とある科学の幻想操作   作:モンステラ

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魔を極めし訪問者

『カースト』学園都市の裏で表舞台を守るために活動する学園都市統括理事会直属の組織

 

これが降魔向陽の所属する暗部組織の名前である。しかし、構成員は今のところ彼1人のため、カーストに回ってくる仕事は彼1人で処理している

 

 

『あー、降魔向陽ですかー?お仕事の時間です』

 

 

電話越しに聞こえる男の声。毎回毎回彼から仕事の指示がとんでくる

実質的に上司みたいなものだ

 

 

「・・・今回はなんだ。眠いんだが」

 

 

今は夜の2時を過ぎている。もう真夜中と呼んでいい時間だろう

 

 

『それがですね、学園都市の外部から正体不明の侵入者が侵入したんですよ』

 

「は?侵入者だと?」

 

『はい、ですからアナタには侵入者の早期発見と対象の捕獲をお願いしたいのです』

 

「捕獲ねぇ、侵入者の数は?」

 

『今のところ3人ですかね』

 

「保護する侵入者の特徴は?」

 

『はい、白い修道服を着てます。最後に目撃されたのが第7学区です』

 

「修道服?何でんなモンが学園都市に」

 

『まぁーそこらへんの情報は知りませんが、捕獲できたらまた連絡を。対象は生け捕りで、生きていれば後はどーでもいいです』

 

「りょーかい」

 

 

電話を切り、部屋着を着替える

自分の部屋の金庫を開け、拳銃を取り出し、ホルスターに仕舞い込む

リビングへ行って、眠っている同居人へ置き手紙を残し、外へ出る

 

 

第7学区に着いたはいいが、なんの手がかりもないのでとりあえず歩く

そこである匂いを嗅ぎ取る

その匂いは彼自身は嗅ぎ慣れているが、学園都市ではあまり嗅ぎ慣れない匂いだ

 

それは煙草の匂いだ

 

彼はゆっくりと匂いの元を辿る

侵入者の元へ、路地裏へと進んでいく

 

 

 

 

「はぁはぁはぁ、」

 

 

学園都市第7学区の路地裏。この街には不自然な格好の少女。銀色の長い髪に白い修道服の少女が息を切らしながら走っていた。まるで何かから逃げるように

 

そんな彼女に真後ろから炎が迫る

 

 

「ッッ!!?」

 

 

思わず足を止め、体を強張らせる

この炎が少女の身を焦がすことはない、と少女自身分かっていたが、それでも炎への恐怖は拭えない

しかし、いつまで経っても衝撃はやってこないし、灼熱の炎はやってこない

何故なら自分の前に1人の少年が立っていたからである

この少年が炎を消してくれたのだろうか

 

やがて少年が口を開く

 

 

「テメェらが侵入者でいいんだよな?」

 

 

白い修道服の少女の前に立ち、暗闇の奥にいる敵に言葉を投げかける

 

 

「・・・ここら辺には人払いをしていたはずだけど」

 

 

暗闇から出てきたのは燃えるような真っ赤な髪に漆黒の修道服を着ている長身の男だった

後ろにいる少女もそうだが、コイツらの格好は学園都市では珍しい

 

 

「あぁ?何言ってるか知らねぇけど、」

 

 

演算を組み上げる

脳からの命令が正しく体に伝わる

 

(Model _Case ACCELERATOR(アクセラレーター)

 

自分と同順位の超能力者の力

その能力で烈風を生み出す

 

 

「なッ!!??」

 

「生憎と暇じゃねェンだよ」

 

 

烈風は真っ黒い男に直撃し、そのまま後方へ吹き飛ばす

それを見届けた降魔は後ろにいる少女を見る

 

 

「それで、テメェは何者だァ?」

 

 

尻餅をついている少女はいきなり現れた降魔を見て、少しパニクっているようだった

それでも降魔のやる事は変わらない

 

 

「えっと、アナタこそ何者なの?魔術師を倒しちゃうなんて」

 

「あァ?魔術師だと?何言ってやがンだオマエ。それと、」

 

 

少年は慣れた手つきで煙草に火をつけ、足を振り上げる

 

 

「質問してるのは俺だ。質問を質問で返すンじゃねェよ」

 

 

少女の肩を踏みつける

 

 

「あう!!」

 

「あァ?どォなってンだこれ」

 

 

降魔は踏みつけた少女に違和感を覚える

彼がコピーしている能力で踏みつければ人間の体など文字通り粉砕することも可能なのだ

しかし、踏んでいる感覚こそあるのだが、ダメージを与えられているとは思わなかった

 

 

「もう一回だけ質問すンぞ?テメェらは何者だ?」

 

 

ダメージを与えられているかのどうでも良くなり、踏む力を強めていく

体にダメージが通らないのなら顔はどうだろうか

煙を吐きながら、再び足を振り上げ、今度は顔を狙う

そこへ

 

 

「・・・・吸血殺しの紅十字(SqueamishBloody Rood)!!!!!」

 

 

先ほど吹き飛ばした男が炎を纏い、攻撃を繰り出す

しかし、降魔向陽は避けようとも、身を守ろうとしない

 

轟!!!!と、灼熱の炎が降魔に直撃する

その瞬間、襲撃者と降魔の2人にとって予想外のことが起きた

男の攻撃が降魔に当たった瞬間、炎が逸れ、七色の光に分解された

 

 

「はッ!!ライターの代わりなら間に合ってるぜェ!!発火能力者!!!!」

 

