RAINBOW X STORY 作:山形りんごをたべるんご
遂に新ウルトラマンが発表されましたね!ティガ激推しな私としてはどんなものになるのか今からドキドキしています!!
果林編クライマックス!
翔琉はパンダを取り戻すことが出来るのか!?
それではどうぞ!
かすみ、しずく、璃奈の3人は東京ジョイポリスという施設に来ていた。今日は部活も休みの為、彼女達は一緒に遊んでいたのだ。
「いやー、VRゲーム楽しかったね!しず子、りな子!」
「うん!私、ああいうの初めてだったから凄く新鮮だったよ!教えてくれてありがとう、璃奈さん」
「喜んでもらえたなら良かった。璃奈ちゃんボード〈にっこりん!〉」
施設内のベンチに座り、購入したコッペパンを仲睦まじく食べる3人。そんな時、前方にあったモニターに緊急速報のニュースが流れる。怪獣災害が発生した際に報道されるものだ。
「怪獣出たんだ」
「ここからは離れてるし、ウルトラマンもいるから大丈夫だろうけど、一応避難しておこうか。ね、かすみさん?」
しずくはかすみにそう言ったが、彼女は何も答えず画面に釘付けとなっていた。
「か、かすみさん……?」
「どうしたの、かすみちゃん?」
彼女の驚きと恐怖に満ちた表情が只事では無いと物語っており、しずくと璃奈は困惑している。
「あれは……あの時の……!?」
かすみの目に映っていたのは、かつて彼女に恐怖と絶望を味合わせたダークファウスト。奴を見た彼女のその手と身体は震えており、持っていたコッペパンが零れ落ちそうになる。ダークフィールドに迷い込んだ際、奴によって見せられた悪夢が脳裏に蘇って来る。自分の全てを否定され、翔琉に見捨てられ、何より翔琉が死んだという最悪の夢………奴が再び現れたことでそれがまた齎されるのではと思い身体が震え───
──俺がかすみを見捨てる訳ねえだろうがぁ!!!
あの時彼から投げかけられた言葉が胸に浮かぶ。
そうだ……何があっても彼は絶対に自分を見捨てたりはしない。どんな恐ろしい事態に陥っても、必ず彼は助けに来るだろう。震えは止まり、落ちそうになっていたコッペパンをぎゅっと握る。
「大丈夫……私は大丈夫」
彼女が恐怖に負け、闇に呑まれる事は無い。その心を支えてくれる
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「てめえ、何しに来たァ!?」
ファウストへと吼えるエックス。奴はそれに対して不気味な笑い声を漏らすだけ。舌打ちをした後、エックスは地面を蹴ってファウストに向かって走る。それに対してファウストも駆け出し突っ込んで来る………かと思いきや、奴は跳躍してエックスの頭上を超え、そのまま起き上がろうとしているスチール星人シーフに向かっていった。
「何!?」
ファウストはシーフを蹴り付けて後退させる。更に接近してその肩を掴み、何度も殴打を繰り返した。
「ぐおっ!?があ!?ぐうっ!?」
執拗にシーフを攻撃するファウストに、エックスは困惑していた。これまで自分に対して何度も襲撃をして来た奴が、何故自分を無視してシーフを攻撃しているのか?ファウストはこちらを見向きもせず、容赦無い攻撃を素早く叩き込んでおり行動が不可解過ぎる。
回し蹴りが腹部に当たり、シーフは身体をくの字に曲げて後退。ファウストはすぐに間合いを詰めて顔を殴る。
「がはぁッ!?な、何なんだお前は!?」
シーフはファウストとの面識は無く、自分が何故攻撃を受けているのか分からないでいた。打撃が腹部に入りまた後退するシーフ。ファウストは再び殴り掛かろうと腕を振り被った……。
「おらぁッ!」
しかしそこに、エックスが飛び蹴りを放ってくる。それを受けて吹っ飛ばされてしまったファウスト。着地したエックスはシーフの首根っこを掴み無理矢理立ち上がらせた。
