5年越しの初恋   作:孤独なバカ

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同窓会〜五年越しの告白

ぼくはどこにもいる高校生だった。

静かにただ歌が上手いってだけのどこにもいる男子生徒

あの当時も今も変わらない。歌を歌い続けている日々

歌うとこんなに切ないと思うようになったのはいつからだろうか?

歌うと涙が出そうになるのは何でだろうか。

歌は好きだ。

歌うのはもっと好きだ。

でも、自分の曲だけは好きになれなかった

 

 

 

「久しぶり。ゴリ沢!!」

「おぉ。ギンじゃねーか。今日は暇だったのか?」

「あぁ。2日間だけ休暇もらったんだよ。来週もロケでこっちに戻るけどしばらくは休みが取れないからな。」

 

と体育館でぼくたちは久しぶりの再開に盛り上がっていた。

社会人にぼくたちは案外変わっている人が少ないらしい。見ただけでわかる人が結構いるのに加え

 

「つーかギンがまさか歌手になっているとは思いもしなかったよな。悪いうちのお袋がファンなんだよ。サインもらっていいか?」

「別にいいぞ。なんて書けばいいか?」

「悪い。えっと文子へって書いてくれたらいいけど。」

「了解。」

 

とサインをねだられたり周りでは高校の時ではありえないくらいに囲まれていた。

こういったファンサービスはするのがぼくが唯一こだわっていることである。

サインは時間があれば断らずに書くことにしているし握手も断ったことがない。事務所への贈り物は断っているけど、デビューしたてのころはファンレターの返信もしていたことでさらに人気がでたらしい。最近は多すぎて返信はしていないけど全部のファンレターを読んでいる

 

「そういえば新曲聴いたよ!!切なかったよね。」

「もしかして実話だったりするの?」

「いやいや。作詞はボクがやっているわけじゃないから。まぁ作曲家と相談して決めているから少しは本当のことも混ざっているかな?そっちの方が歌いやすいし。」

 

と女子や男子に囲まれてしまい身動きが取れない。実際こうなるって覚悟の上で来たので仕方がないのだが。

桐崎や橘たちが入ってきてもボクに注目が集まっているのも少しおかしな話だろう。

 

「あら?どうしたのですか?」

「あ〜万里花ちゃんは知らなくても仕方ないか。三年生の時に同じクラスだったギンが歌手になったんだよ。」

「ギン?……弥柳か?」

「あら。誠士郎ちゃんは覚えていたんだ。」

「文化祭で二年連続でバンドのボーカルをやっていたからな。宮本様と貴様とも結構仲がよかっただろう。度々話していることを見たことがある。」

 

すると鶫は覚えていたことに少し嬉しいと思ってしまう。この鶫もボクとはほとんど接点がなかった一人だ。

だから覚えてなくても仕方がないと思っていたのだけど覚えてくれたことに少し嬉しく思う。

 

「あっ。本当に弥柳くんなんだ。私もCD買ったんだよ。」

 

すると聞き覚えのある声が聞こえてくる。その目線がその女性の方を見てしまう。

その人は高校の時と全く変わっていなかった。

ショートカットの女子は友達である鶫と宮本の隣に立っていた

 

「あら、小咲ちゃんも買っていたの?」

「うん。いい曲ばかりなんだよ。どこか切なくなるけど。それでもつい聞き入っちゃうんだ。」

「そう。あなた一条くんに振られたから、それに共感しているんじゃない?」

「宮本。」

「るりちゃん!!」

 

変わらないな。

そんな声に苦笑してしまう。

小野寺小咲。

 

ボクが小学校の頃から高校生までずっと好きだった初恋の相手だった。

 

「……それでさ。」

 

それでももう終わった恋だ。そう首を横に振ると話を返す。

気づいたらいけない気持ちに気づいているのにそれ。

どこか胸がチクっと痛むのをひたすらに隠していた。

 

 

「それじゃあみんなの再会を祝ってかんぱ〜い!!」

「かんぱ〜い。」

 

