とあるビルの屋上に中途半端な格好をしている金髪の男とその男の近くで倒れている少女を食蜂は見つけた
まずは協力者である金髪の男の動きを解放しようと考える
「ちょっと待ちなさぁい!自由にした途端に私を襲うように命令されてるかもしれないからぁ」
バッグからリモコンを取り出してその男へ向ける
『食蜂操祈には危害を加えられない』と、脳に書き込んで彼を自由にする
「とりあえず彼女を安全な場所に移動させてちょーだいっ」
「…貴方は?」
「幻生を追うわぁ。私じゃないと洗脳されて終わりでしょ?」
彼女らも行動を開始しようとした瞬間、彼女らの近くにあった貯水タンクが弾ける
その中から触手のようなものが飛び出し、食蜂の足に巻きつく
グンッと引っ張られ、食蜂のバランスが崩れる
「ッ!?」
ズルズルと引きずられる
その触手の先には不気味な顔でコチラを見つめる人形がいた
食蜂は手に持っていたリモコンを使い相手の動きを止めようとする
『フフフ、遠隔操作されてるモノには効かないよね?』
しかし、その人形は一向に止まる気配はない
パンパンパンッ!!!と金髪の男が人形へ向けて発砲するが、液体のような人形には効果はないようだ
食蜂と人形の距離は徐々に近づく
『悪いけどちょっと付き合ってもらえるかな?抵抗とかしないで大人しく、』
だが、その途中で食蜂の足を掴んでいた触手が断ち切られた
「きゃっ!」
いきなり触手を切られ、再びバランスを崩した食蜂が尻餅をつく
「風紀委員ですの!!!」
そこへ白井の声が響き渡る
風紀委員の腕章を見せながらそこにいる全ての人へ告げる
「あなた方には拘束後説明していただきます」
白井が見るのは液状の人形
その人形を操っている人間に向けて警告する
「特に警策看取!!書庫の情報改竄のほかに取り調べることが山ほどありますの」
それ聞いていた警策が操る人形は複数の触手を勢いよく伸ばす
勢いよく襲いかかる触手を白井は空間移動で避けようとする
しかし、彼女が避けるより早く灰色の少年が白井の前に現れた
その少年は鬱陶しい虫を払うように手を振るう
たったそれだけの行為で白井を襲おうとしていた触手が全て内側から弾ける
「降魔さん!?」
白井がその名前を呼んだ時にはもう降魔は地面を蹴っていた
音が遅れるスピードで加速した彼はそのまま警策の液状の人形を掴み、地面へ押し付ける
『うっそぉ!!?何で掴め、』
「失せろ」
警策が何か言おうとした瞬間、警策の人形が内側から破裂する
液状の人形と繋がっていたAIM拡散力場がなくなったのを確認し、降魔は電極を通常モードへ戻す
そのまま煙草を咥え、火をつける
降魔は食蜂をギロリと睨みつけ、近づく
「で、どーなってるか説明する気はあんだろーな」
「もちろんよぉ」
食蜂はリモコンを取り出し、降魔へ向ける
対する降魔は電極に手をかけ、いつでも能力を発動できる状態にする
コイツが現れてから異常なことが起こりすぎた
恋査とかいうサイボーグが襲撃に来たり、美鼓の意識が無くなったり、降魔の演算の代理をしているミサカネットワークに異常が発生したり
「そんなに警戒力全開にしないで欲しいんだゾ☆」
「…、」
「現状に対する私の考察力を送り込むわぁ」
食蜂はリモコンのボタンを押し、彼女の考えを降魔の脳内に送り込んだ
降魔の脳内に彼女の情報が流れ込んでくる
「貴方には御坂さんを何とかして欲しいんだけど」
「上条の野郎だけじゃ足りねぇのか?」
「あの人だけでも大丈夫だとは思うんだけど、保険よぉ」