「イダダッ!?な、何なんだ一体!?」
「うるせぇ。お前、あのピエロの敵だよな?」
「え?ま、まあ、味方では無いが……」
「ならアイツ潰すの手伝え」
「はあ!?お前は何を……!?」
驚くシーフであるがすぐに考える。この状況で最も避けたいのはエックスとファウストが共に襲って来ること、次に避けたいのは三つ巴となってしまうこと。戦闘能力の決して高く無いシーフでは前述した二つの状況になれば即座にやられてしまうだろう。最も好ましい状況はエックスとファウストとが潰し合ってくれることで、次に好ましいのはどちらかと手を組んで残った方を倒すことだ。そうすれば生き残れる確率が格段に上がるだろう。
「わ、分かった!だが、寝首を掻く様なマネはするなよ!」
「そりゃ俺の台詞だ。まあ、そんなことしたら即潰すけど」
ファウストは強いがエックスと組めば倒せなくはないかも知れない。それに万が一の場合、隙を見つけて逃げ出せばいいとも画策する。シーフは彼との共闘を受け入れた。
立ち上がったファウストは自分に向けて構えているエックスとシーフを見る。その後奴は自分が現れた倉庫がある場所に目線を向けた。
「あ、あそこは!?」
また驚いているシーフだが無理もない。その倉庫というのは彼が盗んで来たパンダグッズを隠している場所だったからだ。
「お前、あんな所に隠してたのかよ」
「ア、アレは全部我々の物だ!!絶対渡さんぞ!!」
「お前のじゃねえだろ!!これ終わったら返してもらうからなァ!!」
「断る!!」
「てめぇからしばくぞ!?」
言い争う2人を尻目に、ファウストは腕から闇を倉庫に置いてあったパンダのぬいぐるみに向けて放つ。するとパンダはどんどん巨大化。顔は一応パンダみたいなのだが背中はアルマジロの様になって頭よりも上にあがっていて腰にはボコボコと
こうして誕生した怪獣・デスコングキングは咆哮を上げた。
「おいおいおいおい、マジかよ」
「パンダがぁ!?」
デスコングキングはファウストの横に並び、対してエックスとシーフも構える。シーフはパンダのぬいぐるみを怪獣にしたファウストに対して怒り心頭の様だ。
「可愛いパンダを怪獣にするとはぁ……!許せん!」
「はいはい。なら、そのパンダを抑えとけ」
彼らが同時に駆け出すのに合わファウスト達も走り、激しい激突が展開されるのであった。
一方、ビルから降りた果林はビルから落下した翔琉を探していた。戦いによって起こる揺れに足を取られながらも、彼女は翔琉を見つける為に必死に動く。
「何処……何処なの翔琉!?」
周囲を見回すが彼の姿は何処にも無い。それもその筈、翔琉は今ウルトラマンエックスに変身して戦っているのだから。しかしそんなこと知る由もない果林は額に汗を流しながら彼を探していた。あのビルの高さから落下すれば、普通の人間は間違い無く命は無い。そうなると翔琉は……。生きていると信じたいが、最悪の想像が頭に浮かび彼女の顔を蒼白させる。
「翔琉ーーーッ!!翔琉ーーーーーッ!!」
喉がはち切れんばかりに叫ぶ果林。どんな自分も受け入れてくれる彼がいなくなる事は、絶対に嫌だと彼女の心が叫んでいた。
「ッ!?」
また地面が大きく揺れる。見上げるとそこにはデスキングコングに押されて後退してくるシーフの姿があった。このままシーフが退がっていけば、果林は踏み潰されてしまう。不味い……と思った時には既に奴の足によって出来た影が彼女を覆う。
迫り来る足裏とそれによる死。彼女は恐怖から動けないでいた……。
しかしその足が踏み下ろされる前に、エックスが頭から滑り込んで彼女のことを掴み救出することに成功した。
「セーーーーーーフッ!!!生きてる!?生きてるよな!?な!?な!?」
「う、ううっ……助かった……?」
