にじさんじ妄想バトルトーナメントAブロック決勝 ~英雄再起~   作:桜日紅葉雪

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なお、詠唱はグーグル翻訳。適当で申し訳ない


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にじさんじ妄想バトルトーナメントAブロック決勝。

会場の熱は上がり続ける。

 

目で追う事すら叶わない剣戟の応酬。

英雄を易々と追い詰める化け物の猛撃、吹き飛ばされながらも化け物の腕を落とした英雄。

そして、天を衝く黄金の雷。

 

物語の中の光景が眼前に現れ、観客の熱狂は止まらない。

怒号とも聞こえるような大歓声の中、スタジアムの上では人影が二つ向き合っていた。

 

 

再起せし"英雄"、エクス・アルビオ。

不死な"だけ"の人間、鈴原るる。

 

 

今、真の意味で…両者、激突

 

 

 

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声と同時に決勝戦開始時の焼き増しのような突撃が来る。

あの時との違いは段違いに力強く素早い踏み込みであるということと、

僕からも踏み込んだという事。

鉈と剣の中間で、空気が炸裂する。お互いの獲物の質量からは考えられないほどの爆音が響き渡った。間を置かず二撃目、三撃目と打ち合う。一瞬で二十を超えるぶつかり合いの後、示し合わせたかのように同時に跳び退った。

 

「あはっ!いいですよエクスさん!さっきとは比べ物にならないくらいぞくぞくしますっ!」

 

「言ったはずです。僕は貴方に勝つ男だと」

 

傍から見れば互角であろう攻防を重ね、僕は戦慄に背筋を震わせた。

僕の纏った雷は剣戟を重ねている間確かに鈴原さんを焼いた。証拠に鈴原さんのセーターは所々が焼き焦げ、煙を上げている。

で、あるならば。

 

(全身が痺れ、片腕を落とされ、そのうえで打ち合ったのか!?)

 

剣を固く握りしめ、恐怖を噛み殺す。

僕は本当に勝てるのだろうか。英雄としての勘は、師匠の助けを借りた今も変わらず戦い続ければ負けると叫び続けている。

打ち合うたびに成長する彼女に何時かは圧倒される。そうして彼女はこの会場の人たちを殺し、この町の人たちを殺し、この国の人達を殺す。

いくら自分を奮い立たせて戦い抜いたところでそれは避けられぬ運命だった。

 

(…まあ、僕はそう思いませんけど)

 

今まで何度も行ってきたおまじない。知った事かと自分の勘を笑い飛ばす。

そんな運命を認める気はさらさらない。それ(運命)を覆し続けたから、僕は"英雄"と呼ばれたのだ。今回も変わらずそれを成すだけだ。

 

(鈴原さんが成長を続ける化け物だというのであれば、その前に決着をつける)

 

思考は定まった。覚悟はとうに終えている。後はただ、為すべきことを成すだけだ。

 

魔導雷・EX(EX・Tonitrus)っ!さあ、行きます!」

 

再度雷を纏い、間合いを詰める。初撃を全力で。二撃目を力一杯。続く太刀を全霊で。その次も、その次も。

振るわれる剣から雷が迸り、明滅を繰り返す様は雷霆の如く。

後先を考えない全力の攻勢は確かに鈴原さんを追い込んでいった。

 

「ああっ、楽しい、楽しいですよエクスさん!全力なのに、本気なのに!それでも今の私じゃ追いつけない!痛いですっ、苦しいですっ、だから私は今、すごく幸せです!」

 

「はあああっ!」

 

咆哮と共に、僕の攻撃のリズムが一瞬だけ跳ね上がり、鈴原さんの防御のリズムを一瞬だけ上回る。極限の攻防においてその一瞬の差は勝敗を決するには十分すぎるものだった。

鉈による防御を超えて、鈴原さんの肩から腰に掛けて袈裟懸けに切り裂いた。

咄嗟に後ろに下がられ、胴体を両断することはかなわなかったが、それでも間違いなく致命傷を与えた。噴き出した血がスタジアムの地面を濡らす。

先程までとうって変わり、静寂に包まれたスタジアムの上で上がりきった息を整えながら剣を下す。ギリギリだった。あともう三手も耐えられれば息が続かず致命的な隙を晒していただろう。

