機動戦士ガンダム 輪廻の果てに 作:ザク大尉
私、エルナード・ビストが父、カーディアス・ビストに呼び出されたのはカーディアスがジャブローに中佐となって赴任してきた日であった。
うわー…そういえばカーディアスって連邦軍の軍人だったよな忘れてたわ…今の歳は
所定された場所はジャブローの地下空間から地上へ出るための通路だった。外に出るつもりなのだろうか。蒸し暑いというのに…
時間通り、待ち合わせ場所に行くとミリタリーブーツの歩いてくる音がする。時間はちょうどであった。
中佐の制服を着た男が一人歩いてくる。敬礼をする。
「エルナード・アーク中尉」「はっ」
「……ここではなんだ、移動しながら話そう」
硬質なタイルの張られた長い通路を二人で歩く。
「体の調子はどうか?」
「とくになにも…問題ありません。」
「そうか…私に直接の子はいないが気にはなる。何かあったら医療スタッフにすぐ言いたまえ。君の体は一人のものではない」
「はい」
しばしの間無言の時間が流れ、カーディアスは再び語り始める。
「ジオニズムとは何か、人の革新とは何か、君にはわかるかね」
この人は連邦軍の基地でいったい何を言い出すのだろうか…と半歩前を行くカーディアスの顔を見る。
しかしその顔はどこを見つめるでもなく、ただ先を見ていた。
「……地球を聖地として保護し、全人類は宇宙へ住むべきというエレズムの思想
それとジオン・ズム・ダイクンにより提唱された各サイドが連邦政府と対等な自治権を持つコントリズムの思想。
そしてこれに宇宙環境に適応した新人類……ニュータイプと呼ばれるその概念を統合したもの
それがジオニズムと呼ばれるもの。そして人の革新…これは全人類が宇宙へと適応した新人類となることで争いのないさらなる高みへと人は到達する 」
「そう言われているな。人類が地球を離れ宇宙に住むようになって半世紀が過ぎた。宇宙で生まれる子供も増えた。しかしニュータイプの具体例は未だにだれ一人現れない。それはなぜだと思う」
「まだその時が来ていない…それか人類すべてが進化するなどということがない…そういうことダメなのでしょうか」
「そうか…さて、ここだ。」
カーディアスが扉を開けた先にあったのは青々としたアマゾンの熱帯雨林…ではなくジャブローの天井部分すれすれを通る空中通路だった。
壁やガラスに覆われることなく、H鋼と鉄板網で作られたそれは作業メンテナンスのもので普通に通行するにはいささか勇気を必要な代物である。
しばらく眼下に広がるジャブローの大空洞を眺めたのち、手すりに手を置きこちらを見るとカーディアスはこう言った。
「お前はビスト家の一員となることを望むか?」と。