今回で最終回になります。
それではどうぞ。
「千聖ちゃんと出会った時の事、なんだか懐かしいね」
「あの時は、本当に嬉しかったわ。悠里みたいに普通に接してくれる子に初めて学校で会ったの」
「…というか、花音ちゃんは優しいし、誰にでも普通に接してくれると僕は思うけどね?」
思い出話をしていた3人は、気づけば2駅隣の駅前まで歩いていた。
「そうね。友達になってくれて、ありがとう、花音」
「ふぇ!? お、大げさだよ~! わ、私のほうこそ、いつも仲良くしてくれてありがとう」
「…2人はやっぱり理想的な親友だと思うよ」
「ふぇ? 悠里くん……なんか言った?」
「……ん? なんでもないよ」
千聖と花音に聞かれなくて良かったと内心思う悠里。
あの時……自分は精神的に不安定な部分もあり、しんどかった時期だった。
頼りたい友人がいても、限定的な時間しか頼れず、周りは見て見ぬふり……
けど、千聖と花音は深い事は聞かず、悠里が言いたい時は話を聞いてくれた。
「あの、ところで悠里くん、千聖ちゃん……?」
「…ん? どうしたの?」
「結構歩いたと思うんだけど、カフェまであとどれくらいかな?」
「ちょっと待って。スマホのマップで確認するわ。そろそろ着く筈だと思うけど……」
千聖がスマホでカフェの場所を確認しようとした時……
「……あっ! 千聖ちゃん、悠里くん、あのお店ってもしかして!」
「! ええ、あのお店が目的地のカフェよ……!」
「…ほんとだ。気づいたら無事に目的地に到着ってやつだね」
「「……!」」
目的地のカフェに到着した。
それを見た3人……特に千聖と花音は喜びの表情をしていた。
「うう、ちゃんと着いたよ~~! 千聖ちゃん! 悠里くん!」
「本当ね……最初はどうなることかと思ったけれど……」
「…夢、叶える事ができたね?」
「ええ、小さな夢だけど、私でも叶える事ができたのね……」
「……? ねぇ、千聖ちゃん、悠里くん? あそこにいるのって……」
花音が遠くで何かを見つけたようだ。
どうしたのかと思った悠里と千聖が視線を向けた。
その先にいたのは……
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「薫さーん! そっちは花音さん達いた?」
「いや、こっちにはいなかった。やはり迷っているのかもしれないね」
「お店の近くで待ってれば来ると思ったのに……どこ行っちゃったんだろ?」
薫、美咲、彩の3人だった。
公園での一件の後、悠里達が来ないので、目的地のカフェの近くで待ってれば来るんじゃないか?という彩の提案により今に至る……
「すまない。公園で私が子猫ちゃん達と戯れてる間に、完全に3人を見失ってしまった」
「えっ、か、薫さんのせいじゃないよ……!」
「いや、戯れてた人をそんなフォローしなくていいですよ」
少し呆れ気味に言う美咲。
囲まれてた薫さんを助け出す身にもなって欲しいんですがね……と付け足す。
「ああ、肝心な時に力になれないなんて悲劇だ……!」
「……別にあなたの力は必要ないけど?」
「ん……?」
薫がそう言った時、第3者の声が聞こえた。
そこには千聖の姿が。
「「「ええっ!?」」」
「…やっぱ人って、こういうふうに声をかけると高確率でハモるよね、まさにフシギダネ……」
揃って驚く薫、彩、美咲を見て、謎の持論を呟く悠里。
「千聖ちゃんと花音ちゃん、悠里くんも、いつの間に……!」
「それはこっちのセリフよ」
「ええと、みんな、どうしてここにいるの?」
「私達を探していたように見えたのだけど、気のせいかしら?」
これを見た美咲は、実は……と言いながら3人に話した。
「……というわけなんです」
「こっそり人についてくるなんて、いい趣味とは言えないわね」
「すみません。駅での様子を見てたら気になっちゃって……」
「そ、それってどの辺りかしら?」
駅での様子と言われた千聖は美咲に訊ねる
「あー……白鷺先輩が水無月先輩にお姫様抱っこされてた辺りからですかね……」
「…………」
「ふ、ふえぇ~……」
美咲の言葉に千聖と花音は顔が真っ赤になる。
花音に至っては、弱々しく、ふえぇ~と言っている。
そうか。自分達はあの辺りから見られていたのかと思うと、恥ずかしくて堪ったもんじゃない……
正直、穴があったら入りたい。そんな気分だった。
「わ、私もごめんね。悠里くん……」
「…ううん。気にしてないよ。彩ちゃん達が尾行してたのは気づいてたし」
「えっ!? 水無月先輩、気づいてたんですか!?」
悠里の言葉に驚く美咲。
同時に千聖も花音もえっ!?という表情になる。
「…ほんとに気づいたのは電車に乗った辺りかな。ピンク色の髪色でサングラスをしてる人が一瞬だけチラッと僕達の方を見てたからさ、そんな特徴的な髪色なんて彩ちゃんぐらいだろうなって思って」
「うぅ……やっぱり悠里くんにはバレてたんだ……」
