デビルサマナー葛葉ライドウ 対 帝国華撃団(仮)   作:おおがみしょーい

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開戦

 上野公園で一連の事件のあった次の日の昼下がり、大帝國劇場のサロンには米田一基支配人以外――米田は数日前から「野暮用」という事で出かけており、いまだ戻ってきていない――の帝国華撃団・花組の全員が顔をそろえていた。

 もちろん、昨晩おきた事件を共有するためだ。

 上野公園へ出向いた者たちの報告を聞いて、それの検証、また花組のメンバーは華撃団としてのもう一つに重要任務、舞台の為の稽古を終え、落ち着いたところで集まっている。

 

「まず確認だけどよ、加代さんは無事……って事でいいんだよな?」

 

 まず初めに口を開いたのはカンナだった。

 

「えぇ、大神君達が彼女を家に送り届けてから、帝撃の息のかかった医師をおくって確認させたわ。衰弱はしていたみたいだけど、命に別状はないということ。付け加えるとついさっき意識が戻った、という報告もあったわ」

 

 カンナの問にかえでが答える。

 

「そうか……そいつはよかった」

 

 カンナは心底ほっとしたように、息を吐く。

 男勝りだが人一倍優しい、カンナらしい反応だ。

 

「そうなると、残る問題は“神隠し”と“新種の降魔”という事になりますわね」

 

 そんなほっ、とした空気を切り裂くように、すみれが鋭く、話題の本質に切り込んだ。

 

「というわけで、もう一度説明していただけませんこと? さくらさん」

 

 すみれはそう言うと、隅の方に座っていたさくらに視線を向ける。

 

「え? あ、あたしですか?」

「何をおっしゃってるの。昨晩の件で実際に“神隠し”にあって、“新種の降魔”と戦ったのは、あなたお一人ですわ。さくらさん以外、誰に説明が出来るというの」

「えっと……」

 

 あまり口が達者な方でないさくらは、すみれの科白の様な言葉に若干ひるんだが、視線をさまよわせた先の大神が、さくらを安心させるように小さくうなずいたのを見て、一つ深呼吸をして、さくらは口を開いた、

 

「わかりました、順を追って説明しますね――まずは……」

 

 さくらの話が始まった。

 

 カンナと歩いていた時にいきなり“神隠し”にあったこと。

 そこが、今いる世界とは、少し違う空間であるように感じたこと。

 そこで、腹のでた奇妙な“降魔”の群れと戦ったこと。

 獣の様な咆哮を聞いて、西へと急いだこと。

 ついた桜の木の下に、加代さんをはじめとした複数人が倒れていたこと。

 そして、最後に外套の剣士と対峙したこと。

 

 さくらはゆっくりと、確認するように昨晩の詳細を仲間に話した。

 

 サロンに沈黙がおりる。

 

「ねぇねぇ紅蘭、つまりどういうこと?」

 

 沈黙の中、アイリスが紅蘭の真紅のチャイナドレスの裾を引っ張って聞く。

 

「そやなぁ、アイリス……つまり……さっぱりわからん! ちゅうこっちゃな」

「なにをおっしゃってるの、紅蘭! それじゃあ、だめじゃない!」

 

 紅蘭のボケの様な言葉に、すみれがツッコむように言葉を投げる。

 

「いやいや、すみれはん、科学の世界でもそうなんやけど、わからん、って事がわかるんは、結構大事なんよ?」

「あん? そりゃどういうことだよ?」

 

 禅問答の様な紅蘭の答えに首をかしげたのはカンナだ。

 

「さくらはんの話の中で、わからん部分はようさんあんねんけどな、わからないことは情報が足りへんからこれ以上考えても意味ないねん。だから逆に、今は少しでもわかりそうなところだけを考えてけばええねん」

「ふむ、そうなると、今焦点を当てるべきは、私たちも目撃した“新種の降魔”でしょうね」

 

 紅蘭の言葉にマリアが冷静に答えた。

 

「そうだな、さくら君の話と今までの目撃情報や、加代さん救出直後の状況を検証してみると、今判明している“新種の降魔”と言えるものは3種類いる様だな」

 

 話を整理するように、大神が話し始める。

 仲間の視線が大神に集まった。

 

