RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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初戦闘回です。果たして翔琉はデマーガにどう立ち向かうのか?
それではどうぞんご





2.始まりのカネ

 

 

 

 

 

 

 

「か、かかかかか怪獣だあああああ!?」

 

 

 虹ヶ咲学園はパニックに陥っていた。突如現れた怪獣が火を放ち、街を破壊しながらながら学校に向かって来ているのだ。

 

 

「どどど、どうしようしず子、りな子!?」

「大きいし、こ、怖い……!?」

「速く逃げないと、こっち来てます!?」

 

 

 慌てるかすみとしずく。想定外の事態に、璃奈も持っていたボードが自然と下がっている。怪獣はどんどん近付いて来る。後十数分もすれば奴はここまで辿り着くだろう。急いで逃げなければ………彼女達は勿論、学校にいる他のみんなもそう思い行動をし始めようとした時だった。光と共に巨人が現れたのは。

 

 

「せっつー、あれ!」

「え、巨人……!?」

 

 

 突然現れた巨人に愛とせつ菜は驚く。

 

 

「すごーい!」

「あれも怪獣なの……?」

「お〜、おっきな人……」

 

 

 エマ、果林、彼方も衝撃を受けている。 虹ヶ咲学園と怪獣の間に立った巨人。その背中を、生徒達は見つめるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Xioの作戦司令室も、モニターに映された巨人を見て驚愕していた。

 

 

「新たに巨人が出現したよー!」

「これってもしかしてー!」

「まさか……!?」

 

 

 オペレーターの2人、そして隊長が反応。隊長の傍らに立つ副隊長も目を見開いており、他の隊員達も驚きの表情を隠せない。

 

 

「ま、まままま、ままままままままさかぁ!?」

「わっ、ちょ!博士ぇ!?」

 

 

 白衣を着た小太りの中年男性がかなり態とらしい口調で驚いている。彼はXioの研究セクション・ラボチームのリーダーで武装やメカニックの開発を行って来た男だ。身体を退け反らせてひっくり返りそうになってる彼を、隣にいたラボチームのメンバーである女性が背後に回って支えた。

 

 

「ミキリ、ミハネ!巨人のスキャニングを急いで!」

 

 

 隊長の指示により、オペレーターである2人の少女・羽人ミキリと羽人ミハネは即座に現れた巨人のスキャニングを開始。

 

 

「全員、指示があるまで待機して。あの巨人、恐らく……」

 

 

 現場にいる隊員達にもそう指示を飛ばす。それから隊長は、巨人のことを見極める様にジッと見つめるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翔琉を心配して走ってきた歩夢。彼女もまた、突如現れた巨人を目撃して驚く事になる。

 

 

「凄い……!」

 

 

 足を止めて茫然とその姿を見上げる歩夢。勇しく、神々しい巨人を見つめていると彼女の胸の奥が速く脈打つのを感じた。巨人の存在に自分は感動しているのだろうか?そう思い胸に手を置こうと伸ばす……。

 

 

「…………そうだ、翔琉君!?」

 

 

 だが今はそんな場合では無い。急いで翔琉を見つけなければ。歩夢は再び彼の名を呼びながら走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アレ……嘘でしょ……?」

 

 

 暗い部屋の中でパソコンに映された巨人の姿を見て、少女は予想外の者の登場に目を見開く。そして同じく映像を見ている黒いナニカも少し驚いた様なリアクションを見せていた。

 

 

《おやおやおや……これはこれは。まさかこの世界にも彼らが居たとは》

「…………どうすんの、これ?」

 

 

 ちょっと不機嫌そうな顔で黒いナニカを少女は見る。

 

 

《なぁに、今日は試運転なのでしょう?なら、先ずはお手並み拝見といこうじゃないか》

 

 

 その言葉を聞いた少女は両足を伸ばして組んだあと机の上に乗せる。

 

 

 

 

 

「そうだね。どれくらい強いか見てあげないとね…………このウルトラマンが」

 

 

 

