。
・・・そんな折の事である。「エヒト神の神託」の名の元に、
ハジメ達、「神の使徒」をオルクス大迷宮への実戦訓練へと行かせるようになったのは。
しかも、錬成師で非戦闘職であるハジメも同行をさせるように。との厳命付きで。
それを聞いたリリアーナは一計を案じた。
ヘリーナは勿論止めたが、恋する乙女は止まらない。
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そして、王国騎士団護衛の元。
ハジメ達は全員オルクス大迷宮のあるホルアドにいた。
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迷宮突入前日の宿での部屋割りは原作通り。
月下の下でハジメと香織の誓いが交わされるのも原作通り。
それを檜山が目撃していたのも原作通り。
そして翌日の迷宮訓練。
ハジメの近くに一人の騎士が居続けた事以外は、20階層で檜山がトラップに引っかかり、
65階層へと飛ばされベヒモスとトラウムソルジャーに襲われる所までは原作通り。
ここから、彼・彼女らの運命は大きく変わる。
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Side 優花
「あ」そんな一言と同時に私の頭部目掛けて剣が振り下ろされた。
死ぬ――そう感じた次の瞬間、トラウムソルジャーの足元が突然隆起した。
バランスを崩したトラウムソルジャーの剣は私から逸れてカンッという音と共に地面を叩くに終わる。
地面の隆起は数体のトラウムソルジャーを巻き込んで橋の端へと向かって波打つように移動していき、遂に奈落へと落とすことに成功した。
橋の縁から二メートルほど手前には、座り込みながら荒い息を吐く南雲の姿があった。
南雲は連続で地面を錬成し、滑り台の要領で魔物達を橋の外へ滑らせて落としたのである。
魔力回復薬を飲みながら倒れたままの私の元へ駆け寄ってくる南雲。錬成用の魔法陣が組み込まれた手袋越しに私の手を引っ張り立ち上がらせる。
呆然としながら為されるがままの私に、南雲が笑顔で声をかけてきた。
「早く前へ。大丈夫、冷静になればあんな骨どうってことないよ。うちのクラスは僕を除いて全員チートなんだから!」
そう言いながら自信満々で私の背中をバシッと叩く南雲をマジマジと見つめてしまう私。
そして、「うん!ありがとう!」と元気に返事をして駆け出した。
Side ハジメ
誰も彼もがパニックになりながら滅茶苦茶に武器や魔法を振り回している。
騎士アランが必死に纏めようとしているが上手くいっていない。そうしている間にも魔法陣から続々と増援が送られてくる。
「なんとかしないと……必要なのは……強力なリーダー……道を切り開く火力……天之河くん!」
ハジメは走り出した。光輝達のいるベヒモスの方へ向かって。後ろに一人の騎士が付いて居たが。
Side メルド
「ええい、くそ!もうもたんぞ!光輝、早く撤退しろ!お前達も早く行け!」
「嫌です!メルドさん達を置いていくわけには行きません!絶対、皆で生き残るんです!」
「くっ、こんな時にわがままを……」メルドは苦虫を噛み潰したような表情になる。
この限定された空間ではベヒモスの突進を回避するのは難しい。
それ故、逃げ切るためには障壁を張り、押し出されるように撤退するのがベストだ。
しかし、その微妙なさじ加減は戦闘のベテランだからこそ出来るのであって、今の光輝達には難しい注文だ。
「光輝!団長さんの言う通りにして撤退しましょう!」八重樫は状況がわかっているようで光輝を諌めようと腕を掴む。
「へっ、光輝の無茶は今に始まったことじゃねぇだろ?付き合うぜ、光輝!」坂上・・・コイツは駄目だ。
「状況に酔ってんじゃないわよ!この馬鹿ども!」
「雫ちゃん……」苛立つ雫に心配そうな香織。
さっさと撤退してもらうためなら殴り飛ばすのもやむを得ないか、そんな事をメルドが考えた時。
一人の男子が光輝の前に飛び込んできた。後ろに一人の騎士を連れて。
「天之河くん!」「なっ、南雲!?」「南雲くん!?」
驚く一同にハジメは必死の形相でまくし立てる。
「早く撤退を!皆のところに!君がいないと!早く!」
「いきなりなんだ?それより、なんでこんな所にいるんだ!ここは君がいていい場所じゃない!ここは俺達に任せて南雲は……」
「そんなこと言っている場合かっ!」
