RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
お待たせしたんご!!
メビライブコラボも遂に大詰め!!
ギロ星人カゼブの怒りは頂点にまで達していた。モニターに映されているのはメビウスに叩きのめされてるザラブ星人、ツルギに斬り伏せられてるババルウ星人、翔琉に惨殺された兵士達とアンチラ星人、サイバーゴモラに攻められ更にエックスに弄ばれてるX。自分の配下達が悉くウルトラマン達に敗れていく。この星を、そして宇宙を支配する為に準備して来たというのに、これでは全て無駄になってしまう。
「こうなればァ……!」
カゼブは懐から取り出した機械のスイッチを押した。すると直立していた黒い巨人にエネルギーが送られ、奴が遂に動き出す。
ニセウルトラマンベリアル。カゼブがカタラより受け取った高純度のベリアル因子より産み出された人造ウルトラマンだ。覚醒したニセベリアルは、状況を確かめる様に自身の手や身体、周りを見回している。
「成功だー!最強最悪のウルトラマン、ベリアルの力が今!私の物にィィィー!!」
ニセベリアルの完成に歓喜するカゼブ。一方、それを見て残っていた配下達は何か嫌な予感を感じているのか不安そうだ。
「だ、大丈夫なのでしょうか……?」
「問題無い。ベリアル因子の量は計算済。暴走せず、そして私の命令を忠実に聞き、あのウルトラマンを殺せるだけの力をコイツは持っているのだ!」
高笑いをするカゼブであるが、配下達は不安を拭い切れないのか困惑している。一方ニセベリアルは黄色い爪で隣りに立っていたロボットのニセウルトラ6兄弟の1体であるニセウルトラマンを小突いていた。彼はまだ産まれたばかりであり、赤子の様なものなのだ。
「コイツさえあれば、この宇宙は我々ギロ星人の物となる!皇帝とやらも、私の足下に跪かせてやる!!」
再び大笑いするカゼブ。このニセベリアルさえ居ればどんな相手にも負けることは無い。更にウルトラ六兄弟のロボットもある。最早あのエンペラ星人も敵では無いと彼は考えていたのだ。
だがそんな時、突如黒い光球が飛んで来てニセベリアルのカラータイマーに当たる。光球はカラータイマーにへと吸収されていき、奴の身体に紫電が走った。
「な、何が!?」
その光景を見て驚くカゼブと配下達。振り向くとそこには、手を突き出したカタラの姿が。
「き、貴様何をしたァ!?」
「何って、ベリアル因子をあげたんだよ。もっと
数度痙攣した後に、ニセベリアルの爪が先程より巨大化。そしてその爪でニセウルトラマンを叩いて倒した。
「なぁッ!?や、やめろベリアル!?何をしているのだ!?」
焦るカゼブは命令するが、ニセベリアルはそんな彼のことを無視して暴れ回る。ニセセブンの腕を捥ぎ取って投げ捨て、ニセジャックを蹴り飛ばし、倒したニセエースのカラータイマーを踏み抜き、爪を振ってエネルギー刃を飛ばしニセタロウを切り裂く。更にニセゾフィーのカラータイマーを腕で貫いてから、それを振り投げ飛ばした。
奴が暴れることで降り注ぐ基地の瓦礫やニセウルトラ6兄弟の残骸に、逃げ惑っていた配下達が次々と押し潰されていく。その後もニセベリアルは執拗にニセウルトラ6兄弟を破壊する。
「やめろ……やめるんだ!わ、私の計画がぁ!?」
「あははっ、流石はベリアル。ウルトラマンのことはやっぱり嫌いみたいだね」
「カタラァ!!貴様一体何のつもりだ!?何故こんなことをォ!?」
カタラへと叫ぶカゼブ。怒り心頭に発している彼のことを見て、カタラは柔かに笑った。
「これはボクの遊びなんだ。だから、あのニセベリアルはちゃんと完成してもらわないと困る。中途半端だなんてダメだよ」
「ど、何処が中途半端だ!?あのニセベリアルは私の最高傑作だぞ!!」
「力をセーブした様なモノが最高傑作だなんて……君つまらないこと言うんだね」
「つまらない!?この私が!?」
「まあ、形を造ってくれただけでも感謝感謝だ」