「よーし、生きてる!!良かったぁ!!お前気をつけろこのパンダ狂いがァ!!」
シーフに怒号を飛ばした後エックスは起き上がってから跳躍し、少し離れた所に果林を降ろした。そして再びファウストに殴り込みに行こうとする。
「ま、待ってウルトラマン!?」
だが果林に声を掛けられて足を止め、彼女の方に目を向ける。
「私の友達がいなくなったの!!ビルから落ちたんだけど探しても全然見つからないし、もしかしたら……死んでる……かも……」
目尻に涙が溜まっていく。彼が死んだかも知れないと胸の奥が痛くなった。そんな彼女に、エックスは優しく言葉を放つ。
「あのでっかい高校生なら生きてるよ。落っこちる前に俺が助けたから」
「本当!?じゃあ、今何処に?」
「あー……あっちの方に降ろした。なんか、避難指示とかしてるみたいだぞ?そんでヤバくなったらお前のことよろしくって頼まれた」
言ってる事は全部適当な出まかせなのだが、翔琉が生きているということを知れた果林はホッとして胸を撫で下ろした。
「つー訳で、お前もこの辺で隠れてろ。あいつらサクッと片付けて来っからよ」
「わ、分かったわ」
エックスは振り返りシーフ、デスキングコング、そしてダークファウストに視線を向ける。
「さて……気合い入れていくぜッ!」
《ULTRAMAN HIKARI LOAD》
ウルトラマンヒカリの力を解放することによって右腕に現れるナイトブレス。そこから光の剣・ナイトビームブレードが伸びた。彼は駆け出し、ファウストに向かってそれを振るう。奴はそれをギリギリで回避して後ろに退がった。
「悪いがステラとヒカリ程綺麗には斬れねえ。寧ろ雑にぶった斬ってやるから覚悟しろやぁ!」
荒々しく振われる光刃がファウストを攻める。その全てを躱し切ることは難しく、奴の身体に少しずつ傷を刻む。
───
「どらぁッ!」
更に前蹴りが腹に叩き込まれ、ファウストは苦痛の声を漏らして後退。エックスは更に踏み込んで剣を振り下ろした。
一方シーフはデスキングコングに飛び付いてその動きを抑えていた。しかし奴の力は強くシーフは容易く弾かれて転ばされてしまった。
「ぎゃっ!?お、落ち着くんだパンダぁ!私は敵では無──ぐぇあっ!?」
口から火炎・デスコングファイヤーが放たれ、立ち上がった彼を焼いていく。十数歩退がったシーフに向かって前転し、巨大なボールとなって突っ込んでいった。この大技・デスコングボールを受けたシーフは大きく吹っ飛び、その身体がビルを押し潰しながら沈んでいく。
「強……い……!?ぐうう……」
大きなダメージの所為で立ち上がれないシーフにデスコングキングが迫る。腕を振り上げ、倒れているシーフに向かって突進していく。
「ま、待って、待ってくれぇ!?」
手を前に出し止まる様に懇願するがそんなものが聞き入れられる筈も無く、奴はどんどん迫って来ていた。
そして巨体によるのしかかりが決められようとした時……。
「うおっ!?な、何んだぁ!?」
蒼い光線が飛んで来て、デスコングキングに炸裂し、大きな爆発と共に奴を吹き飛ばした。ファウストを蹴り飛ばしたエックスが、やられそうなシーフを見て咄嗟にナイトシュートを放ったのだ。光線は剥き出しになっていた爆弾に当たっており、それで凄まじい爆発が起きることとなった。
「代われ泥棒ぉ!」
爆発の余波でごろごろ転がるシーフを飛び越え、背中から倒れて立ち上がれず手足をジタバタさせているデスコングキングに馬乗りになり、その顔に容赦無く拳を叩き込んでいく。
「あ、あまりパンダを虐めるんじゃないぞ!?」
「うるせぇ!あの赤いのどうにかしてろ!」
ある程度痛め付けたファウストをシーフに押し付け、エックスは止まる事なく拳を打ち付けていった。そしてシーフは立ち上がり、膝を付いていたファウストに向かってタックルをかまし、そのまま組み合ってまたゴロゴロと転がっていく。
