芳佳と静夏のお勉強   作:cameletter

1 / 5
本文中のあとがきは、投稿時のあとがきです。

2012年当時Arcadiaでの注意事項

1.劇場版の間接的なネタバレをたくさん含みます。映画をまだ見てない方は気をつけてください。それでもいい方はどうぞ。→BDかDVDのお買い上げ、ノベライズ、あるいは一部劇場で二週間限定で再び公開するそうですよ。

2.劇場版で登場した新キャラ服部静夏と宮藤芳佳がメインです。坂本少佐も活躍するかもです。裏ボスはみっちゃんでいいですか?

3.劇場版アフターです。ですが、おそらく今後公式で展開されるであろう道筋とは異なると思います。扶桑が舞台となるのはきっと十期ぐらいだと思うから(願望)→やはり違うようですが、これはifとして構成させてもらいます。

4.当たり前ながら百合です! 百合しかありません。違いました。友情です! 友情100%です。百合が苦手な方はご注意を。

5.ネウロイ成分はたぶんありません。

6.勢いのままに書き出したのでプロットはないです。が長くするつもりもないので大丈夫でしょう。おそらく中編で50k字以内にはおさまるのではないかと。できるだけ短期間に仕上げようかと思っていましたが(あわよくば発売までに)、体力的に無理かもです。→たぶん五話で30k字程度になる予感です。

7.最低限のストライクウィッチーズの世界観補足(用語補足)するかもです。


一話

 扶桑皇国海軍兵学校一号生服部静夏は一人机に向かって悶えていた。

 

「いかんいかん、勉強しなければ」

 

 気を引き締め直して再び机に向かう。今静夏は兵学校の最高学年。つまり卒業が近づいており、もうすぐ少尉に正式になるのだ……最終試験に無事合格すれば……。欧州派遣用の即席士官教育で優秀な成績を収め、坂本美緒少佐の覚えもめでたく、イレギュラーとはいえ実戦を一度経験した静夏だ。万が一がなければ落ちることはありえない。しかし、

 

「宮藤さん……」

 

 静夏はあるものに目が行き、また惚けていた。

 

 机の上にある二つの写真立て。一つはあこがれの宮藤芳佳軍医少尉とガチガチに固まった静夏のツーショット。

 

 もう一つは伝説の第五〇一統合戦闘航空団の十一人にカールスラント最強のナイトウィッチとして名高いハイデマリー・W・シュナウファー大尉。そんなそうそうたるメンバーに挟まれた場違いな服部静夏軍曹の集合写真。静夏は宮藤に抱きつかれ、そんな宮藤にリーネ・ビショップ曹長が寄り添い、自分が迷っていた時に話をしてくれたガリアの英雄で青の一番(ブループルミエ)と呼ばれるペリーヌ・クロステルマン中尉もいる。静夏と芳佳の後ろには眼帯をしていない坂本美緒少佐が立っていて、そんな少佐の笑い声が今もはっきりと耳に聞こえてくるようだ。その横にミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ中佐が微笑みを浮かべて立っている。脇の方で遠慮そうにハイデマリー大尉が縮こまっているが、世界で一番二番の撃墜数を誇るエーリカ・ハルトマン中尉にゲルトルート・バルクホルン大尉が無理矢理引っ張り込んでいる。エイラ・イルマタル・ユーティライネン中尉とサーニャ・V・リトヴャク中尉。シャーロット・E・イェーガー大尉とフランチェスカ・ルッキーニ少尉ももちろんいる。総勢十三名の集合写真。今思えば本当に場違いなようで夢のような出来事であった。

 

「しまった! 勉強しないと宮藤さんに面目が立たない!」

 

 静夏は頭をぶんぶん横に振る。ヘルウェティアに留学しにいく芳佳の随行員として空母天城に乗り込んだ静夏だったが、最初のうちは芳佳の士官としての心構えのなさに幻滅していたのだ。軍装さえ持ってないし、下士官の仕事である炊事を手伝うわ、甲板の掃除はするわ、『よ~し! ぶぃ~ん! 左ひねり込み~!』てなんなんだ! こんなのが軍神宮藤少尉であってはいけない! と静夏は芳佳に「海軍士官心得にはこうあります! 『デアル、ラシカレ主義で行け。少尉は少尉、中尉は中尉である。何事につけても分相応、らしくあれ!』と! これが軍規です! ルールなんです!」「宮藤さんは私の憧れ、ウィッチの中のウィッチです! 扶桑の英雄なんです! だから絶対に皆の規範にならないといけないんです!」と厳しく当たってしまった。挙句の果てに上官である宮藤少尉に「勉強です!」て命令さえしてしまった。今思えば反逆罪で銃殺刑にあってもおかしくない暴挙である。

