とある科学の幻想操作   作:モンステラ

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我儘

 

 

御坂のバイオリンの発表も終わり、降魔は病院に帰るためにバス停へ向かう

バス停に着き、バスを待っていると

 

 

「とうまとうまー、今日の夕ご飯は何かな?」

 

「もやしの炒め物ともやしの味噌汁ともやしの・・」

 

「またもやし!?もうもやしは飽きたかも」

 

「貧乏学生の上条さんにはこれが限界ですことよ」

 

 

聞き覚えのある声と共にツンツン頭の少年と真っ白いシスターが歩いてきた

彼らはバス停のベンチに座っている降魔に気がつく

 

 

「あ、こうよう。久しぶりなんだよ」

 

「あぁ、そーだな」

 

「え、えーと、」

 

「あ?」

 

 

インデックスと話をしている間上条は何が何だかわからない、といった顔をしていた

そういえば、冥土帰しが上条のことを言っていた気がする

 

降魔は首元の電極のスイッチを切り替える

その瞬間、彼に演算能力が戻る

 

(Model_Case MENTALOUT)

 

そのまま上条の頭に触れる

 

 

「あ、えーっと、何でせうか?」

 

「あぁ、そーいうことか」

 

 

上条から手を離し、電極を通常のモードへ戻す

それと同時にバスが来た

 

 

「フン、何でもねぇよ」

 

 

それだけ言って、バスへ乗り込む

バスに乗り、席に座って降魔は窓から見えた上条とインデックスを見る

 

上条当麻は記憶喪失だ

おそらく降魔と同じように脳に何らかの傷を負ったのだろう

降魔の脳の一部の機能が停止したように

上条の脳にある記憶があの白い羽に破壊されたのだ

 

上条当麻はそれをインデックスに言っていない

それが何故だかはわからない

彼女を悲しませないためか、それとも別に理由があるのか

 

どっちにしても降魔には理解ができない

バスから見える青空を見ながら、そんなことを考える

 

 

◇◇◇

 

降魔の生活リズムはバラバラだ

暗部で活動している以上深夜の仕事が入ることもある

基本は寝たい時に寝て、起きたい時に起きるのが基本スタンスだ

 

現在は午後23時過ぎ、病院の中の就寝時間を大幅に超えている

しかし、そんなことは関係ない

 

 

「・・・・」

 

 

病室で持ち込んだパソコンでネットサーフィンをしていると

ゴゴゴッ!と揺れる

地震のようだ

最近になって、急に地震が増えてきた気がする

 

 

(まぁ、どーでもいいか)

 

 

実際降魔には関係のないことだ

そう思い、ベッドに付属している机に開いてあるエナジードリンクを飲もうとする

しかし、降魔の手は空を切る

 

 

「あ?」

 

 

缶のジュースはいつの間にか机の端っこへ移動している

いつの間にか自分が動かしたのだろうか

 

ガシャンッ!と病室の隅に飾ってあった花瓶が倒れ、割れている

今は窓も閉め、風なんて起こらないはずだ

 

 

「・・ったく、また面倒ごとかよ」

 

 

電極のスイッチを入れ、辺りのAIM拡散力場を確認する

しかし、ここら付近に漂うAIM拡散力場は

 

 

「めんどくせーな、こりゃ」

 

 

花瓶の後片付けは放っておき、ベッドに腰掛けてネットサーフィンの続きを楽しむ

 

 

 

 

 

コンコン、とノックの音で目が覚める

目蓋を開けると、すでに太陽は昇り切っており、時計を見るとちょうどお昼の時間だった

 

 

「おはよう、という時間には遅すぎるけどね?」

 

「・・あ?」

 

 

部屋に入ってきたのは冥土帰しだった

降魔も何回かお世話になっている医者だ

 

 

「なんか用か?」

 

「まぁ、そうだね」

 

 

降魔は服を着替えながら冥土帰しに用件を聞く

 

 

「ほら、早く入ってきなさい」

 

 

冥土帰しがそう言うと。病室の外からリアが入ってきた

ミサカはおらず、1人だけだった

 

 

「あ?どーかしたのか?」

 

 

リアは降魔の前に立ち、何やらモジモジしている

よく見れば頬が薄く赤くなっている

 

意を決したのかリアは持っているホワイトボードに何かを書き込む

 

 

『今日の花火大会に一緒に行きたいです』

 

 

そう書かれていた

病院に貼ってあった学園都市花火大会が今日だったか

 

 

「あ?別に断る理由もねぇし、構わねーよ」

 

『本当ですか?』

 

「あぁ」

 

 

そう言うとリアは少し嬉しそうに病室の外へ走っていく

少しずつだが、アイツにも色がつき始めてきた

 

夜に備え、降魔はもう一眠りすることにした

 

 

◇◇◇

 

 

日も暮れ始め、そろそろ出た方がいいだろうと思った矢先、病室のドアが開かれる

そこには白を基調とした浴衣を着るリアがいた

 

 

『どうですか?』

 

「あ?いいんじゃねーのか」

 

 

どうやらこの病院の看護師に着付けをやってもらったようだ

携帯で時刻を確認すると、だいぶいい時間だった

 

 

「行くぞ」

 

 

そう言ってリアと共に降魔は病室を出て行った

一応ミサカに連絡をしたら

 

『あ、ミサカは新作のゲームで忙しいので遠慮しておきます、とミサカは積みゲーを消費します』

 

と言っていた

 

 

 

しばらく歩くと、だんだんと人も増えてきた

出店などもあるようで、ちょっとしたお祭りのような感じだった

 

 

「なんか食いてぇモンあったら言えよ」

 

 

祭りなどは初めてなのだろうキョロキョロとあたりを見回す彼女に声をかける

降魔は特に食べたい物も欲しいものもないので杖をつき、先へ進む

 