ニセベリアルは天井に向けて光線を放った。光線は天井を貫いて地上に土煙を巻き上げ、更に巨大な穴を空ける。その穴からニセベリアルは地上へ向かって飛び出した。
「私の……私のベリアルが……!?」
「残念。彼はもう君の物じゃない」
「ふざけんな!!アレは私が造り出した、私のベリアルだぞォォ!!」
「違うよ。ボクの玩具だ」
いくつもの瓦礫がカゼブの頭上に落下して来る。奴は悲鳴を上げながらそれに呑まれていった───
-----------------------------------------------
地上に現れたニセベリアルはビルを薙ぎ倒し、笑いながらウルトラマン達へと向かう。
「何だよアレは……!?」
驚く彼ら。ニセベリアルはメビウスに掴み掛かり、そのまま押し倒して引き摺って背中を卸していく。
『ぐあああ!?がああ!?』
「うぐぅぅぅぅ!?」
道路を削り、車を弾き飛ばし、ビルを倒しながらニセベリアルはメビウスを引き摺り、そしてそれから彼のことを投げ飛ばした。メビウスは更に地面を滑って往き、数百メートル進んだところで漸く止まる。
「未来!?」
『メビウス!?この……!」
ツルギがナイトビームブレードを伸ばしてニセベリアルに斬り掛かる。しかしニセベリアルは闇のエネルギーを纏った爪を振るってその光剣とぶつける。その後剣と爪はぶつかり合うがニセベリアルのパワーの前にツルギは押されていき、遂には爪の一撃をまともに喰らってしまった。
『がああああッ!?」
「ううっ!?」
吹き飛ばされてマンションを押し潰しながら倒れるツルギ。アーブギアが解除され、ヒカリの姿に戻ってしまう。
『くっ……!?』
倒れたヒカリに向けて、ニセベリアルは腕から雷撃を放った。迫る雷撃。だが彼の前に、ベムスターアーマーを纏ったエックスが立ち塞がり盾で雷撃を防いだ。シールドに奴の放った雷撃が吸収されていく。
「お返しだァ……!ベムスタースパウト!」
盾から吸収増幅した雷撃をニセベリアルへと放った。光の力がプラスされた雷撃が炸裂し奴は爆風の中に呑まれていった。
「や、やったの……?」
「おい馬鹿それフラグだぞ!」
翔琉の心配した通り、無傷のニセベリアルが爆風を突き破って現れ、エックスに蹴りを叩き込む。盾で防ごうとしたが、奴の強烈な蹴りはそれごと彼を吹っ飛ばしてしまった。
「だああッ!?この野郎……舐めんなよ!」
『くっ!』
起き上がったエックスとヒカリはニセベリアルへと攻めていくが、奴は彼らの攻撃を全て受け止め躱し、逆に強烈な打撃を喰らわせて来た。2人のウルトラマンはどうにか喰らい付いていこうとするもニセベリアルのパワーの前にどんどん追い詰められていく。
一方、メビウスと未来は苦痛に表情を歪ませながらもなんとか立ち上がっていた。見つめる先にいるのは2人を蹂躙するニセベリアルの姿。
「メビウス……アイツは……」
『恐らく、ベリアルのクローンだと思う。ザラブ星人達を従えて、Xを造った黒幕が産み出したんだ』
未来は爪が食い込む程に拳を握り締めた。今は敵の手に堕ちていても、彼はかつてこの町を救った英雄なのだ。そのクローンを産み出し、そしてそれにこの町を破壊させるなど到底許せる行為では無い。彼らは立ち上がり、燃える瞳で奴のことを睨む。
「絶対に……許さない!!」
腕を十字に構え、炎を纏ったメビュームシュートを放つ。光線はニセベリアルの右肩口に当たり猛烈な火花を散らした。その隙に、エックスとヒカリはメビウスの元へと駆けていき並んだ。
「何だあの黒いの……お前ら知り合いか?」
『知り合いの偽物……ってところかな……』
「あー……いろいろ複雑な感じ?」
『察してくれて助かる』
光線を受けた場所を叩くニセベリアル。肩を軽く回し、笑い声を漏らしながらウルトラマン達に目を向ける。
「未来」
「分かってる。取り乱しはしないから」
ニセベリアルへの怒りは強く膨らんでいくがそれに心を乱されることは無い。未来は湧き上がりそうになる憎しみを抑えて冷静に奴のことを見ていた。
