あと、一話の誤字訂正してくれた方ありがとうございます。
二話でもなにか間違いなど有れば教えてください。
また、感想も頂けると嬉しいです!
では、どうぞ!
入学初日の今日はまだ午前授業だった。
入学式と自己紹介などを含むロングホームルーム。
たったそれだけしかしていないのに、帰路に着く頃にはもう俺のメンタルはヘトヘトに成り果て、家に着くや否やソファに雪崩れ込む。
「あぁ、疲れたぁ……」
そんなオヤジくさいセリフとともに、俺はため息を吐きながら天井を見上げた。
だが………。
「秀ちゃん、そんなに疲れたのか!!大丈夫か!?」
そんな聞き慣れた声とともに、俺の視界いっぱいにいるはずのない純の顔が広がっている。
ちなみに、一応断っておくが、ここは俺の家な……。
「おい」
「ん?」
「純、お前どうして俺の家にいる?」
「えへへ~お母様に入れていただきましたぁ」
「いただきましたぁ~……じゃねぇよ!」
「ぐふっ!なんて鋭い右ストレートだ!」
そんなことを叫びながら吹き飛ばされる純だったがさすがの運動神経。
バック転を決め体勢を整えて着地する。
そして、何やら勝ち誇った笑みを浮かべ、むくりと立ち上がった。
「ふふふ、秀ちゃんいいパンチだ。だが甘い。それを見てみよ」
「ん?」
指さされた方向、その先にある俺の右手を見るといつのまにかマジックペンで『秀ちゃんハート』と書いてある。
なに!?
あの一瞬でこれを書いただと!?
こいつ、化け物か……いや、それよりも――。
「おい、てめえ!これマジックだったらこれ落ちねえじゃねえか!」
「もちのろん!私の愛の印は永遠よ!ふはははは!!」
「こいつ、ふざけやがって………」
もう一発かましてやろうかと右拳に力を入れていると。
「こらっ!秀一!大人げないわよ〜?」
と言いながら、母さんが盆にサンドウィッチを載せて来た。
「秀ちゃんのお母さん!!」
「純ちゃんよく来たわね〜?これ、良かったら食べてね?今日は午前授業だったみたいだし、お腹空いてるでしょ?」
「やったぁ〜!!お腹とっても空いてます!ありがとうございます!」
そう言って、純は母さんが持ってきたサンドウィッチにかぶりつく。
「うっひょ〜!!秀ちゃんママのサンドウィッチ最高だ!!めっちゃくちゃ美味しいです!!」
「そう?おばさん嬉しいわぁ。秀一も食べなさいね?」
「ああ、わかったよ………」
純が自分の作ったサンドウィッチを美味しそうに食べているせいか、とても嬉しそうに自分の部屋へと戻っていく母さん。
母さんはほんと純にめちゃくちゃ甘いんだから………。
そんなふうに呆れながら俺もお腹は空いているので、一口サンドウィッチを齧ると、いつもよりおいしく感じる。
「まぁ、たしかにこのサンドウィッチはうまいな……」
「だよね!だよね!このサンドウィッチ神だよね!」
「まあ、そうだな」
それだけ言って俺も続きを食べ進める。
腹が減っている分、否が応にも言葉数が少なくなってしまう。
だが、純もよほどお腹が空いていたのか夢中でサンドウィッチを頬張り続けているので、図らずともしばらく落ち着いたランチを食べることができた。
「ふう……おいしかったぁ」
とてつもなく満足そうにそう呟く純。
「まあ、そうだな」
「またあとでお母さんにおいしかったよって伝えに行く!」
「さっき言ってたじゃねえか」
「まだ言い足りないの!!」
「そうですか……」
「そうなのです!!」
むふん!と胸を張る純。
渾身のどや顔をしている純に呆れながら、俺はソファーに横になる。
すると、そんな俺の様子に不満げな純が肩を持ち、身体を揺する。
「秀ちゃんなに?この超絶美少女の美崎純さまがいるのに、まさか眠る気!?」