実は尾行に気づかれていた事にショックを受ける彩。
それならなんで教えてくれなかったの?と悠里に言う千聖。
「…だって教えたら意味ないじゃん。ね? かおちゃ……薫ちゃん?」
「え? ああ。その、3人の力になろうとしていた事はわかってほしい」
「だからって、こっそりついてこなくてもいいでしょう?」
薫の言い分に、千聖は何もこっそりついてこなくてもいいでしょうと言うと同時に、悠里がさり気なく、薫を昔の渾名で呼ぼうとしてた事に内心笑いそうだったが。
「ち、千聖ちゃん……みんな心配してくれたんだよ」
「ええ、分かってるわ。でも、心配する必要なんてなかったでしょう? こうして私と花音と悠里は目的地まで辿り着けたのだから」
千聖がそう言うと、美咲がそれは確かにと言いながらも色々大変じゃなかったですか?と言う。
「見てましたけど、駅では人の波に流されてましたよね……?」
「私も駅のホームで、3人が必死に走ってるのを見たよ! 転びそうになりながらと思ったら、悠里くんが2人を抱えて走るし♪」
「それにハンドメイドのイベントだよ。あの目が回るような人混みに大変な思いをしただろう?」
美咲、彩、薫が順に言う。
「「「大変……?」」」
「…そういえば、電車は大変だったよね……?」
「ええ、間違えて急行に乗るなんて思いもしなかったわ」
「でも、悠里くんのお陰でギリギリ乗れた時はなんだか映画のワンシーンみたいだったよね。ドキドキしちゃった」
「ふふっ、そうね♪ ちょっとだけスリルがあったわね。乗り間違えたのは悔しいけれど、悪い事ばかりじゃなかった気がするわ」
「うん! 悠里くんに可愛いプレゼント貰ったよね! あ、そうそう、薫さんと美咲ちゃんにお土産があるよ!」
「彩ちゃんにもお土産があるから楽しみにしてて」
「…この2人、それはまぁ、活き活きとした表情をしてお土産を選んでいたんだよ?」
悠里が付け足すと2人はもうっ!と頬を赤くしながら抗議した。
「…あ。それから、会場で見た空、綺麗だったよね。確かあの時、空を見て花音ちゃんが言ったのは……」
「「「空の水族館!」」」
息ピッタリに言う3人。
「なんか盛り上がってますね……」
「大変そうだけど、意外と楽しんでたんだ……」
「どうやら本当に余計な心配だったのかもしれないね」
「……ううん。逆に助かったよ。心配してくれて、ありがとね? かおちゃん」
「えっ!? あ、あはは……」
悠里が薫だけに聞こえるように何かを言ってそれに動揺する薫。
その表情を見て察した千聖は、隠すの下手ねぇ……と思ったそうな……
「そうだ。せっかくだし、このお店で一緒にお茶しない?」
花音の提案に悠里がそれは名案だねと言う。
「あたし達もお邪魔しちゃっていいんですか?」
「ええ、もちろんよ。まだこっそり私達を見ていたいのなら、無理にとは言わないけど」
「うう、ごめんってば~!」
「それじゃあ、積もる話に花を咲かせようか。ここに来るまで、お互い色々あったみたいだからね」
「…それもそうだね。てなわけで、テラス席を予約してくれない? なんなら薫ちゃんのカリスマオーラでなんとかしてもらおうと僕は思うのですよ」
それを聞くと薫は任せてくれと言わんばかりにカフェに行ってしまった。
そして彩も何を思ったのか、私も頑張るよ!と言いながら、薫に続いて行く。美咲も溜息を吐きながら、追いかけて行く。
「えへへ、楽しいお茶会になりそうだね、千聖ちゃん、悠里くん!」
「ええ、そうね。楽しみだわ」
「…千聖ちゃん、花音ちゃん、ちょっといい?」
花音と千聖が話してると、
悠里が2人を呼び止めた。
「悠里くん、どうしたの?」
「具合でも悪いの……?」
「…心配してくれるのは嬉しいけど違うから。ちょうどいいから今のうちに2人に言っておこうと思って」
具合が悪いのかと勘違いし、心配する千聖。
しかし彼は違うと言う。ではなんだろうか?と2人が思った時だった。
「……一度しか言わないから。
友達になってくれてありがとう……と笑顔で彼は言った。
「ゆ、悠里……今、私の事……」
「ふ、ふぇ……? ゆ、悠里くん……今、私の事……」
突然の事に追いつかない千聖と花音。
「悠里くーん、テラス席が取れたよ~~! 千聖ちゃんと花音ちゃんも早くおいでよ!」
「…ほら。彩ちゃんが呼んでるから、早く行こ?」
そんな彼女達2人をよそに悠里はカフェに向かう。
「ちょ、ちょっと悠里! 待ってってば!」
「ふぇぇ~! 2人共、置いてかないで~!」
悠里を追いかける千聖と花音。
しかし、彼女達の表情は、これまでにない位、嬉しそうな表情だったという……
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで出来たのも、読者の皆様のお陰です。
気が向いたら、また何か息抜きに書くかもしれません。
それではまたいつかどこかでお会いしましょう。
ありがとうございました。