とある科学の幻想操作   作:モンステラ

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科学の街

風紀委員(ジャッジメント)活動第177支部

 

 

「それで、どういうことですの」

 

 

不良たちをぶちめしている途中で風紀委員を名乗る1人の少女がやって来て、ここまで連行された

逃走しても良かったが、面倒ごとは回避したいため、大人しくついていく事にした

しかし、イライラは溜まり、消えることはなかった

 

 

「えと、まずお名前お聞きしても?」

 

「人に名前を聞くときは、まずは自分から名乗るもんだぞクソチビ」

 

 

自分をここまで連行してきたツインテールの少女に文句を言う

 

 

「ッッ!!失礼いたしました。私は白井黒子(しらいくろこ)と申します」

 

「んで?」

 

「あなた、お名前は?」

 

「・・・・降魔向陽(ごうまこうよう)

 

 

一応は名前を名乗る

風紀委員の机を挟んで座っている白井黒子は、机の上にある用紙に何やら書き込んでいく

そんな彼女から目線をはずし、ポケットから煙草とライターを取り出す

 

 

「んな!!??」

 

 

煙草に火をつけ、一吸いしたところで彼女がこちらに気づく

 

 

「な、何をしてるんですの!?」

 

「・・・・何って、一服だけど?」

 

 

彼女の手が煙草とライターに触れる

その瞬間に咥えていた煙草が一瞬でなくなる

 

空間移動(テレポーター)か)

 

少し驚いたが、まぁ有名お嬢様学校の制服で風紀委員ならばそれくらいあり得るか、と結論づける

白井黒子は彼から没収した煙草を消す

 

 

「ここは禁煙ですの!!そもそも、あなたまだ未成年じゃないんですの!!!?」

 

「イヤ、チガイマスケド」

 

 

目の前でギャーギャー騒ぐ白井黒子を呆れた目で見る

そんな彼女を見て、降魔はため息を一つついて

 

 

「で?帰っていい?」

 

「むきぃ!!いいわけありませんの!!」

 

 

頭を抱えて、呻く白井黒子

それを無気力な眼で眺める降魔向陽

 

 

「あなた、反省していますの?」

 

「は?反省?なんで?」

 

 

白井の質問に対し、降魔はキョトンとし、首を傾げる

本当に何を言っているのかが理解できないようだった

 

 

「一般の学生がスキルアウトに襲われていたとはいえ、現場にいたスキルアウト全員が病院送り、そのうちの3人が意識不明の重体になっています。明らかに過剰防衛ですの」

 

「で?」

 

 

悪びれもせずにそう言い放った

そんな面倒くさいことはどうでもいい、早く家に帰せ。と言わんばかりの態度だった

 

 

「・・・で?ってこれは傷害事件ですの!!」

 

 

思わず声を荒げて怒鳴ってしまう

そんな声を聞いても降魔の態度は一切変わらなかった

 

 

「わかったわかった。反省するから、そんな大声出すな」

 

 

怠そうにそう言って、椅子に寄りかかる

そして

 

 

「もう帰っていい?」

 

 

面倒くさそうに白井を見ながらそう言った

そんな降魔に白井も頭を抱えてため息を吐く

 

 

「はぁ、仕方がないので、これをお願いしますの」

 

「あ?」

 

 

白井は一枚の紙を渡してきた

紙を受け取り、並べられている文字を見る

そこには

 

 

「風紀委員の入隊申請書?」

 

「はい、あなたみたいな方には反省するまでの罰として風紀委員に入隊していただきますの」

 

「いやだ、死んでも入らんぞ俺は」

 

 

そう言って能力を発動させる

演算は一瞬で終わり、彼の姿が消える

 

 

「なっ!?空間移動!?」

 

 

白井黒子は驚愕する

もちろん彼は風紀委員の入隊申請書を机の上に置き去りにして

 

 

 

 

 

 

 

 

空間移動で風紀委員の事務所から抜け出した降魔向陽はビルの屋上に立っていた

 

 

「ったく、人助けなんて慣れねぇことするもんじゃねーな」

 

 

ポケットから煙草とライターを取り出し、火をつける

煙を吐きながらクソみたいな街を見下す

 

 

 

 

学園都市230万人の頂点、8人(・・)超能力者(レベル5)同率第1位

 

幻想操作(AIMブースト)』 降魔向陽

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

 

 

「んで?なんで善良な一般市民である俺が風紀委員の詰所にいるんだよ」

 

