とある科学の幻想操作   作:モンステラ

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Hello World

AIM拡散力場の塊のような少女と別れてすぐに目当ての人物は倒れていた

金髪の魔術師、シェリー=クロムウェル

彼女を見下すように立つ

 

呻き声が聞こえる事からまだ死んでいないことが確認できた

降魔にとってそれは好都合だった

 

 

「オイ、さっさと起きろやクソが」

 

 

シェリーの体を何回か蹴り、強引に意識を覚醒させる

降魔は呑気に煙草に火をつけ、煙を吸い込んでいる

 

キッとシェリーは降魔を睨むが、既に勝負は決まっていた

彼女の体はしばらく動きそうになかった

 

 

「テメェの目的は?」

 

 

あくまでも冷静に振る舞った

感情のコントロールを少しでも間違えると目の前の女をぶち殺してしまいそうだ

沸騰しかける己の感情を整える

 

 

「戦争を、火種を起こさなくちゃならねぇんだよ」

 

「あ?」

 

 

壊れかけていたブレーキが壊れた

感情を止めるものがなくなった

 

戦争?

火種?

 

そんな下らない理由でコイツは家族に攻撃を加えようとしたのか

適当に痛めつけて、魔術の有益な情報を抜き取って終わりにしようと思ったが、そうはいかなかった

 

コイツはここで殺そう

コイツの信念も夢も思いも過去も関係ない

このクソはここで殺す

 

電極を切り替える

パチン、と全身に力が宿る

手を振り上げる

人間の体など安易と破壊し、ぐちゃぐちゃの肉塊にできる手を

 

 

「テメェが何を思って学園都市に来たかなンて知らねェが、ここで潰れろカス」

 

 

容赦はなく降魔は右手を振り落とす

だが、しかしその右手は誰かの右手によって止められる

 

 

「あァ?」

 

 

右手の主

それはツンツン頭の少年だった

上条当麻

右手に幻想殺しというジョーカーを宿す少年だった

 

 

「何してんだ、降魔」

 

「あ?目の前の息を吸って吐くだけのゴミを処理しようとしただけだ」

 

 

上条はその目を見てギョッとした

彼と知り合ってまだ日は浅いが、彼はこんな目で、こんなことを平気でできるような人間だっただろうか

 

降魔はこの世の全ての憎悪を詰め込んだような目で上条当麻を見る

上条はただ真っ直ぐ灰色の少年を信じるような目で降魔向陽を見る

 

しばらくして降魔は舌打ちをし、煙草を取り出す

そこでやっと彼を覆っていた殺意が引っ込む

どうやら彼との衝突は避けられたようだ

 

灰色の少年は自身を落ち着かせるように、煙を吸い込み、ゆっくりと吐く

 

 

「…帰る」

 

「あ、オイ」

 

 

杖をつき、降魔は暗闇へ消えていこうとする

そんな彼を上条が呼び止める

 

 

「これ以上ゴミの顔見てたらぶっ殺したくなっちまう」

 

「…っ!」

 

 

低く呟く降魔

そんな彼を前にし、上条は言葉を失う

降魔は煙草を口にしながら、上条のそばで寝転がるシェリーに近寄る

薄暗いため上条から降魔の表情は見えなかった

 

 

「科学だか魔術だか知らねぇけどよ、次に俺の家族に手ぇ出したら組織ごと潰すぞ」

 

 

本気の声だった

おそらく彼なら本当にやるだろう

それだけの能力が彼には備わっている

 

言いたいことを言い終わった降魔はそのまま手を振ってどこかへ歩いて行ってしまう

上条はその背中を見つめるだけしかできなかった

 

 

 

 

能力を使って地下から地上へ出る

地上では警備員や風紀委員が何やら忙しそうに駆け回っていたが自分には関係ない

 

 

しばらく歩いていると、目的の2人を見つけた

その姿を見て降魔は少し安心する

駆け寄ってくる彼女らを見て

 

