こんなありふれもありえた   作:ラプラスの悪魔

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エヒトによってトータスに召喚された、
クラスメイトと畑山先生達。


彼らと共に、原作におけるハジメ+嫁'S+遠藤くんだけが

トータスにおいてエヒトを倒し日本に無事帰った後の
経験と能力を持っていた状態で別に召喚されてたらどうなる?と
思い書いてみました。


(平行世界でも別の確率世界線でも時間のねじれでもいいや・・・想像にお任せします・・・おぃ)


※最初は、ハジメも嫁'Sも全員がアーティファクトで姿を見せて無いという設定でございます。

(ユエ・シア・ティオ・レミア・リリアーナ・おまけにミュウ)のトータス勢は・・・どう登場させようかしら?(考えとけよw


本文内の【名前:セリフ】内の会話は念話かアーティファクトで上記の人にしか聴こえないものと思ってください・・・。

一応、ハジメ君と嫁'S(召喚組)は同時に存在することになるので、
姿を現して【】を外しても「名前:セリフ」が別に召喚された組、「」のみが
通常召喚組と思って読んでいただけると。

※6/9 救済要素や大幅な変更等をしました。
誤字、脱字などの修正も行いました。
文章自体も一部変更、修正してます。
流れと結末は変わってません。

6/30 後書きのクロスオーバー構想を取り消し線化+活動報告へのリンクを貼りました。


case3 「断罪の日」

この広間にいるのはハジメ達だけではなく少なくとも三十人近い人々が、

ハジメ達の乗っている台座の前にいたのだ。

まるで祈りを捧げるように跪き、両手を胸の前で組んだ格好で。

 

 

彼等は一様に白地に金の刺繍がなされた法衣のようなものを纏い、傍らに錫杖のような物を置いている。

その錫杖は先端が扇状に広がっており、円環の代わりに円盤が数枚吊り下げられていた。

 

その中の一人の老人と表現するには纏う覇気が強すぎる、ジジイ(笑)が

 

 

「ようこそ、トータスへ。勇者様、そしてご同胞の皆様。歓迎致しますぞ。私は、聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者。以後、宜しくお願い致しますぞ」

 

 

と言って、説明のために大広間へと案内した。

 

 

【香織:ハジメ君、これって、まさか過去のトータスだよね?】

【雫:どう考えても、召喚された直後の時よね。】

【ハジメ:さて、どうするか。】

(といつつトータス中にクロスビットを飛ばしてます、この後の展開のため。)

【遠藤:さっさとエヒト倒して帰りたいかなぁ・・・どうする南雲?】

【愛子:相変わらず私、残念な扱いされてますね(涙】

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

ここからメイドさんが出てくるまでは変わらないので割愛。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「さて、あなた方においてはさぞ混乱していることでしょう。一から説明させて頂きますのでな、まずは私の話を最後までお聞き下され」

とイシュタルが説明を始めた。

 

 

・この世界はトータスと呼ばれている。

・トータスには大きく分けて三つの種族がある。人間族、魔人族、亜人族である。

・人間族は北一帯、魔人族は南一帯を支配しており、亜人族は東の巨大な樹海の中でひっそりと生きているらしい。

・人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている。

・戦力は拮抗し大規模な戦争はここ数十年起きていないらしいが、最近、異常事態が多発しているという。それが、魔人族による魔物の使役だ。

・魔物とは、野生動物が魔力を取り入れ変質した異形のことだと言われているが、正確な魔物の生体は分かっていない。そして、それぞれ強力な種族固有の魔法が使えるらしく強力で凶悪な害獣とのことだ。

・で、数の暴力で人間族は滅びの危機を迎えているから助けてください(エヒトさまぁ!)

 

 

という訳だ。

 

 

 

「あなた方を召喚したのは〝エヒト様〟です。

人間族が崇める守護神で、聖教教会の唯一神にしてこの世界を創られた至上の神。

このままでは人間族は滅ぶと、それを回避するためにあなた方を喚ばれた。

あなた方の世界はこの世界より上位にあり、例外なく強力な力を持っています。

召喚が実行される少し前に、エヒト様から神託があったのですよ。

あなた方という〝救い〟を送ると。あなた方には是非その力を発揮し、

〝エヒト様〟の御意志の下、魔人族を打倒し我ら人間族を救って頂きたい」

 

 

どこか恍惚とした表情を浮かべているイシュタル。

 

【香織:相変わらずイシュタルさんのトリップぶり気持ち悪い。】

【雫:香織、もうちょっとオブラートに。・・・いや確かに否定できないけど】

【遠藤:いや、あの時は混乱してたからだけど・・・これは流石に無理だよなぁ】

【愛子:あはは・・・・(笑うしか無いですね、他に何も言えない)】

【ユエ:・・・これが、愛子とティオが爆殺したヤツなの?愛子、ティオGJ!】

【シア:本当に気持ち悪いですぅ〜。見てくださいよ、鳥肌が・・・。】

【ティオ:教会爆破の件は愛子の心にダメージ与えてるから控えておくれ、ユエ】

【リリアーナ:何で、こんな教皇を支持してたんでしょうね、当時の私は・・・】

【ミュウ:気持ち悪い笑顔なの!〝どんなぁー・しゅらーくぅ〟でやっちゃっていいなの?】

【レミア:あらあら・・・ミュウったら・・・うふふ。】

【ハジメ:さて、天之川の暴走から香織達が同意して全員戦争参加になるタイミングに合わせて舞台を始めようか】

 

 

(先程飛ばしたクロスビットで、既にトータス中の空一面に現在の状況が生中継されている。が、ここにいる狂信者と召喚された面々は知らない。)

 

 

 

「ふざけないで下さい!結局、この子達に戦争させようってことでしょ!そんなの許しません!ええ、先生は絶対に許しませんよ!私達を早く帰して下さい!きっと、ご家族も心配しているはずです!あなた達のしていることはただの誘拐ですよ!」と怒る愛子先生。

 

 

 

それに対して、イシュタルは言い放った。

「お気持ちはお察しします。しかし……あなた方の帰還は現状では不可能です。」

 

 

「ふ、不可能って……ど、どういうことですか!? 喚べたのなら帰せるでしょう!?」と愛子先生が叫ぶ。

 

 

 

「あなた方を召喚したのはエヒト様です。

我々人間に異世界に干渉するような魔法は使えませんのでな、

あなた方が帰還できるかどうかもエヒト様の御意思次第ということになりますな。」

 

 

 

「うそだろ? 帰れないってなんだよ!」

 

「いやよ! なんでもいいから帰してよ!」

 

「戦争なんて冗談じゃねぇ! ふざけんなよ!」

 

「なんで、なんで、なんで……」とパニックになる生徒達。

 

 

未だパニックが収まらない中、光輝が立ち上がりテーブルをバンッと叩いた。

その音にビクッとなり注目する生徒達。

光輝は全員の注目が集まったのを確認するとおもむろに話し始めた。

 

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。

この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。

それを知って、放っておくなんて俺にはできない。

それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん?どうですか?」

 

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

 

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

 

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

 

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」と ギュッと握り拳を作りそう宣言する光輝。

無駄に歯がキラリと光る。

 

 

 

【ハジメ:やっぱ、気持ち悪いなこの天之川。】

【雫:・・・言わないであげて、ハジメ。気持ちはわかってしまうけど。】

【香織:私はこの時点でもハジメ君の事しか見てなかったんだなぁ(照】

 

 

 

同時に、彼のカリスマは遺憾なく効果を発揮した。

絶望の表情だった生徒達が活気と冷静さを取り戻し始めたのだ。

光輝を見る目はキラキラと輝いており、まさに希望を見つけたという表情だ。

女子生徒の半数以上は熱っぽい視線を送っている。

 

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

 

「龍太郎……」

 

「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

 

「雫……」

 

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

 

「香織……」

 

 

いつものメンバーが光輝に賛同する。

後は当然の流れというようにクラスメイト達が賛同していく。

愛子先生はオロオロと「ダメですよ~」と涙目で訴えているが光輝の作った流れの前では無力だった。

 

 

 

【ハジメ:みんな準備はいいか?さっさとここからエヒト討伐して元の世界に戻れるように作戦開始するぞ?】

 

【ハジメ:まず、ユエ・シア・ティオで "アルヴ"を技能封印して拘束して拉致って来てくれ。そのためのアーティファクトも渡す。

そして、俺・香織・雫・愛子・リリアーナと遠藤でこの場を制圧する。

レミアとミュウはそのまま姿を隠したまま〝触るな、この変態!〟で身を守っててくれ。 アルヴを無力化してここを制圧したらそのままエヒトを殺りに行く。】

 

 

【嫁'S+遠藤:了解!(よ、です、ですぅ、なの!、なのじゃ。)】

 

 

 

「ハジメ:はいはい、茶番はそこまでにしとけ。イシュタルと天之川。」

 

 

 

(このセリフと共にアルヴ拉致組はユエの天在で魔王城へ)

 

 

「雫:そこから一歩も全員動かないようにね・・・。斬るわよ?」

 

 

「香織:斬りきれなくても大丈夫だよ雫ちゃん!私が分解しちゃうから!」

 

 

「愛子:一応、手荒なことはちょっと・・・。抵抗されたら仕方ありませんが。」

 

 

「リリアーナ:これを何とかしないと、王国は良くなりませんね・・・。」

 

 

(遠藤:相変わらず俺は普通に認識されないのなぁ・・・、

多分暴れるだろう檜山達と天之川とイシュタルと狂信者を無力化しとくか。)

 

 

 

「南雲ぉ?!それに雫と香織と愛子先生まで・・・?あれ何で二人?」と天之川。

「え?私があそこにもあれ?あれ?」と愛子先生。

「南雲君と香織と私と愛子先生が、もう一人?何が起こってるの?」と雫。

「南雲君と私が二人?(あっちのハジメ君もカッコいいなぁ・・・)」と香織。

「え、白髪眼帯に義手って凄い厨二っぽいのが・・・僕?」とハジメ。

「え?何が起こってるの訳がわからない・・・」とクラスメイト達。

 

 

 

「ハジメ:まず、イシュタルとその狂信者共。お前らは戦争も人殺しも経験したこともない、異世界の人間を「エヒト様が召喚した神の使徒」として都合よく利用するつもりだっただろう?

戦争に参加しなければハイリヒ王国でも面倒をみないで放り出すつもりで。

否定や無駄な事は言う必要はない、全てわかっているからな。」

 

 

「ハジメ:そして、そこの勇者(笑)の天之川。お前がやった行動は異世界に来て不安になっているクラスメイトへの「殺人教唆」だ。

愛子も言っていたな?「戦争に参加させるなんて許さない!」と。戦争ってのは、人と人の殺し合いでしか使わない名称だ。

謀略・罠・騙し合い何でもありなのが戦争だ。

・・・お前に人が殺せるのか?

そして、それはお前にとって「正しいこと」なのか?

勿論、元の日本でも直接の殺人・幇助並びに教唆は殺人罪と同罪だ。

ああ、イシュタルと同様反論は必要ない。お前には出来ないし責任も取れないとわかっているからな。」

 

 

「な!・・・何を!」とイシュタルと天之川が言った瞬間には、

 

 

遠藤によって狂信者共々無力化されていた。

 

 

 

「ハジメ:そしてこの映像を見ている、

ハイリヒ王国の国民と王エリヒド・S・B・ハイリヒ!

ヘルシャー帝国の国民と皇帝ガハルド・D・ヘルシャー!

フェアベルゲンのアルフレリック・ハイピスト並びに長老集!

ガーランド魔王国のフリード・バグアー・並びにその部下共!

その他の各国領主や町長や責任者や他種族のものもよく聞け!」

 

 

 

「え?は?ん?なに?意味分かんない」と混乱しているクラスメイト達と愛子先生。

 

 

 

「ハジメ:このトータスという世界はもう間もなく滅びる。

理由は邪神エヒト並びにその眷属である魔人族の王を名乗ってるアルヴヘイトのせいだ。エヒトはこの世界で人間族・魔人族・亜人族を使った戦争というゲームをしているに過ぎない。どちらが勝とうとも負けようともどうでもよく、時間を掛けてまたやり直す。

その繰り返しをずっとしてきたに過ぎない。

 

 

と、言われても口でこう言っただけじゃ信用は出来ないよな?

だから今から、こちらを見てる映像とは別の映像を見せてやる。

もちろんトータス中だけじゃなく、ここにいる全員にもな。」

 

 

 

そうして流された映像はかつての魔王城での戦い。

ミュウやレミア・クラスメイト・愛子やリリアーナが人質に取られて

ハジメや雫や香織や鈴や龍太郎やティオやシアが必死にユエを取り戻すための決死の戦い。

そして、エヒトが語る、今度は異世界で遊んでみようとい地球を標的とした発言。

並びに、アルヴが語る三日後の「神山」からの使徒の軍勢の召喚してこの世界の生き物を皆殺しにする発言。

勇者(笑)な光輝がフリード・恵里・魔人族と共に「神域」へと消えていく。

そして、ユエを奪われたハジメによる映像アルヴの存在の抹消。

 

 

そこで映像は終わった。

 

 

「ハジメ:これが、この世界の真実だ。今の映像だけじゃ信じられないって奴もいるだろう?だからこれからさらなる証拠を見せてやる。」

 

 

 

(と、そこに無力化・並びに拘束されたアルヴがユエ・シア・ティオと現れる。)

 

 

「香織:動かないでね、アルヴヘイトさん。」

「雫:動いても構わないわよ?どちらにしても香織による分解か私による存在の切断か、 ハジメによる存在の抹消。そのどれかによって消されるだけだから。」

「愛子・リリアーナ:抵抗してもしなくても同じですけど・・・ね?」

 

 

 

そして何も言葉を発することも出来ずアルヴという神の一柱は原作通り、

存在の否定という概念でトータスいや世界から消え去った。

 

 

 

「ハジメ:もちろんこの映像をエヒトも見ている筈だ。今から俺たちが邪神エヒトをこの世界から抹消してくる。その映像もそのまま流すので見てくれて構わない。」

 

 

そう言ってハジメは〝導越の羅針盤〟とクリスタルキーを使って、「神域」へのゲートを開いた。

そのゲートに入っていく、ハジメ・ユエ・シア・ティオ・雫・香織そして遠藤。

(流石に神と戦う力は無い愛子・レミア・リリアーナ・ミュウはお留守番)

 

 

神域での戦いはまぁ長くなりそうなので割愛。

 

 

とりあえずハジメさんの一人軍隊と

雫の望むもの切断能力と

香織の使徒化による分解能力並びに〝襲奪の聖装〟と〝回天の威吹〟と

ユエの魔法に関するチートっぷり(概念魔法含む)と

ティオの黒神龍化無双と

シアのバグウサギによる物理的な排除と

遠藤のアビスゲート卿(対魔王戦:深度Ⅴ+元からのステルス無双)で

神の使徒やその他の魔物等などがあっさりと倒されたというだけ。

 

 

そしてエヒト自体も「神殺しの魔王とそのチート嫁+さりげなく人類最強」によって

あっさりと動きを封じられ、魂もその存在も「神域」すらも世界から抹消された。

ついでにトータスの方にいた神の使徒もあっさり消されてます。

 

