千聖ちゃんと花音ちゃんが親友になったのって、
中等部時代と表記されていましたが、具体的には中学2年かそのくらいなのかな?
明確にされてないので、今でも疑問に思います。
それではどうぞ。
────遡る事、それは中等部時代。
「次は移動教室ね……」
花咲川女子学園の廊下にて。
次の授業が移動だったので、千聖が移動の準備をしていると……
「よいしょ……うーん、ま、前が見えない……」
「あれは確か同じクラスの松原さん……? あんなにプリントを抱えて大丈夫かしら……?」
同じクラスの花音が、大量のプリントを抱えながら、こっちに歩いていた。
視界が上手く見えてないのだろうか……?
「み、見えない……っとと、わっ!?」
「えっ!?」
「ば、バランスが~……! ふぇ、ふえぇ~っ!」
「ちょ、ちょっと……きゃあっ!」
足元のバランスを花音が崩してしまい、千聖とぶつかってしまう。
「ああ、プリントが……ええと、松原さん大丈夫?」
「ふぇっ!? すすすす、すみません! すみません~!」
「松原さん、ちょっと落ち着いて。私なら大丈夫よ」
「すみません! 学食の揚げパン、あげますから!」
「あ、揚げパン?」
慌てる花音をなんとか落ち着かせるが、彼女は学食の揚げパンをあげますからと慌てながら千聖に言った。
「はい、学食の揚げパンあげますから、許してください! カリッとしてるけど中はふわふわで美味しいので……!」
「分かったわ、分かったから落ち着いて……!」
「きな粉味も付けますから~!」
「ちょっと松原さん……!」
「ふえぇ、すみません~!」
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「ごめんね、先輩だと思ってびっくりしちゃって……」
「だからあんなに慌てていたのね。こっちが驚いてしまったわ」
ようやく落ち着いた花音は千聖に話す。
「あの、プリント運ぶのまで手伝ってもらっちゃって……ありがとう」
「いいのよ。それより、どうして揚げパンなの?」
「ふぇ? 揚げパン?」
プリントを手伝ってくれてる千聖にお礼を言う花音。一方で千聖は、彼女がさっき言っていた揚げパンをあげるってどういう事かを訊ねた。
「そ、それはその……! 学食の揚げパンがすごく美味しいから、あげたら許してもらえると思って……」
「そ、そう……よっぽど美味しいのね」
「うん、すっごく……! カリッとしてて、中はふわふわなの! 出来立ても美味しいし、冷めても美味しいんだよ!」
「へぇ、そんなに言われると食べてみたくなるわね。松原さんはよく食べているの?」
千聖の質問に花音は、買える時は……と言いかけるが、彼女はどうして自分の名前を知ってるの?と訊ねる。
「やっぱり気づいてなかったのね。私、同じクラスの白鷺よ」
「……あっ! そっか、どこかで見たことあるなって思ってたんだ。ごめんね、新しいクラスになったばかりでまだ慣れてなくて……」
「ううん、いいのよ。気にしないで」
花音の言葉を聞いた千聖は、自分が元子役だと気づいてない事に驚く。他のみんなにも知られていると思ったが、こんな子もいるのねと思った。
「そうだ。白鷺さん、今日のお昼、一緒に揚げパン食べに行かない?」
「え? 私と?」
「あ、もちろん、よければだけど……」
「……ええ、いいわよ」
花音の誘いに少し驚いた千聖だが、誘いを受けた。それを聞いた花音は気に入ってもらえるといいなぁと言った。
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「……美味しい。松原さんの言っていた通り、カリッとしてるのに中はふわふわね。油っぽさもないしすごく美味しいわ」
「でしょ? よかったぁ、美味しいって言ってもらえて。人気だから、いつもすぐに売り切れちゃうんだ」
昼休み、花咲川女子学園の中庭にて。
2人は学食の揚げパンを買って、ベンチに座って食べていた。
千聖は初めて食べる揚げパンの味に、花音は喜んでもらえてよかったと言う。
「ご馳走してくれてありがとう。今度何かお礼するわね」
「えっ、お礼なんていいよ~! プリントを運ぶのを手伝ってもらったお礼だし……」
「そういうわけにはいかないわ。プリントを運ぶのだって、大した手間じゃなかったもの。今度お茶でもご馳走させて」
その言葉に花音は、おすすめのカフェがあったら教えてほしいなと言った。
「私ね、カフェ巡りをするの好きなんだ」
「本当? 私もカフェでお茶をするのが好きなの」
「わあ、嬉しいな。じゃあ今度連れてって……あれ?」
「どうかした?」
「うん、みんなこっちをチラチラ見てるなと思って……」
2人が話してると、花音が周りの人達が何故か自分達を見てると言う。
