RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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36.ワタシの知らないアナタ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼とは物心ついた時からずっと一緒だった。

 

 

 

 同じ日に産まれ、まるで家族の様に日々を過ごして来た。嬉しい時、楽しい時、悲しい時、辛い時、どんな時でも彼と一緒。

 

 

 

 幼い頃は偶に喧嘩しちゃうこともあったけどすぐに仲直り。また一緒に手を繋いで遊ぶ、そんな掛け替えの無い大切な人。

 

 

 

 気が付けば私よりも背は大きく伸びて、身体もしっかりとして来て、男の子から男の人に成長していった。顔立ちも整っていて、少し吊り目なこともあってか怖いと誤解されることもしばしば。けど中身は変わらず人懐っこく優しいままで、まるで大型犬みたいだなんて周りからは言われている。

 

 

 

 小学校でも、中学校でも、高校でも。私達はお互いのことを誰よりも知っている最高の幼馴染だった。誰よりも信頼していて、大好きな幼馴染だった。いつも「歩夢ちゃん」って優しく元気な声で私のことを呼ぶその声色が凄く好きで、私も貴方の名前を何度も呼んだ。

 

 これからも、そんな彼との生活がずっと続いていくと信じていたしその筈だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前ら、誰だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 けど、そんな生活はあの日呆気なく消え去ったんだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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《X UNITED》

 

 

 翔琉はエックスにへと変身。光と共に怪獣の前に着地して構える。眼前の怪獣は顔を歪ませて鋭い眼光を彼に飛ばして吼えた。

 

 ジリジリと間合いを詰めながら睨み合う2体。先に動いたのはエックスで一瞬遅れて怪獣も動く。怪獣は爪を振り下ろすがエックスはそれを左腕で受け止めてから怪獣の腹部に右拳を連続で叩き込んだ。そして続けて顔面に拳を打ち込み、怪獣のことを数歩後退させる。

 

 しかし退がった怪獣は然程ダメージを感じて無いのか、すぐ様牙を剥いてエックスに噛み付こうと跳んだ。横に跳んで転がりそれを躱したエックスであったが、怪獣は皮膜を広げて飛び彼を追撃。振り返ったエックスの胸に突撃して吹き飛ばしてしまう。彼は後方へ飛んで建物を潰しながら倒れてしまった。

 

 

「ぐっ……!?意外と強いなコイツ……!」

《その怪獣はバラン。日本で6体目に確認された確認された怪獣の同種です》

「かなり昔から出てた怪獣ってことっすかね?」

《今から60年くらい前に出たのが最初の種っすね。バランは陸上、水中、空中、何処でも自在に動けることから大怪獣の別名を与えられてるくらいっす。オマケに外皮は柔軟性が高く尚且つ頑丈。頭から尾にかけて生えてる棘には猛毒が含まれてます。岩手県の北上川上流の泉に生息していたのが最初の個体で、付近の岩屋部落では婆羅蛇魏山神として神格を────》

「陽花さんうんちくは後にして下さい……よッ!?」

 

 

 怪獣バランが両手の爪を向けてエックスに跳び掛かる。彼はバランの両手首を掴んで何とか防いだ。

 

 

《すぐに静原さん、霧山さん、新城野さんがマスケッティで駆け付けます。それまで持ち堪えて下さい》

《バランは極稀に熱線や光弾を放つ個体もいるので注意して下さいね!》

「了解……!けど、着く前に倒しちまっても……良いっすよ……ねッ!」

 

 

 掴んだバランを振り回して投げ飛ばす。地面に叩き付けられ砂煙に包まれたバランに対して、エックスは追撃を仕掛ける為に走り出した。

 するとバランは、煙の中から勢い良く飛び出してエックスへと急接近。その突進を彼はどうにか身体を仰け反らせて躱す……しかし、バランの尻尾がエックスの腕に巻き付き、奴は彼をそのまま持ち上げて飛んでしまった。

 

 

「うわっ!?ちょ、野郎……ぐあッ!?」

 

 