「まずは、数日前、月島周辺で目撃された『獣型の降魔』――これはマリアの方から“マンティコア”という悪魔ではないかという情報が出ている。そして、次にさくら君が戦った『腹の出た小柄の降魔』。そして最後に、桜の木の下でさくら君を襲い、俺達も亡骸を目撃した『小鬼の様な降魔』――という感じかな」

 

 大神は確認するように仲間を見渡す。

 特に意見などが出なことを確認すると、大神は続けた、

 

「次に、これらの“降魔”の特徴もまとめておくと……1つ、この世界とさくら君が“神隠し”にあった異空間、両方に存在するという事。2つ、この“新種の降魔”も人間を襲い、脅威であるという事。3つ、倒すと俺たちの知っている“降魔”同様、亡骸を残さずに消えてしまうという事……」

「あともう一つあります。たぶんですけど、あたしの会った外套の剣士は、この“降魔”とは敵対関係にある、と思います」

 

 大神の言葉を最後、引き継ぐようにさくらが言葉を続けた。

 

「ふむ……」

 

 大神はその言葉を聞いて考える。

 

 今あげた“新種の降魔”の中で『獣型の降魔』だけ、上野公園で目撃できていない。

 しかし、大神たちは、さくらが聞いた咆哮はかなりの確率で、この『獣型の降魔』であったのではないかと考えている。

 何故なら生き物の気配のしない異空間での大型の獣の様な咆哮、『獣型の降魔』がいたと考える方が自然である。

 だが、さくらはその姿を目撃してはいない。

 それを考慮すると、考えられる結論は2つ。

 1つは、逃げた、か

 1つは、外套の剣士が倒したか、

 という事になる。

 

 月島周辺の写真でも、『獣型の降魔』が外套を着た人影と対峙しているのを見ても、外套の剣士と、“新種の降魔”が敵対関係にあるということは、ほぼ、間違いないと思われる。

 

 そうなると、次にぶつかるのは“外套の剣士”は誰なのか。という事になる。

 

「そういや、名前を名乗ったんだよな? なんつったんだっけ?」

「はい、彼は――」

 

 カンナの問いに、さくらは改めて背筋を伸ばし、その名前を

 

「“葛葉ライドウ”、外套の剣士はそう、名乗りました」

 

 はっきりと口にした。

 再びサロンに沈黙がおりる。

 

 変わった名前だ。

 偽名――である可能性もあるし、むしろ、そちらの可能性の方が高いくらいかもしれないが、さくらの話を聞くと、外套の剣士はその名を、切りあいの際の名乗りで名乗っている。ある種、矜持の様なものも見て取れる為、“葛葉ライドウ”という固有名詞が外套の剣士の中で大きなものであるという事は、一つ確かな事であると考えてもよいであろう。

 

「帝都の住民の中にはいない名前だったのですよね?」

「えぇ、調べてみたけど、帝都に同じ名前を持つ人はいなかったわ」

 

 マリアの問に、かえでが答える。

 

「まぁ、偽名かもしれへんしな。名前だけで探すのは難しいかもしれへんね」

 

 紅蘭がかえでの答えを聞いて腕を組みながら、頭をひねる。

 

「そうね、ただ……実は“葛葉”という名前に見覚えがあるの」

「え? かえでさんは名前の人物を知っているんですか?」

「いえ、そういうわけじゃないんだけど……先の戦い――黒鬼会の首領・京極慶吾は勿論みんな覚えているわよね」

 

 かえでの口から出た、思わぬ名前に、皆一様に虚を突かれたような顔をした。

 

「京極……あの男が、今回の“外套の剣士”と関係があるんですか!」

 

 京極の名前に思わずという風にさくらが鋭い声を上げる。

 さくらがそのような声を上げるのも無理もないだろう。先の戦いで京極慶吾は、さくらにとってとても大事なものを何の躊躇もなく蹂躙した、因縁の相手なのだから。

 

「落ち着いて、さくら。順を追って説明するわ」

 

 そんなさくらをなだめる様に、かえでは皆に話し始めた。

 