「よっと!」
跳躍してデスコングキングから離れ、エックスは左足裏から余剰エネルギーを放出しながら上空で両腕を振り、それからクロスに組んだ。
「ザナディウム光線!」
放たれたザナディウム光線は倒れているデスコングキングに直撃。奴は爆散し、本来のぬいぐるみの姿に戻った。
「やった!」
「パンダあああああ!!」
戦いを隠れて見ていた果林が喜ぶ。そしてぬいぐるみを、ファウストから即座に離れたシーフがダイビングキャッチ。
「ふぅ〜……」
「よっと……さて、次はてめえだ。覚悟決めろよ」
着地し、立ち上がったファウストへと走るエックス。奴も駆け出し、互いに放った拳がぶつかり合った。
「おおお──らあッ!!」
───
エックスは拳をそのまま振り抜き、ファウストの腕に痛烈なダメージを与える。彼は踏み込んでファウストの肩を掴み、思いっきり頭突きを額へ叩き込んだ。フラフラと後退するファウストに、エックスは更なる追撃を与えるべく拳を振るう。強烈な打撃が叩き込まれ、奴を徹底的に追い詰めていった。
───
頬を殴られて吹っ飛んだファウスト。今こそトドメを刺す絶好のチャンスだ。面倒な因縁に蹴りを付ける為、エックスは必殺光線を放つ体勢に移る。
「ザナディウム───ッ!?」
しかしその時、突如地面から触手が飛び出して彼の首に巻き付いた。突然のことに驚きながらも触手を解こうとするエックス。それにより出来た隙は、ファウストが逃げ出すには十分であった……。
「くっ、邪魔だ!──ファウストは!?」
触手を振り解いたエックスであったが、既にファウストの姿は無かった。また逃げられたという事態に、彼は怒りを込め奥歯を強く噛み締めるのであった────
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「ほら、約束通り取り戻したぞ」
パンダ泥棒騒動の翌日、翔琉と果林はあの公園に来ていた。そこでみやに、取り戻すことが出来たパンダのぬいぐるみであるかけるを渡す。
あの後、パンダグッズが隠されていた倉庫にXioが来て、そこにあった物は全て持ち主の元へと送られることになった。犯人であるスチール星人シーフはXioに逮捕され、現在拘留中。一緒に戦ってくれたとはいえ盗みを働いた以上見過ごしては置けない。とはいえ協力してくれたことからある程度罪は軽くなるそうだ。彼が盗みだけで人間を殺傷していなかったことも理由の一つだ。シーフ自身深く反省しており、もうこんな事はしないと語っていた。
地中から急に伸びて来た触手。怪獣の物であると考えられるが情報が少なく、その正体は不明。恐らくファウスト自身、又はファウストを助ける為に協力者のカタラの指示によって行動したのだろう。
今回の件でファウストの存在は世間に知れ渡った。ウルトラマンに似た姿でありながら、怪獣を産み出しエックスに牙を剥いた邪悪な魔人。奴の姿を見た多くの人が強い恐怖を感じたとの事。そして同時に、世間ではエックスもいつかファウストの様になり、人類の脅威となるのでは……という声が少しずつ広がっていた……。
良くも悪くも、一連の騒動は世に少なくない影響を齎した。しかしこれからを考えるよりも、今はこの少女の笑顔をまた見ることが出来たという事を、彼らは只々嬉しく思うのであった。
「ありがとうお兄ちゃん!」
笑顔でかけるを抱き締めるみや。そんな彼女のことを見て、翔琉と果林も自然と笑みが溢れる。少し一緒に遊んだ後かけるを大事そうに抱き、みやは時折り振り返ってこちらに手を振りながら家にへと帰って行く。
「とりあえず、一件落着だな」
「そうね」
果林は横目で翔琉の顔を見る。これまでは後輩や弟程度にしか考えてなかったが、今はその横顔がとても凛々しく頼り甲斐のあるものに見え、胸が少し熱くなるのを感じた。