3人のカラータイマーは既に警告音を発しており、彼らの限界が近いことを知らしている。早急に片を付けなければ危険だろう。
『時間も無い。急いで決着をつけるぞ』
『うん。翔琉君も、いける?』
「上等だ。誰に物言ってやがる?サクッと終わらせてやんよ」
《ULTRAMAN ZERO LOAD》
メビウスとヒカリはブレードを伸ばし、エックスはウルトラマンゼロのカードを読み込んでゼロツインソードを構える。すると、ニセベリアルは叫びながらエックス目掛けて一目散に突っ込んで来た。
「はぁ!?ちょ、わっ!?」
突き出された爪を半月状の剣で受け止めるが、後ろにへと後退させられてしまう。更に何度も振り下ろされていく爪には先程よりも苛烈で、まるで怨みでもあるかの様だ。エックスはどうにか防御しているが全てを防ぐことは出来ず、どんどん追い詰められていく。
「翔琉!?」
「どうしたのよ急に……!?」
唐突にエックスのことを激しく攻め始めたニセベリアルに驚きながらも、メビウスとヒカリは奴を止める為にその背を剣で切り付けた。ニセベリアルは一瞬だけ動きを止めたが、振り向き様に手に精製した円型の鋸・デス光輪を投げた。光輪は2人のウルトラマンを切り裂き転倒させた。それによりメビウスは元の姿へと戻ってしまう。
『があッ!?』
『ぐうッ!?』
「この……喰らえ!」
背を向けたニセベリアルにエックスはゼロツインソードを振り下ろす。しかし奴はそれを見向きもせずに手で止めてしまった。
「何!?───がはッ!?」
そして剣を払い退け、エックスの腹部に鋭い爪を深々と突き立てた。激痛が彼を襲い、剣がその手から溢れ落ちる。ニセベリアルは彼のことを押して爪を食い込ませていく。
『嗚呼!?』
「アイツ……!」
爪を引き抜こうとするニセベリアル。しかしその手首を、エックスががっちりと掴んだ。
「捕……まえ……たッ!」
「アンタ、何やってるの!?」
「俺ごと撃て!!早く!!」
彼の言葉に衝撃を受ける未来達。確かに今、大技を撃ち込めば奴を倒せるかも知れない。しかしそんなことをすればエックスが、翔琉がどれだけのダメージを受けることになるか……。
『そんなこと出来ない!危険だ!』
『よせ、翔琉!』
「離れなさい!」
「うるせぇ!!ぐぅっ!?……どうせコイツ倒さなきゃ……全員死ぬんだ……!なら形振り構ってられるかよ……!」
ニセベリアルはもう片方の手で何度もエックスを殴るが彼は決して離れない。何としてでもここで奴を倒すつもりなのだ。歯を食いしばり、必死にニセベリアルに組み付いている。
「……やろう、みんな。翔琉の想い、無駄には出来ない」
「ッ……わかったわ……」
メビウスとヒカリはエネルギーをチャージして腕を十字に組んで光線を同時に発射。重なり威力を増した光線はニセベリアルに直撃し、エックスを巻き込んで大きな爆発を起こした。
「翔琉!!」
爆煙を見つめる未来達。その中から、エックスが飛び出してメビウス達の所へ転がって来た。
『翔琉君、大丈夫!?』
「ああ……生きてる……」
「貴方、結構丈夫なのね」
「それも取柄の一つなんでね……イテテッ、手ぇ借してくれ」
2人の手を借り立ち上がるエックス。それから3人は揺らめく爆煙の方に目を向ける。それが晴れるとそこには……。
「嘘だろオイ……」
無傷とはいかないが、問題無く立っているニセベリアルの姿があった。炎の中で笑う奴に、未来は衝撃を受け、ステラは奥歯を噛み締め、翔琉は溜め息を漏らす。彼らのカラータイマーはより激しく点滅しており、特にエックスのものは他2人よりも速い。
「化け物かよチクショウ……!」
「碌でもねぇなアレ……」
構えるウルトラマン達のことを嘲笑うニセベリアル。それから彼らは、大地を蹴って何度目かの接戦を繰り広げることになっていった………。
--------------------------------------------------
