とある科学の幻想操作   作:モンステラ

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底無しの闇

 

「特に問題はないね?」

 

 

第7学区の病院で意識を失ったリアを冥土帰しに見せ、処置をしてもらった

結果は特に異常もなく、そのうち意識も戻るとのことだった

 

 

「君があんなに狼狽るなんて珍しいね?」

 

「あ?狼狽てねーだろ」

 

「・・・」

 

 

否定する降魔に冥土帰しはそれ以上追及するのをやめた

降魔はそのままリアの体について冥土帰しへ尋ねた

 

「アイツの体はどーなってる。お前も気付いてんだろ?」

 

「・・・・」

 

「アイツの痛覚と異様に早い傷の治り」

 

 

降魔がそう言って冥土帰しを見ると、彼は降魔にある資料を見せてきた

その資料には

 

 

「・・人工不死者製造実験」

 

 

そう書かれていた

暗部にいる降魔でさえ聞いたことのない計画の名前だ

そんな資料をなぜ冥土帰しが持っているかなどはとりあえずどうでもいいだろう

 

置き去りの子供を使って人工的に不死者を作る計画らしい

そしてその資料に最後に書かれていたのは実験の最高責任者

名前は『木原幻生(きはらげんせい)』と書かれていた

 

 

「木原、か」

 

 

なんだか久々にその名前を聞いた気がする

 

 

「100万回ぶち殺しても足りねぇくらいだわ」

 

 

低く呟き、資料へ目を通す

その実験は現在は凍結されており、生き残った被験者たちは裏で取引されているらしい

 

 

「アイツが不死者ってことか」

 

「そういうことになるね」

 

「治せるか?」

 

「・・・これは治せる治せないの問題じゃないんだ」

 

「あ?」

 

「不死の体があの子を主人と認めているよ。それがある以上手術で原因を取り除いたところで何度でも再生してしまうんだよね?」

 

 

降魔はそうか、と短く呟いて部屋から出ていく

その背中を見つめる冥土帰しは彼が他人の事情にここまで深く入り込むことに少し驚いた

以前の彼ならば絶対に有り得なかっただろう

 

 

部屋を出た降魔は喫煙所へ行き、煙草へ火をつける

煙を吸い込み、煙を吐く

 

なんなんだろうこの感情は

なんもやもやしてしまう

リアが倒れている時に冷静さが一瞬で吹き飛んでしまった

それはリアだけではないだろう同じようにミサカが倒れていたら同じ気持ちになるだろう

 

なぜかはわからないが苛立ちが止まらなかった

 

 

◇◇◇

 

 

「よし、これで変装は完璧」

 

ゲコ太のお面を被り、呟く1人の少女

御坂美琴は常盤台の学園寮を抜け出し、あるところへ訪れていた

それは。先進教育局の建物

 

磁力を利用し、建物の中へと入っていく

そして、自身の電撃を使って建物のセキュリティーを開けようとする

 

 

「ん?」

 

 

しかし、セキュリティーが解除されるどころかまともな反応もなかった

 

 

「電気も通ってないんじゃコレいらなかったじゃないのよ」

 

 

扉を開け、施設へと入る

中は埃が溜まり、学習机などが散らばっていた

そんな中を御坂は歩く

 

 

「・・・間違いない」

 

 

御坂が見つけたのは暴走能力の法則解析用誘爆実験が行われていた場所

 

 

「やっぱ空振りか・・」

 

 

何かしらの情報や手がかりがあると思い、やってきたが資料や実験器具は一切見当たらなかった

次の一手を考えている途中で、御坂がいる上の階から光が照らされた

どうやら懐中電灯のようだ

 

ライトの持ち主は携帯電話で誰かと話しているようだった

目を凝らしよく見ると

 

 

「アイツはッ!?」

 

 

御坂は勢いよく駆け、目的の人物がいるところまで走る

バンッと、ドアを開けるとソイツはゆっくりと振り返った

 

 

「・・・君か」

 

「やっぱり、木山春生」

 

 

幻想御手の首謀者である彼女がいる理由は

 

 

「何かようで、」

 

「今回の事件もあんたの仕業なの?」

 

 

木山の言葉に食いぎみで質問をする

そんな御坂を目の前にし、木山の表情は一切変わらない

 

 

「だとしたらどうする?」

 

「許すわけないでしょッ!!」

 

 

電撃を撒き散らす

しかし、木山は狼狽ない

 

