RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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メビライブコラボ2話目!
さっそくどうぞ!!


38.奇妙なユガミ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大きく広がる部屋。どうやら何かの施設らしい。そこには数人に異星人が居た。異星人達は様々な機会を操作して何かを行なっているみたいだ。

 

 奥の方にリーダー格と思われる2本の角が生えてマントを羽織った異星人がおり、そいつは大きなモニターに映し出された映像を見詰めている。

 

 

「来たか……」

 

 

 彼が見る映像に映されていたのは内浦の空にぽっかり開いた穴から落ちて来る翔琉の姿。

 

 

「まずは第一段階だな。お次は……」

 

 

 後ろを振り向くと、そこには3人の少年少女がいた。彼らは愉しそうに口角を上げている。そして更にもう1人、歩いて来る者の姿が……。

 

 

「やあ、ギロ星人カゼブ。計画は順調かい?」

「フンッ、貴様か」

 

 

 その者はカタラ。カタラはにこにこと笑みを浮かべている。

 

 

「それにしても、君達の技術はなかなかだね。話を持ち掛けてみて良かったよ」

「我々からすれば、これくらい当然の事だ」

「なるほどねぇ〜。なら、心配は要らないかな?」

「当たり前だ」

 

 

 カゼブはカタラのことを射殺す様な目で睨んだ。

 

 

「データを、そしてあの細胞(・・・・)を提供してくれた事は感謝しよう。しかし、貴様は気味が悪い」

「酷いなぁー。みんなそう言ってボクのこと遠ざけるんだよぉ」

 

 

 落ち込んだ様な仕草をするカタラを無視してカゼブは少年少女に目を向ける。

 

 

「行け……お前達の手で、ウルトラマン共を自滅させてしまうのだ!」

 

 

 その号令を受けた3人は頭を下げた後、踵を返して歩く。翔琉、未来、ステラ。命令を果たす為に動き出した3人のことを、カタラは手をひらひらと振って見送るのだった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「何だったんだろうな、あのウルトラマンXって奴?」

 

 

 学校からの帰り道で未来はそう呟いた。一緒に下校してるのはステラ、そしてスクールアイドルAqoursのメンバーである高海 千歌と渡辺 曜、桜内 梨子の4人。更に未来とステラの中にはメビウスとヒカリがそれぞれいる。

 

 ジャシュラインとの戦い、そしてウルトラマンXの襲来から一週間の時が流れた。この星の生物、そして星そのものと同化しようとした植物生命体や円盤に変形する謎の怪獣などが現れて戦い、彼らは勝利した。しかしあのウルトラマンXはあれだけ派手な事をして置きながら未だに現れていない。

 

 

《分からん。光の国にウルトラサインを送りその返事も来たが、やはりXという名のウルトラマンに関する情報は無かった》

「皇帝の仲間である可能性は?」

《それも考えてはいるけど、可能性は低いかもね。彼からは闇の力は感じられなかったし》

「ウルトラマンが敵だなんて……やっぱり嫌な気分になっちゃうね」

 

 

 千歌の言葉にみんなの表情が少し曇る。6年程前、宇宙より飛来した宇宙斬鉄怪獣から人々を守り撃破した英雄、それこそがウルトラマンなのだ。そして現在、新たに現れたメビウスとヒカリも地球を守る為に戦ってくれており、人類にとってウルトラマンとは守り神的存在になっている。だが千歌達はウルトラマンは神などでは無く、遠い星から来た友人であると考えていて、そのウルトラマン同士が戦うというのは何処か心苦しく感じているのだ。

 

 

「まあ、向こうが襲って来る以上は仕方ないでしょ。こっちだってやられる訳にはいかないし」

《君達の我々を想う気持ちは嬉しいが、分かってくれ》

 

 

 そう言われたら何も言えない。しょんぼりとする千歌の肩に梨子と曜が手を置き笑い掛ける。

 

 

「千歌ちゃん、そんなに落ち込まないで」

「そうだよ、千歌ちゃん」

「うん……そうだね」

 

 

 彼女も笑うが、少しだけ無理をしている様にも見える。こんな状況を作り出す原因となったウルトラマンXに対して、未来は静かに怒りを燃やすのであった。

 

 

 

 

 

 