そんな彼の服の裾をちょんちょんと摘む、

 

 

『アレが欲しいです』

 

 

彼女が指差す先にはりんご飴と書かれた屋台があった

 

 

「ほら、金やるから買ってこい」

 

 

そう言って降魔はリアにお金を渡す

貰ったお金を大事そうに握りしめて、リアは小走りで屋台に向かって走る

 

 

リアから視線を外し、隣のお面屋を見ると

うっとりとした表情でお面を見つめる御坂美琴の姿を発見した

 

御坂はゲコ太と呼ばれるカエルのお面に手を伸ばし、それを買おうとしていた

しかし、途中でキョロキョロと辺りを見渡し始める

 

そこで御坂美琴を見ていた降魔向陽と目があった

 

降魔は一瞬で目を逸らし、リアの方を見る

面倒ごとは御免だ

 

リアはいまだにりんご飴を選んでいるので、降魔はリアの見える位置で煙草に火をつける

煙を肺に入れた瞬間、

 

 

「ちょろっとー、」

 

 

聞き覚えのある声と共に、肩を掴まれる

後ろを振り返るとそこにはゲコ太がいた

 

 

「あ?」

 

 

いや、ゲコ太のお面を被った御坂がいた

その後ろには白井たちもいる

 

 

「降魔さん、ここは禁煙ですわよ」

 

 

そう言って白井に煙草を取られる

舌打ちをし、噛み煙草を取り出して噛む

 

 

「降魔さんは誰かと来たんですか?」

 

「あ?ウチにいる居候と一緒だ」

 

 

佐天の質問に答えるとちょうどリアがこっちに歩いてきていた

リアは人の多さからか、少し困ったような表情を見せ、降魔の服を掴む

 

 

「この方がお連れの方ですの?」

 

「あぁ、そーだ」

 

 

降魔の服をチョンと掴むリアは少しだけ御坂たちを見て、ホワイトボードに何やら書き込む

 

 

『リアです。よろしくお願いします』

 

「うん、よろしくね。私は御坂美琴」

 

 

そのまま女子たちは自己紹介をし、キャピキャピした女子トークを繰り広げている

その様子を見ている降魔に白井が近づく

 

 

「降魔さん」

 

「あ?」

 

「リアさんは声が出せないんですの?」

 

「あぁ、そうだ。精神的な問題だ、そのうち話せるようになるだろ」

 

 

少しずつ彼女も変わってきているのだ

 

 

「黒子ー!そろそろ行くわよ」

 

「はいですの」

 

「あー、それとリアちゃんも一緒に行くから」

 

 

そう言って降魔は強引に御坂美琴の集団に引き込まれた

まぁ、リアが楽しそうならいいか。と考え、御坂たちの後ろをついていく

 

 

 

一応花火が見える位置へと辿り着き、後は花火を待つのみとなった

 

 

「あれ?何、あの車」

 

 

そう言って佐天が見た方には特殊な車が何台か停まっていた

 

 

「M.A.R。先進状況救助隊のトレーラーですわね」

 

「例のポルターガイスト対策ですかね」

 

「ポルターガイスト!?あの噂マジなんだ!?」

 

『噂ってなんですか?』

 

「ほら見てこれ!!」

 

 

そう言って佐天はリアに携帯の都市伝説サイトを見せる

そんな彼女らを放っておき

 

 

「それにしてもあんな警備の中で花火見物だなんて風情もへったくれもありませんわ」

 

「あっ!!だったらいいところがあるんですよ」

 

 

そう言った佐天に案内され、少し離れた高台へ向かう

 

 

「たーまーやー!!」

 

「かーぎーやー!!」

 

 

そこから見える花火は確かに綺麗だった

降魔は少し離れた位置で、煙草に火をつける

 

横目で見るのは名前も知らない1人の少女

煙を吐くと同時に携帯で時刻を確認する

 

 

「は、春上さん!!」

 

「あぁ、ちょっと」

 

「・・・・」

 

声の方向を見ると佐天と初春とリアがあの少女を追いかけて行った

それと同時に白井の携帯が鳴った

どうやら誰か風紀委員のやつと話しているらしい

 

 

「誰かが意図的に起こしていると言うことですの!?」

 

 

白井が大声でそう言った瞬間、

ズドォ!!と地響きと共に今までにない揺れが彼らを襲った

 

 

「これって!!」

 

「まさか!?」

 

 

凄まじい揺れは地面を砕き始めた

そして

 

ガコンッ!!と高台の足場が崩れる

 

 

「お姉さま!!!」

 

 

御坂は白井が間一髪で空間移動で安全な場所まで運ぶ

 

 

「降魔さんは!?」

 

 

怪我をし、杖をついていた彼はどうなっている

風紀委員として彼を探さなくてはいけない、と考えた時

 

 

「あ?アイツらのとこに行くぞ」

 

 

いつの間にか御坂たちの側に立っていた

 

 

「そうよ、佐天さんたちは!!?」

 

 

急いで駆けつけると

そこにはピンク色の駆動鎧が初春に倒れそうになっている電柱を支えていた

しかし、

 

 

「リアちゃん!!?大丈夫!!??」

 

 

佐天を庇ったのか頭から血を流し、倒れているリアを見つけた

知らないうちに電極に手が伸びていた

 

 

「退け」

 

 

そう言って佐天を退かせ、リアを抱える

轟!!!!と凄まじい音と一緒に降魔の姿は消えていた

 

 

意外だった

自分にも他者を思いやれるだけの気持ちがあったことに

 

リアが倒れているのを見た時

何かはわからないが胸に何か嫌な気持ちがよぎった

 

 

彼女を傷つけないようい高速で移動しながら目指したのはいつもの病院だった

 

 

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