月の少年のプロムナード   作:ゆるポメラ

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ゆるポメラです。
かなり前から、書きたかったので、息抜きに書いてみました。
楽しんでいただけると幸いです。

それではどうぞ。


第0話 2駅隣へ

ここは花咲川女子学園(はなさきがわじょがくえん)。歴史ある女子校である。

その放課後の2年A組の教室にて。

 

「……あ、いたいた。花音(かのん)さーん」

「あれ? 美咲(みさき)ちゃん?」

 

1年後輩で同じバンドの奥沢美咲(おくさわみさき)松原花音(まつばらかのん)がいる教室を訪ねて来た。

 

「このハンカチって、花音さんのですよね? 昨日の練習の後、スタジオに忘れてましたよ」

「あっ、私の……! 失くしちゃったかと思ったんだ。ありがとう、美咲ちゃん」

 

忘れ物のハンカチを届けに来てくれた美咲にお礼を言う花音。

 

「クラゲの柄だから、花音さんのだろうなと思って」

 

彼女がクラゲ好きだから直ぐに分かりましたと付け加える美咲。

それにしてもクラゲの柄なんて珍しいのではないだろうか?

 

「このハンカチ、水族館にあるカフェのグッズなんだ。ペンギンとかイルカとか他にも色々な柄があるんだよ」

「へぇ、そんなに……!」

「あそこのカフェは、メニューもすごく楽しいの。海の生き物にちなんだものがたくさんあるんだ~」

 

思い出したらまた行きたくなっちゃったと言う花音。

実は彼女、カフェ巡りが趣味なのである。

 

「……あ、そういえば新しくできたカフェの事知ってます? 3Dラテアートをしてくれるお店らしくて、今、すっごく人気みたいです」

 

カフェで思い出したとばかり、美咲が新しくできたカフェの事を花音に話す。

 

「すりーでぃラテアート……?」

「えーっと、普通のラテアートって、表面にイラストが描いてあるじゃないですか? 3Dラテアートの場合は、そのイラストがカップから飛び出してるデザインというか、立体的なんですよ」

「ええっ、カップからイラストが飛び出すの? どうやってるんだろう……」

 

花音に3Dラテアートの意味を解かりやすくする美咲。

 

「フォームミルクっていう、ミルクを泡立てたものを使ってるみたいです。泡の硬さに強弱をつけて、色々変化をつけたりするらしいですよ」

「そうなんだ、凄いなぁ……そんな事ができるんだね。カップからクラゲが飛び出してくるようなラテアートもやってもらえるかな?」

「クラゲのラテアートはあんまり見たことないですけど……多分お願いしたらやってもらえると思いますよ」

 

苦笑いしながらも答える美咲。そもそもクラゲのラテアートを注文するのって花音さんくらいなんじゃ……と思うのが彼女の心情である。

 

「わぁ、凄いね……! ねぇ、美咲ちゃん、そのお店ってどこにあるの?」

「えーと、確か2駅隣ですよ」

「2駅隣かぁ……ちょっと遠いんだね。行くの難しいかも……」

「いやいや、2駅なら電車であっという間ですよ」

「えっと……そういう事じゃなくて……美咲ちゃんも私が方向音痴なの知ってるでしょ? 行った事のない場所だと余計に迷子になりそうだし、ちゃんと行けるかどうか自信がなくて……」

 

それを聞いた美咲はそういえばそうだったと思った。

花音と一緒にいても気がつくと、美咲でも予想しなかったとんでもないところに移動してたりするのである。

それくらい花音は方向音痴なのだ。

 

「それを聞いたら確かに花音さん1人だと心配かも……」

「でも、新しいカフェ行ってみたいな……」

 

2人がそんな話をしていると教室のドアが開く音がした。

 

「あら、美咲ちゃん。うちのクラスで何してるの?」

 

入ってきたのは、花音のクラスメイトの白鷺千聖(しらさぎちさと)。アイドルバンド、Pastel*Palettes(パステルパレット)のメンバーで、元子役の若手女優の名で学校に知れ渡っている。

 