 

むすっとした顔で椅子に座っているのは皆さんご存知の降魔向陽である

そして彼の目の前には先日出会った風紀委員である白井黒子が座っている

 

 

「いや、っていうか俺きた覚えないからね」

 

 

そう、同居人の少女が病院に行っているのが幸運だったが、自身の部屋でゴロゴロいていたら急にこいつが空間移動で目の前に現れ、あっという間にここに連れてこられたのである

 

 

「うっ、それは申し訳ないと思っておりますの」

 

「ホントかよ」

 

 

プライバシーもクソもない

こんなことならアイツの調整に一緒についていけばよかった

 

そこへ、頭に花を生やした少女がお茶を持ってくる

 

 

「どうぞ、白井さんがご迷惑かけてしまってすいませんでした」

 

「・・・あぁ、構わないとは言えんな」

 

 

そう言って出されたカップを傾ける

中身はホットのコーヒーだった

 

 

「早くこれを書いてくださいまし!!」

 

 

そう言って先日の紙を押し付けてくる

なぜ目の前の少女はこんなに自分にこだわるのだろう

それが疑問だった

 

 

「毎回毎回、なんなんだよお前は、暇なのかよ」

 

「生憎と今日は暇じゃないんですの」

 

「あ?」

 

 

そういうと白井は目をキラキラさせながら

 

 

「今日はお姉様とのデートなんですの!!」

 

「あ、白井さん。もうすぐ御坂さんとの時間ですよ」

 

「なっ!?」

 

 

降魔は呆れた眼で彼女を見ながら、演算を組み立てる

 

 

「じゃ、帰る」

 

「「あっ!!」」

 

 

能力が発動し、目の前の景色が切り替わる

 

 

 

 

 

 

 

風紀委員の詰所から抜け出した降魔は再度演算を行い、能力を使う

そのまま空間移動でやってきたのはとあるクレープ屋の屋台だった

理由は簡単である。彼の同居人にお土産でも買って帰ろうと思ったからである

 

 

「・・・最悪だ」

 

 

しかしやってきた屋台は子供で溢れかえっていた

おそらく学園都市のツアーだろうか

だけど、ここまで来てクレープを諦めて帰るのもアレなので列に並ぶ

 

 

「お待たせいたしました。はい、どうぞ」

 

 

そう言われてクレープと共に渡されたのは変なカエルのキーホルダーだった

 

 

(え、いらな)

 

 

そう思ったが、同居人にでもあげようと考え、素直に受け取る

自分の分のクレープも受け取り、ベンチへと向かう

しかし、その途中で

 

 

「きゃっ!!」

 

 

1人の女の子がぶつかってきた

幸いな事になんの能力も使ってなかったため、少女に怪我はない

怪我はないのだが、少女の持っていたクレープが降魔のズボンに当たり、地面に落ちてしまっている

 

 

「・・・・・うっ、うぅ」

 

 

少しずつ少女の目に涙がたまる

頑張って泣くのを耐えているようだが、それもいつまでもつか

 

 

「お、おい。泣くなって、ほらこれやるから」

 

 

そう言って彼は自分のクレープを少女に差し出す

 

 

「ありがとう!!お兄ちゃん!!」

 

「あぁ」

 

 

眩しい笑顔を向けられ、少しばかり心が浄化された気がする

そこで視界の端にとあるグループが目に入る

 

別にただの中学生だったら何も思うことはない

しかし、そこにいたのは先ほどまで自分に突っかかってくる風紀委員だった

 

 

(げッ!?)

 

 

多少は動揺したが、一瞬で演算を完了させ、能力を使って付近のビルの屋上に移動する

ビルの屋上は立ち入りが禁止なのだろう。人影は見つからなかった

 

くぅ、と自分のお腹から発せられたとは思えない音がなる

 

 

「・・・食っちまうか」

 

 

独り言を呟き、同居人へのお土産であるクレープを食べ始める

 

 

 

 

 

クレープも終盤に差し掛かったところで、先ほどまで自分がいた屋台の近くで異変が起こった

ちょうどこのビルの一番下の階が爆発したのである

凄まじい爆発音と警報が鳴り響く

どうやら銀行強盗のようだ

 

上からよく見ると銀行強盗と白井黒子の戦闘が始まっていた

 

 

「はははっ、退屈しねぇなこの街は」

 

 

そのまましばらく様子を眺めていると、とあるAIM拡散力場を感じ取る

そこには

 

