RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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虹アニメ最高




21.ワタシ達の輝き

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ……」

 

 

 朝。目を覚ました翔琉は布団から起き上がる。軽く首を回した後、彼は立ち上がってからカーテンを開いた。射し込んでくる朝の日差し、そして目の前に広がるのは内浦の美しく雄大な海。

 

 ホオリンガ騒動の後、翔琉は内浦に暫くの間滞在することを決めた。理由は沼津サマーフェスティバルで行われるAqoursのライブ。それを見れば、同好会のスクールアイドル活動に何か役立てられるかも知れないと考えたからだ。陽花や沙優にそのことを伝えたところ快くOKを出され、何と宿泊費を負担してまでくれた。これまでエックスとして戦って来た事に対するちょっとしたお礼とのこと。母や同好会のメンバーにも連絡を行い内浦に留まるとを伝えた。かすみがぐずったがしずくと璃奈に任せることに。

 

 ホオリンガが居なくなった事で市長に怒られるかとも思ったが、Aqoursのみんなから事情を聞き、怪我人も出ず大きな被害も無かったことから特にお咎めは無かった。寧ろ怪獣が変化した山としてあのホオリンガ山(市長命名)を観光名所にしていくらしい。

 

 

 布団を畳み着替えを終えた時、襖の奥から声が聞こえてきた。返事をすると襖は開けられ、そこに居たのは2人分の朝食の乗せられたお盆を持っている千歌の姿であった。

 

 

「おはよう翔琉君!」

「おはよ」

 

 

 翔琉が今泊まっているのは十千万という旅館。そこは千歌の実家でもある。宿泊する場所を探していた際、千歌に声を掛けられうちに来ないかと言われたのだ。

 

 

「朝ご飯持ってきたから一緒に食べよ!」

「ああ、いいぜ」

 

 

 朝食をテーブルの上に並べる千歌。それから2人は一緒に朝食を食べ始めた。

 

 

「今日は何するんだ?」

「準備はだいたい出来てるから、今日は明日に向けての最終チェックかな。ライブの方も最後にもう一度通しでやりたいし」

 

 

 今回の祭り、Aqoursの皆はライブだけで無く町内案内放送、出店、本部での仕事など祭りの運営に大きく関わっている。それを聞いた時まじかと翔琉は驚いた。しかし千歌達からすれば自分達の町の祭りなのだから自分達の手で作っていくのは当たり前のことらしい。彼女達のその思いに感銘し、翔琉も出来るだけの手伝いを行った。その中で皆と仲良くなり、名前で呼び合う様になった者もいる。ルビィは未だに少し彼のことが怖いらしいが、避けられないだけマシだろう。

 

 

 

 ダイヤと果南は会場の安全チェックを行っていた。当日は迷子や落し物が発生した場合の放送呼び掛け、救護室での対応なども担当するらしい。その様子を翔琉も見せてもらい、怪我人や急病人が出た場合どの様にして迅速に対応していくかを共にシミュレーションしていった。実はXioで救急救命について学ばされていた事もあってか彼の知識はとても役に立ち、いざという時は翔琉も救護班として手伝うことになった。

 

 

 

 鞠莉は他県など遠方から来る観光客の宿泊地の確保。彼女は淡島ホテルのオーナーの娘であり、祭りの間は格安で宿泊出来る様に頼んだとのこと。連絡船も普段より多く運航するそうだ。翔琉もホテルへと連れて行かれたが、その豪華な内装には圧巻させられた。十千万からこちらに来ないかと鞠莉に聞かれたが、その時隣りにいた千歌から抱き付かれて止められたことにより移動することはなかった。

 

 

 

 花丸とルビィは祭りでの放送を担当。この町の歴史、そして今回の目玉でもあるホオリンガのことを放送で伝えるそうだ。彼女達共に原稿を考えようとした……のだが、翔琉がいるとルビィが萎縮してしまうので彼女がいる時は手伝う事は出来ず。彼女も悪気は無いので翔琉は特に何も言わず、時折花丸が見せて来た原稿を見て少しアドバイスをする程度に留まった。そうして陰ながら手伝ってくれてたことを知ったルビィは何とか彼にお礼を伝えようと頑張ってるらしい。