 

 静夏の身悶えは終わらない。復活しても写真立てが目に入り、そこから思い出に浸り、やがて自己嫌悪に陥り復活するというループにループを重ねる。これが欧州から扶桑に帰ってきた静夏の日常であった。

 

「はぁ、またやってるよ。宮藤少尉も罪な女よねぇ」

 

 ルームメイトである少女は今日も身悶える静夏を優しく見ていた。よくもわるくも凝り固まっていた静夏がこうやってやわらかくなったのだ。

 

「それじゃおやすみ。服部さん。あまり遅くなると明日の訓練に支障が生じるよ」

 

 ルームメイトは形ばかり注意して眠りについた。

 

 

 

   ***

 

「結局勉強できなかった……」

 

 翌日の朝。静夏は目に深い隈を携え朝の自己鍛錬をしていた。毎朝かかさない自己鍛錬。坂本少佐も毎日かかさないと聞いている。ならば私もと始めた習慣。例え寝不足でも、いや寝不足だからこそますますやらなければならない。

 

 そういうわけで走り込み、身体を温め、さらにと思ったところで後ろから声がかかる。

 

「服部、今日も元気そうだな。はははっ。どうだ? 訓練してやろうか?」

 

 静夏が慌てて後ろに振り向く。そこには軍刀を片手に立っている坂本少佐がいた。そしてその横には眠そうにしている見覚えのある少女がたっていた。

 

「み、宮藤さん少尉!」

「……少尉はいらないよ。静夏ちゃん」

「すすすみません! 宮藤さん」

 

 勢いのままに頭を下げてしまう静夏。そんな静夏にびっくりしたのか芳佳が慌てていう。

 

「静夏ちゃん頭を上げてよ。私たち友達でしょ?」

「は、はい!」

「はっはっは。おまえたち相変わらずだな」

 

 坂本は静夏が自分に挨拶していないことに気づいていたが、今日は仕方がないと諦めた。

しかしどちらもかわいい教え子。あとでみっちり訓練に付き合ってやることは決定されていたりする。

 

 再会の気持ちの高まりもようやく落ち着いたころ、静夏はなぜヘルウェティアに留学しているはずの芳佳がここにいるのか疑問に思った。

 

「あの坂本教官と宮藤さんはどうしてここにいらっしゃるのでしょうか?」

「そうだな。私は欧州にいったついでに宮藤を帰郷させただけだぞ?」

「えー、坂本さん。ここ広島の江田島じゃないですか! 私の家は横須賀ですよ」

「なぁに、同じ扶桑。この大地は横須賀に繋がっている。特に問題なかろう。はっはっは」

 

 芳佳はいつもの坂本さんだなーと思って静夏の方に顔を向ける。

 

「まぁ、そういうわけで静夏ちゃん。学校が長期休暇に入ったから帰って来たよ」

 

 芳佳の説明になるほど長期休暇なら扶桑にまで帰ってくる余裕もあるかもしれない、と静夏は納得した。きっと江田島の海軍兵学校にきたのも坂本少佐が静夏と芳佳を会わせるために気を効かしてくれたんだ。そう静夏は思った。

 

「もうくたくただよ。二式飛行艇で帰ってきたんだけど、その間にハワイで補給した以外まともに休憩してないんだよ」

 

 そういって芳佳が背伸びをする。

 

「それはそうとだ。おまえたち」

「どうしたんですか? 坂本さん?」

 

 坂本が芳佳と静夏に視線を落とす。すでに魔力がなくなり魔眼も喪失。眼帯をする必要がなくなっていた。

 

「来週は試験だからがんばれよ」

「あ、そうですか。静夏ちゃんがんばってね」

「なにを言っている宮藤。お前もだぞ」

「へっ」

 

 芳佳は頭の上に?マークを浮かべる。

 

「なんだ言ってなかったか? 宮藤は魔力も戻ったからな。少尉としてそれ相応のことは身につけてもらわないと困る。よって来週の試験でお前もついでに受けてもらうことにした」

「え、えええぇぇぇ! 聞いてませんよ! 坂本さん」

「そうか? それはすまんかったな。まぁ、頑張れよ。一発合格しないと横須賀による暇はないぞ。それに合格しない限り欧州に帰さないからな」

「そんなぁ坂本さん」

「はっはっはっっはっは。なぁに、扶桑のウィッチに不可能はない! 一週間あればどうにかなるさ」

 