で、無事元の場所(教会の総本山)に戻ってきた。

 

 

 

「ハジメ:これでこの世界も、地球も何の問題もなく続いて行く。

あとはこのトータスの住人であるお前ら自身の選択だ。

魔人族と争うも人間同士で殺し合うも、亜人を迫害し続け滅びの道を辿るも、共存の道を歩んで協力しあい生きていくも、好きにしろ。」

 

 

「リリアーナ:邪神は消えました。これから先は人が自ら選択して未来を進まなければならないのです。ハジメさんの言う通りどう生きていくかその真価が問われるのです。」

 

 

「雫・香織・愛子:あ、でも流石に信仰してたものが何も無くなったというのは良くないので。邪神エヒトへの反逆者と言われていた、本来はエヒトからの支配の解放者ミレディ・ライセンさんが貴方達の行く末を見守ってくれてるのでそこは安心してください。」

 

 

(そのセリフと同時にユエとシアがライセン大迷宮から、ミレディを拉致してきた)

 

 

「え?ぇ?あのクソ神消えたの?マジ?え?も~最高だよ君たち♪

このミレディ・ライセンちゃんが花丸あげちゃうぞ♪嬉しいでしょ?うりうりぃ♪」

と煽りつつも笑顔なニコちゃんゴーレムなミレディ。

 

 

 

「ハジメ:ああ、シア・ティオ・レミア・ミュウ・リリアーナそしてユエは

この世界にも別に存在しているはずだが、どんな選択の結果になろうと

俺の側に居ないことは許せないので、こちらの世界からも消えて(一緒に来て)もらう。」

 

 

 

「ハジメ:という訳でトータスは救われたので映像はここまで。」

 

 

 

という発言の後、この世界のシア・ティオ・レミア・ミュウ・リリアーナ・ユエは

召喚された本来のハジメの世界のハジメの家へと送られた。

(魔王ルートたどった状態の記憶と能力をもった状態に書き換えられた上で。)

 

 

と、同時に。

 

 

「ハジメ:ミレディ・ライセン。相変わらずウザイけど、あなたに敬意を。

幾星霜の時を経て、尚、傷一つないその意志の強さ、紛れもなく天下一品だ。

オスカー・オルクス。ナイズ・グリューエン。メイル・メルジーネ。ラウス・バーン。リューティリス・ハルツィナ。ヴァンドゥル・シュネー。

あなたの大切な人達共々、俺は決して忘れない。頑張ってくれ世界の守護者。」

 

 

「ユエ:……ん。なに一つ、あなた達が足掻いた軌跡は無駄じゃなかった。これからは守護者として頑張って。」

 

 

 

「ハジメ+嫁'S:貴方達の望んだ自由な意志の下に生きていける世界をよろしく!」

 

 

 

ミレディに世界を監視するためのアーティファクトや、天罰的な行動のためのバルスヒュベリオン改・その他干渉するためのアーティファクトや神水や魔力タンク等諸々の支援をしつつ、ライセン大迷宮へ送り返した。

 

 

 

 

「ハジメ:で、だ。この世界は無事救われた訳だが。

この場にいる狂信者どもは流石に生かしておくわけにはいかないよな?

お前らはエヒトの名の元にやりたい放題やってきたわけだろ?この豪華な装飾やその服装を見れば誰でもわかる。この意見に反対な人は?」

 

 

「嫁's全員+ミュウ:異議なし!(よ、なの、ですぅ)」

 

 

「ハジメ:はい、満場一致で狂信者共にはエヒト達同様に存在を抹消させてもらいます。(導越の羅針盤を使いながらエヒトの狂信者を一塊に集めて、ポイッとな。)」

 

 

 

給仕に来ていたメイドさん達は何が起こってるか分からないまま真っ青な顔をしてガクガクブルブルしているか、または気絶していた。

 

 

 

あとはこの場に残っているのは、召喚されたクラスメイトと達と愛子先生だけ。

 

 

流石にやることは終えて邪魔されない状況になったので拘束は解除されている。

 

 

 

そう、エヒトを排除しアルヴを排除し狂信者共を排除し、この世界の住人に自由な意思の下で生きていけるという部分は、

自分たちや本来のハジメ達が再度召喚されないためや過去(?)に関わった人達が不遇な想いをしないための余談でしかない。

 

 

 

 

『"本題はここからなのだ!"』

 

 

 

 

そう、ハジメ・香織・雫という地球勢の"断罪"はここから始まるのだ!

 

 

 

「ハジメ:俺たちも自分たちの本来居た場所にさっきの手段で(クリスタルキー)帰れるし、お前たち全員を元の地球に返すことも出来る。」

 

 

 

魔王様なハジメがそう言った瞬間、今まで何が起こってるかわからず居たクラスメート達は、

 

 

「ホントに帰れるのか?」

「マジでか!?よくわかんないけど嬉しいよ!」

「南雲君?でいいのかわからないけど、ありがとぅ・・・」

 

 

とある者は喜び叫び、ある者は泣きながら感謝の声をあげた。

 

 

 

「ハジメ:話は、最後まで聴くように。

返すことも出来ると言った。が、 このまま全員そのまま返すことは出来ないし、しない。」

 

 

「ハジメ:これからする話を終えた後に、俺が指定する者以外の全員のこの世界で得た能力や技能は一切使えなくする。 これは、エヒトによって召喚されたときに「言語理解」という異世界でも日本でも通用する技能も含めてだ。そして、トータスに召喚されたという記憶も消させてもらう。

 

 

さらに、今から名前を告げる者は元の世界へと送り返しはしない。

 

 

 

 

 

 

 

心の準備はいいか?今から言うぞ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天之川光輝!中村恵里!檜山大輔!斎藤良樹!近藤礼一!中野信治!この6人だ!」

 

 

 

 

 

 

「何でだよ!元の世界に戻してくれよ!」と小悪党4人組が叫ぶ。

 

 

「何で、僕が・・・?」と恵里。

 

 

鈴がどうして?という顔で恵里とハジメを見ている。

 

 

「どういうことだ!出来るならやってくれよ!それはおかしいだろ!?」と天之川。

 

 

龍太郎と召喚された雫と香織も不思議そうな顔で魔王なハジメを見ている。

 

 

 

「ハジメ:それは今から映像を見せながら説明してやる。

これが俺たちが居なかった場合に起こっていたことだ。よく見ておけ。」

 

 

 

まず第一に、映されたのは檜山達4人が

 

 

「訓練」と称して「無能」と蔑まれたハジメを集団で暴行していたシーン。

 

 

(これには、召喚されたクラスメート達も愛子先生も嫁's達も渋い顔や怒りの顔になっていた。)

 

 

そして、ホルアドへと場面は移り、オルクス大迷宮での実践訓練が始まる。

 

 

その前日に、「月下の下で」ハジメと香織が誓いをしているシーンが映され、

(ハジメと香織は顔を真赤にして照れていた。)

 

 

その後、香織がハジメの部屋を出て自室に戻っていくその背中を無言で見ながらその表情がとても醜く歪んでいた檜山の映像が映された。

 

 

 

そして、大迷宮の二十階層でのトラップに引っかかり。

 

 

ベヒモスのいる階層へ強制転移させられ、天之川の自意識過剰と団長の指示に従わない結果、クラスメイト達は恐怖故にバラバラに戦い、園部優花は死にかけた所をハジメに救われ、最終的にはハジメがベヒモスを錬成で抑え込む間に全員撤退させるというシーンへと映像は進んでいった。

 

 

そしてハジメの決死の行動のおかげで全員が無事撤退でき、団長の指示の下ハジメの撤退を援護させるための一斉魔法攻撃でハジメも逃げ切れた。

 

 

・・・と思われた瞬間、

 

 

歪んだ顔をした檜山が放った火球がクイッと軌道を僅かに曲げたのだ。

 

 

……ハジメの方に向かって。

 

 

その結果、ハジメは橋の崩落と共に奈落の底へ落ちていった。

 

 

普段の穏やかさが見る影もないほど必死の形相。いや、悲痛というべきかもしれない表情で、

「離して!南雲くんの所に行かないと!約束したのに!私がぁ、私が守るって!離してぇ!」と泣き叫ぶ香織。

を押さえる雫と光輝。

 

 

そこでオルクス大迷宮での映像は終わった。

 

 

 

「ハジメ:わかったか?檜山を元の世界に返す訳に行かない理由が。この阿呆は、香織が俺を気にしている事が気に食わず、あまつさえ自分が招いた危機を助けてもらった相手を殺そうとした。実際は生きててその後が今の俺なんだが。

普通はあんな所に落ちたら死ぬよな?死んでなかったことが奇跡なんだ。」

 

 

「香織:檜山達が、気持ち悪い目で私を見てるのは気づいてなかったの。でも、私はこの後雫ちゃんとハジメ君は絶対生きてるって信じて頑張り続けたの。」

 

「雫:香織が自分の目で確認するまでは、諦めない!って言う言葉で私も信じれたのよね。」

 

(ユエ・シア・ティオ・レミア・ミュウ・リリアーナ・愛子は檜山達を射殺しそうな目で見ている)

 

 

「ハジメ:まぁそれから色々あって、各地を旅して、ユエ・シア・ティオに出会い、

ウルって街で愛子や園部達と街の人を守るってことで、戦いがあったんだが。」

 

 

そのセリフと同時に"現人神・豊穣の女神愛子"の誕生と"ウルの街の蹂躙劇"の映像が映し出されていた。

(どっちの愛子も顔を真っ赤にして両手で顔を隠すようにして俯いていた。)

 

そして、園部の「あの時、助けてくれてありがとう!(助けてもらった事を)無駄にしないから!」と、ハジメの「お前みたいなやつは死なないよ、根性があるからな。」という映像が流れた辺りで、

 

(優花は顔を真赤にしながら、ハジメをチラ見していた。)

 

 

もちろんここで清水の死亡が映されるのだが。

 

 

そこで、檜山達や天之川が声をあげた。

 

 

「何で、俺達は駄目で清水は良いんだよ!!」と睨むように狂い叫んだ。

 

 

 

「ハジメ:それは簡単な事だ。清水はオタクだ。俺と同じな。檜山達、お前らが俺を「キモヲタが~」だら何たらと誹謗中傷していただろ?

だから、清水はそれをオープンにすれば自分もイジメられる。 と考えたわけだ。

そして天之川、お前はいつも俺に「オタクで不真面目で~」と言っていたな?

学校での授業態度が悪かったのは否定しない。があの時点で俺は既に父のゲーム会社への就職か母の漫画家の手伝いをする事が決まってたんだよ。

大抵寝ていたのもその手伝いで寝不足になってただけだ。

 

だからお前らが余計なことをせず、クラスメイト達が天之川に同調して「オタク=悪」なんて雰囲気を作らなければ十分、清水はやっていけるからだよ。」

 

(と言ったら清水はなんか嬉しそうな複雑そうな顔をしていた。)

 

 

 

「ハジメ:ま、次だ。ここが重要なとこだ全員よく見ておけ。特に天之川。」

 

 

 

フューレンでミュウの救出、そしてパパになりハジメ達がホルアドへと戻った場面へ。

 

 

 

その頃光輝達が90階層で魔人族と出会い、メンバーの何人かが負傷して

何とか89階層へ逃げ、そこで遠藤だけを地上に救援を頼むよう逃したあとの醜い口論。

おかげで魔人族にバレ、メンバーはさらに窮地に。光輝も魔物に敗北。

それを見た檜山や恵里が魔人族の女の交渉にのり生き残るため裏切ろうとする。

 

が、その後ほぼ瀕死のメルド団長を見て「限界突破の終の技能」まで使って魔人族の女を倒す直前まで追い詰めた。ここで斬り捨てていれば、無事皆救われていた…

 

 

のだが。天之川はこの状況下でも「人を殺す」事ができず「話し合う」等というふざけた選択をする。

 

 

そして、その直後に回復しつつも現状把握していた魔人族の女カトレアに雫が一番覚悟と決断力があると見抜かれ、敵の集中攻撃により重症を負う。

鈴がなけなしの力での結界を香織が雫の側に行くために使い、雫の下へ辿り着いた香織と、そこで交わされる二人の言葉。

完全に諦め、死を覚悟した瞬間のハジメの登場。

 

 

そしてハジメ・ユエ・シアによる魔物と魔人族の女の蹂躙、いや処刑場。

 

 

その後ハジメ達が魔物と魔人族の女に止めを刺し、香織や雫と再会を果たし、何やかんやあった後での天之川の一声。

 

 

「なぜ、なぜ殺したんだ。殺す必要があったのか……」

 

 

その後も色々ありつつ、地上への帰還。

そして、香織の告白。

ホルアドをハジメ達一行が旅立つ。

 

 

ここで、映像は終わる。

 

 

 

「ハジメ:最初に言ったよな俺は。お前がやった行動は異世界に来て不安になっているクラスメイトへの「殺人教唆」だと。そして・・・お前に人が殺せるのか?と。

あの場面で、俺があの女を殺してなかったら、もしくは間に合って無かったら、

雫と香織や他のクラスメート達が死んでいた。

お前が「戦争に参加する!」「俺が世界も皆も救ってみせる!!」と堂々と皆の前で言ったよな?

なら、お前がクラスメイト達に殺人の罪を背負わせない為に一番最初に手を汚すべきだろう?にも関わらず、お前は殺せず、仲間を窮地に追いやった。」

 

 

「ハジメ:そんなお前に誰かを守れるわけ無いだろう?雫すら守れてないんだから。」

 

 

「な、何のことだ?」と天之川が言う。

 

 

「雫:そちらの私も私だから代わりに言うわね。私が小学生の頃、虐められて光輝に助けを求めたことがあったわよね?覚えてるでしょ?」

 

「あ。ああ」

 

「雫:貴方は私をイジメてた子達に「きっと悪気はなかった」「みんな、いい子達だよ?」「話せばわかる」と言って私をイジメないように言ったわよね?」

 

「あ。ああ」

 

「雫:あの後は思い出したくも無い程、陰湿なイジメを貴方にバレないように巧妙に受け続けたわ。

一番傷ついた言葉は、「〝あんた女だったの?〟」と言われたことかしらね?

その後も何度か貴方に助けを求めたけど、困った笑みを浮かべるだけで何もしてくれなかったわね。

多分、その後香織と出逢い何時も傍に居てくれて。

親友になれるまで仲良くなれていなければ、私は不登校か自殺でもしていたかも知れないわね?

そんなことにすら貴方は気づいていなかったでしょう?」

 

 

(どちらの雫も苦虫を噛み潰したような表情になり、どちらの香織も慈愛の笑みの様な顔で雫の手を優しく握った。)

 

 

「・・・」否定の言葉すら出ない天之川。

 

 

「雫:で、何でそんな状況でも傍にいてあげたか。

あなたが八重樫流の門下生だったからよ。ウチの流儀で門下生は家族として扱うし、家族は見捨てないというルールがあったから。あとはただ、幼馴染として。ただそれだけ。

 

さっきのエヒトがユエの体を乗っ取ったの時の映像見てたわよね?

