「初恋ですか?」
「はい。弥柳くんもいくら付き合ったことがないとはいえ好きだった人くらいいるでしょ?それなら少し付聞いてみたいなぁって思ってね。」
と少し苦笑している男性弥柳銀次がテレビ番組の司会から振られて少し困ったように頰をかく。
この男性は恋愛ソングに定評があり新曲の宣伝としてとある音楽番組に呼ばれていたのだった
「……そうですね。僕の初恋は小学生の時同じクラスだったOさんですね。」
「ほう。小学生のころなの?」
「はい。というよりも初恋の時間が長かったんですよね。そのOさんとは高校まで同じ学校でしたから小学生3年生のからだったんで多分九年間くらいですか?まぁ同じクラスになったことは高校三年だけでしたからそのOさんも覚えているか分かりませんけど。」
男性は少し寂しそうしている、今や有名歌手でそこそこ顔もいいのでドラマにも出演していて基本的に陽気なキャラとして出演していたので。
「それは長いですね?告白とかしたんですか?」
「いや。明らかにそのOさんに好きな人がいたんで告白すらできませんでした。もともと恋愛は消極的でしたし、そこまで目立った高校生じゃなかったですから。音楽の時に歌がうまかったくらいの男の子って思っているんじゃないですか?写真とか見ていてもどこにもいる男の子でしたし。」
この弥柳といったように本当に目立った生徒ではない。部活に参加することもなく友達と話し高校三年になってようやく挨拶をする程度の仲になったのだった。
でもそれだけ
今はどこで何をしているか分からない。特に最後の一年は受験勉強に追われて恋愛どころではなかった。
この少年が希望した大学は難易度が高く、この男性は勉強に力を入れていたのだ。
「すいません。あんまり面白くない話じゃなくて。視聴者の皆さんはたとえ報われなくても告白した方がいいと思います。僕はどうしてもその人と比べてしまって。その人以上の人が未だに現れてないんですよ。未だに告白しとかなかったこと少し後悔していますから。」
「……分かる。例え報われない恋でもちゃんと想いは伝えた方がいいわよ。もしかしたらその少女もこの番組見ているんじゃないの?」
「大丈夫です。この放送時間に高校の同窓会がありまして。ちょっと特殊で高校中退した人も来るんですけどそれにその人も出席するらしいです。」
「あら〜。それじゃあ想いは伝えないの?」
「伝えませんよ。僕もちょっとその人のことは耳にしていて。今が忙しい時期になっているらしいので邪魔をしない方がいいだろうですし。」
と恋愛話で盛り上がるスタジオにスタッフからカンペが出される。もうそろそろ歌の準備に入るのであろう。
「それじゃあ弥柳くん。一言お願いしていいかしら。」
「はい。えっと土曜9時『君が知らない物語』主題歌、『後悔の恋』です。えっと俺みたいに恋愛失敗したとある少年が数十年後初恋を思い出すそんな切ない曲になっているのぜひチャンネルを変えずに聴いてください。」
「それじゃあスタンバイお願いするわ。」
といって男性は出て行く。特別スタジオに向かい歌の準備に向かう振りをする。生放送ではないので一度カットを挟んでから曲に移ることになる。
「カット。はいオッケーです!!」
「…ふぅ。」
「それじゃあ別スタジオで撮影になります。」
「はい。それじゃあ準備っていつくらいになりますか?」
「後十分で入れますか?」
「はい大丈夫です。少しリハやっていいですか?」
と変わらず笑顔で答える男性は頷くとスタッフと話し込む男性に
「本当いい子だよね〜。」
「そうですね。本当に変な噂もありませんし、ファンサービスもかなりいいらしいですから。スキャンダルも未だにゼロですよね?今の時代では珍しいですよね?」
「何であの子に恋人ができないのか私には分からないわ。」
と司会の女性とスタッフが話している。大御所と呼ばれるくらい誰もが知っている司会の女性は実はプライベートで夫である音楽プロヂューサーと弥柳が仲がいいのでプライベートでも優しい性格であることをしっていた。悪口一つ言わない。聖人みたいな男性って。そんな彼が唯一嫌うことが恋愛目当てで近づいてくることであり実は何人かの女優から紹介してほしいと頼まれているのだが全て断っていることを知っていた。
そしてその少女のことを今でも酔っ払ってから話すこともしっていた。
「……小野寺小咲さんね。……今でも好きなんですって。」
「えっ?」