 

 

 

 善子と曜は出店の料理の準備をしていた。2人はAqoursの中でも料理が得意なメンバーである。しかし、善子には一つ問題があり、それは味付けがかなり辛くされてしまうということだ。ハバネロパウダーを容赦無くぶっかけたたこ焼きは凄まじく辛く、翔琉も食べてみたが舌が死ぬかと思ったそうだ。名前もブラッディムーンステックと実に厨二病臭く流石にこれは改良すべきだと言うと渋々了承してくれた。曜は玉子で焼きそばを包んだヨキソバという物を作っていた。以前作った物を改良して今回は魚介たっぷりの作品になっているらしい。食べてみたがこれがまた美味であり沼津サマーフェスティバルの目玉になりそうだ。

 

 

 

 千歌と梨子は沼津サマーフェスティバルで披露する新曲を作成していた。千歌は作詞、梨子は作曲を担当しており、曲も歌詞も既に完成してはいたのだが、千歌は何か物足りなさを感じてるらしい。その事で翔琉も交えて3人で話し合った。何か、何かが足りずしっくり来ないという千歌。翔琉と梨子は歌詞を見せてもらったが文句無しに良いものであり賞賛したが、それでも彼女は頭を抱えている。そんな時、千歌は翔琉に祭りといえば何を連想するかと聞かれた。彼が思い浮かべたのはAqoursの皆がこの祭りの為に力を合わせて準備をしていたこと。Aqours以外にも町の人達が一つとなり協力し合ったことでこの祭りは開催に向けて進んでいる。一人一人の力が重なって大きな力へとなる……この町の人達を見て、彼はそれを強く感じていた。その事を千歌に伝えると、彼女は「それだ!」と何かを閃いた様で歌詞ノートに書き殴り始めた。どうやら悩みは解決したらしい。キラキラと輝く表情でいる千歌を見て、翔琉と梨子は笑い合った。

 

 

 

 

 そんなこんなもあった中、遂に明日は祭りの本番。それに向けての最後の準備を今日は行うのだ。

 

 

 

 

 

 

 

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 駿河湾海上。その上にカタラは立っていた。空を見上げ、その後海を見るカタラ。その顔は笑顔で何かを愉しんでいる様だ。

 そんなカタラの隣りに、突然と現れた者が居た。赤と黒の魔人・ダークファウストである。

 

 

「やあ、来てくれたんだね。嬉しいよ」

 

 

 和かに笑うカタラ。ファウストは特に反応も見せずただ立っているだけだ。

 

 

「じゃあ始めようか。ちょっとした挨拶を」

 

 

 カタラが手を挙げると、天空と海底に穴が空いた。そしてそこから異形の影が現れる。天から来たのは円錐状の機械の様な存在。海から来たのは頭部に鋭刃を備えた怪獣。

 咆哮と駆動音を響かせながら、2つの巨影は内浦に向けて進み出した……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 朝食を終えた2人は浦ノ星女学院の屋上に来ていた。既に他のAqoursの8人が来ている。

 

 

「おっはよー!みんなー!」

「おはようチカ。翔琉も」

「うっす」

 

 

 9人は準備体操とストレッチをし、それを終えてから最後の練習を開始した。その様子を見守る翔琉。記憶を失ってから始めて見るAqoursのライブ……練習とはいえそれに彼は圧巻されてしまった。虹学のみんなのものとはまた違った感動が彼の胸に湧き上がって来る。その眩しさに彼は魅入られていた。

 

 

「すげぇ……」

 

 

 曲の終わりと共にポロリとそんな声が溢れる。大きなミス無く曲を通せた彼女達は互いに喜び合っていた。そしてそれを見てハッとした翔琉は皆にタオルを配っていった。

 