それを聞いた千聖は、私を見てるのよと返す。それに対して花音はどういう事?と疑問を投げかける……
「……私、芸能活動をしているの。元子役の白鷺千聖って言えば分かるかしら」
「元子役の白鷺千聖……? えっ? もしかして、あの千聖ちゃん!?」
「芸能人なんて肩書きがついていると近寄りがたいみたいね。みんな、遠巻きに見るだけで話しかけてこないし、私がいると気を使って疲れるみたい」
だから、こうして誰かと一緒にいるのが気になってるんでしょうと付け足す。それを聞いた花音はそうなんだ……と驚きながら言う。
「(やっぱり、松原さんも驚いているみたいね……もしかしたら悠里みたいに普通に話せる友達ができるかもしれないなんて……少しだけ期待してしまったわ)」
自分の事を普通の1人の女の子として接してくれる幼馴染みのように、また普通に話せる友達ができるかもと期待してしまう千聖。
「うーん、でも、みんな
「え……?」
「きっとどう話しかけたらいいか分からなくて遠慮してるだけだよ。千聖ちゃんから話しかけてあげたら、どうかな……? あっ、ご、ごめんね。余計なこと言って……でも、凄いね。小さい頃からお仕事してるなんて尊敬しちゃうよ」
「…………」
花音の言葉に戸惑ってしまう千聖。
その表情を見た花音は、何か変な事言った?と訊く。
「いえ……私が芸能人だと知ったら、よそよそしくなるのが当たり前だったから……」
「わ、私、よく変わってるって言われるから……千聖ちゃんが芸能人って聞いても……あっ! ごめんね、私、千聖ちゃんって……」
気づけば千聖を名前で呼んでた事に対し謝る花音。
「ううん、千聖ちゃんでいいわ。あの、私も名前で呼んでいいかしら……?」
「うん♪ 千聖ちゃん♪」
こうして2人は親友となったのである。
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その後は色んな事を話した。
好きな物や嫌いなもの等……花音はよく迷子になるや千聖も電車に乗るのは苦手な事などを話す……
「私ね、花音みたいに普通に話せる友達って今まであまりいなかったの……」
「そうなんだ……」
「けどね? たった2人だけ……花音のように普通に話してくれる幼馴染みがいたの。1人は男の子なんだけど……特にその子は、私が芸能人とか関係なく、いつも『1人の女の子』として接してくれたの」
その話を聞いた花音は素敵な人だねと言った。
ちょっと幼馴染みの事を褒められて、照れくさくなる千聖。
「私もね? 男の子の幼馴染みがいるんだ。って言っても、初めて行った思い出の水族館でしか会えないんだけどね? 毎年、この時期になると会えるから楽しみなんだ♪ この学校で上手くやれるかな?って相談したら、"大変かもしれないけど花音ちゃんは優しいし、できるよ"って……」
「そうなの……その人は花音の事、よく見てるのね」
頬を赤くしながら、千聖に話す花音。
恐らく、彼女の人柄を理解してるうえでの言葉だろう。
そうじゃなかったら、"大変かもしれないけど"なんて言葉は使わないと千聖は思ったから。
「その男の子の名前ってなんていうの?」
「えっとね、水無月悠里くんっていうんだ。優しくて、カッコイイの……」
「え……?」
興味本位で花音にその男の子の名前を訊くと、彼女の口から、自分が知る幼馴染みの名前が出てきたのだ。
「? 千聖ちゃん、どうかしたの?」
「その……私がさっき話した幼馴染みの事なんだけど……その……悠里なの」
「ふえぇ~!? そ、そうなんだ……あ。でも悠里くんなら納得かも。でもびっくりだよ、千聖ちゃんも悠里くんの幼馴染みだったなんて……」
「私も……花音の話を聞いたら、確かにその言葉をかけるのは悠里ぐらいね。悠里……何してるのかしら……」
寂しそうにポツリと呟く千聖。
彼に最後に会ったのはいつだろうか……?
「…千聖ちゃん、もしよければ今週末……一緒に水族館にでも行かない?」
「え……?」
千聖の表情を見かねて花音が誘う。
その言葉に驚く千聖。
「ちょうど今週末に私、さっき話した水族館に行くんだけど……もしかしたら悠里くんもいるかもしれないから。本当に来るかは分からないけど……」
もしよければどうかな?……と花音が言う。
彼女曰く、確証はないけど悠里は花音が水族館に行く時は、必ずと言っていいほどの確率で遭遇するとの事……
「えっと、私も一緒に行っていいの……?」
「うん♪ 私は千聖ちゃんと一緒に行きたいな」
「……分かったわ。その日は予定も入ってないから一緒に行きましょう」
「ありがとう♪」
こうして千聖は、週末の休みに花音と水族館に行く事になった。
悠里にも会えたらいいなと思いながら……
読んでいただきありがとうございます。
次回は、オリジナルの話になります。
本日はありがとうございました。