 

「…行くぞ」

 

 

そう言って彼は歩き始める

その後ろを2人の少女は嬉しそうについて行った

 

まるで本物の家族のように彼らは歩き続けた

それを守るためならば彼は全てを壊し、全てを殺すだろう

それが初めて手に入れた「家族」を手に入れた彼を動かす信念だ

 

恐ろしく歪で不安定な彼は歩み続ける

 

 

 

 

◇◇◇

 

 

太陽はとっくに沈み、時計の針はテッペンで重なっていた

降魔はリビングで義手を弄っていた

2人の同居人は今日の疲れからか既にベッドに入り、寝息を立てている

 

メタルチックな義手の作業を一通り終え、それを眺める

何回か開いたり、閉じたりする

確認作業をしている途中で、降魔の携帯が震える

 

 

「あ?」

 

 

携帯のディスプレイを確認するが、そこに番号は表示されていない

普段の彼ならば、出ることはなかっただろう

しかし、なぜかは分からないが、降魔は携帯を手に取っていた

 

 

「…誰だ」

 

『私だ』

 

 

聞き覚えのある声だった

 

 

「何の用だ、アレイスター」

 

『仕事だ』

 

「あ?テメェが直接指示出すなんざどーいう風の吹き回しだ?」

 

 

彼が自分の組織の上司を殺し、代わりの人員が補充された

今まで通り仕事の指示はその新しい人物から受けていた

 

それがどう言う訳か学園都市統括理事長であるアレイスターが直接降魔に仕事の命令をしてきた

いまだかつてない程の面倒事の予感がした

 

 

『機密性を重視するために私が直接指示を出すことになったのだが、不満かね』

 

「…別に不満なんてねぇよ、てかどーでもいい。それで、仕事の内容は?」

 

『仕事熱心で助かる。君には今からローマに飛んでもらう』

 

「ローマだと?」

 

『あぁ、ローマで確認された『原石』の保護だ』

 

 

降魔はベランダに移動し、煙草に火をつける

仕事の内容はわかった

しかし、降魔が気になることは

 

 

「俺が行く理由は何だ」

 

 

降魔向陽は学園都市同率第1位だ

科学技術の結晶とも言える超能力者である彼を外の世界に出す理由 

原石の保護など別に学園都市の暗部の下部組織でもできる仕事内容だ

わざわざ降魔向陽という機密性の高い兵器を外に持ち出す理由がわからない

 

しかし、電話の先にいる人間は

 

 

『行けばわかるはずだ』

 

 

それだけ言ってアレイスターの電話は切れた

電話が切れたと同時にメールが来ていた

降魔を運ぶ飛行機の情報だった

 

時間を確認すると、出発の時間は数時間後だった

舌打ちをし、降魔は準備をする

 

 

準備をすると言っても、持っていくものは煙草と携帯だけだ

寝ているリアと美鼓に置き手紙を書いておく

それといつ戻れるか分からないため、数日分の食費と雑費を置いていく

 

向こうで武力衝突が無いとは言い切れないが、武器を持っていく必要はないだろう

何故なら自分自身が最恐にして最強の武器だからだ

例え軍人が数千人規模で出てきても余裕で薙ぎ払うことができるだろう

 

 

「ったく、面倒くせーな」

 

 

そう言った彼は杖を持って、リビングから飛び降りる

空中でクルリ、と一回転し、地上に迫る

地面までの距離が1メートルほどになった瞬間、フワッと体が持ち上がり、華麗に着地する

 

彼の目の前には不自然に黒いバンが止まっていた

彼は黙ってそれに乗り込む

ドカッと座席に座り、煙草に火をつける

 

運転席は見えず、誰が乗っているのか分からない

しかし、車は動き出した

どうせアレイスターに近いクソだろう

 

 

しばらく一定の速度で走った後、車はゆっくりと止まった

降魔はそれを確認し、車から降りる

そこは空港のようだった

 