 

「お疲れ、みんな」

「わー!ありがとう、翔琉君!」

「サンキュー!翔琉!」

「このヨハネへの供物……褒めて遣わすはリトルデーモン」

「はいはい。花丸、黒澤にはお前から渡しといてくれ」

「ふふ、了解」

 

 

 渡されたタオルをルビィへと持っていく花丸。受け取ったルビィは少し申し訳なさそうにしながら頭を下げる。

 

 

「翔琉君のアドバイスもあったから、最高の曲に仕上がったよ!本当にありがとね!」

「俺は大した事してねえよ」

 

 

 翔琉は頭を掻いて少しだけ照れた様子。それ見て他の皆が笑っている。

 

 

「あー、そういえば、少し気になったんだが……」

 

 

 露骨に話題を変えようとする翔琉。それに対して千歌は「何?」と可愛らしく首を傾げた。

 

 

「この学校ってさ、廃校になるのか……?」

 

 

 最初にここに来た際に気になっていた校門横に貼られてあった廃校の貼り紙のことについて尋ねた。

 

 

「うん、そうなんだ。この浦女はね、今の1年生が卒業したら廃校になっちゃうんだ」

「なのにスクールアイドルやってるのか?」

 

 

 学校が無くなるというのにスクールアイドルをやるのに意味はあるのだろうか。どれだけその名を広めようと、無くなってしまうのならそんなことをしてもあまり意味は無いんじゃないかと翔琉は思ってしまう。

 

 

「初めてスクールアイドルを見た時ね、凄い感動したんだ!私達と同じ高校生が、こんな風に輝いてるだなんてびっくりした!だから私も、そんな風になりたいって思ったの!輝いてみたいって思ったんだ!」

 

 

 キラキラしながら語る千歌。ただ純粋に輝きたいという想いをひしひしと感じさせられた。

 

 

「それに私達がたくさん輝けば、浦女の名前はみんなの心に残ると思うの!だから私はこの想いをみんなに届けたい!そしてみんなと一緒に輝きたい!例え無くなってしまうとしても……そう思ってスクールアイドルをしてるんだ」

 

 

 みんなで輝いて、その心に浦ノ星女学院を残す。そうすれば浦女は永遠に残り続けると千歌やAqoursの皆は考えていたのだ。

 

 

「そうか……何か良いな、それ」

「でしょ?」

 

 

 笑顔の千歌を見て翔琉も釣られて笑ってしまう。Aqoursが何故こんなに輝いているのか、その理由が少しだけ分かった気がした。

 そんな時、梨子がスマホを持って千歌に近付いて来た。

 

 

「千歌ちゃん、これ……」

「ん?…えっ、台風!?」

 

 

 梨子が千歌に見せたのは、突如発生した台風がこの内浦に向けて接近しているというニュースだ。台風はかなりの出力らしく、その影響で雨雲も接近していた。

 

 

「あと少ししたら大雨になりそうですね……」

「これは切り上げて帰った方がいいかもね」

「えー!?」

 

 

 ダイヤと果南の言う通り、早く帰らなければ豪雨に遭遇することになるだろう。千歌は不満そうだが仕方ない。

 

 

「じゃあ、みんな急いで帰りましょう」

 

 

 鞠莉の言葉に皆「はーい」と応えた。明日の祭りは大丈夫だろうか……そんな不安が皆の胸の中に浮かび上がっていた……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






Aqoursとの絡みはダイジェストになってしまいました。
理由としては一人一人やっているとかなり長くなってしまうからです。かなりやっつけになってしまって申し訳ないです……。

2体の怪獣を呼び出したカタラ。そしてその隣にはファウストの姿が……。
どうなっていくかお楽しみに!

迫る台風、沼津サマーフェスティバルはどうなってしまうのか?
そこにもご注目下さい。

感想、質問、高評価、山形りんご、その他、是非是非お待ちしてるんご!

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