「ねえ、翔琉」
「ん、どした?」
「ありがと」
私の全てを受け入れてくれたことへのお礼。その想いを込めて、彼女は翔琉の頬に唇を付けようとする………が、寸前のところで彼の手で止められてしまった。
「………何でよ?」
「いや何でよじゃねぇよ。寧ろこっちが何でよだわ」
「嫌いなの、私のこと?」
「嫌いじゃないですぅー。けどそれとこれとは話が別ですぅー」
「ふーん」
暫く頬を膨らまして彼を見つめたが、諦めてニ歩後ろに下がった。
「せっかくのご褒美なのに」
「身持ちが固いので」
「そう。なら……」
ケラケラ笑う翔琉。彼のことを落とすのは一筋縄ではいかないらしい。果林は一度溜め息を吐いた後笑い、彼の前に立った。
「いつか貴方を、私の魅力で夢中にさせてあげるわ」
ウインクし、優しく美しい笑顔を彼に向ける。彼となら、素直な自分を曝け出して歩いていけるかも知れない。その道で迷っても、一緒だったらそれも悪くない。
彼女の世界には今、鮮やかな虹が掛けられた───
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ガシャン!パリン!……物の壊れる音が絶え間無く鳴り渡る。明里が自宅のリビングで、食器などを適当に手に取り投げて破壊しているのだ。彼女は髪を振り乱し、眉間に皺を寄せ、怒り任せに近くにある物を投げたり叩き付けたりしている。
またエックスに負けた……。昨日、盗まれたパンダのぬいぐるみを取り戻し、犯人のスチール星人を殺せば翔琉や果林が喜んでくれると思い動いた彼女であったが、エックスによって妨害されてしまった。
何度挑んでも奴には敵わず、無惨な敗北を喫している。そしてその度に奴は更に強くなっていき、最早ファウストでは相手にならないだろう。
「ッ……」
噛み締めた奥歯からギリッという音が鳴る。どうしようもなく怒りが湧き上がり止められない。アイツさえ居なければ、私は幸せに日々を過ごせた筈なのに。早く潰したい、早く消したい、早く殺したい。そんな衝動が、取り止めなく彼女の内側から溢れ出していた。
そんな時、叩き付けたことで画面のひび割れたスマホから呼び出し音が鳴った。一体誰だと舌打ちをしスマホを拾い上げて画面を見ると、そこには翔琉の名前が記されていた。
「天地君……?」
少し驚きながら、彼女は通話ボタンをタッチしてスマホを耳に当てる。
《おーす、新城野。今大丈夫か?》
「うん。大丈夫だけど、どうかしたの?」
《昨日のことでさ。ほら、お前が送っていったみやって女の子いたじゃん?あの子から新城野にもありがとうって伝えてくれって言われてさ》
昨日、というワードを聞くとエックスに敗北したことをまた思い返してしまうが、その不快感を声に出さない様抑える。
「そうだったんだ。ぬいぐるみは無事だったの?」
《おう、バッチリ取り戻したぜ》
「そっかー、良かった」
《俺からも礼を言うよ。ありがとな》
彼からのありがとうを聞いた時今まで湧き上がっていた怒りがスッと引いていき、代わりに胸から熱いものが生まれてくる。表情も穏やかなものになり、その頬が少し赤く染まっていた。
「ねえ、天地君」
《ん、どうした?》
「天地君って、朝香先輩やかすみちゃんのこと名前で呼んでるよね?」
《ああ。そう呼んでくれって頼まれたからな。あ、俺ちゃんと先輩には敬意払う男だからな》
彼に「わかってるよ〜」と笑いながら返した後、彼女は言葉を繋ぐ。
「私もさ、天地君に名前で呼んで欲しいなって思うんだけど……どう、かな?」
恐る恐るそう聞いた明里。心臓がバクバクとなり、それが身体中に拡がっていく。何でこんなに緊張しているのだろうか?もし断られたら……そう思うと胸にこれまで感じたことの無い痛みが走る。
