俺はロリコンではない。ただ成熟した女性より未熟な体の女の子が好きなだけだ。 作:ユフたんマン
水妖精の宿という、レストランにもうなっている建物に入ると、そこには憤慨するロリこと畑山先輩と生徒たち、そして先輩らに質問攻めされている南雲達の姿が。
途中、南雲の適当な受け答えに怒った騎士達が剣に手をかけたが俺はそんなことをさせない。ダメです。
「何者…ッ!?ああ、守山殿でしたか…その手を離していただけませんか?この男は私の愛k…イッ…グァァアアアッ!!?」
「だ・れ・の何だって?ああ!?」
ちょっと聞こえなかったなぁ?もう一回言ってくれないかね。俺の先輩がお前の何だって?あーん?
「コラッ!守山くん、気持ちはわかりますが強くし過ぎちゃ駄目ですよ!」
プリプリと叱られた…可愛い。ペッ!覚えとけよこの逆ハニトラ失敗ヤローめ!!
実はこの騎士達、教会から先輩を堕とすために護衛につかされたイケメン騎士である。しかし我がマイエンジェルの先輩は逆に騎士達を墜とすという偉業を成し遂げたのだ。流石先輩!!俺たちに出来ないことを平然とやってのける!そこに痺れる憧れるゥ!!
と言っても俺と先輩の間にはお前たちが入る隙間もねぇから諦めな!!
「お久しぶりです畑山先輩ッ!!修行は一旦区切りがついたので戻って来ました本体です!」
先輩と生徒たちは本体!?と口を開けて驚いており、騎士達は露骨に舌打ちする。殺すぞテメーら…
けど無理に南雲から情報を聞き出すのはダメだと思うぞ俺は。話したくない過去なんて誰にでもあるのだから。彼の厨二病感溢れる姿になったのも何か重要な秘密というか話したくないこともあるんだろう。そう先輩に言うと納得していたが、やはり空白の期間がやはり気になるようだ。俺も気になるからしゃーない。
南雲は俺たちに明確な拒絶をして二階の宿へと上がっていった。畑山先輩はかなり落ち込んでいた。落ち込んでいる先輩も可愛いペロペロ。
しかし南雲にはどうしたものか…やはり俺のせいというわけじゃなさそうだが、あの魔法の誤射に問題があるのか…それとも聖教教会に問題があるのか…
それとも奈落で彼の中が変わり切ってしまったのだろうか…
▽▽▽
夜になった。小鳥さんは人間らしきモノは見当たらないという。お礼に餌をあげておいた。可愛い。野に放った分身たちからも目撃したという報告は来ていない。
もう夜も深く、ほぼ全員が眠りについている。俺が今どこにいるかというと畑山先輩の部屋の前だ。ストーキングというわけではない。最初は分身に任せていたが、南雲が先輩の部屋に向かったことを感知し、変わり果てた南雲が先輩に危害を与えるか心配になって見張りにきたのだ。
俺は耳を澄ます。
ふむふむ、どうやら南雲は城に戻るつもりはないらしい。そして更に南雲たちはオルクス大迷宮を攻略し、この世界の真実を知ったのだとか。
その内容をいつも通り3行で纏めよう。
○神代の少し後の時代、三種族が絶え間なく戦争を繰り広げていた。それは神託からきた戦争で、人々は争い続けていた。
○その戦争に終止符を討とうとしたのが今で言う反逆者と呼ばれる解放者。リーダーは神々がこの戦争で遊んでいることを偶然知る。
○しかし彼らは神に仇名す反逆者と呼ばれ、守べき人たちから迫害され崩壊。中心人物だった7人が大迷宮を作りそこに潜伏することにし、攻略出来た者に力を与えるのだとか。
結構長くなったがこんなもんだろう。しかしこれは良いことを聞いたな。迷宮を攻略すれば強力な力を手に入れることが出来るのか…なら今度ライセン大峡谷にでも遠征に行こうかな…南雲も噂では数週間で攻略したというし短期で攻略できるだろう。
そして最後に彼はとてつもない爆弾発言を残していった。
「俺はクラスメイトの誰かに殺されかけたってことだ」
やはりか…薄々そんな気はしていた。魔法が誤爆したと聞かされたが、八重樫や坂上、ほんの一部の生徒がだが、あれは故意ではないかと分身に相談してきていたのだ。では誰がなぜそのようなことを…真っ先に思いついたのは檜山だった。アイツは南雲に白崎関係でかなり強い嫉妬心を持っていたからだ。
いや、それで決めつけてはいけない。嫉妬心なら他の生徒たちにもあった。
やめよう…生徒たちを疑っても何も解決しない。それに疑心暗鬼になるだけだ。本人も特定する気はないと言っているし部外者ではないが、当事者でない俺が首を突っ込むのも御門違いな気がしてやまない。
南雲が部屋から退室したのと同時に先輩の部屋へと入る。そこには両腕で自らの体を抱きしめている先輩の姿があった。自分の大切な生徒が仲間を殺そうとしていたかもしれないとかそらそうなるよ。俺も最初その考えに至った時はショックを受けたしな。
「先輩、顔を上げてください」
そう呼びかけると先輩はビクッと小動物のように驚く。可愛い。
俺は先輩を励ます。俺なりの見解も入れて畑山先輩が元気になりそうな言葉を紡ぐ。勿論これは本心だ。別にちょっと良い感じにして話しても構わんのだろう?