あの後、貴方はトータスを見捨てて「自分の正しさ」を正当化するためだけに、恵里にそそのかされついて行った。

こちらでない世界では、龍太郎と私で見捨てず助けてあげたけど、流石にこちらの世界の私にそんな苦労はさせたくないわ。だから助けない。」

 

 

「香織:私もだよ。雫ちゃんが辛い目にあっても助けない。ハジメ君が助けてくれたのにハジメ君を責める。その上、私がハジメ君を好きだって言ったことすら、

 

「オタクの南雲なんか好きなわけない!学校で話しかけてたりしてたのも香織が優しいからだろ?」とか、

ふざけないでよ! たかが幼馴染でしかない貴方が私の行動を邪魔する。貴方が私の何を知ってるの!?

 

 

何をしても、「南雲が悪いんだ。皆騙されてるんだ!」だっけ。・・・貴方、何様のつもり?

ああ。極めつけは雫ちゃんが色々あって、ハジメ君を好きだって自覚して、甘えてたのを見た時には。

 

「南雲、頼むから死んでくれ!お前が居なければ何もかも上手くいっていて、香織も雫もユエ達すらも俺の傍に居て救われてた筈なんだ!」だっけ?

 

そんな訳ないでしょ?吐き気がするよ、その軽い言葉。

責任取る気も無い、唯の嫉妬から出る気持ち悪い言葉。

 

私の彼氏でも親でも家族でも無いくせに、私や雫ちゃんの感情や気持ちを勝手に決めつけないでよ。気持ち悪い!」

 

(もう一人の香織は、何故かニコニコと笑顔を浮かべ聴いていた。)

 

 

「・・・・」絶句する天之川と龍太郎。

 

 

(それを見て、傍らの雫と香織はちょっと複雑そうだが何かスッキリした様な顔をしている。)

 

 

 

「ハジメ:そして最後だ、中村。

これは『今の時点ではまだお前は悪くない』。が、

決して同情は出来ないので、お前も同様に返すわけにいかない。その一部は先程の雫の発言と最初に見せた映像にあった通り、お前が自分の欲望のためにトータスを、そしてクラスメイト達を裏切るからだ。」

 

 

 

「な、何を言ってるのかな?ボ、僕は裏切ったりなんか?」と恵里。

 

 

 

「ハジメ:言い訳は良い。この次の映像を見ろ。」

 

 

 

ハジメ達がグリューエン大火山の迷宮を攻略し、海の街エリセンでミュウとレミアの感動の再会を果たし、次いでメルジーネ海底遺跡を攻略し、

砂漠のアンガジ公国を救いホルアド方面へと向かっている所で、盗賊に襲われてる隊商があり、そこにはリリアーナがいたのだった。

 

 

そこでリリアーナから告げられた一言。

 

 

 

「愛子さんが、攫われました。」と。

 

 

 

リリアーナが王宮を飛び出しこんな所に居たのは、

王宮の空気が何処かおかしく、ずっと違和感を覚えていたらしい。

父親であるエリヒド国王は異常な程聖教教会に傾倒し、

時折、熱に浮かされたように〝エヒト様〟を崇め始めたし、

妙に覇気がない、もっと言えば生気のない騎士や兵士達が増えていったのだ。

 

そうこうしている内に、愛子が王都に帰還し、ウルの町での詳細が報告された。

その席にはリリアーナも同席したらしい。

そして、普段からは考えられない強行採決がなされた。それがハジメの異端者認定だ。

ウルの町や勇者一行を救った功績も、〝豊穣の女神〟として大変な知名度と人気を誇る愛子の異議・意見も、全てを無視して決定されてしまった。

 

当然、リリアーナは父であるエリヒドに猛抗議をしたが、何を言ってもハジメを神敵とする考えを変える気はないようだった。

まるで、強迫観念に囚われているかのように頑なだった。

むしろ、抗議するリリアーナに対して、信仰心が足りない等と言い次第に、娘ではなく敵を見るような目で見始めたのだ。

 

恐ろしくなったリリアーナは、咄嗟に理解した振りをして逃げ出した。

そして、王宮の異変について相談するべく、悄然と出て行った愛子を追いかけ自らの懸念を伝えた。

 

すると愛子から、ハジメが奈落の底で知った神の事や旅の目的を夕食時に生徒達に話すので、リリアーナも同席して欲しいと頼まれたのだそうだ。

 

愛子の部屋を辞したリリアーナは、夕刻になり愛子達が食事をとる部屋に向かい、その途中、廊下の曲がり角の向こうから愛子と何者かが言い争うのを耳にした。

何事かと壁から覗き見れば、愛子が銀髪の教会修道服を着た女に気絶させられ担がれているところだった。

 

リリアーナは、その銀髪の女に底知れぬ恐怖を感じ、咄嗟にすぐ近くの客室に入り込むと、王族のみが知る隠し通路に入り込み息を潜めた。そして、銀髪の女が異変の黒幕か、少なくとも黒幕と繋がっていると考え、そのことを誰かに伝えなければと立ち上がった。

 

 

悩んだ末リリアーナは、今、唯一王都にいない頼りになる友人を思い出した。そう、香織だ。そして、香織の傍には話に聞いていた、あの南雲ハジメがいる。と。

 

 

 

という原文ちょっとイジっただけの説明(カットしようか迷ったけど残しましたw)

 

 

~~~~~~~~~~~

 

ここから先は殆どカット出来ませんでした。

(単純コピペだけにはならないようにしてはいるのですが、これが限界でした。)

 

~~~~~~~~~~~

 

 

そして、王国についたハジメは愛子救出のため、神山に向かい「銀髪の女(神の使徒:ノイント)」と戦い、

ユエとシアはフリードと魔人族と戦い。

ティオと愛子が神敵を弱体化させる能力を妨害するため、発酵+火のブレスという大爆発で教会の総本山崩壊させ、

リリアーナと香織が、王宮に向かっている所が次々に画面が切り替わる。

 

 

ハジメは無事ノイントを倒し、ティオと愛子と合流し、

ユエとシアはフリードに大ダメージとカトレアの恋人だったミハイルを下し、

リリアーナと香織が王宮に到着した頃。

 

 

雫が"大結界が壊れた音で目を覚まし"、光輝達や他のクラスメート達を起こしまわって魔人族の侵攻だと現状確認をした頃に、

 

中村恵里が「勝手に戦うより、早くメルドさん達と合流するべきだと思う。大軍って……どれくらいかわかりますか?」とメイドのニア(雫付のメイドだった)に確認を取ると、

 

 

「……ざっとですが十万ほどかと」

 

 

その言葉を聞いて、光輝達は、緊急出動時における兵や騎士達の集合場所に向けて走り出した。すぐ傍の恵里の三日月のように裂けた笑みには気づかずに……

 

 

そして騎士たちと副団長ホセ達らと合流後、

 

 

「みな、状況は切迫している。しかし、恐れることは何もない。我々に敵はない。我々に敗北はない。死が我々を襲うことなど有りはしないのだ。さぁ、みな、我らが勇者を歓迎しよう。今日、この日のために我々は存在するのだ。さぁ、剣をとれ」

 

 

兵士が、騎士が、一斉に剣を抜刀し掲げる。

 

 

 

「始まりの狼煙だ。注視せよ」

 

 

そして…… カッ!!と 光が爆ぜた。

 

 

 

その場に居て注視していた光輝達は、それぞれ短い悲鳴を上げながら咄嗟に目を逸らしたり覆ったりするものの、直視してしまったことで一時的に視覚を光に塗りつぶされてしまった。

 

 

そして、次の瞬間……

 

 

 

ズブリッ!そんな生々しい音が無数に鳴り、

 

 

「あぐっ?」

 

「がぁ!」

 

「ぐふっ!?」と 次いで、あちこちからくぐもった悲鳴が上がった。

 

 

そんな中、雫だけはその原因を理解していた。なので、光が爆発し目を灼かれた直後も、比較的動揺せずに身構え、直後、自分を襲った凶刃を何とか黒刀で防いだのである。目が見えない状況で気配だけを頼りに防げたのは鍛錬の賜物だろう。

 

 

そして、閃光が収まり、回復しだした視力で周囲を見渡した雫が見たのは、クラスメイト達が全員、背後から兵士や騎士達の剣に貫かれた挙句、地面に組み伏せられている姿だった。

 

 

「な、こんな……」

 

 

呻き声を上げながら上から伸し倒されるように押さえつけられ、更に、背中から剣を突き刺されたクラスメイト達を見て、雫が声を詰まらせる。

まさか、全員殺されたのかと最悪の想像がよぎるが、みな、苦悶の声を上げながらも辛うじて生きているようだ。

そのことに僅かに安心しながらも、予断を許さない状況に険しい視線を周囲の兵士達に向ける雫だったが、その目に奇妙な光景が映り込み思わず硬直する。

 

 

 

「あらら、流石というべきかな? ……ねぇ、雫?」

 

 

「え? えっ……何をっ!?」

 

 

その瞬間、再び、雫の背後から一人の騎士が剣を突き出してきた。

 

 

 

「くっ!?」

 

 

 

動揺しつつも、やはり辛うじてかわす雫に、その生徒は呆れたような視線を向ける。

 

 

 

「これも避けるとか……ホント、雫って面倒だよね?」

 

 

 

「何を言ってッ!」

 

 

 

更に激しく、そして他の兵士や騎士も加わり突き出される剣の嵐。

雫は、それらも全て凌ぐが、突然、自分の名が叫ばれてそちらに視線を向ける。

 

 

 

「雫様! 助けて……」

 

 

「ニア!」

 

 

 

そこには、今まさに剣を突き立てられようとしているニアの姿があった。

雫は、咄嗟に〝無拍子〟からの高速移動で振り下ろされる剣撃をかいくぐり、

一瞬でニアのもとへ到達すると、彼女に馬乗りになっている騎士に鞘を叩きつけてニアの上から吹き飛ばした。

 

 

 

「ニア、無事?」

 

 

「雫様……」

 

 

 

倒れ込んでいるニアを支え起こしながら、周囲に警戒の眼差しを向ける雫。

 

 

 

そんな雫の名を、ニアはポツリと呟き両手を回して縋りつく。

そして、……雫の背中に懐剣を突き立てた。

 

 

「あぐっ!? ニ、ニア? ど、どうして……」

 

 

「……」

 

 

 

背中に奔る激痛に顔を歪めながら信じられないといった表情で、雫は自分に抱きつくニアを見下ろした。

 

 

ニアは、普段の親しみのこもった眼差しも快活な表情もなく、ただ無表情に雫を見返すだけだった。

 

 

雫は、そこでようやく気がついた。ニアの様子がおかしい原因は王都侵攻のせいだろうと思っていたのだが、そうではなく、彼女の様子が自分の周囲を無表情で取り囲む兵士や騎士と雰囲気が全く同じであり、別のところに原因があるのだと。

 

 

ニアは、そのまま雫の腕を取って捻りあげると地面に組み伏せて拘束し、他の生徒達にしているのと同じように魔力封じの枷を付けてしまった。

 

 

 

「アハハハ、流石の雫でも、まさかその子に刺されるとは思わなかった? うんうん、そうだろうね? だから、わざわざ用意したんだし?」

 

 

 

背中に感じる灼熱の痛みと、頬に感じる地面の冷たさに歯を食いしばりながら、雫は、ニアも他の正気でない兵士達と同じく何かをされたのだと悟る。

そして、認めたくはないが、この惨状を作り出したであろう、今も、ニヤニヤと普段では考えられない嫌らしい笑みを浮かべる親友の名を呼んだ。

 

 

 

「どういうこと…なの……恵里」

 

 

 

そう。その人物は、控えめで大人しく、気配り上手で心優しい、雫達と苦楽を共にしてきた親友の一人、中村恵里その人だった。

 

 

 

重傷を負いながらも、直ぐには死なないような場所を狙われたらしく苦悶の表情を浮かべて生きながらえている生徒達も、コツコツと足音を立てながら幽鬼のような兵士達の間を悠然と歩く恵里を呆然とした表情で見つめている。

 

 

 

恵里は、雫の途切れがちな質問には答えずに、何がおかしいのかニヤニヤと笑いながら光輝の方へ歩み寄った。そして、眼鏡を外し、光輝の首に嵌められた魔力封じの一つである首輪をグイっと引っ張ると艶然と微笑む。

 

 

 

「え、恵里…っ…一体…ぐっ…どうしたんだ……」

 

 

 

雫達幼馴染ほどではないが、極々親しい友人で仲間の一人である恵里の余りの雰囲気の違いに、体を貫く剣の痛みに堪えながら必死に疑問をぶつける光輝。

だが、恵里はどこか熱に浮かされたような表情で光輝の質問を無視する。

 

 

 

そして、「アハ、光輝くん、つ~かま~えた~」。

そんな事を言いながら、光輝の唇に自分のそれを重ねた。

妙な静寂が辺りを包む中、生々しい音がやけに明瞭に響く。

恵里はまるで長年溜め込んでいたものを全て吐き出すかのように夢中で光輝を貪った。

 

 

光輝は、わけがわからず必死に振りほどこうとするが、数人がかりで押さえつけられている上に、魔力封じの枷を首輪以外にも、他の生徒達同様に手足にも付けられており、また体を貫く剣のせいで力が入らずなすがままだった。

 

 

やがて満足したのか、恵里が銀色の糸を弾きながら唇を離す。

そして、目を細め恍惚とした表情で舌舐りすると、おもむろに立ち上がり、

倒れ伏して血を流す生徒達を睥睨した。苦悶の表情や呆然とした表情が並んでいる。そんな光景に満足気に頷くと、最後に雫に視線を定めて笑みを浮かべた。

 

 

 

「とまぁ、こういう事だよ。雫」

 

 

「っ…どういう事よ…こふっ…」

 

 

 

わけがわからないといった表情で、恵里を睨みながら吐血する雫に、恵里は物分りが悪いなぁと言いたげな表情で頭を振ると、まるで幼子にものの道理を教えるように語りだしだ。

 

 

 

「うーん、わからないかなぁ? 僕はね、ずっと光輝くんが欲しかったんだ。だから、そのために必要な事をした。それだけの事だよ?」

 

 

 

「……光輝が好きなら…告白でもすれば…こんな事…」

 

 

 

雫の反論に、恵里は一瞬、無表情になる。

しかし、直ぐにニヤついた笑みに戻ると再び語りだした。

 

 

 

「ダメだよ、ダメ、ダ~メ。告白なんてダメ。

光輝くんは優しいから特別を作れないんだ。周りに何の価値もないゴミしかいなくても、優しすぎて放っておけないんだ。だから、僕だけの光輝くんにするためには、僕が頑張ってゴミ掃除をしないといけないんだよ」

 

 

 

そんな事もわからないの? と小馬鹿にするようにやれやれと肩を竦める恵里。

ゴミ呼ばわりされても、余りの豹変ぶりに驚きすぎて怒りも湧いてこない。

一人称まで変わっており、正直、雫には目の前にいる少女が初対面にしか見えなかった。

 