そして降魔の目の前には一機の飛行機があった

 

 

「…これかよ」

 

 

ゲンナリした様子で目の前の旅客機を見る

通常の旅客機よりも一回り大きく、最高時速は時速7000キロオーバー

名前を『超音速旅客機』

学園都市が誇るスーパーハイテク飛行機である

 

降魔は杖をつきながら飛行機へ乗り込む

当然の如く、乗客は降魔1人であった

 

適当な席に座り、体を固定させる

それと同時に電極を外し、充電を始める

ボーッと意識が遠のくような不思議な感覚が続く

 

 

 

ピピピピ、と電子的な音が聞こえ、降魔は電極の充電器をノロノロとした動きで掴む

しかし、電極を上手く首筋にはめることができず、2回3回と繰り返し、ようやくはめる

それと同時に彼の演算能力が戻り、意識が覚醒する

 

時間は出発してから数十分ほどだった

降魔は超音速旅客機の内臓を圧迫するような不気味な感覚に顔をしかめる

何度かこの機体に乗ったことがあるが、何度乗ってもこの感覚には慣れない

 

 

『まもなく指定座標です。準備をお願いします』

 

 

機内のスピーカーからそんな声が聞こえる

ため息をし、機体の後方へ移動する

ハッチを開け、日本とは違い明るくなり始めている街を見下ろす

 

 

 

「面倒くせぇな…」

 

 

そう呟いて躊躇いなく飛行機から飛び出していった

 

彼の今回の仕事はこの街で確認された『原石』を保護することだ

それにはまず、その人物の現在地を確認しなければいけないが、降魔にその情報はない

アレイスターから与えられている情報は、顔写真と簡単な個人情報のみであった

 

『エルド=レエ』

 

顔写真を見る限り、年は10歳くらいだろうか

目もくらむような金色の髪に髪と同じ色の瞳の少女

家族は姉しかおらず、父と母はすでに死んでおり、親戚がいるという情報もない

推測されている能力は『肉体再生(オートリバース)』らしきモノ

 

空中で情報を整理していると、ローマの地面が近づいてきた

 

地面に着地する寸前に電極を切り替える

フワッとローマの地に降り立ち、目的の少女を探す

人気のない場所を選び、着地したため、周りには人っこひとりいなかった

 

とりあえずポケットから取り出した煙草に火をつけ、煙を吸い込む

煙を吐きながら今後のことを考える

 

 

(…やみくもに探したって見つかる訳もねぇしな。となると、)

 

 

降魔が目線を向けたのは薄暗い路地裏だ

暗部で活動し、人の悪意というものに敏感な彼だから気がついたのだろう

路地裏からする悪臭を

 

 

「薄汚ねぇゴミ共の匂いだ」

 

 

どんなレベルであれ路地裏には闇というものが集まる

それは学園都市だけではなく、外の世界でも一緒だ

当然だが表の住人よりも裏の住人の方が有益な情報を持っている可能性が高い

 

初めはチンケな闇が出てこようが関係ない

そこから芋づる式に引きずり上げ、情報を手に入れる

 

降魔が路地裏へ一歩踏み入れた瞬間

 

 

Ehi(待て)!!Cristo vampire(クソ吸血鬼)!!!!!」

 

 

そんな怒号が聞こえた

それと同時に降魔は笑みを浮かべた

 

いきなりの大物が釣れたこ事

面倒事をさっさと片付けれる事

 

電極に手をかけながら声のする方向へ歩いていった

 

 




おはようございます。こんにちは。こんばんは。モンステラです
今回のお話の後半からオリジナルのお話が続いていきます
最近忙しくなってしまい更新頻度が落ちてしまい本当に申し訳ありません
これからも頑張るので何卒応援をよろしくお願いいたします

ちなみに今日はフットサルへ行ってきます
頑張って点をもぎ取ってきたいと思っています
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