俺はロリコンではない。ただ成熟した女性より未熟な体の女の子が好きなだけだ。   作:ユフたんマン

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タイトルはこうですが作者はロリコンではありません。


俺はロリコンではない…俺は…俺は…いや、ロリコンでもいいかもしれない…

あれから一年が経った。

 

「さぁ、今から授業を始める」

 

トータスに行く前と何ら変わらない生活。どうやら俺は畑山先輩…いや、愛子と数年前に結婚している。結婚式の記憶はないが、徐々に記憶に刷り込まれていき、今では結婚式の内容を薄らと思い出せている状況だ。そしてトータスでの俺の記憶は逆に薄まって来ている。あの教皇…名前は何だったか…向こうで出会った人物を殆ど忘れている。

そしてどうやら愛子はトータスのことを全く知らないようだ。あの転移した年から既に10年程経っている。俺が体験したあの出来事は夢だったのだろうか…

 

授業を終え、来週の授業の準備を終え帰宅する。

そして迎えてくれるのは俺の愛しい愛子。こんな幸せな日々を俺が送ってもいいのだろうか…いいんだ。俺は十分動いた。あれは夢だったんだ。あれは…悪夢だったんだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は南雲と白崎の結婚式だ。俺たちはそれに招待され、スーツを着て式場へと赴いた。

南雲は卒業後、親の会社に就職。次期社長として仕事を頑張っているそうだ。白崎は看護婦となり病院で働いているとか。二人とも俺の賃金を軽く超えていき悲しい…

というかようやく結婚したんだなぁ…もっと早く結婚すると思ってたんだが…どっちも忙しくて結婚出来なかったのだろうか。

 

「先生!!」

 

近づいて来たのは八重樫と坂上…いや、坂上雫と坂上龍太郎…だな。この二人、実は一年前に結婚している。かなり意外なカップリングだった。てっきり天野之河とくっ付くと思っていたんだが。

そうそう、天之河は現在行方不明となっている。裁判官を目指して頑張っていた彼だが突如、神隠しにでもあったかのように数年前姿を消したのだ。トータスにでも勇者として彼だけが召喚されたのだろうか…それはわからない。警察も血眼になって探しているらしいし時期、異世界召喚されてない限り見つかるだろう。だとしても心配だ…

 

しばらくすると、式場に白崎と南雲が入場する。南雲の髪の毛が黒い。物凄く違和感がある。こう…なんというか…白かったような気も…いや、奈落に落ちてないのならこれが普通なのか…あの時俺が同行していればこの南雲のように穏やかな暮らしが…

 

最初の主賓スピーチとケーキ入刀が終了し、料理が運ばれてくる。うん、美味い。そろそろ南雲と白崎…結婚したからどっちも南雲か…ややこしい。下の名前で呼ぶか…

まぁ二人に挨拶しに行こうとすると、目の前で綺麗な白髪の女性が思いっきり顔面を床に叩きつけた。

 

「ちょっ!?大丈夫ですか!?」

「はい〜…大丈夫ですぅ…あ、すみません、ありがとうございます!」

 

彼女は手を差し出すと、礼を言いながら立ち上がる。

 

「私は志愛・ハウリアと申します。あ、これ名刺です」

「これはご丁寧に…ほう…南雲の後輩さんでしたか。南雲の高校時代のクラスの担任として出席した守山誠です。よろしくお願いします。………」

「あのー…どうされましたか…?」

「いや、すみません。少し知人に似ていたものですからなぁ。ハッハッハ!」

 

マズいな…少しジロジロと見過ぎでしまった…愛子には冷たい目線で射抜かれてるし…

しかし志愛・ハウリア…ハウリアは聞いたことがなかったが志愛という人物は何処かで会ってある気がする…あー…何処だったか…

 

「あ、ハウリアくん!また他所様に迷惑かけて!」

「ぶ、部長!?す、すみませんすみません!!」

 

他所のテーブルから小走りでやって来た、着物を着た黒髪の女性は志愛を叱り俺に頭を下げてくるが、何もされていないし迷惑にもなっていないと言うとかなりホッとした顔になっていた。普段から何をやらかしているんだ彼女は…

 

