異聞帯 暗黒天魔帝国 日本 作:魔導元帥
エリヤ・フォン・キッベール。
古き魔術師の一族であるキッベール家の当主であり、かつて時計塔で天才と称された魔術師である。
彼は時計塔では降霊科に属しており、その才能を見込まれソフィアリ家の一族の者とも婚姻を結んでいるほど。
降霊科一の天才とまで呼ばれ、降霊科のナンバーツーであるプライドの高いブラム・ヌァザレ・ソフィアリに疎まれていたエリヤの実力。その実力をマリスビリー・アニムスフィアは見込んで直々に人理継続保証機関カルデアにスカウトしたのだ。
その天才は今、カルデアで人類の為に、人理の為の一歩を踏み出さんとコフィンに入り───無様に死んでいた。
人理継続保障機関フィニス・カルデアの顧問であったレフ・ライノールの裏切りによって、Aチームの面々と共に無惨にも人理修復のスタート地点にすら立てなかったのだ。
障害となりうるキリシュタリアを筆頭とするAチームや、ロマニ・アーキマン。そして、存在自体がキナ臭く、頼られるのも鬱陶しいオルガマリー・アニムスフィア。
レフ・ライノールは彼らを殺す為におそらく虚数魔術を用いた特殊な爆弾を用い、目論見通りに見事排除して見せた。
ロマニなどが偶然生き残ってしまったものの、カルデアの上層部、主戦力たる面々は全滅した。この有様では人理を取り戻すことなど不可能に近く、レフ・ライノール、そして彼の背後にいるゲーティアの目的は達成したかに見えた。
しかしただ一人素人だからと見逃された一般人のマスター、藤丸立香。彼によって世界は救われた。
ただの凡人であり、人理を取り戻す為に人類悪と戦うには余りに非力な彼は、ゲーティアを倒し人理修復を成し遂げた。
藤丸立香の輝かしい偉業に反して、世界を救う為に集められたAチームは世界の為に何もできず、運命の悪戯によって人理の敵に成り下がってしまった。
エリヤはそのことについて特に思うことはない。彼はただ、己のライバルがカルデアに赴くというから対抗心からついて来ただけであり、人理修復といった大義には興味がなかったのだから。
異星の神の使いっ走りになることについては不愉快以外の感情はない。そもそも彼は人の下につくことが嫌いだ。彼が認めた存在以外の下につく気は甚だない。
加えて。必要なのはキリシュタリアでそれ以外は死んでも生き返ってもどちらでも良いと、異星の神は言った。おそらく、キリシュタリア以外は本当にどうでもいいのだろうが──それも不快だ。
キリシュタリアとの決闘に負けたあの日から。
エリヤはキリシュタリアを倒す、超えるのは己だと、そう決意して研鑽を重ねて来た。故にどのような分野でもライバルであるキリシュタリアに負けるというのは負けず嫌いである彼には不愉快だった。
故に彼の目標は人理など関係なく。
異星の神の影響を排除し、オリュンポス異聞帯を打ち倒し、今度こそキリシュタリアを倒すこと。
ただそれだけで、漂白された人理を取り戻そうとしているカルデアに関しては寧ろ応援しているくらいだ。どちらの世界が優れているか、劣っているかなどの優劣の話には興味がなく、知らない世界より勝手知ったる世界の方が住みやすいのは自明の理だからだ。
そのため、無事に上手く異聞帯の王と契約できたエリヤは世界など関係なく、好敵手に勝つ為の行動をはじめたのだった。
エリヤはキリシュタリア大好きマンです