 

 

「ふふ、異世界に来れてよかったよ。日本じゃ、ゴミ掃除するのは本当に大変だし、住みにくいったらなかったよ。もちろん、このまま戦争に勝って日本に帰るなんて認めない。光輝くんは、ここで僕と二人、ず~とずぅ~~と暮らすんだから」

 

 

 

クスクスと笑いながらそう語る恵里に、雫は、まさかと思いながら、ふと頭をよぎった推測を口からこぼす。

 

 

 

「…まさか…っ…大結界が簡単に…破られたのは……」

 

 

「アハハ、気がついた? そう、僕だよ。彼等を使って大結界のアーティファクトを壊してもらったんだ」

 

 

雫の最悪の推測は当たっていたらしい。

魔人族が、王都近郊まで侵攻できた理由までは思い至らなかったが、大結界が簡単に破られたのは、恵里の仕業だったようだ。恵里の視線が、彼女の傍らに幽鬼のように佇む騎士や兵士達を面白げに見ている事から、彼等にやらせたのだろう。

 

 

 

「君達を殺しちゃったら、もう王国にいられないし……だからね、魔人族とコンタクトをとって、王都への手引きと異世界人の殺害、お人形にした騎士団の献上を材料に魔人領に入れてもらって、僕と光輝くんだけ放っておいてもらうことにしたんだぁ」

 

 

 

「馬鹿な…魔人族と連絡なんて…」

 

 

 

光輝がキスの衝撃からどうにか持ち直し、信じられないと言った表情で呟く。

恵里は自分達とずっと一緒に王宮で鍛錬していたのだ。大結界の中に魔人族が入れない以上、コンタクトを取るなんて不可能だと、恵里を信じたい気持ちから拙い反論をする。

しかし、恵里はそんな希望をあっさり打ち砕く。

 

 

 

「【オルクス大迷宮】で襲ってきた魔人族の女の人。帰り際にちょちょいと、降霊術でね? 予想通り、魔人族が回収に来て、そこで使わせてもらったんだ。

あの事件は、流石に肝が冷えたね。何とか殺されないように迎合しようとしたら却下されちゃうし……思わず、降霊術も使っちゃったし……怪しまれたくないから降霊術は使えないっていう印象を持たせておきたかったんだけどねぇ……まぁ、結果オーライって感じだったけど……」

 

 

 

恵里は、魔人族の女に降霊術を施して、帰還しない事で彼女を探しに来るであろう魔人族にメッセージを残したのである。

ミハイルがカトレアの死の真相を知っていたのはそういうわけだ。なお、魔人族からの連絡は、適当な〝人間〟の死体を利用している。

恵里の話を聞き、彼女の降霊術を思い出して雫が唯でさえ血の気を失っていた、青白い顔を更に青ざめさせた。

 

 

降霊術は、死亡対象・・・・の残留思念に作用する魔法である。

それを十全に使えることを秘匿したかったということは、実際は完璧に使えるということ。であるならば、雫達を包囲する幽鬼のような兵士や騎士、そして、自分を抑えるニアの様子から考えれば最悪の答えが出る。

 

 

「彼等の…様子が…おかしいのは……」

 

 

「もっちろん降霊術だよ~。既に、みんな死んでま~す。アハハハハハハ!」

 

 

 

雫は、もたらされた非情な解答にギリッと歯を食いしばり、必死の反論をした。

 

 

 

「…嘘よ…降霊術じゃあ…受け答えなんて……できるはず…ない!」

 

 

「そこはホラ、僕の実力? 降霊術に、生前の記憶と思考パターンを付加してある程度だけど受け答えが出来るようにしたんだよ。僕流オリジナル降霊術〝縛魂〟ってところかな?

ああ、それでも違和感はありありだよね~。一日でやりきれる事じゃなかったし、そこは僕もどうしたものかと悩んでいたんだけどぉ……ある日、協力を申し出てくれた人がいてね。銀髪の綺麗な人。

計画がバレているのは驚いたし、一瞬、色々覚悟も決めたんだけど……その時点で告発してないのは確かだったし、信用はできないけど取り敢えず利用はできるかなぁ~って」

 

 

ホント、焦ったよぉ~と、かいてもいない汗を拭うふりをする恵里。おそらく、その過程にも色々あったのだろうが、そんなことはおくびにも出さない。

 

 

 

「実際、国王まで側近の異変をスルーしてくれたんだから凄いよね? 代わりに危ない薬でもキメてる人みたいになってたけど。

まぁ、そのおかげで一気に計画を早める事ができたんだ。くふふ、大丈夫! 皆の死は無駄にしないから。ちゃ~んと、再利用して魔人族の人達に使ってもらえるようにするからね!」

 

 

本来、降霊術とは残留思念に作用して、そこから死者の生前の意思を汲み取ったり、残留思念を魔力でコーティングして実体を持たせた上で術者の意のままに動かしたり、あるいは遺体に憑依させて動かしたり出来る術である。

 

 

 

その性能は当然、生前に比べれば劣化するし、思考能力など持たないので術者が指示しないと動かない。もちろん、〝攻撃し続けろ〟などと継続性のある命令をすれば、細かな指示がなくとも動き続ける事は可能だ。

 

 

 

つまり、ニアやホセが普通に雫達と会話していたような事は、思考能力がない以上、降霊術では不可能なはずなのだ。それを、違和感を覚える程度で実現できたのは、恵里のいう〝縛魂〟という術が、魂魄から対象の記憶や思考パターンを抜き取り遺体に付加できる術だからである。

 

 

 

これは、言ってみれば魂への干渉だ。すなわち、恵里は、末端も末端ではあるが自力で神代魔法の領域に手をかけたのである。

まさにチート、降霊術が苦手などとよく言ったもので、その研鑽と天才級の才能は驚愕に値するものだ。あるいは、凄まじいまでの妄執が原動力なのかもしれない。

 

 

 

ちなみに、恵里が即座にクラスメイト達を殺さないのは、この〝縛魂〟が、死亡直後に一人ずつにしか使用できないからである。

 

 

 

「ぐぅ…止めるんだ…恵里! そんな事をすれば……俺は……」

 

 

「僕を許さない? アハハ、そう言うと思ったよ。

光輝くんは優しいからね。それに、ゴミは掃除してもいくらでも出てくるし……だから、光輝くんもちゃんと〝縛魂〟して、僕だけの光輝くんにしてあげるからね? 他の誰も見ない、僕だけを見つめて、僕の望んだ通りの言葉をくれる! 僕だけの光輝くん! あぁ、あぁ! 想像するだけでイってしまいそうだよ!」

 

 

恍惚とした表情で光輝を抱きしめながら身悶える恵里。

そこに、穏やかで気配り上手な図書委員の女の子の面影は皆無だった。

クラスメイト達は思う。彼女は狂っていると。〝縛魂〟は、降霊術よりも死者の使い勝手を良くしただけで術者の傀儡、人形であることに変わりはない。

それが分かっていて、なお、そんな光輝を望むなど正気とは思えなかった。

 

 

「嘘だ……嘘だよ!ぅ…エリリンが、恵里が…っ…こんなことするわけない!……きっと…何か…そう…操られているだけなんだよ!っ…目を覚まして恵里!」

 

 

恵里の親友である鈴が痛みに表情を歪め苦痛に喘ぎながらも声を張り上げた。

その手は、恵里のもとへ行こうとでもしているかのように地面をガリガリと引っ掻いている。恵里は、鈴の自分を信じる言葉とその真っ直ぐな眼差しにニッコリと笑みを向けた。そして、おもむろに一番近くに倒れていた近藤礼一のもとへ歩み寄る。

 

 

近藤は、嫌な予感でも感じたのか「ひっ」と悲鳴をあげて少しでも近づいてくる恵里から離れようとした。当然、完璧に組み伏せられ、魔力も枷で封じられているので身じろぎする程度のことしか出来ない。

近藤の傍に歩み寄った恵里は、何をされるのか察して恐怖に震える近藤に向かって再び、ニッコリと笑みを向けた。光輝達が、「よせぇ!」「やめろぉ!」と制止の声を上げる。

 

 

「や、やめっ!? がぁ、あ、あぐぁ…」

 

 

近藤のくぐもった悲鳴が上がる。近藤の背中には心臓の位置に再び剣が突き立てられていた。ほんの少しの間、強靭なステータス故のしぶとさを見せてもがいていた近藤だが、やがてその動きを弱々しいものに変えていき、そして……動かなくなった。

 

 

恵里は、その近藤に手をかざすと今まで誰も聞いたことのない詠唱を呟くように唱える。詠唱が完了し〝縛魂〟の魔法名を唱え終わったとき、半透明の近藤が現れ自身の遺体に重なるように溶け込んでいった。

 

 

直後、今まで近藤を拘束していた騎士が立ち上がり一歩下がる。光輝達が固唾を呑む中、心臓を破壊され死亡したはずの近藤は、ゆっくりのその身を起こし、周囲の兵士や騎士達同様に幽鬼のような表情で立ち上がった。

 

 

 

「は~い。お人形一体出来上がり~」

 

 

 

無言無表情で立ち尽くす近藤を呆然と見つめるクラスメイト達の間に、恵里の明るい声が響く。たった今、人一人を殺した挙句、その死すら弄んだ者とは思えない声音だ。

 

 

 

「え、恵里……なんで……」

 

 

 

ショックを受けたように愕然とした表情で疑問をこぼす鈴に、恵里は追い打ちとも言える最悪の語りを聞かせる。

 

 

 

「ねぇ、鈴?ありがとね?日本でもこっちでも、光輝くんの傍にいるのに君はとっても便利だったよ?」

 

 

「……え?」

 

 

「参るよね? 光輝くんの傍にいるのは雫と香織って空気が蔓延しちゃってさ。不用意に近づくと、他の女共に目付けられちゃうし……向こうじゃ何の力もなかったから、嵌めたり自滅させたりするのは時間かかるんだよ。

その点、鈴の存在はありがたかったよ。馬鹿丸出しで何しても微笑ましく思ってもらえるもんね? 光輝くん達の輪に入っても誰も咎めないもの。

だから、〝谷口鈴の親友〟っていうポジションは、ホントに便利だったよ。

おかげで、向こうでも自然と光輝くんの傍に居られたし、異世界に来ても同じパーティーにも入れたし……うん、ほ~んと鈴って便利だった! だから、ありがと!」

 

 

「……あ、う、あ……」

 

 

衝撃的な恵里の告白に、鈴の中で何かがガラガラと崩れる音が響いた。親友と築いてきたあらゆるものが、ずっと信じて来たものが、幻想だったと思い知らされた鈴。その瞳から現実逃避でもするように光が消える。

 

 

 

「恵里っ! あなたはっ!」

 

 

 

余りの仕打ち、雫が怒声を上げる。傀儡と化したニアが必死にもがく雫の髪を掴んで地面に叩きつける。しかし、それがどうしたと言わんばかりに、雫の瞳は怒りで燃え上がっていた。

 

 

 

「ふふ。怒ってるね?雫のその表情、すごくいいよ。

僕ね、君のこと大っ嫌いだったんだ。光輝くんの傍にいるのが当然みたいな顔も、自分が苦労してやっているっていう上から目線も、全部気に食わなかった。だからね、君には特別に、とっても素敵な役目をあげる」

 

 

 

「っ…役目……ですって?」

 

 

 

「くふっ、ねぇ?久しぶりに再会した親友に、殺されるってどんな気持ちになるのかな?」

 

 

 

その一言で、恵里が何をしようとしているのか察した雫の瞳が大きく見開かれる。

 

 

 

「…まさか、香織をっ!?」

 

 

 

よく出来ました! とでも言うように、恵里はパチパチと手を鳴らし、口元にニヤついた笑みを貼り付けた。

恵里は傀儡にした雫を使って、香織を殺害しようとしているのだ。

 

 

 

「南雲が持っていくなら放置でも良かったんだけど……あの子をお人形にして好きにしたい!って人がいてね~。色々手伝ってもらったし、報酬にあげようかなって。僕、約束は守る性質だからね! いい女でしょ?」

 

 

「ふ、ふざけっ! ごふっ…あぐぅあ!?」

 

 

怒りのままに、自ら傷口を広げてでも動こうとする雫に、ニアが更に剣を突き刺した。

 

 

 

「アハ、苦しい? 痛い? 僕は優しいからね。今すぐ、楽にして上げる……」

 

 

 

今度は雫の番だというように、ニヤニヤと笑みを浮かべながら歩み寄る恵里。雫が近藤と同じように殺されて傀儡にされる光景を幻視したのか光輝達が必死の抵抗を試みる。

 

 

特に、光輝の抵抗は激しく、必死に制止の声を張り上げながら、合計五つも付けられた魔力封じの枷に亀裂を入れ始めた。〝限界突破〟の〝覇潰〟でも使おうというのか、凄まじい圧力がその体から溢れ出している。

 

 

しかし、脳のリミッターが外れ生前とは比べものにならないほどの膂力を発揮する騎士達と関節を利用した完璧な拘束により、どうあっても直ぐには振りほどけない。光輝の表情に絶望がよぎった。

 

 

 

雫は、出血のため朦朧としてきた意識を必死に繋ぎ留め、せめて最後まで眼だけは逸らしてやるものかと恵里を激烈な怒りを宿した眼で睨み続けた。

 

 

それを、やはりニヤついた笑みで見下ろす恵里は、最後は自分で引導を渡したかったのか、近くの騎士から剣を受け取りそれを振りかぶった。

 

 

 

「じゃあね?雫。君との友達ごっこは反吐が出そうだったよ?」

 

 

 

雫は、恵里を睨みながらも、その心の内は親友へと向けていた。

届くはずがないと知りながら、それでも、これから起こるかもしれない悲劇を思って、世界のどこかを旅しているはずの親友に祈りを捧げる。

 

 

 

(ごめんなさい、香織。次に会った時はどうか私を信用しないで……生き残って……幸せになって……)

 

 

 

逆手に持たれた騎士剣が月の光を反射しキラリと光った。そして、吸血鬼に白木の杭を打ち込むが如く、鋭い切っ先が雫の心臓を目指して一気に振り下ろされた。

 

 

 

迫る凶刃を見つめながら、雫は、なお祈る。

どうか親友が生き残れますように、どうか幸せになりますように。

私は先に逝くけれど、死んだ私は貴女を傷つけてしまうだろうけど、貴女の傍には彼がいるからきっと大丈夫。

強く生きて、愛しい人と幸せに……どうか……と。

 

 

 

色褪せ、全てが遅くなった世界で雫の脳裏に今までの全てが一瞬で過ぎっていく。

ああ、これが走馬灯なのね……最後に、そんなことを思う雫に突き下ろされた凶刃は、彼女の命を

 

 

…………奪わなかった。

 

 

「え?」

 

 

「え?」

 

 

 

雫と恵里の声が重なる。

 

 

 

恵里が突き下ろした騎士剣は、掌くらいの大きさの輝く障壁に止められていた。

何が起きたのかと呆然とする二人に、ここにいるはずのない者の声が響く。

ひどく切羽詰まった、焦燥に満ちた声だ。

雫が、その幸せを願った相手、親友の声だ。

 