暗い暗い闇の空間。そこにいる鎧を纏った漆黒の巨人が、足下に映された地上の映像を見ていた。顔は今メビウス達と戦っているニセベリアルと同じだが頭部は黒く、身体には深い闇を宿した鎧を纏っており、手には三叉の槍が握られている。
彼こそは真のウルトラマンベリアル。いや、今はカイザーダークネスと呼ぶのが正しいのかも知れない。彼はオレンジ色の瞳で、己の偽物と戦い大苦戦するメビウス達のことを見つめていた。
「気に食わねぇな……」
自身の模造品がいること、それがまるで畜生の様に本能のままに暴れていること、そしてメビウス達がそれに蹂躙されていること。とにかくこの状況全てが気に食わなかった。
この手で消してしまおう……そう考え踵を返した時だった。
───捨て置け……。
空間に重厚な声が響いて彼は足を止める。振り向くとそこには玉座に鎮座している深い闇を持った皇帝の姿があった。
「…………フンッ」
石突で床を叩いてから彼は去っていく。もう奴らの所に行く気は失せていた。その背に一度視線を向けた後、皇帝は手を振って映像を消す。
奴らのことなど気にする必要は無い。どちらが勝とうが、誰が生き残ろうが興味は無い。
最後に勝ち、全てを手中に収めるのは自分なのだから──
------------------------------------------------
ニセベリアルに蹂躙されるウルトラマン達を、今にも崩壊しそうなビルの屋上からカタラは楽しそうに眺めていた。メビウスが地面に叩きつける度に、ヒカリが蹴り飛ばされる度に、エックスが殴られる度に、カタラは笑みを浮かべている。
「アレ、結構悪趣味だと思うよ」
そんなカタラの隣にノワールが現れた。
「そうかな?まあ、確かにアレだけじゃそうかもねぇー」
「
ノワールの見つめるカタラの手には、2つの怪獣カプセルが握られていた。それを掌の上で遊ばせている。
「あ、分かっちゃった?これはね、アレをもっともっと楽しくすることが出来る玩具なんだ!どうかな、一緒に使ってみる?」
笑顔で怪獣カプセルの1つを差し出すカタラ。しかしノワールはそれを軽く払い除けた。
「悪いけど、もう趣味じゃないかな」
「残念。なら、これはどう?」
スイッチを押し上げ、カタラは2つの怪獣カプセルを順に起動させていく。
《ファイブキング……!》
《ゾグ第二形態……!》
5体の怪獣が合体し誕生した強力無比な最強の王。
星に破滅を齎す為に君臨した天使の振りをした悪魔。
異世界にて光の戦士達を一度は破った最悪の怪獣達の力が解放される。そしてそのカプセルを、ニセベリアルへと投げた。怪獣カプセルは身体に吸収され、奴は痙攣しながら不気味に肉体を盛り上がらせていく。
小さな命を踏み躙る大きな脚。大地を叩き割る強靭な尾。血の様に赤く濁った爪。膨張した肉体。黄色かった鶏冠は暗闇の様に黒くなり、背には天を切り裂く悪魔の如き翼が生える。
誕生したのは希望を殺す魔獣。それが放った咆哮を聞いた者達は世界の終わりを悟り、只々泣き喚くのであった───
「フフフッ」
「お前……」
笑うカタラのことをノワールが睨む。彼の最も嫌う物である闇の力。それを利用して遊戯を楽しむカタラの姿は、何処か過去の自分にも重なる様で見ていて不愉快極まりなかった。
「じゃあボクは行くよ。せっかくだから、後は楽しんでね」
「帰るのかい?あんな化け物産み出したってのに」
「うん。これからどう転ぶかは、あんまり興味無いから」
歩いて行くが「あ、そうだ」と言って一度立ち止まりノワールの方を向く。そして彼のポケットを指差した。
「
妖しい笑みを浮かべた後、カタラは振り向き煙の様に消えてしまう。指差されたポケットに手を突っ込み、その中に入っていた物を取り出すノワール。それから彼は現れた魔獣の方を向く。
「さて……君ならどうするかな、未来君……」
彼の手には、あの光の六兄弟の力が宿されたカプセルが握られていた───
----------------------------------------------------