 

 

 

 

 

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 巨人に変身してしまった翔琉。彼が茫然としているところへ、デマーガは叫びながら突っ込んで来た。それに対して巨人が対応出来る筈も無く、まともに喰らって圧し倒される事になった。

 

 

「うおっ!?ちょ、待て!?」

 

 

 口を開いて牙向け、噛み付こうとするデマーガ。巨人はそれを両手でどうにか抑える。

 

 

「待って待って待って……マジで理解が出来ねぇ……!?ちくしょう!」

 

 

 記憶は無くなる、怪獣は出て来る、巨人になる、訳の分からない状況に彼の頭の中はパニック状態だ。とは言えこのままではやられてしまう……。巨人はヤケ糞気味にデマーガを蹴り剥がした。デマーガは飛ばされて地面に倒れる。

 

 

「ふぅー、頼むから一回落ち着いて……ぐお!?」

 

 

 フラフラしながら立ち上がった巨人。身体に付いた土埃を払っていると、同じく立ち上がったデマーガがすぐ様尻尾を振って叩きつけてきた。巨人は敢なく吹っ飛び、アパートを押し潰しながら倒れた。

 

 

「痛ぇ………いや、意外と、大丈夫っぽい?」

 

 

 ノーダメージとはいかないが思った程では無く、ひとまず起き上がる巨人。すると彼の耳に聞き覚えのある声が聴こえて来た。

 

 

「翔琉くーん!!何処にいるのー!?翔琉くーん!!」

 

 

 それは翔琉の事を探して叫んでいる歩夢のものであった。走り去って姿の見えなくなった彼を心配して大きな声を上げている歩夢。 しかし最悪な事に、それがデマーガの耳にも入ってしまった。デマーガはそのギョロリとした眼で彼女を捕捉。背中が赤く燃え上がり、口に炎が溜まっていく。それを歩夢に向けて放つつもりなのだ。歩夢もその事に気付いた。逃げようとするが、巨大な怪獣から敵意を向けられた事による恐怖で足が竦んでしまう。 そして容赦無く、火炎弾が歩夢に向けて放たれた…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!?………………あれ?」

 

 

 思わず目を閉じた歩夢。しかし火炎弾が彼女を襲う事は無かった。目を開けてみるとそこには、自分の前で膝立ちをしていて火炎弾を受けた巨人の姿があった。

 

 

「私を……助けてくれたの……?」

 

 

 巨人は一度歩夢の方を見た後立ち上がる。 理解不能な状況ではあるが、この力があれば彼女を護り、怪獣と戦えるというのは分かった。ならばやるべき事は一つ。胸の水晶が輝きを放ち、巨人は気迫の声と共にデマーガへと駆け出した。

 

 

 勢いを付けたジャンプキックがデマーガの腹に直撃。奴は苦悶の叫びを上げて後退していく。そこへ巨人は間髪入れず接近して打撃を連続で打ち込んでいった。フック、ボディブロー、チョップ、そして回し蹴り。戦い方は何故か脳裏に浮かんできて分かる。絶え間無くデマーガを攻め立て反撃の隙を許さない。

 

 

 怪獣と戦う巨人の姿を見て、多くの人々が驚いていた。我々の事を守るかの様に戦っている謎の巨人。その姿はまるで正義のヒーローの様に見えた。 そして見ている人の中には、巨人のことを応援し始める人も現れてきている。

 

 

「一気にいくぜ……おわっ!?」

 

 

 デマーガもやられっぱなしでは無い。一瞬の隙を突いて爪を振るい巨人を攻撃。その胸に傷を付けた。更にお返しとばかりに火炎弾を放とうとする。…………だが、それはXioの戦闘機2機が放ったビーム砲にによって事前に阻止されてしまった。戦闘機は見事な軌道でデマーガの周りを飛んで攪拌しながら攻撃を続けていく。それはまるで巨人を援護しているかの様。実は、彼が歩夢を助けた場面を見たXio隊長が援護する様に指示したのだ。