 

「雫ちゃん!」

 

 

 

~~~~~~~~

 

ここまで「大分カットしたつもりだけど、殆どカット出来無いんですよ、

恵里と雫の心情をちゃんと描くなら。(光輝?そんなやついましたかね?w)

 

~~~~~~~~

 

 

その声と共に、

いつの間にか展開されていた十枚の輝く障壁が雫を守るように取り囲んだ。そして、その内の数枚がニアと恵里の眼前に移動しカッ! と光を爆ぜた。

バリアバーストモドキとでもいうべきか、障壁に内包された魔力を敢えて暴発させて光と障壁の残骸を撒き散らす技だ。

 

 

「っ!?」

 

 

咄嗟に両腕で顔を庇った恵里だが、

その閃光に怯んでバランスを崩した瞬間に砕け散った障壁の残骸に打ち付けられて後方へと吹き飛ばされた。

 

 

 

雫を抑えていたニアも同様に後方へとひっくり返る。

すぐさま起き上がって雫を拘束しようとするものの、直後、光の縄が地面から伸び一瞬で縛り付けられてしまった。

 

 

 

雫が、突然の事態に唖然としつつも、自分の名を呼ぶ声の方へ顔を向ける。

 

 

そして包囲する騎士達の隙間から、ここにいるはずのない親友の姿を捉えた。夢幻ではない。

確かに、香織が泣きそうな表情で雫を見つめていた。

きっと雫達の惨状と、ギリギリで間に合ったことへの安堵で涙腺が緩んでしまったのだろう。

 

 

「か、香織……」

 

 

「雫ちゃん! 待ってて! 直ぐに助けるから!」

 

 

香織は、広場の入口から兵士達に囲まれる雫達へ必死に声を張り上げた。

そして、急いで全体回復魔法を詠唱し始める。光系最上級回復魔法〝聖典〟だ。

クラスメイト達の状態と周囲を状況から一気に全員を癒す必要があると判断したのだ。

 

 

 

「っ!? なんで、君がここにいるのかなぁ! 君達はほんとに僕の邪魔ばかりするね!」

 

 

恵里が、怒りに顔を歪めながら周囲の騎士達に命令を下す。

香織の詠唱を止めるため、騎士達が一斉に香織へと襲いかかった。

しかし、彼等の振るった騎士剣は光の障壁に阻まれ、香織を傷つけること叶わない。

 

 

「みなさん! 一体、どうしたのですか! 正気に戻って! 恵里! これは一体どういうことです!?」

 

 

最上級回復魔法を唱える香織を守ったのは、香織のすぐ後ろにいたリリアーナだった。自分と香織を包むように球状の障壁が二人を守る。

 

 

リリアーナは、騎士や兵士達が光輝達を殺そうとしている状況やまるで彼等の主のように振舞う恵里にひどく混乱していた。障壁を張りながら、恵里に説明を求めて声を張り上げる。しかし、恵里はまるで取り合わない。

 

 

リリアーナは術師としても相当優秀な部類に入る。モットーの隊商を全て覆い尽くす障壁を張り、賊四十人以上の攻撃を凌ぎ切れる程度には。

なので、たとえ、騎士達がリミッターの外れた猛烈な攻撃を行ったところで、香織の詠唱が完了するまで持ち堪えることは十分に可能だった。

 

 

 

そして、それを理解しているせいか若干、恵里の表情に焦りの色が見える。

 

 

 

「チッ、仕方ない、かな?」

 

 

 

その焦り故か、恵里はクラスメイト達の傀儡化を諦めて、癒される前に殺してしまおうと決断した。

 

 

と、その時、突如、リリアーナの目の前で障壁に騎士剣を振るっていた騎士の一人が首を落とされて崩れ落ちた。

 

 

 

その倒れた騎士の後ろから姿を見せたのは……檜山大介だった。

 

 

 

「白崎!リリアーナ姫!無事か!」

 

 

「檜山さん? あなたこそ、そんな酷い怪我で!?」

 

 

リリアーナが檜山の様子を見て顔を青ざめさせる。

詠唱を途切れさせてはいないが、香織もまた驚愕に目を見開いていた。

それもそのはずだ、檜山の胸元はおびただしい血で染りきっていたのだから。

どうみても、無理をして拘束を抜け出して来たという様子だ。

 

 

ぐらりとよろめき、障壁に手をついた檜山に、リリアーナは慌てて障壁の一部を解いて檜山を中に入れた。ドサリッと倒れこむ檜山。

しかし、その瞬間、雫の焦燥に満ちた叫びが響き渡る。

 

 

「ダメよ! 彼から離れてぇ!」

 

 

 

血を吐きながらの必死の警告。雫は気がついたのだ。

なぜ、光輝すら抜け出せない拘束を檜山だけ抜け出せたのか、

恵里が言っていた香織を欲する人間が誰なのか……

リリアーナの障壁が香織の詠唱完了まで保つことは明らかだ。

にもかかわらず、敢えて助けに行ったふりをした理由は……

 

 

 

「きゃぁあ!?」

 

 

「あぐぅ!?」

 

 

 

雫の警告は間に合わなかった。

 

 

 

リリアーナの障壁が解け、そこに広がった光景は、殴り飛ばされて地面に横たわるリリアーナの姿と背後から抱き締められるようにして胸から刃を突き出す香織の姿だった。

 

 

 

「香織ぃいいいいーー!!」

 

 

 

雫の絶叫が響き渡る。

 

 

檜山は、瞳に狂気を宿しながら、香織を背後から抱き締めて首筋に顔を埋めている。片手は当然、背中から香織の心臓を貫く剣を握っていた。

 

 

檜山は、最初から怪我などしていなかったのだ。

勇者である光輝の土壇場での爆発力や不測の事態に備えてやられたふりをして待機していたのである。そして、香織達の登場に驚きつつも、このままでは光輝達を回復されてしまうと判断し、一芝居打ったのだ。

 

 

「ひひっ、やっと、やっと手に入った。……やっぱり、南雲より俺の方がいいよな? そうだよな? なぁ、しらさ…いや、香織? なぁ? ぎひっ、おい、中村ァ、さっさとしろよぉ。契約だろうがぁ」

 

 

恵里が、檜山の言葉に肩を竦める。そして、香織に〝縛魂〟するため歩き出した。

 

 

 

直後、絶叫が響き渡る。

 

 

 

「がぁああああ! お前らァーー!!」

 

 

光輝だ。怒髪天を衝くといった様子で、体をギシギシと軋ませて必死に拘束を解こうとする。香織が殺されたと思ったようで、半ば、我を失っているようだ。

五つも付けた魔力封じの枷がますます亀裂を大きくしていく。

途轍もない膂力だ。しかし、それでも枷と騎士達の拘束を解くにはまだ足りない。

 

 

 

と、その様子を冷めた目で見ていた檜山の耳にボソボソと呟く声が聞こえてきた。見れば、何と香織が致命傷を負いながら何かを呟いているのだ。

檜山は、それが気になって口元に耳を近づける。そして、聞こえてきたのは……

 

 

 

「――――ここ…に…せいぼ…は……ほほえ…む…〝せい…てん〟」

 

 

 

致命傷を負ってなお、完成させた最上級魔法の詠唱。香織の意地の魔法行使。

檜山の瞳が驚愕に見開かれる。

 

 

 

香織にも、自分が致命傷を負ったという自覚があるはずだ。

にもかかわらず、最後の数瞬に行ったのは、泣くことでも嘆くことでも、まして愛しい誰かの名前を呼ぶことでもなく……戦うことだった。

 

 

香織は思ったのだ。彼は、自分が惚れた彼は、どんな状況でもどんな存在が相手でも決して諦めはしなかった。

ならば、彼の隣に立ちたいと願う自分が無様を晒す訳にはいかないと。

そして、ほとんど意識もなく、ただ強靭な想いだけで唱えきった魔法は、香織の命と引き換えに確かに発動した。

 

 

香織を中心に光の波紋が広がる。それは瞬く間に広場を駆け抜け、傷ついた者達に強力な癒しをもたらした。

突き刺さされた剣が癒しの光に押されて抜け落ちていく。どういう作用が働いたのか、傀儡兵達の動きも鈍くなった。

 

 

当然、癒しの光は香織自身も効果に含め、その傷を治そうとするが、香織が受けたのは他の者達と異なり急所への一撃。

しかも、傷が塞がろうとすると檜山が半狂乱で傷を抉るので香織が癒されることはなかった。それは香織に、より確実な死をもたらす。

 

 

 

「あぁああああ!!」

 

 

 

光輝の絶叫が迸る。

 

 

 

癒された体が十全の力を発揮し、ただでさえ亀裂が入って脆くなっていた枷をまとめて破壊した。

同時に、その体から彼の激しい怒りをあらわすように純白の光が一気に噴き上がる。激しい光の奔流は、光輝を中心に纏まり彼の能力を五倍に引き上げた。〝限界突破〟の最終派生〝覇潰〟である。

 

 

 

「お前ら……絶対に許さない!」

 

 

 

光輝を取り押さえようとした騎士達だったが、光輝は、自分を突き刺していた騎士剣を奪い取るとそれを無造作に振るい、それだけで傀儡兵達を簡単に両断していった。そして、手を突き出し聖剣を呼ぶと、拘束された際に奪われていた聖剣がくるくると空中を回転しながら飛び光輝の手の中に収まった。

 

 

恵里が無表情で、傀儡兵達を殺到させるが光輝はその尽くを両断した。人殺しへの忌避感は克服できていない。

しかし、今は、激しい怒りで半ば我を失っていることと、相手は既に死んでいるという認識から躊躇いなく剣を振るうことが出来ているようだ。

 

 

一方、他のクラスメイト達も前線組が中心となって、居残り組を守るようにして戦い始めていた。

いくら倒してもそこかしこからわらわらと湧いて出る傀儡兵に、魔力封じの枷を解除する暇もなく純粋な身体能力のみで戦わなければならない。

龍太郎や永山が文字通り肉壁となって、震えてへたり込む居残り組の生徒達を必死に守っていた。

 

 

 

雫も、泣きそうな表情で必死に香織のもとへ行こうとする。

しかし、龍太郎達と同じく枷を外す暇がないほど傀儡兵達から怒涛の攻撃を受けて中々前に進めない。

 

 

その時、遂に、光輝を囲む傀儡兵達がやられ包囲網に穴ができた。

光輝は、怒りの形相で、恵里と檜山を睨みつけ光の奔流を纏いながら一気に襲いかかった。

 

 

だが、そこで、恵里は光輝の弱点につけ込んだ切り札を登場させる。それにより、恵里の予測通り、光輝の剣は止まってしまった。

 

 

 

光輝が震える声で、その切り札の名を呼ぶ。

 

 

 

「そ、そんな……メルドさん…まで……」

 

 

 

そう、光輝の剣を正面から受けて止めていたのは騎士団団長のメルド・ロギンスその人だったのだ。

 

 

「……光輝…なぜ、俺に剣を向ける…俺は、こんなこと、教えてはいないぞ…」

 

 

「なっ…メルドさん……俺は」

 

 

「光輝! 聞いてはダメよ! メルドさんももうっ!」

 

 

動揺する光輝に雫の叱咤が飛ぶ。

ハッと正気を取り戻した時には、メルドの鋭い剣撃が唐竹に迫っていた。咄嗟に、聖剣でその一撃を受ける。

凄まじい衝撃と共に、光輝の足元に亀裂が走った。どうやら王国最強の騎士も脳のリミッターが外れているらしい。

 

 

「……メルドさん……すみません!」

 

 

光輝は表情を悲痛に歪めながらも、聖剣を一気に振り抜きメルドに怒涛の斬撃を繰り出した。死して尚、メルドの剣技は冴え渡っており、〝覇潰〟状態の光輝の攻撃を辛うじて凌いでいる。

それは、メルドの登場で、光輝の沸騰した頭が少し冷えた為に、人殺しへの忌避感が僅かに顔を出し剣筋が鈍ったというのもある。しかし、それでも今の光輝に勝てるはずもなく、遂に、メルドの騎士剣は弾き飛ばされてしまった。

 

 

光輝は、一気に踏み込み、ただ我武者羅にメルドの首目掛けて聖剣を横薙ぎに振るった。だが、聖剣がメルドの首に吸い込まれる寸前、

 

 

 

「……助けてくれ……光輝」

 

 

「っ!?」

 

 

メルドの言葉に、思わず光輝の剣が止まってしまう。有り得ないと思っていても、もしや、メルド団長は操られているだけで死んでいないのではないか?

まだ助けられるのではないか?そんな思いが捨てきれない。これが光輝の弱点。ようは半端なのだ。

助けるなら助ける。殺すなら殺す。

どちらを選んでも、そこには明確な決意と覚悟が必要だ。光輝にはそれがない。

与えられた情報を元に、その場その場で都合のいい解釈をする。

だから、普段は自分の正しさを疑わないのに、一番大事なときに迷ってしまう。

 

 

メルドが、傍に落ちていた騎士剣を足で跳ね上げる。

一瞬で、その手に取り戻した凶器で、再び光輝と切り結んだ。

しかし、光輝に先程までの圧倒的な勢いはなく、むしろメルドに押されてしまっている。

 

 

「ッ!? ガハッ!」

 

 

メルドの技をどうにか凌いだ直後、突然、光輝の体から力が抜けて両膝が折れた。〝覇潰〟のタイムリミットではない。まだ、そこまで時間は経っていない。

異変はそれだけに留まらず、遂には盛大に吐血までしてしまった。ビチャビチャと地面に染み込む血が、光輝の混乱に拍車をかける。

 

 

 

「ふぅ~、やっと効いてきたんだねぇ。結構、強力な毒なんだけど……流石、光輝くん。団長さんを用意しておかなかったら僕の負けだったかも」

 

 

 

余裕そうな声音でのたまう恵里に、光輝が崩れ落ちる体を必死に支えながら疑問顔を向ける。

 

 

 

「くふふ、王子様がお姫様をキスで起こすなら、お姫様は王子様をキスで眠りに誘い殺して自分のものに……何て展開もありだよね? まぁ、万一に備えてっていうのもあるけどねぇ~」

 

 

 

その言葉で光輝も気がついた。最初に恵里がしたキス。

あの時、一緒に毒薬を飲まされたのだろうと。

恵里自身は、先に解毒薬でも飲んでいたのだろう。

まさか、口移しで毒を飲まされたとは思わなかった。

まして、好意を示しながらなど誰が想像できようか。

光輝は、改めて自分達が知っている恵里は最初からどこにもいなかったのだと理解した。

 

 

毒が回り、完全に動けなくなった光輝を見て、恵里は満足そうに笑うと、

くるりと踵を返して香織のもとへ向かった。

そろそろ〝縛魂〟可能なタイムリミットが過ぎてしまうからだ。

檜山が鬼のような形相で恵里を催促している。

 

 

 

香織が死してなお汚される。そのことに光輝も雫も焦燥と憤怒、そして悔しさを顔に浮かべて必死に止めようとする。

 

 