「あ、どうも。ちょっと花音さんに用があって来たんです」

「ねぇ、千聖ちゃん。新しいカフェができたんだって。ええっと、立体的な……ええっと、す、すりー……?」

「3Dラテアートです。立体的なラテアートを作ってくれるカフェができたらしくて、今その話をしてたんです」

 

千聖に挨拶をしつつ、花音に用事と先程話していた内容を千聖に話す美咲。

 

「そうだったの。私も雑誌ではよく見るけれど、実際にこういうラテアートを作ってもらった事はないわね」

「行ってみたいなって思ったんだけど、私1人だけじゃ迷子になっちゃうし……あっ、そうだ。一緒に行かない、千聖ちゃん?」

「え……?」

 

突然の花音の誘いに少し驚く千聖。

 

「1人だと心細いし、どうかな……?」

「ええ、構わないわよ。ちょうど週末は予定もないし」

「わぁ、ありがとう、千聖ちゃん!」

 

偶然にも予定が入ってないから大丈夫と言う千聖の言葉に喜ぶ花音。

 

「あ、ただ2駅先なんだよね……」

「2駅先……そんなに遠い場所にあるのね……」

「いやいや、なんで白鷺先輩まで!?」

 

千聖の言葉に驚く美咲。

すると花音が……

 

「あ、そっか……! 千聖ちゃん、電車に乗るの苦手だったよね?」

「えっ? そうなんですか?」

 

忘れてたと困った表情をしながら言った。

意外な事実に美咲は驚く。

 

「あんまり利用した事がなくて……勝手がまだよく分かってないの」

「あー、確かに芸能人って、電車より車で移動してるイメージがあるかも……」

 

苦笑いしながら理由を話す千聖に、美咲はよくよく考えたら、芸能人ってタクシーとかで移動するのが多い気がすると思った。

カフェには車で……と言おうとした千聖だが、少し考え込んだ。

そして……

 

「いえ、苦手な事を苦手なままにしておくのはよくないわね。これにいい機会だから、電車に慣れる努力をしてみるわ」

 

……と、敢えて苦手な電車を使ってみようと提案した。

 

「それに2駅先なら乗り換えもないし、挑戦するにはいいと思うの」

「う、うん! そうだよね……! ちょっと遠いからって諦めてじゃダメだよね! 私も方向音痴を少しでも直せるように頑張るよ!」

 

千聖の言葉に花音もやる気満々である。

それを光景を見ていた美咲が……

 

「あの、2駅先に行くのにそんなに気合い入ります……? もし不安でしたら、あたしの()()()()()()()に降りる駅とか、詳しい場所とかを訊いておきますけど……」

 

そう言った。

なんか花音と千聖だけだと不安なのである。

 

「美咲ちゃんの……」

「知り合い……?」

 

その一言に首を傾げる花音と千聖。

 

「はい。花音さんと白鷺先輩が行く3Dラテアートのカフェの事を教えてくれた別の高校の先輩で、水無月悠里(みなづきゆうり)先輩って言う人なんですけど……」

「「えっ!? 悠里(くん)と知り合いなの!?」」

 

美咲の口から予想外の人物の名前が出てきた事に驚きのあまり、ハモる花音と千聖。

 

「えっ? もしかして、お知り合いなんですか?」

「知り合い……というか、薫と同じで悠里とは幼馴染みなの」

「わ、私もそんな感じかな……」

 

なんか意外……と思ったと同時に美咲は世間は狭いと思ったそうな。

 

「別の高校って美咲ちゃん言ってたけど……悠里くんって、月ノ丘高等学院だよね? 千聖ちゃん」

「そうよね」

「えっ? 水無月先輩って月ノ丘高等学院だったんですか? あれでも……一昨日だったかな? 商店街で、偶々会ったんですけど、音ノ木坂学院の制服を着てましたよ?」

「「……((そこって女子校だった気が……))」」

 

スマホで連絡先を探しながら花音と千聖の会話を聞いて再び驚く美咲。

違う高校……それに何故女子校の制服を彼は着ているのだろうか?と疑問に思う花音と千聖。

そして何故、美咲が彼の連絡先を知ってるのかという疑問も上がった……

 