けれど、勝った。結果は僕が上回った。

 

「僕の、勝ちです。手遅れになる前に、早く治療を受けてください」

 

斬られたまま俯く鈴原さんに語り掛けるが、反応がない。小さく肩が揺れただけだった。

それだけの動作にどうしようもない悪寒が背筋を走り抜け、咄嗟に飛び退り剣を構える。

 

「…ッ」

 

「…?」

 

何かが聞こえた気がした。次いで鈴原さんの肩の震えが大きくなる。

気付いた時には鈴原さんの哄笑が響き渡っていた。

 

「あはははははは!」

 

落とされた左腕から、切り裂かれた胴体から、夥しい量の血を流しながら鈴原さんは笑う。

心の底から楽しそうに、幸せそうに。

 

「ダメですよエクスさん!私は言ったはずです!何度『負け』ても絶対に諦めないと!けどええ、さすがにこのままじゃあ貴方には勝てそうにありませんね。だから…」

 

鉈を構えた彼女は、止める間もなく、躊躇もなく自らの首を(・・・・・)切り落とした(・・・・・・)

そのままうつ伏せに倒れこみかけ、

 

「っ!?」

 

切り落とした頭を踏み砕き身を起こした。

その体に一切の傷はない。切り落とした左腕すら其処に確かに存在した。

 

「さあ、戦いを続けましょう!鈴原は諦めません!何度壊されても何度殺されても、そこに貴方が立ち上がる限り!」

 

冷や汗が頬を流れる。気勢をかき集めて尚、プレッシャーに押しつぶされそうだ。

 

(すみません、師匠。流石にこれはヤバいかもしれません)

 

英雄譚に危機は付き物とは言え、死んだらリセットはいくら僕でも経験がない。

吸血鬼やトロールのようなバカげた速度で傷を癒す者たちであれ、首を落とし心臓を突き、命の火を消してしまえば倒すことができた。

だが、殺したら生き返る相手にどう戦えばいい?10回や20回殺せばもしかしたら生き返れなくなるかもしれない。鈴原さんを相手に僕の一つしかない命でそれを成し遂げられるなら、だが。それにたとえそれを成したとして本当に倒せるのかどうかも分からない。

固めたはずの覚悟が揺らぐのを感じる。胸に灯った火は消えてはいない。確かにまだ燃えている。

けれども「鈴原るる」という絶望の闇がその火を覆い隠そうとしていた。

考えているうちに、鈴原さんは軽く二、三度首を回してその手に鉈を構えた。

都合何度目かの仕切り直し。またも同時に動き打ち付けあった一撃はやはり互角。

けれども僕は、確かに押されていると感じた。それは数度の打ち合いで明白になり、一歩、また一歩と後ずさる。

 

ぶつかり合う力の強さは先程までと殆ど変わらない。技術で言えば圧倒的に僕の方が長けていると断言できる。だけれど気勢は明らかに鈴原さんの方が高かった。

伯仲した戦いになればなるほど、気力と勢いは重要なファクターとなる。

負けられないという意思が、戦いにかける想いが、ここ一番の踏ん張りとなり容易に勝敗を分けてしまう。

一回打ち合う度、一度視線が絡まる度、僕の心が軋んでいくのを感じた。

負けたくない。負けられない。そんな思いが少しずつ削られていく。

 

「もっともっと鈴原と遊んでください!私がちゃんと生きているって、感じさせてください!」

 

「ぐっ」

 

鈴原さんがさらに気炎を立ち昇らせた。圧力が一気に増して反撃すらままならなくなる。

止まらない猛攻に息が続かない。貴重な間隙に思わず息を吸ってしまう。

中途半端に吸った息が逆に苦しい。打ち合う度に息が漏れてのどが痛い。

ピシリッと、音がした。意識する間もなく襲い来る鉈を弾、

 

「ぁっ」

 

キィーンと甲高い音が響き、思わず声が漏れた。

腕にかかる重みがふっと軽くなる。何が起きたのかだけはすぐに分かった。僕の身心より先に剣が限界を迎えたらしい。

追い込まれ、剣は半ばより折れた。まごうことなき窮地に視界に映る全ての動きが遅くなる。

時間を薄く引き伸ばしたかのような感覚の中、狂喜に歪む鈴原さんの顔と振りかぶられる鉈がやけにはっきりと見えた。

 