 暫く歩いていると人集りが見えた。そして数台のパトカーがあり、どうやら警察が現場検証を行っている様だ。何かあったのかと思い近付いていく未来達。すると人集りの中に見知った人達の姿が。

 

 

「果南さんに鞠莉さん、ダイヤさんまで」

「あ、未来」

 

 

 Aqoursの三年生メンバーである果南、鞠莉、ダイヤの3人だ。

 

 

「何かあったの?」

「うん、実は……」

「未来君、あそこって!?」

「ああ、メトロン星人が住んでたアパートだ」

 

 

 刑事達が調べているのは、以前未来が曜と共に訪れたメトロン星人が住んでいた廃屋となっているアパート。

 

 メトロン星人は10年前からこの内浦で静かに暮らしていた宇宙人で、人間に擬態し「眼兎」という偽名を使っていた。果南のダイビングショップの常連でもあり、地球をそして地球人を愛してくれた心優しい宇宙人であった。そんな彼が住んでいたアパートに今こうして警察が来ている……もしや彼が何かを残していってしまい、それが原因で調べられているのだろうか?

 

 

「あのアパートに何かが落下して来たみたいなんですの」

「何かって?」

「それに関してはI don't knowデース」

 

 

 どうやらメトロン星人は関係無いらしく未来と曜は胸を撫で下ろす。

 

 老朽化で屋根が落ちた、鳥が何かを落とした、隕石が落ちたてきた、宇宙人が来た、等々周囲の野次馬がいろいろな憶測を飛ばしている。未来達も何だろうなと考えていた時、メビウスとヒカリが彼らの中でじっとアパートの方を見つめていた。

 

 

《未来君、ちょっといい?》

《ステラも》

「ん、どうしたんだ?」

 

 

 彼らに声を掛けられた未来とステラは人集りを離れていき、千歌達もその後に続く。

 

 

《あのアパートから、何か強い力を感じるんだ》

「強い力?」

《ああ。直接確かめなくては詳しい事は分からないが、何かがある事は間違いない》

《何とかそれを確認出来ないかな?》

「いや、無理だろ……」

 

 

 アパートは複数人の刑事が調べており、隠れながら中に入るのはまず不可能。だが捜査が終わった後ではその何かを警察に持って行かれてしまうかも知れない。どうしたものかと悩んでいた時……。

 

 

「私に考えがあるわ」

 

 

 そう言ったのはステラだ。

 

 

「ヒカリ、手伝ってもらうわよ」

《あ、ああ、構わないが》

「何するつもりなの?」

 

 

 千歌の問い掛けに彼女は笑みを見せた後、何処かへと歩いていった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「寒っ……え、何この寒さ?てか何で内浦?」

 

 

 メビウスとヒカリを追って空間の穴に飛び込んだ翔琉は、どういう訳か内浦に来ていた。季節は夏の筈なのに何故か寒く、半袖では結構辛い。携帯やエクスデバイザーで同好会やXioのメンバーと連絡を取ろうとしたが一切通じず、それどころか携帯は碌に機能もしていないという有様。

 

 とりあえず歩いて周囲を探索していく翔琉。そうやっていると、彼はある所に辿り着いた。

 

 

「お、浦女じゃん」

 

 

 丁度この前、任務で内浦に訪れた際、そこで出会ったAqoursの千歌に連れられて入った浦ノ星女学院だ。あそこに行けば、もしかしたらAqoursの皆に会えるかも知れない。そう考えた翔琉は足を学院へと運んでいく。

 

 どうやら下校時間らしく、向かっていく際、帰路につく生徒達とスレ違う。しかしその中で何か違和感を彼は感じていた。

 

 

「んー……んっ?」

 

 

 唸りながら一先ず校門前に着いた翔琉。そしてまた新たな違和感に気付く。

 

 

「浦ノ星学院?」

 

 

 校門の表札にはそう書かれていたのだ。彼の記憶が正しければ浦ノ星は女学院だった筈。先程から感じてた違和感の正体は、制服を着た男子が居たことだった。

 

 

「浦女って女子校だったよな……?どういう事だ?」

 

 

 記憶喪失ではあるがそんな少し前の記憶までは失っていない。何がどうなっているのか訳が分からず頭を掻いていると、彼の目にあるものが映った。

 

 

「あれ……津島達じゃねえか」

 

 

