RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
拐われた歩夢、彼女を救う為に飛び込んだ紗季、そして異次元に飛ばされてしまったゼロ……。この波乱の展開を翔琉と陸は乗り越える事が出来るのか?
それでは早速どうぞ!
「くっ……ここは……?」
ヒッポリト星人ケイプの放ったブルトン弾によって異次元に飛ばされてしまったゼロ。彼が今いる場所はまるで砂漠の様に辺り一面砂場となっていて、空は不気味なピンク色。少なくとも地球では無いのは確かだ。
「とにかく早いとこ戻らないと………ッ!?」
背後から殺気を感じ、ゼロは横に飛ぶ。彼がいた場所には薙刀の刃が突き刺さっているではないか。
「お前は、マザラス星人!?」
夜叉、又は般若の様な鬼面の顔を持った和装の女が薙刀を振り下ろしていた。ここは鬼女マザラス星人の住む世界だったのだ。
「忌々しいウルトラ族……何でここにいるのかは知らないが、私が殺してやる!!」
そう言ってマザラス星人シデビルは再度薙刀を振るう。マザラス星人はかつて仲間をとあるウルトラマンに倒されており、しかもそのウルトラマンというのは偶然にもゼロの師匠であるウルトラマンレオであった。師弟関係については知らないが、彼女はゼロを倒すことで仇を取ろうとしているのだ。
「チッ……どいつもこいつも敵討ちって、そもそも俺は関係無いだろうが!」
「黙れぇ!」
鋭い突きを躱すゼロ。彼女の攻撃は苛烈であり、逃げ出す隙を見つけるのは困難であろう。
「急いでるってのに、面倒くせえ奴だぜ!」
「キエェェェェェェ!!」
早急に蹴りを着けて陸のもとへと戻るべく、ゼロは文字通り鬼気迫る勢いで薙刀を振り上げて接近して来るシデビルに構えた……。
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Xio司令室。あの後、メンバー達は集まっていた。時刻は午後8時。歩夢と紗季が消えてからもう6時間が経過している。
「博士、陽花、涼風。2人の行方は分かりそう?」
「うーん、どうやらこの宇宙にはいないみたいっすねぇ……」
「この宇宙には?どういう事だ?」
「新城野さんのジオデバイザーの反応を、Xioの衛星システムなどを利用して宇宙全域でサーチしてみました。しかし、反応は無く……」
「つまりアイツら、少なくとも紗季はこの宇宙にはいない。恐らく並行宇宙の何処かにいるんだろうってことだよ」
落ち込む陽花、苦虫を噛み潰した様な表情となる涼風。どれだけ探しても歩夢と紗季は見つからない。早く見つけなければ、彼女達がどうなってしまうか……。
「並行宇宙って、どういうことだ?」
「現在自分達が存在する宇宙とは別の宇宙が複数存在する、これが多次元宇宙・マルチバースという理論です。私達がいる宇宙と並行して存在している宇宙の何処かに、新城野さんと上原さんはいる可能性が考えられるということです」
「ちょ、ちょっと待ってくれ!それって助けに行けるのか!?」
慌てて聞いたハヤテに、陽花と涼風は悲痛な表情で首を横に振る。
「博士、何とか、ならないのか?」
「馬鹿を言うな。並行宇宙の移動装置なんて、そう簡単にぃ……––––––」
ザムザに質問されたシャマラ博士。無理だと切り捨てようとしたが、途中で言葉が止まった。そして何かを思い付いた様に考え込む。
「お、おーい、博士?どうかしたのか?」
「腹でも壊したか?」
「黙らっしゃい!!…………もしかしたら或いは…!」
ハヤテとイヅルを一喝した博士はPCのキーボードを高速で打ち始めた。その唐突な行動に、他の者達はどうかしたのかと少し戸惑っている。
「そ、そういえば、翔琉君はどうしたんですか?」
「彼なら屋上よ。それと、あの彼も」
「仙道 陸君、でしたっけ?」
リュウジに「ええ」と頷く沙優。机の上には、彼がゼロの探索の為の役に立てばと調べる事を許可してくれたウルトラゼロアイが置かれている。
「2人にして、大丈夫、でしょうか?」
「大丈夫よ。今は若者のことは若者に任せましょ」
笑いながら彼女はザムザにそう答えた。
翔琉と陸。2人のウルトラマンに変身する少年。彼らの出会いがどの様な結果を生み出すのか……想像こそ出来ないが、今はそれを見守ろうと彼女は考えた。
