やはり俺だけレベルアップは間違っている。   作:はちまんはちまん

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レベルアップ
出発


平塚先生に家に送ってもらった俺は鞄を背負い家を出ようとしていた。明日のゲートが開かれる場所は東京。勿論千葉にだってゲートはあるがE級のハンターを雇ってくれるギルドは少ない。大手のギルドが大方買い取ってしまうし、新人を育てる為にゲートを使ってしまう。今回一番近い場所のE級ゲートは東京での募集だった。

 

移動にかかる時間を考えるとそろそろ出発しないと間に合わなくなる。小町は平塚先生が来ることを知っていたのだろう。既に部屋で寝ている。

 

絶対にこの場所に帰ってくる。そう決意して俺は家を出た。

 

電車での移動に慣れてきた最近は、電車の中で寝ていても各駅に止まると自然に目が覚めるようになっていた。まるで社畜になったようだと苦笑いをうかべると隣に座っていた女の人に少しスペースをあけられた、へこむ。

 

朝の7時くらいになったか、ようやく目的地である、工事現場に到着した。

 

工事現場の中に不釣り合いな怪しく光るゲート。E級ゲートといっても命がけ。生理現象の如く喉が乾いてきた。ゲートの前にはコーヒーを無料で配給してくれる場所がある。いつも通りそこでもらおうと近付くと見知った顔がいた。何処にでもいそうな年配なおじさん。名前は真島さん。E級ゲートを探して色々な場所に行ってたら知り合いになった。魔法を使い俺よりもランクの高い、確かC級のハンターだ。その隣には見覚えのない少しぽっちゃり体型のおじさんがいた。二人が話をしている様子を見るに知り合いなのだろう。

 

「お、比企谷君じゃん」

 

「県違うのに、毎度大変だね。頑張りな」

 

色々な場所で参加してきただけあって知り合いも増えた。というか大抵怪我して認知されるのだが。怪我しなければ俺がいることすら気付く人いないんじゃないかと思うレベル。

 

「お願いします」

 

社交辞令よろしく頭を下げて配給場所に向かう。

 

「皆挨拶してるけどあの子強いの?見た目的に弱そうだけど、目も腐ってるし」

 

おい、目は関係ないだろ。

 

「ああ、久我さんが辞めた後に入ってきたんだけどあの兄ちゃんの別名人類最弱兵器なんだ」

 

「最弱兵器?最強じゃなくて?」

 

最弱兵器。誰が付けたのか、S級の逆。つまり弱いから最弱兵器。間違っていない、現に俺は弱いのだから。それにしても聞こえたらまずいって言う割に結構でかい声で喋ってただろ。まあ言われるのは慣れてるし、別に何も思はない。ただ俺は生きて帰る、それだけだから。

 

「あのマッカンお願いします」

 

「あ、比企谷ハンター。すいません...マッカンが手に入ってなくて、コーヒーならあるんですが」

 

なん、だと!?マッカンが無い?いやそんな筈は、そもそも俺が頼み込んで仕入れてもらい始めて誰も飲む人はいない筈だ。

 

「マッカンが...」

 

「はい、最近マッカンにハマられた方がいて...そのS級ハンターですのでうちよりも優先されてしまうのです」

 

なんとマッカン好きが!まあそれでも、S級と話す機会なんて来るはずもないし関係ないか。

 

「コーヒーをお願いします」

 

「本当にすいません...どうぞ」

 

「ありがとうございます」

 

はあ...マッカン、飲みたかったなぁ。

 

「苦っ」

 

「あっ!比企谷さん、また怪我してる!!」

 

「げっ」

 

急に話しかけてきたのはB級ハンターの観月さんだ。ヒーラーという難易度の高いダンジョン探索にいなくてはならない存在。正直大手のギルドに入れる実力がある。なのにこうして何度も低ダンジョンで一緒になる事が多い。

 

「げっ!てなんですか!げって!それよりなんですかその頭の怪我は!」

 

一緒にダンジョンに潜る際に毎回、回復をかけてもらっているだけに頭が上がらない。正直なところ観月さんがいなければ俺は既に何回か死んでいた事だろう。

 

「まあ、いつもの事ですよ...」

 

「ほんと気をつけてくださいよ〜」

 

「でも入院までいきませんでしたし」

 

「そういう問題じゃありません!比企谷さんはもう少し自分を大切にしてください!それにその怪我...ヒーラーはいなかったんですか?」

 

「挑んだのはE級のダンジョンでしたし、他のハンターの人達のランクは高かったですから」

 

「なにそれ!自分達が平気だからってひどい!」

 

「酷くは無いですよ、ちゃんと募集要項にもヒーラーがいないことは表記されてましたから。それにハンターの怪我は自己責任ですから。観月さんも知ってますよね?」

 

「確かに知ってますけど...」

 

「さあ中に入るみたいですよ。行きましょう」

 

「はい...」

 

観月さんが納得しなくてもハンターは全て自己責任。ダンジョン内で死んだとしても仕方がない。死にたく無いのならハンターにならなければ良いだけだ。わかっていても納得は出来ないと表情を浮かべる観月さんから逃げるように入り口に向かう。

 

「楽しみにされてるところ水を指すようで悪いですが。私がこのパーティーのリーダーを勤めようと思っております、よろしいですか?」

 

この人は確か馬渕さんだった筈。ランクは確か...。まあC級の真島さんより上という時点で想像がつく。

 

「ここで一番強いのは馬渕さんなんだから俺は賛成だね」

 

真島さんの賛成から周りでも賛成の声があがっていく。

 

「俺も賛成っす」

 

俺が賛成と言おうが反対と言おうが実力がある者にしか従わないのがハンターであり、今回のメンバーの上位クラスが賛成した時点で既に決まっていた。

 

「それじゃあ、皆さん潜りますか〜」

 

その掛け声と共にゲートに入っていく。生活の為、家族の為、そして何より自分の為に。

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