それは唐突に起きた。ニセベリアルに紫電が迸り、痙攣したかと思うと奴の姿は大きく変化していく。翼を拡げるその魔獣は大地を砕き、空を引き裂く様な叫びを響き渡らせる。
その名はキメラべロス。絶望を齎す最悪の存在だ。
「何だよアレは!?」
『ニセベリアルが、変わった……!?』
顔や爪はベリアルそのものに変化しており感じられる力も、もう奴と相違ない。困惑するウルトラマン達。キメラべロスは大地を踏み、揺るがしながら彼らへと迫る。
鋭い爪が、エックス、メビウス、ヒカリを順に切り裂き吹っ飛ばす。
『ぐあああ!?』
『ぬうううッ!?』
「ぐおおッ!?」
地面を転がっていく3人。ニセベリアルの時も脅威的な力であったが、キメラべロスとなった奴はそれを遥かに超える圧倒的な闇の力を宿していた。倒れた彼らに対し、奴は腕を組んで闇の光線・デスシウムフレアを追撃として放つ。凄まじい爆発が起こされ、ウルトラマン達の巨大な身体が宙を舞って落ちた。
「だあッ!?」
『ううっ……!?』
「がッ……ぐう!?」
『ぐっ!?』
「あ……うッ……!?」
激しく点滅するカラータイマー。もう残り数十秒保つかどうかといったところであろう。容赦無く迫ってくる死。それでも彼らはどうにかして奴を倒す為に立ち上がる。
「一か八か……ブチかますぞ……!」
「あ、ああ……!」
「そうね……!」
エックス、メビウス、ヒカリは腕を組み、気迫の叫びと共に必殺光線を放った。ヤケクソ気味であり通用するかも分からないが、もうこれしか手は残されていない。ザナディウム光線、メビュームシュート、ナイトシュートが混ざり合い、強力な合体光線となってからキメラべロスへと直進。それに対して、闇の火炎・ベロスインフェルノを口から放射してぶつけた。その火炎はウルトラマン達の合体光線を容易く圧して進んでいく。
そして─────
「───っ……う……」
目を覚ました未来。身体はアスファルトの上に転がされており、起き上がろうとすると痛みに襲われる。その激痛に耐えながらどうにか身体を起こした未来は周囲を見回す。空を穢す黒煙、空気を焼く炎、無残な形に変えられた建物、鳴り止まないサイレン、そして人々の嘆き。メビウスがいることで強化された五感にそれらが沁み渡り苦しめる。
「メビウス、無事か?」
《うん……どうにかね……》
メビウスが無事だったことに安堵する未来。それからすぐにステラと翔琉を探して辺りを見る。
「お、生きてたな」
そんな彼の所に、ステラを抱きかかえた翔琉が歩いて来た。どうやら彼女はまだ気を失っている様だ。
「翔琉、ステラ!」
彼らのもとに足を引き摺りながら向かう未来。翔琉はステラを地面に寝かせてからその頬を軽く叩いて起こそうとしている。
「ステラ、大丈夫か!起きろ!」
「目覚めのキスでもしてやったらどうだ?」
「え、嫌だよ」
「なかなか酷いなお前」
「じゃあ、お前やれよ」
「は?パス」
「お前も大概だぞ」
そんなやりとりをしていると、ステラが目を覚まして身体を起き上がらせた。
「ううっ……」
「大丈夫か、ステラ?」
「ええ、何とかね……。ヒカリ、いる?」
《問題無い……という訳にはいかないが、生きてるよ》
「ハハッ、2人とも結構丈夫じゃねえか」
立ち上がった彼らは空を見上げる。目線の先にいるのは翼を拡げて天空を我が物顔で飛び回るキメラべロスの姿。
「何だよあの化け物は……?」
《闇のベリアルの力に、怪獣の力が加わった事で誕生したのだろう。恐ろしい闇のパワーを感じる》
「誰かがあの偽者に細工したってとこかしら」
「だろうな。チッ、何処のどいつだ?ただでさえ面倒なアレに要らん事した馬鹿は……」
苛立ちを込めた目線を奴へ飛ばす。そんな彼らへ声を掛け近付いて来る者がいた。
「カタラっていう子だよ」
「おまっ、ノワール!?」
翔琉以外の者達にとって、そして何より未来にとって因縁浅からぬ相手であるノワールがそこにはいた。
「ノワール?誰だお前?つーか、今カタラって……!」
「はじめまして、僕はノワール。君が天地 翔琉君だね?」