流石に南雲が本当に死んでいたら俺は犯人を血眼になって探していたかもしれないが、今回は違う。南雲は生きているのだ。その犯人は人殺しをしていない。未遂だ。しかしこれで放っておくのも問題がある。
ならば俺たち教師が間違った道に足を踏み込んでいる生徒を正しい道へと戻してやろうじゃないか。
そんな感じのことを言うと先輩は安心したように頷き、そのまま寝てしまった。目の周りの隈を化粧で隠しているが、清水のこともあり今まで殆ど眠れなかったのだろう。俺には誤魔化せないぜ!!
というか本当に子供みたいな安らかな顔で寝てるな…ますます惚れてまうやろ!!
なんでや!(キバオウ)なんでこんなに可愛いんや!!
寝顔に見惚れていると気付けば既に空は薄らと明るくなっていた。解せぬ…
先輩の部屋から出ると、南雲達の気配が外にあることに気づく。このような朝早くに南雲達は依頼の行方不明者を探しに行くのだろうか。
▽▽▽
「一応聞こう…何してんの?」
南雲が俺に半眼になって視線を送ってくる。後ろで駄弁っていた園部優花、相川昇の愛ちゃん護衛隊の2人が俺の側へと寄ってくる。
「俺たちも連れてってくれや南雲。久しぶりに先生と話しながらな」
「却下だ。行きたきゃ勝手に行けばいい。が、一緒は断る」
「そりゃまた何で?」
「単純に足の速さが違う。先生も昨日見たろ?俺たちはあれで行くから」
そう言い何処からともなくバイクを取り出す。厨二感丸出しの仮面ライダーの敵が乗ってそうなバイクにバイク好きの相川が興奮している。
しかしここで諦めない。要求するだけでは交渉足り得ない。相手に何かメリットがなければ南雲たちは頑固として俺たちを連れて行かないだろう。
俺が出すのは影分身だ。これがあるだけで捜索といった分野で人海戦術が使えるというのはかなり大きいだろう。しかも元は1人なだけあって運搬には困らない。俺って最高だな!
「あぁ…チッ…わかったわかった…連れてってやるよ。先生に聞くが何で俺と一緒に行こうと思ったんだ?アンタにメリットはなんかあるのか?」
メリット?ありますねぇ!!清水の捜索ですよ。清水の奴ここら一帯探し回ったけどどこにもいないんだよなぁ…もしかしたら南雲たちが目指す北の山脈地帯にいるのかもしれない。あくまで南雲たちの依頼の手伝いはオマケのついで、本命は清水の探索だ。
「ハハハ…!そっちの方が俺としてもやりやすい。で、後ろの奴らは?」
「付き添い」
南雲たちがいる場所へと向かっている最中にトイレに行っていた園部に見つかり何処に行くか聞かれたので答えると、園部と相川がついてくることになったのだ。清水が心配なのと、南雲が気になるのだろう。残りは先輩の安眠を守ってもらっている。
あと騎士たちのようなお邪魔虫を突っ撥ねるように…
南雲は何処からかハマーのような車を取り出し、その運転席へとさっさと座ってしまう。その助手席にユエが座ろうとしていたが、なんとか席を代わってもらい助手席をゲットした。因みに相川は最後列で1人だ。
さあ、北の山脈地帯へとGO!!
