RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
虹ヶ咲アニメ10月スタート!!!
今から待ちきれないですね!!!
そんな嬉しいお知らせを貰った後の回がこれというのもアレですが、かすみん回是非お楽しみ下さい。
それではどうぞんご!!
ずっと可愛いものが好きだった。
可愛い服、可愛い花、可愛い動物、可愛い人。それらに憧れ、自分もそうなりたいと強く願っていた。
そしてある時、彼女はスクールアイドルというものを知る。可愛い衣装を見に纏って歌い踊る姿はとても眩しく、何より可愛かった。可愛さを求める彼女がこんな風になりたいと思うのは当然の流れであった。スクールアイドルに、誰にも負けない可愛さを持つスクールアイドルになる為に、彼女は必死に努力を重ねた。
しかし、ここでまさかの事態が起こる。個々の事情や考え方の違いから活動が上手くいかず、休止状態に追い込まれてしまったのだ。一人、また一人とメンバーが部室から去り、残されたのは彼女だけ。そして遂に同好会には廃部が言い渡された。ずっとなりたかったスクールアイドルにせっかくなれたのに、こんな所で終わりたくない……そう思い部室を必死に部室を守ろうとしてきた彼女だったが、限界は近かった。
ある日、1人の生徒が扉をノックして開き部室に入ってきた。背の高い黒髪の男子生徒。整った顔立ちをした彼の翡翠のつり目と彼女は視線が合った。まさかスクールアイドル同好会が廃部になった後この部室を使うというワンダーフォーゲル部の人間だろうか?部が廃部になるのは月末。なのにもう奪いに来るなんて……取り敢えず彼女は泣き真似をして相手を追い払おうとした。しかしどうやら彼はワンダーフォーゲル部の人じゃないらしい。彼女の泣き真似に慌てた後、彼は柔和な笑顔を向けてから口を開く。
「僕、スクールアイドルを探してたんだ!」
これが中須 かすみと天地 翔琉の初めての出逢いであった……。
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「かすみちゃん、見つかった?」
「ううん……何処にも居ないよ……」
「かけるんも居ないし、ほんと何処行ったんだろ?」
虹学内で、歩夢、愛、せつ菜、果林、エマ、彼方、しずく、璃奈の8人は居なくなったかすみと翔琉のことを探していた。携帯をかけるが繋がらず、教室や向かった筈の購買など思い当たる場所は粗方探し終えたが何処にも2人は見つからない。
「怪獣も居なくなったのに、まだ何処かに隠れているのかしら?」
「でもあの怪獣、何だったでしょう?ウルトラマンと一緒に消えてしまいましたし……」
「何だか不自然な感じでした。それに怪獣とウルトラマンを消したあの黒い何か……少し怖かったです……」
「しずくちゃん、よしよし」
震えるしずくを彼方が撫でる。
「そうだ!私、保健室の方探してみるね。もしかしたら怪我をして運ばれたりしてるかも知れないし」
「分かったわ。じゃあ私達は外の方を探してみましょう」
歩夢は他のメンバーと別れ、翔琉とかすみが無事見つかることを祈りながら保健室に向かう。階段を降りていく歩夢。すると彼女は、とある人物と出会う事になった……。
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翔琉とかすみは生徒会室に廃部を取り消してもらうべく直談判に向かった。そこで部の存続の為に言い渡された条件は部員を10人集めること。抜けてしまった部員達とかすみを合わせても5人なので後5人新規で集めなければならない。それはかなり困難な道であるだろう。
「はぁ……部員を10人だなんて……困りましたぁ……」
「けど、頑張って部員集めないとね!」
落ち込むかすみを励ます翔琉。
「本当に困りました……でも一番困るのはぁ……はぁ……。こんな風に溜め息を吐くかすみんも可愛いってことなんですよねぇ……」
「あ、あはは……」
「むっ、先輩今かすみんのこと変な子だと思いませんでした?」
「そんなことないよ!それに、かすみちゃんみたいに自分に自信を持つこともスクールアイドルには必要なんだって思う。自分を好きでいられないと、他の人から好きになってもらえないもんね」