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Xio基地の屋上。翔琉はそこで夜空を見つめている。この宇宙の何処かに歩夢と紗季はいる。しかし2人を助けに行こうにも何処にいるのか分からないし、そもそも方法が無い。おまけに明日、歩夢にはスクールアイドルとして出なければならないイベントがある。急いで助けなければそれにも出ることが出来無い。
「何が超人、ウルトラマンだよ……!」
柵に拳を強く叩きつける。強大な力を持っているというのに、いざという時に何も出来無い自分の愚かさに強く苛立ちを感じていた。
「よお」
「っ、なんだアンタか……」
そんな翔琉の背後から声を掛けて来たのは陸だ。彼は翔琉の隣に並んで柵に寄り掛かる。
「まさか、大地さん以外にエックスと一体化した人がいたなんてびっくりだよ」
「だからその大地って誰だよ?それに一体化って、エックスもアンタんとこのゼロってやつみたい意思があったってのか?」
「少なくとも、俺が出会ったエックスはな」
エックスに意思があると言われても翔琉はピンと来ない。自分の中には天地 翔琉の意識しかなく、ウルトラマンエックスの意識は感じられないからだ。
「俺が記憶喪失なのと何か関係あんのか……?」
「記憶、無いのか?」
「ああ。てか、今はんな事どうでもいいか……くそっ」
額を柵に打ち付ける翔琉。それでも良い考えは思い付かなず、鈍い痛みを感じるだけ。何も出来無い自分に、
「あんま自分を責めるなよ」
そんな彼に陸が言葉を掛ける。
「気持ちは理解出来る。けど自暴自棄になって周りが見えなくなってしまったら、大切なものを傷付ける事になってしまうかも知れないし。それだけ強い力を、アンタは持ってるんだ」
「何だよ、それ……?」
「経験談ってやつだよ。前に怒りに任せて戦って、それで大切な仲間を傷付けてしまったことがある……。闇に呑み込まれてしまったら、とんでもない事になってしまうんだ」
苦々しい事を思い出したのだろうか、陸の表情は少し暗い。
「アンタの仲間はきっと無事だし、助けに行く方法もきっとあるって信じてみようぜ。やる前から諦めたら、本当に何も出来無くなっちまう」
「………信じる、か」
「まあ、俺も先輩達に言われたことなんだけどな」
「先輩って、他にもウルトラマンっているのか?」
「ああ、いっぱいいるぜ」
「マジかよ……」
自分やゼロ以外にもまだウルトラマンがいるということに驚く翔琉。陸の言葉が響いたのか先程までの不安や怒りの様な感情はその顔から消えている。
「なあ、気になったんだけど連れ去られた女の子って、友達なのか?」
「友達っつーか、幼馴染みって奴だ。まあ、俺記憶無いから覚えてないんだけどな。でも、こんな俺でも優しくしてくれる良い仲間の1人だよ。スクールアイドル頑張ってるし」
「スクールアイドル!?この宇宙にもあるのか!?」
スクールアイドルという台詞に強い反応を示す陸。彼もまた、自分のいた宇宙でスクールアイドル達と共に歩み、輝きを探して来たからだ。
「まあな。てか、アンタのところにも?」
「ああ。いやー、俺ら以外の宇宙にもいたんだな……ゼロや他のウルトラマン達は俺のところで初めて見たみたいだし、他には無いのかなって思ってたぜ」
「珍しいものなのかもな。案外、アンタの知ってるスクールアイドルも、この宇宙に居たりして?」
「なんか有り得そうだな」
笑い合う2人。側から見れば友人同士の様に見える。
「……天地 翔琉」
「え?」
「いや、ちゃんと自己紹介してなかったなって思ってさ。俺は天地 翔琉、ウルトラマンエックスだ」
「仙道 陸。ウルトラマンゼロ……は今居ないけど、後で挨拶させるよ」
互いに手を出し合って握手する姿は、友人同士の様では無く友人であると言えよう。宇宙を超えた友情がここに結ばれたのだ。
「あ、翔琉いたー!」
「お客さんもいたー!」
そこへミキリとミハネが飛び込んできた。
「どうしたお前ら?」
「早く来て!」
「急いで来て!」
「「紗季ちゃん達を助けに行けるかも!!」」
思いもしてなかった彼女達の台詞。翔琉と陸は互いに見合って頷いた後、ラボに向けて走り出した。
「ちょ、違う、こっちだ!」
「あ、わりぃ!」
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惑星ギレルモ。地球から数千光年以上離れたその星に、脱獄ハンターズと彼らに拐われた歩夢はいた。彼女は身体を縛られて動けなくなっており、その隣りにはスパークドールズの入ったジェラルミンケースが置かれている。ベムスター、バキシム、レッサーボガールの3大怪獣も、彼らの近くで餌を捕食などしている。
