RAINBOW X STORY   作:山形りんごをたべるんご

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コロナで色んなイベントが中止になって辛い……。
そんな嫌な世の中ではありますが、ちょっとした楽しみになれればと思っています。

新展開の47話目、早速どうぞ!


47.ホシを越えて

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宇宙。無限に広がるそこを泳ぐ一隻の船が有った。所々から煙を立ち上がらせながらも、宇宙船は止まる事無く進み続ける。そのコックピットには、数人の男女がいた。彼らはある理由から、母星を脱出しここまで逃げて来たのだ。

 

 船内には警告音の様なものが鳴っており、皆慌ただしく船内のパネルやキーボードを操作している。すると大きな衝撃と共に船内が揺れ、1人の少女が倒れた。見たところ、この中で一番若いのは彼女の様だ。金色の髪をしていて地球人でいう中学生か高校生くらいの容姿をしてる。倒れたその少女に、1人の男性が駆け寄った。

 

 

「大丈夫か、マウナ!?」

「う、うん……」

 

 

 男性はマウナと呼んだ少女を立ち上がらせる。しかし次の瞬間、宇宙船はまた大きく揺れた。

 

 

「きゃあ!?」

「くっ!?こうなったら……!」

 

 

 何とか持ち堪え倒れなかった2人。そして男性は、マウナの手を引いてある場所へと歩き出した。そこは小型の脱出用ポッドがある所だ。

 

 

「に、兄さん……!?」

 

 

 彼はマウナをポッドの中にへと入れて蓋を閉じる。

 

 

「兄さん、何するの!?」

「このままじゃ危険だ!俺達が囮になるから、お前だけでも逃げるんだ!」

「嫌だ!!私も兄さん達と一緒に居る!!一緒に居させてよ!?」

「ダメだ!!」

 

 

 どうしても皆と一緒に居たいと懇願するマウナであるが、兄は決してそれを認めようとはしなかった。

 

 

「良いか?俺達は惑星ゴールドで最後の生き残りだ。ここで全滅したら、惑星ゴールドの未来は完全に無くなってしまう。だから、誰か1人でも必ず生き残らなきゃいけないんだ!!」

「だったら、私よりも兄さんやみんなの方が!?」

 

 

 自分よりも兄や他の人達の方が生き残るのに相応しいと言うマウナ。しかし兄は首を振ると、パネルを操作して脱出ポッドを外へと排出する準備を始めた。

 

 

「必ず生きてくれ、マウナ」

「ま、待って!?待って兄さん!?」

 

 

 最後にスイッチを押し、彼女の乗ったポッドが宇宙船の外へと勢い良く出された。

 

 

「うっ、ううっ!?」

 

 

 排出されたことによる衝撃に驚くマウナ。それから彼女は、小さな窓から兄達の乗っている宇宙船を見る。ポッドに付いている通信機で宇宙船と交信しようとしたが、あちら側の通信機が壊れているらしく繋がらない。

 

 

「兄さん……!?」

 

 

 父も母も、祖父も祖母も、他の兄弟姉妹達も死に、唯一遺された家族であった兄。とても大切な存在であった彼との距離が、段々と離れていくのが心苦しく、彼女はずっと船を見つめて兄のことを呼んでいる。

 

 

 

 

 すると次の瞬間、閃光が迸って宇宙船は石にへと変化。そして続け様に駆け巡った稲妻によって爆発し、木っ端微塵に粉砕された。

 

 

「嗚呼!?兄さ──きゃあああッ!?」

 

 

 爆発によって起きた衝撃波でポッドは吹き飛ばされ、マウナは中で何度も叩きつけられ気を失う。ポッドはそのまま、とある惑星にへと落ちていくことになるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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《昨夜から未明にかけて、東京八王子市の高尾山に隕石と思われる物体が墜落した事による影響で山火事が発生しました。火は消防により既に消し止められており、この隕石を調べる為の調査隊をUNVERは派遣するそうです》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よしっ」