「あれが見えないの!?みんなパニックになってる!リーダーがいないからだ!」光輝の胸ぐらを掴みながら指を差すハジメ。
その方向にはトラウムソルジャーに囲まれ右往左往しているクラスメイト達がいた。
「一撃で切り抜ける力が必要なんだ!皆の恐怖を吹き飛ばす力が!それが出来るのはリーダーの天之河くんだけでしょ!前ばかり見てないで後ろもちゃんと見て!」
「聖絶!!」ハジメの後ろに居た騎士がそう唱えた。
Side ハジメ
「メルドを除いて全員撤退しなさい!」そう言ったのは僕の後ろに付いてきていた騎士。
「何を言ってるんだ!?」とまだ撤退しない光輝。
「彼女の言うことに従って!むしろ邪魔なんだよ!さっさとクラスメイト達を助けに行けよ!」と口調荒く叫ぶハジメ。
「カイル・イヴァン・ベイル!その4人を連れて下がりなさい!命令ですよ!」と叫ぶ女騎士。
その声で誰なのか理解出来たメルドと騎士達。
「了解です、ご武運を!」と4人を引きずるように撤退していく騎士達。
「待って下さい!南雲君は・・・!」と香織が言うが誰も聞く耳を持たない。
そして、撤退していく光輝達と騎士達。
Side リリアーナ
「団長、一度だけでいいです。アイツの攻撃をいなしてください。」
「一度だけでいいのか?」
「動きが止まったところを僕が錬成で抑え込みます。その間に攻撃なりされたら彼女が・・・リリィが結界を張ってくれる筈です。」
「やっぱり、あの命令でバレちゃってたのね。」と照れ隠しのようにハニカミ笑いしながらリリアーナ姫が。
そして、メルドのみに聞こえる声で。
「メルド。これは最後の命令です、よく聞きなさい。この作戦が無事に成功して全員帰還できれば良し。仮に失敗する場合、十中八九ハジメ様をよく思っていない檜山様達の仕業でしょう。その場合、迷宮内で始末しなさい。王国へ連れ帰ってしまえば処分出来ずに、貴方のみが処分されます。で、貴方はウルかフューレンの街へと姿をくらましなさい。わかりましたか?」
「了解です、姫様。あとは頼むぞ、坊主。」
「結界をときます!」その声と同時に突っ込んでこようとするベヒモスに、
「吹き散らせ、風壁!」そう言いながら回避するメルド団長。
「グルッルウウァ」地面に頭部をめり込ませながら唸るベヒモス。
「---錬成っ!」
錬成で拘束されたのを確認して、撤退していくメルド団長。
「リリィも撤退して・・・くれはしないんだよね?」と諦めつつも尋ねるハジメ。
「勿論です。魔法の一斉攻撃時が一番、ハジメ様が危険なのですから。」とリリアーナ姫。
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そして光輝達はトラウムソルジャーを排除し、階段前を確保する。
合流したメルドと共に。
ここで香織が雫がハジメと騎士の一人がベヒモスを抑えているから撤退出来たと言う所は変わらず。
そして、ハジメの作戦という名の魔法での一斉攻撃が始まる。
檜山の気持ち悪い妄想からの裏切りも含めて・・・。
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Side ハジメ
数十度目の亀裂が走ると同時に最後の錬成でベヒモスを拘束する。同時に、一気に駆け出した。
ハジメが猛然と逃げ出した五秒後、地面が破裂するように粉砕されベヒモスが咆哮と共に起き上がる。
その眼に、憤怒の色が宿っていると感じるのは勘違いではないだろう。鋭い眼光が己に無様を晒させた怨敵を探し……ハジメを捉えた。
だが、次の瞬間、あらゆる属性の攻撃魔法が殺到した。
夜空を流れる流星の如く、色とりどりの魔法がベヒモスを打ち据える。ダメージはやはり無いようだが、しっかりと足止めになっている。
いける!と確信し、転ばないよう注意しながら頭を下げて全力で走るハジメ。
すぐ頭上を致死性の魔法が次々と通っていく感覚は正直生きた心地がしないが、チート集団がそんなミスをするはずないと信じて駆ける。
ベヒモスとの距離は既に三十メートルは広がった。
思わず、頬が緩む。
しかしその直後、ハジメの表情は凍りついた。
無数に飛び交う魔法の中で、一つの火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。
……ハジメの方に向かって。
明らかにハジメを狙い誘導されたものだ。
(なんで!?いやリリィの言っていた通りか。)
咄嗟に踏ん張り、止まろうと地を滑るハジメの眼前にその火球は突き刺さるはずだった。