しかし、無常にも恵里の手は香織にかざされてしまった。恵里の詠唱が始まる。数十秒後には、檜山の言うことを何でも従順に聞く香織人形の出来上がりだ。

雫達が激怒を表情に浮かべ、檜山が哄笑し、恵里がニヤニヤと笑みを浮かべる。

 

 

 

そして……その声は絶望渦巻く裏切りの戦場にやけに明瞭に響いた。

 

 

 

「……一体、どうなってやがる?」

 

 

 

それは、白髪眼帯の少年、南雲ハジメの声だった。

 

 

 

ハジメの登場に、まるで時間が停止したように全員が動きを止めた。

それは、ハジメが凄絶なプレッシャーを放っていたからだ。

本来なら、傀儡兵達に感情はないためハジメのプレッシャーで動きを止めることなどないのだが、術者である恵里が、生物特有の強者の傍では身を潜めてやり過ごすという本能的な行動を思わずとったため、傀儡兵達もつられてしまったのである。

 

 

ハジメは、自分を注視する何百人という人間の視線をまるで意に介さず、周囲の状況を睥睨する。

クラスメイト達を襲う大量の兵士と騎士達。

塊になって円陣を組んでいるクラスメイト達、メルドの前で血を吐きながら倒れ伏す光輝、黒刀を片手に膝をついている雫、硬直する恵里と檜山。

そして檜山に抱き締められながら剣を突き刺され、命の鼓動を止めている香織……

 

 

 

その姿を見た瞬間、この世のものとは思えないおぞましい気配が広場を一瞬で侵食した。

体中を虫が這い回るような、体の中を直接かき混ぜられ心臓を鷲掴みにされているような、怖気を震う気配。

圧倒的な死の気配だ。血が凍りつくとはまさにこのこと。一瞬で体は温度を失い、濃密な殺意があらゆる死を幻視させる。

 

 

 

刹那、ハジメの姿が消えた。

 

 

 

そして、誰もが認識できない速度で移動したハジメは、轟音と共に香織の傍に姿を見せる。

轟音は、檜山が吹き飛び広場の奥の壁を崩壊させながら叩きつけられた音だった。

ハジメは、一瞬で檜山の懐に踏み込むと香織に影響が出ないように手加減しながら殴り飛ばしたのである。

 

 

本来なら、檜山如きは一撃で体が弾け飛ぶのだが、その手加減のおかげで今回は全身数十箇所の骨を砕けさせ内臓をいくつか損傷しただけで済んだ。

今頃、壁の中で気を失い、その直後痛みで覚醒するという地獄を繰り返しているだろう。

ハジメは、片腕で香織を抱き止めると、そっと顔にかかった髪を払った。

そして、大声で仲間を呼ぶ。

 

 

「ティオ! 頼む!」

 

 

「っ……うむ、任せよ!」

 

 

「し、白崎さんっ!」

 

 

ハジメの呼びかけに応えて、一緒にやって来たティオが我を取り戻したように急いで駆けつけた。傍らの愛子も血相を変えて香織の傍にやって来る。

ハジメから香織を受け取ったティオは急いで詠唱を始めた。

 

 

 

「アハハ、無駄だよ。もう既に死んじゃってるしぃ。

まさか、君達がここに来てるなんて……いや、香織が来た時点で気付くべきだったね。……うん、檜山はもうダメみたいだし、南雲にあげるよ?

僕と敵対しないなら、魔法で香織を生き返らせてあげる。擬似的だけど、ずっと綺麗なままだよ? 腐るよりいいよね? ね?」

 

 

にこやかに、しかし額に汗を浮かべながらそう提案する恵里。傍らで愛子が驚愕に目を見開いているのを尻目に、ハジメはスッと立ち上がった。ハジメの力を知っている恵里は、内心盛大に舌打ちしながらも自分に手を出せば、香織はこのまま朽ちるだけだと力説する。

 

 

だが、ハジメは、その溢れ出る殺意を微塵も揺るがせず、能面のような無表情で足音を立てながらゆっくり恵里に歩み寄っていく。

 

 

 

「待って、待つんだ、南雲。ほら、周りの人達を見て?生きているのと変わらないと思わない?死んでしまったものは仕方ないんだし、せめて彼等のようにしたいと思うよね?しかも、香織を好きなように出来るんだよ?それには僕が絶対に必要で……」

 

 

後退りしならが言い募る恵里。

 

 

と、その時、ハジメの背後に人影が走る。

それは、他の傀儡兵とは比べ物にならない程の身のこなしでハジメに鋭い槍の一撃を放った。影の正体は近藤礼一。

先程、恵里に殺害され傀儡と成り下がった哀れな槍術師だ。

 

 

もっとも、傀儡とは言え、異世界チートの力は十全に発揮される。近藤の天職たる〝槍術師〟の力により放たれた激烈な突きは、風の螺旋を纏いながらハジメの心臓に狙い違わず直撃した。

 

 

 

「アハハ、油断大敵ぃ~。それとも怒りで我をっ……」

 

 

さっきまでのどこか焦ったような表情を一転させてニヤついた表情に戻った恵里だったが、ハジメが何の痛痒も感じていないかのように歩みを止めない事で、その表情を引き攣らせた。

ハジメの後ろにいたなら気がついただろう。

 

紅い魔力の塊が十円サイズに圧縮され、突き出された槍の先を食い止めていることを。〝金剛〟の派生〝集中強化〟だ。

 

 

ハジメは、無言で左腕の肘を背後に向けると、何の躊躇いもなくショットガンを撃ち放った。

轟音が響き渡り、同時に、超至近距離から放たれた大威力の散弾を顔面で受けた近藤は、その頭部を細かな肉片に変えて吹き飛んだ。

ビチャビチャと血肉の飛び散る生々しい音が響く。

 

 

「っ……殺れ」

 

 

恵里が、徐々に表情を険しくしながら次の傀儡兵とメルドを前に出した。

ハジメも、光輝ほどではないがメルドとはそれなりに親しくしていたし、【オルクス大迷宮】では、秘薬を使って瀕死の彼を救ってまでいる。

なので、光輝と同じように動揺して隙を晒すと踏んだのだ。

周囲では、傀儡兵が虎視眈々とハジメが隙を晒すのを待ち構えている。

しかし、そんな常識的な判断がハジメに通じるわけがない。

 

 

ハジメは、メルドが踏み込んで来るのを尻目に〝宝物庫〟からメツェライを取り出した。いきなり虚空から現れた見るからに凶悪なフォルムの重兵器に、その場の全員が息を呑む。

 

 

咄嗟に、雫が叫んだ。

 

 

「みんな! 伏せなさい!」

 

 

龍太郎や永山が立ち尽くしているクラスメイト達を覆いかぶさる様に引きずり倒した。

 

 

直後、独特の回転音と射撃音を響かせながら、破壊の権化が咆哮をあげる。

かつて、解放者の操るゴーレム騎士を尽く粉砕し、数万からなる魔物の大群を血の海に沈め、〝神の使徒〟が放つ死の銀羽すら相殺した怪物の牙。

そんなものを解き放たれて、たかだか傀儡兵如きが一瞬でも耐えられるわけがなかった。

 

 

電磁加速された弾丸は、一人一発など生温いと言わんばかりに全ての障碍を撃ち砕き、広場の壁を紙屑のように吹き飛ばしながら、ハジメを中心に薙ぎ払われる。

傀儡兵達は、その貴賎に区別なく体を砕け散らせて原型を留めない唯の肉塊へと成り下がった。

 

 

やがて、メツェライの咆哮が止み、静寂が戻った広場に再び足音が響く。

誰もが伏せた体勢のまま身動きを取れない中で、その道を阻むものの全てを薙ぎ払い進撃するのは、

当然、ハジメだ。

 

 

他の皆と同じく、必死に頭を下げて嵐が過ぎ去るのをひたすら待っていた恵里の眼前に、靴の爪先が突きつけられた。

恵里が、のろのろ顔を上げる。靴から順に視線を上げていき、見上げた先には、何の価値も無い路傍の石を見るような無機質な瞳が一つ。

ハジメの手にメツェライは既にない。ただ恵里の眼前に立ち見下ろしている。

 

 

恵里が何も言えず、ただ呆然と見つめ返していると、おもむろにハジメが口を開いた。

 

 

「で?」

 

 

「っ……」

 

 

 

ハジメは、恵里が何をしたのか詳しい事は知らない。

ただ、敵だと理解しただけだ。これが唯の敵なら、無慈悲に直ちに殺して終わりだった。しかし、恵里は決して手を出してはいけない相手に手を出したのだ。

もはや、ただ殺すだけでは足りない。死ぬ前に〝絶望〟を……

 

 

 

だから、ハジメは問うたのだ。お前如きに何ができる? 何もできないだろう? と。

 

 

 

それを正確に読み取った恵里は、ギリッと歯を食いしばった。唇の端が切れて血が滴り落ちる。

今の今まで自分こそがこの場の指揮者で、圧倒的有利な立場にいたはずなのに、一瞬で覆された理不尽とその権化たるハジメに憎悪と僅かな畏怖が湧き上がる。

 

 

恵里が、激情のまま思わず呪う言葉を吐こうとした瞬間、ゴリッと額に銃口が押し当てられた。

 

 

認識すら出来なかった早抜きに、呪いの言葉を呑み込む恵里。

 

 

「……てめぇの気持ちだの動機だの、そんな下らないこと聞く気はないんだよ。もう何もないなら……死ね」

 

 

ハジメの指が引き金に掛かる。恵理は、ハジメの目に、クラスメイトである自分を殺害すること、香織を傀儡に出来ないことへの躊躇いが微塵もない事を悟った。

 

 

 

――死ぬ

 

 

 

恵里の頭を、その言葉だけが埋め尽くす。

しかし、恵里の悪運はまだ尽きていなかったらしい。

 

 

 

恵里の脳天がぶち抜かれようとした瞬間、ハジメ目掛けて火炎弾が飛来したからだ。かなりの威力が込められているらしく白熱化している。

しかし、ハジメにはやはり通用しない。

ドンナーの銃口を火炎弾に向けるとピンポイントで魔法の核を撃ち抜き、あっさり霧散させてしまった。

 

 

 

「なぁぐぅもぉおおおー!!」

 

 

 

その霧散した火炎弾の奥から、既に人語かどうか怪しい口調でハジメの名を叫びながら飛び出してきたのは満身創痍の檜山だった。

手に剣を持ち、口から大量の血を吐きながら、砕けて垂れ下がった右肩をブラブラとさせて飛びかかってくる。

もはや、鬼の形相というのもおこがましい、醜い異形の生き物にしか見えなかった。

 

 

 

「…うるせぇよ」

 

 

 

ハジメは、煩わしそうに飛びかかって来た檜山にヤクザキックをかます。

ドゴンッ! という爆音じみた衝撃音が響き、檜山の体が宙に浮いた。

吹き飛ばなかったのは衝撃を余すことなく体に伝えたからだ。

 

 

そして、ハジメは、宙に浮いた檜山に対して、真っ直ぐ天に向けて片足を上げると、そのまま猛烈な勢いで振り下ろした。

まるで薪を割る斧の一撃の如き踵落としは、檜山の頭部を捉えて容赦なく地面に叩きつけた。地面が衝撃でひび割れ、割れた檜山の額から鮮血が飛び散る。

勢いよくバウンドした檜山は既に白目を向いて意識を失っていた。

 

 

既に誰が見ても瀕死の檜山。しかし、なお手を緩めないのがハジメクオリティーだ。バウンドして持ち上がった頭を更に蹴り上げ、再び宙に浮かせる。絶妙な手加減がされていたのか、その衝撃で檜山は意識を取り戻した。

 

 

ハジメは、宙にある檜山の首を片手で掴み掲げるようにして持ち上げる。宙吊りになった檜山が、力のない足蹴りと拳で拘束を解こうと暴れるが、ハジメの人外の膂力は小揺ぎもしない。

 

 

「おま゛えぇ! おま゛えぇざえいなきゃ、がおりはぁ、おでのぉ!」

 

 

溢れ出る怨嗟と殺意。

人間とは、ここまで堕ちる事ができるのかと戦慄を感じずにはいられない余りの醜悪さ。常人なら見るに堪えないと視線を逸らすか、吐き気を催して逃げ去るだろう。

 

 

しかし、ハジメは、檜山のそんな呪言もまるで意に介さない。それどころか、むしろ、ハジメの瞳には哀れみの色すら浮かんでいた。

 

 

 

「俺がいようがいまいが、結果は同じだ。少なくとも、お前が何かを手に入れられる事なんて天地がひっくり返ってもねぇよ」

 

 

「きざまぁのせいでぇ」

 

 

「人のせいにするな。お前が堕ちたのはお前のせいだ。日本でもこっちでも、お前は常に敗者だった。〝誰かに〟じゃない。〝自分に〟だ。他者への不満と非難ばかりで、自分で何かを背負うことがない。……お前は、生粋の負け犬だ」

 

 

「ころじてやるぅ! ぜっだいに、おま゛えだけはぁ!」

 

 

ハジメの言葉に更に激高して狂気を撒き散らす檜山。

ハジメは、自分に負け続けた負け犬を最後に一瞥したあと、何かに気が付いたように明後日の方向へ視線を向けた。

その方向には、王都に侵入してきた魔物の先陣がたむろしていた。

 

 

ハジメは、冷めた眼差しを檜山に戻し、再度宙に投げると、重力に従って落ちてきたところで義手の一撃を叩きつけた。

その衝撃により回転力が加わって、くるくると独楽のように回転する檜山。

 

 

 

「生き残れるか試してみな。まぁ、お前には無理だろうがな」

 

 

ハジメは、更にダメ押しとばかりに空気すら破裂するような回し蹴りを叩き込んだ。檜山は、その衝撃でボギュ!と嫌な音を立てながら大きく広場の外へと吹き飛ばされていった。

 

 

ハジメが、さっさと檜山を撃ち殺さず、急所を外して滅多打ちにしたのは無意識的なものだ。

自分を奈落に落としたことへの復讐ではない、香織を傷つけられたことへの復讐だ。

 

 

本人にどこまで自覚があるかはわからないが、楽に殺してやるものかというハジメの思いが現れたのである。それは、檜山を辛うじて生かしたまま、魔物の群れの中に蹴り飛ばした事にもあらわれていた。

 

 

しかし、この檜山への対応が、恵里を殺すための時間を削いでしまった。恵里が逃げ出したのではない。ハジメ目掛けて極光が襲いかかったのだ。

 

 

 

「チッ……」

 

 

ハジメは、舌打ちしつつその場から飛び退き、極光の射線に沿ってドンナーを撃ち放った。三度轟く炸裂音と同時に、極光という滝を登る龍の如く、三条の閃光が空を切り裂く。

 

 

直後、極光の軌道が捻じ曲がり、危うく光輝を灼きそうになったが、寸前で恵里が飛び出し何とか回避したようだ。恵里としても、誤爆で光輝が跡形もなく消し飛ばされるなど冗談でも勘弁して欲しいところだろう。

 

 

 

やがて、極光が収まり空から白竜に騎乗したフリードが降りてきた。

 