どうやら着物を着た黒髪の女性は志愛の上司のようだ。名前は天尾 黒流(てお くろな)というらしい。かなりのベッピンさんだ。まぁ俺の愛子には敵わんが。

しかし志愛に天尾……あと少しで出て来そうなのに出てこない。彼女たちのような存在と一度何処かであったような気がするのだ。恐らくだがもう既に殆どの記憶が飛んでしまっているトータスに何ら関わりがあるのだろう。

 

 

 

結局この日には思い出すことが出来なかった。一体何だっただろうか…これは思い出さなければ駄目なような気がする。けど思い出せない…何か一つ、ピースが欠けているかのように…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夜、近所の公園のベンチで物思いにふける。今の生活は充実している。幸せだ。来年には子供も産まれる。…だが本当にこれでいいのだろうか。

本当に…俺には何か大切な使命…というか何かしなければならないことがあったはずだ。先生として…生徒を守る…

 

ワンッ!!

 

犬に吠えられる。ふと下げていた顔を上げるとそこには大きな犬が舌を出しながらこちらを窺っていた。リードが付いていることから飼い主が綱を手放してしまったのだろう。するとすぐにトットットッと人が走る音が聞こえて来た。街灯に照らされ姿を見せたのは金髪赤目の少女だった。

 

「…メルド!!…私を置いていったら…メッ!」

 

そう言い犬を叱りつける少女。どうやらこの犬はメルドというそうだ。しかし何故こんな遅い時間に幼い少女が一人で出歩いているのだろうか…親御さんは何を考えているんだ。

 

「…私、これでも成人してます…」

 

その言葉に愛子と初めて出会った時と同じ単語が頭を過ぎる。ご、合法ロリだとッ!?

 

「…貴方は何故こんな時間に黄昏てるの?…まさかリストラ?」

「いやいや違うよ!?…まぁちょっと悩み事がね」

「悩み…事?」

 

ゆったりとした口調でとんでもないことを口走る少女…じゃなくて彼女。名前は優恵というらしい。金髪に赤目というのは生まれ付きらしく、これでも生粋の日本人なのだとか。

しかし優恵か…やっと欠けたかピースが揃った。ユエにシアにティオ。彼女たちは南雲に助けられ、恋慕の情を抱いていた女性たちだ。そして騎士団長のメルド。何故か犬になっているが。そうだ、思い出した。全てとはいかないがトータスでの出来事を…殆どを思い出すことが出来た。

 

「…で、百面相してるけど。…悩み事って?…話せば楽になる」

「まぁ…そうだな。吐いちまうのもいいかもな…。これでも教師をしていてな…生徒たちに頼られて…自分でも俺を、先生を頼れと言って…けど肝心な時に俺はその場にいなくて…生徒を守れなくて…次こそはと決意して……ふとそこで疑問に思ったんだ。俺がいて何になるんだろうって。俺がいても守れなかったかもしれない。逆に俺がいたせいで犠牲になった命が増えたかもしれない。俺が…いなければもっと上手く回っていたかもしれないって…

最後の最後にはこうしてここに俺だけが幸せな生活を送っているんだ。彼らは今危機に立たされている。けど、俺がいないほうがいいかもしれない。いない方が、俺よりももっといい指導者がいればこうはならず、犠牲になった命も少なくなっていたかもしれない。俺以上に上手くやっていけたのかもしれない…

あぁ、すまない。少し取り乱してしまった。ありがとう、少し楽になったよ」

 

礼を言いその場から去る。俺は他人に何を言っているのだろうか。似ていると言ってもただの他人だ。彼女からしても俺が何を言っているかわからないだろう。きっと頭の逝かれた奴とでも思われているだろう。

 

「…待って」

 

そう優恵の口から溢れる。俺は振り向くと、彼女の真紅の瞳が俺を射抜く。

 

「…貴方のそれは逃げてるだけ。たらればなんて存在しない。…ただの都合のいい妄想。それに今は幸せって言ってたけどそれは本当?