 

「へぇ、第3位か」

 

 

自然と口角が上がる

そして、第3位が自身の必殺技であろう超電磁砲(レールガン)を向かってくる車へと放つ

直後、派手な轟音と共に車が宙を舞う

 

しかし、その宙を舞う車の先には見覚えのある少女がいた。先ほどクレープをあげた少女だ

あんなものが直撃すれば即死は免れないだろう

 

無視することも考えたが、それは流石に寝覚めが悪い

 

 

「チッ!!」

(半径200メートル内のAIM拡散力場を検索。超電磁砲(レールガン)発火能力(パイロキネシス)空間移動(テレポート)定温保存(サーマルハンド)空力使い(エアロハンド)念動能力(サイコキネシス)を感知)

 

 

一瞬にして付近にいる能力者の情報が頭に入ってくる

それだけじゃない

ここからが彼の能力の真の力

 

 

(Model _Case PSYCHOKINESIS (サイコキネシス)

 

 

演算が始まり、その演算は一瞬で終わる

そして、能力が発動する

 

能力のコピー。それだけにとどまらないのが彼の能力

せいぜい異能力者程度の力ではあの車から少女を守ることは不可能だろう

しかし、彼の演算能力がその能力を底上げする

 

簡単に言えば、学園都市製の能力ならばどんな能力でも超能力者級の力を使うことができる

 

 

 

 

 

 

 

「そう、あの方こそが学園都市230万人の頂点、7人の超能力者の第3位。超電磁砲御坂美琴(みさかみこと)お姉様」

 

 

白井が銀行強盗の1人にそう言った瞬間、御坂美琴から一枚のコインが放たれ、車の前に着弾する

車は衝撃で宙を舞い、彼女の後方へ吹き飛ばされた

 

しかし、想定外なことがあった

御坂美琴の後方、車が吹き飛んで行った方向に1人の少女が立っていた

 

 

「え?」

 

 

そこにいた少女は状況が理解できていないようだった

それもそうだろう。一瞬の間で自身の目の前に車が飛んできたのだから

 

 

「くッ!!!」

 

 

白井が空間移動のための演算を組み上げ、実行しようとするが、もう遅い

 

 

「きゃあああああああ!!!!!」

 

 

誰もが悲劇を予想する

鉄の塊によって少女の小さな体がグチャグチャの肉塊になってしまう結末を

 

少女は目を瞑る

少女だけじゃなく、それを見ていた他の目撃者も目を瞑ってしまう

しかし、いつまで経っても衝撃はやってこないし、耳をつんざくような轟音もしない

恐る恐る少女が目を開けると

そこには、

 

 

重力に逆らい、空中に浮遊する車やその破片があった

そして1人の少年がダルそうにやってくる

 

 

「ったくよ、なんで俺が他人の尻拭いをしなきゃいけねーんだよ」

 

 

口には煙草を咥え、灰色の髪の毛にパーカーとジーンズ

 

白井黒子はこの人物を知っていた

何故なら先ほどまで自分が風紀委員の詰所にて風紀委員へ勧誘していた人物だったから

初春飾利はこの男を知っていた

何故なら自分の同僚が強引に風紀委員の詰所に連れてきたが、空間移動を使って一瞬で逃げていった男だったから

少女はこの少年を知っていた

何故なら自分のクレープを落としてしまった時に代わりのクレープをくれた少年だったから

 

 

「ふぅ、よっこいしょっと」

 

 

口から煙を吐き出し、気軽な声と共に車や破片をゆっくり下ろす

 

 

「大丈夫か?」

 

 

優しく少女に話しかける

そこへ、空間移動してきた白井や御坂などが近づいてくる

 

 

「あなた一体何者ですの?」

 

 

煙草を空間移動で奪い、足で消しながら聞いてくる

 

 

「何回も言ってるだろ、善良な一般市民だ」

 

「ですがっ!!」

 

「黒子、落ち着きなさいって」

 

 

引き下がろうとしない白井を御坂美琴がなだめる

そのまま御坂美琴はこちらを向く

 

 

「えーっと、さっきはありがとね。助かったわ」

 

「・・・別に助けたつもりはない」

 

 

それだけ言って彼は立ち去ろうとする

それと同時に警備員(アンチスキル)も現場に駆けつける

 

 

「・・・・じゃあなオリジナル」

 

 

そう言った彼の言葉は科学の街に溶けていった

 

 

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