(二回…いや、三回か)

 

芯から砕け、刀身が半分ほどになった剣で鈴原さんの攻撃を捌くのはそこが限界だ。

最後まで戦い抜いたとしてもそれ以上はどうにもならない。英雄としての僕の、限界だった。

諦めが心の灯を吹き消し、膝が折れそうになる。最後に頭をよぎったのは彼女の顔だった。

 

「師匠…」

(ごめんなさい。課題、こなせそうにありません)

 

鉈が振り下ろされる。それを受け入れるようにゆっくりと目を閉じ…

 

 

 

 

 

えびせんぱい(・・・・・・)っ!!」

 

悲鳴のような声が聞こえた。

思考するよりも先に体が動く。閉じかけていた目をこじ開けて腕を振り上げた。

何故、どうして。全ての疑問を置き去りに歓喜と希望が胸を満たす。ゆっくりと動く世界の中、僕だけが自由に動いている。

裁き切れないと思っていた攻撃をさらりと受け流した。どうでもよかったし、先程までのふざけた自分の思考に反吐が出そうだ。

短剣ですら満足に振るえないほど近距離で見開かれた目に向かって、折れた剣を手首の動きだけで投げ飛ばした。

無意識の内に熟したそれらは既に思考の端にすら残っていない。

身を仰け反りその勢いのまま数度後転を繰り返して距離を離す鈴原さんを一顧だにせず振り返る。

 

 

 

観客席の最前列。僕の想像を過たず、

いつも着ていたローブすら羽織らず、白い肌をこれでもかと紅潮させ、息を切らして汗だくで。

それでもまっすぐと僕の目を見つめる師匠が、確かにそこにいた。

一瞬大きく息を吸い込んで、はっきりと叫ぶ。

 

 

勝ってください(・・・・・・・)!」

 

 

たった一言。けれども、十分だった。

笑って背を向ける。

 

「任せてください!」

 

剣は折れ、鎧は欠け、体力は底をつきかけている。

けれども試合が始まって以来最高に、気力は充実していた。

今一度言おう。伯仲した戦いになればなるほど、気力と勢いは重要なファクターとなる。

で、あるならば。

 

「振るうべき剣は失い、貴女の不死性を超える手段も思いつけない僕は、貴女に勝つことなどできはしない。そう思いませんか?」

 

いつものように軽薄に、だからこそこれは宣言だ。

繰り返したおまじないとしてでなく、ただ事実を述べればいい。

 

「まあ、僕はそう思いませんけど」

 

右手をまっすぐと正面に伸ばす。振るう資格などないと、応えてくれるはずがないと決めつけていた"それ"が今なら応えてくれると確信できた。

 

「もう名乗れなくなったと思っていましたが、事情が変わったみたいです…もう一度だけ自己紹介させて下さい」

 

英雄としての僕ではなく、師匠の弟子としての僕が最初に受け取った一振り。

この掌の中に握るべき剣をはっきりと思い描きその()を呼ぶ。

 

「来い、ハエたたき!」

 

一陣の風が吹き一振りの木刀が現れる。傷だらけでみすぼらしく、けれども僕がどんな剣よりも信頼する剣。構えて、見据える。腕に感じるなじみ切った重みが心地良い。

使い込まれて擦り切れて、それでも褪せぬ刀身のルーンが白銀の輝きを放った。

 

「見習い魔導士アルス・アルマルが一番弟子、エクス・アルビオ。」

「見習い魔導士、見習いです」

 

鈴原さんはしばらく呆然とハエたたきを見つめると、弾ける様に笑い始めた。

 

「素晴らしい!本当に素敵ですよエクスさん!何度も何度も終わってしまったと思いました。やっと殺せたと思いました!けど、だけど、それでもっ!貴方は立ち上がる。私の前に立ちふさがる。これが私の望む戦い、これが私の生きる実感、全力で挑んで尚超えられない私の壁!」

 

大仰に、高らかに歌い上げるように身の内の感情を吐き出さんと歓喜の声を上げる。

 

「だから私は、貴方を倒します。私の持つすべてをかけて、あなたの持つすべてを踏み越え『勝利』します!」

 