 慌てるエックスだが、バランはお構い無しにどんどんスピードを上げる。そこまで高くない高度で飛んでいる為、エックスの身体は容赦無く建物にぶつけられていく。

 そしてバランは更に進んだ後に急旋回し、エックスを高層ビルにへと叩き付けてしまった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 背後から響く轟音に歩夢は足を止めて振り返る。

 

 

「翔琉君……!」

 

 

 同好会の皆の説得を受けて渋々翔琉の後を追わずに逃げる事を了承した彼女であったが、聴こえて来た轟音は彼女にまた翔琉を探しに向かわせるには充分な要素であった。翔琉が向かった場所、つまりは怪獣とウルトラマンが戦ってる方向へ走り出そうとする歩夢。その腕を愛が掴んで止めた。

 

 

「ちょ、何やってんの歩夢!?」

「離して!翔琉君が……翔琉君が!」

 

 

 崩れたビルの下敷きになってるかも知れない。怪獣に踏み潰されてるかも知れない。舞い荒れる土煙が彼女の不安をより掻き立てていく。

 

 

「大丈夫ですよ!」

 

 

 かすみが歩夢の前に立った。

 

 

「翔琉先輩ならきっと大丈夫です!信じましょう!」

 

 

 

 

 信じる────真っ直ぐな瞳で放たれた彼女のその言葉に歩夢は何も言えなくなった。かすみだけじゃなく愛も、そして他のみんなも翔琉は大丈夫だと信じて怪獣から逃げている。それをやらない自分は、まるで彼のことを信じていない様だ。自分は幼馴染なのに……この中の誰よりも、彼の近くに長い時間一緒に居た筈なのに。

 

 

「とにかく行きましょう!」

 

 

 果林の言葉を受けて彼女達は再び走り出す。歩夢は愛とかすみに手を引かれながら走る。

 

 

 何で?どうして?私は彼の「大丈夫」を信じられなくなっているのだろうか?何で私よりも、かすみや愛の方が彼の信用しているのだろうか?何でこんな嫌な感情が湧いて来るのだろうか?

 

 

 

 歩夢には何も解らなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 崩れ落ちていく高層ビルの瓦礫に呑まれたエックスを、別のビルの中から明里は楽しそうに見ていた。実はバランは明里がスパークドールズから実体化させた怪獣であり、これまで溜まったストレスの発散の為に暴れさせているのだ。

 

 

「ふふっ、不様だなぁ……おや?」

 

 

 3機のスカイマスケッティが現れてバランへ攻撃を始めた。しかし奴の外皮はその攻撃を弾いており、それを見て明里は気分が良くなって来る。

 

 

《おやおやおやおや、なかなか強いじゃないかあの怪獣》

「うん。適当に持って来たけど、どうやら当たりだったみたいだね」

 

 

 熱線の様なものは出せないみたいだがフィジカルは高い。これはこのままエックスを倒せるんじゃないだろうか……なんて思っていた時、瓦礫の山の中からエックスが飛び出した。

 彼は少しフラつきながらもバランへと向かっていく。取っ組み合いになる2体。その際、足下の自動車などが踏み潰されることで爆発が起こる。

 

 

「いけ、やっちゃえ!」

 

 

 明里は楽しそうにバランを応援。バランもそれに応える様に次第にエックスのことを押していく。一気に倒して、その喉元を喰い千切ってしまえ!そう彼女は思ったが……。

 

 

「………は?」

 

 

 何とエックスは倒れる際に足をバランの腹部に当て、その勢いと足のバネを利用して奴のことを後方に蹴り飛ばしてしまった。

 予想外の反撃に驚きながら背中を地面に叩き付けられるバラン。それを見て一気に不愉快となる明里。

 

 

《ふむぅー、やはり一筋縄ではいかないねぇ》

「………」

 

 

 強い殺意の目線をエックスへと飛ばす。彼女の右手にはあの黒いアイテムが握られていた。

 

 

《やるのかい?》

「………もういい」

 

 

 強固な外皮を持つバランに、身体を叩き付けられる衝撃はかなりのダメージになったらしく苦しそうな鳴き声を上げている。それを見てもう見切りをつけてしまったのだろうか、明里は踵を返して去っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 地面で苦しんでいたバランだったが、どうにか体勢を立て直しエックスに吼える。エックスも身体に付着した砂埃を叩きながら立って構えた。