 そう高らかな笑い声を上げながら立ち去っていく坂本に、芳佳は唖然として見送った。

 

「えーと、ご愁傷様です」

 

 とりあえず静夏はそういうしかなかった。

 

「静夏ちゃん!」

「はい!」

 

 芳佳が急に静夏に飛びかかり、静夏がそれを受け止める。年下だが背丈も胸も芳佳よりスペックが高い静夏だ。下から見上げてくる芳佳の潤んだ瞳に胸がずきゅんと飛び跳ねる。

 

「静夏ちゃん! 勉強を教えて!」

「わ、わかりました!」

 

(宮藤さんに私が勉強を教えるなんて………………そうです! この機会に宮藤さんに正しい士官として心がけを教えてさしあげましょう!)

 

 固く決心した静夏の眼に芳佳が野生の勘が働く。

 

「あ、静夏ちゃん。やっぱいいや……自力でなんとか――」

「宮藤さん! こうはしていられません! 時間がないんです! 遊んでいる暇はまったくないんです! これが軍規です! ルールなんです!」

 

(そんな軍規ないと思うんだけど静夏ちゃん)

 

 芳佳は静夏に引っ張られながら涙を流した。

 

「はぁ、服部さん元気になっちゃて……楽しそう」

 

 いつものように朝練で汗をかいたであろう静夏にタオルと水をもってきてあげていたルームメイトの少女が、建屋の陰から一部始終をこっそり見ていたのだった。その少女の瞳は怪しく輝いていた。

 

 こうやって静夏と芳佳の短い師弟生活が始まった。

 

 

 

   ***

 

「違います! 宮藤さん! そこは先も教えましたよね!」

「ごめんなさい! 静夏ちゃん」

 

 静夏は水を得た魚のようにいきいきした目をしていた。一方の芳佳は死んだ魚のような目に近づきつつある。

 

「いいですか! 現在の扶桑海軍の主力ストライカーユニットは紫電二十一型、通称紫電改です。山西航空機が開発した水上用ストライカーユニット『強風』が予想以上の性能を発揮しました。しかし、時代は船団護衛に護衛空母を投入するのが主流になっており、水上戦闘脚の需要がありませんでした。だからそれを陸上運用できるように改造し成功。ついでに魔導エンジンも『火星』から最新型の『誉』に換装。これが紫電十一型。これをさらに陸上・空母運用に最適化したのが紫電二十一型。はい復唱!」

「えーと、水上戦闘脚『強風』がすごかったから、エンジンをパワーアップして陸上用に改造したのが紫電十一型で、それを空母でも運用しやすくしたのが二十一型……てことだよね」

 

 芳佳がおどおど言う。静夏は目を厳しくし。ますます芳佳は縮こまった。

 

「まぁ、いいでしょう。続けます」

「えぇー、まだあるの?」

「まだまだあるんです! ……さらに紫電二十一型に使用していた魔導エンジン『誉』は陸軍の新型機にも使用されました。そうなると生産が追いつきません。そこで対抗エンジンとして宮菱が開発していた『マ43』のボディ形状を変更して搭載。これが紫電五十三型です。『マ43』は『誉』よりも大型で重かったですが、1.2倍の出力があり、生産効率も優れていました。これが坂本少佐が欧州で使用していた紫電改です」

「へぇーそうなんだ。紫電改といってもいろいろあるんだね」

「現在は『マ43』の高高度性能を高めた『マ43-11ル』に換装され、一部のウィッチに配備が成されています」

「ふーん」

「そこで宮藤さん。紫電改の特徴はなんですか?」

 

 静夏は気がそぞろになりかけていた芳佳に質問を投げかける。芳佳は慌てたが、坂本少佐の動きを思い出していた。

 

「へっ? えーと零戦に比べて動きは悪かったと思うけど」

「その通りです。零式艦上戦闘脚はその機体のすばらしさから運用期間が長く、いくつもの種類があります。試作型は1937年の扶桑海事変のころに実戦配備が成されました。格闘性能に優れた二十一型。最終型の五十四型。さらに魔力保有量が少ないウィッチでも取り扱えるほど効率がいい。それらに比べて紫電改ははるかに格闘性能が落ちますが、速度、急降下性能、防御力が向上。欧州の戦場で最適な一撃離脱戦法に適した機体となっています」