笑顔でそう言う翔琉に、彼女は思わずきょとんとしてしまう。まさかそんなことを言われるなって思ってもいなかったのだ。
「…………かすみん、そんなこと初めて言われました。先輩変わってますね」
「そ、そうかな?」
「そうですよ!ふふっ、先輩もかすみんも変わり者同士ってことですね!」
「そうだね。じゃあ変わり者同士一緒にがんばろう!」
「おー!」
握った手を上に挙げる2人。部員を集めてスクールアイドル同好会を絶対に存続させる為、かすみ達は改めて気合を入れるのであった。
それから翔琉はまず歩夢を仲間に引き入れ、しずく、愛、璃奈、彼方、エマ、果林、せつ菜を同好会のメンバーにする事に成功した。そして最後に彼自身が入部することで同好会を存続させる事が出来たのだ。
同好会の為に必死に動いてくれた翔琉。そんな彼と一緒に過ごした時間はかすみにとても充実感を感じさせてくれた。自分と共に、そして自分の為にこんなに動いてくれる人がいるなんて彼女には初めてのことだった。
彼の優しさに触れた彼女の胸には熱いものが込み上げてきていた。それが何なのかはまだ彼女には分からないが嫌なものでは無く、寧ろ心地良さを感じさせてくれるものであった。もっと彼と一緒に居たい……彼の心に触れてみたいと思ってしまうは自然な事であったのだろう。
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先程までエックスとゴルメデが戦っていた場所の上空をハヤテが乗るマスケッティαが飛んでいた。
「こちらハヤテ。現場に到着しましたが、エックスとゴルメデは影も形も見当たりません。異常の様なものも一切無いですね……」
《そう……。今博士達に周辺を調べてもらってるけど、こちらも手掛かりは無しね……》
「一体何処に行ったんだ……?」
《地上を涼風と紗季が調査してるから、ハヤテはもう少しだけ調べてみて》
「了解です」
沙優隊長の通信にそう返し、レーダーや周囲の景色に注意しながらハヤテはマスケッティを飛ばす。
そして地上では涼風と紗季の両隊員が突如消え連絡の着かないエックス=翔琉の捜索を行なっていた。ジオデバイザーの機能を使って辺りをスキャニングするが、手掛かりは何も見つからず状態でいる。
「翔琉君、何処に居るんだろう……?」
「解りません。ただ、彼とゴルメデが消えた際の映像を見た限り、何か外的な要因に依るもので間違い無いでしょう。ゴルメデにあの様な能力はありませんし」
「誰かが翔琉君と怪獣を連れ去ったってこと……!?」
「はい。恐らくエックスを狙ってるのかと思われます……。以前のエンペラ星人も、その謎の存在に召喚された可能性が高いかと」
「狙いは翔琉君……」
推測を立てていく涼風。誰かが翔琉を狙っているかも知れかないという事に、紗季は怪訝な表情となる。少し前まで何の変哲の無い普通の高校生だった彼がこの様な事態に巻き込まれてしまったのは自分達に責任があるのかもと考え、彼女は翔琉に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
「翔琉君、無事ならいいけど……」
「とにかく今は捜索を続けましょう。何か手掛かりが見つかるかも知れません」
紗季と涼風は再び翔琉を捜し始めた……。
その捜索されている翔琉=エックスは仰向け大の字で地に倒れ、ダークファウストに踏み付けられていた。果敢にファウストとカオスゴルメデに立ち向かったエックスであったが、やはり体力的に限界だったのと2体が強力だったこともあり叩きのめされる事になってしまった。
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「ぐう……うぅ…………」
強く踏まれ意識が次第に遠退き、景色がぼやける。カラータイマーは更に激しく点滅し身体の力が抜けていく。もう終わりか……彼の脳裏に「死」という文字が浮かび上がってきた。
––––
「があッ!?」
より強い力でファウストは彼を踏み付けた。肺から空気が吐き出され激痛に襲われる。
死ぬ……ここまでか……。
そんな考えに頭を支配されかけた時、彼の瞳にかすみの姿が映った。ここで諦めたら、彼女も死ぬかそれ以上の悲惨な事になるのは明白だろう。それを許す事など……。