「京極慶吾は反魂の術や聖魔法陣などの様々な術を駆使していたわ、そしてそれは彼自身が古の陰陽師の子孫だった事と関係しているの」

「ねぇねぇ、紅蘭。おんみょうじって何?」

「なんやアイリス、陰陽師知らんのか? 陰陽師っちゅうのは、日本に昔っからいた職業でな、占いやらお祓いやら、いろんな事をしとったんや……簡単に言うと、うーん……日本版・魔法使い! ちゅうとこやな!」

「へぇーー!!」

 

 紅蘭の魔法使いという言葉に、アイリスが瞳をキラキラさせて反応した。

 

 陰陽師――紅蘭の魔法使い、という言葉は多少乱暴だが、あながち間違っているわけでもない。

 陰陽師の歴史は古く、平安の時代までその存在は遡ることが出来る。

 時の朝廷に仕え、様々な問題を、学術的に、霊的に解決してきたのが陰陽師という存在だ。

 しかし、その存在も時代の波にのまれ、次第に姿を消していくことになる。

 

「なので、京極の事を調べているうちに、陰陽師のルーツにたどり着いて……その歴史書の中で見たのが“葛葉”という名前なの。あの戦いの中では特に気にもしなかったんだけど、今朝さくらからその話を聞いて、思い出したから資料室で資料をあさってみたら、これがでてきた」

 

 かえでは、そう言って一冊の本を取り出した。

 かなり古い本の様で、表装もされていない。もしかしたら歴史書の写しなのかもしれない。

 

「この歴史書の――書かれたのは鎌倉時代なんだけど――内容は平安時代末期の朝廷の事が書いてあるの。そしてその中の一か所……ここのところに“葛葉”がでてくるの」

 

 そういってかえでは古ぼけた本を開き、その一説を指さした。

 

「古文だから訳して説明するけど――朝廷から妖魔の討伐の依頼を受けた陰陽師は、自らの手には余ると判断して“ヤタガラス”に助けを求めた。すると“ヤタガラス”は一人の“葛葉”を使わし、その“召喚術”で妖魔は見事に倒された――そのような内容よ」

 

 確かに“葛葉”という言葉が出ている。

 

「“葛葉”という言葉も出てきていますが、新しく“ヤタガラス”という名前も出てきていますね。なんなんでしょう……」

 

 大神が問いかける

 

「わからないわ。普通に考えればアマテラスが神武天皇の東征に使わした“聖獣”の事……なんでしょうけれど、これは平安末期の歴史書だから、そのままとるのは違う気がするわ。何かの通称――もしかしたら、陰陽師を統括している組織とか、そのようなものかもしれない」

「仮に組織だと考えて、流れを読み取ると……この“葛葉”は其処の構成員――例えば荒事担当の戦闘員の様な見方もできますね」

 

 かえでの言葉を引き継いでマリアが呟く。

 文脈を見るに、確かにマリアのいう様に、妖魔討伐の為に派遣されたエージェントという見方が出来そうだ。

 

「“召喚術”というのはなんなのかしら?」

「陰陽師はかつて“式神”というモノを操って様々な呪いをしたという記述もあるからそれかもしれないわね」

 

 すみれの疑問に答えたのは、かえでだ。

 

「他の歴史書や古文には、この“葛葉”や“ヤタガラス”は出てこないんですか?」

「そうね、陰陽師自体が武士の時代になると段々と姿を消していくから、歴史書の中で記述自体が少なくなってくるのでこれ以降、ちゃんとした形での記述はないわね。ただ、所々、鬼や妖魔、妖怪といった(たぐい)が出てくるときに武士と共に“召喚士”という記述が出てくるの、もしかしたらこれが“葛葉”の事なのかもしれないわね」

 

 大神の問いに更なる資料を広げながら、かえでが答えた。

 

「なんだぁ? じゃあこの“葛葉”ってのは、平安時代とかに、あたいら花組みたいなことしてるって事か?」

 

 カンナの出した答えに反論する者はいなかった。

 記述を見るにそう判断するほかない。

 

「かえでさん、俺達、帝国華撃団以外にこの様な組織がある、というのを聞いたことがありますか?」

「私はないわ。だけど、ないと考えた方が自然だと思う。何故ならそのような組織があったら、『降魔戦争』の様な事態にはなっていなかったはずよ」

 