 

「落ち着け、これ以上面倒ごとを増やすな」

 

 

別のところから声がかかった

御坂は慌てて声の下ほうへ視線を向けると

 

椅子に腰掛け、片手に煙草を持ち、煙を吐く見知った少年がいた

降魔向陽だ

 

 

「何でアンタがここにいるのよ!?」

 

「あ?護衛だ。面倒だがな」

 

「・・・私は1人でいいと言ったんだがな」

 

 

ビー!!!と、先程の御坂の電撃で施設の電気システムが復活し、警報が鳴り響く

 

 

「チッ!帰るぞ」

 

 

降魔は舌打ちをし、杖をつき、出口へと向かう

木山も彼の後ろをついて行く

 

 

「・・・ついてくるといい」

 

 

木山が御坂にそう言った

罠かと思ったが、木山には降魔がいる

彼が手を貸しているのだから何かしらの事情があるのだろう

 

御坂は黙って彼らの後を追う

 

 

 

 

木山の車に乗り込み、夜の学園都市を駆ける

 

 

「やってくれるよ、死んでいたセキュリティーに電気ショックとはな」

 

「私だってそんなつもりじゃ・・」

 

 

助手席には御坂が乗り、後部のスペースに降魔が横になっている

彼は会話に参加する気はないようで、無関心にスマホを弄っている

 

 

「それよりアンタあんなところで何してたの?保釈ってどういうこと?何が目的なの?」

 

「・・私の車に乗るお嬢さんは皆怖い顔で質問するんだな」

 

「はぁ?」

 

「すまないが質問なら後にしてくれ」

 

 

 

そのまま車を走らせ、たどり着いたのは学園都市第7学区の病院だった

 

 

「ここって・・・」

 

「こっちだ」

 

 

木山と降魔は車から降りると足はやに歩いていく

病院に入り、木山と降魔について行くと

ある部屋にたどり着いた

 

 

「これは、」

 

「私の記憶を覗いた君なら知っているだろう。私の、教え子たちだ」

 

「・・やっぱりアンタが犯人なのね!?」

 

「そうだ」

 

 

一切悪びれる様子もなく肯定した

御坂が電撃を発しようとした瞬間

 

 

「けど、それには少し複雑な事情があってね」

 

 

聞き覚えのある声

白衣を着た医師がこちらへ歩いてきていた

 

 

「それとすまないがここは病院なんでね、電撃は遠慮してもらえないかな?あと、煙草もね」

 

 

そう言って近くにいる降魔の煙草を手に取って、消した

御坂はこの人物に見覚えがあった

幻想御手の事件の時にお世話になった人だ

 

 

「あの時の!」

 

「久しぶりだね」

 

「一体何がどうなっているのよ!?」

 

 

御坂は訳がわからないと言った様子で叫ぶ

そんな彼女を見て、冥土帰しは1人の実験者の名前を口にする

 

 

「木原幻生。彼が全ての始まりなんだね?」

 

 

冥土帰しは御坂に木原幻生について語る

その話を聞いている時に降魔は軽く舌打ちをした

 

 

「木山君が救おうとした置き去りの子たちが能力体結晶の実験台にされていたことをね」

 

「あの時君に話した暴走能力の法則解析用誘爆実験すらも方便だった。君の見たあれは能力体結晶の投与実験だ」

 

 

手を震わせ、今も眠り続ける教え子を見ながら言葉を発する

 

 

「そんな、絶対能力者(レベル6)なんて取っ掛かりも見つかってないような物のために?」

 

「学園都市の研究者共にはそんなの関係ねぇ」

 

「そんなイカれた実験のせいでこの子たちはこんなにされたっていうの!?」

 

「あぁ」

 

「アンタは何でそんなに冷静なのよ!!」

 

「あ?俺もこの実験の被験者だからな」

 

「え?」

 

別に隠しておく必要もない

御坂は困惑した表情で降魔を見る

 

 

「まぁ、俺の場合は暴走して研究施設をぶち壊したがな」

 

 

何かを思い出し、自嘲するように御坂へ告白する

御坂は手を握りしめ、悔しそうに下を向く

 

 

「僕にできるのは医者としてこの子たちを救うことだけだ。幸い全員を集めるのにそう時間はかからなかった。僕はこの街では多少は顔がきくからね?あとは目覚めさせる為に専門家の意見を聞きたくて」

 