「出来るかよおおお……!おらぁ!!」
足を振り上げてファウストを蹴り飛ばす。奴がよろけて足を退けた隙に、彼は残された力全てを振り絞って立ち上がりかすみ目掛けて走り出した。気迫の声と共に彼女に手を伸ばすエックス。
「かすみぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
エックスの身体が強く光輝く。そしてその光はファウストとカオスゴルメデを怯ませ、彼とかすみのことを包み込んだ……––––––
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翔琉が記憶を失う少し前、かすみは翔琉と部室で2人きりになった時があった。練習が終わり着替えてから荷物を置き忘れていたのに気付いた彼女が部室に来た時、翔琉がパソコンを使って作業していたのだ。
「先輩、お疲れ様でーす!何してるんですかー?」
「ん、お疲れ様かすみちゃん。今度のライブで歌う曲の確認してたんだ」
彼女に気付き、ヘッドフォンを取ってから見せて来たパソコンの画面にはメンバーの曲の楽譜が映されている。
「そうなんですね。先輩が作ってくれた曲、とーっても良い曲でした!かすみんの歌詞にぴったりです!」
「あはは!だったら良かったよ!頑張った甲斐があったな」
自分の為に頑張ってくれた。その事がかすみは嬉しくて胸が熱くなってしまう。頬も少し紅潮していた。
「でも、もうすぐライブだって思うと何だかワクワクしてくるな〜。楽しみで今から夜も眠れなくなりそう!」
「いやいやいや。ライブまだ結構先ですからね?今からそんな調子だったら倒れちゃいますよ?」
「あー……それは困るなぁ……。しっかり寝なきゃ!」
翔琉の反応を見て彼女は思わず笑ってしまった。歩夢も言っていたが、こういう何処か抜けているところも彼の魅力なのだろう。
「そういえば、先輩はスクールアイドルやらないんですか?」
「え、ええっ!?僕が!?」
「はい。男性のスクールアイドルって滅多に居ませんし、インパクトあっていいんじゃないかなーって思うんですよ」
彼女が提案してきた事が予想外だったらしく翔琉は少しあたふたとしている。
「それに先輩は……その、か、かっこいいって思います!!だから結構人気もぉ––––」
そこまで言って彼女はあることを考えてしまう。それは翔琉がスクールアイドルになってどんどん人気者になっていき、自分の近くから居なくなるという事だ。彼がスクールアイドルをするのは良いと思うが、遠い存在になるのだけは絶対に嫌だった。彼にはずっと側で自分のことを見てて欲しい……そんな我儘を彼女は思っていた。
「大丈夫だよ」
かすみの想いを察したのか、翔琉は頭に優しく手を置く。
「僕はずっとかすみちゃんやみんなのことを、一番近くで応援するから。それだけは、絶対に約束するよ」
優しく笑う翔琉。
嗚呼……やっぱりこの気持ちはそうなのかとかすみは理解する。誰よりも自分のことを見ててくれるこの人が、翔琉のことが私は好きなのだと……–––––
けれど、もうその先輩は居ない。
自分が恋した先輩は、自分が殺してしまったのだから。
闇の空間の中で、暗く不気味な色の泥の様なモノが彼女の足先から這い上がってきてゆっくりと身体を包んでいく。感覚が次第に失くなっていき、自分が何なのかも段々解らなくなる。
でももうどうでもいい。
早く終わらせてくれ。早く殺してくれ。かすみはもう全てを諦めていた。どうせ私は可愛くないのだから、生きてても仕方ない。大好きな人を殺し、大好きな人に否定された私に意味なんか無い。
もう限界だ…………早く……死なせてくれ。
「かすみぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」
轟いた大きな叫びにかすみはハッとして顔を上げる。
「えっ……?どう、して……?」
この声を忘れる筈が無い。何故ならこれは、誰よりも大好きな人のものだから。見上げた先に見えたのは、こちらに突っ込んで来ながら手を伸ばす翔琉の姿だった。
感想、質問、高評価、その他、山形りんご、是非是非お待ちしてるんご!!
次回「カワイさ無敵級」