確かに能力に特化している相手ならば上条1人でどうでもなるだろう
しかし、相手が能力以外の攻撃手段を持っていた場合は上条1人では厳しいだろう
暴走しているのは御坂美琴だ。電気を操る彼女ならば物理的な攻撃もできる
「…わかった。超電磁砲は俺らが何とかする。お前は最低でもそこに寝転がってる奴らが普通の日常に帰れるようにしろ」
そう言って降魔は意識を失っている妹達の1人を見る
「わかったわぁ」
それを聞くと降魔は電極を切り替え、今もなお雷が溢れる場所へ移動を開始する
◇◇◇
その場所には1人の少女、いや、雷神と1人の少年がいた
佇む雷神は、まるで睨むように学園都市統括理事長がいる『窓のないビル』を見ていた
「ッ」
そんな雷神に急接近する少年がいた
上条当麻だ
短い呼吸で彼女の体を自身の幻想殺しで触れようとする
しかし、バヂヂヂヂヂヂッッ!!!連続した雷撃が上条を襲う
咄嗟に右手を突き出し、電撃を打ち消す
電撃を打ち消した勢いを利用して上条は、雷神の背後をとる
「このタイミングなら届…」
避けれるタイミングでも、電撃を撒き散らせるタイミングでもない
再び彼女を右手で触れようとした上条の目の前を何かが高速で通過した
それは金属の塊だった
磁力を操り、複数の金属の塊を上条の方へ飛ばして来たのだ
「いっ!?」
金属の塊が上条の服に引っかかり、その勢いを保ったまま吹き飛ばす
地面を転げ回りながらも上条は真っ直ぐと雷神を見る
そこでギョッとした既に彼女の周りには数え切れないほどの金属の塊が浮遊していた
「?」
それを彼女は不愉快そうに見る
厳密には上条の右手を見る
そして、彼女はただ手を振るう
たったそれだけの動きで金属の塊がまるで隕石のような勢いで上条を狙い、降り注ぐ
「だああああああああッッ」
上条は叫びながら降り注ぐ金属の塊を避けながら走る
その時、上条は背筋にチリッとした静電気のようなものを感じ取る
ほとんど反射的に振り返り、不自然に曲がりながらコチラへ向かってくる電撃を打ち消す
ドンッッ!!と凄まじい音が響くが上条の右手に当たった瞬間に、電撃は砕けた
「威力はスゲーけど右手で消せるなら…」
そこで彼は信じられないものを見た
コンクリートや鉄柱などで構成されている凄まじい大きさの塊
もはや右手で消せるとかの問題ではない
あんな圧倒的物量で攻撃されたら上条の体など簡単にぐちゃぐちゃにできるだろう
躊躇などは一切なかった
放り投げられた巨大な塊に上条の体は固まってしまう
「いやいやいやいや!!それは反則!!」
少し遅れて落下地点から少しでも遠ざかろうとするが間に合いそうにない
そこで上条は誰かが地面を蹴るような音を聞いた
「ハイパーエキセントリックウルトラグレートギガエクストリームもっかいハイパー…」
それと同時に変な掛け声を聞いた
その声の主は上条の後ろから上条を飛び越し、拳を握っている少年だった
「すごいパーンチ!!!!!!」
その少年は拳を振るった
たったそれだけで先ほどまでの巨大な瓦礫の塊が吹き飛ぶ
凄まじい轟音と共にまるで爆弾でも使ったかのような爆発が起きる
上条の近くにも瓦礫の破片が落下するが、それどころではなかった
そんな上条の頭上に破壊しきれなかった瓦礫が現れる
気付くのが遅れた上条は慌ててそれを避けようとする
だが上条が行動を起こすより早く動いた人影があった
「チッ、面倒ごとばっかり起きやがって」
降魔向陽だ
上条へ向かって落下してきていた瓦礫を降魔が蹴り上げる
そのまま彼は上条の近くに着地し、電極を切り替える