 

攻撃を防いだ直後に異変を感じ取る

目の前の男からAIM拡散力場を一切感じないのである。先ほどまで炎を使っていたのに

そして先ほどの現象。先ほどの使用した能力に攻撃を加えた場合、演算にミスがなかったのならば逸れたりせずに反射することができる。しかし、先ほどの攻撃は演算にミスがなかったにも関わらず炎が反射せずに逸れ、七色の光に分解されたのである

 

それが導き出す答えは

 

 

「・・・オマエが魔術師ってやつかァ?」

 

 

学園都市とは違う法則

科学とは正反対の位置に存在する技術

 

降魔の言葉を受け、敵の表情が静かに変わる

そして

 

 

Fortis931(我が名が最強である理由をここに証明する)!!!!」

 

 

その言葉で敵の雰囲気が変わる

何か理由なり信念なりがあるのだろう

だが、こっちは腐っても暗部で活動している。こういう相手によく効くのは

 

 

「なッッ!!!!??」

 

 

拳銃を引き抜き、足元で寝転がる少女に向ける

少女はいつの間にか気絶しているようだった

 

 

「テメェがこのガキに向けてる視線は敵意や殺意なンかじゃねェ。お前が向けてるのは、」

 

炎よ(Kenaz),巨人に苦痛の贈り物を(PurisazNaupizGebo)!!!!」

 

 

降魔の言葉を強引に遮るように炎剣を生み出し、目の前へ放つ

 

 

「何だァ!?ンなショボい炎で俺に届くとでも思ってンのか!!!!あァ!?」

 

 

烈風を生み出し、炎と相殺させる

炎の塊と空気の塊が激突し、辺りを暴風と炎が包む

そんな炎の中から少年が出てくる。傷どころか煤ひとつ付けずに

 

そこで彼を覆っていた反射の膜が消える

それが意味するのは

 

 

(チッ!もう30分経ったのか)

 

 

表情には出さないが、少しばかり体を強張らせる

相手も相手でコチラの正体不明な攻撃を警戒して攻撃をする気配はない

 

 

(・・・引くか)

 

 

暗部での活動のおかげか嫌に冷静に判断できた

別にここで目の前の襲撃者を殺しておく必要もない

後ろで気絶している少女の位置を確認する

 

 

「どうしたのですか?ステイル」

 

 

男の後ろから長い日本刀を携えたポニーテールの女が現れた

どうやら目の前の黒い神父の仲間のようだ

 

面倒ごとは嫌いだ

これ以上状況が悪化する前にここを立ち去るべきだろう

 

 

「あぁ、神裂か。少々邪魔が入ってね」

 

「そうですか。ではしょうがないですね。少々強引に解決させていただきます」

 

 

降魔が演算を開始しようと思ったのと、女が一歩前に出たのはほぼ同時だった

普通の場合だったら降魔の演算のほうが早く終わり、能力を使うことができただろう

しかし、目の前の女は全てが規格外だった

 

(Model _Case ッッ!!??)

 

女は一瞬で間合いを詰め、長い日本刀を抜刀する

間一髪で刀を避け、後退しようとした瞬間、

 

 

「ぐ、がああああぁぁぁッッ!!!!??」

 

 

神父の炎剣が右腕を切り裂く

摂氏3000度の炎剣が右腕を一瞬で焼き尽くし、周囲を異臭が包む

流石の彼も苦痛の表情を浮かべ、冷や汗を流す

 

 

「さっきのはもう使わないのかい?」

 

 

してやったり顔の男から距離をとる

膝を地面につき、痛みに耐えながら演算を組み上げる

拳銃を使い、威嚇射撃を行う

 

(Model_Case DARK MATTER(ダークマター)

 

演算は一瞬で完了する

彼の背から純白の翼が生え、彼と後ろの少女を包み込む

ズドォン!!と彼はそのまま空へ飛び立つ

 

 

 

 

 

 

降魔向陽は魔術師とかいう襲撃者たちから逃れ、ビルの一室に座り込んでいた

 

 

(がぁぁぁぁぁぁ!!痛っっってぇぇぇ!!!!!!)

 

 

当然である。麻酔もなしに右腕を、肩から下を焼かれ、灰にされたのだから

残った左手を動かし、必死に演算を組み立てる

 

「はぁはぁ、Model_Case・・・、MENTALOUT(メンタルアウト)

 

左手を頭に添え、

 

 

『痛覚遮断カテゴリ 443/全身の痛みを、運動を阻害させない程度に緩和』

 

 

能力を使い、強引に痛みを遮断する

幸いなことに傷口は焼かれ、出血はなかった

彼はそのまま携帯を取り出し、電話をかける

 

 

『あー、降魔向陽ですか?お仕事は終わりましたか?』

 

「あぁ、対象を捕獲した。次は?」

 

 

そう言って彼は足元に横たわる少女を見る

 

 

『はい、お次は対象を第7学区のとある寮の一室のベランダに置いておいてください』

 

「チッ!それで終わりだな?」

 

『おや?何だかご機嫌斜めですか?』

 

「当たり前だろーが、コッチは右腕を灰にされてんだぞ」

 

『あちゃー、そうでしたか。救護班は必要で?』

 

「いらん。勝手にする」

 

『そうですか。では寮の詳細はメールにて』

 

「・・・あぁ」

 

 

携帯を切り、少女を肩に担ぐ

窓からは太陽が顔を出そうとしていた

もう直ぐ朝になる

 

最悪の朝だ

 

 

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