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水妖精の宿で香辛料を使ったカレーのような料理、ニルシッシルに舌鼓をうつ南雲くんに質問をぶつける。死んだと思っていた南雲くんが生きていたのだ。これを守山くんに伝えれば彼も気が楽になると思う。ところで分身は何処に行ったんだろう…
そう思い様々な質問を投げかけるも、南雲くんは全ておざなりに返してくるのだった。
橋から落ちた後、変わり果てた容姿、眼帯を付けている理由、聞きたいことを全部頑張ったとしか答えません。唯一他の言葉で返ってきたのは、私がどうしてすぐに戻ってこなかったのかという質問で、戻る理由がないからって…
「真面目に答えなさい!」
南雲くんに叱りつけるも、南雲くんは何ら気にせずにニルシッシルを美味しそうに食べてます。すると、まともに私の話を聞かない南雲くんに騎士のデビットさんが怒って剣に手をかけた。
だ、駄目ですよッ!!話を聞かないとしても南雲くんは私の生徒です!南雲くんを傷つけるのは…!!
「俺の生徒に何やってんだデビットさんよォ〜…」
そう言ってデビットさんの腕を抑えたのは何処かに行っていた守山くんでした!一体何処に行ってたんですか!それよりも南雲くんが…って俺の生徒って南雲くんのこと、すぐに分かったんですか?
「え?あぁ、さっきそこで偶然会いましてね。感動の再会を終わらしたとこですよ先輩」
「感動って…」
なッ!?先に会ってたなら先に私に教えておいてくださいよー!それか一緒にこの宿に来て欲しかったものです!笑う守山くんに南雲くんは顔を引きつらせて苦笑いを浮かべている。その顔は、前までの南雲くんの苦笑いの面影を残しており、やっぱり南雲くんなんだな…と思いました。
「ああ、守山殿でしたか…その手を離していただけませんかな?この男は私の愛k…イッ…グァァアアア!?」
「だ・れ・の何だって?ああ!?後先輩の名前気安く呼ぶんじゃねぇぞ?」
急にデビットさんが苦しみ出す。あ、守山くんの握る力が強いからですね!駄目ですよ、デビットさんが苦しんでます。生徒を守る為とはいえちょっと力みすぎじゃないですか?
「はい、先輩。ちょっと生存していた生徒がまたデビットさんに傷つけられると思ったらちょっと力が入っちゃって…」
もう、本当に守山くんは昔からそうなんですから…!うっかりさんですね!
彼はデビットさんから手を話すと、私にお久しぶりです!といい自分は本体というカミングアウトをしました。
「「「「「「「えええッ!?」」」」」」
これには私も生徒たちも騎士の皆さんも驚きました。神山で修行していた彼がここにいるなんで誰も知らなかったからです。
「分身で連絡してから来てくださいよ!!心臓に悪いです!!」
そう言うと彼は笑いながら謝ってきます…彼の笑い顔は心臓に悪いので許します…
…いや、それよりも!!
「じゃあ俺らそろそろ上で休むから」
南雲くんは既にニルシッシルを食べ終えており、私たちに明確な拒絶を示して二階の宿の部屋に向かおうとしています。咄嗟に引き留めようと思っていると、守山くんにやめておきましょうと言われました。なんでですか!?と大きな声で返してしまいました。
「南雲に落ちた先での話を聞くのはやめておきましょう。天之河の話を聞く限り、今彼らがいる層よりももっと下の層に南雲は落ちてたと思います。あの時の俺とはいえ何をされたかわかりませんでしたからね…そんな場所に高くないステータスで落ちた彼のその後…先輩は聞きたいですか?掘り返したいですか?」
そう言われて私は自分の頭を冷やすことに成功する。そうだ、私はなんてことをしようとしてたのでしょうか…守山くんが生徒たちに修行のことを伝えた時に、天之河くんが無意識にも言っていたことと同じことを南雲くんにするところでした…無理に聞いても南雲くんが苦しくなるだけでした…
「そんな落ち込まないでくださいよ。彼からまたいつか教えてくれるまで待ちましょう」
そう…ですね…南雲くんが教えてくれるまで首を長くして待つことにしましょうか…
じゃあ暗い雰囲気はここまでにして守山くんが今まで何してたか聞きたいです!!