 

 

 自宅にてリュックの中の荷物を確認し、口を閉じて背負う翔琉。彼は昨夜落下した隕石の調査に参加する為の準備をしていたのだ。今日は同好会の練習がある日だが、皆に頼んで自分は休みを貰えた。

 

 

「忘れ物はない?」

 

 

 母である優里香がそう聞く。

 

 

「大丈夫だよ、子どもじゃあるまいし」

「何時迄も経っても何があっても、貴方は私の子どもよ」

 

 

 優里香はそう言うと優しく翔琉の頭を撫でた。恥ずかしさから「やめてくれ」と彼はその手をこれまた優しく払い除ける。

 

 

「フフッ。帰りは遅くなるの?」

「あー、どうだろ?もしもの時は連絡する」

「あんまり遅くならない様にね」

「了解」

 

 

 玄関に行き靴を履く翔琉。そして彼はドアノブに手を置いた。

 

 

「そんじゃ、いってきます」

「うん、いってらっしゃい」

 

 

 扉を開けて出て行く彼を、優里香は手を振って送るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「お、歩夢」

「あ、翔琉君……」

 

 

 家を出ると、そこには歩夢が居た。どうやら彼女も同時に家を出たらしい。

 

 

「歩夢も今から練習行くんだな」

「うん。翔琉君は、今日休みなんだよね?」

「ああ、夜隕石が落ちただろ?それがちょっと気になってな」

「それって、危険じゃないの……?」

 

 

 Xioにインターンシップに行っている彼であるが、あくまでも研究チームに入っているので戦闘の危険は無いと歩夢は以前聞かされていた。しかし翔琉は怪獣が出る度に危険を顧みず避難誘導に行っており、正直安心が出来なかった。隕石の調査というが、もしもその隕石が危険なものだったら……。そう思うと不安で胸が押し潰されそうになってしまう。

 

 

「大丈夫大丈夫。そんなやべぇもんじゃ無いよ」

 

 

 彼はヘラヘラと笑っているが歩夢は気が気でない。「じゃあな」と言って去ろうとする翔琉。彼女はその背に声を掛けて足を止めさせた。

 

 

「ま、待って!?」

「ん、どうした?」

「わ、私も……着いて行って良い、かな……?」

 

 

 翔琉のことが心配故に出た言葉。出した後に迷惑だったかもと思うが、それでも彼に着いて行きたいと歩夢は思った。

 

 

「ああ、良いぜ」

 

 

 彼女のそれが意外だったのか少し驚いた表情になる翔琉。ただ特に断る理由も無いので、笑顔を向けて了承した。それに対して歩夢も笑う。

 

 

「ありがとう翔琉君」

「とりあえず沙優隊長に連絡しとくか。あと現場の陽花さん達にも」

 

 

 振り返りデバイザーを操作する彼の背を、歩夢は複雑な想いを抱えた表情で見つめる。本当に彼は危険なことをしていないのか、これ以上Xioにいるのは彼にとって本当に良いことなのかを、着いて行ってちゃんと確かめなければと彼女は胸の奥で思うのであった───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 高尾山にはUNVERの研究員が集まっていた。その中にはXioラボチームのシャマラ博士、涼風、陽花の姿もあり、もしもの時の護衛として紗季、ハヤテ、イヅルも居る。麓にはKEEP OUTと書かれた黄色テープが引かれて一般人が進入出来ない様になっており、その前には多くのマスコミや隕石に興味を持った野次馬が群れていた。

 

 

「ちょ、ちょ、通ーりまーす!」

 

 

 そのマスコミと野次馬を掻き分けながら、歩夢の手を引いて翔琉が進んでいく。隊員証を見せて中に入り、彼は仲間達がいる場所へと向かった。

 

 

「お、来たな翔琉」

「ははっ、マジで彼女連れだ」

 

 