 

 

「……そこまでだ。白髪の少年。大切な同胞達と王都の民達を、これ以上失いたくなければ大人しくすることだ」

 

 

 

どうやらフリードは、ハジメを光輝達や王国のために戦っているのだと誤解しているようである。周囲の気配を探れば、いつの間にか魔物が取り囲んでおり、龍太郎達や雫、そしてティオや愛子達を狙っていた。

 

 

ハジメ達が本気で戦えば、甚大な被害が出ることを理解しているため人質作戦に出たのだろう。ハジメは知らないことだが、ユエに手酷くやられ、ハジメ達には敵わないと悟ったフリードの苦肉の策だ。なお、ユエに負わされた傷は、完治にはほど遠いものの、白鴉の魔物の固有魔法により癒されつつある。

 

 

 

と、その時、香織に何かをしていたティオがハジメに向かって声を張り上げた。

 

 

 

「ご主人様よ!どうにか固定は出来たのじゃ!しかし、これ以上は……時間がかかる……出来ればユエの協力が欲しいところじゃ。固定も半端な状態ではいつまでも保たんぞ!」

 

 

ハジメは、肩越しにティオを振り返ると力強く頷いた。

何のことかわからないクラスメイト達は訝しそうな表情だ。しかし、同じ神代魔法の使い手であるフリードは察しがついたのか、目を見開いてティオの使う魔法を見ている。

 

 

 

「ほぉ、新たな神代魔法か……もしや【神山】の?ならば場所を教えるがいい。逆らえばきさっ!?」

 

 

フリードが、ハジメ達を脅して【神山】大迷宮の場所を聞き出そうとした瞬間、ハジメのドンナーが火を噴いた。

咄嗟に、亀型の魔物が障壁を張って半ば砕かれながらも何とか耐える。

フリードは、視線を険しくして、周囲の魔物達の包囲網を狭めた。

 

 

「どういうつもりだ? 同胞の命が惜しくないのか? お前達が抵抗すればするほど、王都の民も傷ついていくのだぞ?それとも、それが理解できないほど愚かなのか? 外壁の外には十万の魔物、そしてゲートの向こう側には更に百万の魔物が控えている。お前達がいくら強くとも、全てを守りながら戦い続けることが……」

 

 

その言葉を受けたハジメは、フリードに向けていた冷ややかな視線を王都の外――王都内に侵入しようとしている十万の大軍がいる方へ向けた。

そして、無言で〝宝物庫〟から拳大の感応石を取り出した。

訝しむフリードを尻目に感応石は発動し、クロスビットを操る指輪型のそれとは比べ物にならない光を放つ。

 

 

猛烈に嫌な予感がしたフリードは、咄嗟に、ハジメに向けて極光を放とうとする。しかし、ハジメのドンナーによる牽制で射線を取れず、結果、それの発動を許してしまった。

 

 

 

――天より降り注ぐ断罪の光。――

 

 

 

そう表現する他ない天と地を繋ぐ光の柱。

触れたものを、種族も性別も貴賎も区別せず、一切合切消し去る無慈悲なる破壊。

大気を灼き焦がし、闇を切り裂いて、まるで昼間のように太陽の光で目標を薙ぎ払う。

 

 

 

キュワァアアアアア!!

 

 

 

独特な調べを咆哮の如く世界に響き渡らせ大地に突き立った光の柱は、直径五十メートルくらいだろうか。光の真下にいた生物は魔物も魔人族も関係なく一瞬で蒸発し、凄絶な衝撃と熱波が周囲に破壊と焼滅を撒き散らす。

 

 

ハジメが手元の感応石に魔力を注ぎ込むと、光の柱は滑るように移動し地上で逃げ惑う魔物や魔人の尽くを焼き滅ぼしていった。

 

 

防御不能。回避不能。それこそ、フリードのように空間転移でもしない限り、生物の足ではとても逃げ切れない。外壁の崩れた部分から王都内に侵入しようとしていた魔物と魔人族が後方から近づいて来る光の柱を見て恐慌に駆られた様に死に物狂いで前に進み出す。

 

 

光の柱は、ジグザグに移動しながら大軍を蹂躙し尽くし、外壁の手前まで来るとフッと霧散するように虚空へ消えた。

 

 

後には、焼き爛れて白煙を上げる大地と、強大なクレーター。そして大地に刻まれた深い傷跡だけだった。

ギリギリ、王都へ逃げ込む・・・・ことが出来た魔人族は安堵するよりも、唯々、一瞬にして消えてしまった自軍と仲間に呆然として座り込むことしか出来なかった。

 

 

そして、思考が停止し、呆然と佇むことしか出来ないのは、ハジメの目の前にいるフリードや恵里、雫達も同じだった。

 

 

「愚かなのはお前だ、ド阿呆。俺がいつ、王国やらこいつらの味方だなんて言った? てめぇの物差しで勝手なカテゴライズしてんじゃねぇよ。

戦争したきゃ、勝手にやってろ。ただし、俺の邪魔をするなら、今みたいに全て消し飛ばす。まぁ、百万もいちいち相手してるほど暇じゃないんでな、今回は見逃してやるから、さっさと残り引き連れて失せろ。お前の地位なら軍に命令できるだろ?」

 

 

同胞を一瞬にして殲滅した挙句の余りに不遜な物言いに、フリードの瞳が憎悪と憤怒の色に染まる。しかし、例え、特殊な方法で大軍を転移させるゲートを発動させているとはいえ、ハジメの放った光の柱の詳細が分からない以上、二の舞、三の舞である。それだけは、何としても避けねばならない。

 

 

ハジメとしても、逃がすのは業腹ではあったが、今は一刻も早く香織に対して処置しなければならない。時間が経てば、手の施しようがなくなってしまうのだ。

まして、初めての試みであり、ぶっつけ本番の作業である。

しかも、実は先の光の一撃は、試作品段階の兵器であり、今の一発で壊れてしまった。殲滅兵器なしに、百万もの魔物と殺り合っている時間はない。

大軍への指揮権があるであろうフリードを殺すのは得策ではなかった。

 

 

そうとは知らないフリードは、唇を噛み切り、握った拳から血を垂れ流すほど内心荒れ狂っていたが、魔人族側の犠牲をこれ以上増やすわけにはいかないと、怨嗟の篭った捨て台詞を吐いてゲートを開いた。

 

 

 

「……この借りは必ず返すっ……貴様だけは、我が神の名にかけて、必ず滅ぼす!」

 

 

フリードは踵を返すと、恵里を視線で促し白竜に乗せた。恵里は、毒を受けながらも、その強靭なステータスで未だ生きながらえている光輝を見て、妄執と狂気の宿った笑みを向けた。それは言葉に出さなくても分かる、必ず、光輝を手に入れるという意志の篭った眼差しだった。

 

 

白竜に乗ったフリードと恵里がゲートの奥に消えると同時に、

上空に光の魔弾が三発上がって派手に爆ぜた。おそらく、撤退命令だろう。同時に、ユエとシアが上空から物凄い勢いで飛び降りてきた。

 

 

 

「……ん、ハジメ。あのブ男は?」

 

 

「ハジメさん! あの野郎は?」

 

 

どうやら二人共、フリードをボコりに追ってきたらしい。

光の柱について聞かないのは、ハジメの仕業とわかっているからだろう。

 

 

しかし、今は、そんな些事に構っている暇はないのだ。

ハジメは、ユエとシアに香織の死を伝える。

二人は、驚愕に目を見開いた。

しかし、ハジメの目を見てすぐさま精神を立て直す。

 

 

そして、ハジメは、その眼差しに思いを込めてユエに願った。ユエは、少ない言葉でも正確に自分の役割を理解すると力強く「……ん、任せて」と頷く。

 

 

踵を返してティオのもとへ駆けつけた。そして、ハジメが香織をお姫様だっこで抱え上げ、そのまま広場を出ていこうとする。そこへ、雫がよろめきながら追いかけ必死な表情でハジメに呼びかけた。

 

 

 

「南雲君!香織が、香織を……私……どうすれば……」

 

 

雫は、今まで見たことがないほど憔悴しきった様子で、放っておけばそのまま精神を病むのではないかと思えるほど悲愴な表情をしていた。

戦闘中は、まだ張り詰めた心が雫を支えていたが、驚異が去った途端、親友の死という耐え難い痛みに苛まれているのだろう。

 

 

ハジメは、シアに香織を預けるとティオに先に行くように伝える。

雫の様子を見て察したユエ達は、ティオの案内に従って広場を足早に出て行った。

 

 

クラスメイト達が怒涛の展開に未だ動けずにいる中、ハジメは、女の子座りで項垂れる雫の眼前に膝を付く。

そして、両手で雫の頬を挟み強制的に顔を上げさせ、真正面から視線を合わせた。

 

 

「八重樫、折れるな。俺達を信じて待っていてくれ。必ず、もう一度会わせてやる」

 

 

「南雲君……」

 

 

光を失い虚ろになっていた雫の瞳に、僅かだが力が戻る。

ハジメは、そこでフッと笑うと冗談めかした言葉をかけた。

 

 

「八重樫がこんなんじゃ、今後、誰が面倒事を背負ってくれるっていうんだ? 壊れた八重樫なんか見せたら香織までどうなるか……勘弁だぞ? 俺は八重樫みたいな苦労大好き人間じゃないんだ」

 

 

「……誰が苦労大好き人間よ、馬鹿。……信じて……いいのよね?」

 

 

ハジメは、笑みを収めて真剣な表情でしっかりと頷く。

 

 

間近で、ハジメの輝く瞳と見つめ合い、雫はハジメが本気だと理解する。

本気で、既に死んだはずの香織をどうにかしようとしているのだ。

その強靭な意志の宿った瞳に、雫は凍てついた心が僅かに溶かされたのを感じた。

 

 

雫の瞳に、更に光が戻る。

そして、ハジメに向かって同じ様に力強く頷き返した。

それは、ハジメ達を信じるという決意のあらわれだ。

 

 

ハジメは、雫が精神的に壊れてしまう危険性が格段に減った事を確認すると、〝宝物庫〟から試験管型容器を取り出し、雫の手に握らせた。

 

 

「これって……」

 

 

「もう一人の幼馴染に飲ませてやれ。あまり良くない状態だ」

 

 

ハジメの言葉にハッとした様子で倒れ伏す光輝に視線を移す雫。

光輝は既に気を失っており、見るからに弱っている様子だ。

ハジメが手渡した神水が、以前、死にかけのメルドを一瞬で治癒したのを思い出し、秘薬中の秘薬だと察する。

ハジメとしては、せっかく声をかけても光輝の死で雫が折れてしまっては困るくらいの認識だったのだが……

雫の表情を見れば予想以上に感謝されてしまっているようだった。

 

 

雫は、ギュッと神水の容器を握り締めると、少し潤んだ瞳でハジメを見つめ「…ありがとう、南雲君」とお礼の言葉を述べた。

 

ハジメは、お礼の言葉を受け取ると直ぐに立ち上がり踵を返す。そして、ユエ達を追って風の様に去っていった。

 