不死が故の底知れぬ執念か、僕の積み上げてきた道程か。

伯仲する死闘の中で結果は最早僕にはわからない。けれど

そう、だけれど、一人だけでないのなら。

 

「勝つって宣言しましたからね。師匠を背負う以上、僕に『敗北』はありませんので」

 

師匠に託された僕ではなく、師匠と共にある僕でなら負ける気はしない。

僕から一気に距離を詰めて切りかかる。技量が上がったわけではない。膂力の差が埋まったわけではない。武器としての質は鉄と木だ。比べるべくも無い。

だが、心が軽かった。背中に途切れぬ熱を感じる。熱が渦を巻き追い風を起こし心を覆い隠さんとしていた闇を綺麗に吹き払う。

前へ、前へ、前へ!感じるままにハエたたきを振るった。

重厚な鉄剣をへし折った鉈と傷だらけの木刀が真っ向から打ち合う。

鈴原さんの超常の膂力も合わされば木刀など断ち切られて当然だが、聖剣の名は伊達ではない。打ち合う度に軋む音を立てながらも鉈を弾き飛ばす。踏みとどまりはしない、間髪入れずに前進。

今までであれば避けていた反撃の一撃を更に踏み込んでハエたたきで撃ち落とす。これまでとは違う対応への一瞬の間隙。間合いはすでにゼロ距離だった。

 

「はああああああぁぁぁ!」

 

裂帛の気合と共に繰り出した一撃が鈴原さんの腹部を打ち据える。

試合最初の交錯を逆転させたかのように吹き飛ぶ鈴原さんはそのまま壁に激突し首をおかしな方向へと捻じ曲げ倒れこむ。確殺の手ごたえ。しかしもう油断はしない。

ぐしゃり、と不快な音が響く。首が何かに強引につかみあげられたかのように強制的に正常な位置へと戻った。

鈴原さんの瞳が一瞬裏返ったかと思うと何事もなかったかのように起き上がる。

 

「また、死んでしまいました。やっぱり凄いですね。でももう一度です、まだまだ諦めませんから」

 

死ねば与えた傷がすべて消える。単純にして悪辣な特性。自死を躊躇わない彼女が相手では生半な傷も致命傷も関係がない。自ら首を落とせば全て元通りだ。

少し前の僕だったらきっと何度か繰り返したところで心がへし折れるだろう。

だけど、僕の後ろ。鈴原さんの復活を見て顔を引きつらせてるだろう師匠がいてくれたなら、10回でも100回でも、何度だって繰り返してみせる。まあ、その前に攻略法を見つけて見せるんだけど。

お互いに改めて武器を構える。もう気後れなんてしない。何度だって押し勝って見せる。

…後ろから声が響いた。

 

「えびせんぱい!ルーンを、聖剣の開放を!」

 

「は?」

 

訳のわからない言葉のかっこいい響きに誘われて思わず鈴原さんから視線を切って振り向く。

風を切る音。反射的に防御に構えたハエたたきの上からとんでもない衝撃が走り吹き飛ばされた。スタジアムに何度か叩きつけられて壁際で何とか止まる。

 

「あっ、ごめっ…て言うか、なんで木刀のまま戦ってるの!?えび先輩ってやっぱりバカなの!?」

 

吹き飛ばされて壁際まで来たお陰か、すぐ近くから師匠の声が聞こえた。

急いで身を起こす。駆け込んできた鈴原さんを迎えうち再び剣戟が始まる。

 

「師匠!聖剣の開放ってなんですかっ!かっけぇ!っく、それすぐできたりします!?」

 

緊張と焦燥(非日常)、と安心感と緩い空気(日常)

殺伐とした殺し合いの中で、不意に見えた光。

気付かぬうちにこわばっていた体から無駄な力が抜けた。"英雄"である僕から、"弟子"である僕に戻っていくのを感じた。

油断すれば押しつぶされるような交錯の中、不思議と危機感は湧いてこない。

 

「うわ近くで見るとやっぱキモっ、全然見えないんだけど」

 

「しっしょおおおおおお!それはいいから、早くっ!」

 

「えー、てかさえびせんぱい。ずっとハエたたき使っててルーン全然読んでないの?ちゃんと描いてあるんだけど」

 