 それはAqoursに所属している一年生の善子、花丸、ルビィの3人である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 数分後、ステラは再び未来達の前に出て来た。のだが……。

 

 

「えっ」

「おーっ!」

「わあ!」

「え、えぇ!?」

「WAO!」

「それって……」

「これは……」

 

 

 水色のシャツに膝丈のタイトスカート。所謂、女性警察官の姿をステラがそこには立っていた。

 

 

「お、お前それ……」

「行って来るわ」

 

 

 スタスタと歩いてアパートの方に向かうステラ。そして彼女は立ち入り禁止のテープの前に立っている刑事の所に行く。

 

 

「いや、あんなコスプレじゃ無理でしょ……」

「そうですわね……」

「いいなぁー、あの制服!」

「曜ちゃん……」

 

 

 未来達は彼女の様子をコソコソと見守る。

 

 

「むっ、君は……」

「応援に来ました」

「…………そうか、入りたまえ」

 

 

 刑事はステラのことをあっさりと中に通した。

 

 

「え、どうして?」

「あー……そういうことか……」

「そういうことって、何が?」

 

 

 頭を抱える未来。

 七星 ステラ。彼女は地球人では無くノイド星人という地球人に良く似た宇宙人なのだ。とある事情からヒカリと一体化した彼女はこの星に滞在する為に、浦ノ星学院の教師に催眠を掛けて入学。学院の制服をヒカリに作って貰っている。今回もヒカリが制服を作り、催眠を掛けた事で堂々と入って行けたのだろう。

 

 

「今度から衣装、ヒカリに頼もうか?」

「やめとけ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 アパート内に入ったステラ。ヒカリに頼み、他の刑事達には催眠を掛けて外に出てもらった。何かが落ちて来て穴の空いた床、そして天井にも大きな穴が空いており、そこそこの……少なくとも人間大くらいの物によって作られたのだろうと予測出来た。

 

 そんな事よりも、と彼女は辺りを見回す。すると床に空いた穴から少し離れた場所に、1枚のカードが落ちているのを見つけた。

 

 

「これは……?」

 

 

 落ちてたそのカードをステラは拾う。それには怪獣が描かれており、英語で「CYBER GOMORA」と表記されていた。

 

 

「サイバー、ゴモラ?ゴモラって、前にカノンで戦った怪獣よね?」

《あの時は傀儡の様なものだったがな。このカードからは怪獣の力を感じる。ゴモラの力が込められた物と考えて間違いないだろう》

「こんな物、一体誰が?」

《詳しく調べてみない事には何とも言えないが、少なくとも今のこの星の技術力ではこれを作り出す事は出来ない筈だ》

 

 

 「なるほど」と呟いてからステラは改めてカードを見る。以前戦ったゴモラに似てはいるが、これからはかなりメカニカルな印象をを受け、そして何よりも気になっている所があった。

 

 

「X……」

 

 

 ゴモラの胸に描かれた「X」の文字。偶然か、それとも……。一先ず考えるのは後にし、彼女はカードをポケットに入れてから部屋を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ステラちゃん!」

 

 

 戻って来たステラの所に千歌達が駆け寄る。

 

 

「うわぁー!凄いねその制服!ねえ、見せて!?」

「え、ええ、構わないけど……」

「これヒカリが作ったんでしょ?凄いなぁー!」

《そ、そうか?》

 

 

 曜に褒められてヒカリは少し喜んでいる様子。

 一方、未来はじっとステラのことを見つめていた。

 

 

「な、何よ?どうかしたの……?」

 

 

 少しだけ頬を赤く染めるステラ。そんな彼女のことを見て、未来はにっこりと笑い……。

 

 

「いや、お前それ全然似合わないなって!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 容赦無い拳が、彼の腹に叩き込まれるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 善子、花丸、ルビィの3人は学校を終えて一緒に下校していた。今日はAqoursの練習は休みだし、せっかくなので3人で何処かに行く事にしたのだ。そして彼女達が着いたのは松月という和菓子・洋菓子店。そのイートインスペースに座り、購入した菓子類を食べている。

 

 

「ん〜〜〜っ!美味ずらぁ〜〜!」

「それこの前も食べたでしょ?」

「美味しい物は何度でも食べたくなる物ずらっ」

「花丸ちゃん、こっちも美味しいよ!」

 