 降魔戦争――その言葉が出た瞬間、さくらは無意識に、ぎゅっ、と自らの着物を握りしめる。

 それは、この帝国華撃団が設立されるきっかけとなった事件。

 この事件をきっかけに多くの人の命が失われ、そして、生き残った者たちも、その人生を大きく歪ませることになった。

 

「でも米田支配人ならもしかしたら、何か知っているかもしれないわ」

 

 米田一基は、この帝国華撃団設立だけでなく、真宮寺一馬と共に、いち早く降魔の脅威を予見し、帝国華撃団の前身、陸軍対降魔部隊の設立にも携わった人物だ、何か知っているとすれば、一番有力な人物であることは想像に難くない。

 が、その米田本人は今、帝撃を不在にしている。

 

「まったく! あの酔っ払いオヤジ、肝心な時にいないなんて」

 

 すみれが椅子に乱暴に腰掛けながら刺々しく声を荒げる。

 

「ああん? しょうがねぇじゃねぇかよ、支配人だって用の一つや二つあるだろう」

「別にカンナさんに言ったわけではありませんこと、いちいち突っかからないで頂けますか?」

「てめぇがいねぇ奴の事をあれこれ言うからいけねぇんじゃねぇか!」

「なんですって?」

「なんだよ?」

「やりますの?」

「受けて立つぜ?」

 

「おいおい二人とも、その辺で……」

 

 すみれの一言から流れるように喧嘩に突入した、すみれとカンナを大神が仲裁しようとした時――

 

 けたたましいサイレンが、大帝國劇場に響き渡った。

 

『月島から日本橋にかけての広範囲に降魔の出現を確認。花組の皆さんは至急、作戦指令室まで集まってください』

 

 白鳥由里の声が、スピーカーから聞こえてくる。

 

「降魔! よし、みんな行くぞ!!」

『はいっ!』

 

 花組の面々はサロンを駆けだし、地下にある作戦指令室へとはしった。

 

――

 

 地下作戦指令室――帝国華撃団の中枢部であり、帝都守護の要。

 広い室内には一目で最新鋭とわかる機械がズラリと並んでおり、中央のテーブルには帝都の詳細な地図が映し出され、数か所で明滅を繰り返している。

 サロンから退出して数分後には、この作戦指令室に全員が集まっていた。

 花組隊員は皆、普段着から、軍隊の儀典で使われる礼服に似た戦闘服を身に着けている。

 

「どんな状況ですか」

 

 開口一番、大神が状況確認の声を上げる。

 

「市民の避難は終わっています! “降魔”は月島から日本橋にかけて、路面電車の線路に沿うように出現しています。出現しているのは全て“鉤爪”……だけじゃない――ッ! 画面だします!!」

 

 報告をしていた藤枝かすみが途中で驚いたように声をあげて、手元のパネルを操作すると、中央の大きな画面に月島の街が映し出された。

 

「なんやあれ?!」

「なんですのあれは!」

「お兄ちゃん……アイリス……怖い!」

 

 画面を見た隊員たちは一様に驚きとそして少なからずの恐怖の声を上げた。

 その画面には、紫色の“降魔”――“鉤爪”にまじり、上半身だけの巨大な――人の背丈の3倍はゆうにありそうだ――鶸萌葱色(ひわもえぎいろ)髑髏(しゃれこうべ)が映っていた。

 しかも、その髑髏(しゃれこうべ)がただの骨格躰(こっかくたい)でないことは、大きさだけでなく、眼の部分をみるとわかる。通常なら、ただの空洞になっているはずの眼底には、黒々とした眼窩があるのがわかり、明らかに意思の様なものが見て取れた。

 しかもそんな巨大な髑髏(しゃれこうべ)は一体だけではなく、あちらこちらで、何もない空間から、その巨大な上半身を顕現させていた。

 

「これも“降魔”……なのか?」

 

 大神が驚いたように声を上げたその時、

 

「あ! これは……見てください! ここ!!」

 

 もう一つの画面を見ていた高村椿が声をあげてパネルを操作する。

 画面が切り替わる。

 

「あれは……」

 

 切り替わった画面には一人の人間が映ってた。

 普段は人間が立たないであろう街灯の上に顔色一つ変えずに佇んでいる。

 漆黒の外套に黒い學生帽をかぶり、肩に翠の双眸をした黒猫をのせた、白顔の少年の姿だった。

 