「ねえ師匠?なんでこの流れでそんな余裕なの!?ていうかこのミミズが這った見たいな模様なんかの文字だったんですか!?師匠の落書きじゃなかったの!?」

 

必死で体を動かしつつ鉈を弾く。

気が付けば、死の危機や恐怖をすっかり感じなくなっていることに気付いた。先程まで確かに感じていた重圧は何だったのか。

 

「お前ほんとに僕の弟子かぁ~?読めるだろそんぐらい、基礎の基礎だぞ?」

 

「無理無理無理っ!てか師匠今無理なことぐらいわかるでしょ!」

 

「あー、はいはい。もう…えびせんぱい、そろそろ力抜けた?」

 

「…まあ」

 

攻撃の合間を縫ってチラリと見た師匠の顔は酷く強張っていた。

当然だ。師匠は近接戦闘はあまり得意ではない。この剣戟の嵐など近づくだけで死の危険すらあるだろう。それでもその最中であえていつものような会話を行う理由。…考えなくてもそのくらいは僕でもわかった。

その後数度の攻防ののち、ハエたたきの切っ先がわずかに鈴原さんの頬を裂いたことで距離が離れる。

 

「…安心してくださいよ師匠。僕は言ったはずです。任せてくださいって」

 

「……あい。先輩、ハエたたきを掲げて。今から僕が、それの封印を解く」

 

言われたとおりに剣を掲げると、ハエたたきを中心に渦を巻くように風が起こり始めた。

鈴原さんは期待に満ち溢れた目で事の成り行きを見つめている。

何が起こっているのかさっぱりわからないが、僕はとりあえず力強く笑った。虚勢でも構わない。背中の師匠が少しでも安心できるよう願って。

 

アルスが命じる(Imperio ut Ars),刃よ(et Ferrum)真なる姿を現せ(aperto Veritatis)!」

 

やたらかっこいい師匠の詠唱にハエたたきが応える。マジ何言ってんのかわかんねぇ。

ハエたたきのルーンから放たれる光はどんどんと強くなり、吹き荒れる風は豪風といってもよいほどに強くなっていた。

笑顔が若干ひきつる。これ大丈夫?ほっといたら俺吹き飛ばない?

 

開放(release)!!」

 

一際力強い師匠の言葉を合図に刀身から木製の外殻(剣状の鞘)が剥がれ落ち、中から輝く刃が現れる。

え、何これ超かっこいいんだけど。すげぇ、でも俺全然知らなかったんだけど?師匠?ねぇ師匠?

 

「えびせんぱいうるさい。あとで教えてあげるから…あんまり待たせないでください」

 

そう言って師匠は一歩後ずさった。

 

「了解です。しっかり見ててくださいよ、僕が勝つところ」

 

手に握るハエたたきを軽く一振り。握り心地は変わらないままに、頼りなかったボロボロの見た目から磨き上げられた美しい刀身へと姿を変えている。その表面には明らかに複雑になったルーンが刻まれており、それをなぞる様に光が奔っていた。

振るった軌跡から燐光がこぼれる。

 

「おお…マジかっけぇ、うーん…聖剣ハエたたき・改ってところですかね。甲子園のハエたたきでもいいかも?とりあえずお待たせしました、鈴原さん」

 

「全然かまいません!鈴原としてはこういうのは大歓迎です。あなたが強くなればなるだけあなたを倒した時の達成感が強くなりますから。きっとその時の私はものすごく"生きてる"って実感するんでしょうね!」

 

狂喜に染まった笑みで愉快そうにクスクスと笑い声をあげる。ゆらゆらと揺らす右手には鉈が鈍い光を輝かせていた。

仕切り直しだ。僕も知らなかった真の姿を現した聖剣ハエたたきを構える。

待たせている人がいる、長い時間はかけられない。

決意も新たに一歩を踏み出し

 

 

銀閃がぶつかり合った。

 

 

 

 

 

 

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この部分に関しては4月半ばには完成してたんだけど、
聖剣開放の部分に関しては4月半ばには完成してたんだけど、
同じようなアイデアをこれの数百倍の熱さと緻密さで駆け抜けていったシャングリラ・フロンティアっていう作品があるらしい。
追いつくの大変かもだけど、ありえんぐらい面白いから、みんな読もうな!(ダイマ)
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