と全員がグラスを持ちボクたちは料理を食べ始める。

このクラスの卒業生で女子の三人が料理学校に進んだためせっかくだし全員で何か作ろうってことになったらしい。

酒を飲みながら一条と集と酒を飲む。

 

「てか珍しいよな。お前が楽と話しているなんて。」

「ぼくはラスト一年しか同じクラスじゃなかったから。それにあんまり賑やかなのは苦手だし。」

「今芸能界で大活躍している奴が何を言っているんだよ。」

「そういわれると……」

「てかペース早くね?お前。」

「あ〜ボクは酒強いから。それに明日は帰省だけで二日酔いも心配いらないしせっかくだし飲もうかなって。」

 

と酒をぐいぐい飲む。ビールのほろ苦さで胸の痛さごまかしてしまうのでつい酒進んでしまう。

 

「そういえば新婚生活ってどうなの?集も宮本と同棲しているんだよね?」

「俺は千棘にあったのは半年ぶりだからな。今だに籍を入れた実感はないさ。」

「俺は逆に結婚について考え始めているかな?俺もルリちゃんも忙しいけど毎日楽しいけどな。そういうギンは?」

「ボクは全く。出会いは多いし飲み会で連絡先交換することは多いんだけどそれでも未だにいい人止まりなんだよな。友達を紹介したいって言われたこともあるけど、あんまりそういうこと好きじゃないし。一度っきりで全部断っているよ。」

「お前行き遅れるんじゃない?どんな人がタイプなんだ?」

 

好みのタイプってどういう風なのかと考える。するとボクが少し考え

 

「……う〜ん。それ自体分からないんだよね。なんか理想って答えると初恋の人って答えるのかな。」

「……」

「あんまり恋愛とか得意じゃないから。恋愛してみればまた景色は変わると思うんだけど……」

 

苦笑いしてしまう。実際ボク自身どういう人と付き合う想像が未だにできない。

ずっと好きだった少女がいて……ずっとその人を未だに想い続けていることなんて誰にも話せない。

そんなことを思っていると

 

「……そういえば今日って弥柳くんの歌番組出るんじゃなかった?」

「ふぇ?」

「久しぶり。弥柳くん。」

「……って小野寺さん。久しぶりだな。」

 

ボクの隣に来たのは小野寺さんだった。本当に五年ぶりの再会なので久しぶりの再会だ。。

 

「弥柳くんの新曲も聴いたよ!!すごく切ない曲だよね。」

「あ〜。聴いてくれてありがとう?」

「何で疑問系なんだよ。」

 

少し笑いに包まれる。それでもストレートに褒められると少し照れくさい。

 

「小咲あなたのファンらしいのよ。何回かライブもいったことあるみたいで。」

「へ?」

「ちょっとルリちゃん!!」

「あ〜……なんていえばいいんだろう。…なんか恥ずかしいな。……知り合いがファンってこと自体結構な。」

 

少し照れくさそうに笑ってしまう。おそらく顔は真っ赤になっているだろう。

 

「まぁ質問はそうだな。今日の8時からオンスタで一曲歌っているな。土9時ドラマの曲。」

「あっやっぱり。私今日見れないからとっていたんだ。」

「へ〜8時ってことは後少しで始まるわね〜。ちょっと見てみたいかも。」

「私も気になります。」

 

とすると全員が見たいと言い出すと集が何かをセッティングしているのが見えた。

 

「ん?何しているんだ集。」

「せっかくだしカラオケを貸し出しておいたんだよ。近隣住民の許可は出しているしせっかくだから歌ってもらおうかなって。一応アンテナ持ってきてるし。」

「最初からこのつもりだったのか。てか歌の許可は出てるしな。同窓会で歌うくらいなら事務所は何も言わないって言われてる。」

「ありゃ。でも新曲まだ入ってないんだろ?」

「入ってないけどさ。……音源持ってきたのにな。」

「案外のりのり?」

「結構楽しみにしてたんだぞ。この同窓会。てかボクにとっては二週間ぶりの休みだし。」

 