…はい、鏡。自身をしっかりとみて。…酷い顔。そんな顔でよく幸せだなんて…

…さっき言ってたこと…本当にそうなの?生徒たちが危機に瀕しているのに貴方はここで何もせずにただただ生きている。それで満足?貴方は一度決めた信念を曲げられる程柔な人間なの?…けど私は貴方のような人間を否定するつもりはない。…だって私も同じだから。多分それ以下…信じてたおじ様に裏切られた…国に裏切られた…一度は自分の命を削ってでも守ろうと思っていた国民をあっさりと殺そうと思った。決して許さないと思った。復讐してやるとも思った…けど長すぎる空白の時間の中で廃れたけど…」

 

クルリと身を翻し優恵は俺の反対側へと歩いていく。

 

「…貴方はどうするの?逃げる?私と同じようにその信念を曲げてでも今の仮初の幸せで悦に浸るの?…それとも、本来の貴方が進む道、歩む運命…その全てを受け止めてでも信念を曲げずに突き進むの?…まぁ、私にはどれでもいいけど」

 

そうして彼女は闇に呑まれ姿を消した。そんなことわかっている。逃げたってことはこの俺が一番理解している。だけど俺はどうすればいいんだ!?ここが仮初って言うのならこの半年間…いや、この世界での出来事はただの夢だって言うのかよ!?

熱もあった…愛もあった…生命の終わりも…生命の誕生も…そんなこの世界が仮初の世界であり俺の都合のいい夢だってのか!?

 

「誠くん」

 

バッと振り返るとそこには愛子が佇んでいた。何故愛子がここに…?家に先に帰るって…

 

「すみません、心配でつけてきちゃいました」

 

そういって微笑む愛子。どうやら全て聞いていたようだ。この世界が俺の思い描いていたただの夢だったということに…

 

「誠くん…貴方の気持ちはよくわかりました。頼られて、その期待に応える難しさ。私にも同じような経験があるのでわかります。けどですね…私は誠くんのその考え方には賛同できません。貴方は結果を求めすぎてるんです。どんな最善な行動をとったとしてもそれが誠くんの望む結果にならないことだって十分にあり得ます。極論を言うと結果とそれに至るまでの過程…そんなものどうでもいいんです。

結果を分ける分岐点。そこで貴方が絶対に…年を隔てても後悔しない選択をとることが大事なんです。未来なんて誰にもわからないんです。誰から何を言われようが自分の芯を貫き続ければそれは自ずとより良い道へと進んで行けます。

逃げる?結構です。それに後悔がなければ。けど誠くん。後で絶対に後悔するんじゃないですか?そのぐらい私でもわかります。貴方を私はずっと見てきたんですから。貴方は優しい人です。逃げてしまえば必ず貴方は後悔します。

 

貴方が私たちと別れたくないという気持ちもわかります。私たちも貴方と別れたくなんてありませんから」

 

そう言って最近膨らんで来たお腹を撫でる。

 

「けど、私たちは貴方の苦しむ顔が見たくありません。知ってましたか?貴方、いつもいつも辛そうな顔をしてます。自分では気づいてなかったかもしれませんが…

けどこの世界が貴方の思い描いた世界…というのはとても安心しました」

「何で…」

「それは勿論…私たちが貴方の心の中で一生一緒に居られるのですから。だから行ってください。誠くんに挫折は似合いませんよ!猪突猛進当たって砕けろ!それがお似合いです!」

 

褒められているのかよくわからないが落ち込んでいた気分は吹き飛んだ。クスッと微笑む。やっぱり愛子はいい女だ。俺には勿体ない程の…

愛子の唇と俺の唇を合わせる。決してこれが別れではない。彼女は俺の夢の中の存在だとしても、たしかに俺は彼女と触れ合い共に生きたのだ。

俺が存在する限り彼女は俺の心の中にあり続ける。

 

世界が歪む。夢が終わり掛けているのだ。愛子から唇をそっと離す。

 

「また会おう、愛子」

「いいえ、貴方とはもう会いません」

 

そうピシャリと言われ俺は固まる。

 

「…貴方には現実に別の私がいます。私はもう貴方に幸せにしてもらいました。次は彼女を幸せにしてあげてください。誠くんが私のことをずっと想ってくれるのは嬉しいのですが…浮気みたいになるのも嫌ですし…だから誠くん。私たちの分まで現実の私を愛してください。泣かせたら容赦しませんからね!