《おう、良いぜ》
「ほんと!?じゃ、じゃあ……私も名前で呼んで良い?」
《勿論だよ》
スマホから聴こえてくる彼の声は優しく、彼女は幸福感に包まれていった。
《じゃあ、改めてよろしくな明里》
「うん、よろしくね翔琉君」
通話を終えた明里はスマホを胸に抱き寄せる。翔琉から名前を呼んでもらえる事、翔琉の名前を呼ぶ事。それらがとても心地良く感じ、笑みが溢れて来た。
そして彼女は自覚する。私は彼のことが好きなのだと。
「ふふっ」
酷く散らかったリビング。そこには何も映ってないテレビを見つめる父・広也と床に寝転がっている母・利子。そして最高の笑みを浮かべた明里の姿があった────
・チビスケ
別名:幼海獣
体長:75cm
重量:7kg
出典:ウルトラマンタイガ 2話「トレギア」
海獣ゲスラの幼体。好物は板チョコ。幼い愛が偶然見つけ、周りには内緒で橋の下で飼っていた。左目付近に怪我をしている。彼女にはとても懐いていた。
愛にとって初めての怪獣の友達であり、とても仲の良かった。だがチビスケは猛毒を持っており、成長するに連れて強くなるそれを愛に喰らわせない様にする為少しずつ距離を取っていた。大きくなっていくチビスケをどうしたらいいか分からなくなって来た当時の愛はXioにチビスケのことを伝える。しかし当時のXio隊員はチビスケを危険な怪獣と勘違いし攻撃してしまった。それによりチビスケは逃走。その生死は分からないままである……。
ウルトラマンタイガからの登場。幼体ではあるが、キングゲスラでは無くゲスラが映像作品に出たのは実に53年ぶり。初見ではゲスラに見えないデザインにしてほしいと要望された為、ウーパールーパーや山椒魚などの両性類をイメージしてデザインされた。
・ゼッパンドン
別名:合体魔王獣
身長:60m
重量:4万5千t
出典:ウルトラマンオーブ 16話「忘れられない場所」
明里がゼットンとパンドン、そしてマガオロチの怪獣カプセルを融合させ産み出したカプセルで召喚した怪獣。ゼットンとパンドンの特徴的な能力を引き継いでおり、頭部の両脇にあるパンドンの口のような器官から発射する紫色の破壊光線や口から吐き出す超高温の火球・ゼッパンドン撃炎弾で全てのものを粉砕する。 他にも瞬間移動能力で相手を翻弄し、顔の両側から前面に展開する六角形のバリア・ゼッパンドンシールドで相手の光線技を防ぐなど機動力と防御力も高い。
その圧倒的な力でゼットンを殺し、エックスから強い憎悪を向けられた。エックスの攻撃を全て無力化し、破壊光線で吹き飛ばす。しかしゼノンが現れ、他の宇宙人達や怪獣が撃破された事によって形勢逆転。最後はエックス、マックス、ゼノン、サイバーゴモラの合体技コンビネーションマキシマムによって撃破された。
ウルトラマンオーブに登場した怪獣。本作では召喚された怪獣として登場した。全ての登場作品でジャグラス・ジャグラーがダークリングやダークゼットライザーを使って変身している為、事実上ジャグラーの戦闘形態の一つの様に扱われている。また、劇場版オーブでのジャグラーのゼッパンドンへの変身バンクは本来予定に無かったが、製作発表当日にジャグラーを演じる青柳 尊哉氏が監督である田口清隆氏にわがままを言ったことから実現したらしい。
今回登場したパンダのぬいぐるみが変化した怪獣デスコングキングですが、オリジナルではなく「ジャンボーグA」に登場した怪獣なのです。世にも珍しい(?)パンダの怪獣となっています。
翔琉への想いを自覚した明里。互いの正体を知らず、2人の距離は徐々に縮まっていくことに。果たして彼らはどのような未来に辿り着くのであろうか……?
それではまた次回をお楽しみに。
感想、高評価、質問、ここすき、その他、是非是非お待ちしています!
次回、魔獣襲来