「それは気になる…!」
「遠藤以上の気配遮断…俺じゃなきゃ見逃しちゃうね!」
生徒たちも気になるようだ。そこから夜まで彼が何をしていたのか語られ、生徒たちはドン引きしていた。
もう!幻覚見るまで無理しちゃダメですよ!!
夜、私は自室でソファーに身を深く預けながら火のない暖炉をなんとなしに見つめる。そして今日の出来事に思いを馳せる。
大切な教え子が生きていたと知った時の事と、本体の守山くんと会えた事を思い出して思わず頬が緩むも、南雲くんの代わり様と未だ見つけることが叶わない清水くんのことを思い出し溜息を吐く。清水くん…一体何処に行ってしまったのでしょうか…それにあの南雲くんの代わり様…どんなことを体験すればあんな性格に…
「なに百面相してるんだ、先生?」
突如誰もいないはずの部屋の中で声をかけられる。ギョッとして声がした方へ振り向くと、そこには扉にもたれながら腕を組んで立つ南雲くんの姿が…
なんであんな立ち方してるんでしょうか…普通に立った方が楽な筈では…なるほど、これがお年頃の学生…
ってそんなことはどうでもいいです!勝手にレディの部屋に入り込むなんて!!許しませんよ!!でも…守山くんなら別に…ッていや!?何考えてるんですか私は!!
「おい、話していいか?」
「あ、はい。すみません…」
南雲くんが話した内容に私は驚愕しました。それと同時に生徒たちのことを思い浮かべて冷や汗が垂れる。このままでは私たちはエヒトの駒として戦争で利用され続けるのでは…!?
最初はこの狂った神を倒すために南雲くんは旅を続けているのでは…?と思い聞いてみるも、違うと言われてしまいました…
けどこの世界に呼んだのがエヒトなので、エヒトを倒さなければ元の世界に帰れないんじゃ…
「そうさな…相手が神であろうとも…それが敵であるならば俺は神をも落としてみせよう。敵は皆殺し、邪魔をする者も…だからな」
変なポーズをつけてちょっとカッコイイことを言う南雲くん。お年頃ってやつですね!知ってます!
けど敵を殺す…殺すっていうのはいけないと思うのですが…南雲くんのオーラ?威圧感が凄くて何も言えません…どの様な目にあったら彼はこんなことに…
「俺はクラスメイトの誰かに殺されかけたってことだ」
「ッ!?」
自分でも顔が蒼くなっているのを感じる…「原因は白崎との関係くらいしか思いつかないからな、嫉妬で人一人殺すような奴だ。まだ無事なら白崎に後ろから襲われないよう忠告しとくといい」と言い残し南雲くんは部屋から出て行った。
シンとする部屋に冷気が吹き込んだように錯覚し、自分の体を両腕で抱きしめる。大切な生徒が仲間を殺そうとした?なんで!?それも、死の瀬戸際で背中を狙う卑劣な手段で…?じゃあその生徒のせいで守山くんがあんなに苦しんだと言うの……!?
「先輩、顔を上げてください」
急に話しかけられ、ビクッと震えてしまう。そこには丁度考えていた守山くんが立っていた。彼はいつも、分身でも神出鬼没で何処にいるかわからないことが多い。
もしかして…今の聞いてました…?
「あぁ…はい」
場に静寂が流れる。威厳ある教師を目指してるっていうのに誰かは分からないですけど、そんな卑劣な手を使った生徒が許せない…南雲くんの命を奪おうとして、さらには守山くんの信頼を地に落とす。両方ともを実行した顔も知らない生徒…そんな生徒に情けない話、憎いとすら思っています…
「…まぁ先輩の気持ちもわかりますよ。それでも犯人は生徒、俺たちは教師です。不幸中の幸いというべきか、南雲は無事だったわけでその生徒は人を殺してないんですよ。ならまだその生徒に改善の余地はある、更生する機会はある。
道を踏み外した生徒を元の道に戻すってのが俺たち教師の仕事でしょう?」
「そう…ですね…」
そうだ…それが私たち教師の役目だ…!私たちはどんな境遇に生徒が陥ってしまっても味方であり続けることこそが私たち教師の使命!間違った道へと進んだ生徒は力尽くにでも、強引にでも正しい道へと戻す。これが私の理想の教師像だ…!