ずーっと…見守っていますので…どうか本当の幸せを手に入れてください」

 

愛子を抱きしめる。

 

「あぁ…その約束…決して破らないと誓うよ。けど一つ訂正…愛子といたこの夢も…俺は幸せだった…!!本当にありがとう…ッ!!」

 

抱きしめていた感触がなくなっていく。ついに俺は夢から俺は覚めるのだろう。

世界は純白に包まれ何も無い空間に変化する。

するといつの間にか目の前に一人の男性が佇んでいた。

 

「ついに我の力を取り込むことに成功したか…長かった…

改めて誠…我が真名を名乗ろう。ドラ・グァンズ改め、ドラ・バーン。解放者の一人、ラウス・バーンより名を受け継ぎし竜人族である」

 

何となく、ティオとの遭遇後、彼が竜人族なのではないかと思っていたためそこまで驚かなかったが、解放者の一人であるラウス・バーンから名を受け継いでいることには驚きを隠せない。マジかよドラさん!?お口アングリになった俺は悪くない。

 

「さぁ、目覚めよ。目を覚ませばもう我に会うことはないだろう。だが悲しむことはない。貴様が言ったように我たちは貴様の中で生き続けるのだ。

行け、進め若人よ!」

 

視界は真っ白な光に飲み込まれ何も見えなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして戻ってきた。現実へ。

 

「行くか」

 

影分身に命令する。そして俺は神山から消え去った。

 

「俺が進む道は…既に決まっていたんだ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

爆発する。

 

 

生命が息絶える。

 

 

同胞が息絶える。

 

 

敵が己の吐いたブレスで消し飛ぶ。

 

 

あぁ、神よ…何故貴様は我々をこうも争いをさせたがるのだ…ッ!!

 

我の翼が消し飛んだ。敵の人間族にやられたのだ。空から蹂躙していた我は遂に地へと引き摺り落とされる。それを好機と見た兵士たちが我の体に纏わり付く。しかしそこで諦める我ではない。重い体を鞭打ち纏わり付く人間を振り落としていく。そして口から大規模なブレスを吐き出し当たり一帯を消し飛ばす。わざと出力を高めに撃ったおかげか黒煙がモウモウとたち、その煙に紛れて竜の姿から人型へと戻り、兵士の死体から装備を奪い身に付ける。

何故このようなことをするのか。それは逃げるためだ。何故我はこうも戦わねばならん。何故殺さねばならん。

我を動かしたのは何だったのだろうか。消え行く兵士の断末魔からか…それとも恐怖からか…どちらにせよ、我は戦うこと自体に嫌気がさしたのだ。

 

 

 

逃げた。

 

 

逃げた。

 

 

逃げた。

 

 

我は逃げ続けた。何処に潜んでも人間族は我を見つけ襲い掛かってくる。もう嫌だ…もう散々だ…我を…休ませてくれ…

だが今奴らに捕まってしまえば確実に尋問され、さらに生かされたまま実験と評して様々なことをされるだろう。

 

我はそれが嫌で逃げ続けたが遂に追い込まれる。我が選んだ逃げ先は人間族の言う神山だ。先延ばしにしかならないだろうが少しでも長く逃げたい、希望に縋りたい…そう思い近くにあった神山に隠れた。

だが考えが甘かった。山は包囲されすぐに隠れていた洞窟が見つかった。そこから逃げる、また逃げる。しかし逃げ場はない。目の前に人間が現れた瞬間、もう諦めようと考えた時、その人間は我に手招きをしたのだ。そして一つの巨大な洞窟がそこにはあった。

もう半端諦めていた我はもうどうにでもなれと指示に従い人間が指定した洞窟へと入り込む。なかなかの魔力密度だ。かなり心地良いい。

兵士たちの騒がしい声が外で聞こえるが、この洞窟にくる気配は一切ない。どうやらこの洞窟には隠蔽の魔法がかけられているようだ。

 

奥へと進んでいく。奥へ進むにつれて洞窟は次第に広くなっていき、我が竜化しても暴れられる程広い場所に出ると、その中央に先程の人間が突っ立っていた。魔法陣が男の真下に突如浮かび上がり姿を消す。一瞬彼は我を見た。ということはついて来いということなのだろう。不思議と彼を疑うことはなかった。今まで敵だった人間族を信じるというのも妙な話だが…

 

魔法陣の上に立つと我の頭に様々は記録…彼の記憶が流れ込んでくる。反逆者ではなく解放者という存在。神の目的。そして彼からの願い。

どうやらここに後何千、何万と長き年を経つ頃に勇者とその一行が異世界からエヒトにより召喚されるという。そしてその中の一人がこの我のいるこの洞窟に力を求めて現れるという。

その人間を我が力を持つにふさわしいかどうか試してほしいという。なるほど…我がかの人間を見極めるということか。

 