何処か怪しげな笑顔を翔琉に向けるノワール。
「アンタ、何か知ってるの?」
「まあね。……アレはカタラが怪獣の力を宿したカプセルを2つ、ギロ星人の造ったベリアルの紛い物に融合させることで誕生した怪獣……キメラべロスとでも名付けようか。意思は無く、只々破壊の限りを尽くすだけの存在だ」
キメラべロスは爪から三日月型の斬撃・ベリアルリッパーを放ってビルを斬り崩す。やりたい放題の奴に未来達は唇を噛み締めた。
「弱点とか無いのかよ!?」
「あると思う?紛い物とはいえ、アレは力だけならベリアルと同等だった。異常に強化され、制御する筈だったギロ星人達もカタラの所為で全滅。アレはもう解き放たれた獣、誰にも止められない。八方塞がりってやつだね」
お手上げ、とポーズするノワール。ふざけるなと掴み掛かろうかと思った未来であったが、実際有効な手が無いので拳を握り締めるしか出来ない。
「カタラめ……碌でも無いなアイツ……」
「今の状態で変身して、どのくらい戦えるの?」
《恐らく、本来の時間の半分にも満たないだろう》
《1分くらいが限界だと思う……》
ダメージが残り、万全では無い状態で、ほんの僅かな時間でキメラべロスを倒さなければならないという最悪の状況。勝てる確率は、限りなくゼロに近いだろう。
誰もがこの状況に焦りと苛立ちを感じている中、ノワールが「あっ」と言葉を漏らした。
「そういえば翔琉君、あれを見て」
ノワールが指差した空には、空間の歪みの様なものが出来ていた。
「あれは並行宇宙同士を結ぶ、空間に出来たトンネルみたいなものなんだ。多分カタラが使ったんだろうね」
「………それがどうした?」
「つーまーり。あれを通れば、君は元の世界に戻れるってことだよ。でも急がないと消えてしまう。今すぐ飛び込んだ方がいいんじゃないかい?」
彼の言う通り、あれに飛び込んでしまえば翔琉は自分が元いた宇宙に帰ることが出来る。しかしそれは同時に未来達のいるこの宇宙を見捨てることになる。
「……翔琉、お前は自分の宇宙に帰るんだ」
「そうね。アイツは私達が何とかするから、後は任せて」
元々翔琉はこの宇宙とは関係無い人物。これ以上彼を巻き込む訳にはいかないと未来とステラは考えたのだ。勝てる見込みは殆ど無いが、それでもやるしかない。
覚悟を決めた未来とステラ。そんな2人に、翔琉はゆっくり近付き……。
「馬鹿かお前ら」
「あだッ!?」
「うッ!?」
彼は2人の頭に手刀を素早く落とした。
「な、何すんだよ!?」
「どういうつもり……?」
「あのなぁ、お前らが俺の立場だったとして帰るか?帰らねぇだろ?間違いなくそうだろ」
「そ、それは……」
翔琉の言う通り、もし逆の立場だったらとして未来もステラも戻ることを拒否していた筈だ。
「だから俺はアイツ叩き潰すまで帰らねぇ。絶対にだ」
「翔琉……」
右拳を2人に向ける。
「勝ちに行こうぜ。あのふざけた化け物のによ」
「やれやれね。でも、悪くないわ」
「そうだな……勝って世界を守ろう、俺達で!」
拳を合わせる3人。必ずキメラべロスを倒す。横に並んだ彼らは、それぞれの変身アイテムを構えた。それを見て、ノワールは笑いこの場から離れていく。
「しゃあ!いくぜええええ!!」
「メビウーーース!!」
「ッ!!」
エクスデバイザーのスイッチを押し、メビウスブレスの宝玉を回転させ、ナイトブレスに剣を差し込む。強烈な光が解放され、彼らはウルトラ戦士となった。
大地に降り立つ3人のウルトラマン。上空で嗤うキメラべロスに彼らは構える。今、最後の戦いが始まろうとしていた───
キメラべロス降臨!
ベリアル融合獣ですが設定的には「ウルトラマンタイガ」に登場した培養合成獣スカルゴモラに近いです。
ウルトラマン達を徹底的に苦しめていくこの怪獣は、今回のコラボ回のラスボスとなります。
果たして彼らは、この強敵を倒すことが出来るのか?
次回、遂に決戦です!
それではまた次回!
感想、高評価、ここすき、質問、その他、是非是非お待ちしています!