 歩夢と手を繋いで向かって来る翔琉のことをハヤテとイヅルが揶揄う。

 

 

「彼女じゃなくて見学者っすよ。紗季さん、歩夢のことよろしくっす」

「うん、任せて!」

 

 

 彼女のことを紗季に任せた後、翔琉は「じゃあな」と言ってから隕石がある場所に歩いて行く。去っていく彼のその背を、歩夢は心配した表情で見つめていた。

 

 

「彼のこと、大切なんだね」

「へっ?は、はい……」

 

 

 そんな彼女に紗季が声を掛けた。

 

 

「大丈夫よ、翔琉君は強いから」

 

 

 紗季は優しく笑い掛けてくれるが、歩夢にしてみれば彼女も翔琉を危険な場所に立たせているXioの一員。嫌な考えだが、それが頭に過ぎってしまい何とも言えない気持ちになる。

 

 

「そう、ですよね……」

 

 

 それを悟られない様に無理に笑顔を作る。Xioに対して少しだけ生まれていた複雑な想いを、彼女は胸に押し込めた。

 

 

「………あれ?」

 

 

 ふと彼女は何かを感じて横を向くと、木陰に隠れてる金髪の少女を見つけた。少女も歩夢に気付いたのかどうかは分からないが、そそくさとその場を去っていく。

 

 

「ちょっとすいません」

「あ、歩夢ちゃん!?」

 

 

 何故かその少女のことが気になった歩夢は、彼女を追う為に小走りを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 隕石の落ちた場所に辿り着いた翔琉。直径20メートル程のクレーターの真ん中にその隕石があり、それをシャマラ博士、涼風、陽花がタブレットなどを使用して調べていた。

 

 

「天地さん、来ましたね」

「お疲れ様っす」

 

 

 翔琉もクレーターの中に入って隕石に近付く。

 

 

「これが噂の隕石っすか」

「はい。ただ、この隕石なんか妙なんっすよねぇ……」

「妙?」

 

 

 陽花が首を傾げる。

 

 

「コイツを形成してる物質が地球の、というかこの付近の物と同じなのだ」

「つまり、どう言うこと?」

「この隕石は恐らくここに落下した後、周囲の土や石を引き寄せてコーティングしたのだと思われます」

「え、じゃあこの隕石生きてるんっすか?」

「いえ、生命反応は無いので生きては無いと思われます。そういう性質の隕石なのか、それとも誰かが何かの目的を持ってそうさせたのか……」

 

 

 不自然なその隕石を見ながら3人は唸る。この正体は一体何なのだろうか?

 

 

「うーん、そこまでやばそうな感じはしないんっすけどねぇ」

 

 

 翔琉は隕石に近付き、不用意にもそれに触れた。すると彼が触れた所が押し込まれ、隕石は振動を開始してしまった。

 

 

「は、嘘?」

「馬鹿!?何やっとるんじゃ!?」

「皆さん、後退して下さい!」

 

 

 3人と翔琉、そして周りにいた他の研究員達は後退し、もしもの事態に備えて武装したUNVERの隊員が銃口を隕石に向ける。

 隕石は振動を続け表面の土や石が段々と剥がれていき、その中から謎の機械的な物体が姿を見せた。

 

 

「…………天地さん」

「すんません……」

「はぁ……以後、興味本位での勝手な行動は謹んで下さいね?」

 

 

涼風に嗜められ頭を下げる翔琉。その後再度謎の物体の調査が始められた。土石が剥がれた時に扉も開いたので警戒しながら中を覗いてみたが、一見して見つかる物は無かった。

 

 

「宇宙船、というより脱出用のポッドみたいっすね。しかも地球外の」

「脱出って、じゃあ宇宙人がこれに乗って地球に来たってことっすか?」

「だろうな。土石を纏ってカモフラージュし、更に特殊な電磁波を放ってその事を隠していたのか。何処の星の物か、調べれば分かるかも知れん。涼風、陽花、詳しい解析をする。手伝ってくれ」