そして最後に彼は名乗った。ラウス・バーン…と。そして我に名を継承させて欲しいと。

彼は我の恩人だ。断る理由もない。彼のいう人間…その人間が我の力と彼の力…その二つの膨大な力を受け継ぎ、世に平定を齎してくれるのなら我の命や魂程度、犠牲になれど何の後悔もないわ。

 

ここで我、ドラ・グァンズはラウス・バーンより名を継承し、ドラ・バーンとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから如何程経っただろうか…千年…?今までの間、我は全ての時間、魔力を操ることに専念していた。そして大気の魔力の中にある微量の新たなエネルギー。それを見つけた我はずっと…我が体に溜めて溜めて溜め続けた。

ここに来た頃の我とは魔力の格が別次元となっているだろう。それ程までに我は鍛え続けた。希望ある未来を信じて。彼の言っていた人間を見極めるため…

 

そして遂にその時が来た。勇者一行の一人が神山へと登り始めたのだ。千里眼で彼を覗き込む。どうやら彼は力を求めてこの山で武者修行を行いにきたらしい。しかし彼の上達の速さには舌を剥く。我が何百年とかけて使えるようになった魔力循環をほんの数日で終わらせていた。それだけでは終わらない。我が見つけた自然の中にある微量のエネルギー。彼が言うには自然エネルギーらしいが、それをすぐに見つけ習得している。まだ扱うには至っていないが驚異的な速さであることには変わらない。

後ろにいつの間にか現れたラウス殿も満足そうに彼を見ている。一時的に隠蔽の魔法を解くのだろう。

 

ラウス殿が魔法を解いた一時間後、すぐにこの洞窟が彼に見つかる。速い。そして彼はようやっと我の前に姿を現した。

人間にしては高い身長。少し跳ねた黒髪。目付きはキリッと鋭く目の下には薄らと隈が出来ている。無茶をし過ぎてロクに休めていないのだろう。

 

彼は赤い装甲を身に纏い、彼の周辺には濃密な魔力が溢れ出ている。面白い。久しぶりに滾る戦いが出来そうだな…

彼は会話を試みるが、我はそれを相手にしない。我が意思疎通が出来るとなれば彼は我を殺すつもりで戦うことはしないだろう。それではダメだ。我は本気で戦う彼の姿を見たい。彼の生き様を、彼の理想を…!!

 

先手必勝とばかりに我の尻尾を彼に叩きつけるが、彼はそれを簡単に避けてみせ、手に風の螺旋状の魔法を創り出し投げ付けてくる。かなりの威力だ。今の彼なら昔、我が戦った人間供も一人で殲滅することぐらい訳ないだろう。

すこし気が飛んでいた瞬間、我の視界を埋め尽くすほどに彼は増えた。分身したのだろう。しかし魔力が無尽蔵での分身は悪質過ぎるッ!!

 

「グルァァァアアアアアッ!!!!」

 

口から暗黒のブレスを吐き出し分身を殲滅していく。全体の八割を削り切った辺りでまた周囲に白い煙が立ち上がり、視界を埋め尽くすほどに彼が増えていた。正直に言うと少し絶望しかけた。しかしそんな猶予を彼は与えてくれない。

数千の分身達から続々と螺旋丸を投げ付けられる。それを捌きながら我は紅蓮の炎を口から吐き出し一帯を焼き尽くす。しかしどうやら彼には分かっていたようで壁に張り付き燃え盛る炎を回避、そしてまた我に螺旋丸を投げつける。これはまさにジャイアントキルの動きだ。我の攻撃が全て上手く対処されていく。

水を使い辺り一体を水浸しにし、氷結のブレスで凍らし動きを阻害しようとしても、彼は我と同じように口から炎を吐き出し足場を作る。空を跳ぶ彼らを撃ち落とさんと暴風を創り出すも、螺旋丸を巨大化させ相殺してくる。何とも戦い辛く小賢しい戦い方だ。

 

 

 

そして戦いは数週間続いた。

そろそろ精神的に辛くなったのだろう。彼は数十の分身達と巨大な螺旋丸を創り始める。あの技で決着を決めるつもりだろう。ならば我も出さねば無作法というもの…

口内にあらゆる属性の魔力を注ぎ込み圧縮する。まさにその魔法は全てを呑み込む我最大にして最強の奥義。といってもまだ一回も撃ったことはないが…

 

すぐに彼が動いた。大きな螺旋丸は…螺旋丸…?いや…あれは…太陽…なのか…?