守山くんは私の目元をスルリと触る。急だったのでヒャッと声が出てしまいました。
「やっぱり…隈が出来てますよ。清水が心配で夜も落ち落ち寝てられなかったんでしょう?大丈夫です。俺がすぐに連れ戻すんで…先輩はゆっくりと休んでください」
守山くんに持ち上げられた瞬間、睡魔に襲われ私は深い眠りへと誘われた。
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「お前は人を殺したことはあるか?」
助手席に何故か座っている守山先生がいきなり突拍子のないことを口に出す。後ろの席では女性陣がキャイキャイと話しているため、俺らの声は聞こえないだろう。
「ある」
そこで思い出したのは、シアと出会ったばかりに遭遇した、シアたち兎人族を狙っていた帝国兵だ。そういえばここで初めて人を殺したな…
「そうか…それでお前は何を感じた…?」
「何も」
そう返す。すると先生は大きな溜息を吐き、俺を説得するかのようにゆっくりと話し始める。
「お前の目的は日本への帰還であってるか?」
それであっていると相槌を打つ。
「なら何故人を殺す」
「敵だからだ。俺たちの目的を阻む者なら誰であろうと容赦はしない」
そう、俺は奈落の底で決めたのだ。敵は殺す。そしてユエと一緒に俺たちの世界へと行くことを…
「なら帰った後はどうするつもりだ」
は?
「お前のような殺人鬼…日本の何処にも居場所はないぞ」
そう先生は俺を突き放すように言い放つ。しかしそう言われるとそうだ。この世界は命が軽い。だから殺しも犯罪者なら罪に問われない。だが日本はどうだ。たかが一人殺しただけで全国指名手配され、相手が犯罪者だとしても自分が犯罪者になってしまう程に命が重い。
「お前は後ろの少女たちも連れて帰るつもりなんだろ?じゃあもし南雲が日本で彼女らに手を出したからと相手を殺す、殺さなくても痛めつけたりすれば一転して全ての人間がお前の敵になる。日本ってのはそういうところだ。日本人を全員殺すか?全員殺しても次は世界が敵になるだろう。
南雲…そんな生き方じゃいずれ自分の身を滅ぼす。さっき初めて人を殺した時に感じたことを言えっていったろ?
初めて人を殺せば普通の人間は何かしら思うとこがあんだよ。恐怖心、高揚感、焦燥感とかな。
一番恐ろしいのはなんだと思う?高揚感でも快楽感でもない。それらは一応はそれがダメなこと、危険なことって理解しているからな。
何も感じない。これが一番、人間として恐ろしい。罪悪感も何も感じず敵を次々と殺していく戦闘マシン。それがお前だ南雲。お前は今のままじゃ日本に帰れても順応出来ない。ただただ世界を敵に回すだけだ」
そう…なのか…?しかし考えてみると先生の言っている通りだ。俺は…日本へと…帰ることは出来ないのか…?いや、何としてでも帰る、帰らなければならない。ユエと…ユエと約束したから…
「だがお前がそうなってしまったのは俺にも原因があるからな…ひとまず南雲は人を極力殺すな。罪人は然るべき法で裁け。一人や二人、この命の軽い世界で殺してしまうのは仕方ないだろうが殺すことに忌避感を持て。たとえ敵の魔人族への止めでも躊躇ってもいい。最悪はこの世界の人間に頼めばいいしな。
それにユエとシアには日本のルールをしっかりと覚えさせておけ。日本で刀やハンマー、魔法を撃ったりしてしまったら敵わん」
「はい…」
何も言い返せない。それは全てが正論だからだ。これが俺に関係ないことならそれがどうしたと切り捨てるだろうが、これは俺自身の問題であり、ユエの問題でもある。最悪は前の世界との戦争になることだ。今のスペックなら難しくはないだろうが、やはりとてつもない被害になるのは免れない。
俺はユエと平和に日本で暮らしたいのだ。そんなことがあって絶対にたまるものか!!
「わかったよ先生、これからはなるべく人を殺さないように努める。だがユエたちに危害を加える奴らは約束出来ない」
「ああ、それでいい。今はな」
そう満足そうに頷くと、先生はもう話しかけてこなかった。俺も運転に集中する。
そして魔力駆動四輪は正体不明の異変が起きている危険地帯へと突入したのだった。
愛ちゃんってムッツリだと思うんですよね(唐突)