脱獄ハンターズの3人は、下賤な声を放ちながら談笑していた。
「ウルトラマンゼロが出て来た時はどうなるかと思ったが、流石ケイプだぜ」
「あの野郎、今頃異次元で苦しんでるだろうな?ヒャヒャヒャッ!」
「こんな事もあろうかと、アイザラからブルトン弾を掠め取ってて正解だった。流石は俺と言うところだな…」
ケイプがゼロに撃ったブルトン弾はアイザラから購入した物では無く、奴の隙を見て盗み出したものだったのだ。
「なんか知らねえウルトラマンも居たが、大した事無かったなぁ」
「ああ!もう少し骨のある奴用意しとけってんだよ!人質取られただけで、すぐ動けなくなる腰抜けとか俺様の相手にならねえっての!」
デスレ星雲人ダイロとナックル星人ジェイラの笑い声が響く。歩夢はそれを聞いて顔を顰めた。
「お?何だ小娘、文句あんのか?」
ジェイラがそのマントヒヒなどの猿を連想させる顔を彼女に近付ける。異形な存在に恐怖を感じながらも歩夢は口を開いた。
「わ、私を、どうするの……?」
「地球人の女は高く売れる。どっか適当な星に売り飛ばしてやるよ」
ケイプの言葉に歩夢の顔が青ざめる。売られるだなんて言われたら無理もない。そんな彼女の様子を見て、3人はゲラゲラと面白そうに笑っていた。
そしてその様子を、紗季がジオブラスターとナイフを手にして隠れてから見ていた。何とか隙を突いて歩夢のことを助け出そうと考えているのだ。ゆっくりと物陰に潜み、匍匐前進をしながら歩夢に近付いていく。脱獄ハンターズは歩夢から少し離れてまた談笑しており、彼女を助けるなら今がチャンスだろう。
歩夢の背後まで来た紗季は、彼女の背を軽く叩く。
「へっ!?」
「しっ!静かにしてて、今助けるからこっちを見たらダメよ?」
ナイフを使い、歩夢を拘束している縄を切っていく紗季。
「もう少し……切れた!」
「あ、あの……」
「いい?合図したら隣のケースを一つ取って後ろに走るの。わかった?」
「はい…!」
「よし…………せーの!」
紗季、歩夢はケースを一つずつ持ち走って逃げる。
「な!?」
「ネズミがいたのか!?おわっ!?」
追って来ようとする脱獄ハンターズに紗季は走りながらジオブラスターを連射。奴らはそれにより足を止めた。
「走るよ!」
「はい!」
2人は奴らから逃げる為に必死に走っていく。
「チッ……お前ら、捕まえろ!」
ケイプの指示によりベムスター、バキシム、レッサーボガールが咆吼を上げ、大地を踏み締めながら彼女達を追い掛ける。
「か、怪獣が!?」
「止まっちゃダメよ!」
捕まれば悲惨な目に遭うのは明白。何としても逃げ延びる為に、歩夢と紗季は必死に走っていくのであった……。
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「2人を助けに行けるって本当か!?」
ラボに着いた翔琉と陸の2人。翔琉は開口一番、集まっている仲間達に尋ねた。
「フフフッ、この私を誰だと思っとる?宇宙最高の天才であるシャマラ・シャマー様だぞ!私に不可能などぉ……なああああああああい!!!」
PCを操作していたシャマラ博士が勢い良くエンターキーを弾いた。するとPCの横にあった機械から、1枚のサイバーカードが現れる。その表面に描かれてたのは……。
「え、ゼロ!?」
「そう!これこそは、あのウルトラマンゼロが使っていた時空を超える力を再現したサイバーカード!!名付けてウルティメイトゼロカードだ!!」
翔琉はそのカードを手に取った。ゼロが見せた時空を超える能力をこのカードが有れば使用出来、歩夢達を助けに行く事が出来る。見えて来た希望に、彼は表情が綻んだ。
「あ……けど、場所は……」
「それなら大丈夫。紗季の持っているジオデバイザーの反応を追えば行ける筈よ。彼女は歩夢ちゃんを助ける為に、あの中に飛び込んだ……きっと一緒にいる。それにウルトラマンゼロも助けに行けるわ」
「え、ゼロも?」
「ええ。きっとコレが、そこまで導いてくれる」
そう言って沙優は陸にウルトラゼロアイを返した。
「よし、なら行くか陸?」
「ああ」
翔琉と陸は駆け出し、再び屋上に着く。それから翔琉はエクスデバイザーを取り出してスイッチを押し変身。
《X UNITED》
「それじゃあ、早速……」
《ULTIMATE ZERO LORD》
《ULTIMATE ZERO ARMOR ACTIVE》