「大丈夫か?」
そこへ巨大な瓦礫を吹き飛ばした先程の少年がやってきた
純白に色を抜いた学ランを羽織り、額にハチマキを巻いた少年は上条たちの元へやってきた
「なんかスゲーのがいるなぁ。ツノ生やすとか根性あるな!!」
降魔は煙草へ火をつけ、上条と話す男を見ていた
「よし、後は俺に任せとけ」
「へ?いや、あんなだけど知り合いなんだ。他人には任せられねーよ」
「でもアリャ只者じゃねーぞ。いいから避難しとけ」
上条と男は話し合いを続けている
その間にも向こうにいる雷神はバチバチしている
降魔を含めた3人に向かってギュオッッ!!と雷撃が放たれる
降魔は何も言わずに電極を切り替えた
上条は黙って右手を突き出した
少年は左手をかざした
少年へ向かってきていた雷撃は少年の手によって簡単にはたき落とされた
上条へ向かってきていた雷撃は上条の手に触れた瞬間かき消されてしまった
降魔へ向かってきていた雷撃は降魔の背から生えた純白の翼によって弾かれてしまった
そこで上条と降魔は少年を少年は上条と降魔を見る
そして互いが互いを「なんだこいつ?」という目で見る
「…へっ、俺は
「俺は、上条当麻」
「…降魔向陽」
その3人の少年は自分らの目の前で暴走する御坂美琴を見る
そして白学ランを羽織る少年は、自分の両手の拳を合わせ
そしてツンツン頭の少年は、自分の右手の調子を確認するように
そして灰色の髪色の少年は、首筋の電極に手をかけながら
「足引っ張んなよカミジョー、ゴーマ」
「こっちのセリフだ」
「…面倒だが、やるしかねぇな」
そう言って、学園都市の闇によって暴走している少女を見る
「アレが何かはわからねぇが、能力使ってる以上俺の敵じゃねぇ」
降魔は電極の調子を確かめながら呟く
御坂美琴が暴走し、何になろうとしているかはわからないが、今の彼女にもAIM拡散力場は存在している
それが存在しているのならば、それを操るだけの力が降魔には備わっている
「タイミングは合わせてやる。お前らは死なねぇ程度に突っ込め」
「おっしゃ!!行くぞ、カミジョー!!」
降魔が言い終わるか終わらないかのタイミングで削板が上条と共に御坂の元へ走り出す
暴走する御坂はそんな削板と上条に狙いを定める
「……?」
しかしいつまで経っても御坂から電撃は放たれなかった
それは御坂ですら予想外だった出来事のようで不思議そうに首を傾げる
降魔が電極のスイッチを切り替え、通常モードから能力使用モードに変更したのは一瞬だった
すでに恋査とかいうサイボーグとの戦闘で電極のバッテリーを消費してしまっている
電極のバッテリーを節約するに越したことはないのだ
一瞬とはいえ確実に動きを止めた御坂に向かって削板と上条が突っ込む
すぐに能力を使えるようになった御坂が磁力を操って巨大な瓦礫を再び放り投げる
それを削板が意味不明な力で吹き飛ばしていく
そんな彼を狙いまるでビームのような光が襲いかかる
削板の背後から放たれた光を上条が自慢の右手で打ち消す
「やっぱりおもしれーな。その右手」
「…あぁ。できればこの手で触れてアイツが元に戻るか試したいんだけど」
そう言って上条は御坂の方を見る
彼女は真っ黒い砂鉄に覆われ、付近には瓦礫が浮いている
そんな彼らに砂鉄で構成されているであろう真っ黒い職種が襲いかかる
2人はそれを難なく避け、上条が再び右手で触れて砂鉄の塊を霧散させる
「これじゃ、近づくのもままならないな」
彼らが御坂に近づこうとすれば凄まじい攻撃が放たれる
