やはり俺だけレベルアップは間違っている。   作:はちまんはちまん

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プロローグ
気持ち


世界の常識は覆される。

突如として現れた【ゲート】によって。

 

異次元とこっちの世界を結ぶ通路。

 

【ゲート】

 

人々はそう口にした。

ゲートの向こう側には魔物が潜む【ダンジョン】

 

【ゲート】と【ダンジョン】平和な世界から一変した。

 

だがダンジョンの魔物を狩る者達が現れ始めた。

 

覚醒者。

人ならざる力を持った者をそう口々に言った。

 

ダンジョンの魔物を狩る覚醒者達を人は【ハンター】と呼ぶ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

熱気や冷気。ダンジョン内の薄明るい中で獣のような魔物をハンター達が狩っていく。剣を魔法を人外な力で次々と。

 

そんな中、比企谷八幡もまた同様に拳を振るっていた。陰を潜め魔物に気付かれないように少しずつ近付き拳を握り振りおろす。今日は運が良いようで急所に入ってくれた一撃は魔物の反撃が無く、魔物はその場で倒れる。

 

やっと一匹か。

 

E級ダンジョンという難易度を見れば一番簡単なダンジョンであることは間違いなかった。だが、そのダンジョンに潜って一時間程経過したあたりでようやく一匹だ。相手の強さはE級。それでも相手の攻撃が当たっていれば大怪我になっていたかもしれない。

 

俺のランクはE級。覚醒者として最も低いランクに位置する。普通の人より丈夫で回復が速い程度のハンターだからだ。

 

刈り終えた魔物から魔法石を取り出して腰に巻いている鞄に入れる。

 

その時だった鳩尾に鋭い衝撃が走った。その衝撃のまま壁に激突する。肺に溜まった酸素が吐き出されむせ返る。

 

「んあ?あー悪い悪い。まさか誰かいるとは...てかいたか?」

 

衝撃を加えてきたのは絶命した魔物だった。恐らく目の前の男に倒された際に吹き飛ばされたのだろう。

 

というか本気で謝る気無いだろ。

 

「いました...。邪魔をしてしまったみたいですいません」

 

いなかったように扱われるのは慣れていた。魔物に近付く為になるべく気配を消すようにはしてたが暗殺系の隠密スキルを使っているわけでもないのにこの認知され無さはある意味才能と諦めていた。

 

「ゴホッゴホッ」

 

「あーまたあいつ怪我してるよ」

 

「いつものことだろ?それに今回はヒーラー連れてきて無いからな。回復出来ないし、それにあの程度なら歩けるだろ?」

 

今回のハンター達はランクが比較的に高くヒーラーを呼ぶ必要が無く、怪我をすれば後は自己責任だ。背中を打ち付けた際に頭も強打したのか血が垂れていた。でも歩けない程じゃない。この程度の傷なら何度も経験していた。

 

その後は特になにも起きずボスが倒されるまで見届けて全員でゲートの外に出てきた。病院に行けばお金がかかる為、治療を受けずに家に帰る。

 

玄関の扉を開けると暖かい温もりを感じる。

 

「お兄ちゃん...もうハンターなんて辞めよう?お兄ちゃんも死んじゃうよ」

 

「小町...」

 

辞めるわけにはいかなかった。父親がダンジョンに潜って出てこなくなったあの日から。母親は病院に入院してしまった。小町は高校生で学費の事もある。何よりハンターとして活動していれば協会から入院費の補助も出る。仕事を探した所で賄える容量を超えていた。

 

「小町も、小町も学校辞めて一緒に働くから!だからお兄ちゃんだけは側にいてよ」

 

大学生だった俺は学校を辞めてハンターとして働き始めた。学校に通いながらなんて不可能だったからだ。学校を辞めて直ぐに由比ヶ浜と雪ノ下、それから一色が訪ねてきて辞めた理由を聞かれたけど本当の理由を答える事は出来なかった。雪ノ下も来たのは、同じ学校だった由比ヶ浜と一色から聞いたからだろう。

 

こんな辛い思いを小町にもさせる必要はない。それに小町は覚醒者じゃない。覚醒者なのは、俺と父親だけだ。

 

「小町聞いてくれ。ハンター意外の仕事で母さんを入院させられるお金を稼ぐのは無理だ」

 

「でも、それでも何か方法がある筈だよ!いつもいつもボロボロになってお兄ちゃんが帰ってきて...遅いときもあって、お兄ちゃんが帰ってこなかったらどうしようって小町...」

 

「なあ小町。前に雪ノ下達と千葉村にキャンプ行ったの覚えてるか?」

 

「...うん」

 

「あの時、小学生の鶴見って奴がいただろ?」

 

「お兄ちゃんが助けたんだよね」

 

「違うさ。あいつらを助けたのは葉山達だ。俺は作戦を伝えて準備を手伝っただけ。それにあいつが本当に助かったのはあいつ自身が動いたからだ」

 

あの時、ドッキリでした。で終わるはずは無かった。下手をすれば俺は退学になっていたし、鶴見留美はもっと危うい立場になっていたかもしれない。

 

「それが今回の事とどう関係あるの?」

 

「確か小町も奉仕部に入ったんだよな?」

 

「うん。一色さんに誘われて生徒会と兼任だけど」

 

「それじゃあ俺からの依頼だ。小町とかあさんを護らせてくれないか?」

 

こんな言い回しに意味は無い。けど奉仕部は雪ノ下の真髄をしっかり受け継いでいる。魚を取るときに代わりに取ってあげるのでは無くて取り方を教える。

 

「そんな言い方...卑怯だよ」

 

「ごめんな、小町」

 

強くなりたい。

小町の為にも、かあさんの為にも。

 

俺はこの時本気でそう思った。




拙文でしたが面白そうと感じてくれる人がいれば嬉しいです。
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