 

 和気藹々としている3人。美少女達が楽しくお喋りしている光景は眼福だろう。

 だがそこに、1人の男が乱入して来た。

 

 

「おーすっ!久しぶりだなぁ3人とも!」

 

 

 急に現れて馴れ馴れしく話し掛け、空いていた善子の隣りに座った男。何処かの学校の制服姿なのだが、真冬なのに半袖というおかしな格好をしている。彼のことを見て彼女達は驚き呆気に取られ、ルビィは少し青ざめている。

 

 

「ん?どした?え、何その反応?」

「ア、アンタ誰よ!?」

 

 

 善子が勇気を振り絞って男にそう聞いた。

 

 

「いや、誰って俺だよ。翔琉だよ」

「し、知らないわよアンタなんか!!」

「そ、そそそ、そうずら!」

「う、うゆっ!」

 

 

 男・翔琉に対してビビりながらも彼女達は声を上げる。馴れ馴れしく話して来るが、3人共こんな男の事は全く知らない。

 

 

「え、何それ、酷く無い?一緒にホオリンガとかサマーフェスティバルの為に頑張った仲じゃん。なあ、花丸?」

「ほ、ほお、りんが……!?何のことずら?」

「そ、そそ、そそそんなのし、しし知らないですっ!」

 

 

 どうも話が噛み合わない。3人は翔琉のことなど知らないのだが、彼は3人を知ってる様子。

 

 

「あ、わかったわ!アンタ、ナンパでしょ!ヨハネ達がAqoursだってのを知っててそれで近付いたのね!」

 

 

 ビシッと指差してそう決めるが、翔琉は何言ってるんだコイツとでも言いたげな表情をしていた。

 

 

「いや、あのな。流石に令和にもなってこんな古典的なナンパする訳無いだろ?」

「れい……わ?それって何ずら?」

 

 

 令和という聞いた事の無い単語が引っ掛かる

 

 

「いや、元号だよ元号。平成終わって令和になっただろ」

「は?平成はまだ終わってないわよ」

「いやいやいや、終わったじゃん。そんで今年日本でオリンピックあるやん」

「オ、オリンピックは来年だし、日本はその次ですよ……?」

「……は?」

 

 

 何かおかしいと翔琉も3人も口を止めて少し考え込む。そして翔琉は立ち上がり、店内に置いてあった雑誌を適当に取った。そしてそれが出版された年を見る。

 

 

「なあ……これって最新号か?」

「そ、そうよ?」

「嘘だろオイ……」

 

 

 翔琉は雑誌を戻し、ある事実を確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここ、5年前じゃねえか……!?」

 

 

 雑誌に書かれていた西暦は5年前のもの。これが最新の物だとすると、翔琉が今いるのは5年前の過去の内浦ということになる。

 しかし、なら何故善子達Aqoursが居るのか?ここが過去だとするとAqoursは無く、善子達も小学生の筈だ。何かおかしい。奇妙なズレが感じられる。そこで彼はある考えに至った。

 

 

「まさか、別の宇宙……陸達の所なのか?」

 

 

 この内浦が並行宇宙であるという事。それならこの時間のズレも納得出来る。そしてここは以前翔琉の居る宇宙に来た陸とゼロのいる場所ではないかとも考えた。彼はAqoursと共に居ると言っていたのでその可能性は高いだろう。

 

 

「お前ら、陸ってやつ分かるか?それかゼロってウルトラマン」

「陸?ゼロ?」

「知らない、です……」

「大体、内浦にいるウルトラマンは───」

 

 

 善子の言葉を遮る様に、カランコロンと扉の開く音がする。扉の方に目を向けると、そこには2人の男女が居た。

 

 

「未来君、ステラちゃん!」

 

 

 そこに居たのは未来とステラ。彼らは鋭い目で、翔琉のことを睨んでいる。

 

 

「えっ、どちら様?」

「お前が、ウルトラマンエックスだな?」

「ずらっ!?」

「ピギィ!?」

「嘘でしょ!?」

 

 

 先程よりも驚き、翔琉から距離を取る3人。

 

 

「ちょ、ちょいちょい!え、いや、何で?」

 

 