そういうとわぁ!!と盛り上がる。ボクは適当に酎ハイの栓をあけそれを飲み始めるとセッティングの合間にテレビをつけ始める。

 

「……隣いいかな?」

「ん。別にいいぞ。」

 

小野寺が隣に立ち、そして隣に立つ。そういえば小野寺はどうやらジュースを持っていたのでふと気になった

 

「酒飲まないのか?」

「あはは、ちょっと私お酒弱くて。弥柳くんはお酒強いんだっけ?」

「お酒は強い方だぞ。つーか最初は苦手だったけど付き合いをしているうちに慣れていったかな。」

「そっか。」

「そういう小野寺はあっち行かなくていいのか?」

 

高校のころのいつものメンバーはすでにテレビの前にスタンバイしている。ボクがでるのは中盤なので

 

「……私はいいの。それにみんなの恋愛話になったからあんまり話についていけなくて。」

「まじ?」

「うん。万里花ちゃんもお見合いでいい人見つけたらしくて結婚してもいいって言ってた。つぐみちゃんもアメリカで気になる人がいるらしくて。」

「……へぇ〜あの二人希望たかそうなんだけどな。宮本と集もうまくいっているらしいし……桐崎と楽も籍入れたらしいから。本当羨ましいよ。」

「そういう弥柳くんは?」

「ボクは全く。つーか理想が高すぎるんだよなぁ。初恋の人以上の人を見つけるって決めたのはいいんだけどそんな人がいなくて。」

 

苦笑してしまう。小野寺以上の人が見つからないって未だに何言っているんだろうって思うけど言葉は止まなかった。ハイペース過ぎて少し酔っているのだろうか

 

「……初恋?」

「どうせ番組予約しているから分かると思うけど小三のころから9年間ずっと小野寺のこと好きだったからな。それがボクの初恋。」

「へぇ〜そうなんだ。……ふぇ?」

 

するとキョトンとしている小野寺。

その顔がおかしくて少し笑ってしまう。何でからかうようにもう一度同じことを答える

 

「小学校から高校の時までずっと好きだったんだよ。知らなかっただろ?」

「へ?わ、わたし?」

「……小野寺鈍感だし一条のこと好きだったから入る暇なかったけどな。つーか誰も気づいてなかったと思う。俺も他の人との噂を流されたことがあったしな。」

 

実際ボク自身諦めていたんのもあったから言葉はスッと出てきた。

 

「……高校の時の話だし流せって。思い出話だろ。」

「えっ?あっ。う、うん。って何でそんなに平然としているの?」

「だから昔の話で元から諦めていたからな。一条が好きだったのバレバレだったし。」

「……うぅ。ルリちゃんも言ってた。」

「つーか一条人気だったしな。だから一条ハーレムっていう言葉でできるくらいだったかな。まぁ誰にでも優しくてやる時はやる奴だったし。別に惚れてもおかしくはないだろうしな。」

 

羨ましくないといえば嘘になる。でも小野寺と会った時から恐らく自分と同じような感じだと思っていた。

小野寺もおそらく未だに一条以上に好きな人を見つけるのに苦労しているんだろう。

 

「そういや。小野寺の方は仕事どうなの?」

「わ、私?私はケーキデザイナーをやっているんだ。最近までは一条くんと桐崎さんのウエディングケーキをデザインしているから。」

「へぇ〜。ウエディングケーキ作り始めているのか。…あいつら結婚式も早そうだな。」

「そうだね。でも千棘ちゃんたちがいうには来年になりそうだって言ってたよ。」

 

来年か。早いのか遅いのか正直分からないな。

そう思っていながらも小野寺との会話は尽きることなく自然体で話して、時に笑って。時にからかい小野寺が剥れ、ボクが謝る。

だけどお互いに笑顔で楽しくと話していたせいか小野寺は番組を見逃しかなりショックを受けていた。

みんなにいじられカラオケで歌い久々の帰省はとても楽しく。そして有意義な帰省になったのだった

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