降魔がいれば多少は防ぐことができるだろうが、彼の電極のバッテリーも有限なのだ
「よし!任せろ」
何か考えるように黙っていた削板がポンっと手を叩きながら上条の一歩前に出る
そして、勢いよく踏み込みながら息を吸う
そのまま拳を構えて、カッと目を見開く
「超ッ!!すごいパァァンチッッ!!!!」
彼の拳から放たれた一撃は、御坂の周りを浮遊している瓦礫を木っ端微塵にしながら御坂を覆っている砂鉄に直撃する
一直線に砂鉄のバリアへと到着した衝撃は、砂鉄のバリアを駆け巡り、彼女が操っている砂鉄は霧散していく
先ほどまで彼女を覆っていた砂鉄はなくなり、雷神のような見た目の御坂が現れる
「スゴ…」
呑気に呟く上条の襟を削板がむんずっと掴む
そのまま勢いよく上条を振り回す
「今のうちだ」
「いやいやいやいや!!ちょっと待て!ちょっと待て!!ちょっと待てぇぇぇ!!!」
「行ってこい」
「嘘だろぉぉおおおおお!!!」
削板の規格外の力でぶん投げられた上条は凄まじい勢いで空中を走り抜ける
ほとんど涙目になりながら上条は御坂を捉える
「…ッ!もうヤケクソ!!」
上条は御坂とすれ違う瞬間に彼女の肩を右手で触れる
パキン、と何かが砕けるような音がし、御坂を覆っている力が剥ぎ取れる
「!!」
しかし、一瞬で剥ぎ取れた箇所に力が供給され、元に戻る
上条はそれを見て歯噛みする
「って、ちょ!!?着地どーす…」
勢いは衰えずに凄まじい速度のまま瓦礫の山へ突っ込みそうになる
空中で身動きも取れない上条の耳に舌打ちが聞こえる
降魔が空中で上条の襟を掴み、地面へ着地する
「…サンキュー」
「面倒ごとを起こすんじゃねぇよ、根性野郎が」
「スマンスマン。で、どうだ?」
「ダメだ。外からよくわからない力が入り続けているみたいで消しきれない」
「じゃあどうすんだよ」
「俺ら以外にもアレを元に戻そうとしてる連中がいるからな、そいつらの頑張り次第ってところか」
削板の質問に降魔は煙草に火をつけながら答える
実際に降魔、上条、削板がここで暴走する御坂をどうにかできる保証はない
「ソイツが言うには、俺が近くにいる事でアイツの変化が抑えられるみたいなんだが……」
上条がそう呟くと同時に御坂の方に変化が現れる
ビキビキビキ、と彼女の体の構造自体が変化していく
「オイ変わっちまったぞ」
「いや、遅らせるだけで止まるわけじゃ…」
削板の問いかけに上条はゴニョゴニョと答える
そのまま3人の少年は御坂の方を見る
「だいたいアイツは何がやりた…」
削板の言葉が途切れた
上条と降魔が気づいた時には、すでに削板の体は勢いよく吹き飛ばされていた
「軍覇!!!!」
上条が叫ぶ
降魔はすでに右手で電極を切り替える動作の途中だった
しかし、降魔が右手で電極を切り替えることはできなかった
衝撃は一瞬だった
降魔の右腕は木っ端微塵になっていた
「降魔!!」
「…騒ぐな。機械だから痛みも何もねぇよ」
心配そうに叫ぶ上条を落ち着かせる
だが、攻撃が見えなかった
降魔は舌打ちをして今後の動きを考える
直後に削板が吹き飛ばされた方向から何かが崩れるような音がし、削板が上条達の元へ跳んでくる
「なっさけねー、油断した」
「ぶ、無事なのか…?」
削板の方も何とか無事なようだ
「アレで無傷なんてオマエどんだけ…」
その途中で上条は削板の額から血が流れるのを見た
流石の彼でもアレだけの攻撃を喰らって無傷とまではいかなかったらしい
「こりゃ根性入れねーとヤベェぞ」
脅威を理解し、3人は暴走する御坂を見る