「それで保釈を」

 

「無理を言ったのは私の方だ、先生には感謝している。ここの設備を使えたおかげで、この子たちを目覚めさせる目処がついた」

 

「じゃあ!助かるの!?」

 

「いや、別の問題が発生したんだね?」

 

「問題?」

 

「覚醒が近づくとAIM拡散力場が異常値を示した」

 

「それって、」

 

「能力の暴走だ。そしてRSPK症候群の同時多発を引き起こした」

 

「何で・・?」

 

「彼の研究は進んでいたんだね?僕の知っている能力体結晶では起こり得ないことなんだ。だが、改良を加えられた能力体結晶は」

 

「この子たちを眠りながらにして暴走能力者にしてしまった」

 

「じ、じゃあこの子たちが目を覚まそうとすると・・・」

 

「何か、方法はないの?」

 

「暴走を沈めるワクチンソフトを開発している。だが、能力体結晶の根幹を成しているのはファーストサンプルと呼ばれる最初期の人体実験の被験者から生成された成分だ。ワクチンソフトを完成させるにはどうしてもそのデータの解析が必要なんだ」

 

「もしかしてさっきの研究所にいたのは」

 

「そのデータを探していた。何も残されていなかったがね」

 

 

木山の表情はこちらからだと見えない

降魔は壁に寄りかかりながら目の前で眠る置き去りの子たちを見る

 

 

「だが諦められるものか。あのデータが廃棄されるはずがない。どこかに必ず」

 

「もし、見つけられなかったら?」

 

「・・・この子たちを覚醒させる」

 

「乱雑開放が起きるのを承知の上で!!??」

 

「これ以上この子たちを眠らせてはおけない!!!!」

 

「だからってッ!!」

 

「うるせぇな、万が一に備えて俺がいるんだよ」

 

「は?どういう、」

 

「忘れたのか?俺は学園都市同率第1位AIM拡散力場を操る幻想操作だぞ。ガキ共の暴走を止めるくらい面倒ごとにすらならねーよ」

 

 

壁に寄りかかっていた降魔がいつの間に御坂のところまで来ていた

そしてそのまま入り口を睨み

 

 

「っと、その前にお客さんが来たみてぇだぞ」

 

 

そう言い放った瞬間、ドアが開いて見覚えのある人物が入ってきた

 

 

「だからといって放置はできない」

 

 

メガネをかけた妙齢の女だった

木山や降魔はその女に見覚えはなかった

 

 

「テレスティーナさん!!」

 

 

どうやら御坂の知り合いだったらしい

先程の研究所からコチラを尾行していたのはわかっていたが、面倒だったから放置をしていた

結果としてそれがもっと面倒くさいことになった

 

 

「ごめんね、後をつけさせてもらったわ」

 

「・・一体、何が」

 

 

木山も御坂も表情を困惑させる

落ち着いていたのは降魔と冥土帰しだけだった

 

 

「先進状況救助隊です。子供たちを保護します。大人しく我々に従ってください」

 

「・・それは命令か?」

 

「ええ、レスキューとして学園都市に被害が出る事態は断固阻止します。令状も用意しましたが、私としては自発的に引き渡していただけることを望みます」

 

 

テレスティーナが持ってきた令状を冥土帰しが確認するがどうやら本物のようだ

 

 

「安心してください。我々は人命救助のスペシャリストです。能力者を保護し、治療するだけの設備も整っております」

 

「ッ!!しかし」

 

「あなたにアクセスできないデータも、我々であれば合法的にアクセスできます。先程言っていたファーストサンプルのデータも入手できる可能性が高いのです」

 

 

木山は震えながら拳を握る

御坂は木山とテレスティーナの顔を交互に見て、何かを決意したような顔をする

 

 

「・・・保護しろ」

 

 

テレスティーナが後ろにいる駆動鎧に命令する

 

 

「・・・・・待て!!!」

 

 

木山が彼女らに反抗しようと声を上げた瞬間、御坂美琴が立ち塞がるように立っていた

 

 

「なッ!?」

 

 

テレスティーナと呼ばれる女を庇い、木山を敵視するかのように立つ

代わりに降魔向陽が木山を庇うように立つ

 

 

「・・俺の仕事はアンタの護衛だったな?それはまだ継続してるだろ」

 

 

御坂美琴は目の前に立つ少年を睨みつける

 

対する少年は怠そうな目で御坂美琴を見る

 

 

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