サザンドラという痴女を作り出してしまったが僕は元気です 作:優
家事はできないし運動もできないが、最近小説を書き始めた。あと運がいい方
彼女と初めて会ったのはゲームセンターだった
「こちらが景品のモノズになります」
「あのぅ…よろしくお願いします…」
店員から渡されるボールと隣にいる陰気な萌えもん、彼女との出会いはここから始まった
-------------------
「主人また小説ですか」
こんな事を書いていると急に隣から声が聞こえ反射的に反応してしまう
「なんや、邪魔しにきたんか、せっかく人が真面目にしようと思えば」
少々呆れつつ答える、彼女はというと興味深そうに書いている小説を見ているようだ
「主人の拙い文章で伝わるかわからないでしょ?」
「酷くね?」
こんなやり取りをしてるのは最初に書いてあるモノズの最終進化系、サザンドラだ
初めて会った時はあんなに陰気で気弱そうだったのに今じゃこうなんだからな。困るぜ
「いつも通りですよ」
「いつも接吻を急にしてくる事か」
「主人の唇が美味しいのが悪いです」
酷い責任転嫁だなって思う。しかも誇らしげに、満足そうな顔しやがって。でも毎回可愛いから叱るに叱れない。なぜかわからないが、サザンドラになってから急にされるようになった
サザンドラに懐き進化ってあったっけ…
のレベルだ。嫌ならちゃんと叱るべきなんだろうけども役得感あるしなぁ
「お前性格控えめだよな。全然控えてないしなんなら性格年中発情期じゃねえの」
「酷い言い草ですね〜私は控えめですよ。見りゃわかりますよね」
改めてサザンドラをみる
黒髪ロングで前は下ろし後ろは括られているが少し特殊だな。形でいうとMの字のような、そしてそれを固定するために青いカチューシャをつけている
肌は白くより黒髪を強調させる。モデルのような体型でそれでこの整った顔立ち。萌えもんでなければモデルの雑誌に載っていてもおかしくないほどだ
「いや〜スタイル的にも全然控えてないと思いますがいかがでしょう裁判長?」
普段、彼女は青い浴衣を着ている。とは言っても両肩を出し、膝裾を上げ花魁に似た格好をしている。胸の谷間までみえるから控えめというよりは唐突な接吻とかしてくる辺り痴女に近い。というより痴女だよね
「うーん、これは主人ギルティですね」
「なんで!?」
「揶揄っただけですよ 本当面白い人ですね」
ゲラゲラと笑う彼女をよそに手を止めていた小説の方に戻ることにした
-------------------
彼女の声は酷く怯えきっている。そんなに自分の見た目が怖いかなと、この時は思った。
結構顔はいい方だと思ったんだけどな、とナルシスト的な自信が自分の中で崩れるのがわかった
でもこの時は思い知らなかった。
酷く怯えていたのはゲームセンターの景品として生きてきた彼女は自分が物であると身体で覚えさせられてきたからだとサザンドラになってから知った。
ゲームセンターが何者かによって襲撃、その時にR団と呼ばれる悪党組織が警察に捕まったという報道が流れた。その際、彼女から聞いたのだ。彼女は必死に笑顔を努めようとしたがその顔には涙が溢れていた
-------------------
「長いです主人、これじゃ読みづらいです」
茶々を入れてくるサザンドラ。うるせえこれが僕の書き方なんやと心の中で思いつつ再びサザンドラの方を見る。彼女は書いている文を前のめりで読んでいた。なんだかんだ夢中になってずっと見てたみたいだ
「うるせえどんな書き方してもええやろ」
「…それにしても今回は私との出会いですか?」
小競り合いしても仕方ないと思ったのか、彼女は小説について触れてきた。その顔は今さっきの満足そうな顔と違い真剣そのものだった。多分自分について書いてるから私もなんかしないとくらいだと思っている
「まぁ題材はそれかな。その通りに書こうとは思ってないけど」
それを聞いて、彼女の真剣な表情が崩れ
「主人はなんだかんだ私の事好きなんですね」
と少し恥ずかしそうに髪の毛を弄りながらいう
「まぁな。お前と結婚できりゃ結婚してるくらいには長いことおるしな」
彼女とかれこれ5年くらいは共に暮らしている。2人暮らしで他の萌えもんを所持していない。もう旅できる歳ではない一般の学生なのだ。彼女以外に欲しいとも思わないしな
「それってプロポーズです?」
「バカ言え冗談に決まってるだろ、誰が急に接吻してくる痴女と結婚なんかするか」
一旦お茶を濁し思考を伸ばす
普段家事をしないから家事はほぼ任せっきりだし料理に関しては人間の口に合うように作るレベルだ。自分の家事力の無さは置いといて急に接吻してくる事を除けば本当にいい女だと思う。それに結婚というワードを使ったが別に結婚したいわけじゃない。好きだがこの感情は家族としてで恋人になりたいとかそういうのではない
「酷いです〜主人!」
そういって彼女は背を向けて行ってしまった
「はいはい。勝手に布団でも枕でも使って拗ねててください」
「酷くないですか?主人。女の子が拗ねてたら構うものですよ?もしかして今さっきの怒ってます?」
今さっきのというのは小説書いてたらの云々、のあれか
「うるせービッチ。ビッチなのは格好だけにしとけ」
「キスします?」
「するかアホ!!」
「普通喜ぶと思いますよ?結構私スタイルには自信があります。胸も大きいですし、あっ見ます?」
「見せようとしなくていいから!!服を降ろそうとするなおいバカやめろ!!」
服を脱ごうとするサザンドラを必死に留める。そう、止めないとなんかまずい気がするんだ。R15で止まってるものが止まらなくなるような気がするからだ
「冗談ですよ。揶揄っただけです。本当面白い人ですね主人。そういうところ好きですよ」
「お前いい加減にしろ、さっきからずっと小説に集中できないだろ?」
一先ず話題を戻す。これ以上彼女ペースで進めたら自分が保たないと、流石に節度は必要だと感じた
「集中を乱すためにやってるんですから」
そんな思惑を全てぶち壊してくる。流石は《ドラゴンタイプ》だ。思考に《はかいこうせん》とはやりますね
と頭の中で降参降参と白旗を上げる。こいつには敵わない
「勘弁してくれよ。なんのためにペンを握ってるかわからなくなるだろ」
「今日の所はこの辺にしておいてあげます」
これじゃどっちが主人かわかんねえなと思い、やれやれと言った感じで小説の手を止める。今からはサザンドラに構ってやるか。
「どうせ今書いてもろくでもない文章しか書けないしな。ほらおいで」
この後主人公がどうなってしまったかはご想像にお任せします
サザンドラ
痴女。背丈は主人公と同じくらい(主人公の方が少しだけ高い)
家事万能、運動もできる。人の言葉を話せる。あと痛いところを突いてくる