「この人です! この人が“葛葉ライドウ”!!」

 

 さくらの声に、全員の視線が外套の剣士に向けられた。

 

 次の瞬間、画面の向こうの“葛葉ライドウ”は街灯から、とんっ、と飛ぶと、音もなく“鉤爪”達の群れの中へと着地する。そして外套の下から刀をすらり、と抜き去り瞬く間に数体の“鉤爪”を斬り伏せた。

 しかし、“葛葉ライドウ”の刃は其処で止まらず、そのまま巨大な髑髏(しゃれこうべ)の方に走ったかと思うと、“鉤爪”の亡骸を踏み台にして飛び上がり、髑髏(しゃれこうべ)の黒々とした眼窩に刀を突き立って、そのまま巨大な骨格躰(こっかくたい)を真っ二つに切断した。

 

「すごい……」

 

 それを見ていた隊員から、誰ともなく感嘆の声が漏れた。

 

 その時、“葛葉ライドウ”がカメラを一瞥した。

 画面越しに大神と“葛葉ライドウ”の視線がかち合う。

 しかし、次の瞬間には“葛葉ライドウ”はくるりと踵を返すと、“鉤爪”の群れの中へと身を躍らせて行った。

 

 “葛葉ライドウ”の視線で我に返った大神は

 

「こんなことをしてる場合じゃない! 俺達も出動だ!!」

 

 急ぎ、隊員たちに出動の檄を飛ばす。

 

『了解っ!!』

 

 花組の隊員たちも歴戦の戦士だ。

 大神の言葉に、気持ちを“降魔”殲滅へと切り替え、各々自らの光武・改へと乗り込んでいった。

 

『大神君、このまま轟雷号で現地まで送ります。今は余計な事は考えないで“降魔”殲滅に集中しましょう』

「はい!」

 

 光武・改の中で通信から聞こえる、かえでの指示に、大神は確認の返答をする。

 

『ただ、新種の降魔が出てるという事は、“神隠し”の可能性もあるわ。十分気を付けて。たのんだわよ』

「了解です!!」

 

 大神は、かえでの言葉に力強く頷くと

 

「みんな、聞いた通りだ、細心の注意を払いながら“降魔”を殲滅して帝都を守る! 帝国華撃団・花組 出撃!!」

 

 全力で号令をかけた。

 

『了解っ!!!』

 

 それに呼応するように、隊員たちからも声が上がる。

 

 そして各自、光武・改と共に轟雷号に乗り込むと、“降魔”……そして“悪魔”が跋扈する戦地へと向かっていった。

 

―――

 

「ふん……見たこともない妖魔に、ガシャドクロ……か、こちらの帝都も随分と混沌としているな、ライドウ」

「恐らく“アイツ”のせいだ」

 

 足元から聞こえるゴウトの声に、ライドウはアカラナ回廊で取り逃がした“悪魔”を思い浮かべながら答える。

 

「しかし、先ほどの市民の誘導といい、この地域の隔離といい、こちらの帝都では軍が“ヤタガラス”の代わりを務めている様だな」

「見たこともないカラクリが動いていた」

「ああ、そうだな、だいぶ技術も発展しているようだ」

 

 ゴウトとライドウはただ普通に会話をしているように見えるが、実はこの会話の間にも、ライドウは襲い掛かってくる“鉤爪”や“ガシャドクロ”を、有無を言わさずに屠っていた。

 

「しかし、こうも広範囲に現界に顕現されると、対処が追い付かんな」

「彼らが、来る」

「帝国華撃団とやらか、いったいどれほどのものか……」

 

 ライドウの言葉に、ゴウトが懐疑的な声を上げた時――

 

 7つの鋼の甲冑が空を舞った。

 

 轟雷号から放たれた7体の霊子甲冑――光武・改だ。

 光武・改は空中で位置を整え、編隊して着地すると。

 

「帝国華撃団! 参上!!」

 

 “降魔”達の中心に降り立った。

 

 この瞬間から、帝国華撃団・花組は“降魔”だけでなく、“悪魔”との戦いに身を投じていくことになるのであった。

 

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