 あっさり正体を看破した未来とステラ、そして何故か急に先程より以上の驚きと恐怖の感情を向けて来る善子、花丸、ルビィ。何なんだと思っていると、未来とステラが拳を突き出し迫っていた─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「腹痛い……」

「フンッ」

《あれは自業自得だね……》

「うんうん、未来君が悪い!」

「そうだねー」

「流石にあれはねぇ……」

 

 

 腹を押さえながら歩く未来。あのくらいでそんなに怒らなくてもとは思うが、そんなこと言えばどうなるか分からないので黙っておく。周りからの目も冷やかだし。

 

 

「でも何なんだろうね、そのカード?」

 

 

 果南にそう聞かれて、ステラはポケットからサイバーゴモラのカードを取り出した。

 怪獣の力が込められた謎のカード。一番考えられるのは、何らかの理由であのアパートに落下した侵略者が地球侵略の兵器として持っていたが衝撃でうっかり落としてしまったという可能性。この線がもっともしっくりくる。だとしたらその侵略者は何処に……?

 

 考えながら歩いている未来達の前に、1人の男が立ち塞がった。

 

 

「んっ?」

「誰?」

 

 

 180cmは有りそうな身長、中性的で整った顔のその男は、翡翠の瞳を未来とステラへ順に向ける。

 

 

「メビウスと、ヒカリだな」

「なっ!?ど、どうしてそれを!?」

《未来君!彼は人間じゃない!》

《気を付けろみんな!》

 

 

 メビウスとヒカリの忠告を受けて構えた未来、ステラと、後ろに下がる千歌達。

 

 

「アンタ、何者?」

「……ウルトラマンXだ」

 

 

 そう名乗った後、その男……翔琉は獣の如く未来達へと襲い掛かる。まずは未来へと接近し、鋭い回し蹴りを放った。

 

 

「くっ!?」

「未来君!?」

 

 

 身体を仰け反らせる未来。鼻先に少しだけ掠ったが直撃は間逃れた。間髪入れず殴って来ようとする翔琉に、彼は持っていた通学カバンを投げる。

 

 

「チッ」

 

 

 翔琉はカバンを手で払う。その隙に、ステラがナイトブレードで斬り掛かった。翔琉はそれを思いっきり背後に跳ぶ事で回避。人間離れした跳躍力であり、改めて異星人である事を分からせられる。

 

 

「コイツが、X……!」

「お前!一体どういうつもりだ!?何でウルトラマンが俺達を襲うんだよ!?」

 

 

 未来の問いに翔琉は答えず、再び彼らに向かっていく。それに対抗して未来達も駆け出した。

 自分よりも長いリーチから繰り出されるパンチやキックをどうにか躱していき、未来は腹へ拳を叩き込んだ。数歩後退する翔琉。そこへステラの飛び蹴りが炸裂し、彼は更に後退していくことに。

 

 

「畳み掛ける」

「ああ!」

 

 

 一気に接近してブレードを振るステラ。翔琉はそれを空へ跳躍して躱した。地面を削っただけのステラを見て奴はニヤリと笑う。しかし次に奴の目に入ったのは、拳を握りこちらへと跳んで来る未来の姿であった。

 

 

「おらあああッ!!」

 

 

 強烈な打撃が顔面に叩き込まれる。ステラの斬撃はブラフで本命は未来のパンチだったのだ。地面に叩き付けれた翔琉は、苦悶の声を漏らしながら立ち上がろうとする。

 

 

「さて……大人しくしてもらうぞ」

《君にはいろいろと、聞きたいことがあるからね》

 

 

 翔琉へと近付いていく未来とステラ。

 その時である。大きな地響きと咆哮が轟いたのは。

 

 

「何!?」

「怪獣!こんな時に……しかも3体!?」

 

 

 現れたのは3体の怪獣。1体は頭部に大きな一本角と鋭い爪を持つ怪獣。もう1体は岩石の様な身体を持った四足歩行の怪獣。最後の1体は赤い身体に黄色い角と爪を持った怪獣だ。奴らは暴れ出し、街を破壊し始めた。

 

 

「あ、おい!?」

 

 

 未来達が怪獣に気を取られた隙に、翔琉は立ち上がりこの場を走り去ってしまった。

 

 

「待ちなさい!」

《ステラ、今は怪獣を倒すのが先だ!》

《未来君!》

「仕方ないか……!千歌達は避難を!」

「う、うん!」

 