「あの子が言っていたでしょ?本人は自覚はないだろうけどその人の話になると後悔しているわ。……夫も言っていたわ。あの子は音楽の才能は本当はないらしいの。でもあの子はずっと一途なの。努力だって怠らないし、声が潰れるまで歌のレッスンをしたこともあるんですって。それは恋愛も同じことでずっと片想いのまま離れてしまったんだって。失恋ソングや片想いの歌を歌わせたらヒットするのは気持ちがこもっていることが原因なんだろうってね。」
「そ、それは。」
「あの子も真面目だからね。でも気になるわね。あの子が好きだった小野寺小咲さんって。」
と男性の歌声が聞こえてくる。切なく今にも泣きそうな声が聞こえてくる。
その歌声をスタッフ一同その歌声を聴きいっていた。
あれから二週間後その少年は久しぶりに凡矢理市に戻ってきていた。
伊達眼鏡をつけデザイナーに教えてもらった洋服をつけて同窓会の場所へと向かっていた。
「ゴリ沢や集元気かな?あいつら先生になったって聞いているけど。」
独り言をいうくらいにご機嫌である。高校生の頃の友達は結構しっかりした就職先や出世している人が多いらしい。
そういやあの有名カップルは籍を入れたんだっけと近況の報告は怠っていない。
そうして向かったのは学校。本来ならホテルでやるらしいかったのだがとある生徒の希望で最初の同窓会はこっちになったのだ。
懐かしいそうに
実は来週のロケで思い出の地でここにくることは確定なのだが少し感傷に浸っている。
母校に来るのはもう卒業して六年ぶりになる。
銀次は大学生の時に遊び感覚でバンドをやっていたらスカウトに勧誘され芸能界入り。高校でも文化祭でバンドをしたこともあり元々音楽は好きだったんだけど。まさかここまでやれるとは自分自身でも思わなかった
「……ありゃ?ギン?」
「ん?」
と俺はふと懐かしい声が聞こえて振り返るとメガネのカップル二人が立っていた。
「おっ!!集。宮本も久しぶり。」
「あら、私のことも覚えていたの?」
「あぁ。というよりも集と話す時大体お前の惚気話を聞かされているからな。それに小中高と同じ学校だったしあんまり変わってないから。」
「そっちは十分変わっちゃって。今度のドラマまた主題歌歌うんだろ?」
「あぁ。一応新曲のオファーも来てるし波に乗っているからな。これをどう安定させるか大変なんだけど。」
「それでも立派よ。そういえば今日も放送なかったかしら。」
「オンスタで一曲歌わせてもらったぞ。まぁ元々あそこは準レギュラーみたいだし。」
舞子や宮本と呼ばれて少女はグラウンドのど真ん中で話していると
「あれ?集と宮本と、って誰だ?」
「舞子くんとるりちゃんおはよう〜。えっと。」
「……あ〜って楽、桐崎さん今やオリコンチャート一位が当然の有名歌手の弥柳さん知らないの?」
「えっ?弥柳くん?嘘?歌手になっていたの?」
「まじ?俺全くテレビ見てないから知らなかった。」
「久しぶり。千棘さんと楽。」
銀次がそういうと二人は首を傾げる。
「あれ?お前って名前呼びだったか?」
「いや今二人とも一条だろ?流石に籍を入れて一条って言ったら名前ややこしいだろうし。」
「あっ。」
するとと照れ臭そうに二人は笑う。自然と手を繋いでいるあたりうまくいっていることは見て明らかだった。
「それにしてもつぐみさんはモデルで千棘さんは世界的なファッションデザイナーだろ?俺のこと知らなくても仕方ないけど。……楽が知らないことは結構ショックだった。」
「うん。クラスの出世頭として有名なんだぞ。多分桐崎さんや誠士郎ちゃん以上に知名度があるんじゃないかな?」
「そうなんだ。」
「そういえば鶫さんはどうしたんだ?今日出席予定だっただろ?」
「鶫?鶫なら今小咲ちゃんと万里花と合流しているわ。」
すると少しだけ銀次の顔が強張る。そして少し暗い顔をしていたのは誰から見ても明らかだった
「小野寺……か。」
「……どうした?」
「いや何でもねぇ。それじゃあ俺は先にいっているな。流石に一条ハーレムに突っ込んだら悪いし。」
「……久しぶりに聞いたなそれ。」
「じゃあな。また後で。」
といいは強引に離れた銀次。千棘と楽は分からなかったがルリと集は気づいていた。
「そういえばあの子。小咲のことがずっと好きだったわよね。」
「あぁ。あいつずっと裏で楽と小野寺の関係を進むようにサポートしてきたからな。俺たちもあいつには少し謝った方がいいんじゃない。」
「……でもあの子の性格的に絶対謝らなくていいっていうわよ。最後の最後までずっと小咲のことを応援して、小咲の幸せを願っていたんだから。」
「そういうところ小野寺と似ているよなぁ。」
と二人はそんな銀次の去った後を見送る。陰ながらずっと小咲と呼ばれる女性を好きだった友人を見守っていた。