 

~~~~~~~~

 

またもほとんどカット出来ませんでした・・・><

(だってここ一番重要(涙

 

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その後、リリアーナやクラスメイト達に

 

 

神代魔法である「魂魄魔法」で死亡した香織を「固定」し、

 

ハジメが倒した「本来の神の使徒であるノイントの遺体(修復済)」に「定着」させたということが説明された。

 

 

 

という所で映像は終わる。

 

 

 

「ハジメ:分かったか、中村?決して同情は出来ないが、お前も同様に返すわけにいかないと言った理由が。今の映像を見ただろう?最初に言った通り、お前が自分の欲望のためにトータスを、そしてクラスメイト達を裏切るからだ。

天之川を手に入れるためだけにハイリヒ王国の騎士500人余りや近藤を殺してるからだ。騎士のうちメルドを殺したのはノイントだろう。一部か殆どかは知らないが、お前と檜山が騎士達を殺し、エリヒド国王や宰相や貴族達までも殺した。」

 

 

「・・・・・」何も言うことが出来ない恵里。

「・・・・」沈痛な表情で涙を流している鈴。

 

 

 

「ハジメ:今の映像と先程のウルの映像、そしてエヒトとの戦いにおいて、 檜山、近藤、清水、そして中村。

お前ら4人は死んでいる。俺達の世界にお前らは居ない。でだ、俺が清水を除き、檜山・近藤・斎藤・中野・中村・天之川を元の世界に返さない。といった理由は分かったか?

 

 

檜山達4人は、俺だけに限らず自分より弱いと思ったものに遠慮なく暴力をふるい、誹謗し中傷し傷つける。

要するに4人で居なきゃ何も出来ないクズだってことだ。そんなクズを元の世界にそのまま帰したら、また同じことを繰り返すだろう?更生の余地もない。

だから返さない。異論も認めない。

 

特に檜山、お前だけは返さないのではなくここで殺す。

あちらの世界でもこちらの世界でも香織に異常な執着をしているのは分かってるし、あちらの世界では、現に殺している、中村と協力してな。そんなお前を許すつもりも、これ以上存在を認めるつもりもないからな。

 

 

そして天之川。

今まで見た映像で、お前は誰かを救ったか?守れたか?

香織や雫がピンチだったのを救ったのも、お前じゃなくて俺達だ。

香織が殺されても、再び雫に会わせることが出来たのも、俺達のおかげ。

ミュウやレミアやシアやユエやティオやリリアーナ達を含めてこの世界で出会った人達を救ったのも俺。

さっきお前が大言壮語で言っていた、「世界を救った」のも俺達だ。むしろお前は敵側にいた。

さぁ、答えろよ天之川?お前は誰かを救ったのか?」

 

 

「・・・・・・・」天之川は何も言えない。

 

 

 

「ハジメ:ああ、そうだ。さっきの映像の中村のお前への凄まじいまでの妄執な。あれお前のせいだからな?」

 

 

 

「え?」(困惑した表情で、恵里を見つめる天之川)

「ぇ?」(ハジメの発言を聴いて呆然とするクラスメイト達。)

 

 

「・・・・・・。」(沈黙で答える恵里)

 

 

 

「ハジメ:事情を説明するが、いいか?中村。どうしても嫌だと言うならこれ以上は何も言わないが。」

 

 

 

「雫・香織:伝えてあげたほうが、恵里(ちゃん)のためだと思うわ(な)。」

 

 

「ぅん・・・いいよもう。言って構わないよ。」と諦観した恵里。

 

 

 

「ハジメ:じゃぁ、説明するな?

中村は幼少期に目の前で父親を交通事故で亡くしてるんだよ。そして母親はそれなりの富裕家庭で育った人らしくてな。しかも、駆け落ち同然に旦那さんと結婚したらしくて、ほぼ絶縁状態だったんだよ。

 

そして母親は、旦那が亡くなった事を受け入れられなかったんだよ。そんな心の弱かった母親が一人で子供をそだれられるわけがなくて、

旦那が死んだのは中村のせいだと暴力や暴言を吐くようになっていった。それで済んでれば、

まだ中村は別の生き方をしてたのかも知れないな?

 

でだ。そんな母親が自分が縋るために新しい父親と結婚した訳だ。

ここからは想像できるヤツもいるかも知れないが、その新しい父親ってのが余りなクズ野郎で、母親だけじゃなく当時の中村すらも性の対象として見始めた訳だ。

 

ある程度成長した頃、母親が留守の最中に中村はそのクズな父親に襲われた。実際は未遂だがな。

警察と近所の人が中村の悲鳴を聴いて助けてくれたというとこだ。

 

そこで済めば、まだ救いはあったんだろう。

もちろん、そのクズは逮捕されて離婚な。

すると、その母親がそのクズ男を「お前が誘惑したからだ!」と中村を殺さんばかりに責め立てたらしいんだよ。

 

本当の父親を目の前で亡くし、義理の父親には襲われかけ、母親には殺されんばかりに責め立てられた。

そんな中村は人生に絶望して、入水自殺しようとしてたんだ。

 

 

・・・そこに通りかかったのが、当時の天之川だ。

 

 

ここまで言えばもう誰でも分かるだろ?

人生に絶望して「自殺しようとしてた」女の子に、

 

 

当時から正義感が強く人気があったらしい、王子様みたいな男の子に、自殺を止められ。

 

 

「どうしたの?」と聞かれ、端折って説明したら、

 

 

「君は一人じゃないよ!僕が守ってあげる!」と言われて、

 

 

学校のクラスでイジメすら受けてた中村が、

いざ登校してみれば、周りの女の子達は皆優しく接してくれる訳だ。

 

 

その優しく接してくれた子たちも「天之川に頼まれたから」だったんだが、

 

 

誰でも惚れるわな、そんなタイミングで言われたら。

 

 

 

でだ。天之川がずっと守ってくれるって言葉を信じて、

 

 

 

転校や離れ離れになりたくないが為に、母親と仲良く演じてたわけだ。

むしろ、そこで中村の何かが壊れた訳だ。

 

 

これに関しては警察と児童相談所の確認が取れてるので間違いない。

 

 

どちらとも、「仲の良い母娘でしたよ?」だとさ。

 

 

で、いざ側に居れるようになってみてみたら。

 

 

天之川の周りにはほぼ常に香織や雫が居たわけだ。

 

 

中村はさっきの映像の通り、谷口を利用してでもいないと側にいられない程に。

 

 

王子様が守ってくれるって言葉を信じたら。

 

 

その王子様には特別な幼馴染が居て、

 

 

更には自分へ向けられる目は「守ってあげるよ!」と言ってくれた目ではなく、

他のクラスメイト達を見る目となんら変わらなかった。

 

 

これが、中村がああなった理由だ。俺が調べた範囲でのな。勝手に過去を穿り返す様な真似してすまない。」

 

 

 

「ハジメ:で、どうだ。間違ってないか?中村。」

 

 

 

「ぅん。良くそこ迄詳しく調べられたね・・・凄いね」

 

 

と苦笑いしながら恵里。

 

 

「恵里ぃぃ・・・ゴメンね・・・。」と鈴は号泣しながら謝っていた。

 

 

ハジメ嫁'S側は前もって知っていた事もあり、そこまで衝撃を受けていなかったが、

天之川を見る目は、ハイライトが消えジト目を超えたクズを見る目だった。

 

 

 

本来召喚された方のクラスメイト達もあまりの話の重さと、天之川の対応の酷さに

しかめっ面ならまだマシな方で侮蔑、軽蔑、敵視、殺意の目を持って見ていた。

 

 

 

「ハジメ:分かったか?天之川。お前は雫も香織もクラスメイトも中村も誰も救っちゃいない。本当に救うと言う覚悟があったのなら関わった責任を最後まで持たなきゃいけない。が、お前は雫の件も、

「イジメがなくなったように見えただけ」で

雫が救われたと勘違いし、その後は助けてすらいない。

 

香織の件もそうだ。さっきの映像で言えば、あそこでお前がメルドをそして、中村と檜山を切っていれば、香織は檜山に殺されることが無かったはずだ。

 

そして中村の件もだ。

「守ってやる」と簡単に言ったみたいだが、守るってのはそんな簡単なことじゃない。守ると決めた何かを守るためなら、他の何かを守らない事を決断し、むしろ傷つけようとする者全てに敵対する覚悟がなきゃいけない。

 

 

今まで上手く出来たように見えていたのは、

全てお前の自己中心的な正義感と、いつものお得意な「ご都合解釈」で、中途半端にカリスマ性があったからお前は支持されてきただけに過ぎないぞ?

 

 

その度に割を食ってた人間がいるはずだ。特に雫や香織とかな?

お前が俺にいっつも突っかかってくるたび、雫がこっそり俺に謝罪しに来てたのを知らないだろ?

それにすら気づかずみんなを守ってやるとか、笑いが止まらなかったよ。

むしろ、お前が雫や香織の優しさに守られてたのにな。

ほら、周りを見てみろ?お前の本質が見えた今、周りの皆はお前をどう見ている?」

 

 

「・・・」周りを見て沈黙しつつも、絶望した天之川。

 

 

 

「ハジメ:さぁ、お前ら。この6人を元の世界に返さない事に反対するやつはいるか?」

 

 

「・・・」沈黙で返答するクラスメイトと愛子先生。

 

 

「ハジメ:よし、じゃぁユエ。この6人とそっちの俺と香織と雫と遠藤と愛子と園部を除く全員の技能と能力封印と記憶改竄を頼む。

名前を挙げた俺達はトータス救った後の帰還後の技能と能力と記憶改竄でな。

魔力が足りないならカプチューしてもいいぞ。」

 

 

「ユエ:・・・ん。任せるよろし。」

 

 

 

魂魄・昇華混合魔法 魂魄改変+記憶改竄+能力改竄

 

 

 

 

「ユエ:・・・ん、終わった。」

 

 

 

それを聞いたハジメは、導越の羅針盤とクリスタルキーを使って、"解錠"した。

 

 

 

「ハジメ:さぁ、お前らさっさとそのゲートくぐって元の世界に帰れ。」

 

 

と言われ、本来召喚された側のハジメ達は元の世界へと帰って行った。

(トータス救った後の帰還後の記憶、技能、能力改竄されたハジメや香織達にはハジメのお土産と言う何かを渡されて。)

 

 

 

天之川達6人と、ハジメとハジメ嫁's達を残してゲートは閉じて消えた。

 

 

「ハジメ:さてどうするか。檜山達4人は後回しでいいな。天之川、お前に最後のチャンスをやる。

 

これから送る世界は元の日本とはかけ離れた世界だ。

そんな所でも、今度こそお前は中村を守り抜くと誓えるか?誓えないのなら、二人仲良くこの場で消えてもらうまでだが。」

 

 

「雫・香織・愛子:ハジメ!(君、くん♥)」

 

 

「あぁ、誓う。恵里が許してくれるなら。」と天之川。

 

 

「ホントお節介だね、南雲君達。そしてありがとう」と照れ笑いを浮かべる恵里。

 

 

 

導越の羅針盤とクリスタルキーを使って、再び"解錠"した。

 

 

そのゲートの先の世界はトータスと違い複数の国が戦争を行っているだろう、中世の世界だ。

 

 

二人は、手をつなぎながら最後にハジメ達の方を向き、頭を下げ礼をしながらゲートをくぐっていった。

(恵里にも、ハジメからこっそりお土産を渡してます。)

 

 

「ハジメ:さて、さて後はコイツラの処分だな。どうするか。」

 

 

「雫・香織:檜山の処分は私達にやらせてくれないかしら?(な?)」

 

 

「シア・ティオ・ユエ:じゃあ残り3人は私達で。」

 

 

「愛子・リリアーナ:私達は一応結末を見届けようと思います。」

 

 

「レミア:あらあら、あなた。私達は先に戻ってもいいでしょうか?ミュウにはまだ、そういうのはあまり………。」

 

 

「ミュウ:わかったなの。先に帰ってるから早く帰ってきてほしいの、パパ!」

 

 

三度、導越の羅針盤とクリスタルキーを使って、再び"解錠"した。

 

 

ミュウとレミアはゲートをくぐって本来の世界へと先に戻っていった。

 

 

この後、檜山は雫に斬られるだけ斬られて(斬りたいものだけ斬る能力多用。)

 

痛みや苦痛等で発狂しそうになる度に香織に、魂魄・再生魔法で癒やされ、

 

二人の気が済むまで続けられたことは言うまでもない。

(香織が再生魔法のアワークリスタルもどきで1秒を10分ばかりにして半日ほど。)

 

※12時間=720分=43200秒*600=25920000秒=300日(自分で設定しといて、鬼ですね?)

 

残りの三人は、

ユエが近藤を・・・五天龍で一体ずつ突っ込ませては治しの5体目で消失させ。

シアが斎藤を・・・身体強化レベルⅦを使った100tハンマーで跡形もなく叩き潰し。

ティオが中野を・・・漆黒のブレスで塵も残さず焼き尽くし。

 

 

というあまりに酷い形で世界から消えていったことは誰も知らない。(?)

 

 

全てが片付いたので、

 

先に戻っていったレミア・ミュウを除き、

 

 

再びクリスタルキーで開かれたゲートで、

ハジメと嫁's+いつの間にかステルス発動してた遠藤も無事元の世界に帰っていきました。

 

 

-完-




うっわ・・・めっさ長かった。


え?本文40000文字?


原作設定活かす為にカットできなかった部分が多いとは言え凄いな。


よく心折れなかったわ。


書くのにも8時間ぐらい掛かってるしね・・・。(涙


誤字脱字もう今から見直す気力ないよ・・・時間見つけてあれば直してきます。


※一応、ある程度は直したり修整しましたが、もう訳が分からなくなってます。


初めてcaseの後にサブタイつけてみました。


断罪の日って言っておきながら結局、
狂信者共・エヒト・アルヴ・神の使徒・その他・小悪党4人組以外・・・消してはいないんですよね。


天之川は精神的断罪。
殺っちゃっても良かったんだけど、それはそれで。


恵里はどっちかって言うと断罪の上の救済。
だってこの時点だとまだ何もしてないんだもの。
流石に可愛そうだよね?だよね?
(地球での排除行動考えたら、甘すぎたかな?)
一応、簡単に死なない様にお土産と言う何かを渡してるという設定を追加しました。


登場キャラ数増やすとセリフとか色々大変ですね?
口調とか設定とか、色々。


一応な後日談。


この後のトータスの世界がどうなったのかはミレディさんにぶん投げたので、皆さんで想像してください(ぉぃぉぃ


魔王ハジメさん達の元の世界:
設定上は一応原作の最新時系列のつもりです。アフターストーリーの、ミュウちゃんの「魔王の娘なので」辺り。
イナバさん達の「魔物共、未知を追う」辺りだと第2世代のフラグ話って原作者さん書いてるし、
リリアーナ編の「新世界の神に、私はなる?」の辺りだと、冒頭で二十歳近いリリアーナと書いてある以上、「結構な時間も経ってる+私も子供を~の辺りで他の嫁には子供がって考えると」微妙なラインなんですよね。


一応ご都合主義的解釈用に、6人が戻らなかった元の世界の方はユエさんの能力で関係者、知人レベルで改変されたと言う設定なので。

6人が存在したことすら誰も知らず(親や家族ですら)、記録も証拠も何も残ってないという完全犯罪改変という設定で書きました。
何らかのきっかけで、齟齬が生まれたとしても勘違いか、別の何かで補完されるようなレベルで考えてくれて問題ないです。


ただ、魔王さん覚醒していない?ハジメ(トータス帰還後の記憶、技能、能力改竄したと言う設定)のもとには、

「ユエ・シア・ティオ・レミア・リリアーナ・ミュウ」というトータス組は既に嫁と娘としている!!!!」
(Case.1.2で見捨ててきたので!救いたかった!)


更にその後、そこに香織と雫と愛子さらに言えば優花が、嫁として入る可能性をほぼ確定する様に修整しました。
ハジメと香織と雫と優花と愛子と遠藤君はトータス救った帰還後の記憶、能力、技能改竄という設定にしました。

だって優花ちゃんだけ愛人とか。女子力高いのに可愛そうじゃないですか!?

どうやってその後起きただろうハジメさん周囲のゴチャゴチャを解決したの?ってのはユエさんとかアーティファクトとかで何とか?
帰還者騒動なんかは当日に帰ってるので起きてませんから。
魔王ハジメさんも、自分に宝物庫と色々な技術ぐらいは渡してる様に書き直しましたので、
その辺りの整合性はどうにか取ってると仮定して想像してください。



・・・いつか機会と時間があれば、


ハジメ×雫本妻ルート
ハジメ×優花本妻ルート
ハジメ×愛子本妻ルート


トータスの嫁枠のユエ以外はハジメの本妻化は無理かな?出来てハジメ×リリアーナ本妻ルートぐらい?


ティオは流石に色々改変しすぎないと無理だし
シアは絶対的にユエ絡ませないと話変わりすぎるし
レミアは本妻にしちゃうと\(^o^)/
ミュウは色々とアウトなので\(^o^)/


ハジメ×香織本妻ルートは多くの方が書いてるので、
改めて書く実力も気力もございません。


いつか、ハジメ以外のオリ主的な話を書くことがあっても、嫁sや優花がオリ主とくっつくような話は書く気がありませんので、あしからず。


流石に長文過ぎて疲れたのでちょーっと長い期間更新が無いかも知れません。
最低文字数程度ならボソっと増えてるかも知れませんが。



ありふれ×SHUFFLE構想については、
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=240191&uid=312987
をご覧ください。

個人的にありふれクロスオーバーが多い中で、
他の作者さん達が書いてないようなので

「ありふれ×SHUFFLE(Navelさんのアレです)」なんてのを書いてみたいな?とか考えたりしてはいますが、今月末にはSHUFFLE2出るんですよね・・・。
しかもスピンオフも入れたら、リアリアとかチックタックとかエッセンス+とか。

ハジメ君ソロ主人公で書いたら、
嫁何人増えるんだ!?!?となるし、
ハジメ君+稟くんのダブル主人公ストーリなんてかける気がしない・・・。

どちらにしても書き始めるとしたら、
シリーズやり直してストーリーちゃんと思い出してからになると思われるので、
だいぶ先の事になるでしょうね。



これからもちまちまと頑張りますので、気が向いたら読んでみてください。

※※

投稿する直前に読み直してみたですが、

恵里断罪部分、ほぼ原作ママ近い・・・禁止されちゃうかも知れません。


誤字等を大幅に修整。
改竄対象から、ハジメ+嫁s+遠藤+優花を外してます。
その辺りで生まれる問題は、ご都合主義で解決したと思いください。

突然ですがアンケートです。次に読むとしたらどんなお話が読みたいですか?(結果通りのものがすぐに書けるかは分かりませんが参考にさせて頂きたいと思います。)

  • (予告済の)リリアーナ本妻ルート
  • (構想中)ハジメ×雫本妻ルート
  • (構想中)ハジメ×オリヒロ本妻ルート
  • (構想中)ハジメが嫌われ者じゃないルート
  • (構想中)優花本妻ルートの続き
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