「はい」

「了解っす!」

 

 

 博士の指示に従い、涼風と陽花は脱出ポッドの解析を進めていく。翔琉はまた変に触ってトラブルを起こさない様にする為に、その様子を少し離れて見ていた。

 

 脱出ポッドで地球に来たという事は、何かに追われたりして逃げて来た可能性が高い。なら悪い宇宙人では無いとは思われるが、侵略目的の宇宙人が何らかのトラブルが起きてこのポッドで不時着したというのも考えられるし、そもそもこれ自体が実は侵略兵器を入れていた物という可能性もゼロでは無い。何にせよ歩夢を連れて来てる以上、面倒事が起こらない様にと彼は祈るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな彼らの様子を隠れて見る少女の姿があった。先程歩夢が目撃した金髪の少女だ。

 

 

「どうしよう……」

 

 

 あの脱出ポッドは彼女が乗って来た物。そしてあの中には、まだ気付かれていない様だが大切な物がある。何とかして取り戻したいが、多くの地球人がポッドを囲んでいる為それが出来ない。

 どうするべきか……?ポッドも、中の物も、自身の惑星の物だから絶対に渡したくない。必死に彼女が方法を思案していた時である。

 

 

「あ、あの!?」

 

 

 背後から声を掛けられ、彼女は驚いて振り返った。

 そこに居たのは1人の地球人の女性。彼女を追って来た歩夢だ。お互いに警戒しているだろう、じっと目を見つめ合っている。

 

 

 

 

 これが歩夢とゴールド星人の少女マウナのファーストコンタクトであった────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・バラン

別名:大怪獣、むささび怪獣

身長:50m

重量:1万5千t

出典:映画「大怪獣バラン」

 

 初代は約60年前に登場し、当時の防衛軍を酷く苦しめ大きな被害を齎した。強靭な脚で陸上を踏み躙り、ムササビの様な皮膜を利用して空を飛び、水中でも自由自在に動ける。初めて陸海空全てで猛威を振るった怪獣であり、それが由縁で当時は大怪獣とも呼ばれていた。頭頂から尾先まで並んでいる棘には猛毒があり、これを敵に刺す。長い尻尾を巧みに操り、外皮はゴムの様に弾力が有って頑丈。岩手県の北上川上流の泉に生息していたのが最初の個体で、付近の岩屋部落では婆羅蛇魏山神(ばらだぎさんじん)として崇拝されていた。光る物を飲み込んでしまうという習性があり、これを利用して退治されることが殆ど。また、極稀にであるが熱線や光弾を放つ個体も存在する。

 明里によってスパークドールズから実体化、エックスと戦う。その頑丈な表皮や尻尾、飛行能力などを駆使してエックスに対して優位に立っていたが、巴投げを受けてダメージを負い、更に自身の習性を利用されて光弾を飲み込み内部からまた大きなダメージを受ける。そして最期はザナディウム光線を喰らってスパークドールズに戻されてしまった。

 1958年に公開された映画である「大怪獣バラン」の主役怪獣。元々は連続テレビシドラマとして予定されていたらしく、カラー作品である「空の大怪獣ラドン」より後の作品なのモノクロなのはその名残り。別名は他にも「東洋の怪物」、「東洋の大怪獣」、「有翼膜龍」など複数存在する。ゴジラ作品「怪獣総進撃」にも登場しているがスーツの劣化が激しかった為飛び人形での登場に。その後も何度か登場案はあったものの、どれも実現には至らなかった。しかしアニメ映画「GODZILLA」の前日譚である小説「GODZILLA 怪獣黙示録」では複数の個体が登場しており、限定的な飛行能力を持っている為、かなりの脅威として書かれていた。

 

 




ゴールド星人が登場したというのことはつまり……。
次回をお楽しみに!

感想、質問、高評価、ここすき、その他、是非是非お待ちしてるんご!

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