 

 

「こりゃ助かる!」

 

 

 後方に側転してデマーガとの距離を開く巨人。そして彼は拳を握った右腕を横に振る。

 

 

「決める……!」

 

 

 胸の水晶が輝き、それから両腕を左へと振りかぶって同時に右脚を軸にして左脚を回す様に地面を抉りながら踏ん張る。その際、足の裏からエネルギーの余波が地面や周囲の建物に放射されていく。振りかぶった両腕を、巨人は胸の前でX字にクロスさせた。

 

 

「ザナディウム光線!!」

 

 

 クロスさせた腕から光線が放たれた。光線はデマーガに直撃。奴の叫びと共に大爆発が起こり、デマーガの姿は消失する。その時、直撃した際に拡がった光が圧縮されていった。

 撃破された怪獣。それを見て、多くの人々が歓声を上げた。

 

 

「終わっ……た……」

 

 

 戦いが終わり、巨人=翔琉は深く息を吐く。するとその身体は光り、彼もまた消失するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 巨人……ウルトラマンとデマーガの戦いを見ていた少女。デマーガが敗れ、ウルトラマンが勝利したのを目撃し、彼女の顔は不機嫌なものになっていた。

 

 

《負けてしまったねぇ》

「うっさい」

 

 

 脱いだ靴下をパソコンに投げ付ける。

 

 

《まあまあ、そう怒らないでくれ。……これから面白くなってきそうじゃないか》

 

 

 その言葉を聞いた少女はそっぽを向いて椅子から立ち上がり部屋の電気を点ける。部屋にあるガラスケースの中には幾つもの怪獣のフィギュア、そして怪獣や宇宙人が描かれたカプセルの様な物が並べられている。足元には色んな物が散乱しており、ハッキリ言って異様な雰囲気が漂っていた。

 

 

「まあいいよ。どうせ次で勝つから」

《ほう……何かするのかい?》

「もちろん。あんなの邪魔だし、早いとこ殺しとかないと」

 

 

 くすっと笑った少女は、その笑顔のまま黒いナニカに問い掛ける……。

 

 

 

 

 

 

 

 

「手伝ってくれるよね…………ルギエル?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 翔琉は呆然としたまま膝を付いていた。巨人となって戦い怪獣を倒した–––––実感が湧かないが紛れも無く事実である。何も覚えていない筈の脳に流れてくる怒涛の情報量にパニックを起こしそうになる。そこへ、彼を探していた歩夢が現れて駆け寄って来た。

 

 

「翔琉君!?大丈夫!?もしかして、何処か怪我したの!?」

 

 

 彼の肩を歩夢が揺さぶった。それに対して翔琉は「いや……」と少し歯切れの悪い返事をしてからゆっくり立ち上がる。

 

 

「本当?本当に大丈夫なの?」

「ああ……」

「良かったぁ……。さっきの、何だったんだろうね……?」

 

 

 2人は先程まで巨人と怪獣が戦っていた場所を見つめる。

 

 

「さあな。俺の記憶と一緒で一切不明だ……」

「私のことを助けてくれたんだけど……味方、何だよね?」

「…………だと良いがな」

 

 

 ポケットの中にあるデバイスに上から軽く触れる。この力は何なのか?自分は何故巨人に馴れたのか?何もかもが解らない。翔琉にとって記憶同様、正に未知=Xと言えるものであった。

 

 

「X……」

「えっ?」

「あの巨人……X(エックス)だ」

 

 

 ポツリと翔琉は呟いた。 それと同時に鐘の音が鳴り響く。それはまるで、これから始まる彼の戦いの日々の幕開けを告げているかの様であった……––––––––

 

 

 

 

 

 

 

 






皆さんお気付きだろですけど、本作にはSSSS.GRIDMAN要素があるんご。そして謎の少女がかなりヤバい名前を出してるけど………どうなっていくのか、是非お楽しみにしてほしいんご。

では、感想、質問、高評価、その他、是非お待ちしてるんご


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