ウルティメイトゼロカードをエクスデバイザーに装填。カードが読み込まれ、エックスの身体にゼロが装着していた鎧・ウルティメイトイージスが纏われた。これがウルティメイトゼロの力を宿したアーマー・ウルトラマンゼロアーマーである。
エックスが陸に手を伸ばすと、彼は光球に包まれてエックスの掌に収まる。
「いくぞ!」
時空の穴が開き、エックスはその中へと飛び込んだ。
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『ぐああっ!?』
マザラス星人シデビルの薙刀の柄がゼロの腹に叩き込まれた。後方に退がるゼロ。彼女は意外にも強く、更に早く陸の元に戻らないとという焦りもありゼロは苦戦を強いられていた。
「喰らいな!!」
『うぅ……何!?』
銃を取り出してそれをゼロに向ける。するとそこから光が放たれ、彼の身体はみるみる縮んでいった。
『なぁ!?何じゃこりゃあ!?』
地球人程のサイズに縮小化した自分の身体を見て驚くゼロ。マザラス星人がこんな力を持っているなんて聞いた事が無い。恐らく彼女も、アイザラの様な武器商人から購入したのだろう。
「ククク……小虫めが、一思いに潰してやろう」
ゼロの方に近付いていくシデビル。逃げようにも、圧倒的な体格差故に難しい。万事休すか……と思った時だった。
「おらァ!」
「何だ!?」
『ダカラソレオレノー』
ゼロアーマーを纏い時空を超えて、ウルトラマンエックスが現れた。エックスはそのままの勢いで、シデビルのことを蹴り飛ばす。彼女は悲鳴を上げながらかなり遠くまでぶっ飛んでいく事になった。
「ん?勢いで蹴っ飛ばしたけどアレ敵だよね?え?ねえ敵?」
『敵だから安心しろ』
「そっか。てか何でアンタ小さいの成長期ならぬ衰退期?」
『んな訳あるか!?』
そんなやり取りをした後、エックスは一度変身を解除し翔琉となる。そしてここまで運んで来た陸と共にゼロの所に来た。
「ゼロ、無事だよな?」
『まあな。俺の心配なんて、二万年早いぜ』
「別に心配はしてねえよ」
『へっ、生意気な』
軽口を叩き合う陸とゼロ。それからは2人が強い絆で結ばれ信頼し合っているという事が伝わってくる。
「はいはい、積もる話は後にしてくれ」
『お前は……』
「俺は天地 翔琉。ウルトラマンエックスだ」
『大地じゃ無いエックス……それに、エックスの意識も無いのか?』
ゼロから見たらこの天地 翔琉という男は何とも妙な存在である。しかし、今はそれを気にしている時では無いだろう。
エックスに蹴り飛ばされたシデビルが薙刀を杖にして立ち上がり、こちらに向かって鋭い眼光を飛ばしていた。
「おのれぇぇ……!!許さんぞおおおお!!」
『チッ……陸!』
「ああ!」
陸とゼロの2人は再び一体化。陸が持っていたウルトラゼロアイに輝きが宿る。翔琉もエクスデバイザーを手に持って彼の隣りに並んだ。そしてそれぞれの変身アイテムを構え起動させる。
「シェア!」
「はああああッ!」
《X UNITED》
2人によるダブル変身。シデビルの前に、ゼロとエックスが堂々たる姿を現した。放たれる鮮烈な光に思わず足を止めてしまったシデビル。その一瞬の隙に、2人のウルトラマンは光線を発射。
「ザナディウム光線!!」
『ワイドゼロショットォ!!』
「しまっ……!?ぎぃやああああああああ!!?」
油断してしまったシデビルは光線に対応する事が出来ず、直撃を受けて粉砕されてしまった。
「うっし」
『それじゃあ次だ。もたもたしてると置いてくぞ!』
「いやアンタ場所分かんねえだろ!?」
ゼロはウルティメイトイージスを纏って空へ飛ぶ。そしてエックスも再度ゼロアーマーを装着して飛んだ。歩夢と紗季……大切な仲間達を救い出す為に、彼らは時空の穴へと迷わずダイブするのであった……。
ゼロアーマー登場!
翔琉と陸の本格的な絡み。彼にはウルトラマンの先輩として翔琉にアドバイスを送ってもらいました。陸っぽさが出せているか不安になりながら書いてましたがどうだったでしょうか?
そして今回登場した怪獣・マザラス星人シデビルはウルトラマンレオに登場したマザラス星人が元ネタです。ゼロを苦戦させるという意外な強豪になりましたが、2大ウルトラマンの光線の前に敢えなく散ることに。
次回は遂にエックス、ゼロvs脱獄ハンターズ!
果たして彼らは脱獄ハンターズを倒し、歩夢達を救う事が出来るのか?次回もぜひお楽しみに!
それでは今回ここまで!
感想、質問、高評価、山形りんご、その他ぜひぜひお待ちしてるんご!