 

「“太陽滅災”」

 

彼から繰り出されたのはまさに太陽。流石にこの魔法を無防備に喰らうのは悪手だ。口内に溜めていた魔力を一気に放出し結界を創り出す。

 

『“竜纏”』

 

白い我が鱗は輝き、更に全属性の魔力のコーティングがなされ元より強固だった鱗は難攻不落の要塞と化した。

そして我に降りかかる厄災を、腕をクロスさせることによって受け止める。凄まじい魔力量、そして威力。徐々に我が巨体が押され始める。このままでは…致し方なし…ここで…!!

 

腕に体をコーティングさせていた全ての魔力を回し、新たに口内に魔力を溜め始める。そして溜まったと同時に全ての魔力を腕に回す。運が悪ければ腕が吹き飛ぶ…これは戦いだ…意地の張り合いだ…!ここで我は…ッ!?

 

太陽の魔力が一瞬にして一点に凝縮される。それと同時に次に起きる事態をすぐに予測し、すぐさま太陽を全力で地面へと叩きつけその場から離脱する。

 

次と瞬間、膨大な魔力が爆発し、辺り一帯が吹き飛ぶ。我の肌は火に強く、殆どダメージを通さない筈だというのにかなり火傷のダメージを受ける。彼は…

そう思い半壊した洞窟を見回すと、地面が盛り上がり、その中から姿を表す。なんて無茶苦茶な奴だ…だか面白い。気に入った。

しかし彼も激しくやったものだ。我が常日頃から洞窟を強化していなければ神山は吹き飛び近くの王国に被害が出ていただろう。あの威力でもまだまだ試作段階のようなため、完成すれば我では防ぎきれぬやもしれん。まぁ自然エネルギーとやらを使えば止められるがな。

 

我が彼に話しかければかなり驚愕した表情で我を非難する。だが知ったことか。彼にはこれから我と一緒にこの洞窟を修理してもらうのだから。

 

 

 

彼は守山誠というらしい。強さは自分で確認し、十分な力を身につけている。なら精神はどうかと話すがとくに悪いところはない。己より他を重んじることが出来るまさに聖人のような存在だ。本人にそう言うと本気で嫌がっていた。何故だろうか…

しかし我も彼と同じように人間の姿になって語り合いたいが、自然エネルギーの取り過ぎか、竜化が解けなくなっており、まだ誠は我が竜人族ということは知らない。別に自分から教える必要もなし、聞かれれば答えよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

遂に誠は自然エネルギーを使いこなせるようになった。と言ってもまだまだ未熟。これからもまだまだ修練が必要だろう。

一度王国へと戻ると言い出した。我は誠をここに縛り付ける理由もないため笑顔で送り出した。といっても隣では分身が自然エネルギーを取り込んでいるのだが。

自然エネルギーを扱えるようになった誠は既に仙人の域に足を踏み込んでいる。恐らく我の力を受け継げばこの分身のように毎回取り込まずとも我のようにその場その場で自然エネルギーを扱えるようになるだろう。それが極めるということだ。

しかし今の彼に我が膨大な力は耐えられるのだろうか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遂にこの時が来たか…本来ならこのようなことで我が誠と融合する予定ではなかったのだが…まぁいい。誠の瞳には確固たる覚悟が宿っている。これならば我が力に飲み込まれぬやもしれん。

我は昔遊び心で作った隠し部屋に誠を入れ、我が力を誠に流し込んでゆく。最初は不完全だったものの、ついに魔力の波長が完全に同調し、我の意識にモヤがかかり始める。遂に…ようやくラウス殿との約束を果たす日が来た。誠にバーンの名を継承する。これからはバーン・誠だ。光栄に思うがいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

え?いやだ…だと?(´・ω・`)ソンナー

 

 

 

 

 




小学生の時、校歌に若人ってのがあってずっと「わこうど」さんが何かしているんだろうと当時は思ってました。

ロクに先生との絡み少ないけど今回一番重要な役回りだったユエさんオッスオッス!あと口調が違うのは似た様な人物だからです。というよりもユエ口調が難しい…長文には向かないよねあの子。

あとドラさんは自然エネルギーを一切使っていなかったため先生はいい勝負をすることが出来ました。千年ぐらい自然エネルギーを溜めてればそらね。ステータスは次回公開しますんで。
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