 

 未来とステラは怪獣達のいる方向に向かって駆け出した────

 

 

 

 

 

 

 

 

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 松月の扉から、翔琉が勢い良く外の道路へと放り出された。アスファルトを転がった後、砂埃をはたいてから立ち上がった彼に、未来とステラが歩いて来る。

 

 

「いってぇなぁ……何しやがってんだコラァ!?」

 

 

 2人は駆け、未来は拳を、ステラは蹴りを繰り出した。翔琉は攻撃を躱すが、2人は攻めの手を緩めず、更に攻撃を続けていく。

 善子達も彼らのことが心配で外に出た。

 

 

「うおっ!?コイツらぁ……!」

 

 

 未来のパンチを手で掴み、そのまま腕を取って彼を思いっきり投げ飛ばした。

 

 

「いい加減にぃ!しやがれぇぇぇ!」

 

 

 投げられた未来は空中で身体を捻り、受け身を取って着地。そして左腕にメビウスブレスを出現させてから光弾を放った。

 

 

「ッ!?そうかお前が」

 

 

 光弾を手で払った翔琉。ステラの方を見るとナイトブレードを手にしてその刃を向けている。彼らが所持している物はメビウスとヒカリが装着していたのと同じ。つまり2人こそが自分を襲って来たウルトラマンの正体なのだろう。なら容赦はいらない。翔琉は再度向かって来た2人に構えた。

 

 ステラがナイトブレードを振るうが翔琉はそれを躱していき、隙を突いて顔面へ蹴りを叩き込んだ。女の子の顔を容赦無く蹴り飛ばした彼を見て、善子達は引いている。

 

 顔を押さえて退がるステラに代わって未来が殴り掛かって来る。彼からの攻撃を捌き、そして相手のパンチのタイミングを合わせてクロスカウンターを叩き込む。彼は堪らず吹っ飛ばされてしまった。

 

 

「けっ、そんなもんかお前ら?」

 

 

 指を鳴らしながら2人に迫っていく翔琉。

 だが突如、大地が震え怒号が鳴り響いた。巨大な3体の怪獣が、その姿を現したのである。

 

 

「か、怪獣!?」

「ピギィ!?」

「マジかよ!?って、あッ!?」

 

 

 怪獣の方を向いた翔琉。その隙に未来とステラは走り去っていった。

 

 

「え、2人とも何で!?」

 

 

 まるで逃げる様に去っていった2人を見て善子達は驚く。いつも自分達を守ってくれた彼らがその様な行動を取ったいう事が信じられないのだ。

 そんな彼女達の所へ、1体の怪獣が放った火炎弾が迫って来た……。

 

 

「きゃああああ!?」

「うわあああ!?」

「ううッ……!?」

 

 

 迫る恐怖から目を閉じ身体を強張らせる3人。しかし3人と火炎弾の間に翔琉が立った。そして何と、彼はその火炎弾を両手で受け止めてしまった。

 

 

「ぐおおお……!?しゃらくせえ!!」

 

 

 火炎弾を海の方へと投げ飛ばしてしまった翔琉。それから彼は腰が抜けて座り込んでしまった善子、花丸、ルビィの方を向き声を掛ける。

 

 

「急いで逃げろ、いいな!?」

 

 

 彼女達からの返答も待たずに、翔琉は怪獣達がいる方向へと走り出してしまった─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 L字路の曲がり角で立ち止まり怪獣を見る未来とステラ。彼らの腕にはそれぞれブレスが着けられている。

 一方、翔琉も同じL字路の反対側の曲がり角にいた。手にはエクスデバイザーを握っている。

 

 お互いに死角になっている為姿は確認出来ない。

 

 

「メビウーーースッ!!」

 

 

 

《X UNITED》

 

「はあああああッ!!」

 

 

 強い光が解放され、メビウス、ヒカリ、エックスの3大ウルトラマンが同時に怪獣の前に降り立つのであった。

 

 

 

 

 

 

「「「あっ」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 






未来とステラを襲撃した翔琉、そして翔琉を襲撃した未来とステラ。
何か妙なことになってますが果たして……?

次回は更に波乱の展開になりそうですがお楽しみに。

それでは今回はここまで!
感想、質問、高評価、ここすき、その他、是非是非お待ちしています!

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