 

 

「こいつ、なんか良い感じの弱点とか無いのかよ……」

 

 

 エックスがそうボヤく。いまいち決定打を与えられずにいるのがもどかしいのだろう。

 

 

《ありますよ、弱点》

「は?」

《バランは発光する物を飲み込む習性があるっす。初めて出て来た個体はそれを利用して特殊火薬を照明弾ごと飲み込ませて倒してます!》

「……陽花さん、それ最初に言って」

《あっ……面目無いっす……》

 

 

 何はともあれ弱点は分かった。ならやる事は一つ。それを利用してバランを倒すだけだ。

 

 皮膜を拡げてエックスへと飛んで来るバラン。彼はそれに向かって強く輝くエネルギー光球を放った。バランは案の定、それを飲み込んでしまう。そのまま突撃して来るバランであったが、体内に入ったエネルギー光球が爆発し身体を墜落させた。

 倒すなら正に今。エックスは腕を振って、更に身体を大きく振り被り……。

 

 

「ザナディウム光線!」

 

 

 両腕をクロスして必殺光線を放った。それは見事にバランに炸裂し、奴は爆発の中でスパークドールズにへと圧縮される。それを見届けたエックスは空へと飛び上がり去っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 怪獣が倒されウルトラマンが去った後、街にはパトカーや救急車、消防車のサイレンが鳴り渡る。その中で歩夢は翔琉のことを必死に探し回っていた。同好会メンバーも彼女の後に続いて来る。

 

 

「歩夢、落ち着きなさい!」

「歩夢さん!」

 

 

 周りから止める声がするが彼女の耳には入らない。ただ翔琉の無事を祈り、早く見つけなければという想いで一杯一杯なのだ。

 足を縺れることもありながらも走る歩夢。すると……

 

 

「おーーーいっ!!」

 

 

 こちらの方に向かって手を振り、時折りジャンプしながら走ってくる翔琉の姿が見えて来た。

 

 

「かけるん!」

「翔琉先輩!」

「翔琉さん!」

「翔琉!」

 

 

「翔琉君……!」

 

 

 皆が翔琉の方へ向かう。けど、歩夢だけは何故かそこに行けなかった。見たところ大きな怪我は無い様で彼が無事なのはとても嬉しいが、胸に妙なシコりが出来たかの様で足が重く動けない。

 楽しそうな会話している翔琉と彼女達。これまで見た事の無い表情、仕草、言葉使い。それが歩夢の頭の中を少しずつ掻き混ぜていく。

 

 

「お、どーした歩夢?こっち来いよー!」

 

 

 

 歩夢……。「歩夢ちゃん」では無くて「歩夢」。たったそれだけでも突き刺さるソレを悟られない様に、必死に笑顔を作りながら彼女も翔琉の方に重い足をどうにか動かしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 仕方ないと割り切ってはいた。あの子は記憶を失ったのだから、それは当然の事だと受け入れていた。でも……それでも突き付けられるその事実が私をだんだんとおかしくしていくみたい。

 

 辛いのは私じゃなくてあの子だ。だからこんな事思っちゃいけないのに、考えちゃいけないのに。

 

 でも、どうしても考えてしまうんだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私の知らない、貴方がいる事を────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







映画「大怪獣バラン」よりバラン登場!
バランは東映怪獣であり、ゴジラシリーズにも登場したことがあります。扱いは不遇というか雑というか……気になる方は調べて下さい。
因みに小説版ではなかなか優遇されてます。

記憶を失った翔琉が自分の知っている今までの翔琉とは違うことを改めて突き付けられてしまった歩夢。果たして彼女はどうなるのか…?

少し不安要素を残しながらも物語は続いていきます。


さて!次回からは皆さんお待たせしました、蒼人様の「メビライブ!サンシャイン!!~無限の輝き~」とのコラボ回となります!
本当は1月中にやりたかったのですが間に合わず申し訳ありませんでした()

その分、皆さんに楽しんで頂けるものを目指すので是非お楽しみに!


感想、質問、高評価、ここすき、その為、是非是非お待ちしています!


次回、「ウルトラマンの襲撃」
メビライブコラボ始動!




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