「あっ。もしもし。どうも。水無月先輩ですか? 一昨日、先輩に教えてもらったカフェの事なんですが……」

『あー……3Dラテアートのカフェの事? どうかしたの?』

 

件の先輩に電話する美咲。

 

電話越しだけど、悠里、変わってなさそうね?(美咲ちゃんが羨ましいわね……)」

そ、そうだね……(美咲ちゃん、いいなぁ……)」

 

邪魔にならないように小声で話す千聖と花音。

 

「(なんか後ろの2人の視線が地味にキツイ……) それでうちの高校に先輩の知り合いがそのカフェに行きたいけど、1人が方向音痴っていうのと……あとその……電車に乗るのが苦手な人で……」

『……もしかして、それって千聖ちゃんと花音ちゃん?』

「あーはい、そうですーって、なんで分かったんですか!?」

『…僕の中で該当者が2人しかいないんだよね。どうしても』

 

あたし、あんまりヒント出してないけど、よくそれだけで分かるよなぁ……この先輩も。と美咲が思ってると、花音が、代わってもらってもいいかな?と視線で訴えてきた。

ちょっと代わりますねーと悠里に言いつつ、スマホを花音に渡す。

 

「もしもし?」

『…びっくりした。声からして花音ちゃんかな、かな? 元気にしてる?』

「うん♪ 千聖ちゃんも一緒だよ?」

『そっか。おーい。千聖ちゃーん、体調管理は気を付けてるー?』

「聞こえてるし、気を付けてるから、大丈夫よ。悠里こそ体調管理は気を付けてるんでしょうね?」

 

突然の自分へのキラーパスに溜息を吐きながらも返事する千聖。

その表情はかなり穏やかだ。花音も同じである。

 

「そ、それでね? 美咲ちゃんから聞いたんだけど、2駅先のカフェ……千聖ちゃんと行くんだけど、その……悠里くんも一緒に行かない?」

『…まぁ、テストも終わったし……知人の練習予定とかも週末には入れてなかった筈だから……空いてるよ? てか、僕も一緒に行っていいのかな?』

「わ、私は、一緒に行きたいな……?」

『…そう? 千聖ちゃんは? これちょっと僕の一存じゃ決められないんだけど』

「わ、私!? その、私も……一緒に行きたいわね。しばらく悠里に会ってないし……」

 

花音と千聖も頬を赤く染めながら、悠里に返事をする。

 

「…………(花音さんのあの表情はなんとなく想像できるけど……白鷺先輩のあんな表情、初めて見た……)」

 

会話を見守る美咲。

特に千聖がそういう表情をしてる事に内心、驚いていた。

 

『じゃあ……行く予定はその日だね。あ、電話番号は一応、美咲ちゃんに見せてもらって、その番号でかけてもらえれば僕も2人からの電話にも出るから』

「うん♪ じゃあまた後でね♪」

「私からかけるから、ちゃんと出なさいよ?」

『…ほーい。連絡、お待ちしてまーす……』

 

通話終了のボタンを押し、ありがとうと言いながら、美咲にスマホを返す花音。

 

「あの、花音さん、白鷺先輩…………」

「なあに、美咲ちゃん?」

「何かしら?」

 

個人的に凄く気になった美咲は直球でこう言った。

 

「花音さんと白鷺先輩って、水無月先輩の事……好きなんですか?」

「「…………」」

 

だんまりだった………あ。これは図星だなと美咲は思った。

何故なら、花音と千聖の表情がこれまでにないくらい、真っ赤だった事をここに記す。




読んでいただきありがとうございます。
更新は注意書きにも書いてありますが、速かったり遅かったりです。
次回もよろしくお願いします
本日はありがとうございました。


※主人公の簡単なプロフィールです。


水無月悠里(みなづきゆうり)


容姿イメージ:『らき☆すた』の岩崎みなみ

誕生日:12月12日、いて座

血液型:A型

一人称:僕
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