布団の下には
布団の下にはシージが眠っている!これは信じていいことなんだよ。何故って、布団があんなにも膨らんでいるなんて信じられないことじゃないか。俺はあの膨らみが信じられないので、この毎日不安だった。しかしいま、やっとわかるときが来た。布団の下にはシージが眠っている。これは信じていいことだ。
いつの間にか自分にとって、シージのことを形容するなら、ライオンというより猫の方が近く感じるようなった。
夏場には、クーラーをつければ大体風に当たっている。ここが一番よくあたるからと、隣で文字通り溶けはじめる。
冬場には、ストーブをつければ大体熱に当たっている。足が冷たいから足元に置いておくと、彼女が足元で寝始める。さすがによろしくないと思って、彼女に貸し与えて、自分はブランケットを使う。そうしてストーブは埃をかぶるようになった。
夏には自分の肌が涼しいから、冬には暖かいからと言って、何かとつけて近くにいたがる。
自分には彼女が何を考えているのかがわからなかった。
常に眠そうな顔をして、なぜかジャケットのもう片方の袖を通そうとしない。何か思いつめた顔をしてると思ったら、まったく同じ飴二つもってどちらを取るかを悩んでいる。
今日も、シージは自分の布団に住んでいた。広義では同衾だが、頭が同じ高さにない。包まっていつも足元にいる。寝ぼけた時は、不意に足で布団の中でうごめく物の存在を確かめる。その度彼女は嫌な顔をするが、それなら何も同じ布団に入る必要はなかったと思う。
これでも外に出れば、いつもの凛々しい彼女に豹変するものだから、いよいよ幻覚を見ていないかと疑わしくなる
彼女が執務室に入る時は、決まって外がうるさいという。確かにうるさい日もあるが、そうでないときも同じことを言っている。
なぜこうもやってくるのかと尋ねたことがある、視線を逸らして何も言わなかった。別に嫌ではないから、これからもくるといい。
そうして気づいた頃には、いよいよ執務室に住み始めた。我が物顔で、ソファに横たわってる。そこを占領されている限り、仮眠は大抵雑魚寝している
せめて布団をよこせ、代わりにベッドをくれてやる。そうとは言うが、布団とシージはセットとなって出てくる。
どうも自分に懐いている。手を差し出して平を下に向ければ頭を当ててきて、上に向ければ顎を置かれる。
帰ってくるときは決まってドアの前で待ってくれるが、まっすぐソファに行って座ると、そこが妙に暖かい。
事務作業に集中するときは大人しくじっと待ってくれるが、決まって両耳がこちらを向いている。試しに名前を呼んでみると、すさまじい速さで反応してきた。
ついさっきも、そばにシージがいた。自分はあぐらをかいて座っているが、その足の間にチョコンと収まるほどシージは小さくない。それでもはみ出しながらなぜかそこにこだわる。
その飴は、どんな味がするんだ。ふと聞くと隣の彼女は含んでいた飴をつまんで、舐めてみるかと尋ねてきた。まあ気になる。
なら、試してみるといい。言ってそれを差し出してきた。何の冗談だと、不可解な顔を見せる
そうか。と彼女はすぐに察すと、ならば目は閉じろと言う。なにも照れくさくて拒否しているわけではない。
懸命にダメな理由を述べているうちに、うるさいなと両頬をつままれて突っ込まれた。味がしない
急いでどけると、彼女は目線をそっぽ向けて口に戻す。怒っていいのかがわからなかった。
「な、なあ。暑いんだけど」
「私が寒いのだ」
「ストーブ用意してたろ」
「あれは使い物にならん。火事になる危険すらある。それと比べれば、ドクターの方がはるかに安全だ」
何を思うか、背中に当たる息がくすぐったい。
続く。
気づくとだいぶ作風変わってたけど許して
えらべ
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