が、もうひとりその場には居たのだ。そうリリアーナである。
彼女自身も魔力がほぼ枯渇しており、結界を張るだけの魔力は無かった・・・ので。
身を挺してハジメの壁となり鎧の上から火球を喰らい、ハジメの後方数メートルへと吹き飛ばされた。
それを見て、ハジメは後方へと戻り兜の取れたリリアーナを背負い再び皆の元へ駆け出した・・・が。
直後、怒りの全てを集束したような激烈な衝撃が橋全体を襲った。
ベヒモスの攻撃で橋全体が震動する。着弾点を中心に物凄い勢いで亀裂が走る。メキメキと橋が悲鳴を上げる。
そして遂に……橋が崩壊を始めた。
度重なる強大な攻撃にさらされ続けた石造りの橋は、遂に耐久限度を超えたのだ。
「グウァアアア!?」
悲鳴を上げながら崩壊し傾く石畳を爪で必死に引っ掻くベヒモス。
しかし、引っ掛けた場所すら崩壊し、抵抗も虚しく奈落へと消えていった。ベヒモスの断末魔が木霊する。
ハジメもなんとか脱出しようと這いずるが、しがみつく場所も次々と崩壊していく。
(ああ、ダメだ……リリィだけでも・・・。)
そう思いながら対岸のクラスメイト達の方へ視線を向けると、
香織が飛び出そうとして雫や光輝に羽交い締めにされているのが見えた。
他のクラスメイトは青褪めたり、目や口元を手で覆ったりしている。メルド達騎士団の面々は悔しそうな表情でハジメを見ていた。
そしてハジメの足場も完全に崩壊し、ハジメは仰向けになりながらリリィと共に奈落へと落ちていった。
徐々に小さくなる光に手を伸ばしながら……
Side メルド
「離して!南雲くんの所に行かないと!約束したのに!私がぁ、私が守るって!離してぇ!」と泣き叫ぶ香織。
「・・・アラン・カイル・イヴァン・ベイル・・・。後の事は頼んだぞ?」と何かを決心したメルド。
「「「「団長?」」」」と4人の騎士が疑問の声を投げかけた・・・その時には・・・。
「姫の命令に従うのが私の団長としての最後の誇りだ。」そう言いながら、檜山の首と胴を切り離し奈落の底へと突き落とした。
「「「「キャァアアアアア!」」」」と悲鳴を上げるクラスメイトの女子達。
「メルド団長!何故檜山を!」と憤慨する光輝。それを抑えるアラン以外の騎士。
「当然だろう?南雲ハジメだけでなくリリアーナ姫すら奈落の底へと突き落としたのだから。」と静かに怒るメルド。
「「「「「「え?」」」」」カイル・イヴァン・ベイル以外の騎士とクラスメイト達が驚く。香織でさえも。
「気づいていなかったのか?この場で結界を張れるのは谷口だけで、訓練して辻・白崎・天之川ぐらいしか居ないのにその誰も張ってない結界が張られていたのを。」
「姫様は予見していたぞ?坊主を良く思っていない連中があのタイミングで妨害するのを。そして勇者がそれを許して王国へ連れ帰ってしまえば処罰できなくなる事を。」
「だから、私が姫様の命令に従い処罰を下した。私はこれから姫様と坊主を探すために別の進路で進む。アラン達お前らが、彼・彼女らを無事に地上へと帰還させろ。これが私の最後の命令だ。」
「・・・了解しました、団長。皆様撤退しますよ!」騎士達がそう言うと渋々付いていく生徒達。
光輝や一部の生徒達は何か言いたげだったのだが、何も言えず長い階段を上りながら撤退していった。
「これで・・・良かったのですよね?姫様。助けてやれなくて済まなかった・・・坊主。」と呟きながら先行した騎士達と合流しない様にメルドは姿をくらました。
甘いお話になってた・・・?でしょうか。
初日~オルクス行くまでにリリアーナフラグが建っていないと、
原作通り帝国崩壊(ハウリアの乱)までフラグが建つ暇がありません。
この流れでストーリーが進んだ場合、リリアーナは残念王女化しませんが・・・。
地上に残された勇者一行の扱いどうなるでしょうね?
檜山君。彼にはその場でメルド団長にKillしてもらいました。
まぁ無能扱いされてても同胞で神の使徒であるハジメ+王女殺害ですからね?(実際は生き延びます)
その後は原作通りにはもう行きませんよね。
王国転覆フラグ折れますし、帝国でのフラグも折れます。
ハジメ以外の勇者一行が奴隷の如き扱いには神の使徒扱いであればならない筈。
メルド団長が姿をくらました先がフューレンでも、ウルでも。
どちらにしても、ウル以降からの展開が完全に変わるのでそれ以降は無理ですね。
・・・こんな無理矢理感満載でしたけどリリアーナ本妻ルート書くなら、
こんな感じしか浮かばなかったんです。申し訳ありませんm(__)m