「あ、そうですか」

「では、次に震電です」

「あ、私のストライカーユニットだ」

「震電は革新的な高速迎撃用ストライカーユニットとして製作されました。魔導エンジンを始め開発に難航しましたが、宮藤博士から届いた設計図を元に『マ43-42特』を開発し、搭載。しかし始動には膨大な魔力が必要であったことから、坂本少佐管理下の元、当時の宮藤芳佳軍曹の元に送り出しテストすることになりました」

「へぇー、知らなかったよ」

 

 率直な芳佳の感想に静夏はため息をつく。

 

「なんで震電が宮藤さんのところにいったか理由さえ知らなかったんですか……」

「うん」

 

 この人は本当に軍人なのか? と思い、私が宮藤さんを立派な軍人にしてみせる! 静夏とますます気合いを入れる。

 

「それで宮藤さんが使用していたのが試作一号機。これはヴェネチア開放作戦、オペレーションマルスで大破し、回収されましたが、その実験データを元に二号機、三号機を試作。優秀な成績を収めた二号機を元に四号機に。量産効率を考え6枚呪力ペラ形成器から従来の4枚呪力ペラ形成器を改良したものに変更。この四号機を元に二十一機の追加量産が実施。その後五号機~七号機まで改良を重ね、百機の量産指示が出され、現在配備が徐々に開始されています」

「なるほど。私のもその一機なんだね」

「はい。知っておられると思いますが、宮藤さんの震電はオペレーションマルス後に回収された試作一号機を修理したものです。よって、他の量産型とは違い6枚呪力ペラ形成器のままであって、量産型の震電とは少々スペックが異なっております。また震電は適正が高い者ではないと扱えず、使用者を選びますがそれだけすばらしい性能なんです。すごくすごいんです! 紫電改よりも百キロも早い七百五十キロという驚異的な速度をほこるだけでなく、上昇力、高高度性能良好です。機動力はやや劣り、格闘戦には不適。始動に手間取り、着陸速度も速いために滑走路の整備された基地での運用が必要という欠点はありますが、とにかくすごくすごいんです!」

 

 震電の説明にすごく興奮している静夏だったが、しかし芳佳のテンションはすごくひくかった。自分の使用している震電の話で一度持ち直したのだが、静夏の説明は長かった。つまり芳佳は飽きたのである。

 

「では、それ以外にもあります。夜間戦闘脚月光。夜間用に開発されましたが、あまり人気がなく、ナイトウィッチでも零戦を使用する場合が多くて――」

 

 芳佳の心がどこかに旅立とうとしてうるその時、ドアの開く音がする。

 

「お前たち。どうだ? 一緒に飯を食べ――」

「坂本さぁ~ん」

「ど、どうした宮藤」

 

 芳佳が坂本の胸元に飛びついた。今の坂本さんは救いの女神のように芳佳は感じたのだ。これでようやく勉強から解放される! 芳佳はそう安心した。そうなると元気を取り戻すのが芳佳である。

 

「さぁ、静夏ちゃんもいこうよ!」

「わ、わかりましたから引っ張らないでください! 宮藤さん」

「はっはっは。お前たち本当に仲がいいな」

 

 やってきた二人と肩を並べて坂本は食堂に向かって歩く。旅疲れもあるだろうし手加減してやろうと思っていたが、こんなに元気があるなら食後の訓練も大丈夫そうだな、と坂本はほくそ笑んだ。

 

「本当にあの二人楽しそう……」

 

 静夏を昼食に誘いに来たルームメイトの少女が、廊下の曲がり角で身を隠しながら二人の行方を熱い瞳で見送っていたのだった。

 

 

 

あとがき

ストライクウィッチーズの二次です。劇場版のあとです。

たぶん映画見た方ならニヤリとできる仕上がりになっているのではないかと。

服部静夏のキャラを再現できていたら幸いです。

ストライカーユニットの説明が長いですけど公式設定と一部推測が混じってたり。これでも適宜削ってたりします。静夏ならこれぐらいは最低説明するだろうなー、な感じだったり。

 

そして静夏のルームメイト。どうしてこうなった……要員です。

 

ちなみに作者はソフマップでBDを予約してあります。たぶん取りに行けるの来週の日曜日かなーな感じだったり。そして、我がPCにBD再生ドライブがありません……。いいんだ。パッケージみて楽しむから……。

 

 

 




劇場版何回見に行ったか思い出せない。。。

ストライクウィッチーズは大好きな作品。

でも、プライベートが忙しすぎて、小説を執筆できないのは当然として、実はブレイブウィッチーズさえ見れなかったほどに、アニメなどが遠ざかっていた作者。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。