「当たり前だろ…?疲れてんだよ俺は」
「なんでそんなに疲れるの!?私はこんなに楽しいのに!!」
「主にお前のせいで疲れてんだよ!俺は!つか、さっきのホームルームだよ!疲れてる原因は!」
「ん?ホームルーム?」
とぼけたような表情でこちらを見つめる純。
「なんか私したっけ?」
「めちゃくちゃしてただろうが!自己紹介の時に普通あんなこと言うか?」
「え、だって本当の事だし!私の将来の夢は秀ちゃんのお嫁さんだから!」
そう。
今日は入学初日。
登校すると、クラス分けが発表されていた。
俺の通う相模高校は十クラスまであり、せめて純と違うクラスになれれば、穏やかな高校生活を送れるのではないかと考えていた。
しかし、まさかの純と同じクラス。
高校一年という、今後の高校生活における俺のキャラや友達づくりに大きく関係するであろう一年間を純とともに過ごさなくてはならない。
これを悲劇と言わずしてなんという……。
純と幼なじみというだけで、俺まで変なやつの烙印を押されてきた小学校、中学校時代。
それはもはや黒歴史と言っても過言ではなかった。
しかも、今日は入学式。
絶対に純がはしゃいでめんどくさいことになるにちがいないと思っていたのだが、意外にも入学式は無事終了し、その後担任によるロングホームルームが始まった。
しかし、本当の地獄はここからだった。
ホームルームが始まると、ひとしきり担任自身の自己紹介をし、なんやかんやあった後、生徒側も自己紹介する流れになった。
そのときだった。
この馬鹿、美崎純は誰にお願いされるわけでもなく「はい!私から自己紹介します!」と挙手した。
純は中身を知らなければ、まあ、美人に分類される顔をしているので、ひときわ男子から期待のまなざしで見られる中、ただ一人俺だけは嫌な予感に支配されていた。
そんな中、純は明るい声で「私は美崎純です!純ちゃんって呼んで!あと、好きな食べ物はトマト!そして、好きな人はそこに座っている南野秀一くんです!将来の夢は秀ちゃんのお嫁さんです!一年間よろしくお願いしまーす!!」などと言い放った。
その後はご想像の通り阿鼻叫喚の地獄絵図。
周りの男子からは「こいつこんな可愛い子から好かれているだと……殺す!」という憎悪と怨念に充ち満ちた視線を向けられるわ、周りの女子からは「きゃー!お熱いわねえ……」という、どこか生ぬるい、居心地の悪い視線を向けられ、「おい!わけわかんねーこと言ってんな!お前を嫁にとる事なんて天地ひっくり返ってもない!」と俺が突っ込んでも、夫婦漫才として受け取られてしまい、結局担任の夏目先生は「美崎さんと南野君、お似合いだと思うわよ?美崎さん、南野君を頑張って振り向かせなさいね?先生応援しちゃうわ!」となぜか美崎を応援する始末。
こうして、このホームルームによって、俺がまともで普通に高校性として生活する道は完全に潰えたのだった。
だから、今、こうして純に俺はキレているのだが、当の本人は「ほへ?なんか私ダメなこと言ってる?」みたいな顔で、頭頂部にあるアホ毛をフリフリさせているので、これ以上言っても無駄だと判断し、もう一度眠りにつこうとする。
「ところで、秀ちゃん」
「ん?」
「部活って何にするか決めた?」
「いや、なんも入るつもり無いけど……」
眠気に襲われながらもそれだけ応える。
「私ね決めたよ」
「そうか」
「私は…………にするよ」
「そうか………」
眠気が極地に達した俺は、もはや意識もなくそれだけ応えると、深い眠りにつくのであった……。
いかがでしたか?
感想いただけると嬉しいです。
また、一週間以内に更新するかと思いますのでお楽しみに〜。